休日の昼下がり、まるで仲の良い友達のように私たちは連れだって歩く。
特に目的地のない、出歩く事自体が目的な所謂「おさんぽデート」。端から見れば姉妹にも見えるかもしれない。こんな風に休日を過ごすのも久しぶりだ、大抵は疲労でダウンし日が落ちてから動き出していたし。
あぁ、良いなぁ。
これが「お仕事」でなければ、もっと良いのに。
オプションが大幅増加しました、と言われたのが先日の事。
商魂が薄いと言うかザルというか、ここはオプションに個別出費がない。オプション有りにしてしまえば、何を付けても料金は据え置きなわけで。…正直儲かってるのかどうか心配だけど、こうやって通い詰める客もいるんだから大丈夫なんだろうな。何時ものように甘いキスを交わし、たっぷりとご奉仕されながらそんな事を考えてみた。
そして一戦終えて息を整えながら、オプション表を眺めていると確かに数が大幅に増えているのが分かる。
中でも「次回予約オプション」というのが、何だか気になった。どうも大掛かりらしく、次に来る時のために準備しておいて貰うらしい。気が長い風俗だなここ。
…しかしリバとか天葢とか、どうも良く分からない文字列なのが気にかかるけれども。
最初のオプションで抜かれ倒してエライ目にあったし、一応聞いておこうかな。
「あ、リバはお客のお姉さんじゃなくて私たちがふたなり化するコースですよ。両方ともふたなり化するコースもありますけど」
「……えーと、それ色々複雑そうね」
おちんちん付き同士でするのかー…でもおっぱいもおまんこも有るわけで、何て言うか物凄く複雑だ。業が深いと言うか、悪趣味な気がする。でもまぁ、示し会わせておかないと出来ないプレイではあると思う。ふたなり化に関しては寝てる間に生えたり消えたりしてるから、その辺も色々あるんだろう。
「天葢は店外デートコースです。一度ふたなり化してから一緒にお出掛けするんですよ、このお店昼間も開いてるので、明るい時間に外で遊べます」
「あぁ、当て字だったんだ。…でもふたなり化はするわけね?」
「はい、そうでないと只のお出掛けですから」
いや、むしろ只のお出掛けがいいんだけど。願わくはプライベートで、個人的な付き合いをしたい。…この前の一件以来何度かアプローチはしたものの、未だに連絡先さえもらえていない。ヤる事はヤってるのに、進展はしていない。こんな風に恋愛したの、いつ以来だろうか。試行錯誤も楽しいから、別に良いけど。
んでもって店外デートを予約しまして。
普段は夕方まで寝ている私が昼前に這い出して、お店でもう一眠りしてふたなり化して一緒に遊びに行くことになったわけです。前に小一時間で戻るとか聞いた気もするけど、その辺はどうなってるんだろうか。意外なくらいフレキシブルな風俗だな本当に。
しかし陽の下で見てなお鈴花さんは可愛らしく、これだけでもお金払う価値はあると確信出来る。あぁ、いっそレズに目覚めようか。しかし今の私の股座には、それを許さないモノが生えている。どうしても、彼女と一緒にいる時間の私はふたなりなのだ。ふたなりでない時間も、気持ちは変わらない筈なのに。
ああ、儘ならないと天を仰ぐ。全く以て、私って何なんだろう。手を繋いで歩く間にそんな事を考えているなんて、彼女は知るよしも無いだろうけど。
賑やかな街を呑気に歩いて、合間合間に寄り道して。まるで高校時代に戻ったように、プリクラ一枚にはしゃいでみたり。シャッターの瞬間に交わす小さなキス、一杯のコーヒーの回し飲み、絡めた指の温もり、遠くへ置き忘れてきたような小さな幸福感。
あぁ、でも。そんな気持ちを埋め尽くすように、衝動は降りてくる。
「あ、…ゴメン、ちょっとメイク直してくる」
そう言って一人、化粧室へ急ぐ。嫌だ嫌だ、全く嫌なものだ。
