※この作品はR-18です。

多分子供向けTCG世界か何かに転生したっぽいが、俺だけ成人誌の世界なんだが?   作:輝く羊モドキ

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クソつよおもおもデカ女が好みです。(性癖開示術式)


カードの精霊とかそういうのに付きまとわれてる系男の子なんだが?

 学校での居場所どころか町全体でやべー奴扱いされている今日この頃。

 自分の身は自分で守らねばならんとカードショップに行き、デッキとプレイングスキルを磨き、ショップの大会に参加しては相手を叩きのめし(流血表現)。

 中学校に上がってからは近くの大会に参加しては相手を叩きのめし(恐怖映像)。

 そうして大きな大会に参加しては相手を叩きのめし(見せられないよ!!)。

 そして闇の組織に身柄を狙われては相手を叩きのめし(グロ注意)。

 なんやかんや闇の組織に単独で乗り込んではボスを撃破した直後、組織の建物に襲撃してくる正義のSW組織。組織のボスに間違われる俺。始まるファイト。血気に逸る俺のデッキ。行われるオーバーキル。誤解を解くのに掛かる無駄な時間。

 

 

 

 気が付けば俺はラスボス系中学生と呼ばれていた。

 

 

 

 マジでどうなってるんだこの世界はよォ……。

 

 いや、まあ確かに俺の使うデッキはある意味ボスラッシュみたいなところあるけどもさぁ。

 多くのSWファイターがエーススピリットを出して強化、あるいは進化させていくデッキだとして。

 俺の使うデッキは、他のデッキでエース張るような大型スピリットが犇めいてる超重量デッキである。大体1ターンで重量スピリットを展開し、2~3ターン経てばフィールドいっぱいに重量スピリットが並ぶ光景はある意味壮観の一言。

 

 まあ、それだけならまだいいんだよ。そういうデッキが無いわけでもないし、エーススピリットがずらりの並ぶのは楽しい。それ()()ならな……。

 

 

 

 何故か俺の使うスピリット、どいつもこいつもエロ&グロすぎる。

 

 

 

 俺が初めて組んだデッキのエース、【悪食スライム グラトニー】は初めて召喚した時は某巨神兵の如くドロドロに溶けた女巨人スライムとでも言えば何となく想像しやすかったフォルムだったのに、いつの間にか気がつけば体積が倍増していた。身体がデカくなったのもそうなのだが、それ以上に胸が巨大化しまくっていた。もはやおっぱいで歩いてるみたいだ。

 【欲望の妖精】【破壊の妖精】【絶望の妖精】は草で編んだかのようなドレスを着ている可愛らしい少女のようなスピリットなんだが、同族を呼び出す時は身体が裂けて内臓剥き出し。リリースして上級スピリットを召喚する時は爆散や焼失、その小さい身体の内側から引き裂かれるように現れる……等、実にレパートリー豊富な()()()のなり方である。

 そして生け贄になった後再びフィールドに呼び戻したら、何故か着ていたドレスがバラバラに裂かれたような状態でフィールドに現れる。

 【地獄の番人長 カグラ】は特攻服のようなスケバンじみた服を着ていたが、召喚する度に服が破れて肌面積が広がっていき、最近では下着まで見えている。但し肌面積が広がるのと比例するかのように、持っている金棒には新たな血や肉片が滴り、こびりついた腐肉がどす黒く変色していた。

 【地獄の番人長補佐】の二人も、パッと見はどちらも眼鏡委員長とか図書委員みたいな見た目してるのに、()()()の姿が一々グロい。でも墓地からフィールドに戻ってくる時に服装がボロボロの状態で戻ってくるし紐パンが見える。

 【暗黒の不死鳥】はお前最初完全に鳥だったよなァ!?なんでハーピィみたいに人の頭になってんだ!なんで乳尻丸出しなんだ!闇で見えないから大丈夫じゃねえんだよ馬鹿!

 

 とまあ初期組だけでもヤバいというのに、あれから何度も新たにパックを買って組んだデッキには新たなメンツが入ってきたんだが……それもまた全部がヤバい。どいつもこいつもドスケベグログロスピリットばかりである。

 

「遊祇!オレと勝負しろ!」

 

「……魔技(まぎ)、また負けに来たのか?」

 

「うるせぇ!今日こそお前に勝ってオレこそが特待生に相応しいって証明するんだ!」

 

「……ファイト場は借りてあるんだろうな?」

 

「当たり前だ!逃げんなよ!」

 

 そう言って走り去っていく魔技(まぎ) (まこと)。俺が中学生に上がってから参加した大会の決勝戦で当たり、そして打ち勝った相手だ。

 それ以降は俺のデッキがトラウマになったのか、大会で俺を見るたびに怯えるようになっていたのだが、ある時克服したのか何度も俺と勝負を仕掛けてくるようになった。

 俺のデッキは(本当に何故か)事ある毎に衝撃映像ばかりで、そんな衝撃映像を間近で見る相手を何人も精神的に再起不能にしてしまった。そのせいで多くの公式大会では出禁に、公式戦でのリベンジはほぼ叶わぬ願いとなったのだが、それでも何とかリベンジしようと探し回ってようやく俺の通っている中学を見つけ、引っ越し転校してきたのだ。行動力の鬼。

