お待たせしました。投稿です。
会場中から、拍手と喝采が鳴り止まなかった。みんな夢中で音を鳴らしている。それはそうだろう。学園、、、いや、世界を見てもトップレベルの美少女達が、御伽話のお姫様のように可憐に着飾っているんだ。ここで拍手をしなければいつ鳴らすんだって感じだ。
箒、セシリア、鈴、シャル、ラウラ、簪、楯無さん、、、俺の恋人達が自分のイメージカラーに合わせたドレスに着飾っている。
(すげえ、、、)
長く共に過ごしてきた俺でも、思わず息を飲むほどに美しく、、そして可愛い。これが"可愛いは正義"という事なんだな、、言葉ではなく、心で理解した!!
そういえばチェルシーと、布仏姉妹がいないな、、、あ、いた。ヒロインズ達から少し離れた所で、メイド服姿で控えている。こういうのを見ると、チェルシーだけではなくて、虚さんや本音も立派なメイドさんなんだなって、改めて理解できた。
周りのみんな、、、クリスマスのイルミネーションよりもキラキラした目で箒達を見ているな。
(俺も、もしかしたらあの中に居たんだろうか?)
もし俺が転生者じゃなかったら。箒と幼馴染じゃなかったら。あの入学式の日にセシリア達に合わなかったら。ラウラが俺の事を知らなかったら。俺がテストで高得点を取ってなかったら。
俺も、ただ彼女達とは何の関係もない一般人としてあそこで憧れの目を送っていたのだろうか?
(、、、だけど)
今の俺は、まだ彼女達の恋人だ。箒達がどのような裁定を俺に下すのかは分からないが、俺は決して逃げない。今から訪れるであろう"未来"を受け止めて一生を生きていくんだ。
『あはは、、〇〇さん重いですね。整理整頓が出来ない人の鞄ぐらい重いですよ?』
が、ガイちゃん!先程はすいませんでした!
『いえいえ大丈夫ですよ⭐︎女神ですもの、信者に変な態度をとられる事ぐらいあります』
女神様も大変ですね、、、というか俺信者だったのか。確かにお祈りは欠かしてないけども。
『それにしても、、』
(?)
『元気になって、、ホントに良かったです』
そうか、、、心配をかけさせてしまったんだな。申し訳ございませんでした。
『大丈夫です⭐︎ほらほら、彼女さん達が呼んでますよ?アラサー女神となんか話してないで行ってあげてください』
「え?」
ホントだ。会長がマイクを片手に俺の名前を呼んでいる。、、決戦の時だな。
(ガイちゃん、行ってきます)
俺の恩人の姿は見えなかったが、何となく、、微笑みかけられたような気がした。
「来たわね一夏君!」
楯無さんは「立派」と書かれた扇子を広げた。いつも通りだな、何か安心する。
チラリ、と箒を見つめる。艶のある髪をロングヘアにして、真っ赤なドレス姿の彼女は、、、誰よりも輝いていた。
じーっ、、、
その強い目で俺を見つめている。転生者である俺に、彼女はどんな感情を抱いているのだろうか?
『みんな!生徒会主催のクリスマス会、楽しんでもらえているかしら?』
玉の転がるような楯無さんの声が、マイクで拡散されて会場中に響き渡る。生徒達からは、拍手や歓声が響き渡った。
『ありがとう!縁もたけなわという事で!ここでクリスマス会でみんなのお世話をしてくれている、我が生徒会のホープを紹介するわ!!』
(る?)
会場中が何故か俺に注目する。生徒会のホープだったのか俺?そんな大層な肩書きではないのだが、、。
「さ、前に出て」という楯無さんの言葉に、俺は緊張でガチガチになりながら生徒たちの前へと出る。
あ、やめて。そんな尊敬のこもった視線を向けないで!俺はただの一般人だから!
「、、、それは無理がある」
簪のポツリと呟いた言葉は、俺の耳には入らなかった。うん!入らなかったんだ!
マイクを手渡される。もしや、、挨拶をしろと言うことだろうか?
(ヤバい、、、頭真っ白だ、、)
だが、いざ話し始めてみると、思い通りに言葉を紡ぐことが出来た。体育祭、文化祭、、、様々な思い出が走馬灯のように浮かんでくる。思えば、色々とあったな、、。
「以上です。ありがとうございました!」
頭を下げると、割れんばかりの拍手が。俺、、、みんなから拍手喝采を浴びているのか、、。
「凄いじゃない一夏君!」
楯無さんがポン、と背中を叩いてくれた。それが何だか嬉しかった。
『はいみんな。感動したのは分かるけど、まだビックイベントが残っているから。はしゃぐ元気は最後まで残しておきなさいよね?』
生徒達は頭にクエスチョンマークを浮かべている。もちろん俺もだ。メインイベントとな?
