こちらでヒロインの募集を行っています。
こちらで応募、お待ちしています。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=314921&uid=45956
朝の通学路を行く。
午前7時半、雲一つない晴天。なのに季節感は曖昧だ。
今が何月の何日と考える事が出来ない程に穏やかな日常。
「覚悟を、決めるぜ、ヒァウィゴー」
そんな通学路で、俺はいつもの歌を歌う。
もう、何の歌だったのか忘れたはずなのに。
だけど、そのメロディと言葉だけが頭に残っていて、つい口にしてしまうんだ。
そんな日々が続き、学校では相変わらず友人達と話していた。
俺が、まだ、生きてる事に少し安心した友人は嬉しそうに笑うようになった。
やっぱり俺が、ここにいる事を喜んでくれる人は居る。……居てくれているのだ、きっと。
そして放課後になると一成達は生徒会へ、俺は真っ直ぐ家へと向かう。
今日も無事に一日が終わった。これで明日もまた同じ様に朝を迎えられると信じて──。
(違う)
本当にそうだろうか?
(違うよな、だって────)
この感覚には覚えがある。今までずっと味わってきたモノだ。
(もう、どうしようもないほど"ずれてしまっている"んだから、このままだと俺は……)
そんな違和感を感じながらも、何も出来ずに家に辿り着く為に。
そう、考えていた時に。
「先輩ですよね?」
「んっ」
声をかけられた。
振り返ってみれば、そこにいたのは一人の女性がいた。
一番に目を向けたのは、赤紫がかった銀髪に赤い瞳。
先輩と呼ぶ彼女は、一体誰なのか。
俺は知らない。
けど、なぜか、俺は。
知っている。
「新条アカネ?」
なぜ、俺は、その名前を呟いたのか分からない。けど、どこか懐かしくて、愛しいと感じる響きがあった。
けれど、目の前にいる女性とは初対面なのは確かな筈なのに。
「あー、いきなりすいません。でも先輩って感じがしてつい話しかけちゃいました」
「先輩……」
そうだ。何故だろう。この人からは懐かしいと感じてしまうのだ。
初めて会った気がしない。それどころか、ずっと前から知っていたような気さえする。
「先輩、その」
「なんだ?」
「こんな事をいきなり言うのは変かもしれないけど」
そう、俺の方に目を向けた新条さんは。
「助けて!」
まるで、泣きそうな顔で、こちらに手を伸ばしてきたのだ。
どうしてだろう。それは確かに初めての出来事なのに、
「いきなり、何を言っているんだ、助けてって、警察にでも」
俺は思わず、呟く。
だけど、それと共に聞こえたのは地響き。
疑問に思っていると、目の前に現れた巨大な存在。
その容姿は、まるで怪獣だった。
「なんだ、これ……」
「怪獣……です」
そんな馬鹿なと言いたいが、目の前の存在を見てしまえば何も言えない。
だが、そんな俺とは違い、新条さんは冷静に答えたのだ。
「怪獣?」
「……はい」
そんなのがどうしてここに居るのか、そしてどうして俺達の前に現れたのか分からない。けど、今はそんな事を考えている暇はないようだ。
何故なら、怪獣がこちらに向かって来ているのだから。
(どうする?)
(逃げるしかない!)
(でもどこに?)
(分からないけど!)
そう頭の中で会話する間も怪獣は近づいて来るのであった。
俺は思わず新条さんの方を見ると震えている。
それは、それが彼女を狙っているのが分かるから。
「っ」
その瞬間、俺は新条さんの手を摑んで走り出していた。
「先輩!?」
驚いた声を上げるが、今はそれよりも逃げる事が先決だと直感的に判断したのだ。それに、このままだと二人とも死ぬだろう。それだけは避けるべきだ!
「早く!」
俺は新条さんの手を引っ張りながら走る。
その間も怪獣がこちらに近づいて来ているのを肌で感じる事が出来る。
(どうする!?)
頭の中で考えるが答えは出ない。
そもそもこんな状況になっているのすら理解していないのだから当然だ!
それでも今、分かる事は一つある。それは俺達の前に巨大な存在が立ちふさがっているという事だ! しかも逃げ道を塞がれている!
だから今は逃げる事に専念するしかない!!
