※この作品はR-18です。

ミライレコード   作:kuroto xanadu

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アップデートをやっと終えてマギレコのアーカイブアプリでストーリーを見れないことを知ってしまった。
YouTubeで見るしかない。

長めです。
すみません。


最強の魔法少女?

 絶交ルールのウワサを倒した数日後。

ういを探し続けるいろはだが残念ながら成果は未だない。

手伝ってくれているももこ、レナ、かえでの方も成果はない。

ただ、かえでの話では絶交ルールのウワサに囚われていた人達が生還してきたそうだ。

その話を聞いていろははウワサを追って行けばういに辿り着ける可能性を考えた。

そして、ウワサを追っていくことを決意した。

ただ、手がかりが全く無いのでまずは人に聞いてみることにした。

 

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 みたまの調整屋。

 

「それで噂を調べ始めたのねぇ」

 

「はい。そうなんです」

 

いろははみたまに会いに来ていた。

 

「今のところはどんな調子?何か噂は聞けたのぉ?」

 

「えっと…それがもう…ダメダメで…声をかけるのも緊張しちゃうし何も分かりませんでした」

 

気を落とすいろは。

 

「それは半端な気持ちだからじゃないかしら?」

 

いろはの背後から声が聞こえた。

 

「やちよさん⁉それに未来さん!」

 

「こんにちは。環さん」

 

「やっほ~未来さん」

 

現れたのはやちよと未来だった。

 

「本当に真剣なら躊躇うことは無いはずよ。半端な気持ちで首を突っ込むのは止めなさい」

 

そう忠告するやちよ。

 

「でも…ういが関係してるかもしれないし…」

 

「その事情は承知の上よ。だけどその調子じゃ一向に何も分からない。それに何かあればウワサに呑まれてしまうだけよ」

 

いろはを責め立てるやちよ。

 

「まぁまぁまぁ。いろはちゃんは悩んでるだけ。別に軽視してるわけじゃないわ。ね、やちよさん」

 

いろはをフォローするみたま。

 

「ちょっといじめすぎじゃないか?」

 

未来も横から口を出す。

 

「…」

 

黙るやちよ。

 

「なんかすみません。心配させちゃったみたいで…」

 

気まずい気持ちになるいろは。

 

「別に心配してるわけじゃないわ」

 

「う…じゃあどうして止めたんですか?」

 

「それに答える必要は無いわね」

 

そう突き放すように返すやちよ。

 

「え?」

 

呆けた声を出すいろは。

 

「それじゃあ…みたま、今日も魔力の強化をお願いするわ」

 

「えぇ。お代があれば大歓迎~♪」

 

急に満面の笑みに切り替わるみたま。

 

「奥で待ってるから準備が出来たら来てちょうだい」

 

そう言い残して奥へ歩き出すやちよ。

未来はその場に残っている。

 

「…いろはちゃん、水名区まで足を伸ばしてみる?」

 

そう提案するみたま。

 

「水名区…ですか?」

 

「確かね…神社にまつわる噂があったはずなのよ。詳しくは覚えてないんだけど調べてみたらどうかなぁって?」

 

「は、はい!調べてみます!噂のこと、まだ何も知らないですし」

 

「もし行くなら水名女学園はどうかしら?」

 

「そこなら何か分かるんですか?」

 

「ううん。歳が近い子の方が聞きやすいかなぁって」

 

「あ、そうかもしれません」

 

「でしょ?」

 

「はい。ありがとうございます。みたまさん」

 

情報を教えてくれたみたまにお礼を言ういろは。

 

「…俺も行くよ」

 

「未来さん?」

 

そこで協力を申し出たのが未来だった。

 

「やちよじゃないけど君は何というか…色々危なっかしいし」

 

「ふぇ⁉」

 

「いいじゃない~強いナイトが守ってくれるっていろはちゃん」

 

完全にこの状況を面白がっているみたま。

 

「うぅ…」

 

未来の顔を横目で見ながら恥ずかしそうに頬を染めるいろはだった。

 

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 水名区。

2人はまず水名女学園の正門前で出てくる生徒を待った。

ただ、女子校で男慣れしていないお嬢様育ちの女子生徒達が未来に見惚れて情報収集が進まないのでいろはに

 

