「提督どの、お茶のお代わりはいかがですか?」
「貰おうかな。そこに置いてくれ。」
男がそう答えると山汐丸は手に取った急須を傾けた。濃い暗褐色の液体が分厚い湯呑に注がれ、湯気に混じって芳香が立ち上る。
「はい、熱いのでお気をつけて。」
「ありがとう。」
男は熱いままのそれに口をつけ、香りを愉しむように茶を啜る。焙茶の濃厚な香りと甘さが口いっぱいに広がり、心を温かく満たした。
時刻は十三時を回った頃。執務室の机の上には二人分の椀と食器が並んでいたが、既に中身は空になっている。
「ご馳走様。秘書艦が手料理出来る子だと楽が出来ていいね。味も申し分ない。」
「い、いえ。自分はまだ何もできませんから、このぐらいは…」
「…さて。」
男は上着を脱ぎながら立ち上がり、机の向かい側に座っていた山汐丸へと歩み寄る。
「て、提督どの…?」
「立ちなさい。山汐丸。」
先程まで食卓を囲んでいた温かな顔とは異なる男の顔。光のない目でじっと山汐丸を見つめており、彼女はその視線に恐怖を感じていた。
この時点で、彼女は何か粗相をしたわけでもない。男に嫌われているわけでもない。ただ、男の欲望が彼女に向いただけ。気まぐれに向けられたその視線と欲望を見て、恐る恐る立ち上がる。
「………はい。」
冷たくなった背筋に震える足。胸の中では心臓が早く大きく鼓動を刻んでいる。その高鳴りが恐怖によるものなのか慕情によるものなのか、わからないまま男へと向き直った。
「山汐丸…」
男は彼女の名前を呼び、その両手を伸ばした。びくりと震える頬に両手が振れ、互いの体温を交換する。男は頬の感触を確かめるとその手をほんの少し下げ、首へと回す。
「提督っ…どのっ…」
「暴れては駄目だよ。力加減が出来なくなるからね。」
白い肌の下で頸動脈が激しく脈動する。男は流れる血を感じながら優しく力を込めた。彼女の細い首を潰さないように、ただ優しく握りしめる。
「ふっ……はあっ…あ…こ、怖いで…あります…」
山汐丸は男の両腕に首を伸ばした。それは男に対する抵抗ではなく懇願だった。自分の首を絞める両手に絡んで慈悲を乞うている。
「大丈夫。そのままゆっくり体を預けるんだ。腰の力を抜いて、そう…」
「はっ…はっ…はっ…はっ…」
両手にかけられた力はそれほど強くない。現に山汐丸は言葉を発し、息も吸えている。しかし彼女の頭にはぼうっと靄がかかり始め、力が段々と抜けていく。
男が締めたのは首そのものではない、頸動脈だった。左右からぴたりと指を添わせ、優しくそれを閉じる。気道は塞がらないが血管が塞がれ、動脈を通り頭へと登っていくはずの血流が遮断される。
「提督どの…じ、自分は…はっ…はっ…はっ…」
山汐丸は自分の頭にすうっと冷気が入り込むのを感じた。心臓から供給される、温かく酸素をたっぷり含んだ血が入りこまなくなっている。
息が出来ているはずなのに、体が窒息の症状を発している。その恐怖がさらに彼女の呼吸を荒くするが、いくら息を吸っても状況は変わらなかった。
男の両腕に力を込めるがもう遅く、彼女が出せるのはせいぜい自分の体が落ちないようしがみつくだけだった。足に力が入らず、男の手が更に首へと食い込む。
酸欠で青くなった山汐丸の頬を見て男は微笑む。その顔を見て彼女は少し安心したように微笑み返した。何も根拠のないその微笑みの中、青白い血管が浮き出ている。
「はっ…はっ…はっ…はっ…自分は…提督どのになら…何を…されてもっ……ぉ……」
酸欠がもたらすアドレナリンの酔いの中で、山汐丸は男への想いを吐き出した。それと同時に全身の力が抜け、瞳が眠るかのように閉じられる。膝を折り、男の胸へと倒れ込んだ彼女の口からだらりと涎が溢れ、男のシャツを汚していく。
