既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。 作:アルカミレス
『看板娘』イベント継続中
アンケート実施中です、直感でお選び下さい。
ダリアから預かったレポートを読みつつ通学路を歩く、エテルが俺の進路を細かく修正してくれるおかげで他人にぶつかる事が無い。修正案を考える上でレポートを読み込まないとならないが、都市長は大分急いでと言うか感情が逸ったのか文字が乱れていて読み難い。
「どんな感じなの?」
「一番のは簡易転移門の出力に付いてだな。今の転移術式の修正と魔導具の内部構造に対しての修正箇所が来てる」
どうやら都市長は簡易転移門専用にする上での双方の問題点を1日で洗い出したらしい、そりゃ丸1日使うわな。
「簡易転移門用の魔導具は、転移術式専用の設計にしてより効率化を図れって……何処から思い付くんだこんな無茶振り」
「多分、普段から触れてるタタラの作品からじゃないかな?」
言われてエテルの『ロニセラ・リンネ』とダリアの『ランタナ』を思い出す、確かに普通なら無茶な代物だわアレ。
「しかし、どうするかな……内部の基盤の形を術式の形にでもするか?」
「よく分からないんだけど、それは効果は有るの?」
「思考実験レベルでは有るけどな、魔力の消費が12%は減らせる」
「それ、凄くない?」
確かに、元の消費から考えたらかなりの低減ではある。しかし、都市長からの依頼は2割減。どうやったら解決するかな。
魔導マーカーの問題点は単純に言えば出力不足だが、此方は簡単だ。術式の一部を魔導具内で循環させて魔力を増幅・収束する事で容量はそのまま瞬間的な出力を引き上げる。魔導銃の構造の応用であり、コレで単純な出力は3割増になるだろう。空間に揺らぎを作るのはコレで大丈夫の筈だ。
「おはよー」
「おはよっす」
エテルに先導されつつ教室に入る、エテルの声でそれに気付いたので挨拶をするが俺の視線は手元のレポートに向けられっぱなしである。
「おっす……って、タタラお前久し振りにそれやってんのか」
バカの声が聞こえてくる、久し振り……コイツの前で偶にやってたかこれ?
「はよっす、ちょっと急ぎの依頼でな」
「せめて目線を此方に向けろよ……いや、お前の集中力は昔っからそんなだけどよ」
諦観交じりの溜息を吐くバカの気配を感じつつ、俺は席に着く。先程からずっと簡易転移門の設計図を作り直しているが、低減18%の壁を越えられない。素材を変えればとも思わなくもないが、それでは量産時に問題が増える。根幹技術のブラックボックスは俺が作るコンデンサーだけにしたいので、ミスリル等の希少な素材は使わない。そこで候補になるのが、内部の素材は強化銅を使用する事。コレはこの先、シャムスとエストの仕事を増やす事にも繋がる為にも行う仕様変更だ。『概念鑑定』を使える人間を増やす口実にも繋がるだろう。
しかし、要望の小型化は難しいな。試作品は俺の技術を抜きに作れる最小の大きさであり、コレより小型にしろと言われたら俺が出来る精密な技術の塊になる故に作れる人間を探すのが難しくなるだろう。下手したら求められるクラフターが魔導具職人ではなく精緻な装飾を施せる細工職人に成りかねない。採算度外視では無く量産の効く簡略化と小型化を両立しろってのは無茶振りだろう。
それに、簡略化と小型化を無理に行えば一発で内部の基盤が焼き切れる。循環させる魔力が多少軽減しようと、この規模の魔導具に対して破格な量なのだ。採算度外視ならそれこそ鍛造ミスリルで作りもするし、何なら歯に仕込めるサイズの物を作れはするがそんな再現性を疑う代物を求められてはいないだろう。一応、今挙げた二つは報告書に設計図だけ書いておく。
「──それではこの問題をジュロン、答えろ」
「……ふぁ?」
唐突に呼ばれた為に思考が戻る。顔を上げれば俺に以前魔法触媒を頼んだ黒尽くめの30代後半の男性教師が睨むように視線を向けてきていた。
ヤベェ、再設計に集中し過ぎてて問題聞いてなかった。板書されている情報を読み取ろうとするが、どうも歯抜けの情報しか無い。チグハグな情報からはマトモに問題を読み取れなかった。
「なんだ、聞いてなかったのか?」
「はい、すみません」
「まったく、コレで記述試験が最上位とは呆れる。まさか不正をしているのではないだろうな?」
嫌味混じりに聞こえる教師の言葉に、クラス内の何人かが笑う。しかし、別にこの人は俺を馬鹿にする意図は無い。そも、わざと虫食いの問題を作る事で分かった気になってる生徒を叩くのがこの人の趣味だ。
「それではジュロン、何が分からない?」
「問題の魔法術式で肝心な物が読み取れません。増幅や循環は分かりますが、その後が放出なのか保持なのか記入されておらず分からないので攻撃に使うのか回復なのか……はたまた肉体強化かを読み取れません」
