※この作品はR-18です。

既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。   作:アルカミレス

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タチアイベント進行中。
『看板娘』イベント継続中。

そろそろクリスマスか……サンタさんに文才頼んだら貰えるかな?


それは一つの覚悟

 夕飯の場は無言だった。理由は簡単で、俺の放つ空気が最悪だったからだろう。何とか会話をしようとする先に帰っていたタチアは殆ど喋ろうとしない俺の姿に轟沈、三葉さんは元々対人能力が高くないのか口を開かなかった。一切空気を読まない雛菊さんの食レポがかろうじてBGMとして機能し、食事を完了させた。一華とダリア、そして雛菊さんを抜いた面々は胃を押さえながら部屋へと戻っていった。当主代行のやや心配を宿した視線と、そんな父親を娘二人が引っ張って俺達を二人にするように気を使ってくれたのが印象的だった。

 四葩を前にして、ここ数日で持ち直していた俺の心の中にあった余裕はあっさりと消え去ってしまった。正直に言えば俺の心に一番深い傷を付けたのはエテルでは有るのだが、切っ掛けを作ってしまった四葩にも思う所はある。

 とは言え、四葩自身に何か悪い所が有ったかと言えば明言は出来ない。俺の知識の元が前世の物である事を伝えた際、否定するのでは無く前提として扱い情報を精査しようと臨んでくれたのでこの点だけでもエテルより印象は良い。

 俺が四葩を拒絶してしまうのは、前世のトラウマを踏む行動を取られた事からの意識。だが、アレも四葩に友人が少なかった事と一番俺と付き合いの長いエテルがやらかした為に踏み止まるべきラインを見極められなかった事が原因だ。

 四葩と言うか、お義母さんの事だから多分その辺は徹底的に再教育したと思う。何より、あの時点で四葩は俺の怒りの原因を理解していた節もある。

 四葩に抱く怒りが収まらないのは多分、俺が四葩に対して甘えが有った……いや、有る為だと思う。四葩の理解力と聡明さに甘えて、探索や私生活で補佐をして貰っていた為に抱いた甘え。それが裏切られたような行動を取られ、余計に怒りを抱いているのだろう。

 2度目の人生でも、どうやら俺は大人になりきれて居ないらしい。四葩の精神が大人びているからだろう、本当に情けないな俺は。

 

「……それで?」

「うむ、母上から早急に謝るように言われてな。妾もその日の内に出来れば謝罪をしたかったのだが……エテルが問題で、のう」

 

 短い問い掛けに対して、聞きたい事を全て察して答えてくれる。やはり四葩は俺の怒りの理由に行き着いて、その事を謝ろうとしていたらしい。あの時の俺に対して怒りを抱いた姿も見せたが、思い返せばアレは俺を慮る行動だったのだろう。『天使長』と顔を合わせて自分の行動を振り返った時に後悔したし、四葩は正確に俺の心の動きを察している。

 

「あの状況、エテルをそのままタタラと生活させていたら何方かは分からぬが関係修復が不可能な程の溝を作っていたであろう。その為、母上は半ば強引な手段とは言え妾達を虎熊の邸へと連れ帰ったのじゃ」

 

 やはり、お義母さんは年の功とも言える程に状況判断が上手い。此方に当主代行を残したのも、その後に娘二人を寄越したのも俺に対する最善手を取ったと思える。

 当主代行は初日に俺を糾弾したが、その後は俺と男同士の馬鹿な遊びを重ねる事で俺の心にゆとりをもたらした。

 三葉さんは家での仕事を引き受けてくれた為、俺が都市祭に必要な仕事をするのに協力してくれた。

 いばらさんは……うん、糞野郎の相手をしてくれたな。

 

「久し振りに、母上に心身を叩きのめされ続けてのう……その間エテルは妾の部屋で引きこもり泣き続けておる始末。妾だけでは慰めも上手く出来ず、精神的に衰弱し続ける姿を見守るのがせいぜいであった」

「……そうか」

 

 エテルを拾ったあの日のように、エテルは一切の行動をやめてしまったのだろう。もしかしたら、あの日あの時俺がエテルを助けた事で彼女の中に状況を打破する為にその力を持つ誰かを待つ事という事が最善手と学習させてしまったのかも知れない。

 

「母上は妾の再教育は済んだと判断してのう、速やかにタタラと関係修復に努めさせるように此処へ戻したのじゃ」

「成る程、エテルは今お義母さんから再教育を受けているのか」

「妾としては、エテルの隣で守ってやるのが役割と思ったのじゃがな……母上曰く『それでは何も変わらない』と」

 

 お義母さんがその言葉を、どんな表情や感情で伝えたのだろうか?

