日曜日の午前中、街中の駅前で俺は最大級に緊張していた。何故かと言うと俺は今日、箒とデート(?)する予定なのだ!あれは先週の金曜日。俺が箒と共に帰路につく準備をしていると、やってきた箒が頬を赤らめ、目をそらしながらこう言ったのだ。
「こ、今度の日曜日、駅の近くにあるショッピングモールに二人でいかないか、、?その、あれだ。いわゆるデートというやつだ。」
そんな箒の提案に、今まで女の子と遊びに行ったことのない俺は当然OKを出した。その時、話を耳にした凰鈴音とセシリア・オルコットが私たちも連れて行けと言い出したが、箒が鬼気迫る勢いで拒否し、俺も箒の味方をして、なんとか引き下がってもらったのだ。美少女三人とデートもやってみたかったのだが、日頃箒の世話になっているし、彼女の意思を尊重したかった。二人からは「今度私ともデートしなさいよね!」「いえ一夏さん、次はぜひわたくしと、!」とも言われたが、とにかく俺にとってデートどころか初めての友達との外出だ。待ち合わせ場所についてからも俺はずっと落ち着かなかった。
「一夏!」
「お、おう、ほう、、」
幼馴染の声に反応した俺は硬直した。箒の服装はレースが施された白のブラウスと膝丈までのネイビーのスカート姿だった。もうちょっと詳しく描写したいが俺は女の子の服装に詳しくないのでいまいちどう表現していいか分からない。幼馴染のあまりの可愛らしさに俺は言葉を発することが出来なかった。
「ど、どうだ、一夏?変ではないか?」
「似合っている、、最高に可愛らしいよ箒、、!」
「そ、そうか、可愛らしいか、、それは良かった、、。」
俺の称賛に箒は嬉しそうにはにかんだ。
「さ、そろそろ行くぞ一夏。時間は有限だからな♪」
「お、おう、。」
俺が緊張しながらも返事をすると何故か箒がこちらに手を差し出した。
「箒、?」
「こ、こういう時は男女同士で手を繋ぐものだろう、?」
頬を赤らめる箒にこちらも赤くなりながらも俺は箒の手を握る。箒の手は柔らかくて暖かかった。俺と箒の頬がさらに紅潮する。
「い、行くぞ一夏。」
「おう、、。」
ドキマギしながら俺たちはショッピングモールに向かって歩き出した。
俺たちが着いたショッピングモールは現代的でスタイリッシュなデザインの外観で多くの家族連れやカップルで賑わっている。中に入ってみると広い吹き抜けのエントランスホールに、シャンデリアや観葉植物が配置されていた。
「箒、最初はどこに行くんだ?」
「ああ、まずはお前の服を見に行こう。そんな格好だと周りから浮いてしまうぞ?」
「そうか?別に奇抜な恰好じゃないからいいと思うんだが、、?」
今の俺の恰好は白いTシャツに青いジーパン姿。どう見ても普通の男子学生の格好だと思うのだが。
「そういう意味ではないのだがな。全く、格好に頓着しないのは相変わらずだな。」
「そうなのか?」
どうやら憑依する前の織斑一夏も俺と変わらないファッションセンスの持ち主だったらしい。なんか親近感が沸く。
「この際だから私がコーディネートしてやる。お前のセンスはあてにならないからな。」
呆れ気味に箒はそう言うと俺の手を引っ張って服屋へと向かった。
放棄に連れられてやってきたファッションショップは、ガラス張りのショートウインドウが特徴で、最新のトレンドアイテムがディスプレイされている。店舗の外観はシンプルで洗練されており、店名やロゴはスタイリッシュなフォントで表記されていた。
「ほ、箒、、ホントにここに行くのか、?こんなオシャレなところ、俺には似合わないというか、。」
「似合わせるためにここに来たんだろう。早く入れ。」
箒に無慈悲にせかされ、俺はおっかなびっくり入店した。店内はそこそこ広く、白やブラウン系の壁にシンプルでモダンなディスプレイが施されている。箒はメンズコーナーに行くと数点の商品を手にこちらに戻ってきた。
「とりあえず似合いそうなものをいくつか見繕ってきた。試着室で着てみてくれ。」
「わかった。、、似合ってなくても笑わないでくれよ?」
「まだ似合わないと決まったわけではないだろう。その後ろ向きの思考、どうにかしろ。」
箒に試着室に押し込まれて俺は渋々服に袖を通した。数分後、俺はシンプルな白いTシャツの上にライトブルーのデニムシャツ、ダークカラーのスリムジーンズ姿に生まれ変わっていた。
「、、、。」
「ほ、箒?」
