※この作品はR-18です。

多分子供向けTCG世界か何かに転生したっぽいが、俺だけ成人誌の世界なんだが?   作:輝く羊モドキ

6 / 12
強くてNEWGAME?


次の世界ではうまくやってくれるでしょう

 この世はびっくりするぐらい理不尽と不条理で出来ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が『俺』としての意識取り戻したのは、拳銃の引き金を引けるようになってから。

 

 激しい戦争が行われている国の何処とも知れない路地裏で産まれ、少年兵として捕らえられて厳しい訓練を受けていた時の事だった。

 『前回』で多くの人間を殺してきたが、初めて撃った拳銃の弾は的を大きく外してしまう。

 しかし『銃を撃てるようになった』だけで戦地へ送られ、ただの国民目線で何の意味もない殺し合いに強制参加させられる。

 『生きている』という実感無く、さながらガンシューティングゲームのように敵兵を撃ち殺しては反撃の銃弾から逃げる日々。持っている装備は拳銃から鹵獲した小銃に変わり、キルスコアもそこらの軍人よりも頭一つ抜けて稼いでいた。

 

 命のやり取りに関しては『前回』の下駄を履いてる分、少年兵の中では遥かに優秀なのはまあ当然の事だった。

 無論、仲間は少年兵だけでなく大人の軍人も居る。中には子供に対して理不尽な暴力を振るう者も多い。明日も知れない戦場で殺し合いをしてるんだ、気が狂う常識人もそりゃあ居る。

 暴行、性暴力、殺人。それらが当たり前のように戦場で蔓延っている。使えないゴミは処分される、当たり前の事だった。

 今日も少年兵の何人かが慰安任務に連れてかれる。俺も()()()()()に連れてかれた事は何度もあるが、その度に馬鹿のチンコを噛み千切り、銃を向けてきたヤツの目を潰し、ケツの穴に鉛弾をぶち込んでやったら呼ばれることは無くなった。慰安の度に優秀(笑)な兵士が使い物にならなくなればそりゃそうだ。

 少年兵だけでなくそこらの軍人よりも遥かにキルスコアを稼いでいる俺が()()されることは無く、気が付けば少年兵でありながら上級役職に就いていた。

 最前線で部下の少年兵を指揮しながら、敵兵の頭をぶち抜いて殺し、時に民間人を装いナイフで頸動脈を掻っ切り、時に爆弾で敵の基地を吹っ飛ばし、そうして殺し続けて数年。俺は死喰い(スカベンジャー)と呼ばれていた。

 

 殺し殺され、今日仲の良くなった仲間は明日に四肢が吹き飛び死に晒す。無能な上官は背後から撃たれ、有能な部下が上官に成り代わる。

 そんな戦場での娯楽は食と、性と、スピリット・ワルツしかなかった。

 配給食と一緒に後方から輸送されるカードパック。それらを剥いて一喜一憂する大人と子供。そして始まるスピリット・ワルツ。その時だけは年齢関係なく誰もが楽しそうに笑っていた。まあ、クズな大人が暴力でレアカードを搾取するまでの間は、だが。

 俺もカードを持っているが、『前回』とは比べ物にならないくらい()()デッキになってしまった。まあ、これが普通ではあるのだが。

 

「おい死喰い(スカベンジャー)、勝負しようぜぇ」

 

「……いいよ」

 

 脂ぎった性匂の酷い上官が勝負を仕掛けてくる。ホモのショタコンで有名だが、一丁前に危機管理能力はあるのか俺をベッドに呼ばない程度の理性は残っているようだ。まあ、よう()()()のが正しいか。

 

「せっかくならよぉ、()()ようぜ?」

 

「最初からそう言うつもりだろ」

 

 目がイってる男が勝負前に言う事なんて大抵同じだ。

 お前はケツの穴を賭けろ。

 

「お前はケツの穴を賭けろよ」

 

「……フッ。なら上官はデッキのレアカードを賭けてもらおうか。アンタのケツは死体より臭そうだ」

 

「あ”あ”?ならテメェが負けたらそのクセェケツを舐めさせてやるよ!」

 