はぁ、はぁ、と山汐丸が無意識の呼吸を男に吹きかける様子を見て、男は笑みを浮かべた。何も言わずに眠りについた彼女を抱え、自分の部屋へと向かう。
地味な色合いのミニスカートの下、純白の絹のパンツはひっそりと濡れている。男がそれに気がつくのは彼女を脱がせてからだった。
「はぁっ…!はぁっ…!はぁっ…!」
誰かが息を荒げているのが聞こえる。とても苦しそうだ。
「っっっっ!あっ!はぁ…!はぁっ…!」
苦しみと開放、窒息と呼吸、それを繰り返している。
「はぁっ……あぁ……はぁ……ぁぁ……」
頭を落ち着かせ、考えに浸っている。目に光が注ぎ込み、頭に酸素が巡り始める。山汐丸はそうして、声や苦痛を発しているのが自分であることに気がついた。
「…っ!提督っ…どのっ…!」
眼の前に、90°傾いた男がいた。実際には山汐丸がベッドに寝かされ、男は横で椅子に座って酒をあおっていただけだったが、彼女はそれに気が付かず体を動かそうとした。
「自分は…がっ!?」
ベッドに投げ出された自分の体を取り戻し、男へ向き直ろうとした、はずだった。しかし彼女が出来たのはベッドを這いずる事だけで、その上直後に自分の首が絞まる。
「でっ…どく…ぉ……」
酸欠の中で必死に状況を確認しようとする山汐丸。だが彼女の体は思うように動かない。わかったのは自分がベッドに寝かされていること、全裸のまま寝ていること、自分が抵抗すればするほど首が締まる事だった。
「ぁっ…!っ………!」
自身の体を上下左右にひねり、首の締まらない動かし方を試す。ブラックアウトしそうになる直前、ようやく首の締まりが弱まった。
「っっっはぁっ!あっ…はぁ…はぁ…ああ…提督…どの…」
落ち着いて息を吸う山汐丸だったが、先程まで気絶し、今も酸欠で思うように頭も体も動かない彼女は何がなんだか解らなかった。全裸になった男の股ぐらで肉棒が滾っている様子から、自分の体に何かされているらしいということだけは理解する。
「て、提督どの、自分は…どうなっているのでありますか…?」
「…ああ、そうだね。それだと自分の姿が見えないか。」
山汐丸の視界から一度消えた男は手鏡を持って戻ってきた。彼女の前で手鏡を揺らすと、山汐丸は自分の置かれた状況をようやく理解した。
ベッドの上に全裸で拘束されたまま寝かされているという山汐丸の予想は当たっていたが、その拘束方法は特殊なものだった。
長い長い山汐丸の三つ編み。それはいつも通り彼女の背中に垂らされてはおらず、自身の首元に巻き付いている。首輪のように一周した三つ編みは、海老反りの状態で固定された彼女の足元へと伸び、同じように細い足首へと絡みつく。
それでも尚、彼女の長髪は持て余されたようで、さらに残りは背中へと伸び、背中に回された彼女の両腕を縛り拘束している。首、足、後ろ手、山汐丸は自身の髪で拘束され、ベッドに放置されている。
「こ、これは…んぐっ!?」
海老反りのまま身動ぎをした山汐丸だったが再び首が締まった。海老反りの体勢で寝かされている彼女だったが、手足は艶やかな黒髪できっちり拘束されており、起きようとして足を伸ばしたり、拘束を解こうと腕を動かそうとすれば、長い三つ編みが引き絞られて首の締まる仕掛けになっている。
「かっ…はっ!はぁ…はぁ…」
山汐丸はシーツの上を這いずり、なんとか自分の体勢を海老反りに戻した。多少は辛い体勢だが、意識して力を込めればなんとか維持出来るものだ。男の前でシャチホコのように奇妙なポーズを保ったまま、体を落ち着かせる。