 俺とてSWをやるには多くの問題がある事は知っているが、だからと言ってSWをやりたく無い訳ではない。こうやって戦える相手は本当に貴重なのだ。

 ……なんせ俺とSWファイトしたいなんてヤツは中学校内にもはやコイツだけだからな……。カードショップも、もはやパックを買いに行くだけでめっちゃザワつかれるし。つれえわ。

 

「さあ勝負だ遊祇!」

 

「……行くぞ、魔技」

 

「「円舞曲(ワルツ)スタート!」」

 

 そうして始まるSWファイト。場と手札に5枚ずつカードが並ぶ。先攻は……魔技か。

 

「オレのターン、ドロー!俺はプレストカード発動【マジックボックス】!効果で手札のスピリット1体を墓地へ送り、デッキからスピリットカードとワルツフィールドカードを1枚ずつ手札に加える!」

 

 出たな、魔技の安定初手手札【マジックボックス】。良い手札交換カードだ。

 

「墓地に送られたスピリット【伝説のマジシャン クラマ】の効果発動!手札のスピリット1体……【マジシャンの助手】を墓地へ送り、フィールドに呼び戻せる!『脱出マジック』!」

 

『ははは!とうっ!』

 

 そして墓地から現れる上級スピリット。煌びやかな赤い衣装を着た、老年のマジシャンだ。

 

「そしてフィールドにクラマが居る時、手札の【マジシャン】スピリットカードは召喚条件を無視してフィールドに出せる!イッツショータイム!【ドレッドマジシャン】!【スターマジシャン】!【ステージマジシャン】!【プリンセスマジシャン】!」

 

 魔技の扱うマジシャンスピリットは中々面倒な召喚条件があるのだが、クラマの効果でその条件は全て無視出来る。

 そうして一斉に始まるマジックショー(効果発動)。カードマジックやコインマジック、脱出マジックや瞬間移動マジック。

 減った手札がみるみる回復していき、ショーのお代と言わんばかりに俺の手札やライフを削っていった。

 

 ライフ 5 → 3

 

「そして最後にワルツフィールドカード【大脱出劇場!!】を発動!ターンエンド!」

 

「今日はいつもよりデッキが回ってるじゃねえか」

 

「へッ!今日こそオレが勝たせてもらう!」

 

「俺のターン、ドロー!先ずはお前のフィールドにのみスピリットが居る時、このスピリットはリリース無しで召喚出来る。【デッドリー・アンデッド】!」

 

『おぉぉぉぉ……』

 

 俺のフィールドに現れるのは腐った動く死体……灰色の肌を惜しげもなく露出させている女の死体……のコスプレーヤーだ。以前プロSWファイトのテレビ中継で見た同名スピリットは完全に腐った死体の男だったのだが……絵柄違いか?

 

 

 【デッドリー・アンデッド】スピリット LV6

 ・このカードを召喚する場合、自分フィールド上か手札のスピリット1体をリリースして手札・墓地から召喚する。ただし相手フィールド上にのみスピリットが存在する場合はスピリットをリリースしなくても召喚出来る。

 ・手札を1枚捨てて発動できる。自分の墓地に存在するスピリット以外のカードをスピリットカードとして扱い、ハイド状態でフィールドに呼び戻す。この効果でフィールドに呼び戻されたカードは、表側表示になった場合破壊される。

 

 

「【デッドリー・アンデッド】の効果発動!手札を1枚捨て、墓地のスピリット以外のカードをハイド状態でフィールドに呼び戻す。俺はこの効果を2回使うぞ、『デッドリーコール』!」

 

『あぁぁぁぁ……』

 

 【デッドリー・アンデッド】の効果により、魔技のターンに墓地に落とされた手札とライフのカードをフィールド上に置く。

 

「……遊祇のフィールドにスピリットが3体揃った!来るか超大型スピリット!」

 

「今回は少し趣向を変えていくぞ?手札に残った最後のスピリット、【永遠の妖精】の効果を発動する!」

 

「なっ!?【永遠の妖精】には手札効果はない筈……いや、まさか!!」

 

「【永遠の妖精】の隠された効果発動。このカードは成長する!エクストラデッキの【久遠の妖精 ソレーヌ】を公開し、俺のフィールド上に存在するスピリットを含む3枚を墓地へ送り、手札の【永遠の妖精】に重ねて【久遠の妖精 ソレーヌ】を召喚!!」

 

 俺のフィールド上に居た【デッドリー・アンデッド】と伏せカード2枚が光に飲まれ、現れた【永遠の妖精】がまるで生きたまま全身が高速で風化していくようにボロボロと崩れ去り、塵と化してもなお風化が進む。

 そうして完全に無と帰してしまった後、逆再生のように全身が塵から構成されていく【久遠の妖精 ソレーヌ】。

 骨、血、肉、毛、皮膚、そして服。塵から身体を順に作り上げていった妖精は、最後に光そのものとなった。

 