 

「しかし、母上の躾は久し振りに堪えたのじゃ……」

「そんなに厳しいのか?」

「一昼夜、武器ありの乱取り稽古じゃ。流石に『概念鑑定』と『手鞠花』無しとは言え、まともに抵抗も出来ず只管に投げられ続けるのは心が折れたのじゃ」

 

 根性を叩き直された躾を思い出したらしい四葩はげんなりとした雰囲気で、肩を落として溜息を吐いている。虎熊家随一の戦闘力と言われている四葩をしてこの反応を引き出すとか、お義母さんの実力ってどんなレベルなのだろうか?

 

「それで、四葩は俺と仲違いを?」

「うむ、正しに来た」

 

 本来の目的に話題を戻せば、四葩は姿勢を正して俺を見てくる。その表情は真剣で、俺が好んだ真っ直ぐな性根を表している。

 

「じゃがのう、一つだけ出来ぬ事がある」

「……それは」

「妾はお主に謝れぬ」

 

 その言葉に、俺の心は疑念で満たされる。謝れないのに何故戻って来たのか。

 

「お主が前世で受けた心の傷、それが集団から責められるという物で有るのは理解出来た。妾達という仲間から裏切られ、そうした攻撃を受けた事が更に刺激した事も察するに至りもした」

 

 やはり、俺の怒りの源泉を正しく察している。そんな聡明な四葩が、何故謝罪をしないのだろうか?

 

「だが、妾が謝ってしまえば……タタラは妾を赦さなくてはならなくなる。そう言う空気を生み出してしまう」

「……なに?」

 

 タチアは俺に謝るべき事象が判らない故に、見当外れな謝罪が出来ないと考えていた。対して、四葩は俺に謝罪をする事で俺が四葩を赦さなくてはいけなくなる(・・・・・・・・・・・・・・・・・)為に謝れない(・・・・・・)と言い出した。

 

「それは……」

「タタラ、お主は妾達が行った事……赦せるのか?」

 

 四葩は俺の目を真っ直ぐに見詰めてそう問い掛けてくる。

 

「赦せる、と思う」

「納得出来るのか、お主の前世から癒えぬ傷であろう?」

「それでも、反省したなら赦すのが当たり前だろう」

「ソレが妾の謝れぬ理由じゃ」

 

 四葩は真っ直ぐ俺と目を合わせたまま、言葉を続けていく。

 

「改めて言おう、妾はタタラ・ジュロンを愛しておる」

「……おう」

 

 照れも誤魔化しも無く真っ直ぐに好意を伝えられて、思わず顔が熱くなる。喧嘩別れする前なら、俺も好きだと返せて居ただろう。

 

「故に、妾はタタラに己の心を偽り、殺して欲しく無い。タタラの心が納得せぬ内に、その優しさに漬け込み赦されるなど妾は嫌じゃ。タタラが心から妾を赦し、側にいる事を許してくれなければ……妾は永遠に後悔するであろう」

 

 それは、彼女が側で見せ続けてくれた誠実さ。あの素晴らしい両親に育まれた高潔な心の輝きだ。

 

「一生……もしかしたら何生したとして恨まれ、怒りを持たれるやも知れぬ。それでも……それでも、タタラには心に従って生きて欲しい。妾の言葉で曲げるのでなく、思うままに妾と接して欲しい」

 

 少し、四葩の言葉が震えている。その力強い筈の目の端には涙が溜まっている。怖い、のだろう。好きと伝えた相手からずっと怒りを向けられ続ける事、嫌われ続けてしまうというその事実が。

 それでも、彼女は好きになった俺の心を優先してくれるのだと言う。本当、誠実で優しい……俺が好んだ心根そのままだ。

 そんな四葩を抱き締めて、耳元で囁くように言葉を紡ぐ。他の誰にも聞こえないように、二人だけの在り方を決める言葉を。

 

 

 今は赦さず、その時が来るまで共に在る事を決めた事で一応の決着に至った俺と四葩に対して一華とダリアは納得は兎も角として理解はしてくれた。態度は暫く硬いままになるのは双方納得した様子で、一華と四葩の間に流れる空気はかなり硬い。元々仲が良かっただけに、俺を切っ掛けとした仲違いの影響がかなり強いらしい。