いつの間にか脱がされた服、施された奇妙な拘束。自身が気絶している間に眼の前の男がそれを行ったのは明白だった。だが、なぜこんな事をしているのか理解が出来ず、男へ問う。
「提督どの…これは…どういう…?」
「ん?」
「これは…どういった趣向なのでしょうか…?」
息を荒げながら真意を問う山汐丸だったが、男は光の無い目で笑顔を返し、あるものを取り出した。
「…それは?」
目を凝らして見ると、それは紐のついたピンク色の球体をしていた。それが何か理解した山汐丸は目を背ける。
「おや、知っているんだな。君のような貞淑な女性には縁がないものだと思っていたが。」
「ち、知識としては…存じています…使ったことはありませんが…」
男はピンク色の物体、ローターを持って彼女の視界から消えた。
「…提督どの?」
首を曲げようにも曲げられない、海老反りにされた彼女の腹の側へ男は移動すると、持っていたローターのスイッチを押し、ぴったりと閉じられた秘所へと当てる。
「っ!」
山汐丸のヴァギナは既に濡れ、太ももを滴り落ちてシーツに染みを作っていた。振動する小さいローターはすぐに濡れた割れ目へと吸い込まれていく。
「やっ…そ…それは…今は…やめてくだ…んっ♡」
男の指がローターを押し込み、膣内へと挿入される。そのまま押し込んだ指を蜜壺の中でかき回し、ローターが更に深い所へと追いやられた。
「ひぃ♡ま、まってください提督どの…今は…ぐっ!」
快感に身を捩る山汐丸だったが、男の指とローターが最奥部まで侵入した瞬間、びくりと大きく身を震わせた。震わせてしまった。下腹部への愛撫で反射的に体を丸めようとした彼女は、足を伸ばした瞬間に絡みついた三つ編みが首へと食い込む。
窒息と快楽の中、必死で体を制御して元の姿まで戻るが男の愛撫は止まない。山汐丸の視界の外では水音と振動音が鳴り続け、か細い体に情欲を刻み続けている。
「っ!はぁっ…はぁっ…止めてください提督どの!」
「なぜだ?」
男はそう問い返しながら、2つ目のローターを挿入した。山汐丸の視界にそれが映ることはなかったが、膣への異物感と大きくなった振動、そして熱を増す自分の下半身から何をされたのか理解出来た。
「い、今でなければいくらでも…いくらでもこの責めは受けます!だから…!」
続けて3つ目が挿入され、男の指が膣を撹拌する。
「っ♡あ、ま、まって…え゛っ♡」
山汐丸はこの日初めての絶頂を迎えた。男に全てを明け渡し、その身が弄ばれることへの倒錯した満足感と高揚感からか体の方はすっかり出来上がっていたものの、実際に彼女が受けたのは自身の想像を上回る責め苦だった。
「え゛っ♡でい゛…どぐ…どのっ♡」
体が硬直し、足がピンと伸びる。少女としての、女としての肉体が持つ当然の反応が文字通り彼女の首を締めていく。下半身から伸びてくる快感が窒息の苦痛を打ち消し、浮遊感だけがそこへ残る。
「はあ゛っ♡あ゛っ♡がっ…はぁっ!か…は…」
絶頂の余韻から覚め、すんでのところで背筋に力を込めて自身の体を反り返らせた。首の拘束が緩み、新鮮な空気が肺を満たす。絶頂と恐怖から開放された山汐丸が感じたのは安堵だった。
「ローターですぐイってしまうなんて、君ははしたない女だな。」
「ち、違います!自分は……自分は……」
安堵もつかの間、次に飛んできたのは男からの蔑みの言葉だ。もっとも、既に肉体関係を結んでいる男にとっては冗談の類だったが、酸欠から回復したばかりの山汐丸に冷静に受け止めるだけの余裕はない。
「自分は…そんな女ではないのであります…自分は…」