 

 

「「円舞曲スタート」ォ!!」

 

 

 

 始まるスピリット・ワルツ。しかし戦場に円舞曲ディスクなんてモンは無いので、テーブルでの勝負だ。

 互いに五枚の手札とライフをデッキから引く。

 

「先攻はオレからだ!出ろ【ガンドッグ】共!」

 

 フィールド上に置かれる3枚のスピリット。【リボルバー・ガンドッグ】【スナイパー・ガンドッグ】【ショット・ガンドッグ】の3体が銃口を向けている。

 

「リボルバーの効果でテメェのライフを!スナイパーでテメェの手札を破壊!」

 

「先に墓地へ行ったカード【強欲な呼び声】プレストの効果を発動する」

 

「無駄だ!ショットガンの効果!このカードを生け贄に相手のアイテム・プレストカードの効果を無効にして破壊する!」

 

「なら通す」

 

 スナイパーの効果で手札を一枚墓地に送る。

 

 ライフ5→4

 

「ターンエンド!」

 

「俺のターン、ドロー。手札からワルツフィールドカード【リドルストーリー】発動。まず効果処理でデッキからカードを1枚引き、フィールドにレベル5以上のスピリット1体を召喚する。【グリム・BBウルフ】を効果で召喚。その後召喚したスピリットのレベルと同じ枚数デッキから墓地に捨てる。BBウルフのレベルは10。10枚墓地へ捨てる」

 

「はは!墓地にカードを捨てるなんてクズカードだな!」

 

「【グリム・シープ】召喚。効果でそのまま墓地に送り、レベル10のスピリット1体をデッキから手札に加える。俺が手札に加えるのは【悪食スライム グラトニー】」

 

 生まれが変わっても手元へ来てくれる俺のエース。

 

「デッキからカード10枚を墓地へ送り、現れろグラトニー」

 

「また墓地に10枚もカードを捨てやがった!ぐはははは!」

 

「こんな眼と頭が腐ったのが上官か……グラトニーの効果発動、手札を全て捨て、相手の場に居るスピリットを全て墓地に送る」

 

「……は?な!?オレのガンドッグ共が!?」

 

「手札から捨てられたアイテム【墓守の契約書】【閻魔のへそくり】それとスピリットの【グリム・マーメイド】の効果発動。それぞれ墓地からプレストカード2枚回収、デッキから2枚ドロー、デッキから【マーメイド】のカードが記されたカード1枚サーチ。……効果処理終了」

 

「ば、馬鹿な……なんで手札全部捨てたら手札が5枚に増えるんだ!?」

 

 それはまあそう。

 

「ワルツフェイズ、BBウルフで直接攻撃」

 

「はは!無策で突っ込んできやがって!プレスト発動【クレイモア地雷】!攻撃してきたスピリットを破壊して1ドローする!」

 

「BBウルフの効果、このカードが破壊される時、自身のライフを1枚墓地へ送る事で破壊を無効にする」

 

「な、何!?」

 

 ライフ4→3

 

「更に直接攻撃に成功した時、相手はライフを失う代わりにBBウルフの下に重ねなければならない。『ウルフバイツ』!」

 

「クソが!」

 

 上官のライフを1枚BBウルフの下に重ねる。重ねたカードは【マシン・ガンドッグ】スピリットカードか。

 

「そしてグラトニーで追撃、グラトニーは攻撃する時、自身のライフ1枚を墓地へ送る」

 

 ライフ3→2

 

「チィッ!」

 

「更にグラトニーの効果発動!自分フィールド上のスピリット全て墓地に送って、そのスピリットの数まで追加で攻撃する!」

 

「何だとッ!?」

 

 BBウルフを墓地に送って、追加攻撃を行う。この時の攻撃では自身のライフを墓地へ送る必要はない。

 

「クソ……やってくれるじゃねえか!(だが俺のライフはまだ2残ってる。今の攻撃で手札に加わったカードで……トドメだ!)オレのターン!」

 

「何を勘違いしてるんだ?」

 

「ヒョ?」

 