そんな事を考えていると俺達はいつの間にか人気の無い場所へ辿り着いていたようだ。
だが、今の俺には気にする余裕は無かったのだが……とにかく離れようと走ったからか息が切れていた。
そして呼吸を整える為に深呼吸をすると同時に新条さんは話しかけてきたのだ。
「先輩」「なんっ」
それと同時だった。
新条さんは、俺の腕に何かを巻き付けた。
それは、まるで特撮のヒーローが変身アイテムに使うようなアイテム。
そのブレスレットに俺は何故か既視感を覚えていた。
まるで、最初から知っていたかのように……。
「これを」
そんな俺に新条さんは震える手で渡してくる。
「……これは?」
俺が思わず質問をすると新条さんは答える前に。
「分からない、けどっ」
新条さんは、俺の方に目を向ける。
「先輩が、ヒーローのような、気がして」
「俺が、ヒーロー?」
そんな訳あるか。
俺のどこにそんな要素があるというのだ。
なのに……何故だろう。このアイテムを見ていると懐かしい気持ちがする。だけど思い出せないのだ! そして、その懐かしさと同時に感じるのは恐怖だった。
俺は一体どうなってしまったんだ!?
「これは」
「先輩、お願い!」
新条さんは俺にそれを握らせてきた。
その瞬間に頭の中に流れ込んできた映像。それは、まるで自分の記憶のように感じたが、違うとすぐに分かった。何故ならそれは知らない光景だったからだ。だが同時にそれが何なのかも分かった気がしたのだ。そう、それはまるで自分が体験したかのような錯覚を覚える程のものだったからだ。
(でも、どうして)
疑問ばかりが浮かぶ中。
それでも俺がやるべき事は、新条さんを、助ける。
そして、俺はいつの間にか呟いた歌。
その歌が、何の歌か忘れた。
けど。
「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」
まるで、俺自身を奮い立たせる為に。
そのまま、まるで、それを知っているように。
「アクセス・フラッシュ!」
その瞬間、流れ込んだのは、記憶。
その記憶が一体何なのか分からない。
その巨人の名も、戦い方も。
巨人の名は、アルターグリッドマン。
それは、一言で言えば、漆黒の巨人。
巨人というよりも、ロボットと言えば、納得が出来る見た目であった。
近くにある車は、その巨人の出現に、ひっくり返りながら、周囲の建物を見る。
(これが、俺なのか)
そう、巨人となった俺は、驚きを隠せずに、ビルに映っている自分自身の姿を見る。
機械で出来た身体であるのか、人間であった頃に比べても、力が漲る。
未だに、信じられない状況の最中、ビルに映っている自分自身の青く輝く目付きの悪い顔を見る。
(こんなの悪役みたいじゃないか、第一、アルターグリッドマンって、なんだよ)
俺は、自分が変身した姿の名前に困惑を隠せずにいる間にも、再び地響きが聞こえる。
(もぅ来たのかっ)
それと共に、俺が見つめた先に立っていたのは、怪獣。
怪獣の中でも、最も王道と言えるゴジラを思わせる直立歩行の肉食恐竜型の怪獣は、尻尾を地面に叩きつけながら、真っ直ぐと俺を睨む。
「ッッッッ──-!!」
既に、こちらを敵だと認識したように。
怪獣は、地面を揺るがせるような雄叫びをあげると同時に、その重い足を地面に踏みながら、真っ直ぐと俺に向かって来る。
困惑を隠せないながらも、俺は、すぐに構えた。
そうしている間にも、怪獣は、口を開き、俺に噛み付く。
(ぐっ!!)
肩の装甲に、怪獣の牙が噛み付く。金属同士が無理矢理ぶつかったような嫌な音をさせる。
同時に、肩に感じる痛みは、確かに俺とアルターグリッドマンが一体化している事を実感させる。
(やられてたまるかぁ!)「ハァ!」
痛みで恐怖を覚えながらも、生きたいという思いが強かったのか。
俺は、不格好ながらも、反撃の蹴りを、怪獣に放つ。
噛み付きに集中していた怪獣は、腹部にその蹴りを食らうと共に、そのまま後ろに下がる。
それによって、肩へのダメージを最小限に抑える事が出来た俺。
しかし。
「ッッッッ──!!」
(怒らせてしまったのか)
反撃を喰らい、痛みを感じた怪獣は咆哮すると共に、そのまま俺に襲い掛かる。
勢いよく突進した怪獣は、俺に噛み付こうと迫る。
それに対し、俺は、すぐに避ける。
その噛み付きは、アルターグリッドマンの装甲で弾かれ、火花が散る。
「グガアアアッ」
まるで、獣のような鳴き声を発しながら、怪獣は何度も噛み付く。
その攻撃を避けながら、俺は、反撃の拳を放つ。
(これでどうだ!)
