※この作品はR-18です。

転生インフィニット・ストラトス学園   作:赤い髪の勇者

99 / 104
お待たせしました。投稿です。


第九十六話 想いの果てに

夜。

 

篠ノ之箒は自室のベットに腰掛けて虚空を見つめていた。もうかれこれ数時間はこうしている。

 

因みに今いるのはここ数年ほとんど帰ってなかった自宅の自室だ。いつもは織斑一夏の家に入りっびたしだったが、今日、今だけは自分だけの時間が欲しかった。

 

(一夏、、、。)

 

今箒の身体も心もフワフワだった。気がついたら宙に浮かんで、そのまま飛んでいってしまいそうなぐらいに。

 

お風呂に入って、ご飯を食べて、ベットに腰掛けてもずっと一夏の事を考えてばかりだった。いつものような熱焦がれるような熱い気持ちではない。何かこう、、何と言うのだろうか?箒にはこの感情が言葉では説明できなかった。

 

箒はふぅと、ため息をつく。

 

(このままぼーっとしていても埒が明かないな、、、。)

 

とりあえずリビングに行って、緑茶でも飲んでおこう。あ、あれ?そういえば自宅のお茶の場所ってどこだったっけ?いや、そもそもうちにあったのは緑茶だっただろうか?なんか両親がほうじ茶飲んでいたような気がする、、、。そう頭がグルグルとしていた時だった。

 

コンコン、とドアがノックされる。

 

『箒ちゃん?入るわよ?』

 

「は、はい!大丈夫です!」

 

箒が佇まいを直すと、ドアがゆっくりと開いて、妙齢の女性が入っていた。手には湯呑みが二つ置かれたお盆を持っている。

 

「箒ちゃん大丈夫?最近元気が無いみたいだけど、、大丈夫?」

 

頬に手を当てて心配そうに息をつくのは、雪子さん。箒が小さい頃からお世話になっている叔母さんだ。

 

「い、いえ、大丈夫、、、大丈夫です。」

 

「本当?ここ数日心ここにあらずって感じだったけど、、、何でもいいから話してみない?」

 

「いえそれは、、、ちょっとオカルト的な話なので、、、。」

 

「あら箒ちゃん。納涼の時期はとっくに過ぎてるわよお?」

 

雪子さんはじっと箒を見つめていたが、、やがてふっと微笑んだ。

 

「そんなに気を詰めていても仕方ないわ。少し休憩にしましょう?」

 

箒は差し出された湯呑みに口をつける。口当たりのいい甘さが口いっぱいに広がり、跳ねている心が次第に落ち着いてくる。

 

「これは、、いい茶葉を使ってますね。」

 

「ええ。参拝客さんからの貰い物なのよ。」

 

箒がふうっと息をつく。そしてチラリと雪子さんを見つめる。

 

昔から、この人に怒られたり、叱られたりしなかった。一度たりとも。

 

『だって、悪いことをしたと自覚があるのならそれで充分でしょ?』

 

そんな事を言われるたびに恥ずかしくなる。この人は私の味方なのだと、心から思える。

 

「箒ちゃんならきっといつか話してくれるわね。私、待っているから。」

 

ーーああ、こうやって頬を撫でられると、ざわつく胸が静まっていく。

 

「そうそう。箒ちゃんにお友達が来てるのよ?」

 

「え?」

 

思わず惚けた声を出してしまう。誰だろう、、、もしかして一夏?いや、一夏はまだ恋人でーーって、まだってなんだまだって。

 

「お待たせしているから呼んでくるわね。」

 

パタパタと出ていく雪子さん。ど、どうしよう。まだ心の準備が出来ていないのに。

 

「、、、こんばんは、箒。」

 

「ーー鈴?」

 

栗色のツインテールが眩しい、同じ恋人の仲間が、そこにいた。

 

 

 

 

「、、、悔しいけど美味しいわね。」

 

「そうだろうそうだろう。日本でも有数の茶葉の産地かららしいからな。」

 

「い、言っとくけど、チャイも美味しいからね!」

 

「はは。そうだな。いつか飲みに行ってみたいものだ。」

 

「そうね、、みんなと一緒に、、。」

 

そう言って二人で黙り込む。そんな未来は果たしてくるだろうか。まだ心の準備が出来ていない。

 

「ねぇ、、、。」

 

鈴が遠慮がちに声をかけてくる。

 

「一夏の話、、、本当だと思う?」

 

その言葉にズキリと胸が痛む。だけどーーここでは逃げてはダメだ。

 

「一夏は真面目だからな。こんなトンチキな冗談は言わないだろう。」

 

「そうね、、アイツは昔から、、。」

 

そう言って二人して言葉に詰まる。チラリとお互いを見ると、目が宙を泳いでいた。

 

「ねぇ、、、。」

 

鈴が恐る恐るという風に口を開く。

 

「どうした?」

 

いや、聞かなくとも分かっている。鈴はおそらく

 

「これから一夏とどう向き合うつもり?」

 

「、、、、、。」

 

分からない。こればっかりは。

 

「ずっと、、、好きだったんだ、、、。」

 

ポツリポツリと言葉を紡ぐ。

 

「小学校の頃助けられてからずっと、、、ずっと想い続けてきたんだ。」

 

思い出すのは小学校の頃。周りの男子達から「大女」と揶揄われてきた自分を背に、男子達に立ち向かってくれたあの少年を。だから好きになった。側にいたいと思った。

 

そんな少年を自分から奪った"彼"を、本当は糾弾しなければならないだろう。お前は私から織斑一夏を奪ったのだと。

 

ーーしかし。

 

「なんでだろうな、、、憎いはずなのに、、、アイツを、、嫌いたくない。」

 

今までの思い出が、玉のように溢れ出してくる。一緒にご飯を食べた事、並んで登下校をした事、遠足、体育祭、文化祭と一緒に全力で学校行事を楽しんだ事、、

 

 

 

 

 

そして、いつも隣で笑っていてくれたあの笑顔ーーー

 

 

 

 

 

例え初恋の相手とは違うとも、彼は一緒懸命に私たちを愛してくれた。私たちを、必要としてくれた。

 

そして、、、私も彼に知らず知らずのうちに惹かれていたんだ。

 

「答えは出たみたいね。」

 

鈴はニカっと笑う。それに私はー力強い笑みで返した。

 

「ああ。このままなぁなぁで終わらせる訳にはいかない。アイツにーーー織斑一夏に伝えなければいけない事がある。」

 

「その勢よ!」

 

私たちはコツンと拳をぶつけ合う。もう迷わない。どんな決断になろうとも、、、前に進まなければいけないんだ。

 

「そうと決まれば腹ごしらえよ!ラーメン食べに行きましょ!!」

 

「こんな時間にか!?いや、待て鈴。」

 

箒は恐る恐る鈴を見つめる。

 

「その、、鈴はいいのか?あの一夏は、、、。」

 

「そうね、、、。」

 

鈴は箒に向き合うと、真剣な表情を向ける。

 

「初恋が実る訳じゃないわ。今回のは流石にレアケースだと思うけど、とても悲しい事だってある。だけどーーーその分だけ嬉しい事もやってくるものよ。」

 

そして、笑みを浮かべた。

 

「私もアイツに想いをぶつけてみるわ。あの一夏と同じくらい素敵なアイツに!」

 

「全く、、、敵わないな。」

 

それしか言えなかった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。