俺の言葉に教師は一つ頷く、目的通りの答えを出されたと仏頂面だが何処か満足そうな雰囲気が見て取れる。俺の答えに対して、教室内でさっき笑ってた奴等の一部が少しザワつく。反応が鈍い生徒は多分、俺に対するこの教師が求めるやり取りを察して笑っていたのだろう。
「そうだ、ジュロンの言う通りこの術式には目的が記述されて無い。故にこの問題の術式には──」
教師による解説が再開し、一部の生徒が慌てている。魔法使いとしての立場でもそうだが、前衛でも切り札として魔法を使う場合でも術式の理解度によってはその威力に差が出る。身体強化も無駄に魔力を流せば長続きはしないし、必要な分だけの出力維持を出来るなら無駄が消えて継戦能力が上がる。魔法を覚えたてで理解度が低い場合、術式に魔力を過剰に通せば効果が上がると思われがちだ。しかし、それを可能にするのは元の術式に余裕がある時だけだ。強化魔法なんかはこの辺りが緩いので火事場の馬鹿力みたいな使い方も出来るが、攻撃魔法はそうではない。
と、そんな事を考えて自己正当化を図るが流石に授業を聞いてないのは俺が悪い。意識を切り替えて授業に集中する、次に指定を受けた生徒は問題を読み取れず見当外れの答えを言って周囲に笑われていた。歯抜けの問題が同じだと思ったようだが、次のは目的は分かるが規模が分かり難い物なのでそこを指摘させたかったのだろう。微妙に教師が不機嫌になるのが分かった。
その次に指定されたバカは一カ所の指摘漏れだった。抜けさせたのが物凄くどうでもいい箇所なので、俺も一瞬見落としていた物だった。それ以外を指摘した事に教師が分かりやすく口元をニヤつかせていた。微妙に性格悪い先生だな本当。
そんな授業を終えて、工房へ向かう。後輩達に今日は強化銅を教えておこうとおもう、前はあの敵が出やがったせいで無理だったしな。
工房で銅板2kgを置いて待っていると、工房の扉がノックされた。
「先輩、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします」
シャムスとエストが入ってくる、二人とも顔色が良いと言うか何か目がキラキラしてる。
「いらっしゃい、二人とも。何か良いこと有ったか?」
気になって聞いてみると、二人は顔を見合わせた後に大きく頷いて俺の眼前に紙を突き出してきた。
「……推薦状、高等教育過程クラフター科への奨学生で授業料免除!?」
『はいっ!』
驚いた、クラフター科限定とは言え授業料免除の奨学生とは。しかも責任者の所には都市長のサインが入ってる、俺が二人の事を伝えたからかな?
「正直、家が苦しいので助かりました」
「僕も、兄弟が多くて高等部に入るには結構な無茶が必要だったから天の助けですよ!」
エストとシャムスが其々そう言って嬉しそうに笑う。
原作イベントの前提である経済的な苦境がなくなるなら、コレからものびのびと『クラフト』スキル磨きに集中出来るだろう。
「成る程、それじゃお祝いじゃないけど今日は新しい事を教えようか」
『本当ですか!?』
「ああ、習得出来たなら生活費の足しになるよ」
「……先輩、今度はどれだけぶっ飛んだ金額になるんですか?」
「先輩、流石に僕達は身持ちが崩れるような金額を稼ぎたい訳じゃ無いんですよ」
「いきなり態度冷たくない?」
なんでそんな『浮身石』の製作見せた時みたいな反応してんのかな、そんなにアレがトラウマになったか?
少し悲しく成りつつ、強化銅の作成を教える。序に金属の線状クラフトのコツを伝えつつ、この先この強化銅線と強化銅板に需要が増える事を教える。
まぁ、その話をしたら二人とも目が死んだけど。過労死させられるとでも思ったかな?
強化銅板を加工して簡易転移門の基板を作成、更に術式を立体的な構造にして作成する。すると魔力の低減が30%に届いた、更にサイズを一回り小さく出来たので何とか要求満たしたと安堵して報告書を書く。
「……先輩、それなんですか?」
「軍事機密」
「僕達、殺されません?」
「外部に漏らしたら死ぬかもね、王立研究所からの依頼みたいな物だし」
『こんなところで書くのやめて下さいよ!?』
軽く脅したら半泣きで言われた、意地悪が過ぎたな。
「さっきの強化銅、コレに使えるからどんどん需要が増えるんだよね。だから作れるようになっておくと、この先食いっぱぐれは無くなるよ。何なら工房とかで工作用魔導具のヒューズにも使えるから、需要に対して供給追い付いてないし値下がりは起きないよ」
「いや、ありがたいですけど……」
「銅板1kgの値段って今いくらだろう……」
二人とも苦学生なので家族を養う為に直ぐ出来るようになろうとしてる、何なら家でも簡単にやれるしな。因みに強化銅は普通の銅の8倍の値段が付いてる、以前商会長から供給増やせないか打診されたな。シャムスとエストを紹介しとくか。
俺は報告書と手紙を書き上げた後に念話でサイファーを呼び出す、少しすると扉を軽く叩く音が聞こえて来たので開けてみると、足下にサイファーが居た。
「よく来てくれたな、ありがとう」
腕を差し出すと止まってくる。軽く撫でてやると甘えてくる……ゴーレム、だよな?
