ラキュースの部屋を覗く 作:カール
エロシーンは、ありません。すいません(汗)
ブレイン・アングラウスは、シャルティア・ブラッドフォールンとの戦いから逃げ出して、王都でガゼフに出会ってから、ガゼフの家で過ごしていた。
(俺は・・・もう戦えない。人間では、勝てない化け物が世の中に存在する事を知ってしまった)
ブレインが王都の街を歩いていたら、男達が集まって大声で話しているのが聞こえた。
「おいおい!聞いたか!アダマンタイト冒険者の漆黒の英雄のモモン殿の話!」
「聞いたよ!10体のエルダーリッチと20体のギガントバジリスクを、討伐したんだろ!?」
実際は、3体のエルダーリッチと10体のギガントバジリスクを討伐したのだが、噂話は尾びれ背びれがつくものである。
ブレインは、漆黒の英雄のモモンの事が気になったので、王都の冒険者組合に行ってみた。
1時間程、冒険者組合で過ごしていると、漆黒の英雄のモモンが表れたので、人気の少ない廊下で話しかけた。
「漆黒の英雄のモモン殿ですか?」
「そうです・・・。貴方は、もしかしてブレイン・アングラウス殿でしょうか?」
モモンの姿に変身をしたパンドラは、王国の調査でブレインの特徴の情報を得ていたので質問をした。
「知っているのですか、俺・・・いえ、私の事を・・・」
「勿論です。王国の強者の事は調べますよ」
「強者とは、恐れ多いです・・・。私は、人間では勝てない化け物の存在を知ってしまって・・・情けなく逃げた人間です」
パンドラは、ブレインの目を見て少し考えた。
そして、わざとらしく体を少し動かしてから答えた。
「アングラウス殿は、このまま消えるか一歩を踏み出すかを悩んでいますね」
「そうなのか・・・私は、自分自身が何をしたいのかが分からないんです!不安や恐れが頭の中を掻き乱して、考えがまとまらないんです!」
ブレインは、頭を抱える。
「場所を移動します。付いてきて下さい」
2人は、冒険者組合の裏にある空き地に来た。
「剣を構えて下さい」
ブレインが剣を構えたのを確認してから、パンドラはグレートソードを構えた。
「今から殺気を放ちます!覚悟して下さい!」
ブレインは、パンドラからの凄まじい殺気を感じた。
「えっ!?はっぁはっ!?」
ブレインは、尻餅をついた。
ブレインは、呼吸は荒れているが何かを感じ取って立ち上がった。
「モモン様!もう一度、お願い致します!何かを掴めそうな気がしました!」
ブレインの目に迷いはなく、生きる為に戦うという本能だけになった。
パンドラは、もう一度殺気を放った。
「うわぁー!!」
ブレインは、殺気と向き合ったのは数秒程の時間だが、1時間にも2時間にも感じた。
ブレインは、自分自身の中にあるものが見えた気がした。
ブレインは、剣を鞘に戻してから真剣な表情でパンドラにお礼を言った。
「ありがとうございました!」
「一歩を踏み出せたのですね」
ブレインは、笑顔で答えた。
「はい!」
その時、王都の空が黒い雲に覆われて嵐になった。
「突然の嵐・・・何か嫌な感じだ」
ブレインは、身構えながら周囲を警戒した。
5分程すると、100体前後の悪魔達が殺気を込めた魔力をばら撒きながら空を飛んでいるのが見えた。
「あれは、悪魔の集団!モモン様、どうしますか?」
「悪魔達が、王都で暴れない限り手は出さない」
ブレインは、王都の中で戦闘を繰り広げたら、甚大な被害がでる事を懸念しての発言だと思った。
パンドラは、やる事があると言ってから、冒険者組合の建物の中に入っていった。
ブレインがガゼフの家に帰ったら、ガゼフが長旅の支度をしていた。
ガゼフは、ヤルダバオトを倒す為に、アインズ・ウール・ゴウンに協力を求めに行く事を説明した。
「ガゼフ!俺にも協力させてくれ!」
「アングラウス・・・分かった!頼む!」
ガゼフは、ブレインの吹っ切れた感じの表情を見て頼もしいと思った。
「1時間後に、迎えが来るので長旅の準備をしておいてくれ。往復で1週間は、掛かるからな!」
レエブン侯の私兵が迎えに来たので、ブレインとガゼフは一緒にカルネ村に向かった。
ナザリックの玉座の間には、各守護者・パンドラ・セバス・プレアデス・一般メイド達が揃っていた。
「アルベドよ・・・大事な話とは何だ?しかも、皆を集めてとは・・・蒼の薔薇との接触、ヤルダバオトの襲撃で王国の権力者を黙らせたので、後はガゼフがカルネ村に到着するのを待つだけだよな?」
(何?問題?何かミスをしたっけ?蒼の薔薇のイビルアイが、人間ではない可能性が少しあるという報告の事かな?)