「進化スピリット……!いつの間にそんなもの手に入れたんだ遊祇!?」

 

「パックで当てた」

 

 嘘。本当はいつの間にかエクストラデッキに生えてきた。いつの間にかというか、俺が見てるときに、こう……にょきにょきっと。

 うんうん。『アニメ・漫画の世界』ならよくあることよくあること。(SAN値ピンチ)

 

 

 【久遠の妖精 ソレーヌ】エクストラスピリット LV10

 召喚条件:『このカードは成長する』効果を持った【妖精】カード + 自分フィールド上のスピリットを含むカード3枚

 召喚時、『このカードは成長する』効果を持ったスピリットの上に重ねて召喚する。

 

 ・このカードが召喚に成功した時、デッキからカードを5枚めくり、スピリット以外のカードを手札に加え、残りは破壊する。

 ・墓地に【妖精】カードが存在する時、一度だけ発動出来る。墓地の【妖精】カードの枚数分カードをドローする。(最大5枚まで)

 ・自分のライフの数より相手フィールド上のスピリットの数が多い時、1ターンに1度発動出来る。相手フィールド上のスピリットを全て墓地へ送る。

 ・相手は【妖精】カードを効果の対象に選べない。

 

 

「ソレーヌの効果発動!召喚に成功した時、デッキからカードを5枚めくり、スピリット以外のカードを手札に加える。『久遠落陽』!」

 

 デッキからカードをめくる。ドロー!スピリットカード!ドロー!スピリットカード!ドロー!スピリットカード!ドロー!スピリットカード!ドロー!スピリットカード!もうやめて!!!

 めくったカード全てを墓地へ送る……が、ここからがマグマなんです。

 

「更にソレーヌの効果発動!墓地に存在する【妖精】カードの枚数分俺はドローする!」

 

「なッ!?【妖精】カードなんて墓地に無いはず……まさかさっきの効果で!?」

 

「その通り!俺はさっきの効果で落ちた【妖精】カード……欲望・破壊・絶望・悦楽・悪運の妖精5枚分カードをドローする!」

 

「インチキ効果もいい加減にしろ!」

 

 いや全く。ソレーヌの効果でめくった時内心びっくりしたもんね。これが妖精流積み込み術……。

 

「……って妖精が墓地に溜まったって事は……」

 

「その通り!ソレーヌ第三の効果発動!自分ライフの数よりも相手フィールド上のスピリットの数が多い時、相手フィールド上のスピリット全て墓地へ送る!!【千秋一日】!」

 

 フィールドに満ちている光が更に強くなると、魔技のフィールドに居たマジシャン達が床に()()()()、ボロボロと塵になっていった。

 

「ぼ……オレのマジシャン達が……」

 

「魔技のスピリットが墓地に送られた事で、俺の墓地に存在する【欲望の妖精】と【絶望の妖精】をフィールドに呼び戻す!【妖精】がフィールドに呼び戻された時、他の【妖精】も現れる!来い【破壊の妖精】、【悦楽の妖精】!」

 

『ははは!ひひゃはははは!!!』

 

 光に満ちるフィールドを切り裂いて現れた【欲望の妖精】の体が上下に裂け、その腹の中からドボドボと吐き出されるように現れる【絶望の妖精】【破壊の妖精】【悦楽の妖精】。ほんと演出凝ってるなあ(白目)

 

「【悦楽の妖精】の効果発動!手札の【不幸を告げる妖精】とこのカードを墓地に送り、デッキから1枚ドロー!」

 

 

 【悦楽の妖精】スピリット LV3

 ・『妖精』カードが墓地からフィールドに呼び戻された時、もしくは墓地からスピリットが召喚された時、墓地のこのカードを呼び戻せる。

 ・手札の【妖精】カードとフィールドのこのカードを墓地に送って発動出来る。カードを1枚ドローし、ドローしたカードがスピリットカードだった場合、ドローしたスピリットカードのLVと同じ枚数デッキから墓地へ送られる。

 

 

「ドローしたカードは【悪食スライム グラトニー】!LVと同じ枚数デッキから墓地へ送る!」

 

「お前が使うカードはそんなんばっかりじゃないか!!」

 

 若干キャラ崩壊気味の魔技が叫ぶが、まあ俺のデッキならいつもの事だ。

 10枚デッキから墓地に落としつつ、更にグラトニーを召喚することで墓地肥やしを加速させた。

 

「更に妖精3体をリリースし、墓地から【地獄の番人長 カグラ】を召喚する!」

 

「それは流石に通さない!プレスト発動【カーテンコール】!効果で【地獄の番人長 カグラ】の召喚を無効にしてゲームから取り除く!」

 

 バラバラに吹き飛んだ妖精3体の残骸から這い出てこようとしたカグラに、虚空から暗幕が降りてきて大喝采が起きる。

 暗幕が上がれば、残骸とカグラは影も形も残ってなかった。

 

