みたまの調整屋。
「神浜市に増えてる噂?」
「はい。みたまさんなら何か知ってるかと思って?」
いろはがみたまに訊ねる。
「ん~…例えばぁ調整屋さんには可愛い女の子割引があるとか?」
みたまが冗談を言う。
「へぇ…そうなんですね?」
「あらつまらない…乗ってくれたらからかえるのに…」
「もう!真剣に聞いてるのに!」
「ふふっ…ごめんね。そんなプンスカしないで?」
みたまが笑顔で謝る。
「確かに最近、いろんな噂を聞くようになったけどどうして急に噂の話なんて聞きに来たのぉ?」
みたまが気になって訊く。
「あの…絶交ルールっていう噂が気になっていて…」
「それなら私も聞いたことがあるわよぉ?」
「本当ですか⁉」
いろはが食いつく。
「実はももこさんのところの…」
「レナちゃんとかえでちゃんがまた喧嘩したのねぇ」
みたまがいろはの言いたいことを先に言う。
「あ、そう…そうなんです!それで2人とも絶交するって言っちゃって…私、ももこさんに絶交ルールの話をしたんですけど全然信じてなかったから…それで本当に大丈夫かなって…」
いろはは心配そうに言う。
「う~ん…ももこは信じないと思うわよぉ?」
「そういう話が苦手とか…ですか?」
「ううん…騒いでるのがやちよさんなんだもの。水と油で混ざらないというか油同士に火を注ぐっていうか…そんな感じなのよぉ。内容っていうよりも発信源が原因って感じねぇ」
みたまがどこか楽しそうに話す。
「やっぱり2人って仲が悪かったんですね」
「昔は良かったみたいよぉ。今となってはももこも悪態だらけだけどね」
近所の噂話のように話すみたま。
「やちよさんは変になった…アイツは自己中になった。モデルの仕事をする奴なんて鼻にかけたようで好かない。そもそもあれだけ強いくせにスラッと線が細くてズルいし髪質はツヤッとして絹糸のようなキューティクル野郎だし肌なんてモチッとして水を弾く赤ちゃん大魔王なんだ!あとイケメン彼氏がいて許せない!って言いたい放題言ってるわ」
「それ…褒めてるのか僻みなのか分かりませんね…」
苦笑いするいろは。
「昔は仲が良かった分、僻みの方が倍増なのかも?」
他人事で嬉しそうに話すみたま。
「はぁ…(2人の仲が良いって…何だか想像つかないな)」
いろはは何とかイメージしようとしたが出来なかった。
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次の日 みたまの調整屋。
「う~ん…」
ももこが唸っている。
「どうしたんですか?」
いろはが気になって訊く。
「喧嘩したらちょっと経つけどさ…どうもおかしいんだよな…」
「おかしい?」
「ももこのオッサンくさいところ?」
そこへみたまが口を出してくる。
「喧嘩だって言っただろ!レナとかえでのことだよ」
「あれ?仲直りしてないんですか?レナちゃんから謝るだろうって言ってませんでしたっけ?」
「だからおかしいんだよ。レナが一向に謝らない…むしろアタシらを避けてる。しかも、かえでも意地になって最近1人なんだよな…まぁ謝って欲しいからだとは思うけど」
「それ…かえでちゃん、大丈夫なんですか?」
いろはが心配そうに訊く。
「大丈夫じゃないと思うんだよなぁ。心配なんだよなぁ…」
頭を悩ませるももこ。
「そういうことなら私が手伝っちゃうわよぉ?」
「…何をさ」
聞くだけ聞こうとするももこ。
「2人のな・か・な・お・り♪」
人差し指を立てて口にするみたま。
「いいよ。どうせ報酬がいるだろ?」
やっぱり聞くんじゃなかったと思ったももこ。
「あら…ない方がおかしな話じゃなぁい?」
「ほらな…それに調整屋を傷つけるような真似は出来ないからさ」
「ももこ、それって…」
わざとらしく頬を染めるみたま。
「何キュンとしてんだよ。皆が困るだろってことだから」
「ももこさん、もしかしてレナちゃん、絶交ルールのこと…」
「ないない」
手を振って否定するももこ。
「うちのチームの面子に限ってそれはないよ。どういうわけか意固地になってるだけさ」
どうしてもやちよの話を否定したいのであろうももこ。
