――ジークムント・フロイト
アリスは夢の中で眠る(前編・上)
ちょっとした村の中心からちょっと離れたところにぽつりと建つ、ちょっと小さくて小綺麗な家にその家族は住んでいた。
あいにく裕福な暮らしではないが、貧しいと言えるほどのこともなく、それなりにほどほどの日々を送っていた。
妻は服を仕立てては馬車で町まで売りに行き、夫は同じ馬車に乗って町の中央通りにある役場へ働きに出かける。
その二人の間に生まれた女の子はいつも一人でお留守番。それがいつものことで、それが当たり前のようになっていた。
貧しいとはいえないが、裕福ともいえないそんな暮らしは、ひとりぼっちの女の子にただただ寂しい思いをさせるばかり。かといって身の回りの世話をさせる召使いをやとう金もなく、仕事の虫になるのが精一杯。
いつか、いつかは楽になるだろう、と願望を抱いては、同じような日々を過ごすばかり。
そうして、その日は訪れるべくして訪れたといっても過言ではない。
ある日のこと、いつものようにお留守番をしていた女の子は重い病にかかった。妻も夫もずっとずっと仕事ばかりで帰りも夜遅くだったために、ひとりぼっちだった女の子が病気にかかっていても気づくこともなく、看病することもできず、悪化させたのが原因だろう。
ようやく気づいた夫婦はそれはもう大慌てで医者に診せたが、女の子は目を覚まさない。
熱も引いたのに、顔色はしっとりときれいなのに、やすらかな顔をして眠っているのに、ただ目を覚まさない。なんと不思議なこともあったものだ、と医者は匙を投げる。
今までずっと放っておいたばかりに、何が病気のきっかけとなって、何が病気を悪化させたかなんて一つも分かるはずもなく、女の子は今日もすやすやと眠ったまま。
おそらくはずっと寂しい思いをさせてきたのもこの病気の要因なのだろう、と医者も去り際に言い放ったが、そんなことを言われても夫婦には今更どうしようもない。
妻は仕事を辞めて、娘の看病につききりになり、夫も休みを多く取るようになり、なるべく家で娘の様子を見るようになったが、それで何が変わるということもなく、女の子は、やはりすやすや。
その横顔ときたら、無垢な赤子とそう変わらない。時折こぼれる笑みなど天使に見えるくらい。
「おやすみ、アリス」
妻がやさしく呟く。おでこにキスをして、ベッドを後にする。
「おやすみ、アリス」
夫がやさしく呟く。前髪をなでるようにして、ベッドを後にする。
そんな何度目かのやりとりを交わし、また夜が更ける。
※ ※ ※
※ ※
※
一体何処に建っているかも定かではない大きな城の中の、ハートの女王様の部屋の中、大事そうに置かれた丸い瓶がそこにあった。花を挿すように、その瓶にはアリスの頭が挿してあり、つるつるの表面のあちこちにはアリスの乳首や脇や、ぷっくり割れ目が露出していた。
アリスはうっとりとした笑顔を浮かべながらも、女王様のいじわるそうな笑顔をそっと見上げる。今のアリスはアリスではなく、女王様のための所有物であり、女王様のために蜜を出すだけのハニーポット。
媚びるように視線を送っては、女王様から与えられる刺激を今か今かと期待し待ち望む。
「さあ、今日もわらわのために甘い蜜を出すのじゃ」
「はい、女王様」
女王様の指先が、アリスの割れ目の上の方、そこに突起した小さなマメのようなものをつまむ。ピクンピクンとアリスの身体が、ポットが震え、岩の亀裂から湧き出す水のように、ジョロロとアリスの蜜が噴き出し、女王様の手元のカップの中へと零れることなく注がれる。
アリスが堪えるようにキュッと力を込めると、蜜も絞られるように止まる。すっかり女王様のポットらしくなったようで、自在に蜜を止めることもできるようになり、いつだったかのように蜜の駄々漏れもあまりなくなった。
当然出すこともアリスの意思である程度はできるが、最近アリスは知ったことがある。割れ目の上の方にあるマメのようなものを触ってもらうと、身体の何処よりもずっと感じられるということ。
今では、身体の何処を触ってもアリスの素肌とそう変わらないくらいに感じられるようになったが、このマメを弄られたときの快感には堪えきれず、蜜の制御が効かなくなる。
これを覚えてからというもの、それを知られてからというもの、まるで蜜を出すためのボタンのように使われるようになった。
「よしよし、よくできた」
カップに入った蜜をまるで紅茶のようにコクリと飲み、女王様がニヤリと笑みをこぼす。そして、ほめるようにアリスの頭を強くなでる。飼いならされた犬みたいにアリスはえへへと笑みで返す。
カタ、コト、とアリスの身体が揺れ、その中ではちゃぷんちゃぷんと蜜が波打つ音が聞こえる。ポットらしくなったのは外側だけではない。身体の中も蜜がたっぷりと貯められるよう、まさしくポットのような空洞になっていた。
「ふぅむ、だいぶ減ってきたのぅ。また蜜を作らねば」
女王様が手をパンパンと打つ。すると、それを合図にカーテンの向こうからあの少年が現れる。おちんちんを握り締めては、顔を真っ赤にして、うずうずと落ち着かない様子で女王様とアリスの元へと歩み寄る。
その歩き方ときたら、どうにもおぼつかない爪先立ちだ。
体中から生クリームの甘い香りを漂わせているが、おちんちんの根元にはハート柄のリボンがキツくグッと結び付けてあり、いくら少年がおちんちんを絞ろうとしても生クリームが出せないようにされていた。
「はぁ……、ぁぁ……、じょ、女王様ぁ……」
涙を溜め込むほど情けなく弱々しい声。きっと今にも生クリームを出したくて仕方がないのだろう。少年のおちんちんは手の中に収まらないくらいにパンパンに膨れ上がっている。一体どれだけの生クリームが少年のおちんちんの中に溜まっているのだろう。
リボンをとってしまえばきっと気持ちいいくらい生クリームがあふれ出すのだろうが、少年はそのリボンを外すことができない。何故ならそれは女王様の、絶対の命令だから。
こうしている間にも、内股気味にすりすりと少年がもどかしく腰をくねらせる。
「ふっふっふ……」
ゴクリと喉を鳴らし、いじわるそうな笑みを浮かべた女王様はリボンをいともたやすくシュルシュルとほどき、外す。
「……ぁっ♥」
それだけで少年はおちんちんの先からビュル、と生クリームを少しだけもらしてしまう。
「なんじゃ、情けないのう、このおちんちんは」
そう言いながら、女王様は少年のおちんちんの先をちろ、っと一舐めし、根元をギュッと握って締める。その強さときたら、生クリームを絞るように、今しがた出そうだった分をぶりゅりゅと丸ごとひねり出し、また、奥の方に残っている分をせき止めていた。
「ひぃっ♥」
リボンはなくなったものの、こんなにも強く女王様におちんちんを握り締められていては生クリームは出しようもない。しかも女王様は握り締めたその手を上下にコスコスと擦るように動かすものだから、むしろリボンで縛られていたときよりも余計に焦らされていた。
「ふふふふ……、あむぅ」
おもむろに女王様が手を離し、おちんちんをしゃぶる。
「ぁぁ……っ♥ ああああぁぁ……♥ でるぅぅっっ♥」
次の瞬間、女王様の口の中で生クリームが弾ける。
唇下まで垂れるほど、生クリームが溢れ、それでもなお少年のおちんちんからはびゅるびゅると溜まりに溜まった生クリームが抑えるものもなくし、留まることなく出てくる。