そこはどこかの病室。
「っ⁉あれ…ここって…」
目の前に桃色の髪の少女によく似ていて、小学生くらいの桃色の髪の少女がいた。
「やっぱりあなたの病室なんだ…ねぇ…あなたは誰?」
その問いにその少女は何も言わずただ笑った。
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「え?」
気がつくとそこはどこかの公園だった。
「あれ…私…」
桃色の髪の少女が記憶を呼び起こそうとする。
「お、ようやくお目覚めだな」
目の前には高校生くらいの金髪ポニーテールの少女がいた。
「気分はどう?って最悪だよな!あっはは!」
金髪ポニーテールの少女がそう笑いかけてくる。
「え、あの…あなたは?」
何者なのかと問う桃色の髪の少女。
「ん?アタシ?」
金髪ポニーテールの姿が変わる。
それはまるで騎士のような恰好だった。
「ほら…実はアタシも魔法少女なんだ」
「あっ…」
桃色の髪の少女が記憶を辿る。
「(あれ…最後に見たのってこの人…だったっけ?)」
確か見たのは黒髪の男性と青髪の女性だったはず。
「おいおい…ホントに大丈夫か?アタシみたいな奴に襲われるぞ?」
そう言ってニヤニヤする金髪ポニーテールの少女。
「えっ⁉」
「冗談だよ。ほらほら…助かったんだからシャキッとしな」
金髪ポニーテールの少女がそう言ってからかう。
「助かったって…あっ…ごめんなさい。私…」
桃色の髪の少女がお礼を言おうとする。
「いいよ。気にしなくて…これもアタシにとっちゃ仕事みたいなもんだからさ。ただ…ちょいと状況がよくないな。使い魔にやられたってのは…」
その言葉に己の非力さを痛感する桃色の髪の少女。
「というわけで!これから神浜で戦っていくためにもアタシと一緒に調整屋に行くとしよう!」
夜なのに急に大声を出す金髪ポニーテールの少女。
「へ?ちょうせい…や?」
初めて聞く単語にハテナマークを頭上に浮かべる桃色の髪の少女。
「やっぱり…キミ、神浜の魔法少女じゃないのか。調整屋を知らないことこそ分かりやすい証拠だよ」
「そう…なんですか?」
「そうですとも。魔女が強い神浜市じゃ調整屋ってのは常識なのさ。なんせ魔力を強化したり魔法少女を紹介してくれるからね」
「それ…本当ですか?」
話に食いつき始める桃色の髪の少女。
「嘘か真かはこれから自分の身で確かめに行くんだよ。ってなわけで案内するからついておいで」
「そ、そんな!私なら大丈夫ですから!」
遠慮する桃色の髪の少女。
「わざわざ外から来たんだ。なにか理由があるんだろ?」
「…はい」
「ここは頼っておいても損はないと思うぞ?」
その言葉に考える桃色の髪の少女。
「ごめんなさい…よろしくお願いします」
結局、桃色の髪の少女は提案を受け入れた。
「うん。素直でよろしい!アタシは
「あっ…私は環いろはです。よろしくお願いします」
2人は自己紹介し合った。
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現在、いろはとももこは魔女の結界の中にいた。
「十咎さん、ここは私が!助けられてばかりじゃ…」
「な~にバカ言ってんの。アタシに任せていろはちゃんはサポート!」
「うっ…うう…すみません…」
弱い自分が情けなくなるいろは。
「おっと…それから大切なこと!アタシのことはももこで良いからね。堅苦しいのはナシでいこう」
そう言ってフレンドリーに話しかけてくるももこだった。
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「さっ、この奥だよ」
魔女を倒した後、ももこにある場所を案内された。
「こんな廃墟の奥に?」
「調整屋は魔女や使い魔の類とは戦えないみたいだからね。人気の無いところの方が使い魔や魔女が近寄らないし調整屋にとってはやりやすいんじゃないかな?」
奥に進んで行くとライトやソファが置いてある部屋に辿り着く。
「おっす。調整屋~!」
「あらぁ久しぶりね。ももこ」
間延びした声で現れたのは灰色の髪に黒いリボン、黒と白の衣装に白い手袋の高校生くらいのお姉さん系少女だった。
「最近来ないから寂しかったわ」