「まだ俺のワルツフェイズは終了してないぜ!墓地に送られたBBウルフの効果発動!自身の効果で重ねたカードを使うことが出来る。アイテムカードなら俺の手札へ、プレストカードなら正しい使用タイミングであれば即時発動、そしてスピリットカードなら……召喚条件を無視してフィールドに召喚する!」

 

「馬鹿な!?」

 

「現れろ【マシン・ガンドッグ】、背中撃ち抜く銃弾となれ!」

 

 フィールドに置かれる【マシン・ガンドッグ】。レベルは8。本来の召喚条件は『ガンドッグ』2体の生け贄だが、それを踏み倒す。

 そしてレベル相応の効果も持っている。

 

「上官もご存じの通り、【マシン・ガンドッグ】は3回攻撃出来る。そしてワルツフェイズでの召喚なら、そのまま攻撃が可能……撃ち抜け機関砲!」

 

「クソが!」

 

 1回、2回と攻撃をして、無くなる上官のライフ。

 

「トドメだ!」

 

「いやまだだ!手札からプレスト発動【クレイモア地雷】!ガンドッグを破壊する!」

 

「なら連弾発動【ブレイクガード】!破壊される対象をライフに変更する!」

 

「追加連弾だ!【サイレント】!相手プレストカードの効果を無効にする!」

 

「……追加の連弾は無い。効果処理でガンドッグは破壊される」

 

「(クソ!死喰い(スカベンジャー)がこんなに強いだなんて聞いてねえぞ!次、次のオレのターンが来れば……!)」

 

「効果処理終了後、手札からプレストカードを発動する。【マーメイドの輪唱】!このターンに3連弾以上の処理が行われてる時、墓地から召喚条件を無視して【マーメイド】スピリットを召喚する」

 

「……馬鹿な」

 

「まあ、楽しめたよ。お代はレアカードで結構、負けて死ね。【グリム・マーメイド】を召喚して攻撃!」

 

「馬鹿なァァァァァァ!!!」

 

 臨時収入ゲット。

 

 

 

 

 『前回』と違ってクソみたいな環境で生きているが、どうやら『前回』と完全な地続きというわけではないらしい。まあそもそも『前回』で世界滅ぼした訳だから地続きなわけが無いのだが。

 殺し殺され、掃いて捨てる程多くの敵兵を殺して、俺に銃を突きつける馬鹿を殺して、昨日まで笑いあってた裏切り者を殺して、殺して死んだ兵共を補充するように内地から新たな兵が来て、また殺す。

 爆弾で目と耳が潰れても、地雷で片足が吹き飛んでも、罠で身体が焼き焦げても、殺して殺して殺して。

 

 殺して

 

 

 殺して

 

 

 

 殺して

 

 

 

 

 

 そうして、ある時。戦争は終結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺らの国の敗北という形で。

 

 




『小さき死神・断頭台に消ゆ』

去年行われたP国戦争軍事裁判にて、死刑判決を受けた少年兵・小さき死神(本名・年齢不明 P国での通称ではスカベンジャーと呼ばれていたとのこと)の処刑が今朝行われた。
少年兵に下された異例の死刑判決に世間では多くの批判が集まったが、死刑執行の瞬間には処刑場は悲鳴と歓声に包まれた。
小さき死神と我が国の軍人達に恐れられた少年兵は、最も激しい戦場と言われた元P国国境線の町において、少年兵含む僅か十数名のゲリラ兵達を率いて戦線を維持していた。その際に行われた我が国の軍事行動を、街に来た人間を全員殺害するという方法で迎え討ったそうだ。それ以外の戦場でも多くの軍人達を鹵獲した銃で殺傷し、彼の手によっての負傷・殺害人数は800人を超える。
彼の死刑執行が裁判にて決まってから一貫して死刑執行反対の立場を貫いてきた財華院財閥会長は反対署名を握りしめながらコメントを残した。
『小さき死神と呼ばれても彼はまだ子供。何人殺そうとも、やり直す機会は与えられるべきであった。彼もまた戦争の被害者であった』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。