ヒロインズは、、、みんな落ち着いている。何やら決意を固めたような表情を浮かべていた。、、、いよいよかもしれないな。
『織斑一夏君。篠ノ之箒さん。前へ』
「はい」
「は、はい!」
いよいよ俺に裁定が下される。ヤバい、心臓が痛い、、、何か取り返しのつかない失敗をしたみたいに心臓がバクバクする!
『みんなまだピンと来ていないみたいだから、私から説明するわね?』
ええ!?言っちゃうんですか楯無さん!?マジですか!?
『ーーー織斑君と篠ノ之さん達はね。少し、、、関係がギクシャクしてしまったの』
生徒達からは心配の声が次々と上がってきた。ご心配をおかけします、、、!!
男子生徒達は一斉にガッツポーズをしたがな!ぶっ飛ばすぞお前ら!!
『それで、、織斑君に篠ノ之さんが言いたい事があるらしいのよ』
楯無さんがマイクを箒に渡した。会場中がシーンを静まった。男子生徒とはいうと、期待した目線を向ける。こ、こいつらは、、、!
箒が、すうっと息を吸う。俺は、ゴクリと喉を鳴らした。
『一夏』
静まり返った会場で、箒の声が強く響いた。
『あの時、、、私たちは初めて出会ったのだな』
俺の脳内に、あの時の光景が鮮明に浮かび上がった。あの時織斑一夏に転生して、訳も分からなかった時に初めて出会った、俺の幼馴染。
『最初は変な奴になったな、と思ったものだ。私の事は分からない様子だったし、この世界の常識の事はまるで分かっていないという有様だった、、、』
会場のみんなは、首を傾げている。「どういう事?」「小学生の頃の話かな?」という声が所々から聞こえてくる。まあ、普通はそう思うよな。
『高校生活が始まって、変なテンションになっているのではないかと思った。まあ、中学の頃にもそんな事があったからな。まあ、実際は全然違った訳だが』
そこで箒は一息つく。そして、、、感慨深いように話し始めた。
『ああ、、それから色んなことがあったな。セシリア、鈴、シャル、ラウラと出会って、遠足で恋人になって、体育祭でおっぱいまで出して応援して、夏休みには色んな所に行ったな。文化祭では、6人で力いっぱい楽しんだ。いや、イベントだけではない、この一年間、たわいのない日常の中でも、お前はずっと側にいてくれた』
思い出が溢れ出す。この一年間の思い出が。俺が〇〇ではなく、"織斑一夏"として過ごした記憶が。
そうだ、、、俺はこの世界では〇〇ではなくて、間違いなく織斑一夏だったんだ。彼女達の、、、恋人だ。
ふとセシリア達を見つめる。これまで共に過ごしてきた恋人達は、俺に優しく微笑みかける。みんな、、本当に、みんなはーーーーー
「一夏」
箒はマイクを口から離し、俺を見つめる。その瞳は一つの曇りもなかった。
「この場で詳しいことは言えないが、私はあの時からずっと違うものを見ていた。まるでお前がお前でなかったみたいだった」
「、、、ああ」
「だけどお前はそんな私にずっと優しく接してくれた。一緒に遊んだり、勉強したり、行事に励んだりした。知らないことを教えたりした。それに沢山の友達との縁を作ってくれた」
「、、、ああ」
「そんなお前が、、欲しいというのなら、その想いに答えたい。お前が私にくれた分を返させてくれ。」
「、、!」
「、、、好きだ。私と、、いや、私たちと結婚を前提に付き合ってくれ」
潤んだ手で左手を差し出す箒。俺の答えは、、、決まっていた。
「こちらこそ、、宜しくお願い致します」
俺は箒の前にかがむと、その左手の甲にキスをした。彼女の顔を見上げる。涙を流していたが、、、満面の笑みだった。
ーーーーーわああああああああああ!!!
会場中から割れんばかりの拍手喝さいが送られた。複数の男子や女子が、OZEの表情で崩れ落ちたが、、ど、どんまい!!
