みたまの調整屋。
「というわけで!アタシは学校から出てきたかえでを確保。いろはちゃんと未来さんはそのまま待機してレナを確保!あいつ委員会のはずだから正門前で待っててくれる?」
ももこが作戦を立案する。
「ぅえ、えっ⁉てっきり私はかえでちゃんを担当するんだと…レナちゃんって公園で戦ったぐらいしか…」
いろはがももこの作戦に異を唱える。
「俺は何度か会ったことあるけどな」
「アタシは追いかけ回し過ぎて完全に警戒されちゃってるからさ」
ももこは自分の行動を後悔する。
「でもそれってかえでちゃんも同じなんじゃ…あ、それよりもレナちゃんの方が…」
「野生動物並の警戒心を見せる…」
「野生動物…」
未来の頭の中で小動物のレナを想像する。
「だからここはいろはちゃんに頼るしかないんだよ」
「本当に待ち合わせ場所まで連れていけるかな?」
「アイツの場合はエサをぶら下げて行かせた方が早いよ。文乃沙優希の野外ライブがあるって言えばOK。ほいほいって勝手に移動するよ。アタシは推してないアイドルだし警戒もしないはず!」
自信満々に言うももこ。
「いろはちゃん」
「みたまさん?」
「ももこって面倒見は良いけど頭が良いわけじゃないからねぇ。私だったら好きなもので騙されたら怒るもの」
「ちょっ、そこなに言ってるの⁉」
ももこがみたまが悪口を言ってることを察知して噛みつく。
「な~んでもな~いわ♪」
それに対してとぼけるみたまだった。
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神浜市立大附属学校 正門前。
クール系イケメンの未来が正門前に立っているとすごいイケメンがいると下校中の女子学生が声を潜めて喋りながら歩いている。
「レナちゃん、出てこないね…」
いろはがレナを待っているとスマホの着信音が鳴った。
「あれ電話…ももこさん?」
《ご、ごめんいろはちゃん!》
「どうしたんですか?」
《委員会じゃなかったみたい!》
「へっ⁉」
《今日の委員会なくなったって…だからレナもういないかも!》
「うええ⁉そ、それじゃあ私どうすれば!」
《ゲーセン行ってみて!》
「ゲーセン⁉ってゲームセンターですか⁉わ、私そんな怖いところなんて行ったことありませんよ…どこにあるのかすら…」
《アイツの行きつけの店、後で地図を送るから》
「でも私、機械音痴だから地図とかうまく見られるか…」
「ももこ、地図を俺のスマホに送れ」
すると、横から未来が助け舟を出す。
《わ、分かった!すぐ送る!一旦切るよ!》
ももこは慌てて通話を切る。
1分もしない内に地図のデータが送られてくる。
「行き当たりばったりだなあいつ…」
考えの浅いももこに未来は呆れたのだった。
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ゲームセンター。
ゲームセンターの中では機械音や音楽など騒がしい音が鳴り響いている。
「ゲームセンターってもっと怖い人ばっかりなのかと思ってたけど…普通の人ばっかりなんだね。でもなんか圧倒されちゃう…」
「そんなアングラなところじゃないよ」
いろはと未来はレナを探す。
「っ⁉」
そこでいろはが気づく。
「あの子…あれって…もしかして…」
いろはの視線の先、そこにレナがいた。
「あ~もう!この台おかしいんじゃないの⁉今のどう考えてもBADじゃなくてGREATでしょ!判定狂ってんじゃないの⁉」
レナはゲーム台に何やら文句を叫んでいる。
「いたぁ…(なんか怒ってるけど今行かないと…ダメだよね…)ふぅ…よしっ!」
「ついていこうか?」
「大丈夫です。いってきます!」
いろはは気合いを入れてレナに近づく。
「あ、あの…レナちゃん!」
「あぁ?誰?」
「ってアンタ、あの時レナを止めようとしたヤツ!…何の用?ももこに言われてきたんならほっといてくれない?」
警戒心を剥き出しにするレナ。
小柄な体格も合わさって小動物に見える。
「あの…そうじゃなくて…」
「じゃあなによ!」