 

「ふむ、タチアは随分と早く関係修復が出来たようじゃのう?」

「ええ、自らの過ちへの気付きが切っ掛けでは無いですが……謝罪を受けて頂けました」

「……そうか」

 

 四葩はタチアと会話で少し複雑そうな表情をする、タチアの場合は騎士学校の宿舎で強姦されかけた故に俺の家へ逃げてきた形だがそれはタチアが四葩に語るべき事。俺が無神経に伝えていいものではない。

 

「さて、現状を纏めるか?」

「うむ、妾が居ない間に起こった事を一通り頼む」

「分かった……エテルの事も、分かる範囲でいいから教えてくれ」

「承った」

 

 そうして離れている間の事を語る。レベル70迄は存在昇華をする旨を伝えたら少しだけ安堵の表情を四葩はした。あの時、俺が生きる事を考えなくなっていたのを覚えていたのだろう。その他は大きく変わらないが、当主代行と釣りに行ったりアーレム関連の話をしたら少し呆れた雰囲気を放った。

 

「思った以上に持ち直しておるのう……」

「否定はしないが、当主代行との交流は意図して無いぞ?」

「どう考えても父上はタタラとやりたい事をやってただけじゃろう、普段エテルばかり構っておる故にタタラも同性と遊ぶ事が良い息抜きに繋がったのじゃろう」

 

 四葩の分析を聞いて納得する、渓流釣りをしていた時に当主代行と糞野郎の3人で頭空っぽにして交わした会話は大分心を回復してくれたのは間違い無い。女の前で格好つけ無くて良い状況は肩の力を抜いてくれた、ある程度の頻度でああいった時間を作ることが同じ事を防ぐ事に繋がるかも知れない。

 当主代行、此方に移住してくれないかな?

 

「エテルの事に付いてなのじゃが……正直に言って妾ではどうにも出来ぬ」

 

 俺の方の現状を伝えた後、改めて四葩が話してくれる。その顔は苦々しい物で、親友の力になれなかった事を悔やんでいる様子だ。

 

「部屋の片隅で膝を抱え啜り泣き、人語はタタラの名しか口に出さぬ。食事はあまり手を付ける事もせず、そのままでは衰弱すると思ったのじゃが……どうも夢魔の特性で妾から精気を吸収して生命活動を維持してる様子じゃったな」

「何やってんだ彼奴」

 

 最初こそ胸が痛んだが最後の姿でちょっとツッコミが浮かんで来た。いや、夢魔と言う生物として無意識の活動なんだろうが、親友から精気を吸収するか?

 

「それと、所作が少し幼くなっている感じがしたのう」

「幼児退行か……まるで俺と初めて出会った時みたいだな」

「それは少し気になりますね、聞いても大丈夫ですか?」

「詳しい事はエテルのプライバシーに関わるから言えないが、俺の家に保護した直後のエテルは幼児退行気味だったんだ」

 

 言える最低限のラインはこの辺りだろう、それ以上はエテル本人から許可が無いと話せない。タチアは何となく納得した雰囲気で、それ以上は聞こうとしないでくれた。

 

「そんなエテルの状況を見ていてな、妾の再教育が済んだと判断した母上はこの家に妾を返したのじゃ」

「成る程……お義母さんの行動にしてはなんか急だな」

 

 俺の感覚に引っ掛かるのはそこだ、まるでエテルの側に四葩が居ることが拙いと言わんばかりに急な動きだと思う。

 

「タタラの感覚は近いかも知れぬ、妾から見ても母上は何処か焦った雰囲気であったからな」

 

 四葩の言葉で更に疑念が湧く、お義母さんが焦る理由が分からない。まるで四葩が側に居るとエテルに都合が悪い様な、そんな感覚が有る。

 

「タタラ殿、心当たりは?」

「正直に言えば無いが……あんまり考えたくない可能性は1つ」

「ご主人、それは?」

「……エテルが四葩に依存しようとしてた可能性、だな」

 

 正直に言って、エテルは依存体質である。先天的か後天的かは分からないが、俺に依存していた面が多分に有った。そんな俺から拒絶され、直ぐ側に親友である四葩がずっと居た場合……エテルは依存先を四葩にしていた可能性が有るのではないか?