「ちっ……なら墓地の【悪運の妖精】の効果発動。【悪運の妖精】と【妖精】カード1枚取り除き、俺のライフを1枚選択して公開する。公開したライフがスピリットカードだった場合フィールドに召喚し、墓地の【妖精】スピリットを手札に加える。スピリットカード以外の場合、選択したライフを手札に加える。選択したライフは……【重厚なるグラーヴェ】。スピリットカード以外なので手札に加える」

 

 

 【悪運の妖精】スピリット LV3

 ・手札からこのカードを捨てて発動出来る。呼び戻された相手フィールド上のスピリット1体を選択し、効果を無効にして破壊する。

 ・墓地のこのカードと【妖精】カード1枚をゲームから取り除いて発動出来る。自身のライフを1枚選択し、公開する。公開したライフがスピリットカードだった場合そのスピリットの召喚条件を無視してフィールドに召喚し、墓地の【妖精】スピリットを1枚手札に加える。スピリットカード以外の場合、選択したライフを手札に加える。

 

 ライフ 3 → 2

 

「そして手札に加えた【重厚なるグラーヴェ】を発動!墓地に存在するLV5以上のスピリットを10枚まで選択し、ワルツフィールドゾーンに重ねる。俺は最大数の10枚選択する!」

 

「上級スピリットを10枚だって!?」

 

 俺はフィールドに呼び戻す機会を失った【地獄の番人長補佐 キリエ】と【地獄の番人長補佐 キリカ】、【強欲神 ■■■■】、【■■■■■■■■】、【暗黒の不死鳥】、そして最近デッキに加えた【地獄の料理人プルトゥ】、【虚構の勇者】、【死神冥土長】、【不死身のツーリスト】、【デッドリー・アンデッド】を重ね、一番上に【重厚なるグラーヴェ】を乗せる。

 

「更に【重厚なるグラーヴェ】の効果!この効果で重ねられているカードを任意の枚数ゲームから取り除き、特定の効果を発動出来る!」

 

 

 【重厚なるグラーヴェ】ワルツフィールド

 ・【重厚なるグラーヴェ】を発動する時、自分の墓地に存在するLV5以上のスピリットカードを1~10枚まで選択し、このカードの下に重ねて発動する。

 ・1ターンに1度、墓地のカードをこのカードに重ねることが出来る。(最大10枚まで)

 ・このカードに重ねられているカードを指定数ゲームから取り除き、以下の効果を得る。

 〇3枚:相手フィールド上のスピリット1体を選択し、このカードに重ねる。

 〇5枚:自分はカードを2枚ドローする。

 〇7枚:自分はデッキからカードを1枚引き、ライフへ加える。

 〇10枚:自分はデッキからスピリットを1体選択し、召喚条件を無視して召喚する。

 ・このカードに何もカードが重なっていない時、このカードを墓地へ送って発動出来る。エクストラデッキからプレストカードを手札に加える。

 

 

「俺は【重厚なるグラーヴェ】に重なっている10枚のカード全てゲームから取り除き、デッキから【偏食スライム グラトニー】を召喚条件を無視してフィールドに召喚!」

 

「グラトニーの派生カード!?」

 

 

 【偏食スライム グラトニー】スピリット LV10

 ・このカードを召喚する場合、自分ライフを5枚墓地へ送って召喚する。もしくは、手札・フィールド上に存在するLV8以上のスピリット5枚を墓地へ送って召喚する。

 ・手札を全て捨てて発動出来る。相手のライフを全て墓地へ送る。この効果を発動したターン、このカードは攻撃出来ない。

 ・このカードが破壊される場合、自分の墓地のスピリットを5枚ゲームから取り除かなければならない。

 ・このカードは相手ライフが1枚以上残っている場合、LV8以下の相手スピリットに攻撃出来ない。

 ・ターン終了時、このカード以外の自分フィールド・手札・デッキから一枚ずつカードを墓地へ送らなければこのカードは破壊される。

 

 

 フィールドに現れるのは【悪食スライム グラトニー】の色違いスピリット。悪食の色が黒い半透明だったのに対し、偏食の方は酸化した血液のようにどす黒い赤だった。

 

『グ■■■ァァァ■■■!!!』

 

 【悪食スライム グラトニー】よりも一回り小さい【偏食スライム グラトニー】。コストを踏み倒して召喚したせいで非常に空腹なのか、強酸性の粘液をドボドボと分泌し、辺りに強烈な腐臭を漂わせている。

 早く食わせろとどす黒い赤い身体を振り回し、ドスンドスンと両腕をフィールドに叩きつけている。

 

「【偏食スライム グラトニー】の効果発動!手札を全て捨て、相手のライフを全て墓地へ送る!【生命偏食(グルメライフ)】!」

 

『ギ■■グァ■■■!!!』

 

「う、うわあああ!!?」

 

 俺の手札全てを溶かして食い尽くした【偏食スライム グラトニー】の全身が変化し、溶解液の濁流となって魔技へ襲い掛かる。

 ジュゥジュゥと音を立てながらフィールドと魔技のライフをドロドロに溶かし、食らいつくしていった。

 

