キラの中指がクリトリスの上でやわく円を描く度、甘美な刺激が下腹部から全身へ広がっていく。
「あ……ん……キラ」
「いいよ、ラクス。大丈夫だから」
ゆるく握り込んだ左手を口元へ添えながら、ぶるっと震えてラクスは達した。
これでもう、三度目になる。
全身の肌はしっとりと汗ばみ、シーツには溢れた愛液がいやらしい染みを広げていた。
「はぁ……ぁ……」
うつろな双眸で見上げるラクスに、キラは甘い表情で笑顔を返す。
乳房の頂きへキスを繰り返した後、キラはラクスの中心へ右手の中指と薬指をゆっくりと埋没させた。
「あっ……んん……っ」
そっと、丁寧にかき乱される。
いたわるように、やさしく。
絶頂を目的としないキラの愛撫は、マッサージのようだった。静かに指先が前後する度、けれどラクスの恥部からは愛液がとめどなく溢れた。
「キラ……あ……っ」
枕と首の間に回されたキラの左手が、ラクスの髪をなでるようにまさぐる。
ラクスが潤んだ視線を投げかけると、キラはラクスの吐息ごとキスで呑み込んだ。
「ん……ん……っ」
唾液と舌が絡み合う、その間も、キラはラクスの中で指先を往復させ続けた。ラクスの両脚は大きく開いたまま、キラの奉仕を受け入れている。
「あっ……だ、だめっ」
斜め上をノックするように、キラの二本の指が淫らにうねる。
キラを深く抱き寄せながら、ラクスの体はビクンと跳ねた。
これで、四度目。
愛液が、さらに溢れる。
「はぁ……はぁ……」
ラクスは赤ん坊のように全身をベッドの上に投げ出したまま、動けなかった。
もう一時間以上も、キラはラクスにとろけるような甘い時間を提供していた。
あの夕暮れの砂浜で、二人身も心も重ねて愛し合ってから、夜のキラは万事がこの調子だった。
全身全霊で、愛してくれる。
キラの寵愛は、やさしすぎた。愛撫に心が溶けて、何も考えられなくなってしまう。
「キラ……」
抱き寄せ、頭をなでてくれるキラに、ラクスは甘えた声でささやいた。
「もう…欲しい、です……。我慢できません……」
「僕もだよ、ラクス」
ラクスが欲しいーというキラのささやきに、ラクスの頬が赤らむ。
ゆっくり。
ゆっくりとー。
キラが自身の奥深くに到達する。彼のカタチが、自分の中にはっきりとわかる。
「あっ……! あぁッ!」
度重なる愛撫で感度が上がったラクスは、それだけで五度目の絶頂を迎えた。
◯
「根を詰めすぎると体に毒ですよ、ラクス様」
公務の休憩中、メイリンは食い入るようにモニターを見つめるラクスの手元へ紅茶のカップを置きながら言った。
「あ、いえ……これは、そういうわけではありません」
「メイリンの言う通りだぞ、ラクス。休む時は休む。メリハリだぞ、メリハリ」
横からカガリがラクスのモニターを覗き込もうとしたので、ラクスはそっと電源をオフにした。
「?」
「お言葉に甘えて、休憩させていただきますわ」
公には生死不明のラクス・クラインが、オーブのアスハ代表の公務を影で支えていることを知る者は少ない。最近、カガリはそこにメイリンを呼び寄せて、実務の進行と雰囲気をさらに華やかなものにした。
「ラクス様、最近さらに肌ツヤがよくなりましたね」
対面の席に腰掛けたメイリンは手を伸ばして、ラクスの頬をふにふにと触りながら感嘆のため息をもらした。
「そりゃあもう、キラと毎日一緒にいられるんだからな」
「ですよね〜」
きゃっきゃっと囃し立てる二人に、ラクスは少々複雑な笑顔を返す。
「そういうカガリさんも、今日はなんだかメイクに気合が入ってるみたいですけど?」
「え? あ、いや。これは、まぁ……いいだろ、別に」
長期の任務を終えたアスランは、昨日からオーブへ帰還している。だから実は、肌ツヤがいいのはラクスだけではない。メイリンは意地の悪い含み笑いを向けて、カガリを困らせた。
「よろしいですわね……」
気のない返事をするラクスの顔を、メイリンとカガリが同時に覗き込む。
「まさか……倦怠期ですか?」
「キラのやつ、またラクスのことほったらかしてるんじゃないだろうな。もしそうなら、今度は私がぶん殴ってやるからな」
「あぁ、いえ、違うのです。決してそういうことはなくて……」
逆だった。