「自分は…なんだ?」
山汐丸の視界に男が戻ってきた。ベッドに横たわる彼女に視線を合わせ、片手で優しく彼女の唇を撫でる。
「自分が…山汐丸が…はしたなくなれるのは…提督どのの前でだけであります…」
「それで?」
「自分は…提督どのにされると…体が熱くなって…どうしようも…なくなるのであります…自分は…おかしいでしょうか…?」
熱を帯びたうっとりとした目で男を見る。その目に映るのは慕情だったが、男が見たいのはそれだけではなかった。
「いや。私は…おかしくなった君も好きだよ。」
そう言いながら、男は別のものを取り出した。ローターと同じピンク色の棒状の突起物。男根を模したそれには所々イボがついている。
そのグロテスクなディルドが山汐丸の目に映った瞬間、彼女の目はすうっと冷め、一瞬で恐怖に変わる。
「ま、まってください。自分は今のでも十分…」
男は再び山汐丸の視界から消えると、取り出したばかりのディルドをローターが入ったままの膣に突き刺した。
「あっ…がっ♡ぁあっ♡ぐっ♡」
既に男の肉棒を何度も飲み込み、絶頂の直後で緩み濡れそぼったヴァギナは容易にディルドを飲み込んだ。山汐丸はさほど痛みは感じなかったものの、強烈な刺激が体を貫く。
「や゛っ♡な゛がっ♡ゆ゛れ゛っ♡ぁっ♡」
彼女はまたしても反射的に体を丸めようとした。拘束された足をいくら伸ばしても自分の首が締まるだけで、その度に息が止まる。
「ぐぅっ♡ふっ♡うぐっ!うーっ!ふぅーっ!」
口を真一文字に閉じ、歯を食いしばって快楽に耐える。自分の体のコントロールを取り戻して背中を反らせる。しかしその度に男はまたヴァギナを掻き混ぜて彼女に快感を与えた。
ゴツゴツとしたディルドが、ローターを膣壁へと押し付ける。男はさらにディルドのスイッチも入れた。ディルドとローターが彼女の中でぶつかり合い、ヴァギナの中で響き合う。
「あぐっ!うっ♡ふぅーっ♡ふー…っ♡」
そんな責め苦の中でも、山汐丸はなんとか適応しようとしている。快感に悶えつつも、体を折り曲げて耐えるのではなく、手足の先をフルフルと震わせて発散するように努めた。
後ろ手に組まれた両手の指を肌に立て、爪で自らを引っ掻く。快感を与えられる度、勝手に伸びてしまう足は無理にでも力を入れて自分の意思で押さえつける。
ビクビクと震え、蜜を垂れ流すヴァギナに対し、彼女の肉体は不気味な程に静寂を保っていた。
「はっ♡はー……ぐっ♡うううぅっ♡」
男はディルドを抜き差ししながら、山汐丸の胸へと手を伸ばした。全身を強張らせた彼女の肉体の中で、慎ましくも美しく整った乳房は柔らかく、男の指が容易に沈み込む。
「まっ♡まって…くださ…あ゛っ♡」
白い肌に浮かぶ桜色の突起は充血し、ぷっくりとその姿を主張している。男の指はそれを握りつぶし、引っ張った。柔らかい脂肪が引っ張り上げられ、浮いた乳首が指の中で転がされる。愛撫というには少々強引なものだったが、山汐丸の気を逸らすには十分だった。
「がっ!あああぁぁぁ…!!!」
全身に加えた強い力は彼女自身の筋肉を引き攣らせた。攣った両足は激痛を引き起こし、彼女の体を無理やり棒状に伸ばそうとする。両手にかけた力もまた自らの首から肩にかけての筋肉を攣らせてしまう。
「んんっ!ぐっ!~~~~~~~~~~っ♡♡♡」
言う事を聞かない自身の体が四方八方へ伸び、三つ編みが再び首を絞める。何かを考える余裕もなく、筋肉の発する痛みと窒息の中、山汐丸は絶頂を迎える。
「な゛っ♡んでっ♡~~~~~~~~~っ♡♡♡~~~っ♡♡♡♡♡♡」