「未来さん、ちょっとあっちに行っててください!」

 

と、半ば無理やり追い出されてしまった。

その後もいろは1人で情報収集したものの成果はなし。

日も落ちて夜になってきた。

 

「どうだった?」

 

未来の問いにいろはは首を横に振った。

 

「誰も知らない。もしかしたら魔法少女に聞いた方が早いかな。でもどうすれば聞けるかな?う~ん…」

 

いろははそこまで考えて、す~っと大きく息を吸い込んだ。

 

「環さん?」

 

未来が首を傾げる。

 

「魔法少女の誰か!噂を教えて!…なんて教えてくれたらいいのに…」

 

叫んだあと、苦笑いするいろは。

 

「いいよ~!」

 

「へ?」

 

「…どっかで声だな」

 

「ウワサのことなら!最強の魔法少女、由比鶴乃にお任せだ~!」

 

そう名乗り出てきたのは茶髪でサイドテール、神浜市立大附属学校の制服を着た高校生くらいの少女だった。

 

「え、えぇ…誰⁉」

 

自分で呼んでおいて驚きを隠せないいろは。

 

「さて、何が知りたいのかな?な~んでも教えちゃうよ~!」

 

「え、あぁ、あの…本当に教えてくれるんですか?」

 

「ウワサはね。好奇心で調べたら危ないよ!特にウワサと違うことをしたらぜ~ったいにダメだからね」

 

「あの…その辺りはもう…」

 

「ウワサを消そうとするのもぜ~ったいにダメだよ!だって変なバケモノが出てくるから。出てきたらとっても大変だよ!と~ってもだよ!」

 

「あ、あの…だから!私、その辺りは知ってるんです!」

 

「じゃあね…じゃあね!」

 

「(と、止まらない…)」

 

鶴乃のマシンガントークについていけないいろは。

そこへ、

 

「まずは話を聞け」

 

「あたっ!」

 

鶴乃の脳天に軽くチョップした未来。

頭を両手でおさえた鶴乃が未来の顔を見上げる。

 

「…未来さん?」

 

「…何だ?」

 

「未来さんだ~!」

 

「うっ!」

 

そう声を上げて笑顔で未来に飛びつく鶴乃。

ただ、勢いのあまり未来の鳩尾におでこをぶつけてしまう。

 

「未来さん!未来さん!未来さん!」

 

仰向けに倒れた未来の胸に頬ずりする鶴乃。

 

「ちょっとストップ!ストップ!未来さんの顔が青くなってるから!」

 

鶴乃の暴走を何とかいろはが止めたのだった。

 

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 その後、鶴乃(意識を取り戻した未来のチョップによるたんこぶがついている)はいろはから事情を聞いた。

環うい、柊ねむ、里見灯花を知っているか聞いたがやはり知らないようだった。

ただ、

 

「口寄せ神社って噂、知ってる?」

 

「神社?」

 

「わっは!すごい反応だね!」

 

「あ、あの…私も神社の噂を調べてたんです!名前も今聞いたぐらい何も知らないですけど…」

 

「お、それは偶然のラッキーだね!知りたかったら聞いて驚いた方がいいよ!」

 

「驚く?」

 

「うん!だってね。そこの神社に行くと会いたい人に会えるんだから!」

 

「会いたい人…あの…それって…」

 

「目的にピッタリでしょ!」

 

「す、すごいです!」

 

「だからね。一緒に調べない?口寄せ神社!」

 

「一緒にって…私もいいんですか?」

 

「うん!私も探してるから!」

 

「そ、それなら是非!あ、でも私…噂に繋がりそうな手がかり何もないですけど…」

 

「私も同じようなもんだよ!一緒にがんばろう!」

 

「はい。よろしくお願いします!由比さん」

 

「っ⁉何で私の名前を…最強の魔法少女だから?」

 

天然ボケをかます鶴乃。

 

「自分で言ってましたよ!」

 

「あ、そうだっけ?えへへ、気づかなかったよ」

 

「私は環いろはって言います。よろしくお願いします。由比さん」

 

「由比さんは堅いなぁ」

 

不満げな態度を取る鶴乃。

 

「えぇ⁉じゃあ…鶴乃さん?」

 

「う~ん?」

 