満たされ過ぎていて、怖いのだ。
キラはこれ以上ないほどやさしく、包み込んでくれる。それは精神的な意味だけではなく、体の面でもそうだった。
昨日も、先週も、先々週も……。ラクスはキラからのまっすぐな愛欲に、ほとんど毎晩骨抜きにされていた。
昨晩は一体何回達しただろうか。内と外の両方からたっぷりと注がれる愛情を思い返して、ラクスは頬を赤らめながら俯いた。
「私からも、もっとキラに悦んでいただきたくて……何かできることはないか、考えていただけですわ」
「なるほど」
メイリンの目の奥がキラリと怪しく光った。
チラとカガリの方へ横目で目線を走らせてから、メイリンは脇に置いたバックへ手を落とした。
「ちょうどいいものがありますよ、ラクス様」
メイリンがバックから取り出したのは、猫の耳を模したカチューシャだった。
「それは……?」
「まぁ、ちょっとしたコスプレですよ。これをつけてるところを見せれば、キラさんもきっと悦ぶはずです」
「ん?」カガリが慌てた様子で室内を見渡し始める。「あれ? え?」
「こういうのものが、殿方はお好きなのですか?」
「本来はお祭りでつけて記念写真を撮ったりするものですね。この間、街でカーニバルがあって、公務で手伝ってたじゃないですか。そこの出店で売ってたやつです。アスハ代表に差し上げようと思って買っておいたんですけど……もう購入されていて必要なかったみたいですから、ラクス様に差し上げます」
鎌をかけられたことに気づいて、カガリは慌てて席に座り直した。
「そそそうだぞ、ラクス! 男なんて単純だからな、猫の鳴き真似でもしながら抱きついてやれば、キラだって元気になるんじゃないか!?」
「カガリさんは、猫の鳴き真似しながらアスランに抱きついたんですか?」
「ぶっ!」とカガリが吹き出す。
「やってない! そこまではやってない!」
「ほぅほぅ、じゃあどこまでやったんですかね〜?」
メイリンにいじめられるカガリを尻目に、ラクスは手渡された猫耳のカチューシャをしげしげと眺めていた。
くちゅくちゅと舌が絡み合う。
お互いの愛情と淫欲を交換しながら、キラは火照る感情を持て余して目を細めた。
今夜のラクスは積極的だった。
ベッドの中央に腰を下ろし、その上にラクスを抱えて、抱き合いながらキスを交わし始めたはずが、気づくとキラを押し倒す勢いでラクスが胸を押しつけてくる。息ができないほどに、口内をまさぐり合う。キラは両手を後ろについて、なんとか上体を起こしていた。
「ん……キラ……」
ようやく唇を離した時、別離を嫌がった互いの舌先がいやらしく糸を引いた。
「ラクス……」
早くもわずかに呼吸は乱れ、体中がお互いの内側を求め始めている。
キラがいつものように奉仕しようと伸ばした右手に、ラクスは頬をすり寄せて首を横へ振った。
「今夜は、私が……」
「でも……」
ラクスが潤んだ瞳でキラを見つめる。
「目を閉じてください」
「なにを……」
困惑しながら、キラは素直に両目を閉じる。
ラクスがベッドサイドへ手を伸ばす音がした。
「もう、大丈夫ですわ」
合図で瞼を開いたキラは、そのまま両目を大きく見開いた。
恥ずかしそうに頬をピンクに染めながら、かわいらしい猫耳のカチューシャをつけたラクスがそこにいた。
「ラクス……それは……?」
「メイリンさんとカガリさんから、これをつければキラに悦んでもらえると教えていただきました。似合いません、か……?」
キラは言葉に窮して、しばらく声が出なかった。
「に、ニャン……」と言って猫の手のポーズをとってから、ラクスは恥ずかしそうに俯いた。「……で、よろしいですか?」
ラクスはこれを見せるために、今夜は寝室のライトを点けたままにしていた。だからラクスのしなやかな裸体は、豊かな双丘の桜色の突起の先端までよく見えたし、猫耳の下で真っ赤な頬に両手を添えて目を伏せるラクスの愛らしい表情は、キラを魅了してやまなかった。
ゴクリ、とキラの喉が鳴る。
自身の下腹部の下でキラの男性の部分がビクンと跳ね、ラクスは自分の奥が濡れ始めていることをはっきり自覚した。
くちづけの先で数回舌を絡めた後、ラクスはキラのうなじから鎖骨、胸板の先端へキスの場所を移していく。
