大変お待たせいたしました。投稿です。
「さあ、ラウラ君。何か申し開きがあるかね?」
放課後、学校の近くにあるカフェの店内。俺は国民的ロボット(ロボットではない)アニメの某司令官のポーズでラウラ・ボーデヴィッヒさんに鋭い視線を向ける。ラウラ・ボーデヴィッヒさんは目を泳がせながらアイスコーヒーに入っているストローをかき混ぜていた。隣でシャルロット・デュノアさんが苦笑している。箒たち恋人ズも俺の隣で真剣な表情をしている。ちなみに三人ともきちんと服を着ている。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ。お前が悪い奴ではないのは身体の付き合いで分かったが、なぜいきなり一夏にあられのない格好で迫った?告白にしてはやや過激ではないのか?」
俺の隣で腕を組みながら箒が鋭い目つきで問いただす。セシリアと鈴も剣吞な顔つきでラウラ・ボーデヴィッヒさんに視線を向けていた。彼女が段々と小さくなる。まるでダメージを受けた某配管工のおっさんのように。現役の軍人なのにプレッシャーに弱い。
ていうかあの告白ってこの世界でも過激な方なのか。それを聞いて何となく納得が行った。箒だってやってなかったものな。
「あはは、恋人を誘惑されて気が立っているのは分かるけど、先ずは話だけでも聞いてもらえないかな?」
「、、、話だけだぞ?」
「ありがとう。ほら、ラウラ。」
シャルロット・デュノアさんがラウラ・ボーデヴィッヒさんに顔を向けて促すと彼女は若干頬を赤くしながら目線を反対方向に向ける。
「ど、どうしても言わなきゃダメなのか、、?」
「もう。織斑くんに恋人がいるのは事前情報で分かっていたでしょ?こうなることは予想出来たじゃん。」
「だ、だがここには織斑一夏もいるのだぞ!?さ、流石に恥ずかしいというか、、。」
「そんな弱気になって。いつものドイツビールみたいにホットなラウラはどうしちゃったの?」
「それは、、隊長としての責務を全うしている時で、、。」
「いつまでもナヨナヨしてると篠ノ之さん達に織斑くんを独占されちゃうかもよ?」
「そ、それは駄目だ!!」
いきなり立ち上がって大声を上げるラウラ・ボーデヴィッヒさんに俺や恋人ズはビクッとなる。店内にいたお客さんや店員の人が驚いた顔でこちらを見ている。や、やべえ、危うく口にしていたコーヒーを吹き出すところだった、、。
「あのー、お客様、、店内での大声はちょっと、、。」
「すみません、友達が迷惑をかけてしまって。」
シャルロット・デュノアさんが店員の人をとりなしている中、ラウラ・ボーデヴィッヒさんは真っ赤な顔で席に座り直し、アイスコーヒーをすすっている。
時折若干潤んだ目で俺をチラチラと俺を見つめてくるが、もしかして俺――詳しくは俺が憑依する前の織斑一夏――を知っているのだろうか?だが、箒たちの反応を見る限り、彼女たちとの面識はないようだが、、。
「いい加減話してくれない?あんたと一夏との関係をはっきりさせておきたいんだけど。」
「わ、分かった!話す!話すから、、。」
鈴の圧に涙目になりながら折れるラウラ・ボーデヴィッヒさん。現役軍人なのにこの尋問への弱さはなんなんだ。
「初恋なんだ、、。」
「る?」
ラウラ・ボーデヴィッヒさんのいきなりの爆弾発言に俺の目が点になる。恋人ズもポカンとした表情になっている。
「、、それ、本当ですの?」
「噓じゃないわよね?」
「ほ、本当だ!!私はドイツにいた時からずっと織斑一夏のことを思っていた!彼にだったら私とシャルの初めてを捧げてもいい!!」
「え!?」
いきなり友達に勝手に自身の純潔を捧げられシャルロット・デュノアさんがぎょっとした顔になる。まあいきなり今日初めてあったやつとそういう関係になれと言われたも同義だからな。無理もないだろう。
「ちょーいちょいちょいちょい。あのねラウラ?私は今日初めて織斑くんと会ったんだよ?いきなり性行為は飛躍しすぎじゃないかな?」
「なんだシャル?お前も織斑一夏の事が好きではないのか?彼の魅力なら一目惚れしても無理もないと思ったが。」
「してないから!!はぁ、、ラウラってホント織斑くんが絡むと暴走するよね、、。」
「なに、気後れすることはないぞ。シャルの魅力なら必ず抱いてくれるはずだ。一緒に織斑一夏を満足させよう!」
「ホントそういう所だよね。」
いきなり始まった2人のコントを俺たちは困惑した表情で見ていた。セシリアが眉を寄せて俺たちの席のすぐそばに立っていたチェルシー・ブランケットさんに顔を向ける。
彼女が望んだ事とはいえ女性を一人だけ立たせて罪悪感が凄い。
「、、どう思いますの?」
「そうですね、、中々いい線はいっていると思います。本職の方(お笑い芸人)には敵いませんが。」
