(ついに、、ついに、この時が来てしまったか、、。)
俺は机に肘をついて頭を抱えた。何を隠そう前世の一年時の遠足では俺はこの遠足で初めての友達が、もし奇跡が起きれば女友達ができるかもしれないとルンルン気分だった。ルンルン気分だったものだから遠足のグループ分けをする時に俺は無謀にもクラスの一軍が集まったグループに突撃した。馬鹿じゃなかろうか我ながら。当然一軍グループは拒否したが、担任の先生が、
「せっかくだから入れてやれ。お前ら(一軍グループ)も新しい友達を増やすチャンスだぞ?」
と加勢してくれたので俺は晴れてグループに入ることが出来たのだ。一軍グループ達は俺を黒いGを見るような目で自分を見ていたが、一軍グループと遠足に行けることになった俺は浮かれていて気付かなかった。そして遠足当日。山に登ることになった俺は一軍グループのやつらとコミュニケーションをとろうとしたが、連中と来たら仲間内だけで話して俺とは一言も口を聞かなかった。それでもめげなかった俺は山頂についたときに一緒に弁当を食べようとしたが、
「お前みたいなやつと一緒に飯なんて食べるわけないだろ。ばーかwwwww」
と、罵られ、呆然とする俺を置いて一軍グループはさっさと行ってしまった。一人残された俺は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら一人寂しく弁当を食べたものだ。話が長くなってしまったが、要するに俺にとって遠足は黒歴史という事だ。
「、、、むらくん。織斑くん!」
「うはあい!?」
呼ばれていることに気づき、俺は過剰に反応した。当然教室中から注目される。箒の「またか」という視線が痛い。
「お、織斑くん大丈夫?さっきから凄い暗い顔で俯いているけどもしかして遠足嫌いだった?でもこれ学校行事なんだよね、ごめんね、。」
山田先生が心配そうに顔を覗き込んでくる。俺は必死に笑顔を取り繕った。
「大丈夫ですよ先生!遠足なんかにひるんでいたら男がすたりますよ!」
「よ、良かったです!大丈夫です、遠足は楽しいことがいっぱいですからね!織斑くんも新しい友達を増やすチャンスですよ!」
「ぐはあっっ(吐血)!!」
「織斑くぅぅん!?」
「全く。いつになったらその奇行が治るんだ?山田先生が涙目になっていたぞ?」
俺の席にやってきた箒が呆れ混じりに呟いた。あの後山田先生がいうことには今度の遠足では四人一組で一つの班になるらしく、一緒に班になる人を決めるべくクラスメイトが友達や知らない人同士で騒いでいた。
「鈴たん!セシリアたん!チェルシーたん!おでと一緒に班を組もう!」
「馬鹿、こんな可愛い子達がお前なんかと組んでくれる訳ないだろう?さ、三人とも、お、俺と一緒に班を組まない?」
「全く醜いな君たちは。レディたち、是非とも僕を選んでくれ。君たちのような可憐な美少女には僕が相応しい。」
教室の一部分が騒がしかったので、視線を向けると、凰鈴音達が男子に群がられていた。3人とも冷めた目線であしらっている。チェルシー・ブランケットさんに至っては「どう排除してやろうか、、?」という目つきをしていた。間違いない。
「あのなあ箒。お前は知らないかも知れないけど、俺にとっての遠足は強制ぼっちイベントとイコールなんだよ、、!」
「何を訳の分からないことを言っているんだ?小中と遠足でお前は私を含めた女子と班を組んでいたではないか。お前も班の女子たちも遠足を楽しんでいたぞ?」
「ぐはあっっ(二回目)!!」
「一夏ぁ!?」
、、どうやらこの世界の織斑一夏は遠足のたびにハーレムを築いていたようだ。流石織斑一夏。この世界でも女たらしは健在のようだ。
「だ、大丈夫か一夏?保健室いくか?」
「だ、大丈夫だ、。遠足でボッチになるぐらい経験済みだ。箒も早く班を決めたほうがいいんじゃないか?」
「?ああ。だからお前の所に来たんじゃないか?」
「え?」
「え?」
俺たちはお互いにキョトンとした顔を浮かべる。
「も、もしかして箒、俺と班を組んでくれるのか、?」
「だからそう言っている。この遠足を知ったときお前と班を組むと決めたからな。」
それを聞いて俺の頭の中にソシャゲのガチャ画面で虹色に光り輝いている演出が浮かんだ。つ、つまり俺は遠足を美少女幼馴染と一緒に参加できるのだ!