納得のいかない様子の鶴乃。

 

「鶴乃ちゃん?」

 

「はい。由比鶴乃です!よろしく!いろはちゃん!」

 

「うん!未来さんもよろしくね!」

 

「…お前さっきからたんこぶついてるぞ」

 

自分でつけたのにそう言う未来。

 

「え、あっ本当だ!いつの間に!」

 

頭を触って確認した鶴乃が声を上げる。

 

「(鶴乃ちゃん、叩かれたこともう忘れてる…)」

 

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 翌日。

未来、いろは、鶴乃3人で待ち合わせて集合した。

 

「というわけで!口寄せ神社はどこだ!よし探そう作戦を始めます!」

 

「はい!」

 

「ネーミングセンス…」

 

「それでどうしましょうか?色んな神社を回りますか?」

 

「それは安心して!私がどんどん調べてみる!だからいろはちゃんと未来さんはこれを調べてみないかな?」

 

そう言って鶴乃は2人に何かを渡す。

未来は受け取ったものを確認すると怪訝な表情をする。

 

「これ?」

 

いろはが訊く。

 

「うん。水名区に古い話があってね。それを調べてみたらどうかなって」

 

「昔話と神社…何かありそうですね!」

 

「でしょでしょ!」

 

「それってどんな話なんですか?」

 

「えっと簡単に話すと…昔ね…身分の違う男女が恋をしてね。男の人の方が殺されちゃったんだって。それでねある日、悲しんでた女の人が男の人の字が書かれた紙を見つけてね。そこに書いてあった場所に行ってみたの。そしたら、なな、なんと!男の人に再会できたんだって!」

 

鶴乃はそう語り終えた。

 

「…すごくザックリしてましたけどちょっといい話みたいですね」

 

「うん。男の人は幽霊だけどね」

 

「怖い話だった!」

 

オチに驚くいろは。

 

「でも会いたい人には会えてる…」

 

「でしょ!でねでね。その2人がたどった道をなぞっていくとね。すっごい強いパワーを持った縁結びスポットに行けるんだよ!」

 

「あ、それで…」

 

「うん。調べて欲しいなって!」

 

「でも幽霊…未来さん…」

 

ホラー系は苦手なのか助けを求めるいろは。

 

「大丈夫。ついていくよ」

 

「…分かりました!じゃあ私はこの話を調べてみます!」

 

「やった!あ、スタート地点は男の人の家らしいよ!」

 

「分かりました!」

 

「じゃあ連絡先交換ね。何かあったら連絡し合おう」

 

「はい。あ、連絡先交換ってどうやるんでしたっけ?」

 

「ありゃ、知らないなんて珍しいね」

 

「(この前やったばかりなんだけどな)」

 

「私、こういうの苦手ですぐに分からなくなるんです」

 

「そっか、それじゃあ私がやってあげるよ!」

 

「ありがとうございます!…(スタート地点?)」

 

鶴乃が口にしたワードが内心首を傾げたいろはだった。

 

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「ここがスタート地点。あ、説明が書いてある。スタンプ台?」

 

鶴乃と別れたいろは達はスタート地点に辿り着いた。

そこにはこう書かれていた。

 

黄泉まで繋がる強い絆

水名区きってのパワースポットを探そう

悲恋の男女の足跡を辿ってスタンプを集めると辿り着くのはなんと…

2人を結んだ『縁結びスポット』

永遠を誓い合いたい方々や仲間との絆を確かめたい方々は一度探してみてはいかがでしょうか

 

主催:水名区町おこし委員会

 

「鶴乃ちゃん…ただの町おこしだよ…」

 

「とりあえずやってみようか」

 

「はい!」

 

「永遠の愛はやちよに捧げてるから誓えないけどね」

 

「愛⁉///」

 

頬を赤く染めるいろは。

 

「まあせめて絆くらいは深めておこうか」

 

「はい…///」

 

恋バナに慣れていないいろはは顔を赤くするのだった。

 

逢瀬を重ねた路地裏、追い詰められた南門、斬り捨てられた旧邸宅…現在は水名女学園。

次々とスタンプを押していくいろは達。

そして、最後…男の人の手紙があった水名大橋。

 

「はぁ…やっと揃った。これで口寄せ神社が分かるかも。場所は…」

 

