昼食を食べた俺たちは、優雅にティータイムとしゃれこんでいた。下手なラブコメよりも甘いサンドイッチが心に残ってしまった昼食を食べた後、チェルシー・ブランケットさんが紅茶やティーフーズを用意してくれて、あっという間にお茶の舞台が出来上がったのだ。あ、ティーフーズというのはティータイムに出てくる三段重ねのアレに乗っているスコーンやサンドイッチなどの軽食のことだ。三段重ねのアレの名称は俺にも分からない。
「こちらの名称は、ケーキスタンド、またはアフターヌーンティースタンドというのですよ。三段重ねのアレではなくて。」
チェルシー・ブランケットさんがナチュラルに俺の思考を読んできただと!?これがメイドパワー(?)だというのか?
「一夏様はアフタヌーンティーのマナーは分かりますか?」
「すみません、何分そちら方面には疎くて、、。」
「ではわたくしが手取り足取り教えて差し上げますわ!」
いきなり立ち上がりそう高らかに宣言するセシリア・オルコットさん。危ね、危うく三段重ねのア、、ケーキスタンドが倒れるところだった。チェルシー・ブランケットさんは軽くため息をついていた。苦労してそうだ。
「一夏さん、アフタヌーンティースタンドの食事は下から上への順に、「セイヴォリー」、「スコーン」、「ペイストリー」の順番でいただくのがマナーでしてよ。」
「な、なるほど、、。」
「それで、カップはソーサーと一緒に胸の高さまで運んで、、」
セシリア・オルコットさんがつらつらとマナーを語っていく。流石英国令嬢、マナーについても完璧だ。外で真っ裸になっていたけど。
「う~~、一人だけ一夏と仲良くしちゃって~。」
「私にも紅茶のマナーの覚えがあれば、、。」
幼馴染ズが悔しそうに歯ぎしりしている。まあ、侍娘と中華娘だからな。英国のティータイムには縁がなかったのだろう。
「一夏さん!聞いていますか!?」
「あ、ああ。すまない。」
おっと、二人のほうを見ていたら英国お嬢様からお りを受けてしまった。素直に耳を傾けることにしよう。
「一夏様。申し訳ありませんが今はお嬢様の自慢話に耳を傾けていただければ。」
「チェルシー!申し訳ありませんとはどういうことですの!?後自慢話ではありませんわ!?」
この2人、たまにコントしているけど、何というかお互いに信頼が感じられるんだよな。見てて微笑ましくなる。
「一夏さん、その生暖かい目はなんですの!?」
うん、本当に心地いいな。
そうやってしばらく紅茶をしばいていた俺達だったが、紅茶を飲んでいると違和感を感じた。
「「、、、、、」」
先程俺に英国のお茶知識を披露してくれた英国令嬢とセカンド幼馴染、二人の視線を感じるのだ。気になって時折二人のほうを見るのだが、その度に顔を真っ赤にしてそっぽを向くのだった。
「なあ、箒、、。」
「一夏、私からは何も言うことはない。」
ばっさりと言うファースト幼馴染。何故か遠足が始まってから若干箒が冷たい。何度も肌を重ねあった中なんだし、知ってることがあるなら教えてくれてもいいのに。
「一夏様。この件は自分でお気づきになったほうがいいかと。」
なんとあのチェルシー・ブランケットさんからもダメ出しを食らってしまった。まさか、逆モテ期か?俺に逆モテ期が来たのか?
「チェルシーさん。自分で気づきたいのは山々ですけど、そう簡単にいかないんですよ。何分女子のこととなるとさっぱりなんで。」
「はぁ、、これは重症ですね、、。一夏様、箒様、失礼いたします。」
腰を上げて、二人のほうへと向かうチェルシー・ブランケットさん。
(なんだ、なんとかしてくれるなら最初からやってくれればいいのに。)
俺がそう思っているとチェルシー・ブランケットさんは2人に耳打ちをした。それを聞くと彼女たちは顔を赤くしながら覚悟を決めたような顔でこくりとうなずいた。、、え、何の覚悟?