 お義母さんはそれを察して四葩の再教育を早々に切り上げて、エテルの方に手を付けたのだろう。下手をすれば四葩がエテルに巻き込まれていた可能性がありそうだ。

 

「タタラが言うのなら可能性は高いのじゃろうな……エテルに魅了され妾が恋人になっておった可能性か、考えるだに恐ろしいのう」

「推してた箱を壊した上に恋人に収まるとか地雷もいいところでござるな」

「やめい」

 

 四葩の言葉に対して何処かからかいが混ざった一華の声、しかし四葩には間に挟まる形にしか思えないのだろう全力でその言葉をぶった切る。

 一通り話し終えたのか、四葩は溜息を一つ吐いてから頭を切り替えた様子で言葉を紡ぐ。

 

「エテルについては以上じゃ。タタラ達の戦闘面で大きな変化が無いのなら、妾はスキルのレベルアップに励むべきかと思うのだがどうじゃ?」

「まぁ、現時点で上げてるスキルを幾つかコンプリートしたら存在昇華してもいいと思うが」

 

 探索の話しに切り替えた四葩に合わせて、俺も意識を切り替える。ダリアは少し意識の切り替えが間に合ってないが、一華は流石の切り替えだ。この辺はやはり虎熊家で御庭番衆をやっていた影響だろうな。

 成長計画については俺も四葩自身の方針に異論はない。ある程度スキルを揃えた後に探索すれば四葩なら30レベルくらいまでは直ぐに上がるだろう、『概念鑑定』で多少の格上でも有機物なら簡単に殺せるのがあまりにも無法だ。

 

「ふむ、後少しでコンプリートするスキルが有るからのう。明日から潜って鍛えるのじゃ」

「それはいいんだが……都市祭が始まるとダンジョンへの探索も全面禁止になるんだ、出来て数日って所だがいけるか?」

「なに、深く潜れば敵も多く出る。数をこなせば直ぐじゃろう」

 

 楽観混じりの言葉であるが、四葩の才能を考えるとそこまで間違っている物でもない。

 

「問題は、四葩が存在昇華をして全てのステータスが一時的に下がる事くらいか」

「あの50階層のボスに挑むにしても、そこ迄問題は無かろう。あの『不死の王』が戯れに殺しに来たら詰むと思うがのう」

「怖い事を言うなよ」

 

 その手の事を話すとあまり良い事が起こった試しがない、何なら噂をすれば影と言わんばかりに嫌なことが起こって来たくらいだ。

 

「そう言えば話し忘れていましたが、私は今『鍔目返し』をランクⅡで鍛えてますよ」

「え、そうなのか?」

「ええ、一時的に攻撃力は下がりますが攻撃回数が増えるのはこの先の攻略でも活きますし、何より学生達に対する札を増やす事も重要ですしね。『物理防御上昇Ⅱ』が最大レベルになったのを機に入れ替えました」

 

 タチアの言葉に驚くが、ある意味では納得する。四葩に比べてタチアの攻撃力は常識の範囲内だ、打点を上げる上で攻撃回数が増える『鍔目返し』は得意の『突撃』とも相性が良い。使用回数が増えると判定される為、タチアの『突撃』もより早く成長するのでこの組み合わせは相乗効果も高いと言えるだろう。

 

「何気にパーティ全体の攻撃力が上がり始めてるな」

 

 俺自身、次の存在昇華を最後に延命する事は無いにしてもレベル80迄上げる時に戦闘系の物を増やす必要が有るかも知れない。もう少しで原作の方が始まるのだし、ルートによっては『ワールウィンド』が戦争に巻き込まれたり由来不明の古代兵器が出て来たりで一般市民も巻き込まれる。原作主人公がエンディング時に工匠長に任命される流れが本来の運命(シナリオ)だが、俺が生きている限り彼奴に譲る程に落ちぶれるつもりも無い。運命(シナリオ)に翻弄されて死ぬような目に遭うにしても、あのラスボス達にある程度は対抗出来るステータスにしておけば大丈夫だろうと思う。何なら覚えてる限り『不死の王』よりもステータスが弱かったしなラスボス達。

 

「拙者も存在昇華をするべきでござるかな?」

「幾つかのステータスを最大まで上げた後なら良いと思うけどな、80に最大レベルを上げる時は最終ステータスの60%引き継ぎだし」

 