「はぁ……はぁ……くっ……まだまだ……!」

 

「……【重厚なるグラーヴェ】の最後の効果発動。このカードを墓地に送り、エクストラデッキから【ダル・セーニョ】を手札に加える。……さあ、終わりだ。俺はフィールドに存在する、『名称の異なるLV10スピリット3体』を()()()に捧げ、神すら食い尽くす怪物を召喚する」

 

『ギッギ■■ガァ■ァ■ギ■ギ!!!』

 

 唸り声とも笑い声とも取れるような絶叫を上げながら、フィールドに出現した真っ黒な渦に飛び込んでいく【悪食スライム グラトニー】。

 渦から伸びた黒い腕が【久遠の妖精 ソレーヌ】を貫き、辺りに光を撒き散らしながら渦に引き寄せていく。

 どす黒い赤が突如破裂するように飛び散り、溶解液がフィールドをドロドロに溶かしながら【偏食スライム グラトニー】の残骸が黒い渦へ引き寄せられていく。

 

 そうしてLV10のスピリット3体と、ついでに俺の墓地のカード全てを呑み込んでフィールドに現れたのはグラトニーよりも遥かに巨大で禍々しい……チョウチンアンコウのような体躯と大顎を持ち、全身にサメのような口が生えた『巨神』だった。

 俺のフィールドを埋め尽くすだけでなく、魔技のフィールドに侵食するように……あるいは、世界そのものを食い潰すように、()()はこの世に顕現した。

 

 

 【世界喰らう大顎門】エクストラスピリット LV EX

 召喚条件:自分のライフが一枚も存在しない + 自分フィールド上に表側表示で存在する、名称の異なるLV10のスピリット3体

 召喚時、自分の墓地・自分フィールド上のカード全てをゲームから取り除き、自分フィールド中央のゾーンに召喚される。

 

 ・このカードの召喚・効果発動は無効に出来ない。

 ・このカードが召喚に成功した時、相手のフィールドゾーンを2ヵ所選択する。選択した相手フィールドゾーンとこのカードが存在する自分フィールド以外のゾーンはこのファイト中使用できない。

 ・このカードは破壊されず、このカードを対象に取る効果を無効にする。

 ・このカードは戦闘する場合必ず勝利し、相手のスピリットを全て墓地へ送る。

 ・このカードが直接攻撃に成功した時、相手ライフ全てを墓地へ送る。

 ・このカードがフィールドから離れた時、自分の手札・デッキ全てをゲームから取り除く。この効果を使用した次のターン、ドローフェイズをスキップし、このカードの最後の効果を除いて全て消却し、フィールドに呼び戻す。

 ・▪️▪️▪️▪️▪️▪️

 

 

 全身に生えた口が絶えず呼吸するように開閉し、()()()()()と言わんばかりに空気を、あるいは世界を捕食しているチョウチンアンコウは全身からドロドロと溶けたコールタールのような黒い液体と腐臭が吹き出している。

 その巨体に比べて、存在してるかどうかも分からないほどの小さな双眸がチラと俺を見据え、すぐに魔技の方へ直った。

 

「な、なんて大きさだ……くっ」

 

 魔技は多くの恐怖と若干の好奇心が混ざったような表情でクソでかアンコウを見上げる。いや若干の好奇心というか……なんだあの表情は。期待……?

 

「さあワルツフェイズ、【世界喰らう大顎門】で直接攻撃!『終末喰(エンド・オブ・イーター)』!」

 

「オレのワルツフィールドカード、【大脱出劇場!!】の効果!相手スピリットが直接攻撃してきた時、墓地のスピリットをレベルの高い順に、可能な限りフィールドに呼び戻す!もう一度オンステージだ!【伝説のマジシャン クラマ】!【スターマジシャン】!【プリンセスマジシャン】!」

 

 クソでかアンコウが魔技に向けて大顎門を開けた直後、派手なスモークと共に再度フィールドに現れる三人のマジシャン達。

 しかしお構い無しにスピリットに突進していくチョウチンアンコウは、一切の抵抗を許さず三人のマジシャン達を噛み砕き、どす黒い血飛沫をあげながら飲み込んでいった。

 

「なっ……ぁ……【大脱出劇場!!】の効果で戦闘では破壊されないはずなのに……しかも、全員、一気に……!?」

 

「【世界喰らう大顎門】は相手の全てのスピリットを()()で食う。戦闘で破壊されない効果は意味を成さない!」

 

「……だ、だが残念だったな!【大脱出劇場!!】の効果はまだある!この効果を使用した次のターン開始時、相手スピリットを全て墓地へ送って自分のスピリット全てを相手フィールドに送りつける効果がある!仮に自分のスピリットが居なくても相手スピリットを全て墓地へ送る効果は使えるぞ!これで僕のターンでその厄介なデカブツを倒して、墓地もライフも無い君にトドメだ!」

 

「……そりゃお前のターンが来ればの話だろ?手札の【ダル・セーニョ】を発動!このターンもう一度ワルツフェイズを行う!」

 