ラクスがくすぐるように舌先を動かすだけで、キラは呼吸を止めて小さく身震いした。
キラの体温が上がっていくのを感じながら、ラクスはキラ自身へ右手の指先を伸ばした。
「あっ……ラクス……」
彼の袋をやわく揉みしだく。すぐに我慢できなくなったのはラクスの方で、そのまま指先をキラの先端へ滑らせ、包み込み、ゆっくりとしごき上げた。
「はぁ……はぁ……」
甘えん坊の子供をあやすように、ラクスは時折キラの亀頭をなでた。
キラの表情から、彼が痛みを感じていないことを注意深く確認する。しばらくキラをもてあそんだ後、ラクスはほんの少し前屈みになった。
「! ら、ラクス!?」
キラの声を無視して、ラクスは自分の乳房の頂きをキラの先端へ近づけた。溢れた透明な愛液ごと、キラの亀頭はラクスの乳首へ触れて、二人は同時に身悶えした。
「はっ……はっ……」
「はぁ……はぁ……」
いまや、昂っているのはキラだけではなかった。
ラクスは頬を紅潮させたまま、今度は乳房の中央にキラ自身を挟み込んだ。
「う……っ! あ……」
信じられない光景だった。
自分の欲望の象徴が、ラクスの双丘に埋没し、その先端だけがうれしそうに顔を覗かせて、ラクスの愛撫を待っている。
「ま、待って、ラクス……!」
やはりラクスはキラの制止を聞かずに、両手を自身の乳房に添えて、キラ自身をしごき始めた。
ラクスの中とはまた異なる快感が、キラを翻弄する。透明な愛液は先端からとめどなく溢れ、ラクスはそれをちろちろと舌先で舐め上げた。
ラクスの頭の上で、猫耳がひょこひょこと愛らしく揺れている。
「う……ぁ……どこで、こんな、こと……」
「……ないしょですわ」
ここ数日、あらゆる空き時間を使って勉強していたなどとは、まさか言えまい。
「ぼ、僕も……ラクスに、してあげたい」
「だめです」
恨めしそうな口調のラクスに、キラは快楽の隙間から眉根を寄せた。
「今日は、私がキラを気持ちよくさせるんです」
「ラクス……?」
「だって……昨日は、キラ……。い、イかなかった、から……」
キラはようやく合点がいった。
確かに、昨夜は結局、キラは達しなかったのだ。
「あれは……違うんだ、ラクス」
二人ひとつになって、離れたくなかった。達してしまったら、そこで彼女を手放さなければならない。
毎日、そうだ。
ラクスの顔を、もっと見ていたい。声を聞いていたい。
全身で彼女を感じていたかった。
「わかっています。でも、私も、キラにもっと悦んでもらいたいのです」
「ラクス……」
俯くラクスの赤みがさした頬を、キラはそっとなでた。
「口で、してほしい……」
おねだりに慣れていないキラは、顔を上げたラクスと入れ替わるように顔を伏せた。
ラクスよりもさらに、顔中が赤くなっている。
「ラクスの口に、出したい」
「はい、キラ……」
キラ自身を乳房から解放する。
依然として硬くそそり立つ彼を、ラクスはうっとりとした表情で口内へ迎え入れた。
「あ……」
待ち望んでいた快楽が、キラの下腹部をあたたかく包み込む。
ラクスはキラ自身を口と手の両方でやさしくしごいた。
「ん……ん……」
浅く、深く、口を前後させる。
舌を絡め、吸いつき、裏側の一番敏感な箇所を舐め上げる。
「気持ちいい、ラクス……」
キラの呼吸は、さらに乱れた。
見上げるラクスと、眉根をせつなく歪めるキラの視線が交錯する。
キラの理性を置き去りして、もっともっととせがむように、キラ自身はラクスの口内を味わっていた。
ラクスの口の動きにあわせて、彼女の豊かな乳房が揺れているのが見える。我慢できなくなったキラは、右手を伸ばしてラクスのやわらかな果実を揉みしだき、人差し指と親指で乳首をコリコリとつまみ上げた。
「ん…ぁ……」
ラクスの猫耳がピクンと揺れる。
「はぁ……はぁ……!」
「ん……ちゅ……」
ラクスはキラ自身の硬度がどんどんと増していくのに気をよくして、前後の動きを速くした。
浅い方がキラの好みであることを、ラクスはキラの表情と喘ぎ声から読み取っていた。
ちゅ……くちゅ……と、卑猥な音が響く。
キラ自身の熱さが増し、ラクスが左手を添えている彼の太ももに力がこもる。