「はっ…な~に言ってんだか。最近じゃ客も多くなって思い出す余裕もないくせに」
「そんなことないわよぉ?…あら?そちらの子、見ない顔ねぇ?」
いろはに視線を向ける灰色の髪の少女。
「そ、今日はアタシの用じゃなくて新しい客の紹介だ」
「あの…この人が調整屋さん…ですか?」
「どうも~調整屋さんです♪」
お笑い芸人のような返しをする灰色の髪の少女。
「八雲みたまって言うのよ?以後、ご贔屓にしてちょうだいね」
自己紹介するみたまはさらっと宣伝する。
「えっ…あ、はい…私は環いろはっていいます。よろしくお願いします!」
「でだ…調整屋」
「なぁに?」
甘ったるい声で返事するみたま。
「いろはちゃんのソウルジェム、ちょっと弄ってあげてよ」
「あら…軽々しく言うけどお代はもちろんあるのよね?前みたいに未来さんを使うのはナシよ?」
「もちろん…アタシが持つよ」
「ええ⁉ちょちょ…待って下さいももこさん!」
いろはが慌てて止める。
「あの…その助けて貰った上に…そんな…」
「まぁまぁ。こういう時はお互い様さ」
何でもないように笑って返すももこ。
「うぅ…」
申し訳なさそうにするいろは。
「ほら…こういう時は喜ぶもんだよ」
「はい…ありがとうございます!」
ももこにそう言われて笑顔でお礼を言ういろは。
「で…あの…それでソウルジェムを弄るって…」
いろはが疑問を口にする。
「ふふっ…それはね…あなたのソウルジェムの中に私が触れるってこと。そして、他の魔力を注いだりぃ…潜在能力を引き出したりするの」
「(ももこさんが言ってた通り…)ほんとにそんなことが?」
「一度経験してみるとビックリすると思うわよぉ。だからね…さっそく始めちゃいましょう」
ヤバい勧誘の言い方をするみたま。
「あっ…はい!」
「それじゃあ…服は脱いで…そこの寝台に横になってねぇ」
いきなりとんでもない発言をするみたま。
「はい…わかりま…えっ…脱ぐ⁉」
「そう。そこのカゴの中にいれてね」
そう指示されて恥ずかしくなって頬を染めるいろは。
「おい…調整屋…」
ももこが口を出す。
「分かりました!」
「分かるな!ったく虐めてやるなよな」
「ふふっ…ウソでしたぁ」
みたまは悪戯が成功して満面の笑みを浮かべる。
「えぇぇ…」
恥をかいてしまったいろはだった。
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「はい。そう…リラックスして~しんこきゅ~」
催眠術のように囁くみたま。
「す~~~~は~~~~」
いろはは大きく息を吸って吐く。
「ゆったりぃ…身を任せてぇ…大地に沈んていく…しずかに~しずかに~」
「はぁ…」
息を吐くいろは。
「それじゃあ…ソウルジェムに触れるわよぉ?」
「くっ…」
ソウルジェムに触れられて顔をしかめるいろは。
「力を抜いてぇ…もう少し…ふか~く…」
「あぁっ‼」
いろはは自分の中に何かが入り込んでくる感覚を感じた。
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気がつくとそことはまたあの病室だった。
「また…あの子の病室?(前より鮮明に見える)」
以前は夢のようにぼんやりしていたが今は現実と同じくらいはっきりしている。
すると、目の前に例の少女がいた。
「やっぱりあなたの病室だ。さすがに私も覚えちゃったよ。ねぇ…あなた、さっき私に何か言おうとしてなかった?」
いろはの問いに少女は何かを言った。
だが聞こえない。
「え?あ、あの…ごめんね。もう一度言ってもらってもいいかな?」
いろはの問いに少女の表情が曇る。
「違うの。そんな悲しい顔をしないで…ちゃんと声が聞こえないだけで…ねぇ…あなたは誰?」
その問いに少女は笑った。
「もしかして私…あなたと会ったこと…あるの?」
その問いに少女が離れていく。
「行かないで!答えて!ねぇ…あなたは私の…なに⁉(どうして見る度にこんなに愛おしくて懐かしいの…)」
その少女が何者なのか。
いろははその答えをまだ知らない。
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「どう?体の調子は良い感じかしら?」