「……へっ?なっ、はぁ!!?なんだそのインチキ効果は!!?」

 

 

 【ダル・セーニョ】エクストラプレスト・ワルツフィールド

 このカードはカード効果によってのみエクストラデッキから手札に加えることが出来る。

 

 ・ワルツフェイズ終了時に発動出来る。このカードをワルツフィールドゾーンに置く。この効果は無効に出来ない。

 ・ワルツフィールドゾーンに表側表示で存在する限り、自分は1ターンにワルツフェイズを2度行える。

 ・このカード効果によって2度目のワルツフェイズに入った時、相手は1度目のワルツフェイズに使用したカードの種類と違うカードの発動が出来ない。

 

 

「さあ、もう一度(ダルセーニョ)だ。【世界喰らう大顎門】、もう一度喰らい付け!『終末喰(エンド・オブ・イーター)』!!」

 

「さ、させない!手札から【コーダ】発動!相手スピリットの直接攻撃時、攻撃を無効にしてエンドフェイズに移行……出来ない!?」

 

「【ダル・セーニョ】の効果でお前は最初のワルツフェイズに発動したカードの種類以外は発動出来ない!」

 

「初見殺しじゃないか!!?う、うわああああ!!!!」

 

 クソでかアンコウはその体躯の巨大さに反して非常に速く魔技へ飛び掛かり、その大顎門で頭から魔技を丸のみした。

 

 グチャ、ブチュ、と水風船が割れたような音と、ボギッ、ゴリッ、と木の棒を圧し折ったような音が響き、その後ファイト場の電源が強制的に落ちた。

 

 勿論【世界喰らう大顎門】に食われた魔技は無事だし、召喚時に一部空間が食い潰されたファイト場も元通りだ。

 かがくのちからってすげー(白目)

 

「……おい魔技、大丈夫か」

 

「ぅ……く……」

 

 魔技は完全に白目を向いて気絶していた。

 

「う”……臭……」

 

 魔技に近づいて様子を確認していた俺はすぐに後悔した。

 こいつ、小便漏らしながら勃起してやがる。

 

マジかコイツ……………………帰るか」

 

 魔技はもう性癖の扉が壊れて手遅れみたいですね。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 例えば。

 例えば、他人の糞尿の匂いに慣れる事はあるだろうか。まあ、親の介護しているような人ならそういう匂いに慣れるかもしれない。

 例えば、人間の脂肪が焼ける匂いに慣れる事はあるだろうか。まあ、火葬場で働いてる人ならそういう匂いに慣れるかもしれない。

 例えば、人間の血が乾いていく匂いに慣れる事はあるだろうか。まあ、外科医とかならそういう匂いに慣れるかもしれない。

 今あげた例はどれも前提として『大人』であることがあるのだが。

 そう、例えば。

 

 例えば、人間の死というものに慣れてしまった中学生というものが居るとしたら、その精神状態はどうなるだろうか。

 

『ギ……お……かぇ……リ……』

 

『おかえりなさいませマスター』

 

「……ああ、ただいま」

 

 家の扉を開けると、そこには惨劇の後とも呼べる光景とその清掃、片付けをしている()()()()()()が居た。

 バラバラに飛び散った手、足、内臓、そして骨。家中に飛び散った血は【偏食スライム グラトニー】が食べ、【死神冥土長】が残りの肉片を片付けていた。

 

「……今日は何人来た?」

 

()()()()8人ですね」

 

()()()()?」

 

「例の……【暗黒教団】の改造兵と信者でしたので、『人間の部位換算』でおおよそ8人ということです」

 

「そうか」

 

 【暗黒教団】。俺の持っている真っ黒なカードを奪取しようとしてくる、『この世界』と『スピリット達の住む世界』両方に生息している()()だ。

 この世界、『アニメ・漫画の世界』らしく割と異世界の存在が身近にある。しかもその異世界の存在は『カード』としてこの世界に飛び込んできたり、あるいは普通に異世界へ繋がる扉・あるいは門のようなモノから出入りしてくるという。

 そういった存在は総じて『精霊(スピリット)』と呼ばれ、その中でもこの世界の住人に敵対的な意思を持った精霊(スピリット)を『闇精霊(ダークスピリット)』とか呼んだりする。なお闇精霊(ダークスピリット)と『闇属性』は別に関係なかったりする。

 まあ、そういうのも所謂()()()()か、と思ったんだが。

 

 まさか普通に命狙われるとは思わなんだよ。

 

 一番初めに精霊(スピリット)に出会った時からそうだった。精霊(スピリット)というのを見えるヤツ、見えないヤツに分かれ、俺は()()()()()だった。そしてある大会での対戦相手が()()()()だった。

 その大会でも、いつもの通り俺のデッキは虐殺を行った。行ってしまった。

 その対戦相手の使っていたデッキは【帝国騎士団】。切り札を除き常に場に1体ずつしか出せないが、強力な効果と継戦能力の高さは随一だった。

 大会が終わった後、俺が会場から帰宅の準備をしていたところにアイツはやってきた。

 

