ゾグを倒したはずだった。
その中にいる黒いアカネに、話を聞こうとした。
だけど、俺達の前にいたアカネは、操り人形だった。
「これって、一体、何が起きているの」
そう、アカネからの声が聞こえた。
おそらくは、この場にいる誰もが同じだろう。
同時に、その糸を手に持っていると思われる存在に目を向ける。
「っ」
そこにいたのは、人。
先程まで戦っていたゾグなど、本当に人形としか見えない程の大きさ。
巨人のはずの俺達が、人形としか思えない程の大きさの人間がいた。
「なんだよ、あれは」
「あれとは、少し悲しいですね」
笑みを浮かべたその人物は、こちらを見下ろす。
そこに立っていた人物の瞳は、俺達を見ていた。
「お前は」
「そうですね、せっかくここまで楽しませてもらったのですから、自己紹介を」
そう、彼女は、そのまま自分の名を告げる。
「殺生院キアラと申します。どうか、お見知りおきを」
「っ」
同時に、俺の脳裏には、何か覚えのない記憶が。
「なんだっこれは」
「ふふっ、さすがはあの方を参考に造り上げた怪獣だけありますね」
「怪獣っ」
その言葉に、全員が驚きを隠せなかった。
同時に、俺のグリッドマンとしての顔にヒビが入った。
そこに触れてみると、そこには。
「なんだ、これ」
人間とも、違う何か。
同時に、武器が反射して、映った俺の顔は、怪獣。
「俺が、怪獣」
「そう、そこにいる数多くの新条アカネ。彼女の心を救った英雄、グリッドマンを模して作れられた存在。それがあなたの、英雄怪獣・グリッドマン・アルターとでもしましょうか」
「っ」
その言葉に対して、俺は、どこか納得した。
だけど、同時に。
「だとしたら、あなたの目的は一体っ」
「あら、そこのお方を通じて、お伝えしたはずでは?私は、ただ、物語を見たいと」
そうしながら、殺生院キアラは周囲の世界を泡を掴む。
「ここにある世界。それらは全て夢、幻。あなた方が言うマルチバースなどではない泡の中にしか存在出来ない世界」
「なっ」
「実際に、ただの一突き。それだけでこの世界は破れてしまう。だけど、それでは、私はつまらない。だからこそ、物語を見る事にした」
そうした彼女は、殺生院キアラはこちらを見下ろす。
「そんな物語も、ここで終わりとしましょう。所詮、あなたはヒーローの夢、幻。
怪獣であるあなたでは、本物になる事は出来ないのですから」
その言葉に合わせるように、合体していた彼女達が離れていく。
「なっ、待ってっ」「っ」
すぐに彼女達は、俺に手を伸ばす。
だけど、伸びてきた黒い手が、彼女達を掴む。
「俺はっ」
このまま、終わってしまうのか。
俺が、そう手を伸ばす。
けど、彼女達には、届かない。
もぅ、諦めるしかないのか。
そんな絶望を。
『『諦めるなっ』』