※この作品はR-18です。

既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。   作:アルカミレス

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探索パート

 さて、特に盛り上がりも無く5階層に到着した。斥候としての少女はかなり優秀で、種族として暗視が可能な眼に蝙蝠の鳴き声すら聞き取る可聴域はモンスターを認識した瞬間にはそこへ魔力弾を撃ち込み処理している。何かやってる事が一人だけスニーキング系のゲームみたいだ、とそんな事を思ってしまった。

 5階層からのモンスターは和製ダークファンタジー系でお馴染みの竿役なゴブリン系である。元はお手伝い系の妖精だったのがこうなったらしいが『妖怪だとエロする前に喰うよね?』みたいな認識から西洋の怪異達を使用してるのではなかろうか?

 実際、敵味方問わず妖怪の代表みたいな妖狐の女性や天狗の女性は見た目エロい場合が殆どだ。鬼は西洋のオーガの見た目がバーバリアンとアマゾネスなのに対して、東洋の鬼は雄が古いタイプから美形までピンキリなのに対して雌は美人揃いである。まぁ、エロゲーだし仕方ないが。

 話を戻して5階層より始まるゴブリンの登場なのだが、初期ステータスでも装備さえしっかりしていれば苦戦は殆ど無い。特殊な個体が武器の投擲をしたり自爆したりと前に言ったが、珍しいからこそ特殊なのだ。更に言えば『ゴブリンコマンダー』というレア種が出なければコレ等の特殊個体も居ない。ゲーム中でしなかった行動は指示されて初めてゴブリン達は出来る様になるのだ。

 このコマンダーによる特殊行動について実は探索者協会に報告はしていたりする。ただし、『ゴブリンコマンダー』というのがそもそもレアモンスターの類な為に報告数が少なく、協会は検証が出来てないというのが現状だ。

 5層を進む中、少女が壁の影から先を覗いた後にハンドサインで『待て』を指示してくる。次に上げたての指を3本だけ伸ばす、つまりこの先に『3匹居る』という事。次に2本指を立てた後に動かして『20m先に居る』とサインを送ってくる。

 20m、俺が一呼吸で詰められる距離が30mなので強襲が出来る。そっと少女の背後に回り、壁から先を覗き見る。暗がりの中で見えたゴブリンの姿は一匹だった、少女には少し先の暗がりにもう二匹見えているのだろう。暗視が出来る種族差が羨ましい。

 

『15mくらい先の一匹しか見えない、そいつは俺が潰す』

『なら奥の二匹は私が撃つ、取りこぼしたらフォローお願い』

『了解、気楽に行こう』

 

 アイコンタクトで素早く意思疎通する。指を5本伸ばし、1本1本折る形でタイミングを取る。3、2、1、駆け出す。

 俺の背後から2回発射音が続く。魔導弾で一瞬照らされた先でゴブリンの頭が弾け飛ぶのが見えた。残念ながら一匹には直撃したが、もう一匹は狙いがやや逸れて掠っただけだった。俺に当てないよう気を使った影響だろう、それでも命中率が高い。しっかりと使いこなせている。

 目前で仲間の頭が弾け、混乱した一匹は背後の俺に気付く事は無く、振り下ろしたウォーハンマーにより縦に潰される。まるで水風船でも割ったかの様な音と共に、床一面にゴブリンの紫色の血が飛び散る。漂う臭いに眉を潜めつつ、少女が撃ち漏らした最後の一匹に狙いを定める。肩を掠ったのか片手で部位を押さえつつ此方に顔を向けたゴブリンは、威嚇なのか甲高い声を出して来た。が、次の瞬間その頭部が顎を残して吹き飛んだ。3射目を放った『ロニセラ』の発射音が遅れて届く、良い腕をしている。

 

「ごめん、初撃外した」

「掠らせて行動遅らせてるから大丈夫だろ、トドメもさしてくれたし」

「次はもっと上手く撃つ」

「思い悩みすぎだ」

 