「ひっ…えっと…レナちゃんも文乃沙優希が好きって聞いたから話そうって…」
「えっ、アンタ知ってるの⁉歴史と浪漫の刀剣愛ドル!文乃沙優希!」
いろはの言葉にレナの態度が180度変わって笑顔になる。
「(あ、そういうのなんだ…)」
いろはは知らない知識に戸惑う。
「う、うん。それでね…新西区の建設放棄地でね…ゲリライベントがあるんだって。良ければ一緒に行かない?」
「もっちろん!で、アンタは刀剣サイリウム持ってきた⁉」
「と…えっ…うん⁉」
いろはは戸惑いながら返事する。
「んなもんないわよ!」
すると、レナの態度がまた厳しいものに戻る。
「ぇええ⁉」
「やっぱももこからなにか入れ知恵されたんでしょ。人の好きなもので釣ろうなんて良い根性してるわね…サイテー…マジでふざけんじゃないわよ!レナ、絶対に行かないからね」
いろはに軽蔑の言葉を吐くレナ。
「うぅ…あのね…でも…」
立場が弱くなっていくいろは。
「なに?アンタ今度は本気でレナとやりあおうってワケ?」
猫なら毛が逆立つくらい威嚇するレナ。
「ごめんなさい…」
いろはの心が折れた。
「謝るぐらいなら最初から言うなバカ!」
「うぅ…」
「あんまりいじめるなツインテール不良娘」
「誰が不良娘よ!って未来さん⁉」
「未来さん…」
いろはが現れた未来に今にも泣きそうな顔を向ける。
「…なによ。アンタから何を言われたってレナは聞かないから」
「そうか…ならこのサイン入りCDもいらないな」
そう言って未来がバッグから取り出したのは文乃沙優希の直筆サイン入りのCDだった。
「なっ⁉何でアンタが持ってんのよ!」
そのブツに動揺するレナ。
「こないだ美術館に行った時に偶然会ってその時にもらったんだ。さあ、どうする?ついてきたらやるが」
「ぐぬぬ…この卑怯者…」
CDは欲しいが未来に従うのは癪なレナが迷う。
「アタシは…」
「レナちゃん!」
レナが答えを出そうとした時、声が聞こえた。
「もう…今度は誰よ!…っ⁉あんた…かえで…」
ゲームセンターに現れたのはかえでだった。
「かえでちゃん?どうしてここに…」
いろはが意外そうな声を出す。
「なんで…こんなところまで追ってくるの?」
「だってレナちゃん、謝ってくれないから…理由を聞こうと思ってもどこかに逃げちゃうんだもん」
「絶交って言ったんだし当たり前じゃない。謝る理由なんてどこにあるの?アンタ、絶交の意味分かってる?」
「わ、分かるけど…でもね…私は仲直りしたいの。ももこちゃんとレナちゃんと3人で戦っていたい」
「アンタがそうでもレナは違うし謝る気なんてないから」
「それなら…納得できないけど…もう…私から謝る!」
「は、はぁ⁉なに言ってんの⁉謝るんじゃないわよバカ!」
「なっ、なんでぇ⁉」
「なんでってアンタね!」
「もう止めたってダメだよ!私から謝るの!」
「ダ、ダメダメダメダメ!ストップ!謝っちゃダメだから!」
「謝るのは私の自由でしょ⁉」
激しい言い合いを続けるレナとかえで。
その中でいろははある違和感を感じた。
「(…あれ?)…もしかしてレナちゃん…」
「な、なによ!」
いろはに声をかけられて噛みつくレナ。
「絶交ルールのこと気にしてる?」
「っ⁉」
核心を突かれたような顔をするレナ。
「ん、バッ…バカ言わないでよ!あぁぁ、あんなガキの間で流行るような訳分かんない話、レナが信じると思う⁉別にバケモノにさらわれるなんて思ってないんだからね!」
心の中を言い当てられて虚勢を張るレナ。
「(お前ガキじゃねぇか…)」
呆れた目を向ける未来。
「じゃあ、レナちゃん…」
「ッダ~~~~!そもそも絶交してるんだから関わりないでしょ!だからもう来ないで…謝罪も何もいらないから!」
捨て台詞を置いて走り去っていくレナ。
「ちょっと…待ってよ!」
かえでがその後を追いかけて、未来といろはもそれに続いた。
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日も沈みかける夕暮れ時。
「レナちゃん…足速い…」
「ほんと…どこ行ったんだろ…」