「そっちではないですわ。彼女、、ラウラ・ボーデヴィッヒさんの言葉が本当かどうか気になるのですわ。」
「なるほど。」
チェルシー・ブランケットさんはシャルロット・デュノアさんと体位について口論しているラウラ・ボーデヴィッヒさんをじっと見つめる。
「、、、どうやら噓はついていないようですね。彼女の言ったことは本当のようです。」
「凄いですねチェルシーさん、、。他人の心まで分かるんですか。」
「チェルシーは何故か昔からこういうのが得意なんですの。私も幼い頃から噓を暴かれた事が何回もありましたわ。」
「いえいえ、大したことではありませんよ?古代大イギリス式読心術にかかれば軽いものです♪」
「そんな頓智来な読心術は存在しませんわよ?」
「だが、妙だな。ラウラ・ボーデヴィッヒは昔から一夏の事を知っていた口ぶりだった。私は幼い頃から一夏と一緒にいるが彼女の事は初めて知ったぞ?」
ああ、やはり箒とラウラ・ボーデヴィッヒさんは初対面だったのか。だとするとラウラ・ボーデヴィッヒさんが俺を知っている説明がつかない。箒たちは首を傾げていたが、俺には確信に近い考えがあった。原作ファンの俺だから知っている繋がりがあるのだ。織斑一夏とラウラ・ボーデヴィッヒを繋ぐ一本の線が。
「、、どうしたらいいと思う?」
「直接聞いてみるしかないんじゃない?一夏の頼みだったらなんでも聞きそうでしょ、こいつ。」
身も蓋もない鈴に促され、俺は目の前で言い争っている二人に向き合う。
「あー、ボーデヴィッヒさん、ちょっといいか?」
「なんだ!?告白か!?」
「織斑くん!!僕はそんなアブノーマルなプレイはしないからね!?」
「あ、わかってます。」
テンパっているシャルロット・デュノアさんを俺はどうどうと鎮める。
「あのー、お客様、、。」
「ホントすいません、店員さん、、。」
シャルロット・デュノアさんがペコペコと頭を下げる横でラウラ・ボーデヴィッヒさんがキラキラとした顔で俺を見つめる。まるで誕生日プレゼントをもらう子供のようだ。俺はもらった事はないが。
「ボーデヴィッヒさん。君は昔から俺のことを知ってたんだよな?」
「そうだ。し、将来の嫁としてな。」
「けど俺はボーデヴィッヒさんと今日初めて会ったんだ。どうして俺のことを知っていたんだ?」
もしラウラ・ボーデヴィッヒさんが一度も会っていない俺のことを知っていたんだったら、おそらくそれは、、。
「教官にずっと織斑一夏の話を聞いていたんだ。」
「教官?」
「ああ、織斑千冬教官だ。」
まあ、そうだろうな。
「え、ちょっと待って。あんた、千冬さんの事を知っていたの!?」
「知ってるも何も教官は私の恩師だ。教官には本当にお世話になった、、。」
聞くところによると、おおむね俺の原作知識通りの経緯だった。ラウラ・ボーデヴィッヒさんは幼い頃から軍人の訓練を受けており、最高レベルの実績を出していた。そんな時とある事故が原因でトップの座から滑り落ちた彼女は『出来損ない』の烙印を押された。、、多分その事故っていうのは「ヴォーダン・オージェ」の事だろう。眼帯付けているしな。話さなかったのは普通に機密情報だからだと思う。推測だけど。
「出来損ないになり果てた私を待っていたのは、部隊員からの嘲笑と侮蔑だった。屈辱だった。世界が一変するとはこういう事をいうのだろうな、、。」
「ちょっとそれ酷くない?あんたは何も悪くないのに寄ってたかって出来損ない扱いなんて!」
「まあ私もそこまで愛想がいいわけではなかった。敵も多かったな。出来損ないの烙印を押された私は格好の的だっただろう、。」
「ラウラ、、。」
シャルロット・デュノアさんの顔が曇る。まあ、初登場時のラウラ・ボーデヴィッヒさんはそれはもう冷蔵庫並に冷たかったもんな、、。まあそこもひっくるめて推すのがファンというものです。
「そんな最底辺の私を救ってくれたのが、教官、、織斑千冬さんだった。彼女は荒れていた私を見捨てずに向き合ってくれた。あの人の指導で私は再びトップの座に返り咲いたんだ。」
「え、待ってくださいまし!?あの方ドイツ軍で教官をやられていたんですの!?」
「だからそう言っているだろう。聞いてなかったのか?」
まあ、自分たちの担任が軍の教官をやってたなんてにわかに信じられないだろうな。俺は原作知識があったからすんなりと受け入れられたんだけど。
「あの人とはたくさん話をした。教官は後ろを子供のようについていく私を嫌な顔をせずにかまってくれてな、、。その時に織斑一夏の話を聞いたんだ。」
そう言えば原作でも織斑千冬先生は織斑一夏の事をラウラ・ボーデヴィッヒさんに話していたっけ。そこから彼女が恋心を抱くきっかけになったんだったな、、合っているだろうか?