その脚に報告書を持たせて、都市長と商会長の所へ送り出す。コレで心置きなく探索に集中出来る、そう考えて振り返るとシャムスとエストが抱き合いながら震えていた。
「……どうしたんだ?」
『なんですかアレ!?』
半泣きの表情でそう言われた、いや何かと言われたらゴーレムですとしか。
「あんなどデカい鳥類とか魔獣ですか!?」
「しかも銀色とか、どっかの神鳥ですか!?」
「いや、俺が作ったゴーレムだが」
『なんで鳥型ゴーレムがあんなにデカいんですか!?』
思い切り詰め寄られた。何故と言われても困るな、特に特殊な事はしてないんだが。
「俺の特許ってどれくらい確認してる?」
「一応、全部ですね」
「術式の説明はちんぷんかんぷんでしたけど」
おう、一番肝心な所が分かってねぇや。
「あのサイズを飛ばすのは二つ特許の術式を組み合わせればいけるぞ。そうだな……次回までの宿題で」
『そんな!?』
何か絶望顔してるんだが、お前達俺の特許を全部取得するんだろうが。課題の一つも乗り越えてくれよ。それに、次回の授業は都市祭の後なんだから大分先だ。時間的に見れば余裕が有るだろう。
その後は何れは役に立つ技術として術式の刻印技術を二人に教える。芸術家肌のシャムスは俺の予想を超える表現力とも言うべき刻印法を編み出して高出力な物を書き出し、几帳面なエストは規定内にキッチリ無駄無く刻印を並べる技能を見せた。性格が違う為に出来が違うのが楽しく、誤魔化しながら魔導鎧の術式と『飛行』及び『浮遊』の術式も教えておく。
なんで飛べるかの答え合わせ、楽しみにしておこう。
終業の時間が来て解散する、俺はエテルとバカの二人と合流し、学園から出る。
「今日はタタラが探索に行くとか珍しいな?」
「むしろ此処最近がクラフトに偏り過ぎてただけだな、俺は本来両方をバランス良く行うのがライフスタイルだったんだぞ」
「アマツさん達が来た後の方が生き生きしてたけどね」
そんな会話をしながら校門を出ると、四葩を筆頭にメンバーが揃っていた。四葩を送ってくれた雛菊さんに入れ替わりでバカを預け、俺とエテルそして四葩の三人で『常闇の洞』へ向かう。
「タタラと探索は久し振りだね!」
「燥いでおるのう、エテル」
「うん、やっぱり隣にタタラが居てくれるのは嬉しいもん!」
この僅かなやり取りで軽く箱推し鬼化するの本当に際立ってるな四葩。エテルが軽く腕に抱き着いて来たので肘辺りが巨峰に挟まれて俺は幸せで、エテルは俺が隣に居るだけで幸せの空気を出すので仕方ないのかも知れないが。
「三人とも、此方だ!」
そんなタイミングで呼び掛けられ、視線を向けると大きく手を振る騎士服姿のタチアが見えた。
「タチア!」
「チーちゃん!」
手を振り返す四葩とエテルに苦笑いしつつ、俺も小さく手を振り返す。タチアは嬉しそうに此方へ駆け寄ってくる。
「今日から都市祭迄、毎日探索に参加ですねタタラ殿」
「あ、悪い。そうとも言えないんだ、中枢や商会から手伝いを頼まれると思う」
笑いながら声を掛けてくるタチアにそう返せば、少しだけ寂しそうな表情をする。しかし、頭を振ってから表情を引き締める。
「なら、探索出来るタイミングを大切にしましょう」
「そうだな、俺も出遅れ気味だし積極的に倒しに行こう」
タチアの言葉に頷いて、早速手続きを行ってダンジョンに入る。人目から離れたタイミングで、早速装備を渡していく。
「……成る程、此れがタタラの手並みか」
「此れほど迄に鮮やかな赤になるのですね」
炎属性の核石を施された『手鞠花』と『アンドレイア』を手にした二人は、その紅を差したかのような刀身に見入っている。その姿に満足しつつ、タチアには『アーラ』を渡して早速探索を開始する。
宙を舞うタチアの速度を乗せた一閃に『ジャイアントバット』は砕けるように散っていく、翼膜は回収出来たが流石にオーバーキルが過ぎる。まぁ、こういう反復を行わないと武器適性が上がらないので仕方ない面も有るが。
エテルは試射気味にタチアが取り零した『ジャイアントバット』と『ジャイアントラット』に『ロニセラ・リンネ』の属性弾を当てている。状態異常の確認をしたいのかと思ったが、アレは動体目標に対しての狙いのズレを確認してるヤツだな。
俺と四葩は飛んでる二人が活躍し過ぎていて暇を持て余している、どうせ『オーガ』辺りから俺達にも出番は回ってくるだろう。何より、俺達に本格的な経験値を得れるのは31階層以降だ。それまではエテルとタチアに頑張って貰うのも有りだろう。
宝箱を回収しつつ、10分程で5階層まで降りてくる。上層とは言えこんなに早く降りれたっけ?
