※この作品はR-18です。

津川素子が通い詰める理由。   作:扇町グロシア

3 / 8
指名無し、追加オプション有り

 …痛い。腹筋が、痛い。

 どうも射精というのは腹筋に負担が大きいのか、最近どうにも筋肉痛が出てしまった。運動不足なのはそりゃ認めるけど。しかしジムで鍛えるほどの暇は無いし、そもそも「もっと風俗を楽しみたい」なんて理由でジム代を捻出する気はない。いや、別に口実を作れば良いんだけどさ。

 それに、ここのところなんだか……おかしい。ふたなり化したせいで女性の肢体に魅力を感じるのだと思っていたけれども、段々そうではないような気がしてきた。普段の生活の中でも、少しずつ傾向が変わってきているように思う。たまたま可愛い女の子を見かけたりすると、無い筈の部分が持ち上がるような感覚を抱いたり。ふたなり化が消えきらず残っているのか、それともこれまで蓋をしていただけで私はそういう人間なんだろうか。

 まぁ、どうであろうとも―――もうあの快感は忘れようがない。だからこそ、また行ってしまう。

 初めてあそこで射精してから半年ほどが経過し、あの店を訪れた回数は既に20近い。週毎に行くようになったら財布も身体も持たないから、なんとか我慢しても尚月数回は必ず行ってしまう。もしかしたら私は既に、取り返しの付かない状態になってしまっているのかもしれない。

 ………そうだとして、じゃあどうすれば良いのやら。

 

 仕事帰りの疲れた脚で、私はまたもあの店の前に立っている。射精と言うのはアルコールどころか、ドラッグ並みに依存性があるんじゃなかろうか。それとも依存性があるのは、彼女自身なのだろうか。

 色々と思いながらも入店し、いつものように指名しようとする。が、

「すいませんお客様、鈴花ちゃん今日は入っていないので…」

 と言われてしまった。ああ、まあオフの日も当然あるか。予約してるわけでなし、今まで毎回飛び込みでそのまま指名通ってたのが幸運だったんだろう。とはいえ、他の娘を知ってるわけでなし。最初と同じように、指名無しで待合室へ。

 さて、どんな娘が来るのかな。ちょっとだけ罪悪感を覚えながら、意識が眠りに落ちていく。

 

「はじめまして~、マキアですー。今日はヨロシクねぇ~」

 今日のお相手として来たのは、金髪に小麦色の肌でスレンダーという如何にもな夜のお姉ちゃん系というかギャル風というか、鈴花さんからは結構な距離がありそうな女の子。…高校時代、部活の後輩でこんなのいたなぁ。やる気無さそう顔してるのに意外と負けず嫌いで、すぐに張り合ってくる可愛い後輩だったけど。この子はどうなんだろうな…うん。

「私、系列のお店からスポットで来ててぇ、今日がラストなんですよぉ」

「…こんな業の深い店が何軒も、あっちこっちにあるわけ?」

 なんでも話によれば都内だけで3店舗、店舗総数は17あるらしい。もうやだこの国。どうなってんの。需要はそりゃあるんだろうけど、どうも釈然としない。

 しかしクリクリとした可愛い瞳を見ていると、不意に頭の奥からムラムラと性欲が鎌首をもたげてくる。こんな風に思うのは、やっぱりふたなり化しているせいなんだろう。普段からこう思い始めたら、いよいよ末期だ。

「んっ…」

 唇に吸い付くように、こちらからキスしてみる。いつもなら基本受け身の私だけれど、どうせいつもの相手じゃ無いんだしたまには攻めてみるのも面白そうだ。舌先で口内をねぶりながら、マキアちゃんの手をおちんちんへと導いてあげると、すぐに指先がしゅにしゅにと竿をまさぐり始める。負けじとこっちも指先を這わせ、ゆっくりと陰毛を掻き分けマキアちゃんの粘膜へと伸ばしていく。同性の性器…おまんこを触る経験は、この店以外ではしたことがない。それにいつもはおちんちんを中心に奉仕して貰うばかりなので、弄ってあげた回数は本当に少ない。だから比べられるような数の経験はないが、指が触れる感覚は鈴花さんとは何処か違う気がする。湿り気の染みだし方は緩く、でも入り口はまるで噛まれるように指先を締め付ける。個体差と言われればそれまでだが。

 気がつくとマキアちゃんの指は止まったまま、おまんこの快感に任せて喘ぐばかりになっていた。おまんこは緩くほとびて愛液を垂れ流し、僅かに物欲しげな口を開けている。…あれ、私意外とテクニシャンなんだろうか。いや、御仕事なんだからしっかりしなさい。

「ねーぇ、つけてほしいオプション、あるんだけどぉ…?」

「え、あぁ…良いけど、どれ?」

 オプションは何個つけても同じ値段の筈だし、でも向こうから付けろと言われたのは初めて。オプション表を引き寄せようとすると、その手がスッと遮られた。

「ここには書いてないんだけどぉ…」

 言いながらマキアちゃんが横たわり、大きく脚を拡げる。指先がゆっくりと肉の割れ目を押し開き、中を誘うように晒していく。

「しようよぉ、ホ・ン・バ・ン♪」

 くちゅりと脚の間で水音が立ち、まるでスイッチが入ったように雌の香りが立ち込めていく。ホンバン…本番。それはつまり、…セックス以外の何物でもないわけで。

 ふたなり化してのプレイは一通りしたつもりだった。でも、確かに。そこだけはまだ…一度もしていない。初めてフェラされた時に感じたものを上回る程の背徳感が、想像しただけで背中を駆け抜けていく。…それは許される事なんだろうか。心が通う処でなく、今日会ったばかりの相手にそんな事をして、許されるんだろうか。

