お待たせしました。投稿です。
「セシリアのバカッ!!もう知らない!!」
振り抜いた手を下ろして、鈴が涙目で走り去っていく。あっという間に見えなくなった。
残されたのはポカンとした顔で赤くなった頬を押さえているセシリア、呆然としている俺とチェルシー・ブランケットさん、オロオロとしているヒロインズ。ーーーーーどうするよコレ?
「、、、。」
夜、自宅の部屋で俺は俯いていた。アレからもうお通夜状態だったもんな、、。どうすれば良かったんだろうな、、。
事の始まり、、、というかなんでこうなったかと言うと、今日は恋人達とのデートの日だったのだが、セシリアと鈴が些細な事で言い争いをしていたんだ。俺やチェルシー・ブランケットさん、他のヒロインズの静止も聞かずに争いはヒートアップ。しまいには鈴がセシリアに手を上げてしまったという事だ。
とにかく落ち着かなくて、手に持ったスマホのチャットアプリを開く。
「既読なしか、、、。」
あれから結構経つが、未だに鈴は返事をくれない。鈴もショックなのだろうか、、、なんだかんだで仲の良いセシリアを傷つけてしまったもんな。今はそっとしておいた方がいいかもしれない。
「一夏、ちょっといいか?」
「箒か。大丈夫だ。」
部屋に赤いパジャマ姿の箒が部屋に入ってきた。風呂上がりなのか、体から湯気が立っていた。いつもの俺だったら、「お風呂上がりたての箒だ!ウッヒョヒョーイ!!」と(心の中で)叫ぶところだが、あんな事があったので叫ぶ気になれなかった。お前きしょすぎるだろという意見は元々求められていない。
「隣、、いいか?」
「おう。」
箒が俺の隣にぽすんと座る。、、、女の子のいい香りがヤバい。思わず心の中で叫ぶ所だった。
「鈴とセシリアの事を考えているだろ?」
「気づいていたのか、、。」
「それぐらい分かる。お前は優しいからな。」
う、ブレイクハートな俺に幼馴染の笑顔は凄く効く、、ホントにいい嫁を持ったよ俺は。まだ嫁じゃないけど。
「二人とも大丈夫だよな、、?」
「まだ何とも言えないな。二人とも我が強いから、、。」
「そうだな、、。」
英国貴族と勝ち気な少女、何も起きないはずはなく、、、って、ふざけている場合じゃないな。
「二人からは何か連絡はないのか?」
「いや何も、、、気持ちの整理が出来ていないんだろうな。」
「そもそもあの二人はなんで喧嘩したんだ?気がついたら言い合いをしていたんだが、、。」
「うーん、、あの二人は原作でもケンカ友達だったもんな。ホントに些細な事なのかもしれん。」
「原作、、?」
「おおっと何でもない。」
思わず禁足事項が出てしまったが、とりあえず何とかしないと。このまま俺たちの前からどちらかがフィードバックなんて嫌すぎる。
「とりあえず一夏が話を聞いてみたらどうだ?あの二人ならきっと聞いてくれるだろう。」
「いや、恋心を利用するのはちょっと。」
その時、スマホが「ピロン」と音を立てた。ん?誰からかチャットが来ている、、セシリアか鈴か?
「え?」
「どうした一夏?」
画面に表示されていた名前はーーーー意外な人物だった。
「はぁ、、、。」
自室の天蓋付きの豪華なベットに仰向けに寝転がりながら、セシリアはため息をついていた。もし本当にため息をつくと幸せが逃げていくというなら、彼女の幸せはもうガス欠だろう。
自分はどうすれば良かったのだろう。確かに親友ーーー鈴はキツい事を言ったのだが、それでも自分が冷静になれば収まったはずなのだ。彼女は怒っているんじゃ、、、いや確実に起こっているだろう。このまま疎遠になってしまったらどうしよう。やはり謝るべきだろう。しかし自分は貴族の令嬢、謝り方が分からない、、。頭の中でそんな考えがグルグルと回る。
「う〜〜〜、、、。」
足をジタバタさせるが、そうしても事態は何も解決しない。それは分かってる、、分かってるのだ。
コンコン、、。
「?」
その時自室のドアをノックする音が。思わず顔を向ける。
「お嬢様。チェルシーです。今お時間よろしいでしょうか?」
ドアからは自分の従者にして幼馴染の声が。こんな時間にどうしたのだろう。夕食は済ませたはずだ。
「一夏様が来ております。お部屋に通してもよろしいでしょうか?」
「、、、、、へ?」
途端に頭がフリーズする。脳がその言葉を受け取った途端に、ボンッと湯気が出た。
「ち、ちょっと待っててくださいまし!すぐ準備しますわ!」
今の自分の格好はラフな部屋着姿。こんな姿で未来の主人の前に出るわけにはいかない。セシリアは勢いよくベットから起き上がると、慌ててクローゼットの方へと向かったのだった。
「お、お待たせしましたわ一夏さん。」
「悪いな、こんな時間に尋ねて、、何かドタバタと音がしたけど大丈夫か?」
