お詫び:8月19日の投稿ですが、リアルでトラブルがあり、執筆時間が取れなかったためお休みさせていただきます。大変申し訳ございません。
シリアスに出来ているだろうか、、。
「一夏、話があると言っていたが、何だろうな?」
「もしかして、最近悩んでいる事でしょうか?」
「きっと話してくれる気になったんだよ!焦らせなくて良かった~。」
「ああ、どんなことでも受け止める所存だ。」
ヒロインズ達は屋上へと向かいながら、思い思いに話し合う。自分の想い人から「話がある」と連絡があったのだ。例えどんな用事があっても予定を作る所存であった。
「あ、あの、、、。」
その時、恐る恐るといった風に声が上がった。最近一夏の恋人になった更識簪だ。
「も、もしかして、もしかしてだけどね、、、。」
簪は恐れるように視線を泳がせた。
「一夏、、私たちに飽きたから、「別れてくれ」っていう相談じゃないよね、、、。」
「ど、どうしよう簪ちゃん!!そんな事を言われたら私、、、生きていけない!!」
妹の言葉に涙目になる楯無。普段の凛々しい彼女を知る一般生徒が見たら、自分の目が信じられないだろう。
メインヒロイン5人はというと、一瞬キョトンとした後にケラケラと笑い出した。
「それはあり得んな。」
「一夏さん、わたくしたちの事大好きですものね。」
「一夏があたしたちの事を裏切るなんてありえないわ!」
「そんなの一夏じゃないよね~。」
「ああ、嫁だからな。」
彼女たちは織斑一夏の事を、魂レベルまで信頼していた。きっと自分たちは命尽きるまで彼の傍にいるだろう。そんな確信があった。
「そうなんだ、、凄く信頼してるんだね、、。」
「わ、私たちもこのステージに上がれるように努力しなきゃ、、!」
更識姉妹は決意を新たにした。
「私、、いえ、私たちは彼に尽くすだけです。織斑一夏様の幸福が私たちの幸福なんですから。」
「チェルシーは一夏さんへの好意を隠さずになってきましたわね。」
「ええ、やっと自分の気持ちに正直になれましたから。」
セシリアは自分の幼馴染の好ましい変化を喜ばしく感じた。周りのヒロインズも暖かい視線を向ける。
「それにしても一夏、どんな話なんだろうね?」
「少し休ませてくれじゃない?その、、、毎日のように搾り取っている訳だし。」
ほとんどのヒロインズは一夏が「別れてほしい」と言うなんて一ミリも考えていなかった。実際話の内容はそれではない。もっとぶっ飛んだ内容ではあるが。
屋上に行くと、真冬と言うのもあり、突き刺さるような寒さだった。上着を持ってきて良かった、とヒロインズの何人かは思った。
屋上の中央には、黒い髪で容姿端麗な少年が一人。ヒロインズたちの想い人、織斑一夏だった。
「悪い、、こんな寒い中呼び出して。」
「何、気にするな。部屋の中は少し暖房が効きすぎていたからな。ちょうど良かった。」
箒は笑顔だった。外の寒さよりも、一夏が自分の悩みを打ち明けてくれる事がとても嬉しかったのだ。
「一夏、はいこれ!」
「え?」
「寒い中にいて身体が冷えたでしょ?あたしの奢りだからありがたく貰いなさいよ!」
自分と同じ一夏の幼馴染で恋人で、一番を争う恋のライバルでもある鈴が缶コーヒーを一夏に手渡した。
その手があったか!と自分の不手際を悔やむ箒。他のヒロインズも同様だ。
「そ、それで一夏。話というのは?」
「、、、、、ああ。」
一夏は真剣な表情でヒロインズに向き合う。彼の顔はーーー何かを決意している顔だった。
「単刀直入に言わせてくれ。」
ヒロインズ達は息を吞む。何か、、、自分たちを根本から覆すような、、今までの関係が壊れてしまうような、、そんな感覚を感じたのだ。
そして、それは現実のものとなる。
「俺はーーーーー転生者なんだ。」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
俺は遂に話した。自分が前世では陰キャだった事、ある日事故にあって死んで女神さまに会いこの世界に転生させてもらったこと、その時に多分だが織斑一夏に憑依したこと、、、包み隠さずに。
俺が話し終わった後、屋上は恐ろしいほど静かだった。風が吹く音だけが、耳に聞こえてくる。
「それは、、、本当なのか?」
箒がかすれ声で問う。その目は揺れ動いていた。
「ああ、、。」
「っ!!」
クラリと倒れかける箒。セシリアが慌てて抱き留めた。
「ごめん、、、!」
自然と口から謝罪の言葉が出た。そのまま腰を90度に曲げる。
「俺、、、ずっと、、ずっと言い出せなかった。箒や鈴、、ラウラの気持ちを利用していた、、、俺、最低だ、、!」
視界が歪む。何泣いているんだよ俺。泣きたいのは、、、箒たちじゃないか。
「ほ、箒、、、。」
シャルが恐る恐る箒の顔を見る。
彼女の顔は、様々な感情が混じり合った表情だった。不安、動揺、混乱、、、正直見てられなかった。
「一夏、、、。」
「、、、、、。」
「少しだけ、、時間が欲しい。頭を冷やしたい、、。」
箒はハイライトが消えた目で俺を見つめると、フラフラと入口へと向かった。後に鈴とラウラが続く。セシリア達は心配そうに俺を見つめたが、続くようにこの場を後にした。
残されたのは俺一人。
「、、、、、。」
十二月の風が、今まで感じたことがないくらい冷たかった。