「まるでリスだな…」
レナを見失った3人。
「レナがどうしたって?」
「わっ…もも、ももこちゃん⁉」
「建設放棄地で待ってるんじゃ…」
「いや…いくら待っても一向に来る気配はないからさ」
「ごめんなさい…連絡のひとつでも入れておけば良かったです」
「連絡入れておけばってアンタ、気が利かなさすぎでしょ!待たされる方の身にもなりなさいよね!」
「へ?」
いろはに対する罵倒。
その物言いにいろはが戸惑った。
「ほんとバカなんだから」
「…ももこ…さん?」
「なによ?」
「お前、水波さんだろ」
未来が言い当てる。
「レナちゃん…」
「はぁ?レナ、ももこなんだけど…あ…」
「それにももこちゃんは内股で立たないよ?」
「っ⁉」
ももこの姿が光に包まれてレナに変わる。
「くっ…急に変身するもんじゃないわね」
「やっぱりレナちゃんだった…」
「…なんで追いかけてくるのよ。もう…レナ達関係ないのに…」
「だって…私、また仲直りしたいもん」
「やめて」
「ううん…謝らせて!」
「やめろって言ってるでしょ!」
レナは頑なにかえでを突き放す。
「ごめんなさいレナちゃん!別に前のことも謝ってなんて言わないから…また一緒に戦って!」
かえでは自らレナに謝った。
「バッ、バカアアアアアア!なんで謝るの⁉さらわれたらどうすんのよ!」
「っ⁉やっぱりレナちゃん、絶交ルールのこと信じてたんだ…」
レナの態度にいろはが口を出す。
「うっ…」
痛いところを突かれたような顔をするレナ。
「それでかえでちゃんのこと、気を遣って避けてたんでしょ?」
「レナちゃん…そうだったの?」
「そうよ…そうよそうよ!悪い⁉いい歳して絶交ルールなんて信じて悪い⁉レナが絶交なんて言ったせいでそれでかえでがさらわれたら…」
「でも、何も起きないよ…ほら。ももこちゃんが言うようにどうせ噂なんだよ」
「ほんとに?」
「うん…大丈夫だよ。レナちゃん」
安心させるように笑うかえで。
だが次の瞬間、空気が変わった。
「な、なに…結界⁉」
「…ううん…何かおかしい…違う…これ魔女の結界じゃないよ…」
「じゃあ…そこにいるのは?あれも使い魔じゃないって言うの?」
レナが指差す先、そこには異形の怪物がいた。
「そ、そんなの分からないよ!」
「ひゃあ!」
悲鳴が聞こえて振り向くとかえでが黒い何かに捕らわれた。
「かえでちゃん!」
「秋野さん!」
未来も助けに行こうとするが使い魔のような敵に囲まれた。
「俺に対して随分多いな。どうしても行かせない…つもりか!」
そう言いながらパンチで倒す未来。
だが敵の数が減る気配はない。
「いけない!かえでちゃんを狙ってる‼」
「やだ…引っ張らないで!」
どんどん引きずり込まれていくかえで。
「こいつら…かえでを連れてこうと…もしかして、やっぱり…」
「うぅ…抜け出せない…」
「っく…かえでちゃんが盾になって狙いが…」
弓を構えるいろはだがこのまま撃ったらかえでに当たる危険性がある。
「これだから飛び道具はまどろっこしいのよ!かえでを離せええええ‼」
レナが敵を斬りながらかえでに手を伸ばす。
だがその手が掴むことは…なかった。
「っ⁉か、かえでは⁉うそ…消えた…」
あれだけいた敵も全て幻のように消えた。
「本当に…連れていかれたの?」
「…後悔して謝ると…怖いバケモノに捕まってしまう…」
レナが自分の行いを後悔する。
「はっ…そうだ!」
突然、レナが走り出した。
「ちょっとレナちゃん!どこ行くの⁉…あぁ…ど、どうしよう…」
いろはがパニックに陥る。
「落ち着け」
その肩に未来が手を置いた。
「ひゃっ!」
驚いて声を上げるいろは。
「まずは深呼吸しろ」
「…ふぅ~はぁ~ふぅ~はぁ~」
いろはは言われた通りに深呼吸する。
「落ち着いた?」
「はい」
「秋野さんの魔力を探れ。そんなに遠くへは行っていないはずだ」
「はい………っ⁉ありました!」
「ならまだ間に合う。一緒に助けよう」
「はい!」
未来の言葉にいろはは強く応えた。
覚悟を決めた2人はかえでを助けに向かうのだった。