彼女の反り返った下半身から勢いよく潮が吹き出て白いシーツを汚していく。潮だけではなく、今や彼女は全身から脂汗を流していた。体と同じ様に痙攣する口からは涎が、両眼からは何に対する反応なのかすらわからない涙が流れ続けている。
「~~~~~っ♡♡♡」
痛い。苦しい。そんな感情が頭を支配する中でも、絶頂の甘い感覚が何事もなかったかのように全身を駆け巡っている。
順序で言えば、絶頂によって窒息するはずだった。しかし今の彼女は、窒息によって絶頂している。苦しみが絶頂をもたらしている。
「っあああ!はぁっ!はぁっ!ああ……ぁ……」
引きつった筋肉の痛みに耐えながら、なんとか背中を起こす。絶頂し、そのまま天まで飛び立ちそうな苦痛と快楽と一身に受けた山汐丸の鼻から、たらりと血が溢れ始める。強い脳内信号と首から上で行き場を失った血液が、彼女の毛細血管を破ったのだった。
「あ……あぁ……♡はぁ……♡」
それでも、山汐丸には安堵と余韻が残った。重くなった頭に新鮮な血が入り、麻痺した性感帯から届く甘い快楽が脳を焦がしていく。先程まで恐怖と絶望の縁にあった彼女の心は一瞬で幸福へと振り戻された。
そしてまた恐怖へと振り戻される。下半身の快楽がどんどん鮮明になり、男の荒い指が自身の乳首を愛撫する。ヴァギナに入っている玩具の動きも、乳首を擦る男の指紋までも肌を通して伝わってくる。
「提督どの…お許しください…自分…壊れてしまうで…あります…提督どの…ひぃっ♡」
甘い声を上ずらせながら許しを乞うが、男は構わずディルドを再び彼女の奥底へと突き刺した。そのまま左右に捻り、動かなくなった所で手を離す。
男はベッドを離れ何かを取りに言ったが、山汐丸の視界には映らない。
「あっ♡はぁ…♡ああぁ…お許しを…はっ♡あぁ…♡」
快感に喘ぐ山汐丸の眼の前にバラバラと大量の器具が投げ出された。その中には彼女の知らないものも含まれているが、自身に使われるものであることは察しがついている。
自身の膣内に挿入されているものと同じローターが複数、ビニールの粘着テープ、ピアスの穴を開けるためのピアッサー、AEDのような形の正体不明な器具。そして一度だけ酒保で見たことのある蒸留酒、スピリタス。
「はっ…♡は…♡あぁ…♡」
下半身の疼きが山汐丸の脳を溶かしていく。彼女はされるがまま、男の責めを受け入れた。
「……っ♡………っ♡」
持ち込まれた全ての器具が山汐丸に装着された。
まずヴァギナ、複数のローターと共に挿入されたディルドはテープで固定され、彼女の下半身を責め続けている。
外側のクリトリスには膣内に入っているものよりも小さいローターが2つ貼り付けられ、両サイドから小さな豆を押しつぶす。
下腹部では鼠径部のあたりに電気パッドが取り付けられていた。外付けで繋がれた低周波マシンは一定周期で電撃を流し、子宮へと直接刺激を与えていた。
桜色の乳首にはリング型のピアスが装着されており、ピアスの先にはさらに別のローターが接続されていた。ローターは彼女の乳首にぶら下がりながら震えている。
そうした器具を取り付けられた山汐丸は、顔を真赤に染めてひゅうひゅうと虫の息で震えていた。消毒と称してヴァギナと乳首にスピリタスを刷り込まれ、余った分はそのまま口へと注ぎ込まれた。
粘膜にアルコールを注ぎ込まれ酩酊し、性感帯に過酷な責めを与えられ続け、絶頂と窒息を繰り返しても尚、艦娘としての耐久性が山汐丸の意識を保持し続けさせている。
「っ♡っっっ♡♡」