「織斑一夏の話はそれはとても面白くてな。人生の中であれほど笑ったことがなかった。」
「、、なあ箒。子供のころの俺はどんな風だったんだ?」
「、、、。」
「そっぽを向くなよ!?」
「話を聞くたびに織斑一夏の事が気になった。一目でいいから会いたい、二人きりで話をしてみたい、自分の名前を呼んでほしい、、次第にいつも彼の事を考えるようになった。その時自覚したよ。これが恋心というものだとな。」
「、、なあ箒。話を聞いただけで恋に落ちる人っているもんなのか?」
「実際目の前にいるだろう。」
目の前のラウラ・ボーデヴィッヒさんは頬に手を当てていやんいやんと体をくねらせていた。確かにこれは恋する乙女だわ。
「教官が任期を終えて帰国してもずっと彼女と織斑一夏の事が頭から離れなくてな、、数年間でもいいから2人のいる日本で過ごしたいと思い、軍に留学の申請をしたんだ。軍も「子供は学校に通うべきだろう」ということで難なく許可が下りたんだ。」
「なんかドイツ軍が冷たいのか優しいのかよくわからなくなってきたわね。」
「僕もそう思う。」
まあオタクと恋愛脳ズを抱えている軍隊だからな。さぞかし愉快なんだろう。
「それで一夏!返事はどうなんだ!?婚約してくれるよな!?金の事なら心配いらないぞ、ドイツ軍での棒給があるからな。養ってやれるぞ!」
「、、、一夏の婚約者に英国有数の資産家の令嬢がいるんだけど?」
「ああっラウラがマメキノコを取ったマ○オみたいに小さく!!」
まあ、セシリアの家は何個もの会社を経営しているガチの大金持ちだからな。それは分が悪いだろう。
「あー、、ボーデヴィッヒさん?」
「ひゃい、、。」
ラウラ・ボーデヴィッヒさんが突っ伏していた顔を上げる。涙目だった。これは重症(?)だな。
「俺は(この世界の)ボーデヴィッヒさんの事をほとんど知らない。だからいきなり婚約と言われても難しいと思う。」
「そ、そんな、、。」
「ああ、そんな泣きそうな顔をしないでくれ。だからな、まずは友達から初めてみるというのはどうかな?」
「え、、?」
ラウラ・ボーデヴィッヒさんが涙でぬれた顔をキョトンとさせる。
「お互い今日初めて会ったわけだろう?だからまずはお互いに話をしたり、一緒に何かをしてみたり、、そうやってお互いのことをよく知ってから婚約云々のことを考えてもいいと思うんだ。、、だから、、その、俺と友達にならないか?」
「友達、、。」
ラウラ・ボーデヴィッヒさんは目をパチクリとさせていたが、やがて段々と笑顔になった。
「なる、、。ぜひならせてくれ。お前の友達に!!」
「ああ!これからよろしくな、ラウラ!」
「ああ、こちらこそよろしく頼む!一夏!」
俺たちは笑顔で握手する。うん、やっぱり女の子には笑顔が似合うな。
「、、うん。やっぱり君にならラウラを任せられそうだね。」
「いや、まだ婚約するとは決まったわけじゃないぞ?」
「ちゃんとそう思えるところがいいんだよ。ねえ、僕も一夏って呼んでいい?僕のことはシャルって呼んでよ。」
「いいのか?」
「うん、君は信頼できるからね♪」
「ありがとな!シャル!(ニカッ)」
「っっ!!」
嬉しくて笑いかけると、何故かそっぽを向くシャル。あれ、、もしかしてキモかった?
「ばーか。(怒り)」
そしてセカンド幼馴染から罵倒を貰ってしまった。チ、チガウヨ、、ソンナツモリジャナカッタンダヨ、、。
「お前たちも済まなかったな、。恋人になろうとするあまり先走ってしまい、迷惑をかけてしまった。浅慮だったな、、。」
「ま、別にいいわよそれぐらい。それにしてもあんたそこまで一夏の恋人になりたかったのね。」
「ああ当然だ!嫁と結婚したら教官がお姉様になるなんて最高だろう!?」
「あんたもしかしてそれが目的なんじゃないの!?」
そんな風にわいわいとしながら俺たちは喫茶店で親睦を深めたのだった。
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