『家族を返せ』

 

 意味が分からなかった。突然、なんでそんな事を言われなければならないのか。家族とは何を指しているのか。それを返せとはどういうことか。

 頭にクエスチョンマークが何個も浮かんでいた時、突如俺の頬が切り裂かれる。

 

『次は耳を落とす。家族を返せ』

 

 前触れもなく流れ出す血。激痛。

 俺が突然訪れた痛みに耐えるように頬を押さえ床に膝をつけば、鳴り響く轟音。そして、何か()()()()()()()ような音。

 その音で顔を上げれば、ソイツは驚愕に歪んだ表情で何処か違う方向を見ていた。

 

『なッ……ッ!アストルフォ!!そいつを殺---』

 

 バヅン

 

 大きなハサミでソーセージを切ったかのような音が会場に響き、その後再び()()()()()()()ような音が鳴った。

 

『アストルフォ!?ぷ、プラマ---』

 

 アイツが何かを言おうとしたその瞬間、立て続けに鳴り響く怪音。ぐしゃ、ばじゅ、どぎゃ、といった、俺のファイト中によく聞くような音が鳴った後、必ず()()()()()()()ような音が鳴った。

 そうして怪音が止まった時。アイツは床に崩れ落ち、両目からは絶望の涙が流れ続けていた。

 

『あ……あぁ……』

 

 俺はその時ようやく何が起きたのかの『想像』がついた。そして俺はすぐに逃げだした。

 逃げたのは、対戦相手だったヤツに会わせる顔が無いから、とか、罪悪感で、とかじゃなかった。

 ただ、面倒くさい事になってしまいそうな雰囲気を感じたからだ。

 

 

 

 

 ()()()()がその時あの会場に居たのか、はたまた何か別の理由か。その大会以降、俺の所へ多くの『悪の手先』とでも言うような奴らが襲ってきた。

 ある時は学校に通ってるときに。

 ある時は家でリラックスしてるときに。

 ある時は就寝中に。

 そして『悪の手先』は手段を選ばなかった。

 

 だから俺は()()()()()()()()()()()『近くに誰も住んでないような場所』に引っ越しした。

 元の家は、もう住めるような状態じゃないから。

 

 そうして、俺は中学生になった。

 そうして、俺は『悪の手先』の親玉をこの手で始末した。

 そうして、俺は()の世界において、『正義側』と『悪側』の両方に狙われるようになった。

 

 テレビを点けていると、偶にこの世界の終焉が来たかのような映像が流れる。しかし次の日にはまるで何事もなかったかのように世界は続き、そして誰もが世界の終焉について話さない。まるで、『何も起きなかった』かのように。

 

 

 

 俺以外。

 

 

 

 だから、なのだろうか。

 『俺』は、異物だからなのだろうか。

 『この世界のモノ』とは思えないほどグロテスクでエロティックなカードを持ち。

 『この世界のモノ』とは思えない精神性を持ち。

 ()。俺の目の前で蹲っている、()()()()()()()()()()()を見ても。

 

 ああ、またか。

 

 それだけで済んでしまうような、()()()()

 

「で、お前はまた何で俺ン家に襲撃かましてきたんだ?」

 

「暗黒神様万歳!!暗黒神様万歳!!暗黒神様万歳!!」

 

「……はぁ、コイツもイカレか。グラトニー、()()()()()()

 

『ギハハァ』

 

 バタバタもがいていた芋虫人間を掴み、口の中へ投げた【悪食スライム グラトニー】が笑いながら消化していく。

 襤褸切れのような服が溶けてその素肌を晒し、皮膚、筋肉、血管、内臓と骨と溶けていく様子を眺めながら、まるで理科室の人体模型みたいだったなと場違いな感想を抱いた。

 こんな風に何度も何度もグラトニーに『栄養満点の肉』ばかり食わせてるから、全身と特に一部分が成長していくんだなぁ。

 

『主人。時間。飯。』

 

「……もう鶏肉は飽きたぞ」

 

『我。食。悦。』

 

 ギッギッと鳴きながらチョンチョン跳ねて俺の腕を引っ張る【暗黒の不死鳥】。

 両手両足が鳥のままだというのに、コイツは器用に包丁を握り、器用にフライパンを操り、そして器用に料理が出来る。自分の肉を。

 そしてソレを俺に食べてもらうことで性的に悦んでいる。イカレとんのか。

 

『ぱぱー』

 

『あそぼー』

 

『はやくー』

 

 欲望・破壊・絶望の3妖精は飯を食う俺の周りをグルグル回りながら飛んでいる。

 こいつらの言う『遊び』とは、俺の手で墓地に送られる事……要するに、『殺される事』だ。この小さな女の子のような見た目の精霊(スピリット)は本当の意味での『不死』らしく、それこそグラトニーが喰って消化しても何処からともなく復活してくる。

 

「今俺が飯食ってるだろうが」

 

『食欲の次は性欲だよねー』

 