びくん、と山汐丸の体が震える。またも絶頂したのだった。もはや体勢を維持する力すら危うく、半ば首が絞まっている状態で、光を失った目が無造作に動いている。手足の指だけが自我を持っているかのように快楽に喘ぎ、吹き出した愛液がシーツに注がれるも、そこには既に水たまりが出来ていた。
仕上がった彼女の姿を見てもまだ男は満足していないらしく、暫くしたらまた来るよ、と耳元で囁いて部屋を去った。
「っ♡……まって……てぇとくどの…せめて…となり…に…っ♡んぐっ♡あああああっ…♡」
それから数分か、数十分か、数時間後か。山汐丸は無限とも思える時間の中で絶頂と窒息、気絶と覚醒を繰り返した。
絶頂して窒息する。窒息して絶頂する。彼女は自分の性感帯がどこにあるのかわからなくなっていた。苦痛と快楽が混じり合い、体へと刻み込まれる。苦痛は快楽、快楽は苦痛。何が苦痛で何が快楽なのか判断できないまま、その刺激を受け続ける。
「ああ、山汐丸。どうも派手にやったようだね。」
「てい…とく…どの…?」
部屋へと戻った男の声で、山汐丸は目を覚ました。
彼女の拘束はそのままだったが、それ以外は一変している。絶頂と窒息を繰り返し暴れたためか位置はズレ、シーツはびしょ濡れになって床にまで液体が飛び散り、僅かにアンモニアの臭いもする。
ヴァギナに固定されていたローターやディルドはテープが剥がれたことによっていくつか外れており、ディルドが床で震えている。涙と声は枯れ果てて、全身汗と愛液に塗れながらも干からびている。
肉付きの薄い体には所々痣が出来、首の回りには締め跡が何重にも残っていた。快感に耐えるために引っ掻いたのか、後ろ手に回した腕は引っかき傷だらけで、鼻から垂らした血と共にシーツへ赤い斑点をいくつも残していた。
「ていとく…どのぉ…♡はぁ…♡あっ…♡」
それでも、そんな姿でも、自分を過酷な責め苦へ追い落とした男へとトーンの高い声を上げる山汐丸。彼女をこんな苦境へと追いやったのも男だが、そこから救い出せるのもまた男だけだった。
男は横にあったミネラルウォーターのペットボトルを開けると、こぼれるのも構わず山汐丸の口へと突っ込んだ。大量の愛液と汗の噴出、アルコールの分解、脱水症状寸前の彼女は動物の赤子が乳房にそうするのと同じく、必死にしゃぶりついた。
「んぐっ!ぐっ!んぐっ!んじゅっ!っ!」
そんな彼女とは対照的に、乳房のピアスやローターを取り外していく男。空のペットボトルがベッドに投げ出される頃には全て元通りになっていた。髪の拘束以外は。
「ぷはっ!はぁっ…はぁっ…提督どの…ありがとうございます…」
「ああ、吐き出さないように注意してくれよ?」
「吐き…?何を―」
男は無防備な彼女の肚へと拳を叩きつけた。
「ぐっ!?か……は………!」
腹部の痛みに耐えかね、体を丸めてしまう山汐丸。そして窒息が彼女を襲う。
「っ!~~~~~~っ♡♡♡♡」
山汐丸は先ほど飲み込んだ水を吐き出すことはなかったが、逆に下の口から大量の愛液を撒き散らした。絶頂したのだ。快楽ではない、純粋な苦痛、痛みと窒息のみによって絶頂まで至ってしまった。
「っ!!!!~~~~っ!!!!!~~~~~っ♡♡♡♡」
そのまま言葉もなく絶頂し続ける。腹パンの衝撃で口から空気が抜け出て、肺には酸素が残されていない。度重なる疲労と、与えられた痛みで横隔膜までも痙攣している。仮に首の拘束がなかったとして、彼女は窒息したままだったろう。
そんな中で、苦痛と共にあるはずのない快楽が山汐丸の脳内で反響する。パブロフの犬が餌を見ただけで涎を垂らすように、彼女は苦痛を受けただけで快感を得るまでになってしまった。