「早速『ゴブリンコマンダー』の一団だな、久し振りに見た」
「タタラは潜らぬからな。して、どうする?」
エテルが先行して見付けた『ゴブリンコマンダー』の一団を、壁の影から覗いてそんなやり取りをする。『コマンダー』1、『ウォリアー』3、『ウィザード』1、通常種6とそこそこ多い集団だ。とは言え、正直なところ今の俺達の場合作戦を特に考えず突っ込んで暴れるだけで終わる相手ではある。ただ、安全な内に俺は勘を取り戻すべきだ。
「俺は『ウィザード』に向かう方がいいな」
「戦いは以前の襲撃事件以来じゃしのう、鎧の性能も上がっておるしそうして錆落としするのがよいか」
四葩は俺の意図を汲んでくれて、その言葉を聞いたエテルとタチアも賛成してくれる。
「なら私は『コマンダー』に対しよう」
「私は『ウォリアー』を片付けるね」
慣れた様子のタチアとエテルの言葉に頼もしさを感じる、まだ俺の方がレベルは高いのだがステータスは一部負けてるしな。
「ならば妾は通常種を片付けるかのう」
「自爆には気を付けてくれよ」
「ふむ、気を配ろう」
軽く方針を決めて、一気に動き出す。奇襲気味な攻撃により『コマンダー』は反応が遅れ、タチアの一撃により指示を出す事が叶っていないようだ。
独特の発射音が響き、その後に倒れる音が三つ。見事に頭を吹き飛ばされた『ウォリアー』が塵に変わるのが目に入る。発射音が1回にしか聞こえなかったのに3連射とか、ビリー・ザ・キッドの早撃ちだろうか?
四葩は剣閃が全く目に入らず、『ゴブリン』は自らの死を自覚出来ずに倒れて居るようだ。あいつ、最早意味不明な戦闘力になってるな。
そんな風に仲間を見やりながら、俺は『ウィザード』を間合いに捉える。どうもステータスが上昇している為に『ウィザード』の反応を置き去りにしているらしく、全く反応されていない。コレなら問題無くやれるか。属性添付機構を起動、破壊力重視で炎属性を纏わせる。
武器命中20+121−8=133。命中判定。
炎属性攻撃165−11=144。
上からのシンプルな振り下ろしは『ウィザード』を文字通り叩き潰した、ハンマーが地を叩く音と肉を打つ音そして水袋が破裂するような音の三重奏が奏でられて俺は返り血に染まる。属性付与で燃えるかと思えばそれより先に潰してしまった。
このレベルのダメージとなると、『ウィザード』の体力に対して100を越える威力が出たかも知れないな。卒業の証である腕輪が手に入ったら10階層は飛ばして問題無いだろう、何ならタチアが居るなら21階層からが一番効率が良いまで有るし。
視線を向ければ、タチアに貫かれた『コマンダー』が『アンドレイア』を中心に燃え上がる場面が見えた。属性効果が予想より強力になってる、タチアの魔力に呼応して効果が上がっているように感じたが今は調べられる状況ではない。
「取り敢えず、武器の機能は正常に動いてたな」
「此方もだ、まさか燃えるとは……」
装備の具合を確かめながら魔石を回収し、集まりながらそんな会話をする。少なくとも俺とタチアの方は正常動作を確認出来たが、エテルと四葩はまだだ。
「妾も判定ならばキチンと炎属性じゃったぞ」
「ごめん、私は何時も通りの魔力弾使っちゃった」
四葩の方も問題は無しだが、エテルは『ロニセラ・リンネ』を未使用か。とは言え、試射の時に確認はしてるだろうから正常に機能しているのは確認済みか。
「属性攻撃は出来てるなら、サクサクと31階層まで進むか」
「途中の敵を倒しながら、ですな」
「妾達はレベルもそうじゃが技を磨かねばならんしのう」
スキルレベルの上昇は時間が掛かる、それでも上げなければこの先で攻略が滞るだろう。それを分かるが故に、この先の攻略も敵を殲滅し続ける運びとなった。
順調に階層を進み、接敵するレア種を尽く殲滅する。ボス相手でも特に問題は無く、『オーガ』種は火属性攻撃で火傷にする事で再生能力を阻害出来るので大分楽になった。
『トロール』種の『ムゥ
『ゴーレム』種は俺の独壇場であり、見慣れた『ミスリルゴーレム』と『オリハルコンゴーレム』を即死させて鬱憤を晴らす。久し振りにレベルが上がったので少しは溜飲も下がった。
そうして迎えた31階層、今までより遥かに危険な挑戦をコレから始める。
「……少し、緊張するな」
