「私は昼休憩にしろとしか言っていない。問題を起こせとは一言も言っていないはずだが?」
「お、織斑先生、俺たちは、、」
「ただレディ達を救おうと、、。」
「そ、そうだす!」
男子たちの必死の言い訳に織斑千冬先生の鋭い目つきがさらに鋭くなった。
「と言っているが、どうなんだ篠ノ之。」
「、、いえ、私たちはそんなこと頼んでいません。勝手に言い寄られて迷惑です!」
「「「な!」」」
男子たちが驚愕に目を見開く。
「だ、そうだが?」
「き、きっと織斑、、一夏に無理やり言わされているんですよ!」
「そ、そうだーす!!」
「ほう?」
あくまでも俺が悪いというスタンスを崩さない男子たちを見て、織斑千冬先生の目つきがとんでもなく鋭くなる。あれは見ただけで絶対人を〇せる目つきだ。
「学校行事で問題行動を起こしただけでなく、人の弟を悪者扱いするとはな、、よほど怖いものしらずのようだ。」
「お、おとっ!!?」
その言葉に驚愕したのは男子たちだけではなく俺も驚きを隠せなかった。横目で見るとセシリア・オルコットさんやチェルシー・ブランケットさんも目を大きく見開いている。周りの野次馬も口をぽかんと開けている。驚いてないのは箒と凰鈴音だけだった。
(マジかよ、、原作通り織斑先生が俺の姉だったなんて、、いや前から薄々そうなんじゃないかとは思っていたけど、、)
だとすれば織斑先生はなぜうちの高校の教師になったのか、学生の頃はどんな感じだったのか俄然興味が湧いてきた。え?ハイキングコースで織斑先生の事は言われなかったのかって?箒からは俺の両親の事しか聞いていないんだ。織斑先生の事も聞いてみたんだけど、箒は顔を青くして答えてくれなかったんだ。俺の箒に何したんだよ織斑先生、、。
「お前たちの処分は後で通達する。この遠足中は大人しくしていることだ。もしまた問題行動を起こしたら、、分かっているだろうな?」
「「「「ひ、ひぃいいいいい!!」
織斑先生の凄みに男子たちは恐怖の表情を浮かべながら散り散りになって逃げ出した。少なくとも彼らはこの行事中に問題を起こすことはないんじゃないか?あんな鬼のような顔で睨まれた後で俺たちに絡むほどやつらも命知らずではないだろう。
「織斑、お前なんか失礼なことを考えてないか?」
「うはあああい!?」
織斑先生に声をかけられて俺の心臓が縮み上がった。あの説教の後だったので無理もない。学生の読者諸君も、何もしてないのに怖い先生が傍にいたら緊張するだろ?あれと同じだ。
「全く、声をかけただけだというのに何をそんなに驚いているんだ。そんなに私が怖いのか?」
「ん?」
あれ?心なしか織斑先生が拗ねているような気がする、、気のせいか?気のせいだな。あんな鬼教官がツンデレなはずが、、いや原作ではツンデレだったような気がする。、、どっちだ?
「まあいい。織斑。」
「は、、はい!」
「よくあんな馬鹿者たちからセシリア・オルコットたちを守った。よくやったな。愚弟ながらやるときにはやるじゃないか。」
「る?」
なんと、あの鬼教官からお褒めの言葉を頂いた件について。いや、あの時は自分でも何であんな勇気が出たのか分からない。多分ガイちゃんが何かしてくれたんだと思うけど。
「織斑。お前は人に褒められたのに例の一つも言えんのか?」
「あ、、ありがとうございます!」
「それでいい。」
満足そうに頷いた織斑先生は箒たちのほうへと向き直った。
「篠ノ之、オルコット、凰。」
「「「は、はい!」」」
「あいつらの不躾な行動はこちらでも把握していたが、まさか学校行事で問題を起こすとは思わなかった。こちらの判断ミスだ。すまない。」
そう言うと織斑先生は軽く頭を下げた。箒たちはぽかんと口を開けている。普段の織斑先生を知っている身としては信じられないんだろうな。この人数日前、3年の不良数人を30秒で鎮圧していたし。
「そ、そんなに頭を下げないでください!織斑先生には助けてもらいましたし、悪く思っていないです!」
「む、私はそんなに深々と頭を下げたつもりはないが、、まあ気分を害してなければいい。」
三人娘を代表して箒が慌てた様子で手を振ると、織斑先生は下げていた頭を元に戻した。
「篠ノ之。これからどうする?もしあいつらの事で不安なら教員をつけるが。」
「いえ、織斑先生に説教されたんです。あいつらも大人しくなるでしょう。私たちも気心の知れた仲間とのんびり過ごしたいですし、それに、、。」
ん?どうしたんだ箒、俺の方を見て。
「もし何かあっても、一夏が守ってくれますから///」
そう言うと箒は顔に手を当て、頬を赤くして笑顔を浮かべた。わかったよ、箒。そこまで言われちゃ俺も男を見せるしかないよな。さっき男子たちの前に立ちふさがった事を考えるとひゅんとするけど!
