右手の指先は慣れた動きで私の中をぷちゅりぷちゅりと水音を奏でながら出入りを繰り返し、左手が揉みしだく乳房の中では乳首が固く隆起する。連勤中日のストレスをぬぐい去ろうとオナニーに励む、いつもの日々。ゆっくりと頭の奥が痺れだし、悦楽の波がだんだんと満ちていく…。
普段ならば程なく私は達し、そのまま倒れるように眠り込むだろう。そして朝になって急いでシャワーを浴びる羽目になるわけだ。洗ってから寝た方が良いのはわかるけど、余韻を逃さず眠ってしまいたい。ただ、今日はちょっとだけ違う。
身体が別の快感を求めている。荒々しく爆発的な――
…で数日後。前回から一週間も明けず、私はお店の前まで来ていた。
一応独身OLの末席にいる身なのでそれなりに小金持ちではあるけれど、頻繁に風俗通いなんかしたら紀伊國屋文左衛門でも堪ったもんじゃない。それになー…所詮「おしごと」なのも空しい。私レズっ気はないつもりだし、ここに来ないとふたなりにはなれないし、複雑。しかし私ゃまるで恋する乙女じゃないか、それにしちゃ生臭過ぎるか。
まぁ、いいか。入ってから色々考えよう。
「いらっしゃいませ、また逢えて嬉しいです」
「あー…りがと、私もよ」
受付で指名(気恥ずかしい…)して待合室でまたしても寝落ちし、気がつくとやっぱり鈴花さんと二人っきりの小部屋にいた。当然私の股座も、同じく屹立している。一度生える過程を見てみたいものだけど、それは無理なんだろうか。毎度毎度記憶がぶつ切りなのは、どうも腑に落ちない。
「今日は、えー…と、オプション「有り」でお願いしたいんだけど…」
「はい、こちらオプション表でぇす。幾つ付けてもお値段は変わりませんから、ご希望のプレイに○を付けてくださいね」
…こっちが恥じらいながら言ってるのに、堂々たるもんだなぁ。そりゃこういう店だもの、毎日色んな人と色んなプレイをしてるんだろう。…何て言うか、変に悔しい。ああ、そうだ、子供の頃はよくこんな気持ちになったっけ。友達を取り合って。
ええい、そうじゃない。とりあえず、このフェラ系を付けてみようか。おちんちんだけでイク感覚も、知っておきたいし。と思ったけれども、表を見ていて目が止まる。「生フェラ」「口内発射」「ごっくん」…とかは分かるとして。銀盆とか手出しとか、あと見せつけとか、なんだこれは。暗号か何かだろうか。
「あぁ、銀盆はお口に出して貰ったのを器具に垂らすプレイです。手出しは手で受け止めます、あと見せつけはですね、呑み込んだり出したりする前のお口を見てもらうプレイですよ」
「色々言いたいけど、まずそれ何が楽しいの?」
小児科で薬ちゃんと飲んだか確認してるみたいな感じだけど、どうやら愛好家もいるらしい。世の中広いもんだ。私はフェラ自体ほとんどしたこと無いし、したくもない。AVなんかじゃ「普通のプレイ」扱いだけど、はっきり言ってヘンタイの領域だと思う。臭いし屈辱的だし、あれが「愛」だとは思わない。まぁだからこそ、逆にやって欲しいと思うんだろう。今の私も含めて。
一通りそれっぽいのに○を付けて渡すと、特に何を言われるでもなく受け取ってもらえた。NGにはならなかったらしい。いや、無理なら最初から×しておくだろうけどさ。
「それじゃぁ、まずキレイにしますねー」
と言うからてっきりウェットティッシュでも使って拭くのかと思えば、そのまま舌先でレロリと先端がなめ上げられる。ビクンっと全体が震え、その揺れを舐め広げるようにゆっくり舌がなぞっていくのは中々奇妙な感じだ。舌は筋肉の塊らしいけど、動きが滑らかなのに圧迫を感じるのはそのせいなんだろう。指よりも力強く、それでいて繊細。こういうのはやっぱりプロの仕事だからなのかなー…。