「あの…私も力に…」
「ま、もう少し様子を見てみるよ。過保護だなんて言われたくからさ」
レナに言われたことを地味に気にしているももこだった。
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それから数日後。
「な~んでアタシがこんなに我慢しなきゃいけないんだ!もう辛抱ならん!こうなったら介入してやる!過保護とでも何とでも言え!アタシがアイツら2人の面を突き合わせてやる!」
ももこの我慢が限界に達して爆発した。
それを眺めるいろはとみたま。
「あらら…とうとうこうなったわね」
「なんか…ももこさんまで暴走しちゃったら…」
「あまり良いことにはならないわねぇ」
「(何か手伝えたらいいけど…私が出て行ってもただのお節介になるかなぁ)」
どうするべきか迷ういろは。
「あの…みたまさん」
「なぁに?」
「何かあったら教えてもらってもいいですか?私、今日もういのこと調べてるので」
いろはは自分の中で妥協案を出す。
「えぇ。分かったわ」
みたまは笑顔で頷いた。
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「(そう言っても私の方も手詰まり)…はぁ…」
ため息をつくいろは。
「(灯花ちゃんとねむちゃんのお家って分からないかな…例えば学校のお友達とか…ダメ…2人共ういと同じ院内学級だった…)…う~ん…」
打つ手が無くなり悩むいろは。
「っ⁉」
その時、何かを感じ取った。
「魔女の魔力!」
急いで現場に向かういろは。
辿り着いたのは公園。
「いけない。苦戦してる…」
魔女の結界の様子を外から観察するいろは。
「(あれ…何か前にも同じことが…とりあえず急いで助けに行かないと!)」
魔女の結界の中に入るいろは。
「多分、どこかに魔法少女が…魔力は…っ⁉この反応、かえでちゃん⁉」
デジャヴを感じるいろは。
「(同じようなことっていうか全く同じことだよ…)」
「ひゃああ‼」
その時、悲鳴が聞こえた。
「かえでちゃん!今行くから待ってて‼」
いろはは急いでかえでの元へ走る。
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「ふぁあぅ‼」
一方、かえでは魔女の攻撃でピンチに晒されていた。
「かえでちゃん‼」
そこへいろはが駆けつける。
「へ?い、いろはちゃん!」
「落ち着いて…一緒に倒そう!」
「う、うん!」
2人が協力して魔女を倒すことにしたその時。
何者かが突然現れて魔女を殴り飛ばした。
「大丈夫か?」
「明日川さん⁉️」
現れたのはタンクトップ姿の未来だった。
「どうしてここに?」
「魔女の魔力を感じてな」
「そんなこと出来るんですか⁉️」
ソウルジェムを持たない未来が魔女を感知出来ることに驚くいろは。
「まぁな」
そう言って左手を振る未来。
そんなやり取りをしている間に魔女が起き上がる。
「っと話は後だ。秋野さんは拘束で動きを止めて、環さんは隙が出来たら撃って」
「は、はい!」
「はい!…って明日川さんは?」
「俺は一番前!」
そう言って前に走り出す未来。
「えぇ⁉️」
一番危ない前衛を引き受けた未来にいろはが驚く。
魔女が使い魔を放って攻撃をしかけるが、未来はそれをパンチとキックで倒し進む。
懐に潜り込んだ未来は魔女の顎を蹴り上げる。
「秋野さん!」
「はい!」
かえでは魔法で木を生やし魔女を拘束する。
とはいえ彼女の実力では長くはもたないだろう。
「環さん!」
「はい!いっけぇ!」
いろはが矢を放って魔女をのけ反らせる。
「終わりだ」
未来は魔女をかかと落としで倒す。
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結界が消えて元の景色に戻る。
「大丈夫?かえでちゃん」
「う、うん…大丈夫」
「1人で戦うのは危ないよ。ももこさんも心配してたよ?」
「っ⁉」
いろはの言葉にバツが悪い顔をするかえで。
「…たの…」
かえでが何か言った。