「そうか、、織斑。」
「は、はい!」
「良い彼女じゃないか。守ってやれよ。」
「、、、はい!」
織斑先生の激励に俺は力強く返事をした。それを聞いて織斑先生は何故か寂しそうな笑顔を浮かべた。
「篠ノ之。」
「、はい。」
「織斑を頼むぞ。後先考えずに行動するやつだから苦労するだろうがな。」
「はい!」
満面の笑みを浮かべる箒。俺の幼馴染の笑顔で俺は顔を焼かれそうだ。
「私は見回りに行ってくる。あの馬鹿者共のように問題行動をおこすやつが現れんともかぎらんしな。」
そう言うと織斑先生は踵を返し、去っていった。色々と聞きたいことがあったんだけど仕方ない。あの人にも仕事があるもんな。
「皆様。大分時間をとられてしまいましたし、そろそろ昼食の時間にしなければ。」
「そうだなチェルシーさん!みんな適当なところ見つめてランチマット敷こうぜ!」
そう言いながら箒たちのほうへ振り向くと様子がおかしい。いや、箒は普通だったのだが、セシリア・オルコットさんと凰鈴音の様子がおかしかった。なんといえばいいか、何故か二人共頬を赤くして熱っぽい視線を送っていたのだ。俺何かした?
「どうしたんだ二人共、そんな恋する乙女のような顔をして。」
「ひぅ///一夏さんっ、少し離れててくださいまし///」
「そ、そうよ///今はちょっと恥ずかしい///」
俺が声を掛けるとさらに顔を赤くして手で隠す二人。どうしたんだマジで?
「なあ箒、俺何かした?」
「一夏、、お前本気で言っているのか?」
おい箒、俺はただ疑問に思ったことを質問しただけだぞ、そんなにドン引いた顔をしなくてもいいだろう、、。ってチェルシー・ブランケットさんあなたまで!?
「あの、箒様。少々よろしいでしょうか?」
「要件は大体分かる。構わない。」
ちょっと待っててくれと一言言い、箒はチェルシー・ブランケットさんと少し離れたところに移動した。そこで二人で顔を近づける。、、キスじゃないよな?
「、、むらさ、、いつから、、かん、、なのですか?」
「わか、、なくと、、、、、、なかんじだっ、、。」
距離があるせいか二人の会話がよく聞き取れない。もしかしたら俺の悪口かもしれない。思わず足がガクブルさせてしまう。気を抜いたら「ふぇぇ」と言ってしまいそうだ。あ、ヤバい、前世の遠足を思い出して吐き気が、。
「待たせたな一夏、、どうしたんだそんなに顔色を悪くして。」
「色々とあって疲れたのではないでしょうか?ここで横になります?」
「いや、大丈夫です。過去が襲い掛かってきただけですから、、。」
「そうですか、あまり無理をしないでくださいね。お嬢様、鈴音様、ちょっと。」
二人の傍に寄ったチェルシー・ブランケットさんは耳元に何やらゴニョニョと呟いた。すると途端にセシリア・オルコットさんたちの顔がボッと赤くなった。
「な、なに言ってるのよアンタ!」
「そうですわ!こういうのはもっと段階を踏んでから、、。」
「ですが二人共、このままでは箒様の独り勝ちですよ。本懐を遂げたいなら時には大胆になりませんと。」
「そ、それはそうだけど、、。」
いまいち会話の流れが分からない。箒の独り勝ちだとか言ってたけど、何の話だ?
「なあ箒。お前なにかセシリアさんたちと勝負でもしてるのか?」
「、、まあしてるようなものだがな、これは私からいうことではないだろう。」
「なんでだよ箒。気になるだろ。」
「自分で考えろということだ。いい加減腹が減った。さっさと風呂敷を広げる場所を探すぞ。」
「あ、おい待てよ箒!」
何やら怒っているような箒を追いかけて、俺は駆けだした。
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