俺がそう零すと、そっとタチアが手を握って来た。普段はエテルがしてくるような事をと驚くが、タチアの手が震えているのが分かってそっと握り返す。
「タタラ殿、申し訳ない。騎士なのに恐れてしまって」
己を恥じ入るその姿に、俺は気合を入れ直す。自分を好きと言ってくれる相手を不安にさせるな、俺の動揺や恐慌が伝播するのだからしっかりしろタタラ・ジュロン。
「恐れるのは構わない、それは普通のことだ」
「え?」
俺の言葉に戸惑うタチア、叱咤して欲しいのかも知れないが俺は恐怖と言う感情を否定しない。
「大切な時に逃げ出さず挑む事、恐怖を乗り越える事が重要なんだと思う。恐れ知らずってのは生存本能が無い、自分の生命に執着が無いことときっと一緒だから怖がる方がずっと正しい」
俺の言葉を静かに聞いているタチアの眼は真剣だ、こんなありふれた言葉でもタチアの勇気の一助になるのなら言葉を尽くす。
「タチア、本当にダメなら此処はエテルと四葩それと俺の三人で行く。タチアは最悪、俺達の遺体を持ち帰ってくれたらいい……どうする?」
少し卑怯な聞き方だと自分でも思う、それでもタチアの心が定まらないなら前には出せない。
タチアは目を瞑り、深呼吸を一回。それから開かれた目は強い意志を宿していた。
「私も前に出ます」
「いいのか?」
「私は、私の死より貴方やエテル殿達の死をより怖いと感じました。それなら前に出て、守る盾になる方が遥かに怖くない」
真っ直ぐ俺に視線を向けて、言葉を続ける。
「命令を、ロード。翼騎士タチアに命令を」
ロード、そうタチアは俺に言う。あの時以来だ、そして俺に死へ立ち向かう命令を欲して居る。正直、タチアの生命を背負うという行為が怖い。それでも、俺はタチアのロードとしてその生命を背負い命令を下す。タチアが信じてくれるなら、俺もタチアを信じて命令を出さなきゃならないんだ。
「我が騎士に命令を与える。『死霊王』へと立ち向かい、仲間を守り……そして生き残れ」
「拝命しました」
タチアの翼が一際輝いたように見える。タチアの気合の具現かはたまた目の錯覚なのかは分からないが、確かにタチアの心が定まったのは分かった。
『タタラとタチア、早速だけど『死霊王』を見付けたよ。数は3、ちょっと苦しいかも』
先行して居たエテルから『念話』が届き、俺とタチアは急いで追い付く。四葩が少し咎めるような視線を向けてくるが、タチアの様子に気付いて仕方ない奴だと言わんばかりの表情で許して貰えたのが分かった。
壁から覗き込んだ先にはエテルが伝えて来たように3体の『死霊王』が居た。コレは纏めて倒さないと下手したら犠牲が出るな。
『1体は四葩が突撃するとして、残り2体か。エテルとタチアで1体担当して、俺がもう一体か?』
『流石にそれは無理なのでは。タタラ殿はこの中で一番戦闘力が低いのですよ?』
改めて突きつけられると泣きたくなる事実だな、武器や装備で補ってはいるんだが元々は後衛向けの能力だし弱いんだよな俺。
『エテル、あの『死霊王』を一体相手に出来るかのう?』
『うーん……『ロニセラ』の効き如何かな、『性魔術』が通じるなら確定でイケるけど』
やはり他の『死霊』系に試せなかったのが痛いな、少しアレだがエテルには一体を引き付けて貰って俺とタチアで組むか。
『エテル、装備の変更だ。此れを使ってくれ』
そう言って取り出すのは残り一着の『死霊王の衣』だ、コイツには即死耐性が死霊特性に含まれて居るのでエテルに丁度良いだろう。
『初手で『闇討ち』と『不意打ち』で倒しきれなかった場合に有効な筈だ』
『分かったよ、あんまり見た目好きじゃ無いんだけど言ってられないね』
早速今の防具の上着を脱いで、『死霊王の衣』を装備する。最初は少し大きかったが、自然と身体に合わせた大きさに変わりその背からは翼が出ている。この効果、再現したいな。
『じゃあ、最終確認だ。エテルと四葩で一体ずつ、俺とタチアで一体を相手する。倒したら、近くの仲間の援護……コレでいいか?』
俺の確認に全員が一斉に頷く、それでは挑みますか。
先ずはエテルが動いて一体の『死霊王』の背後を取る、続いて俺と四葩が飛び出して別の『死霊王』へ向かい一拍遅れてタチアが動いた。