 元の限界値が高い妖怪である一華のステータスを最大にすれば、半減しても人間など歯牙にも掛けない能力になる。魔法関係はあまり手に入ってないが、一華は元々魔法使い寄りの才能らしいので、『地母神』シリーズを持たせてレベルを上げさせれば直ぐに伸びる。今の能力まで追い付くのもすぐだろう。

 

「明日はフリーだから俺も潜るかな」

「ご主人は存在昇華の為にレベルを上げる必要があるでござる、出来れば適正まで潜る方がいいと思うでござるよ」

「そうは言っても、途中にあのクソボスが居るからな……」

 

 50階層の『ヤヌス』を思い出して苦々しい声が出る、一緒に戦った四葩も顔を顰めているのが見えた。尤も、その後の仲違いを思い出した故の表情かも知れないが。明日はダリアが当主代行に着いてアリーナで手伝いをする予定なので最大火力は四葩になる、こう言ってはなんだが四葩の精神面が崩れたら非常に面倒である。

 以前なら四葩の精神面を信頼していたのだが、実家で行われた教育の影響がわからない。なら、ある程度は俺の方でもケアをしないといけないだろう。

 

「あー、四葩。あのクソボスと戦う上で戦力揃ってるとは言えないから50階層迄は潜る気無いぞ?」

「……そうは言うがの、タタラ。あの時に存在昇華(延命)はせぬと言っていたお主があと一度は確実に行うのだろう、ならば可能な限り急ぎで行わねばならん。エテルの事は抜きにしても頑固なお主が珍しく行った心変わり、機会を逸するわけにはいかぬ」

「俺の扱いはそんななのか」

 

 心変わりと言うか考えを変えることはそこそこやってるつもりだが、四葩は俺を頑固だと評価しているらしい。俺自身は柔軟なつもりなのだが……いや、自己評価はあてにならんな。

 

「それと、一華はもう今のうちに存在昇華をさせ明日からレベルを上げ直させる事を勧めるのじゃ」

「……いきなりだな?」

「なに、タタラの持つ知識を活かすなら早いほうが良いじゃろう。それに、一華の成長は恐らく魔術寄りの平均形じゃ。妾達も使っておった装飾品を使えば今よりも強くなろうて」

 

 四葩の言葉に少し考える、一華の成長状況は分からないが『地母神』シリーズを活用すれば一華のステータスも最終的には今のものを越えるだろう。

 

「一華、今のステータスを知りたいんだが『鑑定』を使っていいか?」

「了承にござる」

 

 あっさりと受け入れてくれる一華に感謝しつつ、『鑑定』を使用する。

 

 レベル  70/70

 体力    463(630)+68

 魔力   598(700)+120

 技力   322(560)+76

 物理攻撃 93 (210)+30

 物理防御 82 (210)+26

 魔法攻撃 226(350)+70

 魔法防御 102(350)+52

 速力   268(350)+70

 運    48 (100)

 移動力  5 (99)+8

 スキルスロット

 『剣適性Ⅳ』

 『性魔術Ⅰ』

 『物理防御上昇Ⅰ』

 『魔法防御上昇Ⅳ』

 『移動力上昇Ⅳ』

 『体力上昇Ⅱ』

 『鍔目返しⅣ』

 『技力上昇Ⅱ』

 『薬学知識Ⅰ』

 『白刃流しⅢ』

 『早熟Ⅰ』

 『完全なる肉体Ⅱ』

 

 ステータスを確認した後にステータスアップアイテムの数を確認する。

 

 体力 263個

 魔力 147個

 技力 279個

 物理攻撃 306個

 物理防御 212個

 魔法攻撃 207個

 魔法防御 207個

 速力 158個

 運  436個

 移動 312個

 

 コレなら魔法防御以外のステータスは上限を叩けるだろう。

 

「一華、出来れば存在昇華の時に『早熟』のスキルランクを上げられるだけ上げて欲しい」

「む、それ程に重要でござるか?」

「ああ、この『早熟』スキルは経験値を増やしてくれるからな。ランクⅢまで上げれば60%のボーナスになるし、そうすればレベルアップとスキル強化も楽になる」

 

 俺の言葉に納得してくれた一華にステータスアップを施す。残すスキルも決めて、いざ存在昇華を行ってもらう。一華の中から魔力が噴き出て物理的な風のように吹き付けてくる。数秒して魔力の奔流が収まった一華が少し身体を動かして具合を確かめる。

 