「え?」
「その…ももこちゃんから逃げてたの!」
「ぇえ⁉そんな…どうして⁉」
何がどうなっているのか分からないいろは。
「だって無理やりレナちゃんと会わせようとするから…これは私達の問題だもん。レナちゃんから謝ってくれないと意味ないの…だけどそのレナちゃんはずっと私のこと避けてるし…ふゆぅうぅ…」
情けない声を上げるかえで。
「(え、えぇぇ…)」
内心で事態に驚くいろは。
「お前ら、チームだろ?このままじゃ崩壊するぞ」
「じゃあ…かえでちゃんから会いに行っちゃうのがどう?」
「私から?」
「うん。一度顔を見ちゃえば気持ちが変わったりとか…」
「出来れば自分から謝って欲しい。それに私が自分でレナちゃんを捕まえる自信も無いし…」
「じゃあ…どうすれば…」
「それが分かったら私だってこんな悩まないもん!」
いろはに逆ギレして走り出すかえで。
「あっ…かえでちゃん!」
いろはは手を伸ばすがもうかえではいなくなっていた。
「めんどくさい2人だな」
未来が呆れたように呟く。
「(2人のことも心配だけど…このままじゃかえでちゃん自身が心配…)私はまだ…かえでちゃんの友達じゃないかもしれないけど…ちょっとぐらいお節介焼いてもいいよね?」
かえで達を助けることを決めたいろは。
「(うい、ごめんね…お姉ちゃん、先に2人の仲直りを手伝うよ)」
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みたまの調整屋。
「というわけで手伝わせてください!」
「ふむ…」
いろはの申し出に考えるももこ。
「妹ちゃん達3人組に似てるとか色々言われちゃうとねぇ…それになによりかえでを心配してくれてのことだ。ここはいっちょ手伝ってもらうとしますか!」
「はい…ありがとうございます!」
ももこが受け入れてくれて喜ぶいろは。
「いや…礼を言うのはこっちだよ。といっても無報酬ってのは虫が良すぎるよな」
「えっ⁉ももこ、私は…」
自分の時とは対応が違うとショックを受けるみたま。
「調整屋の要求は生々しいんだよ。無い袖は振れないだろ?」
「調整屋の周りに居る使い魔を倒してくれるだけでも…1年でいいから」
ね?とお願いするみたま。
「長いよ!」
ツッコむももこ。
「ま、いろはちゃんへの報酬は妹ちゃん捜索のお手伝いかな」
「ほんとですか⁉」
「うん。なにか役に立てる時はいつでも呼んでよ」
「ありがとうございます!」
「いや…だから礼を言うのはこっちなんだけどなぁ。っていうか何で未来さんまでいるんだ?」
隅で黙って立っていた未来にももこが訊く。
「俺も手伝うことに決めたからな。環さんの妹探しも秋野さんと水波さんの仲直りも」
「…何が目的だ?」
裏を疑うももこ。
「やちよの恋人である俺を信用できないのは分かるが人手は多いに越したことはないだろう?それに環さんは危なっかしいしね。地雷原に自ら歩いているみたいで」
「そんなにですか⁉️」
ショックを受けるいろは。
「絶交ルールのことも気になるしな」
「あんな話、ホントに信じてるのかよ」
「忘れてるかもしれないけど君達魔法少女だって非常識な存在だよ」
「「「(あなたには言われたくないな…)」」」
心の中でツッコミを入れる3人。
「願いによっては扱う魔法も違う。ならウワサを作る魔法少女がいたっておかしくないはずだ。物語を作るのが好きな子とかね」
「っ!」
未来の仮説にいろはの脳裏にねむの顔がよぎるがすぐに振り払った。
彼女が魔法少女であるはずがないし、人に危害を加えるような真似をするわけがないと。
「というわけで心配事は早めに片付けておきたいんだよ」
「なら調整屋の周りに居る使い魔も倒してくれない?お礼はするからぁ?」
上目遣いで胸を強調しながらお願いするみたま。
「…その内な」
目を逸らして答える未来。
「やめろ。未来さんもどこ見てるんですか!」
みたまの首根っこを掴んで、未来にジト目を向ける。
「いや別に…」
「…ムッツリスケベ」
小声で罵倒するももこ。
「大丈夫かな…」
即席チームに不安を覚えるいろはだった。