三体の『死霊王』が俺と四葩に注目した瞬間、エテルが一体の背後から最大出力の『ロニセラ』を発射。一呼吸で三射放たれた魔力弾は一体の『死霊王』の背に突き刺さり、その身を燃やした。その様子に気を取られた他の『死霊王』に対して、俺達の攻撃を開始する。先ずは『鑑定』を使用し、そのステータスを暴く。
死霊族『リッチ』
体力 180/180
魔力 200/200
技力 10/10
物理攻撃 10+2
物理防御 12+5
魔法攻撃 80+15
魔法防御 62+6
速力 27
移動力 3
状態異常 無し
特殊 『死霊特性』
装備 『骸骨の杖』『草臥れた法衣』
想定した中でも魔法防御が最大に近いのを引いたが、物理防御は想定内だ。早速『エレメンタルハンマー』に魔力を送る、火属性が稼働して打撃面のミスリルが赤く染まった。
俺の一撃で倒すつもりで技を起動、『重撃』により火力を引き上げる。
武器命中20+121−54=87。命中判定。
炎属性攻撃1.5✕(165+【重撃】50)−17=308。
叩き込まれた一撃は、『死霊王』の体力を余さず消し飛ばした。自分でも呆気に取られるくらいに『死霊王』はその身体を燃やし崩れていく……待て、
『エテル!!』
咄嗟に『念話』で声を上げる、エテルの前に居た『死霊王』はその身に纏っていた衣を燃やされて骨と僅かな腐った肉片で出来た身体をエテルへと向けた。
その状況を見て考えるより先に駆け出すが、距離を詰めきれない。俺の移動力が僅かに足りなかった。そんな俺の横を風が通り抜け、輝く翼がエテルの前に立つ『死霊王』に襲いかかる。
「ぜぇやぁぁぁぁぁ!」
気合のこもった声、そして打ち出される流星の様な刺突。赤銀の剣身が『死霊王』の頭を砕き、解き放たれた火の概念がその身体を焼き尽くした。
「ご無事ですか、エテル殿!?」
焦りの混ざった声でそう問い掛けるタチアに、エテルは目を瞬かせてから笑って頷いた。
「うん、大丈夫。ありがとう騎士さま」
何処か冗談めかしてそう言ったエテルの姿に、タチアは思わずと言った具合に地面に膝を付く。相当焦っていたようだ。
「こ、怖かった……エテル殿が危ういと思ったら全力で『突撃』を使っていた……」
冷や汗なのか汗を大量に流しているタチアの下に集まる俺達、四葩も特に疲れた様子も見せず集まっている……俺が戦った個体とそれ程変わりが無いとして瞬殺するのは流石としか言えねぇな。
「作戦変更じゃの、エテルとタチアはコンビで戦うのが良いじゃろう」
「ああ、『鑑定』した限りだと今の『ロニセラ』ですら『死霊王』相手には火力不足だからな」
今回のが一際強い個体の可能性も有るが、『ロニセラ』の火力で防具を焼けるだけで終わるのは想定外だ。しかし、エテルの背面攻撃は通じている。ならばエテルが相手の不意をついた後で後詰めにタチアが仕掛ければいい、俺は今回で『重撃』無しでも『死霊王』は問題無いと分かったので次からは効率良く倒せる。
「新しいこの子でも今は難しいのかぁ……予想外だよ」
「それは俺もだな、『死霊王』の魔法防御を低く見積もり過ぎた」
属性弾による火力上昇、背面からのダメージボーナス込みならゲーム時代は倒せた。しかも3発叩き込んで殺しきれ無かったのはそれだけ魔法防御で『ロニセラ』の火力が減衰した事の証左だ。
「しかし、手応えとしては残り僅かな体力でした」
そんな中で声を上げるタチア、弱らせては居たのは分かるが倒せないとやはり『ロニセラ・リンネ』が主な攻撃であるエテルはタチアと組ませるべきだろう。
「コレからの方針はエテルとタチアのペア、俺と四葩は単身での戦闘が主だな。タチア、レベルはどうだ?」
「1体で大分溜まっている、何体か倒し続ければ今日中にレベル30代に届くかも知れない」
やはり、格上相手だと速いな。俺も同レベルなので結構溜まったのだ。
「妾もそれなりに美味しいのう、此処は妾達物理組が率先してレベルを上げるのがよいのじゃな」
四葩のまとめに頷く俺達、エテルは少し不満かも知れないが此処は耐えて貰おう。本来ならエテルは此処で活躍する筈だったが、『死霊王』がメインの敵になるから仕方ない。
「あ、そうだ。タタラ、コレ」
そう言ってエテルが俺に渡してくる物は、見慣れつつ有る石だった。
「……ステアップアイテム、いつ盗んだんだ?」