目が覚めるとみたまがいた。
「えっと…はい。さっきよりずっと良いです。なんだか体がポカポカしてます」
そう答えるいろはの頬は少し赤かった。
「ふふっ…それなら成功ねぇ。最初は体がだるく感じたり違和感があるかもしれないけれどしばらくすれば少しずつ馴染み始めるから」
「はい。ありがとうございます!」
「…」
いろはにお礼を言われたみたまは急に黙った。
「ん?どうしたんだ調整屋、急に神妙な顔しちゃってさ」
「…えぇ…ちょっと…。ねぇ…いろはちゃん」
「はい?」
「私ね…ソウルジェムに触るとその人の過去が見えちゃうの」
「過去?」
「そう…だからね…いろはちゃんの過去も見えたわ」
「え…」
その言葉に小さい声で驚くいろは。
「勝手に見たのは謝るわ。決して誰にも言わないから。それでもね…1つだけ聞かせて欲しいの」
「なん…ですか?」
何を訊かれるんだろうと思ういろは。
「あなた、何を願ったの?」
「…?私が何を願ったか?」
「私達魔法少女が契約する時に叶えた願い事よ。覚えてる?」
「はい。もちろんです私は…私は…あれ…願い事…私の…」
言葉が詰まるいろはの脳裏にあの少女の姿が思い浮かぶ。
「あっ…はぅ…また…どうして‼」
いろはが急に胸を押さえて苦しみ始める。
「いろはちゃん⁉」
ももこが心配そうに声をかける。
「はぁ…はぁ…はぁ…あの子は誰?私の願いと関係があるの?」
いろはが自分に問いかける。
「ごめんなさい。苦しめる気は無かったの」
手を合わせて謝罪するみたま。
「あの小さいキュゥべえ…やっぱり私と何かあるんだ!」
いろはが体を起き上がらせる。
「いろはちゃん!まだ外に出ちゃダメだ!」
ももこがいろはを止めようとする。
「行かせて下さい!私、見つけないといけないんです。あの小さいキュゥべえを!」
「小さいキュゥべえって…そんなの見つけてどうすんのさ」
「私、あの子を見てからおかしくなったんです。知らない女の子の夢を見て…その度に胸がざわついて…今は何故か愛おしくなって…もう訳が分からないんです。だから…どうなるかなんて分からないけど…もう一度小さいキュゥべえに会って…この夢が何なのかハッキリさせたいんです!」
いろははそう決意して駆け出す。
「はっ!しまったぁぁあああ!今出て行ったら絶対にアイツに捕まるぞ!」
出し抜かれたももこは慌てていろはを追いかける。
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とある路地裏。
「どこ…あの魔女は…どこ⁉」
いろはは周囲を見渡して探す。
「やっぱりももこのところにいたのね…」
それを観察する者がいたことを知らずに。
「はぁ…はぁ…はぁ…魔力が薄くなってる(早くしないと…手がかりが)」
焦るいろは。
「待ちなさい」
突然、声をかけられた。
声の主は青髪の女性だった。
「っ⁉ごめんなさい!今、急いでるんです!」
「私は待ちなさいと言ったはずよ」
強い口調で言い放つ青髪の女性。
「あの…私ほんとに急いでて…」
「どうしても通ると言うなら私を倒してからにしなさい」
「どうして…」
「あなた自身が一番良く分かってるはずよ。魔女の結界内で無様にやられてたんだから」
その言葉にいろはは思い出す。
「もしかして…あの時の…」
「そう…まだ意識があったのね。覚えてるなら話が早いわ…邪魔が入ったおかげで遅くなったけど…今なら心置きなくあなたを町から追い出せる」
「町から…追い出す?」
「そう…あなたが私の前で証明してしまったから。この町で生き抜く実力がないということをね」
その言葉に反論できないいろは。
「さ、自分の町に帰りなさい」
「いや…です。私、目的があってこの町に来たんです。だから…」
いろははそう言い返す。
「だからどうしたの?目的も果たせずに死にたいの?」
「でも私、調整屋さんにソウルジェムを弄ってもらって…だからもう…大丈夫です」
なおも問う青髪の女性に引き下がらないいろは。
「またももこのお節介ね…はぁ…分かったわ」
呆れた声を出す青髪の女性。
「えぇ。あなたが自分の強さを証明出来ればね」
青髪の女性の姿が変わる。