「ハァァァッッ!!」
力を込めた拳を放つと共に、鈍く大きな音が響く。
それは、アルターグリッドマンというヒーローの力で放った一撃であった。
しかし。
「なっ!?」
俺の放った一撃は、怪獣には通じなかった。
怪獣は、そんな俺の一撃を無視して、その尻尾を振り回す。
遠心力によって、威力を増したそれを、俺は受けきれず、吹き飛ぶ。
「グッ!!」
(まだ、駄目なのか……)
吹き飛び、瓦礫の中に倒れ伏しながらも、俺は立ち上がる。
しかし、既に息も絶え絶えだった。
いくらヒーローの力を借りていても、相手は怪獣なのだ。
勝てるかどうか分からない不安に、既に体中が悲鳴をあげていた。
『諦める』
そんな言葉が脳裏に浮かぶ。
自分はここで死ぬんだ。
そう思う事で、心が折れかけた。
だが。
(諦めてったまるかよぉ!!)『ハハアアアァァァ!!』
それと共に俺に向けて、振り下ろされそうになっていた怪獣の脚を、俺は受け止めた。
それだけではない。「ぐっ、おおおおお!!」
そのまま、足を掴み、無理矢理にでも持ち上げようとする。
突然の行動に驚きながら、怪獣は抵抗し、俺の手を振りほどこうとする。
だが。
「おおおおおおおおおお!!!」
(ここで、倒れる訳にはいかないんだよ!)「うおおおおおお!!!」
そう叫び、俺は踏ん張り続ける。
すると、怪獣は、そのまま地面に倒れ、その拍子に尻尾が千切れる。
「ッッ!?」
突然の出来事に驚く怪獣。
だが、すぐに怒りの咆哮と共に、その爪で俺を攻撃しようとする。
しかし。
『ハァ!』
俺は、その攻撃を跳び、避ける。
同時に、回し蹴りを怪獣に放つ。
怪獣は、その蹴りを受けて後ずさりをする。しかし、すぐに反撃の拳を繰り出してくる。
(ぐっ!)
再び攻撃を受けた俺は、後ろに下がる。
だが、今度は吹き飛ばされる事なく、踏み止まる。
そして、そのまま怪獣に向かって走り出し、拳を放つ。
『ハァ!』
「ガァッ!」
しかし、その攻撃は、怪獣に受け止められてしまう。
だが。
(一発が無理ならば!)
そう、次に拳を放つ。
(二発!)
次に蹴りを。
(攻撃が通じるまで! 何度でも!)
『ガァッ!!』
「うおおお!!」
(俺は、諦めない!!)
そして、その拳が、怪獣の顔面を捉える。
同時に怪獣は吹き飛び、地面に倒れる。
しかし、それでも怪獣は立ち上がる。
そして、そのまま俺に襲い掛かる。
「ぐあっ!」
その一撃を受けて、俺は吹き飛ばされる。
だが、後ろに吹き飛ばされながら、
(はぁ!)
そのまま、両手を前にクロスする。
その両手を頭の上に。
すると、両手に、赤と黒の稲妻が走る。
(ハァァァァア!!)
そのまま両手で円を描くように身体をそらす。
そして。
(グリッドビーム!!)
そのまま左腕を前に出す。
左腕から放たれたのは必殺の光線。
放たれた一撃は、そのまま怪獣に向かって行く。
「ッッッッ──!!」
怪獣は、すぐに受け止めるように構える。
威力の高いグリッドビームを支えるように、脚に力を込める。
しかし、グリッドビームの勢いは止まらない。
そのまま、怪獣は、後ろに吹き飛ばされる。
身体は、その赤と黒の光と共に爆散する。
「はぁはぁ」
戦いが終わった事に安堵しながら、俺白野は、その場に倒れ伏したのだった。
「はぁ」
(疲れた)
俺は、そのまま地面に倒れ込む。
そして、変身が解除されると共に、疲労感に襲われる。
「ううっ……」
(身体が重い……それに痛い)
そんな俺に対して新条さんはというと。
「先輩!」
俺の姿を見て慌てて駆け寄ってくる。
そんな新条さんに俺は苦笑いをしながら答えたのだ。
「……大丈夫」
そう答えるのがやっとだった。
しかしそんな俺に対して新条さんは心配そうな表情を浮かべながら言うのだ。
「あのっ! 本当に大丈夫ですか?」
そんな質問に俺はただ頷く事しか出来なかったのだ。
すると新条さんは安堵した様子だった。
「それよりも、さっきの怪獣は」
「分からないです、ただ」
そう言って、新条さんは。
「なぜか狙われている気がして」
そうしている間にも、何かがこちらに来る。
見ると、それは巨大な手。
「あれは一体」
そう困惑している間にも、その手によって地響きが起きる。
それと共に、巨大な亀裂の中が出来る。
そのまま、俺達は吸い込まれる。
「っ!」
俺はなんとか、新条さんを抱え込み、そのまま地面に転がる。
「ぐっ」
痛みを感じながらも、なんとか立ち上がる。
「ここは一体」
見つめた先。
そこにあったのは今では映画の中にあるような旧校舎。
「一体、何が起きているんだ」