「も、問題ありませんわ。」
俺はあの後、セシリアの自宅へと来ていた。こんな時間に来ても迷惑だろうとは思ったが、チェルシー・ブランケットさんが快く通してくれた。ありがたい。
彼女は白いワイシャツに深い茶色のスカートという大人っぽいコーデを来ていた。部屋の中でもちゃんとした格好をしているんだな。さすがセシリアだ。
「それでは、後は若い二人で。失礼致しますね。」
いやチェルシー・ブランケットさん、それはお見合いの時に聞くセリフだから。てか貴方も若いだろ。
「中入っていいか?」
「大丈夫ですわ!」
許可が取れたので中に入る。凄い豪華な内装だな、、まるで中世みたいだ(小並感)。
「そ、それでどうして来てくださったですの?」
「いや、今日の喧嘩の事でな。話を聞きたくて。」
「やっぱりその事ですわね、、。」
「そもそもどうして喧嘩したんだ?あの時別行動していたから知らないんだ。」
「それがわたくしにもさっぱりですの、、。」
どよーんとした様子で下を向くセシリア。相当落ち込んでいるな、、。
「鈴さんが新しい財布を自慢して来たんですの、、とても嬉しそうに自慢していましたので、話を合わせるつもりでこう言ったんですの。」
ーーーそうなんですのね!わたくしの財布はイギリスの老舗メーカーの財布ですわ。限定品ですのよ。ーーーーー
「と言ったら急に機嫌を悪くして、、、。」
「oh、、、。」
俺は思わず天を仰ぐ。そんな事言ったのか、、、多分美少女じゃなかったらバッシング受けているやつだ。どうしよう、、これは何て言ったらいいだろうか、、頭の中のCPUをフル回転して、必死に言葉を組み立てる。
「、、?どうしたんですの?」
「、、、そうだな、、セシリア、上手く言えないんだけど、友達が物を自慢している時に自慢し返すのは良くないと思うぞ。」
「?」
コテンと首を傾げるセシリア。あ、多分分かっていないやつだ。
「ええと、、、そうだなセシリア、少し想像してほしいんだけど、セシリアはイギリス、、祖国に誇りを持っているよな?自慢できる事が何個もあるはずだ。」
「当然ですわ!何しろ伝統がありますもの!」
「そこにハミルトンさんが「へぇそうなんだ。けど私の祖国のアメリカは世界で一番の国だけど?」と言ったらどう思う?」
「不愉快ですわ!まるでイギリスを下に見ているようなものですもの!」
「だろ?あんま言いたくないけど、セシリアだって同じような事をしたんだ。」
「あっ、、、。」
今気づいたとばかりにセシリアがハッとする。そう、せっかく持ち物を自慢したのに、「自分の物の方がお前の何倍も上」なんて言われたらそりゃピキッとくるだろう。鈴のような激情家なら尚更だ。
ハミルトンさん、、なんかこんな例えで使ってごめん。原作では結構キャラ好きだったよ。
「け、けど、わたくしはそんなつもりじゃ、、ただ鈴さんに話を合わせようと、、。」
「ああ、大丈夫。分かってる。」
俺は一息ついてセシリアに向き合った。
「言葉って難しいよな、、そんなつもりじゃないのにまるでナイフのように相手を傷つける。」
「、、、わたくしはどうすれば良かったのでしょうか、、。」
「そうだな、、まずは自分の価値観だけじゃなくて、相手の価値観も考えてみるのはどうだ?」
「、、価値観ですの?」
「ああ。目の前の相手はどんな性格か、何が好きなのか、触れられたくない部分は何処なのか、、、色々と考えてみるんだ。」
「わたくしに出来るでしょうか、、。」
「出来るさ。セシリアなら。」
これだけは自信を持って言える。目の前の少女は敵になった大切な幼馴染を命をかけて救った。セシリアにはその強さがある。
「、、、一夏さんはズルいですわね。こんなにも簡単にわたくしを救ってくださるなんて。」
「そんな大層なものじゃないぞ?ただ相談に乗っただけだ。」
「このセシリア・オルコットの相談に乗ったんですのよ?充分に大層な事ですわ!」
そう言って向日葵のような笑顔を浮かべるセシリア。うん、彼女はもう大丈夫だ。
「明日、鈴さんに謝ってみますわ。許してくださるか分かりませんが、、。」
「大丈夫。鈴にはあの人が向かったからな。」
「あの人?」
キョトンとしたセシリアだが、、、その名前を聞くと驚愕の声を上げたのだった。
(何よセシリアったら、、、あんなにギャーギャー騒いで、。)
自室のベットでゴロゴロとしながら鈴は憤る。一夏と読者の皆様の予想通り、鈴はプンスコと怒っていた。
(けど、、、。)
ーーー自分もちょっと言いすぎたとは思う。ちょっとだけ。
「ああもうどうすりゃいいのよ!!」
ベットでバインバインと跳ねていた時だった。
「相変わらずやかましいな。これでは一夏も苦労するだろう。」