俺の格好を見た箒がずっと無言で立ち尽くしているため、俺は不安になった。やはり絶望的に似合ってなかったのだろう。
「あー、やっぱり似合ってなかったよな、着替えてくるからちょっと待っ、」
「いや、そんなことはないぞ。すごく、すごく似合ってる!」
「いや、俺なんかがこんな格好、似合うわけないだろ?」
「何を言うか!まるで俳優のようではないか!?思わず惚れ直してしまったぞ!」
「そうです、似合っています!まるで読者モデルのようです!」
いつの間にか店員らしき人が箒と一緒に俺の格好を絶賛していた。あなたいつから居たんですか。
「いや、だけど、、。」
「だけどは禁止だ!前から思っていたがお前は磨けば光るものがあるな!店員さん、こいつに似合いそうな商品をいくつか持ってきてくれ!」
「はい!喜んでぇ!」
そういうなり店員さんはすっ飛んでいってしまった。
「あの、箒?俺はそこまで服を選ぶつもりは、、?」
「まあそう焦るな一夏。私の気が済むまでとことん付き合ってもらうぞ♪」
箒は妖艶に舌なめずりした。
「つ、疲れた、、。」
「全く、少し着せ替え人形になったぐらいで、、情けないぞ一夏♪」
「そんな嬉しそうに罵倒するなよ、、大体、あれは“ちょっと”を軽くオーバーしていただろ!」
「、、、(ニコニコ)」
「笑って誤魔化すな!」
今、俺たちはモール内にある喫茶店で休憩していた。あれから箒(と店員さん。)が次から次へと服を持ってきて俺はしばらくの間二人の着せ替え人形と化してたのだ。ようやく終わったと思ったら、箒が俺がこの店で着た服を全部一括で購入していており、俺は空いた口がふさがらなかった。箒、お前お金持ち設定なかっただろう。どこからそんな大金ひねり出してきたんだ?
「箒、やっぱり悪いって。俺金出してないのにこんな服もらって、、。」
「気にするなと言っているだろう。私はお前の色んな服装を楽しめて、一夏は服が手に入る。ウィンウィンではないか♪」
「だからと言って9点も買うのかよ、、どこから金出したんだ、、。」
「当然だ。私はお前を幼い頃から想い続けてきたんだぞ。これぐらい序の口だ。私に織斑一夏を語らせると長いぞ?」
「、、、全く。」
俺はおそらくこの幼馴染に一生敵わないだろう。そう思わずにはいられなかった。
「よし、そろそろ行くぞ。今度は私の服も見たいし、行きたい小物屋や雑貨屋もある。今日はとことんこのモールを楽しむぞ♪」
「はいはい。お供させていただきますよ、お姫様。」
「っっ! き、急にそんなこと言うな、、馬鹿者。」
照れて顔をそむける幼馴染の姿は最高に可愛かった。
それから俺たちはレディースショップや小物屋、雑貨屋を回った。箒は自分の服やお揃いのマグカップ、結構高いアクセサリーを買っていたが本当になんでそんなに金があるのだろうか?
「箒、次はどこに行くんだ?もうあらかた回ったと思うんだが。」
「ふふ、甘いな一夏。本日のメインイベントその一があるぞ!」
そう言われて連れられてきたのはモール内にある映画館だった。ここも人で賑わっている。
「映画館か、、。」
前世では俺が一人で映画館の席に座るとすぐ隣にカップルが座ってきて、映画そっちのけでいちゃつき始めたものだから、妬ましいやらうっとうしいやらで映画の内容がこれっぽっちも入ってこなかった苦い記憶があるのだ。
「どうしたんだ一夏?黄昏たような雰囲気を出して。」
「いや、何でもない、、。それよりどんな映画を見るんだ?」
「ああ、人気の小説の実写化で、主人公の女の子が近いうちに転校する幼馴染の思い人に愛を伝えようとするストーリーだ。まあ、いわゆるラブストーリーだな。」
「ラブストーリーか、、。」
俺はラブストーリーの映画を前世では一回も見てなかったのでワクワクしてきた。しかも美少女の幼馴染と一緒に見るのだ。さらにワクワクする!
「よし早速チケット売り場に行こうぜ!早くしないといい席がなくなってしまうかもしれないもんな!」
「あ、ああ。なんか一夏の方が乗り気だな。以外だ、、。」
俺たちはチケット売り場の列に並んだ。
お知らせなのですが、近日中に新しい小説を書きたいなと思ってます。この小説と同じR18でカジノをモチーフにした小説にしようと思っています。
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作者の好きでいいと思う。