しかし当の本人は何故自身が気持ちよさを感じているのかも理解できず、ただひたすらに苦痛から逃げて快感のみを感じ取った。脳がふわふわと浮く中で甘く、温かく、高揚感に浸っている。
思考を中断するように、二発目の拳が肚へと叩き込まれる。一発目ほどの威力ではなかったが、それでも反射的に体を丸め、窒息させるには十分だった。
「~~~~~~~~っ♡♡♡♡♡」
膣に溜まった蜜が吐き出され、口からは涎が、鼻からは血が吹き出る。子宮への強い衝撃は、酸欠によって快楽へと変換されている。再び噴射された潮が男の手に吹きつけられた。
「~~~~~っ♡♡あ゛っ♡てっ…♡ていと―」
三発目、今までのよりやや下、子宮の位置へと拳が叩き込まれると、反射で山汐丸の体が硬直した。拘束に使われた三つ編みがギチギチに引っ張られ、手足と首に深く食い込む。
的確な子宮への刺激は、今日一番強い絶頂を彼女へと齎した。骨を軋ませながらも体を丸めようと拘束に抗う。自身の髪で拘束されたままの格好で絶頂、痙攣、窒息を繰り返す。
何度吐き出しかももわからない潮を吹き出して、残った力を全身へと無意識に巡らせた。そうすると何かが軋む音がして、腕の拘束が解けていく。
彼女は快楽を発散させようと後ろ手に縛られた中で、爪を自身に突き立てていたが、そうして引っ掻かれたのは腕だけではない。巻き付いた髪にもダメージが蓄積されていた。それがようやく限界を迎え、音を立てて弾けていく。
「~~~~~~~~っ!!!!!!~~~~っ♡♡♡♡」
ついに、両腕を縛っていた三つ編みが千切れ、山汐丸は開放された。足に巻きつけられた髪が綻び、張り詰められた弦のように髪先が飛び跳ねる。
「っ!ああああああああああああああああっっっっっっ♡♡♡♡」
息を大きく吸い込み、彼女が最初に発したのは嬌声だった。快感と苦痛、窒息によって声に出すことも出来ずただ体に刻み続けられた刺激をようやく吐き出し、胎児のように丸まりながら快楽の波へ耐える。
その後も二度三度小さい絶頂を繰り返し、静寂の中で自分の心臓が今にも張り裂けそうに鼓動を刻むのを感じながら、掠れた声を絞り出す。
「……てぇとく…どのぉ………♡」
身を起こそうとするが、ベッドの上で膝立ちにすらなれず前へと倒れ込んでしまう。男の前で、まるで土下座でもするかのように体を伏して這いつくばる彼女の前に、先走りでぬらりと光る肉棒が差し出された。
「ああ…素晴らしいよ山汐丸。ようやく…完成だ。」
ボロボロになった彼女を見てそう呟く男。滾る男の肉棒を見て、まだ終わりが来ていないことを察した山汐丸は、ゆっくりとベッドを這いずり回り、男へと尻を向けた。
「はぁっ…はぁっ……申し訳…ありません…もう…これしか…力が…」
男へ尻を向け、四つん這いで這う。しかしそれはもはや四つん這いとすら言えず、正座のまま前に倒れたような姿だった。力なく尻に添えられた両手がヴァギナを開き、奥底でひくひくと痙攣する子宮口を露わにした。
幾度の絶頂を経て、山汐丸の膣は開き切り、そして水分を失い乾いていた。男はそんな乾いた肉壺に濡れた肉棒をぶち込む。
「……んぅ♡……あぁ……♡」
山汐丸は甘い声を響かせる。痛みでも窒息でもない純粋な快楽。口に砂糖を注ぎ込まれたような甘美な感覚。自分の汗と愛液に塗れたシーツに顔を伏しながら、男のくれた悦びをシーツと一緒に噛みしめる。
だが、男の手が彼女の三つ編みを手に取った。腕の部分で千切れ、やや短くなったものの、その大部分はまだ彼女の首に巻き付いている。
犬のリードを引くように、馬の手綱を握るように、強引に手元へと引き寄せる。
「かっ……!?あ゛っ………♡」
