既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。 作:アルカミレス
プロローグ
ある世界に『深く深い闇の先で』と言うゲームが有った。ジャンルは探索鍛造恋愛SRPG、ダンジョンに潜り武器やアイテムを取得する所謂ハック&スラッシュと、拠点にて素材を使って武具を含むアイテムの生成を行いユニットや拠点そのものを強化していくクラフトが売りのゲーム。販売した会社はマイナーでは有るが、長く続くゲーム会社でありコアなファンが多く、そんなファンが買い支えていた。
恋愛と銘打たれているが、正しく言うならエロゲーであった。ただ、会社が何方かと言うとRPGやSLG等のゲーム要素に力を入れる傾向にあり、ファンも大多数はそちら寄り。ゲームは世界観が繋がっていて、ゲームのテキスト内でチラホラと過去の作品のキャラや事件が出て来て往来のファンがニヤリとする、そんな作品を出す会社だった。
そして、この『深く深い闇の先で』はそんな会社が出した最後の作品だった。業界の先細り、衰退により資本も限界を迎えファン達に向けた様々な要素を仕込みに仕込んだお祭りゲーム。古くからのファン達は悲しみ、惜しみながらもその最後の作品を買い変わらぬゲーム性に喜びながらも泣き遊んだ。
ゲームの販売から半年、代表取締役だった者のSNSで有志スタッフによる追加パッチを配布。それを以てゲーム会社の全ての開発は終わりを迎える。
さて、何故長々とこんな1ゲームと会社の話をしているのか。
答えはまぁ、その世界に放り込まれたのが俺自身だという話だ。
「物思いに耽って無いで何とかしろ!?」
ややハスキー掛かった少女の声がする。その後に独特な発砲音が続き、汚い断末魔が聞こえてきた。
「いやまぁ、ピンチとも言えないし……」
「明らかにピンチなんだが!?」
少女の声に返しながら得物を振る。人間の子供よりやや低い位置に有った敵の頭を横合から殴りつけ、壁の汚い染みに変える。少女は俺の物言いに対してツッコミを入れるのと銃爪を引く事に忙しそうだ。
此処は所謂ダンジョンの中、クラフトの為の素材を求めて潜ったは良いがダンジョントラップのモンスターハウスに閉じ込められ延々と下位のモンスターを殺し続けている最中だ。
正直、自分と少女の装備とステータスならコイツ等の攻撃など例えクリティカルが出ようと1ダメージも入らないのだが、面倒な事にこの手のモンスターハウスは一定時間耐えるか敵を絶やすかしないと終わらない。殺しても直ぐに補充され、一定数以上増えない様子なので耐久型だと判明しているのだが……少女は全滅させるかの如く銃爪を引いている。
彼女の武器は一回の使用毎に魔力を消費する魔導銃、通称魔銃で撃ち続けると戦闘力がガタ落ちしかねない物だ。もっとも、少女は種族特性として一分間で1割程は呼吸しているだけで魔力が回復するので、インターバルを挟めば理論上は無限に撃っていられたりする。
「魔銃使い過ぎて魔力切れ起こすなよ」
「無茶言うな! コイツ等、私見ておっ勃たせて向かってくるんだぞ!?」
さて、前述の通りこの世界はエロゲーである。下位のモンスターだろうが最上級の魔神だろうが下半身に素直なのが通例だ。ダンジョンに出て来るモンスターは性別は雄、雌、無性、両性と様々なのだが、例えばゴブリンやトロールにオークといったお約束なモンスターは基本雄で固定されている。ゲームシステムとしてモンスターに敗北するとエロいシーンが始まり、敗北が続くとモンスターの子供を産むなんていう末路も有る。
今回のモンスターハウス、通称ゴブリンの巣と呼ばれる物なのだがそりゃもう悲惨な状況になる。少女の場合、服を破られた後に口、前穴、菊穴にナニをぶっ込まれて容赦なく中に出された挙げ句に周りを囲む奴等にもぶっ掛けられ、最後はハイライトの無い姿で次の奴等が挿入れて暗転して終わるエロシーンだろう。
因みに、男相手にも容赦なく襲ってくる夢魔とかアルラウネなんていう女型モンスターも豊富。取得スキルによってはこれらのモンスターは隷属させて味方に出来たりもする、そうしたら色々と重宝したりするのだ。
「今更だろ、初めてでも無いんだし」
「張っ倒したろか」
割りかしマジな声音で言われた。いやまぁ、この少女の面倒を一手に引き受けたのは自分だし責任も有るには有る。選りにも選って初めての相手が俺というのも責任を取ることに拍車を掛けてもいる。