いろははスタンプ台の説明を見る。

 

AとB、2人の紙を線に合わせて重ねましょう

太陽に透かしてみると重なったスタンプが地図になって2人を導いてくれるでしょう

 

「へ?え、え、私の紙…A…未来さん」

 

未来に期待した眼差しを向けるいろは。

 

「残念だが俺もAだ」

 

しかし、その希望は打ち砕かれた。

 

「そんな~」

 

「鶴乃のミスだなこれは」

 

どうしたものかと途方に暮れる2人。

 

「あなた達、何してるの?」

 

そこに声をかけた者がいた。

やちよだった。

 

「ふぁっ!やちよさん⁉あ、えっと…実はスタンプラリーを回ってて…」

 

「スタンプラリーって…妹を探すと言ってた割にはのんきなことをしてるのね…と言いたいところだけどまさか同じことをしてるなんて」

 

「同じことって…やちよさんも?」

 

「ええ。これで最後のスタンプよ。で、どうすればいいのかしら…」

 

「あ、あの…」

 

「AとB⁉はっ!もしかしてあなた達も…」

 

「はい…実は口寄せ神社のことを調べててそれでヒントになるかなって未来さんと一緒にスタンプを集めてたんです」

 

「ふ~ん…」

 

やちよがいろはと未来にジト目を向ける。

未来に向けられた意味は若干異なるようだが。

 

「な、何ですか?」

 

「思ったよりちゃんと噂を調べてるのね。ただ、調べてるのが口寄せ神社だなんてね」

 

「神浜うわさファイルに載ってたりしますか?」

 

「答える必要はないわ」

 

「あう…」

 

取り付く島もないことに情けない声を上げるいろは。

 

「それ以前にあなたはウワサから手を引いた方がいい。前にも言ったけど半端な気持ちで首を突っ込んで痛い目を見ても知らないわよ」

 

「でも…」

 

「私が何を言っても調べるんでしょうね」

 

「はい。ういを見つけるチャンスかもしれませんし」

 

「妹のことになると本当に頑固なんだから」

 

「あの、やちよさんは…」

 

「なに?」

 

「やちよさんはどうしてイベントに参加したんですか?」

 

「それも答える必要はないわね」

 

「これもですか。でも最後まで調べるつもりなんですよね?」

 

「ええ。そのつもりよ」

 

「それならあの、私…Aなんです!」

 

「何を急に…ってそういうこと?私は…何の因果かBよ」

 

「それじゃあ!」

 

「…未来は?」

 

「Aだけど…でもまあ俺は環さんの手伝いだから遠慮しておくよ」

 

「はあ…仕方ないわね。重ねてみましょうか」

 

やちよがいろはのスタンプと重ね合わせる。

 

「…なるほど。なんてことないスポットだわ」

 

「分かるんですか?」

 

「ええ、ついてきて。仕方ないし案内してあげるわ」

 

「はい!」

 

「…ん?ちょっと環さん、何か落としたわよ」

 

「え?」

 

「このノート、あなたのでしょ?」

 

やちよが拾ったノートをいろはに見せる。

 

「あはゃっ⁉あの、これは!///」

 

いろはが慌ててバッと受け取る。

 

「何を慌ててるの?」

 

「慌ててまひぇん!ただの宿題ですから!///」

 

顔を赤くして否定するいろは。

 

「(可愛い…)」

 

あたふたするいろはにそんな感想を抱く未来。

 

「…そう?」

 

やちよはただ首を傾げるのだった。

 

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 水名神社。

 

「ここがゴール…すごく大きな神社ですね」

 

「内苑と外苑に分かれてるぐらい立派な神社よ」

 

「あの…やちよさん、もしかしてこの神社が口寄せ神社だったり…」

 

「そうだと良かったわね」

 

「違うんですか…」

 

ガッカリするいろは。

 

「私が調べた限りだと違うわね。何も起きなかったもの。それに元々は縁結びとは関係がない神社だから」

 

「でもスタンプラリーの話は本当かもしれませんよね?」

 

「それなら神様じゃなくて民話が影響してるのかもね。ただ何も起きないけれど」

 

「本当ですか?」

 

「ええ。本当よ」

 