 悔しそうに俯いた少女の肩を軽く叩きつつ、言葉を投げる。動体を連続で撃って片方には当てているのだ、十分過ぎるだろう。

 拳銃型の魔導銃は射程が基本30mで『ロニセラ』は50mとやや長い。しかし、どれだけ圧縮しても魔力が拡散して威力も減衰してしまう為有効打は精々30mくらいでギリギリ40mはダメージが入るか否かだろう。ゲーム時代でも攻撃可能な距離は3マス先くらいだったし、1マス=10mと考える知識と感覚が合う。それに、ゲーム時代でも魔導銃の命中補正は低く設定されていたから責めるのはお門違いだろう。

 

「気持ち切り替えろ、悔しいなら次で取り戻せ」

「……うん、分かった」

 

 数度深呼吸し、ようやく少女は気持ちを入れ替えられたらしい。目に力が戻っている。その様子に気付かれない程度に安堵しつつ、ゴブリンの小粒の魔石を回収してインベントリに入れる。ゴブリンの死体は少女との問答中に塵になっていて、異臭を放っていた臭い血も塵になった事で臭いごと消えた。

 探索を再開し、少女が先行する形で進む。そして、十字路に出た。

 

「んー……左から風を感じるから先に進むなら左っぽい」

 

 自らの唾液で湿らせた指を掲げて、空気の流れを読み取った少女がそう言ってくる。先に進むならいいが、先ずは反対の右方向へ進もうと思う。

 

「まだ回収されてない宝箱が出てるかも知れないし、右から行ってみたい」

「ん、分かった。また先行するね」

 

 そう言い残して少女は小走りで進んで行く、軽やかな足取りだが音が殆どしていない。『忍び足』のスキルは持っていない筈だが、自然と足運びが音を立てないよう最適化されているようだ。

 夢魔族が先天的に盗賊職に向く、そう揶揄されるのはこういったところからなのだろう。あの天然忍び足も、雄を起こさず寝所に潜入して吸精する為に本能で使っている可能性が高い。

 コレで本格的に『忍び足』や『潜伏』に『不意討ち』を取ったら暗殺者として大成するのではなかろうか……ちょっと視野に入れようか悩む。人型相手なら下手したら最強になりかねないビルドだが、そんな事をさせ続けたら少女の心が死にそうだ。

 

「宝箱、有った!」

 

 少女の嬉しそうな声が聞こえた、急いで向かうと確かに木製の宝箱が有った。有ったのだが……

 

「それ『ミミック』だ」

「え」

 

 俺の声が聞こえた瞬間、宝箱が動き出し蓋を開けた。びっしりと乱杭歯が並び、長い舌が飛び出した。咄嗟に少女より前に出て防御姿勢、思い切り手甲の上から腕を舌で殴られる。

 

「うぇ!?」

「『盗む』スキル頼む!」

「え、あ『盗む』!」

 

 戸惑う少女へ即座に指示、刹那の迷いの後『ミミック』へ基本の『盗む』スキルを使用した。盗むの成功率は自身の(速力+運)÷2−相手の運である。浅い層に現れる『ミミック』の運は一律で30、少女のステータスから考えて25%前後の成功率になる筈だが。

 

「何か石みたいなの盗れた!」

「いきなり大当たりじゃねぇか」

 

 後で確認は必要だが、この『石』とは基本ステータスを上げる効果が有るアイテムだ。『ミミック』や『怨霊』系のモンスターが持っている事が多いのだが、それでも確率として5%程。複数回スキルを使用する事を前提で考えていたが、初手から成功した上に大本命を当てたのは大きい。

 

「よっしゃ、もう用は無いから『ミミック』を片付けるぞ!」

「え、また盗まないの?」

「宝箱に化けてるくせに『ミミック』系は盗れるアイテムは1個だけなケチさだ、問題ない」

「えぇ……」

 

 ゲーム『深く深い闇の先で』での盗む系効果は一度きり、転生後も『盗む』が出来る装備で検証したが1個しか盗めなかった。こんな所をゲームと共通にしてほしくは無かったな。

 全力でウォーハンマーを振り下ろして蓋の部分を思い切り凹ませたが『ミミック』は舌を伸ばして攻撃してくる、『ミミック』の物理攻撃は高くないので痛くは無いのだが、唾液で濡れるのが不快である。