胸には甲冑の鎧、下はドレスのようになっていて太ももがチラリと見えている。
手には槍が握られている。
「あなたがこの町で生き抜けるかは私の目と腕で判断するわ」
「(せっかくあのキュゥべえを見つけたのに…どうして…)」
いろはも魔法少女に変身して相対する。
「覚悟は出来たかしら。退くなら今のうちよ」
そう言われて強い眼差しで返すいろは。
「あなたが気が弱そうに見えて結構、頑固なのね」
少し意外そうに呟く青髪の女性だった。
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数分後。
「うあぅ!」
「所詮は付け焼き刃ね。強化しても経験は追いつかないわ」
「っ!」
青髪の女性にそう言われて立ち上がるいろは。
「あら…まだやる気?」
「お願いです…私、キュゥべえを探してるだけなんです!小さいキュゥべえを…」
「小さいキュゥべえ…」
「せっかく見つけたのに…」
「っ⁉そう…あなたなら近づくことが出来るのね。だけど…いい加減諦めなさい!」
青髪の女性が何かに感づいて攻撃をしかけようとする。
「まて~~~~~い‼」
そこに割り込んで来る声が響いた。
「っ⁉」
青髪の女性がその声に気づく。
「キャッ‼」
いろはもその声に驚いて可愛らしい悲鳴を上げる。
「ふぅぅ…いやはや…追ってきて正解だったよ」
安堵の息を漏らしてやってきたのはももこだった。
「も、ももこさん⁉どうしてここに?」
「やちよさんがいろはちゃんを襲うのは分かってたからね。相変わらず趣味の悪い女だよ」
そう言って七海やちよに視線を移すももこ。
「この町に無駄な死体を増やしたくない。それだけよ」
「はっ…よく言うよ。大方、魔女の数が減るからだろ?町に魔法少女が増えりゃ個人の取り分が減るからな。だから調整屋も紹介しないで力技で追い出そうとしてる」
ももこの言い分にやちよが一瞬黙る。
「いい加減…誤解されるのも気分の良いものじゃないわね。…そうね…ねぇ…あなた、小さいキュゥべえを見かけたってどこで見かけたのかしら?」
いろはに問いかけるやちよ。
「えっ…あの…砂場の魔女の結界です…」
戸惑いながら答えるいろは。
「そう…それじゃあこうしましょう。砂場の魔女を倒したら実力を認めるわ。ハンデとして私は1人、そっちはタッグで構わないわ。これでどうかしら?」
そう提案するやちよ。
「え、そんな勝手に…私は小さいキュゥべえさえ見つかれば別に…」
「乗った~!」
提案を断ろうとするいろはの言葉をももこが遮った。
「えぇ⁉ちょっとももこさん⁉」
「あの…私は別にそこまで認めてもらわなくても…」
「これでこの堅物が認めてくれるっていうなら安いもんさ。それに勝ちさえすれば気兼ねなく探せるだろ?」
そう言ってやちよを差すももこ。
堅物と言われてやちよの目は少し不服そうだ。
こう見えて未来に甘える時もあるのだ。
「あ…うぅ…」
ももこの言葉に反論できず小さくなってしまういろは。
「やるぞ。いろはちゃん!」
「はい。分かりました…」
いろはは抵抗を諦めた。
「よし。それじゃあ決まりだ。」
「決まりね」
「決まりね…じゃねぇよ」
「きゃうっ!」
やちよの背後に何者かが現れて頭頂部にチョップした。
やちよから先程の彼女からは想像出来ない可愛らしい悲鳴は上がる。
「誰よ!」
やちよが背後に振り返る。
「お前の彼氏だよ」
「未来…あっ…これは…」
急にバツが悪い顔になるやちよ。
「俺言ったよな?様子見だって…なのに何だこの状況は?」
「それは…だって…」
目を逸らすやちよ。
「だってじゃねぇ。話は聞いてたからさっきの取り消せ」
「おっとそうはいかないぜ!未来さん」
未来とやちよが言い合っているとももこが割り込む。
「もうこっちはやる気満々なんだ!今さらナシに出来るかよ!」
「…めんどくせぇ。それじゃ俺がこっちにつくからそれでいいな?」
そう言ってやちよの頭をポンポン叩く未来。
「おうよ!それで構わねえ!」
「うえぇ⁉」
未来の提案にももこが乗り、いろははさらに状況が悪化したことに頭がついていかないのだった。
みたまの声ってエロイんだよな。
未来を調整屋のお代にするのは反則。
いろはがやちよとエンカウントするまで未来の出番がない。