心地良いまどろみの中から、目を覚ます。
白い陽射しの中、すぐそばにキラの寝顔がある。
安らかに瞳を閉じた、無防備なキラの表情。
緩く抱き寄せられたまま、ラクスは顔を上げて彼の頬をなでた。
昨夜の甘い時間をゆったりと思い返して、ラクスは今朝も頬を赤らめる。
ふと思いついて、彼の頬をくすぐる。指先でふにふにとつつくと、キラは無意識に小さな笑みを作った。
身も心も重ねて愛し合うけれど、夜はいつもキラに翻弄されてばかりだ。もちろん、キラが好む行為をしている時、彼だって羞恥と快楽に恥ずかしい吐息を洩らすが、そういう時はいつも、キラを見上げなければならないので、じっくり隅々までその様子を観察することはできない。
自分だけにしか見せない、キラの表情。仕草。
それをもっと、ラクスは知りたかった。
「キラ……」
さわさわと耳たぶに触れながら、そっと唇を奪う。舌は差し込めないから、代わりに上唇と下唇を交互に甘くかみ、やさしくゆっくり吸いつく。
「ん……」
下腹部に反応があり、気をよくしたラクスは、キラのうなじへと舌先を移した。
鎖骨のあたりをちろちろと舐め上げて、キラのにおいと汗の味が口内に広がっていく。
体を寄せながら、ラクスは親指でキラの乳首をまさぐった。
「ん……んん……」
クリクリと指の腹で円を描く度、眠ったままのキラが眉根を寄せて低く喘ぐのを、ラクスは見逃さなかった。
起こさないように。慎重に。
今度は舌で、キラの胸の先端をせめる。そこは痛いくらいに突起していて、ラクスは舌を這わせながら、自身の体が熱く火照ってくるのを感じた。
キラの胸から腹部、太ももから中心へと、指先を滑らせていく。
「ラ……ク、ス……?」
キラが薄く目を開けて、ラクスの企みは今朝も失敗に終わった。
「おはようございます、キラ」
「おはよう、ラクス……」
ラクスはブランケットの中から顔を出すと、ぼんやりとした表情でこちらを見つめるキラと目覚めのキスを交わした。
それでも寝ぼけ眼のままのキラへ抱きつきながら、ラクスは彼のうなじへいたずらをするように唇を当て、深く吸いついた。
「ん……だ、だめだよ、ラクス」
震える声でささやきながら、キラの腕がようやくラクスの背中とお尻へ回される。
「やめますか?」
「……いじわる」
頬を紅潮させ、叱られた子供のような瞳で見つめてくるキラの表情は、間違いなくラクスだけのものだった。
「……っていうようなことがあって」
アスランとカガリが口に含んだ紅茶を吹き出したのも気にせず、キラはのほほんと言い放った。
メイリンは両目を点にしながらダラダラと汗を流し、ラクスは頬に両手を添えたまま、顔を真っ赤にして俯いている。
首の痣みたいなのは、キスマークなんじゃないか? ーなどという軽はずみな質問を口にしたことを、カガリは後悔した。
「それで、今朝は少し冷え込んでたから、二人で毛布を被り直して……」
『お前らもう正体明かして復帰しろっ』
数ヶ月ぶりに顔を合わせたアスランとカガリの怒声が見事に重なった。
了