「……少し、感覚が鈍いでござるな」

「ステータスが落ちてるだろうからな、その影響だろう」

「中々に面倒でござるな……」

 

 ぼやいた一華に断って、『鑑定』でステータスを見る。

 

 レベル   1/80

 体力    378(720)+78

 魔力   420(800)+130

 技力   336(720)+86

 物理攻撃 144(240)+40

 物理防御 144(240)+36

 魔法攻撃 210(400)+80

 魔法防御 180(400)+62

 速力   210(400)+80

 運    60 (100)

 移動力  20 (99)+8

 スキルスロット

 『剣適性Ⅳ』

 『移動力上昇Ⅳ』

 『体力上昇Ⅱ』

 『鍔目返しⅣ』

 『技力上昇Ⅱ』

 『白刃流しⅢ』

 『早熟Ⅲ』

 『完全なる肉体Ⅲ』

 

 どうやら新しい転生スキルは取らず、元から持っていたスキルを両方ともランクⅢまで上げたようだ。新しく入れなければ余剰スロットとして使えるとはいえ、次の存在昇華まで強力な特殊スキルを取得しないとは大胆な決断をしたな。

 そんな一華に『エンシェントドライアド』の素材から『地母神』シリーズをその場で作って渡す。

 

「それを装備してレベルを上げれば確実にステータスが上がるから、レベルを上げ直してる時は必ず身に付けてくれ」

「御意にござるよ」

 

 早速二つを見に付けた一華は、同時に『卵』と『厄切』を外さなければならなくなる事に若干顔を顰める。『卵』も『厄切』も非常に強力なアクセサリーであるだけに嫌がる気持ちも分かる。

 

「ご主人、言い難いでござるが……存在昇華後に補うようにアイテムを使った方が効率が良かったのではござらんか?」

「まぁ、確かに数字だけ見れば否定は難しいな」

「……数字、と言うか見えない所で影響が出るのですか?」

「此方で検証が出来てる訳では無いんだが、存在昇華前にどれだけ限界に近かったかでその後の成長に影響が出るんだ」

 

 俺のようなプレイヤーキャラは例外として、元になったゲームでは転生前にステータスを上げきっているか否かで得意としているステータス以外の伸びに影響が出るのは公式からアナウンスが出ていた。実際に試したが、『地母神』シリーズでレベルアップ時のステータスを確定で上げるようにしてみれば冗談抜きで倍は差が出ていた。四葩なら物理攻撃は固定で5ずつレベルアップで上がるが、物理防御は1〜4の間を行き来する。そこで存在昇華で上限まで強化しておくと、レベルアップ時のステータスが最大値の4で固定される。当然、そんな伸びをしているならアイテムを使わずとも最後には最大値に近いステータスになる。

 ゲーム時代は本命にだけ注ぎ込む形でやっていたが、今生にはタチアと言う確率をぶち壊す存在が居る。ならば、身近にいる大切な人達には生き残る為にやるべきだ。

 

「それなら、拙者の魔法防御も最大にしてから存在昇華するべきでござったか……」

「いや、一華の場合魔法関係は元から最大値で固定出来る筈だ」

 

 あの日の『天使長』というか世界法則(システム)の言を信じるなら、一華の中に流れているのは亜神種の血だ。妖狐という魔法に秀でた妖怪で、尚且つ亜神とは言え神の血を引いているならその影響は凄まじい物になる。実際、その存在が天使ではなく女神とも言える『看板娘』達や女神の肉体を持っている初代RPGの主人公は潜在的なポテンシャルが凄まじく高い。ゲーム時代でも全ステータスが満遍なく高く上がり、器用貧乏では無く万能のユニットとして活躍出来た。『看板娘』で一番ステータスが低い『バイト長』ですらステータスの最大値は他の姉妹と同じで、『地母神』シリーズを持たせてレベルを上げれば他のユニットを圧倒する程の性能になるのだ。

 それらに比肩する、或いは凌駕しかねない魔神達も居るのでこの世は地獄に片足突っ込んでると思う。地上に居る限りは機械神様の権能で対等に戦える土壌が有るとは言え、敷かれている法則を超越しかけているのだから魔神という存在は本当に強大である……なんだか最近知り合いにそんな最強格のが増えている気がするけども。

 そして、純粋な人間以外の存在はレベルアップ時に上がるステータスに影響が発生する。外見では分かりにくいが、あのバカにも遠い祖先には亜人種が居たらしい。その影響で筋力の発達が優れ、物理攻撃や速力が伸びやすいのだと昔『天使長』から言われた。