 

「ひゃん!?」

 

 少女から驚きつつ何か艶っぽい声が聞こえてきた、視線を向けると胸元を左手で抑えていて、そこは濡れているように見えた。

 この糞箱、舐めやがった。

 

「『重撃』」

 

 無駄に硬くてしぶといなら、デカい一撃を叩き込むだけである。『槌適性』スキルで覚えられる高威力技を使用、効果は槌での攻撃力に+50。一度打ち込んで凹んでいた箇所にもう一度打ち込む。先に傷が入った所へ更に強い一撃が入った為に外皮が割れたらしい、更に奥に有った脳を破壊したらしく『ミミック』は数度痙攣した後に動かなくなった。上顎を持ち上げて、口の中へ手を突っ込む。奥に有った魔石を引き抜き、完全にトドメを刺した。浅い層では中々見ない中サイズの魔石をインベントリに放り込み『ミミック』の死体へ蹴りを入れる。

 

「ちょっ、ちょっと!?」

「何かムカついた」

「だからって死体蹴りは行儀悪いって……」

 

 分解されていく『ミミック』を見やりながら言えば、少女は戸惑いつつそう言ってくる。やがて『ミミック』が完全に消え去った後に、一本の槍が落ちていた。取り敢えずインベントリに放り込み、少女へ向き合う。濡れていた胸部は唾液が分解されたようで大丈夫そうだったが、少し縒れているように見えた。

 

「下層の『ミミック』系には唾液が酸になってるタイプも居るって言っていたから、次は避けれるようにな」

「うぅ、確かに。おっぱい出して外歩きたくない……」

「まぁ、うん……お前がそう思うならそれでいいが」

 

 装備が溶かされた場合、身体も酷いことになりそうなもんだが……思い付かないのだろうか?

 尚、『下層のミミック』とは65階層以降に出て来る物なので下手したら一生縁が無い相手だったりする。更にその先の80階層付近では催淫効果持ちが出るが、逆に言えばそこまでいかないと『ミミック』でのエロは無い。触手好きはもっと浅い階にそういう奴等が出るのでそこで満足してろって話らしい。

 

「それじゃ戻ってもう一つの方に行くか」

「はいはい、次は普通に宝箱だと良いなぁ」

 

 少女は変わらない速度で走りつつ、十字路に戻る。通って来た道から再び湧き出たゴブリンが来ないか警戒しつつ、階段とは別の道へ進む。その先には先程の『ミミック』よりも見た目が豪華に見える宝箱が有った。

 

「宝箱はっけーん!」

 

 再び少女の嬉しそうな声だった。鑑定した結果、少女に向いている宝箱だ。

 

「運が良いな、お前向けだぞコレ」

「え、中身分かるの?」

「いや、中身の話じゃ無い。コレ、鍵が掛かってるやつだ」

「んに!?」

 

 俺の言葉に少女が変な鳴き声を上げたが無視、昨夜相談して取ったスキル『解錠』が早速役に立つ時が来た。

 

「え、いきなり本番とか……」

「こんな上層に出るヤツなら初期レベルでも簡単に開く筈だ、ツールは有るか?」

「一応、学園で基本的なヤツは貰ったけど……」

「なら早速チャレンジだな、挑まないとスキルレベル上がらないぞ?」

 

 俺の言葉に渋々といった雰囲気で、宝箱の解錠に取り掛かる少女。鍵穴を覗きつつ、ツールを細かく動かす。30秒程して、金属が擦り合う様な音の後にガチャっと音がした。

 

「ふぃ……成功!」

「おし、お疲れ。それでは、ご開帳をお願いします」

「え、私が開けるの?」

「初めての鍵付き宝箱を成功させたんだから、自分で確かめなきゃな」

「え、あ……何か緊張して来た」

 

 数度深呼吸して、少女が宝箱を開ける。入っていたのは一丁の魔導銃だった。

 

「魔銃……?」

「鑑定したが、物理弾頭型の魔銃だな。消費魔力は15で物理攻撃力が10だ」

「え、弱くない?」

「比較対象が『ロニセラ』なら比べるだけ可哀想だからやめてやれ、それ普通はこんな階層で持ち歩ける武器じゃないからな?」

 