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神社の境内に入る3人。

 

「ようこそお参りくださいました」

 

待っていた巫女が挨拶してくる。

 

「スタンプラリーのゴールってこちらでしょうか?」

 

「あ、スタンプラリーに参加してくださった方ですね?」

 

「はい。このスタンプの用紙、こちらで回収していただけますか?」

 

「はい。大丈夫ですよ。確かに頂戴致しました。そちらの方は…」

 

巫女が未来に視線を向ける。

 

「俺はただの付き添いなので大丈夫です」

 

「かしこまりました。では最後に…」

 

「最後に?」

 

「な、何ですか?」

 

「こちらの神社の中でお互いの想いを伝えてください。今回の景品として縁結びのお守りを差し上げます」

 

「ええ?///」

 

「何て恥ずかしい…///」

 

「…やちよ」

 

「何よ?」

 

「愛してるよ」

 

「なっ⁉///」

 

「ふぇっ!///」

 

未来の告白に顔を赤くして動揺するやちよと突然の展開に驚くいろは。

 

「急に何を言い出すのよ!っていうかあなたはもうスタンプラリー関係ないじゃない!」

 

「いやせっかくだから伝えておこうと思って」

 

「だからって…」

 

「やちよからは何も無いのか?俺に」

 

「別にないわよ」

 

「本当に?」

 

「…」

 

「…」

 

沈黙して見つめ合う2人。

 

「…ああ、もう!分かったわよ!言えばいいんでしょ!好きよ!世界で一番愛してる!これで満足!///」

 

頬を赤くしながらキレ気味に告白するやちよ。

 

「ああ、もちろん」

 

「もういくわよ!」

 

プリプリ怒って歩き出すやちよ。

 

「あ、すみません。関係ないのに」

 

未来が巫女に謝る。

 

「いえ!大満足です!お守りは差し上げます!(なんてラブラブなカップルなの!最高のイケメンと美少女じゃない!)」

 

巫女(24歳彼氏なし)は満面の笑みで応えた。

未来とやちよの甘い雰囲気に何やら満足しているようだ。

 

「そうですか…ありがとうございます…行こうか環さん」

 

未来は隣のいろはに声をかける。

しかし、いろはからの応答がない。

頬を赤くしてどこかぼんやりしている。

 

「環さん?」

 

「ふぇっ⁉」

 

ようやく気付いてバッと振り向くいろは。

 

「どうかした?」

 

「なんでもないでしゅ!///」

 

「でしゅ?」

 

「はわっ!///」

 

いろはは顔を赤くしながらやちよを追いかけた。

 

「…何なんだ?」

 

いろはの異変に気づかない未来だった。

 

「(修羅場!)」

 

さらに巫女(24歳彼氏なし)は興奮したのだった。

 

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 日も落ちた夜。

 

「はあ…何だか疲れたわ」

 

「お疲れ」

 

「誰のせいよ!」

 

未来を睨むやちよだったがすぐに気持ちを切り替える。

 

「さ、環さんも早く帰った方がいいわよ」

 

「あ、あの…ちょっと待ってください!」

 

いろはが何かを書き込んでる。

 

「さっきから何を書いてるの?…それってさっきの宿題のノート?」

 

「ひゃわっ!あ、あの…見ないでください!///」

 

「自分の顔を隠してどうするの?まる見えよ」

 

「はわっ!///」

 

「(やっぱり可愛い…)」

 

「神浜…不思議ノート?ってあなたまさか…」

 

「えっと…はい…真似しちゃいました…」

 

「さっき落としたの宿題じゃなかったのね」

 

「ごめんなさい…」

 

「ふっ…いいわ。別に真似したって気にしないわよ。ほどほどに頑張って」

 

そう言っていろはに微笑みを向けるやちよ。

 

「あ、ありがとうございます」

 

やちよに認められたことに喜ぶいろは。

 

「それに未来が中学の時に書いたノートに比べたら…」

 

「ちょ、おい!なに俺の黒歴史掘り返そうとしてんだ!」

 

やちよの暴露に慌てる未来。

 

「なんて言うんだったかしらあれ…たしか中二病…」

 

「やめろ!そのワードを出すんじゃない!」

 

「…あの中二病ってなんですか?」

 