「い、一夏、ちょっと話があるんだけど。」
「お、おう。」
話と聞いたので、少し反応が遅れてしまう。そんなに緊張した声でどうしたんだろうか?は!!まさか、昼ドラとかである、「実家に帰らせていただきます。」というやつか!?いや、二人とはただの友達だからたぶん違うと思うけど。
「一夏、あんた変なことを考えているでしょ。」
「そ、そんなことないさー(棒)」
「はぁ、、いいから真面目に聞きなさい。これ大事な話だから。」
セカンド幼馴染からもお小言をもらってしまった。やはり逆モテ期なのか、、?そんなことを考えていると凰鈴音からにらまれてしまったので、慌てて真面目な顔つきにする。
「い、一夏さん。」
「は、はい。」
真剣な目でまっすぐ見つめられたので、無意識に敬語になってしまう。彼女がリアルのお貴族様というのもあるだろう。なにか逆らえないオーラを感じた。
「わたくしたち、セシリア・オルコットと凰鈴音は、、織斑一夏を愛しています!!」
「お、おう、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、る?」
え、、?今なんて?、、よし、一旦落ち着こう。もう一回彼女の言葉を頭の中で再生するんだ。わたくしたち、セシリア・オルコットと凰鈴音は織斑一夏をITしています。うん、わけがわからないよ。
「ちょっとセシリア!?なんであたしまで一緒くたになって告白しているのよ!?まずは一人ずつ告白するって約束だったじゃない!?」
「も、申し訳ありませんわ鈴さん。緊張のあまり、自然と口から出てしまいましたのよ。ほ、本当でしてよ。」
「これじゃああたしがおまけみたいじゃない!あ~もう、ちゃんとあたしの口から告白したかったのに~!!」
しかもセシリア・オルコットさんだけでなくセカンド幼馴染まで自分のことが好きみたいだった件。え?そんなことある?二人共、今までそんなそぶり見せなかったじゃん。
「一夏、あんた見当違いなこと考えているでしょ!」
「は!?」
凰鈴音にびしっと指を突き刺され、そんなことを言われた。俺がいつ見当違いなことなんて考えたよ?
「一夏、、二人は前からお前に好意を抱いていたぞ。前にそう言っただろう、、。」
マジで?いや確かに箒と始めてセッッした日にそんなこと言われたような気がしたけど、まさか本当に好意を寄せられていたなんて思いもしないだろう?俺だぞ?前世でクラスメイト達から「一生童貞だろうランキング」一位にされたんだぞ?
「そうなのか?セシリアさん。凰鈴音。」
そう聞くと、二人は顔を真っ赤にしながらうなづいた。
「マジか、、それにしたってなんで俺なんか、、。」
「そうですわね、、気になりだしたきっかけは始めてあった時、あなたの瞳を見たときでしたわ。」
「瞳?」
「ええ、あなたの瞳を見たとき、あなたがわたくしの理想の男性だと感じましたの。強い意志を宿した瞳を持った方の。」
「つ、強い意志?」
俺の目のどこにそんな強い意志があるのだろうか。さっきあいつらの前に立ちふさがった時も危うく足がガクブルしそうになったのに。
「それからわたくしはあなたのことがもっと知りたくなって、あなたに近づいたのですわ。そしてあなたの優しさや誠実さにだんだんと惹かれていって、先程下賤な輩からあなたが体を張って守ってくれたのをきっかけに、自分の恋心が抑えられなくなったのですわ。」
「そ、そうなのか、、。」
思いのほかセシリア・オルコットさんの思いが大きかった。多分俺の場合は始めて出来た友達だったから嫌われたくなくて過度に優しくしてたんだと思うけど。
「わ、私は、小学生のころ、名前でいじめられた時に、一夏だけが助けてくれて、、それであたしはあんたの特別になりたいと思ったの、。さっき、一夏があいつらから守ってくれて本当に嬉しかった、!」
「そんなことが、、。」
どうやらセカンド幼馴染は原作と同じ流れで織斑一夏を好きになったらしいな。俺としては複雑な気持ちだ。幼い彼女を救ったのは、織斑一夏であって俺ではないから。
「一夏さん、どうか、わたくしたちと共に人生を歩んでくださいますでしょうか?」
「へ、返事は「はい」か「イエス」しか認めないわよ!あたしたちの初恋を奪ったんだから責任を取りなさい!」