「はい!作戦は、順調に進んでおります」
アルベドは、笑顔で答えると、シャルティアの方を見る。
「アインズ様。ここからは、妾が説明をさせて頂くでありんす♪」
シャルティアは、笑顔で話し始めた。
「アインズ様が国王と会う際に、奥方がいたほうがアインズ様に近づく愚かな人間共を遠ざける事が出来るでありんす♪」
(えぇ〜妻って!ん?待てよ、アルベドとシャルティアが喧嘩をしていない?)
アインズは、いつも妻の件で喧嘩をしている2人が笑顔で話しているので違和感を感じた。
「妾は、アインズ様の奥方役に、アルベドを推薦するでありんす」
玉座の間に居る者達は、驚きの声を上げた。
「シャルティア!アインズ様の第一王妃を、アルベドに譲ったんだね!恐れ多い事だが、アインズ様がアルベドを王妃に認めるかどうかになるね」
デミウルゴスは笑顔で答えると、アインズの後継にも忠義を尽くせる可能性があると思って期待を膨らませた。
アウラは、少しだけ疑問に思った事を質問した。
「二人共、何か隠してない?」
「ぎくっ!でありんす!」
アルベドは、シャルティアが焦った表情をしたので困惑した。
「ちょっと!シャルティア!しっかりなさい!?」
「隠し事なんて!?あのっ!」
2分程混乱した後に、アルベドは話し始めた。
「アインズ様!これからお話する内容は、隠し事ではなくて!?その・・・2時間前に、シャルティアとある約束をしたのです!今から丁寧に、ご報告をしようと思っていました!隠し事では、ございません!?」
「そうでありんす!?アルベドが段階を踏んで説明しないと、大変な事になると言ってたでありんす!?」
アルベドは、更に焦った表情になる。
「シャルティア!何で!そんな言い方をするの!?」
アインズは、無いはずの胃が痛む感覚がした。
「アルベドよ。説明をせよ」
アルベドは、俯いてから説明を始める。
「アインズ様の奥方の役を譲る代わりに、アインズ様と私の第1王子が産まれたらシャルティアの婚約者にするように、アインズ様にお願いをすると約束をしました・・・。不敬な考えをしてしまって、申し訳ありません・・・」
「妾も・・・申し訳ありませんでありんす」
2人は、頭を下げた。
(なるほど、俺の子供の嫁がシャルティアになるという事は、シャルティアは俺の嫁にはならないという事かぁ・・・)
その場の者達は、真剣な眼差しでアインズを見ていた。
アインズは、カルがラキュースを催眠の杖で変えてしまった事を思い出した。
それは、アルベドを変えた自分自身の事のように思えていた。
「アルベドよ」
アルベドは、体を震わせた。
本来なら上手に、シャルティアとの約束を伝える予定だった。
上手に伝えても、アインズが妻役に選ぶかどうかは分からなかった。
(アルベド・・・えい!)