「やめて…そんな純粋な目で聞いてこないで」

 

「環さん、中二病っていうのはね…」

 

「やめろって言ってるだろ!…はあ…」

 

「ふふっ…さっきのお返しよ」

 

悪女のような笑みを浮かべるやちよ。

 

「ふう…それじゃあ、私は失礼するわ」

 

「あ、はい。今日はありがとうございました」

 

「こちらも助かったわ。景品で縁結びのお守りももらえたんだから。会えるといいわね…妹さん」

 

少し悲しげな眼をするやちよ。

 

「え?」

 

「いえ。何でもないわ。ほら行くわよ未来」

 

「分かったよ。それじゃあまた明日、環さん」

 

「はい。また明日」

 

いろはは並んで帰る未来とやちよの背中を見送っていた。

 

「………いいなぁ」

 

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 翌日。

 

「どうだったいろはちゃん!アタリだった?ハズレだった?」

 

会って早々に質問をたたみかける鶴乃。

 

「落ち着け」

 

「…ハズレでした。最後は神社に着いたのでもしかしたらって思ったのに…」

 

いろはが申し訳なさそうに答える。

 

「およ…何神社?」

 

「水名神社です」

 

「私も最初に行ったけどハズレだったよ~」

 

「他の神社はどうですか?」

 

「それもさ~っぱりだった…一つの区の中でも神社って多いんだね~走っても走っても小さい場所から大きい場所まで地図の中には神社がいっぱいだよ!どれぐらい回れたのかな。まだまだありそうな気がする!」

 

「じゃあ私も明日はそっちを手伝いますね」

 

「うん!そうだねそうしよう!ガンバロー!」

 

鶴乃が笑顔で応える。

 

「あっ、はい…」

 

「なんか元気ない?」

 

鶴乃が心配そうに声をかける。

 

「あはは、ちょっとだけ疲れちゃったみたいです」

 

いろはが力ない笑顔で返す。

 

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 そのまた翌日。

 

「みっらいさ~ん!いっろはちゃ~ん!」

 

鶴乃が弾ける笑顔で挨拶する。

 

「鶴乃ちゃん、こんにちは」

 

「うん。今日も元気いっぱいで頑張ろうね!なんたって今日は3人だから3人ってことは三人四脚だよ!これはもう見つかるかもしれないね~!ふんふん!」

 

元気いっぱいで鼻を鳴らす鶴乃。

 

「あ、あのね鶴乃ちゃん!今日も別行動でいいですか?」

 

「ほ?」

 

「あの…昨日電車に乗ってたらビルの上に神社があって」

 

「ビル⁉ありゃりゃ?スマホの地図にはなかったけどどの辺りか分かる?」

 

「え~っとぉ…多分…この辺り?」

 

鶴乃が見せたスマホの地図をいろはが指差す。

 

「水名ホテル参番館…建物の名前しかないねぇ」

 

「でも、確かにあったと思うんです!」

 

「うん。全然気づかなかったよ!」

 

「だから私はそっちを見てみようと思うんですけど…どうですか?」

 

いろはが鶴乃の意見を訊く。

 

「うん。気づけなかったことに気づけたのは良いことだよ~花丸あげちゃう!」

 

「先生か」

 

未来がツッコむ。

 

「あの…それで…」

 

「いいよ!じゃあ今日も別行動で何かあったら連絡しようね!」

 

「はい!…あ、そういえば…私、分からないことがあって…」

 

「何でも聞いて!」

 

「スマホって無料で電話ができるって聞いたんですけど…どこから鶴乃ちゃんに電話すれば無料になるのか。私、全然分からなくて…」

 

「ちょっとスマホ見せて」

 

未来が横から口を出す。

 

「あ、はい」

 

いろはがスマホの画面を見せる。

 

「まずアプリをダウンロードしないといけないから…ここを押してごらん」

 

未来がいろはの指を動かしてレクチャーする。

 

「ひゃっ!」

 

いろはが驚いた声を上げる。

 

「あ、ごめん。急に触って…」

 

「いえ…大丈夫です…」

 

いろはは緊張しながら未来の指示通りにスマホを操作したのだった。

 

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 水名ホテル参番館。

 