「も、もう……ッ! ラクス」
「はい、キラ……ん……」
「イ、ク……い、いい? 出すよ」
「んっ……ん……っ!」
「あ……ッ!」
腰をわずかに前へ突き出しー。
キラは達した。
「ん……」
熱く膨張したキラの欲望を、ラクスは恍惚とした表情で受け止めた。
「あ……まだ、出る……ラクス……」
びゅ……びゅる……と、キラ自身は嬉々としてラクスの口内へ射精を繰り返した。
「は……は……」
すごい量が出た。
白い熱量がようやく沈静化し、口を離した後、ラクスはキラを見上げながら彼の愛情を全て飲み下した。
「はぁ……ぁ……ラクス……」
「気持ちよかったですか、キラ?」
息も整わないまま、キラはコクコクと何度も頷く。
「ありがとう、ラクス」
キラがラクスを抱き寄せ、ラクスは彼のうなじへ頬をすり寄せた。
お互いの存在を確かめるように、二人はしばらく、そのまま動かなかった。
「今度は、二人で、気持ちいいのがいい……」
「私もです、キラ……」
キラは少し困った顔で、ラクスの頭の猫耳カチューシャをそっと外して、ベッドサイドのテーブルへ置いた。
「キラ?」
「いいんだ。いつものラクスと、その……えっちしたい、から……」
猫耳をつけたラクスが凶悪な可愛さだということを、否定するつもりはなかった。
ただ、抱き寄せる時、頭をなでる時、ラクスを味わう時は、二人生まれたままの姿がよかった。
「おっきくして、ラクス……」
キラはラクスへ見せつけるように自分自身を右手でしごいた後、ラクスの顔の前へ差し出した。それをラクスが舌先から口の中へ招き入れ、数回前後に往復させただけで、キラは再び硬度を取り戻した。
「おねだりしていい?」
「はい」
「今日は、向かい合ったまま、したい」
キラのまっすぐな視線に、ラクスは笑顔を返す。
「ラクスがほしい」
「よろこんで、キラ」
ラクスはキラの腰部に跨ったまま、両膝をついて腰を浮かせた。
キラが中指でラクスの中心をなぞると、とろりと溢れた愛液がキラの指先から手の平を伝って、キラの先端へと滴った。
ラクスはゆっくりと腰を落として、激しくそそり立つキラ自身を中心へ迎え入れた。
「あ……キラ……」
濡れそぼったラクスの恥部は、よろこんでキラを根元まで呑み込んだ。待ち望んでいた瞬間に、ラクスは恍惚とした表情で目の前のキラへしがみつき、小さく震えた。
キラを中に感じるだけで、もう達してしまう。
このままいけば、どうなってしまうだろう? キスだけで、キラの声を聞くだけで、自分は濡れてしまうかもしれない。
事実、ラクスの奥からは蜜のような愛液がとめどなく溢れて、キラを悦ばせようとしていた。
「キス、欲しい、ラクス」
「はい……」
男女の部分をつなげたまま、くちづけで互いの想いも重ねていく。
「ん……」
「は……ん……キラ……」
存分に口内を味わった後、なおもラクスはキラの頬に両手を添えたまま、とろんと表情をふやけさせた。
キラの指先が、ラクスの目尻に触れる。
「こそばゆいですわ、キラ」
「好きなんだ、この体位。激しいのも、いいけど……」
言ってから、キラはまた赤くなって語尾をごにょごにょと弱める。
恥ずかしい以上のことを、たくさんしているのに。
ラクスはクスリと笑ってキラを胸の谷間へ抱き寄せた。
「ほんとだよ? ラクスの顔を、じっくり見ながらできるから……だから、出さなくても平気だったんだ」
「わかっています、キラ」
しばらく見つめ合った後、ふいにキラが緩く下から突き上げて、ラクスはたまらず愛らしい喘ぎ声をもらした。
「あ……ん……っ」
それは、とても贅沢な時間だった。
キラが腰を動かす間、ラクスはキラの髪をかきむしりながら、彼の頬やうなじに舐めるようなキスを繰り返した。キラが口を少し前に差し出すと、ラクスは深い角度をつけて彼の唇を奪い、全身でむしゃぶるようにキラの全てを味わった。
ラクスが腰を前後にこすりつけると、キラはラクスの両方の乳房を下から揉みしだき、つんと上を向いた乳頭へくすぐるように舌を這わした。
「ふ……ぁ……」
「ん……」
はちみつのように甘い時間。
子猫がじゃれ合うように、二人はゆっくり時間をかけて愛し合った。
今夜の二人に、激しさは必要なかった。