「急にIQ上がったような口で下品な事言うのやめろ」

 

 妖精どもの殆どは『不死』であるからか、死ぬことが快楽らしい。イカレとんのか。

 そうして食事を終えると、風呂場から半身を出してジッと見てくる幼女二人。番人長補佐のキリエとキリカだ。

 当然の権利の如く全裸で居るが、その全身に血と臓物の破片をこびりつかせていた。

 

『ご主人』

 

『洗って』

 

「先に風呂掃除しろ」

 

『『やだ』』

 

 コイツらは風呂場で()()()()でもしてたらしく、むせ返るような血と汚物の匂いが漂ってきた。食事が終わってて良かったよ本当に。

 幼女2体を風呂場に押し返し、風呂に入る気力を無くした俺は自室に戻ることにした。

 

 自室に入れば、殺風景な景色。安価な椅子と机と無駄に大きなベッド。机の上には幾つものカードが乱雑に撒かれ、端の方にはもはや使わなくなってしまった構築済みのデッキが入ったデッキケースが二つ置かれていた。

 倒れるようにベッドに乗れば、何処からともなく現れた【地獄の番人長 カグラ】が俺の着ている服を脱がし、俺の体の上へ跨った。

 そのままゆさゆさと揺れ始めるカグラを無視し、俺は眠りについた。

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 深い海の底へと沈んでいる。

 暗い闇の中へと浮いている。

 下を向けば、ほんの僅かに瞬いている光が見える。

 上を向けば、何も映し出さない闇が見える。

 コポッと口から泡を吐けば、光の世界へフカリフカリと昇っていき、やがて見えなくなっていった。

 

 ふと気が付けば、辺り一面真っ暗な場所。そこに二対の眼が浮かんでいた。

 一つは(あかがね)色。睨みつけるように俺を貫いていた。

 一つは(にび)色。何の感情も読み取れない(まど)かな目であり、孔であった。

 其処は祭壇。闇に浮かぶ二対の眼の下には暗黒と闇で出来た確かな祭壇が置かれていた。

 

『来たれり』

 

 深海そのものが揺れるような、荘厳な声で銅色の眼の主は言う。

 

『世界に命満ち幾億年。我の目覚める時、今ここに来たれり』

 

『贄を捧げ信仰を示せ。秩序の世を壊し、今一度欲望の世に変えよ』

 

『我を望め。我に望め。ありとあらゆる欲を叶えてや「うるせえバカ」()ァァァァァ!!?』

 

 俺を睨みつけていた銅色の眼に両手の人差し指を突き入れる。

 眼は絶叫しながら闇に消えていった。

 

「毎日毎日夢の中でギャーギャーうるせえんだよクソボケ。欲を叶えるだのなんだの言うんだったら人の睡眠欲満たす邪魔すんじゃねえよカス」

 

『口悪すぎじゃね!?我の事を神って知りながらも口悪すぎじゃね!?』

 

 再び闇から現れた銅色の眼は、俺にぶつかるように急接近しながら吠える。

 『強欲神()()()()』。何度も何度も俺の夢枕に現れてはSWで我を召喚しろ眷属を返せだの言ってくる駄神。

 

『駄神って言った!我の事駄神って言った!!』

 

「人間一人に依存してる時点で神かどうかも怪しいところ」

 

『やかましいわ!貴様が一度でも我を召喚すれば幾らでも神の真価みせたるわ!』

 

「でも今までの円舞曲(ワルツ)の活躍は殆どコストとして使われてるだけだし実質レバニーラ*1同然。召喚出来るだけレバニーラの方がマシだな」

 

『ぐぎゅぎゃお~ん!!!!!!!』

 

 何言ってるか判別出来ないような絶叫を上げながら突進してくる一対の眼に再び指を突き入れながら、『意志の力』で呼び寄せたデッキを握る。

 

「お前そのものは要らないがお前の眷属は有用だ。ほらさっさと円舞曲(ワルツ)して新しいカードを寄越せ」

 

『我の事ATMかなんかと勘違いしてないか!!?』

 

「お前が始めた事だろうが、さっさと出せ」

 

 眼の傍に浮かび上がるカードの束。『強欲神()()()()』が勝てば、次の円舞曲でコイツを召喚する。俺が勝てばコイツが持っている有用そうな眷属(カード)を貰い受ける。そうやってここ数週間毎日、俺はコイツからカードを巻き上げ続けていた。

 

『クソぅ……今日こそ貴様に勝ってこの世に顕現してやる!!』

 

()()()()()さ。今日も、明日も、これからずっと。()()()()()が続くんだよ馬鹿が」

 

 デッキの中に居るスピリット達もまた、()る気十分だ。

 深い深い闇の底で今日もまた、血沸き肉躍る一方的な饗宴が始まった。

 

 

 

 そうしてまた。

 今日も、また。

 

 ()()()()()の朝が、来た。

 

*1
世界一有名な効果を持たないスピリット。弱いが何故か一部のコアなファンが居る




デュエル描写は文字数がのびるなぁ。あっ、デュエルって書いちゃった。
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