 

「……改めて話を聞くと、知識量が凄まじいですね」

「前世は学者か何かをしておったんか?」

「そんな上等なもんじゃないさ」

 

 ぼかしながら説明をすれば、タチアと四葩に関心とも呆れともつかない空気で言われる。単純に好きな世界観を暗記したり、この世界で改めて『天使長』に聞いたりしたのを覚えているだけだから大したものでは無い。

 

「まぁ、要するに一華に流れてる血が影響してステータスは伸びるから安心しろってことだな」

「大分雑な締めでござるな」

「長々と語られても嫌だろ」

 

 寧ろ、長々と語るのが嫌だから雑にしたのだが。

 

「タタラの場合はどうなのじゃ?」

「初期ステータスが低いから可能な限り上げてからじゃないとリカバリーが難しかったってのが一つ、もう一つが存在昇華をしてそのまま先に潜るつもりだったからってのも理由だな」

「更に言えば、私達が勧めたのも影響していそうですね」

 

 タチアの補足に頷く。レベル上限から40%引き継ぎなのを予想した結果、60階層以降に挑むには心許なかったので可能な限り上げたのだ。結果としてクソボス含めて様々な場面で有利に進んだので良かったが、結局は下がるし俺の成長に影響が無い為にコスパが悪いと言われたら一切の否定が出来ない。正直、レベルの上げ直しを考えるなら敵を速やかに倒す上で全ステータスを満遍なく上げる『完全なる肉体』の方が『限界突破』や『早熟』よりも優先度が高いとさえ思った事もある。が、やはり『早熟』のスキル経験値増加の恩恵を考えると選択は間違ってなかったと思う……『限界突破』は早まったかもと少々思うが。まぁ、『限界突破』の上昇幅は1ランクで20なのでステータスが1ランクで10ずつの『完全なる肉体』より長期的に見て上だと考えれば悪くは無いと納得するしかない。

 

「所でご主人、聞きたいのでござるが」

「おう、どうした?」

「ご主人の持ってる『限界突破』というスキルが見当たらなかったでござる、お揃いにしたかったのでござるが無理だったでござるよ」

 

 と、少し不満そうな言葉を言ってくる一華。そんな一華に苦笑いをしつつ、説明をする。

 

「残念ながら、覚えられるスキルに個人差が有るのは通常スキルの方と変わらないぞ」

 

 プレイヤーメイドキャラもその辺り緩くは有るのだが、キャラ固有のユニークスキルや血筋に発露する準固有スキルは当然覚えられなかった。存在昇華スキルの『限界突破』は逆にNPCで覚えられるのは原作メインキャラや『看板娘』くらいのもので、それ故にプレイヤーメイドキャラには大多数のプレイヤーが取得させる流れになっていたとも言える。

 とは言え、この『限界突破』が無ければプレイヤーメイドキャラの最大ステータスは『看板娘』の半分にすら届かない。ストーリーモードでは十分ではあるが、ダンジョンの深層やそこに出て来るはぐれ魔神級の隠れボスが相手では瞬殺される可能性が高かったのである意味では救済措置であったのだ。『不死の王』でもステータスで見れば弱い方なのだから頭が痛くなる。あの不死性が無ければ四葩一人で何とか出来るのだが、コレはあの時点での四葩が異常とも言える……虎熊家随一の戦闘力ってのは伊達じゃないな。

 

「俺の知識から予想するなら、この『限界突破』は弱者を底上げする為のスキルだ。元から強い下地がある存在には発現しない物だろうと思う」

「むぅ……なんか納得出来ぬでござるよ」

 

 ますます不満そうになり遂には頬を膨らませる一華に、微笑ましさが増す。膨らんだ頬を人差し指で押してやると気の抜けた空気音が出て思わず笑ってしまった。次の瞬間には怒った一華に頬を押さえられて思い切りキスをされてしまって硬直する羽目になる……こんなに大胆な事できたんだな。

 機能停止した思考を何とか再起動させて、改めてメンバーと向き合う。睨むような、それでいて何処か泣き出しそうな表情でタチアと四葩が俺達を見ていた。

 