「お、おい一夏、なぜ立ち上がる、、おい待て!だから私の腰に手を当てるな、クルクル踊るなあ!」
箒の訴えは俺の耳には届かず、俺は喜びに身を任せて再び箒とクルクルダンスを踊ったのだった。数分後、俺は息を荒げた箒を前にして土下座をしていた。
「一夏、いい加減にしろ(怒り)?」
「申し訳ございませんでした。」
怒れる箒を前に俺は誠心誠意謝罪をした。
「一夏、あんたまたやらかしたの?ほんと、変人になっちゃって。」
「レディとダンスを踊るのは紳士の特権ですが、場所をわきまえてくれないと困りますわ。」
と、セカンド幼馴染と貴族令嬢までやってきた。
「凰鈴音にセシリア・オルコットさんじゃないか。二人はもう班は組んだのか?」
「「まだよ(ですわね)。」」
「そうなのか?二人なら引く手あまただと思ったんだけどな。早く決めないといい相手がいなくなるぞ。」
「何言っているのよ一夏。」
「本当に鈍感な方ですわね。」
「え?」
俺はポカンとする。何か変な事を言っただろうか?
「一夏、私たち二人はあんたと班を組みにきたのよ!」
ドオオオオン!とまるで某バトル漫画の主人公のように俺に向かってビシッと指さす凰鈴音。その言葉が脳内にじっくりしみこむと俺は震えた。歓喜で。
「ふ、二人も俺と班を組んでくれるのか、、?」
「だからそう言っているじゃない。」
俺の頭の中のガチャのリザルト画面でSSRが複数表示された。つ、、つまり俺はこのクラスの美少女3人組と班を組めるのだ!どうだ見たか一軍グループのリーダー!俺はリア充になったぞおおおお!
「なんで顔と拳を上に突き上げているのでしょうかこの方は、、。」
「気にしないであげましょうお嬢様。高校生男子というのは総じて頓馬なものです。」
チェルシー・ブランケットさん、それはちょっと酷くない?
「そ、それでどうなの?一夏は私たちと班組んでくれる?」
「そ、そうですわね。私がわざわざ頭を下げてきた以上、結果は分かり切っていますが、いい返事を期待していますわよ。」
二人はおそるおそると言った様子で俺を見つめてきた。箒がじっと俺を見つめてきたが、もう答えは決まっていた。
「もちろんいいぜ二人共!よろしくな!」
「!え、ええ!よろしく一夏!」
「まああなたの返事は分かっていましたが、改めてよろしくお願いいたしますわ。一夏さん!」
二人はぱあっと顔を輝かせると、俺の手を握ってきた。思わず俺の頬が緩む。
「あ、、悪い箒。俺の一存で決めて。いやじゃなかったか?」
「はぁ、、。どうせなら遠足では一夏を独占したかったのだがな。お前の事だ、二人を拒む事は出来ないだろう。気にするな一夏。」
「箒、、!」
本当に俺は良い幼馴染と巡り会えた。改めてそう感じる。
「では、わたくしからも。お嬢様共々宜しくお願い致します、織斑一夏様。」
「え?もしかしてチェルシーさんも俺たちの班に入るのか?もう定員オーバーだぞ?」
「わたくしはあくまでもお嬢様のメイドですから。班の人数には入らないので安心してください。」
「そうなのか、じゃあよろしくなチェルシーさん!」
「っ、、!ええ、改めて宜しくお願い致します。」
チェルシー・ブランケットさんは優し気に微笑んだ。年上メイドのスマイルに思わずドキッとする。ふと殺気を感じて振り向くと先ほど凰鈴音達を誘っていた男子達が血の涙を流さんとばかりに俺を睨みつけていた。てか俺殺気感じられたのか。
「じゃあさ!今日の放課後駅前のモールに遠足に向けて買い物しましょうよ!新しいリュック買いたいし!」
「いいですわね!私遠足は初めてですの。色々と揃えたいものがありますわ。」
「私は弁当箱が気になるな。一夏も食べ盛りだ。なるべく大きい弁当を作ってやりたい。」
わいわいと三人娘が放課後の予定で盛り上がっているのを見て、俺もなんだかうまく言い表せないが、優しい気持ちになる。ふと気づくと、チェルシー・ブランケットさんが俺の顔を覗き込んでいた。
「どうしたんですかチェルシーさん。」
「いえ、一夏様って、、。」
「あの、もしかして変な顔してました!?」
もしかしてJKを見つめるキモいおじさんみたいな表情をしていたのだろうか。なんてこった、この高校に来てから気を付けていたのに。
「いえ、やはり優しい方だなと思っただけです♪」
そう微笑むチェルシーさんに俺は心臓をドキドキさせたのだった。
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