「電車から見えてたビルってここかな?水名ホテル参番館…潰れちゃったのかな?」

 

その時、魔力の反応があった。

いろははソウルジェムで、未来は左手で感じ取った。

 

「っ!ソウルジェムが反応してる。この反応…いつもよりすごく強い」

 

いろはの顔に緊張が走る。

 

「噂を調べに来たけど、まさか魔女がいるなんて…ちょっと強そうだけど悪さをする前に倒さないと…」

 

「そうだな。いこう、環さん」

 

「うん。見つけた私達がちゃんと倒さないとね!」

 

目の前に魔女の結界が現れる。

 

「よし。行こう!」

 

魔法少女に変身していろはがそう言い放った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「当たって!」

 

いろはが魔女の使い魔を矢で撃ち倒した。

 

「ふぅ…やっぱり使い魔を倒すので手一杯…未来さんは…」

 

いろはが戦闘中の未来に視線を向けると、複数の使い魔の攻撃を躱しながら1体ずつ殴り倒していた。

 

「すごい…」

 

いろははつい見入ってしまった。

その隙を使い魔は見逃す筈も無かった。

 

「しまっ…うあぅっ!」

 

いろはが使い魔の攻撃を受けて吹っ飛ばされる。

 

「ここが口寄せ神社かもしれないのに…」

 

いろはは何とか体を起こそうとする。

 

「環さん!(くそ、離れすぎた!)」

 

未来が駆け寄ろうとするが、使い魔が行く手を阻む。

使い魔がいろはに襲い掛かろうとしたその時、その使い魔が…消えた。

 

「あれっ…」

 

「つくづく学習しないわね。結界に入る前から強敵だって分かるでしょ?」

 

使い魔を倒し現れたのは呆れた目をしたやちよだった。

 

「ふぇっ⁉や、やちよさん⁉」

 

いろはが驚きの声を上げる。

 

「自分の命は粗末に扱うものじゃないわ。出会った時みたいに私に追い出さられるわよ」

 

「そ、粗末になんてしてません!それにやちよさんの前では死んだりしませんから。無駄な死体だって言われちゃいますし」

 

いろはがムキになって反論する。

 

「…え」

 

その言葉に対してやちよが呆けた声を出す。

 

「やちよさん?」

 

いろはが首を傾げる。

 

「あ、えぇ…何でもないわ。それで、あなたはどうしてここに来たの?」

 

やちよはすぐに気を取り直していろはに質問する。

 

「えっと…口寄せ神社を調べてて…」

 

「まさかまた…はぁ…」

 

やちよがため息を吐く。

 

「…やめませんよ。探すの」

 

「どうしてもやめるつもりはないのね」

 

「はい」

 

いろはは強い意志を込めた眼差しで返す。

 

「強情なんだから…」

 

「やちよさんはどうしてここに来たんですか?」

 

「…」

 

やちよは沈黙する。

 

「やっぱり答える必要はない…ですか?」

 

「そうね…答える必要はないわ」

 

「なんか…私ばっかり答えてる…」

 

いろはが納得のいかない表情をする。

 

「答えなきゃいいのに」

 

「うぅ…」

 

やちよの正論にいろはは何も返せなかった。

 

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 やちよの加勢で形成逆転したかと思ったが、そんなに甘くはなくやちよも使い魔の強さに苦戦していた。

 

「驚いたわ。本当に他の使い魔より強いわね。私も甘く見ていたわ」

 

「や、やっぱり…強いですよね?」

 

「えぇ…環さんが苦戦する理由も分からなくもないって感じね。むしろあなたは成長したと思うわ。ちゃんと私に付いてくるんだから」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

やちよに認められて嬉しそうに返すいろは。

 

「…この分なら無理に止めなくても良さそうね。噂を調べることをね」

 

「えっ…えぇ⁉あの…どうして急に?」

 

やちよの態度の急変に動揺するいろは。

 

「あなたは妹のことになると頑固だし、何を言っても止まらないからよ」

 

「あぅ…でも、合格ってことですよね?神浜市に来ることを許してもらった時みたいに」

 

「そういうことになるのかしらね」

 

「これでやちよさんと一緒に口寄せ神社を調べられる」

 

「え?何故私も調べていることになったの?」

 