「さっきの『リッチ』からだよ、『盗む』の常時発動アビリティの『強奪』で盗れた」
あっけらかんと言っているが、それはとんでもない事なのだが。チラと視線を向けると、四葩とタチアが頷いた。
エテルの先制攻撃役、続投である。
おまけ
「ふざけおって!!」
怒声と共に力強く殴り付けられる円卓。堂々たる体躯と蓄えられた髭を持つ老齢の貴族は目前の報告書を前に怒りを抑えられ無かった。
皇国が治める国の地方都市、そこに敵国と認定している国の将軍が襲撃し100に及ぶ死傷者が発生した。居合わせた者達により被害は最小限に抑えられたが、それでも死者が出た。それも兵士でも騎士でも無く、無辜の民がである。
その事を敵国に抗議すれば梨の礫。そんな者は存在しないと知らぬ存ぜぬを決められた結果、温厚で知られるこの老貴族をブチギレさせたのである。
「落ち着け、と言うのも難しいが抑えてくれ。手を痛めるぞ」
円卓に座す最も身分の高い者である皇帝は、老貴族を諌めようとするがはっきり言って腸煮えくり返っているのは同じだ。気が長いとは自ら思ってないが、二十年近く前に有った事件の時から続く舐め腐った態度にそれなりに我慢してきた堪忍袋の緒が切れる手前であるのが皇帝その人だ。
早期に開戦してぶっ潰してやろうかと中々に物騒な思考に陥っていた。
「しかしまぁ、随分と舐められたもんだなぁ」
皇帝の隣に座す前皇帝は軽い口調でそう零す。口調は軽いのだが、この会議の雰囲気を重くしているのは間違いなくこの男である。簒奪王、血の玉座に座す者。様々な蔑称で他国から呼ばれるこの前皇帝は、躊躇いなく敵を滅ぼせる精神性を持っている。
例えそれが国相手だろうと、王族を鼻歌交じりに鏖殺するか民を残らず根絶やしにするかを軽く選んで実行する酷薄さも有る。
今は亡き正妃の意向により可能な限りやらないだけで、やれない訳では無いのだ。
「父上、今回は……」
「分かった分かった、単身で突っ込んで滅ぼしたりはしない」
皇帝からの言葉に煩わしそうに手を振る姿に、周囲の家臣団は溜息を吐く。苛烈で知られる前皇帝は、帝国の中でも指折りの戦力だ。その愛妾達も含めれば、近隣諸国が連合を組んで挑んで来たとしても返り討ちに出来る程には強力な手札である。
尤も、そんな彼等をして別格と認める存在に動かれたらどうしようも無いのだが。
「しかし、此処でも名前を見るとはな……」
報告書に記載された見覚えの有る名前、タタラ・ジュロン。
最初に接触し戦闘を行う事で被害者を避難させる時間を稼ぎ、保持していた1000もの傷薬で被害者の治療に貢献。最後は彼が保護した者により将軍を捕縛したとまで有る。
「コレは、勲章の一つでも与えないと労に報いれませんな」
「平民に、等と言っておれますまい」
家臣団からもそんな声が上がる。騎士がやるべき仕事を、次期とは言え工匠長と言う責任ある立場の人間が肩代わりした。更に状況を見れば死ぬ可能性が非常に高かった、帝国の宝とも言える技術を保持する者がだ。
「天使族へ挑める者は中々おりますまい」
「新兵にはまず無理ですな、百人長……は大丈夫にしても五十人長でも怪しい者がおるでしょう」
実戦を知る貴族の言葉に、将軍がそう答える。彼等もまた歴戦の勇士であり、天使族の実力を知っている。それ故に、周囲の被害を見て立ち向かったタタラの評価を正当に付けている。
「まぁ、勲章は兎も角褒章は与えないとな。1日で被害に遭った家屋やらを修復してるんだ……意味が分かんねぇけど」
『本当に意味不明ですけどね』
前皇帝の言葉に、その場の全員の声が揃う。一番肉体的に被害を受けた人間が、翌日には元気に自身のゴーレムを率いて家屋や屋台を直しているのだ。最初は偽証かと思えば、立場のある都市の幹部の一人が記録映像を残して送ってきた。その街では意味不明な技術に対して『タタラってる』等と言うらしいが、成る程そのタタラ・ジュロン本人を見ればその意図は分かる。前皇帝が真っ先に『タタラってるな』と零した程の衝撃、自身の愛妾の一人であるドワーフの名工ですらこんなとんでもない事は出来ないだろう。
「して、この敵国に対しては如何に対処致しますか?」
家臣団の一人が上げた問題に、皇帝と前皇帝は揃って頭を悩ませる。
そんな時だ、部屋に入ってくる文官が居た。