ずずずいっと迫る二人の純情美少女。、、、俺の答えは最初から決まっていた。
「ごめん、二人共、、。」
「え、、?」
「一夏さん、、?」
「俺が幸せにしたいのは箒なんだ。だから二人の気持ちには答えられない。本当にごめん。」
もし先にどちらかが告白していたら、きっと俺は手を取っていただろう。だが、こんな誰からも愛されなかった俺を箒は受け入れてくれた。もしここで二人の手を取れば、彼女を裏切ることになってしまう。それだけは死んでも嫌だった。
「「ううっ、、、。」」
二人は途端に泣きそうな顔になるが、俺にだって譲れないものがある。胸が張り裂けそうな痛みに襲われるが、首を縦に振るわけにはいかなかった。
、、ああ、女の子を振るのってこんなにも辛いものなんだな、、。
「一夏、二人の気持ちに答えてやれ。」
「え?」
いきなりそんなことを言われたら反論したくなるが、よりにもよって俺の最愛のファースト幼馴染の口からそんなセリフが飛び出て、俺は一瞬自分の耳が信じられなかった。
「何言っているんだよ!?箒がいるのに浮気なんてできるわけないだろ!?」
「はあ、、一夏、浮気なんて考えは大昔の考えだぞ?今は一夫多妻制が当たり前ではないか。」
「いや、、それはそうだけど、、。」
確かに前にそんなことを言われたけれども、前世の記憶がある俺には一夫多妻制という概念がいまいちピンと来ないのだ。いや、異世界ラノベだったらテンプレだけど、当事者になってみると、、な?
「もしかして、複数の恋人を持つことに自信がないからためらっているのか?」
「、、、はい。」
「はあ、、セシリアは英国令嬢という立場もありながら、一般市民のお前の恋人になりたいと覚悟を決めて告白してきたんだぞ、。受け止めてやれ。」
「ちょっと箒!あたしが抜けているんだけど?」
「お前は一夏に恋人が10人も100人もいようとアタックするだろ。」
「あんた、あたしを何だと思っているのよ!否定できないけど!」
そうか、結構キャラが濃いから失念していたが、セシリア・オルコットさんは名家の令嬢。結婚相手なんて満足に選べないだろう。それも顧みず俺に告白してくれたんだ。相当な覚悟が必要だったはずだ。それに気づけないなんて馬鹿者だ、俺。
「一夏様。お嬢様はたとえ、どんなに奥様たちから反対されようが必ずあなたの恋人になってみせると常日頃から言われておりました。鈴様もきっとあなたを思う気持ちは一緒のはずです。どうか、二人を受け入れてください、お願いします、、!」
そう言って深々と頭を下げるチェルシー・ブランケットさん。、、そうか、二人共そこまで俺のことを、。
「そろそろ、私たちの関係もはっきりさせなければな、、。」
「箒、、?」
「一夏、改めて言わせてくれ。私、篠ノ之箒は織斑一夏を愛している。どうかセシリア達も含めて、結婚を前提に付き合ってほしい。」
彼女の力強い言葉に俺の心臓の鼓動が早くなる。
「、、箒はそれでいいのか?」
「本当は私だってお前を独占したかったがな、、抜け駆けした負い目もある。強くは言えない。」
「箒、、。」
「それに同じ男を好きになった仲だ、、セシリアたちとならこれから先も上手くやっていけるだろう。」
自分の欲求よりも友情を優先したのか。俺の目には箒がかっこよく見えた。ああ、流石はメインヒロインだ。
「2人はいいのか?ハーレム状態になってしまうけど。」
「大丈夫ですわ。わたくしの心をこんなにも動かすのはあなただけですのよ?」
「あたしも同じよ。もうあたしはあんたしか考えられないの、、お願い、いちか、、。」
二人の潤んだ目を見て、俺も覚悟が決まった。正直、ハーレム主人公なんて柄じゃないが精一杯勤め上げようじゃないか。こんなに一途な彼女たちを幸せにできるのなら。
「箒、セシリア、鈴。」
「あ、ああ。」
「は、はい。」
「う、うん。」
「俺は、三人を愛している。どうか付き合ってほしい。」
「、、はい!!」
この時の三人の涙を浮かべながらの満面の笑みを俺は生涯忘れることはないだろう。
執筆していて思ったのですが、恋愛シーンを上手く書けている気がしないんですよね、、。ちゃんと読者の皆さんをときめかせているか不安です、。
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作者の好きでいいと思う。