下半身に受ける甘美な愛とは別に、首へと受ける苦痛が生まれる。しかし彼女の脳はそれを快感に変換してしまった。首が締まるのと同時に、疲労で弛緩しきったヴァギナが連動して締まる。
「いい…いいぞ山汐丸…もっと締めるんだ…そうだ…」
男は三つ編みを腕で絡め取り、更に手元へと手繰り寄せる。山汐丸の上半身が浮き、両手が空を切る。
「はっ……♡ぁっ………♡」
彼女にはもはや抵抗する気力も体力もなく、腕はだらんと垂れ下がり、男がもたらす快楽と苦痛をあるがまま受け取っている。四つん這いだった体位は引き絞られたリードによって無理やりに立たされており、男が腰を振る度に首が締まる。
腰を突き出すと同時にリードを絞り、腰を引くと同時にリードを緩める。窒息してもギリギリ死なない程度に呼吸をさせつつ、彼女の体へと自身を刻みつける。
「ぁぅ……♡♡ふー……♡♡ひゅーっ…♡♡」
山汐丸の細く垂れ下がった目に光は無く、鼻と口からは体液が垂れ流されている。虫の息の中でも頭の中だけはひんやりと冴え、前後に揺らされる頭の中で快感と苦痛、先ほどまで受けた責め苦が繰り返しフラッシュバックを始めていた。
「山汐丸…逝け。」
男がリードを引いた。後ろではなく下、彼女の下半身へと向けて。それと同時に腰を突き出して肉棒でもって下から貫く。
「ぐっ…♡~~~~~~~~~~っ♡♡♡♡♡♡♡♡」
山汐丸の中で電撃がバチバチと弾ける。快楽で頭が焼き切れる中で、自分の膣の中で男の肉棒が暴れまわり、精子で肉壺を満たしていく感覚と、自分の三つ編みが首に食い込み、骨の軋む音とどこかの毛細血管が破裂する音を聞きながら、快感に身を委ねる。
最後の最後、僅かに残った潮と尿を勢いよく吹き出して、彼女は力と意識を失った。男がリードを手放すと彼女は膝を付き、そのまま後ろに倒れて男へ背中を預けた。
「かっ…はっ…」
ごぼ、ごぼと泡を吹きながら、心臓は狂ったように鼓動を刻んでいる。首の周りは青く染まり、鼻からは再び血を滴らせる。
「て…とく…ど…の…」
意識のない間も、男を呼び続ける山汐丸。男はそんな彼女が愛らしくなったのか、動かないままの彼女を再び犯した。ヴァギナも、アナルも、口も。
山汐丸が目覚めたのは、丸一日経ってからだった。
「ん……ここ……は……」
山汐丸は目を覚ました。眼の前には自分の見知った天井がある。痛む首をなんとか動かして左右を見ると、自分の部屋のようだった。同じ様に痛む片手を伸ばし、いつも手鏡を置いている袖机を探る。
なんとか手鏡を探り当て、仰向けになったままの自分の姿を見る。そこに居たのは全裸のままベッドで毛布に身を包む自分自身だ。所々に痣や内出血のようなものがあるが、一番酷いのは首で、縄のような痣が何重にも広がっている。
酷く傷つけられた自身の姿を見ても、不思議と嫌悪感は浮かばなかった。それどころか理由のわからない満足感すらある。
ふと、鏡を頼りにもう片方の手を自分の首に当ててみる。脈動する血管が指を押し上げるのを感じた。ゆっくりと指を押し付け、脈動が早くなるのを感じ取ると、手鏡を捨てて両手を首に添えた。
温かく流れる血液、早くなる鼓動。荒くなる息。それと同時に、自分の下半身がじわりと濡れるのも感じる。
山汐丸の口が歪む。それは笑みだった。手鏡を持たない彼女は、自分自身笑った事に気がついていない。
しかし、部屋に入ろうとしていた男がそれを見た。彼女の笑みを見て、感染したように男も笑う。先に男の笑みがあったのか、山汐丸の笑みがあったのか、どちらかははっきりしない。
ただ、二人はその日も、次の日も同じ様に笑みを浮かべた。湿っぽく、温かい吐息を吐きながら。