 専用装備とはいえ、消費魔力が5で攻撃力がその倍なんてのは破格も破格だ。本格的に探索を始めた時から持ち歩いている少女は理解していないっぽいが。

 何だか『ロニセラ』に埋め込まれてる霊核が誇らしそうに光って見えた気がしたが、多分気の所為だと思いたい。

 道を戻って行く途中、遠くでゴブリンの鳴き声がした。少女が咄嗟に前に出て『ロニセラ』を構える。一瞬の間を置き、4連射する。

 

「ごめん、3匹来る」

「分かった、援護頼む」

「了解!」

 

 少女の壁になる為に前へ出る、少女は続けて2回発射。ゴブリンの鳴き声が減ったので、当たったようだ。そうして目の前に現れた2匹のゴブリンは最初は俺に向かって居たが背後の少女に気付いたか、急に方向転換し始めた。

 俺の脇を抜けようとしたみたいだが、当然許すつもりは無い。

 横薙ぎ気味にウォーハンマーを振るい、先行して来たゴブリンの腹を殴り付ける。手に柔らかい何かを潰す感触が走るが、無視してフルスイング。先端で打たれたゴブリンは振り抜いた先の壁に叩き付けられ、水音を響かせた。後を追う形で走っていたゴブリンは先に俺を片付ける事に決めたのか、一度変えた進行方向を俺に戻し飛びかかって来た。それに対して振り抜いたウォーハンマーの勢いをそのまま身体全体を一回転、勢いを増したウォーハンマーが2匹目のゴブリンに当たる。直撃した下半身だけ爆散したゴブリンは不格好なまま此方へ飛んで来たが、軽く避ける。背後から湿った落下音が聞こえた。

 

「うわぁ、エグい……」

 

 少女の正直な感想が口から溢れた、確かに壁の染みになったり床の汚れになったりとエグめの光景かも知れない。

 

「取り敢えず魔石を回収して進もう」

「はーい」

 

 俺の言葉に少女は下半身の無いゴブリンから魔石を回収する、俺は壁のゴブリン跡の下に落ちていた魔石を拾いに向かう。少女は十字路の所まで進んで行く途中でもう一つ拾い、俺は十字路にまで進んで4つの魔石を確認する。

 どうやら最初に放った4射はしっかり全弾当たって居たらしい。軽く30mは有った距離、静止目標かも知れないが拳銃型でこの命中率は驚異的だ。少女がどう進むかは委ねるが、『鷹の目』や『千里眼』と『狙撃術』を取得してスナイパーにするのも有りかも知れない。時間は掛かるが諸々全て取得させた場合、とんでもない事になる可能性が生まれてワクワクして来た。

 そんな事を考えつつ、最初に少女が空気の流れで予想した道の先で階段を発見した。

 

「さて、進む前にスキル見ておくか……」

「え、どうしたの急に……やだ、私も不安になったから見とこ」

 

 俺の言葉に不安になったのか、少女もスキルを確認し始める。

 俺は『槌適性Ⅲ』が最大レベルになっていた、早速『槌適性Ⅳ』にランクアップさせる。まだ新しい技は覚えていないが、解禁された武器も有るはずなので完全にプラスである。

 少女は何かに驚いた様子を見せて、直ぐに操作した。

 

「何か起きたのか?」

「うん、『銃適性Ⅰ』が最大になったからランクアップした!」

 

 嬉しそうにそう俺に言ってVサインを送ってきた、その姿の微笑ましさに肩の力が抜ける。

 

「おめでとう、それじゃ次に行くか」

「おっしゃ、少し強くなった私を見せてやる!」

 

 気合を入れ直した少女がズンズンと進んで行く、俺は笑いを堪えながら後ろに続いた。




『俺』と『少女』の名前はチュートリアル後に出します。


……何か良いの考えなきゃ()

主人公とヒロインの容姿ってしっかり書くべき?

  • 見せてみろよお前の癖。両方に要る。
  • 理想の男と女を妄想してるから要らネ。
  • どんな女がタイプだい?
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