潤んだ瞳で見つめ合い、とろけるようなキスをして、しっとりと汗ばむ体を抱きすくめる。吐息を呑み込むように、何度も飽きることなく唇を重ねる。
ぷちゅぷちゅと泡のように溢れた愛液の下で、互いの恥ずかしい部分だけが卑猥でいやらしい往復を繰り返している。
永遠に続けばいいと、ラクスは思った。刹那に交わす笑顔から、キラも同じ気持ちであることがラクスにはわかった。
「はぁ……はぁ……」
「あっ……あん……っ」
「も、もう……ラクス」
「はい……キラ」
甘美な刺激の中心で、キラの欲望が硬く膨張している。
「う……あっ……出したい。出していい?」
「あっ……キラ、の……全部、ください……」
ほんの少し、キラの腰の動きが速くなる。
ラクスはキラの頭を深く抱き寄せながら、彼の動きに合わせて腰を上下させた。
「はぁ……はぁ……!」
「あっ! あ……ッ!」
顔を上げ、せつなく舌を差し出したキラの唇をラクスのくちづけが塞ぐ。
その瞬間ー。
キラとラクスは、静かに果てた。
「……………ッ!」
「は……ぁ……」
一番奥に、出ている。
キラが、自分の全てを満たしていく。
キラが射精を続ける間、ラクスは小さく震えるキラをいさめるように、強く抱きしめ続けた。
「ラクス……」
「あ……まだ、いや……」
両脚を、キラの腰に絡める。彼の首へ回した両手で襟足をつかみ、肩口へ顎を乗せる。
自分の最奥に、熱く脈打つキラの鼓動を感じる。
「離れちゃ、や……」
「大丈夫だよ、ラクス。そばにいるから」
キラにしか見せない、ラクスの乱れた表情。仕草。
それがうれしくて、キラはラクスよりは幾分かやさしく、彼女を抱きすくめた。
ーあたたかい。
ずっと、こうしていたい。
やがて呼吸が落ち着いても、二人は離れなかった。
「ラクス……」
「キラ……」
愛おしいーという言葉でも、まだ足りない。
互いの愉悦と欲望の全てを放出してもなお、全幅の信頼と甘えの中で、二人はしあわせだった。
「愛してる、ラクス」
「私も、愛しています、キラ」
◯
「ラクス様、なんだか今日はとても機嫌がいいみたい」
メイリンの声に、ラクスはハッと我に返った。
いけない。紅茶のティーカップを手にしたまま、物思いに耽ってしまっていた。顔がにやけていたかもしれない。
でもーと、ラクスはまた甘美な時間を夢想する。
昨夜は素晴らしい時間だった。
達するためではなく、お互いを深く感じるための行為。
あんな愛し合い方もある。
猫耳のカチューシャはキラを少し困らせてしまったが、同時に新しい彼の一面を見せてもくれた。
恥ずかしそうにおねだりするキラを、ラクスは初めて見た。彼が口の中に注いでくれた愛情も、明らかにいつもより多かった。
「そういえば、あのカチューシャどうでした? キラさん、喜んでくれましたか?」
「え? えぇ、まぁ、そうですわね」
「一緒に記念写真くらい撮れました?」
写真……。
なるほど。そういえば、そんな行為のやり方もあると書いてあった。もしかしたら、キラは好きかもしれない。
そうだ、あのカチューシャをキラにつけてもらうのもいい。猫耳のキラの頭を、あやすようにたくさんなでてあげたい。
またまだ知らないことがたくさんある。
ラクスは、キラの新しい一面をもっと見たかった。
「そっか……あんまりでしたよね」
黙り込むラクスに、メイリンが申し訳なさそうに顔を伏せた。
「実は、先日のカーニバルの担当者から連絡があって、マジックショーで使う予定だったステージ衣装の納入日を間違って発注しちゃったみたいで、執事とかバニーガールの衣装が届いてるんですけど。これはさすがに必要ないですね」
言いながら、メイリンはカガリの方へ向き直った。
「ん? な、なんだ、メイリン? 私は着ないぞっ、そんなもの」
「執事姿のアスランに、給仕してもらいたくないですか?」
「う……い、いらない」
「あ、ちょっと目が泳ぎましたね」
「メイリンさん!」
ラクスがテーブルに大きく身を乗り出して、メイリンとカガリは同時に上体を逸らしてラクスを仰ぎ見た。
「ラ、ラクス、様?」
「その衣装のお話、ぜひ詳しくお聞かせください」
ラクスの瞳の奥が妖しく光っていた。
了