「一夏さん!!」
「一夏!!」
「一夏!」
「一夏!」
「一夏!」
「一夏君!!」
「一夏様!!」
ドレスやメイド服に身を包んだ俺の恋人たちが俺たちの下に駆け寄ってくる。そして次々と抱擁された。
「みんな、、!」
顔や胸を、これでもかと擦り付けてくる。もう離さない、と言わんばかりだ。
「ごめんな、、鈴、ラウラ。二人が思っていた織斑一夏じゃなくて」
「大丈夫よ、一夏」
鈴が屈託のない笑顔を向ける。
「私は、あんたを好きになったのよ。この一年間を過ごした、今の織斑一夏を!」
鈴、、、そうなのか。俺を、、、好きになってくれたのか。
「私は、顔も性格も知らない織斑一夏を好きになっていただけだった。だけど、、、お前は、私が恋をした織斑一夏そのものだったぞ?」
「ラウラ、、、うん。そうあれるように頑張るよ」
ラウラは目を細めると、グリグリと顔を擦り付ける。俺はその頭を優しく撫でた。
「これにて一件落着ですわね」
「セシリア」
俺にその豊満な胸を押し付けて笑うのは、初めて"織斑一夏"と会った、英国令嬢だった。
「セシリア、、苦労かけたな」
「全くですわ。このお礼は、、、ベットの上で、ね♡」
「はは、、お手柔らかに」
「一夏〜、僕も欲しいな〜」
「おう。今夜は寝かせないぜ?」
シャルが胸を俺の腕に押し付けてくる。おお、、結構大きい、、。
「うんうん。やっぱり一夏君はこの光景が一番いいわね!」
「そ、そうだね!」
「終幕」と書かれた扇子を広げる楯無さんと簪もやってきた。
「すいません会長、、、迷惑をかけて、、」
「あら大丈夫よ。部下の問題を解決するのも上司の役目ですもの」
上品に笑う会長、、うん、この人の元で働けて本当に幸せだ。
「何しろ数年後には夫婦になるから。これぐらいはね?」
気が早いが、俺もその覚悟を持った方がいいだろう。きゃー!!と女子達から黄色い悲鳴が上がり、男子生徒と複数の女子はまるで丘に上がった魚のようにビクンビクンとしていた。大丈夫?地面汚いよ?
「一夏、、、」
「箒」
俺と箒は抱き合って、お互い見つめ合う。箒の瞳は、まるでルビーのように輝いていた。
「ずっと言えなかったけど、、、ドレス、キレイだ」
「ッッ!!」
箒は顔を真っ赤にすると、、目に涙を浮かべながら微笑んだ。
「ありがとう、、一夏もタキシードが似合っているぞ。この会場、、いや、この世の誰よりも似合っている」
俺たちは微笑み合うとーーーそっと唇を重ねた。
長い、、長いキス。いつまでもこうしていたい。ずっと味わっていたい、、、そんな気持ちでいっぱいになる。
キスを終えて皆んなの方に向き合うと、生徒たちの中に、見知らぬ、、、いや、よく見知った男子の姿を見つけた。
紺の学ランを着て、黒髪の端正な顔立ちをしたその少年は、何かを呟くと、光を放って消えていった。言葉は発しなかったが、、俺には意味を理解できた。
ーーー箒達を頼んだぜ。
ああ。任せろ、俺。一生をかけて幸せにしてみせる。約束だ。
♢♢♢♢♢
「一夏!このチキン美味しいわよ!ありがたく食べなさい!!」
「一夏さん!こちらの魚のソテーも美味ですわ!ご賞味なさって!」
「一夏〜!このクッキー美味しいよ!見て、人型になってる!」
「シャルよ、、、デザートにはまだ早いんじゃないか?」
それから俺たちは今までの溝を埋めるように、思う存分イチャイチャした。生徒会の仕事?こんな時に仕事にかまけてられるほど俺は暇じゃないぜ!
「一夏君!有名パティシエに作ったクリスマスケーキよ!一緒に食べましょう!」
「い、行こう一夏、、!」
簪に手を引かれてテーブルに行くと、、デカっ!!十段ぐらいあるぞ!?
「コラー!!私たちを置いていくんじゃないわよ!」
俺の恋人達が我先にと駆けてきた。その中に、、この世界で初めて会った俺の幼馴染が。
「一夏、、」
「お、おう」
「まぁなんだ、、、」
箒は頬を薄く染めながら、満面の笑みを浮かべた。
「これから、、よろしくな」
「ああ!!」
俺たちは手を繋ぐと、振り分けられているケーキへと向かった。
因みにこの日の夜、会場で着たドレス姿の恋人達とベットでよろしくやったのは記載しておく。メリークリスマス!!
次回、最終話です。