「妻役を頼めるか?」
「アインズさーま!!」
アルベドは、アインズを力一杯抱きしめた。
「落ち着くのだ!あくまでも、妻役だ・・・。結婚の話は、セバスとソリュシャンの罰が終わってから改めて話し合う。大規模作戦とは、王国を手に入れるのとセバス達の罰が終わるまでの事だ!」
「はい!畏まりました!大規模作戦を必ず成功させます!それと、人間を装う為に、この角と羽は一度外すと効果が無くなる貴重なマジックアイテムとしておきます!」
デミウルゴスは、アインズの後継に戦略について教える想像をして、コキュートスは、アインズの息子に剣術を教える想像をしていた。
パンドラは、追加の案を伝えた。
「アインズ様!アインズ様と漆黒の英雄のモモンが、親子だったという設定はどうでしょうか?国の権力者と民衆を導く時に、追い風になると思います!」
(マジか・・・。確かに、権力者と民衆を同じ方向に導くのに使えるなぁ・・・)
「良し!それでいこう!」
そんな中、シャドウ・デーモンが表れて報告した。
「ほう・・・カル・ロールが、帝都から離れた所で獣に襲われたが、シャドウ・デーモンが気付かれないように守って、周りに居た者達も怪我人は無しか・・・ご苦労!報告は大切だなぁ~。そういえば、ガゼフと会う予定のカルネ村の報告はしばらくなかったな?」
和やかな雰囲気の中、ルプスレギナ・ベータが立ち上がって話し始めた。
「アインズ様に、ご報告があります」
「何だ?」
「はっ!ンフィーレアより、新作のポーションを預かっていましたのでお渡し致します」
「新作か・・・ん?」
(ちょと待てよ?今まで、カルネ村の報告って無かったよな?)
「これは、いつ渡された?」
「はい!6日くらい前っす」
(6日前!えっ!?嘘だよね!嘘って言ってよ!)
その場は、一気に不穏な雰囲気になった。
セバス達の報告ミスの罰を与えて、全体に注意喚起をしたのに再発防止が出来ていなかった。
それと同時に、アインズが失望してナザリックを去ってしまったらと考えていた。
「念の為に確認するが、6日と6時間を間違えていないよな?」
「はい!6日前っす!」
元気よく、答える声が玉座の間に響く。
「あっ!それと、カルネ村の人間達が凶暴な魔物が村の近くにいるかもしれないって怯えてました!それも!6日前っす!」
「ルプスレギナよ。カルネ村が、ナザリックにとってどれくらいの価値があるか分かるか?」
「はい。アインズ様が実験に使われた村っす!それから・・・玩具とか?」
「ルプスレギナ!!お前には・・・」
アインズは絶望したが、感情抑制の影響と周りに各守護者達が居たので冷静になれた。
(この言葉は、言っては駄目だ!原因は、俺の説明不足だ!)
アインズは、絶望したという言葉を飲み込んだ。
「今すぐ、カルネ村に行って!状況をアルベドに説明せよ!」
「はっ!はいっす!」
アルベドは、シャルティアにカルネ村の側までのゲートを作るように命令して、ルプスレギナは大慌てでゲートを通って転移した。
その場は、一気に静まり返る。
(落ち着け!落ち着け!何か言わないと!)
その場に居る全員が、謝罪の言葉を口にした。
アインズは、落ち着いてから話し始めた。
「私は、お前達に感謝をしている」
アルベドが、暗い表情で答えた。
「感謝のお言葉なんて!もったいないです!」
「私があるのは、ギルドメンバー達が残した、お前達のおかげだ!」
この場に居る全員が涙を流して感動に包まれた。
「恐れ多い事ですが、至高の御方にさらなる忠誠を捧げさせて下さい」
シクススは、一歩前に出て心の底からの想いを伝えた。
「構わないぞ!シクススよ!」
「私ごときの名を!」
「それに、此処には居ないが!ルプスレギナもだ!」
その言葉を聞いて、プレアデス達が更に号泣した。
だが、その感動もルプスレギナのメッセージによって消える事になる。
[アルベド様!大変っす!ンフィーレアが、襲われているっす!]
「アインズ様!ンフィーレアが、襲われているそうです!」
「なに!」
この場に居る者達に緊張が走った。
[襲われている!状況は?]
[ンフィーレアが、エンリに馬乗りにされてるっす!]
[えっ!?馬乗りって・・・性的に?]
[じゃれ合ってるだけっす!]