 躊躇う心を見透かすように、囁く声が耳に届く。

「いーでしょぉ…?裏オプってことでぇ…。私、おちんぽじゃないとイケないからぁ…。欲しいよぉ~…」

 加速する指の動きに水音が応え、艶かしくくねる腰が誘いをかける。据え膳、というヤツだろうか。

 脳の裏側から沸き上がる、男(・)の(・)欲(・)望(・)。ここに、挿れたい。掻き回したい。…この娘の膣内に、射精したい。逆らうにはあまりにも強すぎる、どうにもならない獣のような性欲。おちんちんはまるで意志が宿ったかのように屹立し、早くしろ早くしろと急き立てる。

 ふたなり化したからだ、私のせいじゃないんだ…。熱に浮かされた頭で誰かに言い訳しながら、マキアちゃんにのし掛かる。

 勿論正常位は経験あるけれど、その時は受け入れる側だった。脳内で配役を反転させ、どうにか形を作ってみる。しかし自分が上になってみると、随分と間が抜けた格好だと思う。ひっくり返ったカエルのような格好になったマキアちゃんを組み敷くように、膝立ちになって「狙い」を定める。

「えーとじゃぁ、お邪魔します…」

「はーい、いらっしゃいませ~♪」

 先端を押し当て、どうにか腰を突きだしてみる。思った以上の抵抗を受けつつ、じゅぷりとおちんちんがマキアちゃんに呑み込まれていくのが感覚で分かる。穴と言うよりは柔らかな亀裂と言うか、フェラよりも密着し手よりも強く締め上げる肉のプレス。

「あはぁ…っ、やっぱりぃ、コレ好きぃ…!」

 こちらが腰を動かす度に、マキアちゃんが大きく声を上げる。こんなに声を出してセックスした事はないけど、如何にも気持ち良さそうでこっちも気分がいい。一心不乱に腰を振りながら、小ぶりのおっぱいを掴んだり脇腹を掴んでみたりするとまた反応が変わって面白い。

 浅い部分を注挿し続けてから、不意討ちで一気に根元まで押し込んでみると悲鳴に近い矯声が沸き上がる。陰毛同士が絡み合うような密着感からズルリと引き抜き、また入り口を掻き回すと甘く甲高い声が。小刻みに腰を振ってやると、長く尾を引く短い悲鳴。腰骨に響くような重い突きに、絶叫が返ってくる。

 次はどこをどう弄ろうか、どんな声が聞けるんだろうか、好奇心からおちんちんが止まらない。ああ、これが男目線のセックスなんだな。自分勝手で力尽くで、でも堪らなく気持ちいい。

 濡れた摩擦音と肉のぶつかり合う音、切れ切れの喘ぎ声は止まることなく部屋を満たし続けていく。理性ごと蕩けた頭の中に残っているのは、狂暴な衝動だけだ。

 マキアちゃんの声が一際高くなり、一気に頤を跳ね上げる。次の瞬間、まるでおまんこに噛まれたかのようにおちんちんがギチリと締め上げられる。ゾクリと背筋が粟立ち、腰の奥から存在しないはずの(いつもの慣れ親しんだ)快感の波が襲いかかってくる。出る、もうすぐにでも射精する。コンドームなんか着けていない、生セックスの末に至る無責任な膣内射精。それが何をもたらすかなんて、子供でも知っている事だ。しかし僅かに巻き起こる罪悪感は、すぐに期待感に呑まれ消え去ってしまう。

「あっ、ゴメン、出…るっ!!」

 応答を待つ暇もなく、繋がったままおちんちんが子宮目掛けて放精を開始する。脳髄から輸精管まで直結したかのように、何もかもブチまける濁流の快感。そして、心の裏側が背徳感に満たされていく。

 放心したマキアちゃんからおちんちんを引き抜くと、逆流した精液が膣口からダラリとこぼれ落ちた。その膣内を蹂躙した証を見ていると、「この雌を征服した」という黒い充足感と共に新しい性欲が沸き上がってくる。

 もう一度マキアちゃんを押し倒し、自分のマーキングを掻き出すように膣内を全力で掘削にかかる私。眼を涙に潤ませ、声にさえならない絶息的な矯声だけを漏らすばかりのマキアちゃんを力の限りに犯し続け、膣内に二発三発と精液を補給していく。目の前の穴が気持ちいい、それしか考えられないまま獣のようにおちんちんの要求に従い続けるだけ。

 私は、きっともう、戻れない。ふたなり化だけならまだしも、この征服感を知ってしまっては…。

 

 店を出た時の私が感じていたのは、誰への後悔なんだろうか。

 白目剥くまで犯し倒したマキアちゃんか、あれだけベッタリだった鈴花さんか。

 …腰痛で酷く苦しむであろう、明日の私だろうか。

 何にせよ、私は多分これから暫くは苦しむんだろう。

 月明かりをボンヤリと見上げながら、ため息と共に家路を急ぐ。また、次の為に。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。