「え…だって昨日も今日もあったので…違い…ますか?」

 

「それに答える必要はないわ。ほら気を引き締めなさい。最深部に進むわよ!」

 

「へっ?あ、はい!」

 

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 魔女の結界の最深部。

 

「強い魔力を感じるわね」

 

「はい。あの使い魔の親ですし、さすがって感じです」

 

やちよが警戒心を露わにし、いろはが不安げな声を出す。

 

「環さん、ここは別れて戦うより互いに背中を守った方がいいわ」

 

「じゃあ、やちよさんの背中は私が!」

 

「ええ。任せたわ!」

 

「はい!」

 

気合いを入れる2人だがその時、いろはの視界に倒れている男性が映った。

 

「っ!やちよさん、待って下さい!人が倒れてます!」

 

「え?」

 

「ど、どうしましょう…このままにしておくとあの人が危ない…ああでも、助けてるうちに魔女が逃げちゃうかもしれないし…」

 

困った様子のいろは。

 

「落ち着きなさい」

 

やちよが一言で諭す。

 

「そうね。こういう時は…」

 

「あの人を助けませんか?」「人命優先よ!」

 

2人が同時に言った。

 

「良かった…同じですね」

 

「…そうね」

 

やちよと意見が合ったことに喜ぶいろはと複雑な表情をするやちよ。

 

「未来、ここを任せてもいい?」

 

やちよが複数の使い魔を相手にしている未来に呼びかける。

 

「ああ、あの魔女は任せろ」

 

「ありがとう。いくわよ、環さん」

 

「え、でも未来さん1人にしていいんですか?」

 

「大丈夫だ。もし危なくなったらちゃんと逃げるよ」

 

「…分かりました。気をつけてください!」

 

いろはとやちよが倒れた人を連れて去って行く。

未来はその背中を見送った後、

 

「さて…お前の相手は俺が…って!」

 

前に向き直った未来を待っていたのは30体くらいの使い魔だった。

 

「多すぎだろ!」

 

未来は思わず大声で叫んだ。

 

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 結果的に魔女には逃げられた。

未来が大量の使い魔を殴って蹴って投げて引きちぎっている間に逃げられてしまった。

 

「くそ…まだそんなに遠くには行ってないはずだ…っ!」

 

プルルルルッ!

 

未来が追いかけようとした時、スマホから着信音が鳴った。

未来は移動しながら電話に出る。

 

《未来、こっちの救助は済んだわ。そっちは…》

 

電話の相手はやちよだった。

 

「悪い。逃げられた…今追いかけて…チッ、タイミングの悪い…」

 

未来が魔女を追いかけてると別の魔女の結界が展開されたようだ。

 

「やちよ、悪いが俺はここで足止めだ。そっちは…」

 

《ええ、任せて。環さんが魔力を込めた矢でマーキングしてくれたから大丈夫》

 

「ああ、頼む」

 

未来はそう言って通話を切った。

 

「速攻で終わらせてやる!」

 

未来は気合いを入れて走り出した。

 

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「はあはあ…くっ…ちょっと…手こずった…」

 

魔女の強さと使い魔の多さに思ったより苦戦した未来は壁に背中をつけて座り込んで休憩する。

休憩ついでに未来は考える。

口寄せ神社のことを。

 

「会いたい人に会える…会いたい人…織姫と彦星…七夕…天の川…星…夜……夜?」

 

連想ゲームのように単語を重ねた未来が『夜』という単語に引っかかる。

 

「夜…時間…水名神社に行ったのは昼…もし夜なら?」

 

未来はそこまで考えて立ち上がる。

 

「行ってみるか」

 

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 みかづき荘。

 

やちよさんの前では死んだりしませんから

 

や~ね。やっちゃんがいるのに置いてったりしないですよ

死んだとしてもそんな姿は絶対に見せませんから

 

やちよは思い出す。

いろはの言葉とかつての友の言葉を。

目の前のソファで座りながらテレビを見ている未来に近づくと後ろから抱きしめる。

 

「やちよ?」

 

「未来、あなたは絶対に死なないで…」

 

不安から漏れたやちよの言葉に、未来はその手に自分の手を重ねる。

 

「ああ、俺は死なないよ…絶対に」




いろはがトニカクカワイイ!
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