個室に駆け込みカギをかけると、まるで堰を切ったかのように凄まじい脈動が襲ってくる。その出所は当然、…おちんちんだ。私はただデートを楽しみたいだけなのに、肌が触れるその瞬間瞬間に隆起し存在を示そうとする。持ち主の事など考えない、ただ性欲を晴らす事しか考えない肉の塊。お前なんか、お前なんか。
「ん、うぅ……、うは…あぁ……!」
両手で握りしめ、力を込めて扱きあげる。ただの摩擦、何の気持ちも籠らない刺激にすぎない。前に彼氏相手にしてあげたような愛撫じゃない、仕置きのような摩擦行為。それなのにこれは硬く膨れ上がり、期待のままに暴れようと蠢く。そうじゃないんだ、私は射精させてほしいんじゃなくて一緒にいたいんだ、何でそれが分からないんだ。
ゴシゴシと擦り続けると、おちんちんがビクビクと脈打ち始める。射精が近い。普段なら暖かい手や口、膣肉の中で果てる筈のおちんちんを便器に向けてかざし、最後の一擦りをかけてやる。
「うっ、うぅ…はぁ……っ」
精液が汚物として排泄され、白い便器に呑み込まれていく。ざまぁみろ、と思いながら扉に凭れかかり息を何とかフラットに整えようと胸を抑える。大丈夫、大した時間じゃない。気づかれない。メイクを直して、すぐ戻ろう。まだまだ、時間はあるんだから。
日はとっぷりと落ち、夜の帳が下りる時刻。
楽しいデートもそろそろ終わり、お店へ戻らなければ。
「これから、どうします? 最後にお店で一回しますか?」
「そう、ねぇ…」
正直、何度も何度も勃起を押さえ込むために射精したしなぁ。鈴花さんの肌を感じたい、とは思うけどやっぱりコレに振り回されているようで…。
「添い寝、ってオプションにあったわよね? それでいいわ、効果が切れるまで一緒に寝ててほしい」
「うふふ、もうおちんちんはお疲れみたいですしね」
え。…バレてたんだ。いや確かにあれだけ頻繁にメイク直しに立てば気付くか…。
「言ってくれたら、私がシてあげたのに」
「あ、いや…そういう事がしたかったわけじゃ……」
言い訳も上手く紡げず、照れ隠しのように手を離す。掌が汗ばみ、頬が紅潮していくのが悔しい。私は本当に振り回されっぱなしだ。相手が二枚三枚上手じゃ、勝ち目は無さそう。
と、鈴花さんに袖を引っ張られ、建物の影へと引き込まれてしまう私。街灯の光も殆ど届かない中、道とさえ言えない狭い場所で二人の身体が重なる。息遣いどころか心臓の鼓動さえ感じあうような距離に、無粋な部分が敏感に反応してしまう。
それを察したのだろう、向かい合っていた鈴花さんの顔がゆっくりと下へ降りていく。目の前にしゃがみこむようにして、そっと私のショーツをずり下げ中のおちんちんにキスをする鈴花さん。疲労もはね除けビクンっと震えるおちんちんが、憎らしい。こういうんじゃない、と思いながらも快感に負けされるがままな自分が嫌になる。
「あー…むっ♪」
暗がりとは言え屋外で躊躇いもなくフェラしだす姿に、居心地の悪さと背徳の快感が入り交じる。チュパチュパと吸い付きながら手も添えて、幹を扱き始めると声が出そうになってしまう。さすがにそうなると周囲に気づかれかねない、必死で堪えるも背筋が粟立つ。舌が至るところをはい回り、優しく追い込まれていく。あぁ、ダメだ。やっぱり、私はこれには勝てないんだ。
「あ、出…ます……っ」
あっさりと愛撫に負け、今日何回か目の射精が始まる。私を悩ませる毒液が、汚ならしい器官を通って大好きな人の口を犯していく。腰が抜けそうなほどのバキュームと、舌先によるマッサージが更に射精を煽りドクドクと脈動が治まらない。今日一番気持ちいい、蕩ける射精感。私と来たら、所詮はこんなもんか。やっぱりおちんちんには敵わない。
「あー……気持ち良い……」
心の底から、そう思う。思ってしまう。身体は身体で素直になる、と言うこと。受け入れたくはないけども。ふたなりになった私も、やっぱり私だから。セックス込みで、好きなんだ。
とりあえず、お店に戻って一緒に眠ろう。その先を願って。