黒いアカネに宣戦布告した後だった。
助け出した彼女を、そのまま休ませていた。
ゆっくりと、彼女は目を覚ますと。
「んっ、ここは」
「ああ、目が覚めたか?」
目を覚ました彼女の、その瞳は赤かった。
最初は、ゆっくりと首を傾げる。
だけど、すぐに跳び上がる。
「あっあのっ、ごめんなさい! 助けて頂き、本当にありがとうございます!!」
慌てた様子で、俺に向かって頭を下げてくる。
「いや、気にするなよ」
俺は苦笑を浮かべながら、そう答えた。
「とりあえず、名前を聞きたいけどっ」
「あっ、えっと名前ですか」
彼女は、それを聞くと少しだけ顔を赤くした。
だけど、ゆっくりと息を吸うと。
「……我が名はゆんゆん。アークウィザードにして上級魔法を操る者。やがて紅魔族の長となる者……!」
そう、彼女は、ゆんゆんは名乗った。
「ゆんゆんか」
その名前を聞くと、俺は頷く。
「その、可笑しいと思わないんですか?」
俺に問いかける。
「可笑しいと言われても、可笑しいかどうか判断出来るだけの人とは、まだ会っていないからな」
記憶を無くしてから、それこそ両手の指ぐらいしか人は会っていない。
「そっそうなんですか、その、すいません」
俺が言うと、なぜかゆんゆんは謝ってきた。
「まあ良いさ、とりあえずは、拠点にしている場所に行こうか? そこでゆっくり話を聞かせてくれ」
「わっ分かりました」
俺はゆんゆんを連れて、拠点へと戻った。
「えっと、それで、ここは一体どういう場所なんでしょうか?」
「うぅん」
それを説明するには、あまりにも謎が多すぎる。
ここが、様々な世界が入り交じっているような奇妙な世界。
そういう世界である事しか、今の所説明出来ない。
「まぁ、よく分からないけど、色んな世界が一緒になっているとしか言えないかな」
「……」
「まぁ、それを解決する為に、戦わないといけないけどな」
「戦うって、誰と」
「うぅん、それは」
黒いアカネと、言いたい所だ。
だけど、疑問は未だに残る。
そもそも、あの黒いアカネは、どのようにして怪獣を作る力を手に入れたのか。
疑問は多くあるが、それをどう答えたら良いのか。
それらも含めて、話し合う必要はあるだろう。
「あと、その、一つ質問しても良いでしょうか?」
「なんだ?」
俺が、考えていると、ゆんゆんはこちらに問いかけてきた。
何か心配するような出来事でも。
「いえ、その、何か挨拶をする際にお土産とか必要でしょうか、こういうのはやっぱり第一印象で友達になれるかどうか決まるので!」
そう、ゆんゆんは聞いてくる。
「そもそも、この辺に、何か買う所って、あったけ」
「あっ」
俺の言葉にゆんゆんは思いっきり目を開いて、驚いた。
大丈夫だろうか。