ヒガナと一緒にホウエン地方を救い、彼女と暮らすようになって数日が立った。その日、カナズミシティは一段と賑わっていた。笛の音や太鼓の音が鳴り、様々な屋台が並んで人々が玩具や食べ物を買っていた。
「へへ、今日はやけに賑やかじゃねえか」
カナズミシティのお祭りにアオギリ達、アクア団も来ていた。
「今日はお祭りらしいよ、アオギリ」
「そうか、祭りか・・・」
賑わう人々の声、笛や太鼓の音を聞く度にアオギリはどこか懐かしい気持ちになっていた。
「どうしたんだい、アオギリ?」
「イズミ、何、ガキの頃を思い出してたのさ・・・」
「そう言えば、あたし達が小さかった頃もこんなに賑わってたわね」
「ああ、懐かしいよな。あの頃はバカみたいにはしゃいでいたな。あいつもいて、凄く楽しかったぜ・・・」
子供の頃を思い出す。祭りとなると、無邪気にはしゃいでいて、食べ物を買ったり、的当てをして楽しんだりしたものだった。そして身近にいたあの存在も一緒で、全てが楽しく感じられた。
「あいつがいたら、もっと良かったのにな・・・」
「アオギリ・・・」
アオギリの目はどこか寂し気に感じられた。懐かしい、いなくなってしまった友達の事を思い出しているようだった。
「あはは、ねえ待ってよー!」
そんな時、子どものはしゃぐ声が聞こえてきた。見るとフウとランが変わった衣装を着てあるポケモンと追いかけっこをしていた。
「おう、ガキンチョ共か」
「あ、アオギリのおじさん!」
フウとランが立ち止まってアオギリに挨拶した。
「お前等も祭りを楽しんでるのか?」
「そうだよ」
アオギリが言うとフウが素直に頷いた。
「それにしては変わった衣装を着ているわね・・・」
イズミが二人がいつもとは違う変わった衣装を着ている事に驚いていた。
「そうでしょ、今日は七夕だから、それに見合った衣装を着てるの」
ランがクルンと廻って衣装を見せた。衣装はさながら織姫と彦星のようだった。
「そうか、似合ってるぜ」
「ありがとう、おじさん」
「へへ、お・・・」
するとフウとランの前に一体のポケモンが現れた。そのポケモンを見てアオギリは懐かしい相手を見るような顔をした。
「ガキンチョ、そのポケモンは・・・・」
「この子、ジラーチって言うんだ。七夕の日に僕達の下に現れて、今は大事な仲間なんだ」
「そうか、そうなのか・・・」
フウ達の言葉にアオギリは納得したように頷いた。
「フウ君とランちゃんだったよな・・・。そのジラーチって言うポケモンはどんな願いも叶えてくれるポケモンらしいぜ」
「そうなんだ、それは凄いね」
ランが微笑んでジラーチを褒めた。彼女に褒められてジラーチは嬉しそうにしていた。
「けど、人の欲望には限りがねえ、一つ願いが叶えばまた次の願いが出ちまう。それが際限なく出ちまえば・・・」
「アオギリさん・・・・?」
ランが心配そうにアオギリを見たが、彼はすぐにはにかんだ顔をした。
「けど、お前等ならその心配はなさそうだな・・・。そのポケモン、お前等なら大事にしてくれると信じてるぜ」
「うん、おじさん、あたし達、大事にするね」
「もうジラーチとは友達だからね。大丈夫だよ」
「そうだな、ハハハ!」
フウとランが大事にすると言ってアオギリは安心したように笑い出した。双子のジムリーダーに大事にされて幸せだろうとアオギリは思うのだった。
「オオゾラさん、今日は楽しいお祭りですわね」
「そうだね・・・」
その頃、オオゾラはツツジと一緒に人気の無い所で座って綿菓子を食べながら空を見上げていた。
「カナズミシティでの楽しいお祭り、年に一回ですから今回は楽しみましょうね」
「うん」
空を見上げながらツツジはこれまでの旅を思い出していた。
「オオゾラさん、貴方と旅をした事を思い出しますわ・・・」
「うん、お姉ちゃん達と旅をしたんだよね・・・」
二人は空を見上げながら旅の思い出を語り出した。