「会議中に失礼します。迷宮都市『ワールウィンド』より書状と品物が届きました!」
そう言って近くの執政官に渡し、一礼して出ていく文官。一度開封され、中身を改められた形跡の有る物を執政官が開く。
中からは複数の書状、そして一つのナイフと二つの見慣れぬ魔導具だ。
「コレは……なんと!?」
執政官が書状を読むと、驚きの声を上げる。そのまま皇帝に書状と魔導具を慌てて渡す。
「……タタラ・ジュロンは世に混沌でも齎すつもりなのか?」
書状……正しくは報告書と概要書を読んだ皇帝は思わずそう零した。異国の技術で鍛えられ、人の手により生み出された神の奇跡の再現である概念武装『厄切』。設置の条件を無視して転移を可用とする『魔導マーカー』。そして一度だけ特定の転移門へ移動出来る『簡易転移門』。国宝級の代物と、それまでの戦術を根底からひっくり返しかねない代物だ。
その書状を横から流し読みした前皇帝は、口元を歪める。彼の中でタタラ・ジュロンと言う人物の評価が高まった瞬間だ。
「自身の発明を前提とした奇襲作戦とか、やるじゃないか。地方の工匠ってか、1幹部に据えてんのも勿体ないな」
「父上、やめてあげて下さい。多分この子、権力とか政治とかダメなタイプですから」
「……つっても、工匠長って立場だろ?」
「見る限り、名誉職ですな。都市最高の技術者に与えられる称号のようです」
そう言われて、前皇帝は諦めるように溜息を吐いた。為人を直接見なければ分からないが、皇帝や家臣団の言葉を内心認めている。書状には都市長から身銭を切って被害者達の生活支援をしかけたとも有る、被害者筆頭が何を言ってるんだと思いつつコイツを権力者に据えたら潰れるなとも考え付いた。
個人的には好きな人格なのだが、同時に高い立場には出来ないともそう思う。妻となる夢魔の娘と共に、ささやかな人生を送って欲しいと少しだけ考えてしまう。
そんな考えを脇に置き、前皇帝は声を上げる
「取り敢えず、だ。タタラ・ジュロンのこの発明で俺はやりたい事が出来た」
そう言って魔導具2つを手に取り、見えるように掲げる。
「この『魔導マーカー』を持たせて一人使者を送れ、もう一つの『簡易転移門』は俺が使う」
そう宣言する前皇帝に、場にいた全員が驚愕する。開戦すら視野に入れている状況での使者、下手をすればそのまま開戦に成りかねない。
「なに、心配はするな。やるのはただのパフォーマンスだ」
そう言って笑う前皇帝は、血に飢え牙を剥く獣のようにも見えた。その姿に前皇帝の言葉を信じるのは無理であると皇帝筆頭に思うのだが、とても逆らえる雰囲気にない。
「……父上、その提案を飲み使者は送ります。しかし、時期はずらします」
「ふむ?」
皇帝の何とか絞り出した声に、前皇帝は疑問を持つ。何事かと視線を向ければ、皇帝は気を張って言葉を紡ぐ。
「父上が何を考えているかは何となく分かりますが、かの都市に視察団を送る時期が近い。故に、視察を終えた後に使者を彼の国に到着するように調整します」
「成る程な、そこは任せよう」
前皇帝の答えに、皇帝は思わず安堵の息を零す。
「……そういや、あの都市にはターチスが居たな。孫の事も気になるし、顔を見に行くか」
「ターチスよりもその子供の胃が爆散しそうなんでやめてあげて下さい」
ターチスとは前皇帝の子供の一人であり、皇帝の腹違いの弟だ。皇族としての立場が合わず市井に降り、その才覚で『ワールウィンド』の都立研究所で辣腕を振るっている。今ではその研究所で出会った女性と結ばれ、子供が一人居るのだとか。
「前に愚痴の手紙で子供が片思いしてるとかで発狂してたな」
「父上、妹の一人が嫁ごうと考えた時に同じ様な発狂具合見せたの覚えてます?」
「知らん、忘れた」
愛情の深さは遺伝だろう、自分も視察団に参加する娘が初恋を迎えたら同じ様な反応をしそうだと皇帝は遠い目をする。
都市祭と言う『ワールウィンド』の節目に、どんな騒動が起こるのか。皇帝は今から胃が痛かった。
生存するか否か
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生き残る(元は生き残る予定)
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生き残らない