アインズは、アルベドの表情が少し険しいので確認をしてみた。
「アルベド?どうかしたのか?」
「ンフィーレアとエンリが、じゃれ合っているそうです」
「大規模作戦は、ルプスレギナの罰が終わるまで終了はしない」
(ルプスレギナ!!お前には・・・)
アインズは、心の中でもその先の言葉が言えなかった。
八本指の幹部の会議がある3日前の晩に、パンドラとラキュースとイビルアイが会議をしていた。
会議は、ホテルのバーの個室で行って、声を聞かれないように対策をしている。
「モモン殿、ナーベ殿は例の情報屋の所ですか?」
「そうです。一昨日の魔皇ヤルダバオトの件で、八本指の会議の日が変更になっていないかの確認をしに行ってもらった」
情報屋と接触できるのは、パンドラとナーベだけになっているので、どちらかが居ない時間を作っている。
蒼の薔薇のガガーランとティアとティナは、八本指の討伐作戦に使うポーションを買いに、王都から離れた都市にある蒼の薔薇と交流のあるアイテム屋に行っている。
ラナーが冒険者を雇う依頼料を払ってくれるが、討伐作戦で使うアイテムは蒼の薔薇と漆黒が半分ずつ費用を負担することになったので、少しでも安く済ませる為に交流があるアイテム屋で買う事にした。
「アインドラ殿は、ご両親の所に行かなくていいのですか?」
「お気遣い、ありがとうございます。今朝、両親から手紙が届きました。手紙にはヤルダバオトが貴族を皆殺しにすると言ったので、屋敷の使用人達には1ヶ月分の給金を渡して安全が確認されるまで近づかないように伝えたと書いてありました」
カル・ロールと幸せになりなさいと、手紙の最後に書いてあった。
手紙を読みながらラキュースは、両親の気高さと優しさに包まれた感覚がして涙を流した。
「気高い方ですね」
「えぇ・・・。八本指の討伐が終わったら、魔皇ヤルダバオトの討伐をしたいと考えています!」
ラキュースは、真剣な表情だった。
「大丈夫だ!ラキュース!ヤルダバオトの討伐は、アインズ・ウール・ゴウン様とゴウン夫人がやって下さる!」
イビルアイの言葉を聞いて、ラキュースは少し疑問に思った。
「イビルアイが、他のマジックキャスターを褒めるのは珍しいわね」
ラナーが、アインズが強力なマジックアイテムを所持していて、深い魔法の知識の持ち主だと上手に広めていた。
「お会いした事があるの?」
「お会いした事はないが、モモン様から実力をお聞きした!第七位階の魔法を使えて、強力なマジックアイテムも持っている!」
イビルアイは、胸を張って答えた。
「フールーダ・パラダイン殿ですら、第六位階までしか使えないのに!第七位階は、人類未到達の領域よ!」
パンドラは、少しだけ体を動かしてから答える。
「アインズ様は、第七位階の魔法を使える。私が、保証する」
ラキュースは、驚きの表情で動けなくなった。
第七位階の魔法は十三英雄が使用したと言われていて、イビルアイなら見たことあるかもしれないが、ラキュースには想像のできない魔法だった。
「モモン様の、おとうっ・・・じゃなくて、ゴウン様は凄いのだ!」
ラキュースは、イビルアイの言葉が気になった。
「おとう?もしかして、モモン殿のお父様なの?」
イビルアイは、頭を抱えた。
「すいません!モモン様!」
イビルアイは、頭を下げた。
「イビルアイ、構わないよ」
パンドラは、イビルアイの頭を撫でながら言った。
ラキュースは、2人はデキているのかなと思った。
「私は、アインズ様から2体の強大な力を持つ吸血鬼の討伐をするようにと言われた。だが、1体しか討伐が出来ていないので、まだ半人前以下だ。残りの1体の吸血鬼を討伐してから皆に話すつもりでいた。イビルアイには、特別に話した」
「モモン様の、信頼を裏切ってしまった!!」
イビルアイは、落ち込んだ。
「イビルアイ!落ち込む必要はない!失敗を活かすのだ!」
パンドラは、イビルアイが人間ではない可能性があると思ったので、親しくなるために色々と話している。
それから、20分程してガガーラン達とナーベが来たので情報の交換をした。
八本指の会議が、予定通りに行う事が分かったので配置の確認をした。
信頼できる冒険者を、蒼の薔薇のメンバーとナーベが指揮をして拠点を奇襲する。
幹部の会議がある倉庫の地下室には、パンドラとイビルアイの2人で突入をする事を確認して解散した。
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