舐め上げられ「キレイに」された私のおちんちんに、チュッと啄むように鈴花さんがキスをする。そして間を開けず、わずかにずらしてまたキス。キス、キス、キス。唇が触れると、そこから注入されたようにおちんちんへ熱が集まっていくようだ。止まないキスの雨が、どんどん私のおちんちんを追いたてていく。このままだと、いずれはおちんちんキスだけで射精してしまうかもしれない。いや、次の瞬間には、あの唇を白く染め上げてしまうかも。
それは、さすがに困る。
「あ…の、それ…出ちゃ…う……かも…っ」
切れ切れになりながらになんとか伝えると、どうやら通じたらしくキスが止んでくれた。膨大な熱を注がれたおちんちんは先端から透明な汁を溢し、不満げにビクビク震えている。うーん、浮気性のタレントなんかが言う「下半身は別人格」ってこういうことなんだろうな。段取りも何もなく、射精だけが目的。ただ精子を放てればそれで良くて、あとがどうなろうが無関心。男というのが身勝手で自分勝手なのは、きっと四六時中おちんちんと一緒だからに違いない。
…と、何とか息を整えようとどうでもいい事を考えてみたものの、私の意識は更に強い快感によって大いに揺さぶられる事になる。
「あー…んむっ♪」
ちょっと思考が緩んだ刹那、私のおちんちんは鈴花さんの口の中へと消えていたのだ。
ゾクリ、と一瞬背筋が粟立つ。私は今、
柔らかい口内粘膜に擦られ、舌につつかれ、歯列に押し当たり、私のおちんちんは初めて味わう「女の中」に夢中だ。いや、夢中なのは私自身だろうか。どちらでも同じことか。この包み込まれる快感は、理屈などいらない。ただ、気持ちいいだけだ。
そして―――それが加速する。
鈴花さんの頭がグッと前に進み、ジュプルゥッと音を立ておちんちんが根本まで一気に呑み込まれる。陰毛に僅かな鼻息を感じるほどの密着から、瞬時に頭が後退し先端部分以外が外気に触れる。しかしそれもほんの一瞬、また次の瞬間には根本まで口内へと消えてしまう。その間も舌は間断無く蠢き、まるで舌先に目が付いているかのようにおちんちんの弱点をピンポイントで射抜いていく。
このまま、射精したい。彼女の口の中を精液で充たしたい。そんな
口実を得たおちんちんは我慢を捨て、一気に欲望を解き放つ。腰の奥からやって来る津波がおちんちんの真ん中を駆け抜け、そのままノンストップで鈴花さんの口内を汚していくのがハッキリとわかった。そして汚液を喉を鳴らして嚥下するその姿と来たら。
あぁ、フェラを求めるって、フェラされたいってこれを味わいたいからなんだ。女性をモノ扱いする、背徳的な快感だったんだ――。
一つ新しい事を知り、満足して萎えてきたおちんちんを引き抜こうとする私。
…あれ?
いや、鈴花さんはまだ口を離そうとしない。むしろ口をすぼませ、吸い付く力を強めながら再びおちんちんを呑み込んでいく。先ほどよりも強い刺激におちんちんは驚喜したのか、硬度を取り戻していく。取り乱しているのは、私だけ。
鈴花さんがフェラしながら器用にオプション表を拾い上げ、指を指した所を見てようやく私は気付く。余計なモノを付けてしまった事に。
―発射無制限、萎えても時間まで離しません! ずっと密着したい貴女へ―
…そう、今日私は一つではなく、更に二つ大事な事を教えてもらったのだ。
一つ、分からないモノに何となく同意してはいけない。
もう一つ、モノには限度がある。
何度めかの口内射精で完全に意識を失うまでの短い間に考えたのは、そんなことだった。