「というか、俺だけ潜って素材を探すって言うのに付いて来たのそっちだろ。しかもこのモンスターハウス、そっちのミスじゃん」
「んに!? う、うるさい!!」
奇妙な鳴き声の後に怒鳴ってくる少女、図星突かれて逆ギレしないでくれよ。
「あ、レベルアップ」
「そりゃおめでとう!?」
纏まった所を薙ぎ払い3匹を血煙にした所でレベルアップのファンファーレが鳴った。因みにコレは自分自身にしか聴こえない、所謂神の祝福的な物だったりする。
レベルアップは成長率に則ってランダムにステータスの上昇と、その時点での消耗を完全回復させる効果が有り探索時には結構助かったりする場面が多い。
正直目の前の奴等相手から受け取れる経験値なんて最低値、それでもレベルが上がったとなればもう100は潰してる事になる。そうなれば少女の方もそろそろの筈だ。
「おっしゃ! こっちもレベルアップだ!」
「魔力は回復したな、なら後は頑張れ」
「ふざけんなし!」
いや、最悪この少女でも蹴り飛ばせば殺せるレベルだからなこの下位モンスター……ぶっちゃけるとゴブリン達は。
そしてモンスターハウスに閉じ込められてから約30分、遂にモンスターハウスから解放された。
「や、やっと終わった……」
「疲れてるところ悪いがさっさと魔石の回収頼むぞ、呼び水になって面倒な奴等を招きかねん」
「分かってるよぅ……」
盛大に肩で息をする少女に声を掛けつつ、ゴブリンの胸の中央辺りを開いて小さな石を取り出す。モンスターの内に大なり小なり存在する魔力の塊、その名も『魔石』である。
この世界では所謂燃料的な側面を持ち、小さな物でも家庭内の魔道具を1日稼働させ続ける程の魔力を内包している。コレを放置すれば、魔力を得てその存在を強化・昇華させようとするモンスターが寄ってきてしまうし、仮にそれらを許せば強大な壁として立ちはだかり自分達の首を絞めることになる。
何なら、この強化されたモンスターが問題を大きくすれば監査委員会と呼ばれるダンジョンの管理団体が原因になった探索者達を割り出し罰を与えたりもする。一番軽い罰金刑だけでも3桁万に及ぶ金銭がトぶので苦学生である俺としては洒落にならない。
「あ〜……疲れた」
「仕方ないから上がるか、小型だけど魔石は相当拾えたし」
軽く6kg程は小型の魔石が集まっている、全部と言わず2kgも換金すれば少し高めの外食くらいは問題無く出来る。
「でも、素材……」
「言うて今のコンディションで20階層とか潜れんだろ、さっきレベル上がったって言っても幾つだよ」
「……15」
「安全マージンに届いて無いので撤収、はいはい帰りますよっと」
安全マージンとはその階層に挑む上で推奨されるレベルの事だ。因みに、階層と同じ数字を目安にしただけで装備やステータスとスキルは考慮されていない。
レベルアップしたとはいえ肉体的、魔力的な回復は出来ても精神的な疲労が回復出来る訳でも無い。特に探索者になって1年未満の少女は探索に対する経験が足りて無い。
「ふぇ〜ん」
涙目になる少女の手を取り、さっさと帰路に就く。落ち込む姿から慰撫のために美味い料理店を頭の中でピックアップしつつ、買うとバカ高い帰還魔法が込められた所謂転移結晶を使用しダンジョンから帰還する。
此処はゲーム『深く深い闇の先で』によく似た世界、現実とは違う法則で成り立ち回る場所。
探索者となりダンジョンへ潜り、工匠となってアイテムを造る。積み重ねる日々の中で誰かと愛情や友情を交わし、憎しみや殺意をぶつけ合う。
そんな世界の都市『ワールウィンド』にて生活する俺と、共に歩く一人の少女の日常を綴った物語である。
主人公とヒロインに名前って要りますか?
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両方に要る。
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両方とも要らない。
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主人公のは要らない。
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ヒロインのは要らない。