その声を聞いた途端、鈴がピタリと止まってベットに落ちた。そしてギギギと振り向くと、そこには自分が最も恐れている人物がいた。
「お、織斑先生、、。」
「何だそんな鬼を見たような顔をして。まだ節分には早いぞ?」
「いや実際鬼、、、何でもないですう!」
千冬のオーラに圧倒された鈴は即座に白旗を振る。とっくに戦意は削がれていた。
「な、なんでここにいるんですか、、。」
「私はお前の担任だ。住所ぐらい知っている。」
「さ、さいですか、、。」
「ーーー何か悩んでいるんだろう?」
その言葉に鈴はビビンっと背筋を伸ばす。千冬は鈴の隣に腰を下ろした。
「さぁ吐け。思う存分吐けばスッキリとするぞ?」
「そんな酔っ払いじゃないんだから、、。」
何か釈然としないながらも鈴はポツリポツリと呟く。千冬はじっと耳を傾けていた。
「なるほど、、ブランケットから聞いた話通りだな。」
「、、、織斑先生、あたしはどうしたら良かったのでしょうか、、。」
「そうだな、、お前に一つ教えてやろう。」
千冬は姿勢を正して、鈴に向き合った。真剣な表情を向ける。
「言葉、、、というものは刃物と同じだ。正しい使い方をすればとても便利だが、間違った使い方をすれば相手を傷つけてしまう。」
「刃物、、、。」
「凰はオルコットに強い言葉を吐いたのだろう?」
「はい、、「何よ!どうせその財布も親のお金で買ったんでしょ!自分で稼いだ金じゃないくせに!」って、、。」
「結構長いな。」
「はい、、。」
流石にそんな言葉を吐けばプライドが高いセシリアはカチンッとくるだろう。流石に加減を知らなかった。
「言葉には良くも悪くも人間を変える力がなる。もし言葉を使う時には相手にどういう影響を与えるかを考える事だな。」
その言葉に鈴は唇を噛み、視線を伏せた。
千冬は強い瞳で鈴をじっと見つめる。
「お前はどうしたい?」
「一夏、、、セシリアと鈴は大丈夫だろうか?」
「しっ、今は見守っておこうぜ。」
昼下がりの公園で、セシリアと鈴がお互い向かい合っていた。その様子を俺達は草むらから見守っている。
「どうしよう、、二人共仲直りできるよね?」
「私が見守っているのだ、、失敗は許さん。」
シャルとラウラも気が気でないようだ。かくゆう俺も心臓がばっくばくだ。
セシリアと鈴はと言うと、、、緊張した様子で見つめ合っていた。
近くで夏休みを満喫して、はしゃぎ合う子供たちの声が聞こえてきた。
先に口を開いたのはーーーーー
「ごめんセシリア!」
「!」
「あたし感情に任せて酷い事言っちゃった!昨日は、、ずっと後悔していた。」
「、、、。」
「あたしには相手の気持ちを考えるなんて難しい事出来ないけど、、これだけは伝えたくて!」
「セシリア、、ホントにごめんなさい!」
涙をボロボロとこぼしながら、精一杯の謝罪をする鈴。セシリアはーーー同じように涙を流していた。
「鈴さん、、わたくしも、、わたくしも悪かったですわ。貴方の気持ち、、、分かろうとしなかった。」
指で涙を拭いながら、セシリアは微笑む。
「鈴さん、、、こんなわたくしですが、まだ友達でいさせてくれるでしょうか。」
「ーーーーーもちろんよ!!」
二人は涙で濡れた顔で笑い合う。ーーーーー青春だな。
「「「わああああ」」」
途端に感極まった様子で箒達が草むらから飛び出す。そのままセシリアと鈴を取り囲んだ。
「ちょ、ちょっと!?」
「箒さん!?シャルさんにラウラさんまで、、いらしてたんですの!?」
「二人共、、信じていたぞ!」
「もう、心配したんだからね!」
「この私をここまでハラハラさせるとはこの馬鹿者共め!」
三人にもみくちゃにされるセシリアと鈴。公園の人達もなんだなんだと注目する。
「全く、、こういうぶつかり合いも10代の特権だな。一夏。」
俺の隣にいた織斑千冬先生が優し気な目で見つめていた。いたんですね貴方。
「今回はお手柄だったな。オルコットを立ち直らせたのだろう?」
「そんな大層な事じゃないよ。ただ話を聞いてあげただけさ。」
「全く、、変わらんなお前は。」
、、、この世界の「織斑一夏」も誰かの傍に寄り添った事があるのだろうか。ふとそう思った。
「ほら、早く行ってやれ。凰が目を回しているぞ?」
「お、おう。」
織斑千冬先生に促されて、俺は騒いでいるヒロインズの方へと向かった。
「セシリア!」
「なんですの?」
「ーーーーーもう"知らない"なんて言わないから!」
真面目な話を書いていると疲れる、、けど、これも私の成長に必要な事だと思います。
12/13:少し手直ししました。
どんなエッチの二次創作を見たいですか?
-
原作キャラ達(この小説と同じ)
-
オリジナルキャラ
-
原作キャラ&オリジナルキャラ
-
作者の好きでいいと思う。