「……兎に角俺と同じスキル構成にするのは無理だと思ってくれ、スキルの組み合わせや効果はある程度説明出来るがユニークスキル関係はほぼ無理だと思ってくれ」

「それでも“ほぼ”出来るんですね……」

「あくまでもほぼ、だな。タチアのスキルとか全く知識に無かった事からも分かるだろ?」

 

 そりゃまぁ、ゲーム中に存在したユニークスキルなら説明は出来るがこの世界で新たに出て来たスキルは不可能だ。コレについて説明しようとするなら、俺の知識の根本から話さなければならない。

 俺の転生は兎も角として、この世界が俺の前世から見たら創作物であるなんて話しは流石に出来ないししたくない。そんな自己の存在に疑念を抱かせる事なんて好き好んで言えるはずがない。

 

「既存と言うか、過去に存在してたユニークスキルならある程度は説明出来る。だが、タチアみたいに俺の年代や後年出て来るであろうユニークスキルについては説明出来ない。俺が知り得るのは過去の事だけだ」

「むぅ、それはそれで凄まじい知識じゃな」

 

 俺の言葉に四葩が呆れを含ませて言ってくる。まぁ、過去の魔神やら英雄やらが持っていたスキルの解説とか下手しなくても国家機密レベルだ。偶に自分の脇の甘さが見えるな、下手しなくても国にバレたら軟禁生活行きだ。何だったら敵国に居る重鎮のスキル構成すら言えるからな俺。

 

「それならご主人、他に推奨するスキルはあるでござるか?」

「有るには有るけど、ちょっとなぁ」

 

 存在昇華時に得られるスキルは軒並み強力である。状態異常耐性を上げる『頑健』に速力と移動力を同時に上げる『韋駄天』や物理攻撃と防御を上げる『金剛力』その逆で魔法攻撃と防御を上げる『大魔導』、体力魔力技力を上げる『三位一体』そして運を強化する『幸運』。どれもが強力ではあるが、同時にこれらを全て覚えられるユニットは存在しない。プレイヤーメイドキャラが元になっている俺でも『幸運』は取得出来なかった、そもそも『幸運』自体取得出来るかはプレイヤー自身の運に掛かっているなんてトンデモ仕様だったのだ。ビジュアルファンブックで知った時には運営にお気持ちメール送ったぞ流石に、カスタマーサービス閉鎖してたけど。

 他の特殊スキルもキャラによっては取得がまちまちだ、得意分野のものを取得するキャラも居れば短所を補うキャラも居た。何となく今のメンバーは長所を伸ばすタイプに思えるのだが、確証は無い。

 

「──とまぁ、こんな感じのが有るんだが。一華は存在昇華の時に見えたか?」

「拙者の場合は『頑健』と『韋駄天』に『大魔導』、そして『幸運』でござるな」

「ものの見事に魔法寄りのラインナップだな、その中では『幸運』をお勧めするよ」

 

 普通なら上限を増やせない運のステータスを事実上限界突破させる『幸運』はぶっ壊れスキルとして前世のプレイヤー達に認識されていた。取得が困難である事も含め、取れるのなら取った方が良いスキルの筆頭だろう。

 

「そう言えば、タタラはどうなのじゃ?」

「さっき言った中のスキルなら『幸運』以外なら全部取れるぞ」

「なんと言うか、本当に万能ですねタタラ殿は」

 

 まぁ、この肉体のおかげではある。とは言え、全部の上昇スキルを取れるようなスキルスロットの余裕は無い。特殊スキルは最大で5個までしか取得出来ないのだから、レベル100を周回するでも無ければ全て最大で埋めるなんて出来ない。それに、そこ迄存在昇華するつもりも無いのだから取れたとしても意味がない。

 

「まぁ、この辺のスキルについてはこれくらいにしておこう。下手に語ると何日も掛かるし」

「うむ、妾達は最初の存在昇華では『早熟』を取るのが優先で変わらぬしのう」

 

 話を切り上げれば、四葩も流れに乗ってくる。時差から来る体内時計のズレを正すには無理にでも休んだほうがいいと分かっているのだろう。

 その場は解散として、明日の探索の為に其々休む事となる。

 尚、部屋を姉二人が使っている事を伝え忘れていた為にこの後四葩の悲鳴が家中に響くのだった。すまん。

 

 

 一人工房に戻り、何となく思い付いた装備を作る。見た目としては大型の籠手、それも俺の身長の半分はあろうかと言う大きさである。五指を分け、その腹側にチェンソーの刃を付ける。握る事で刃を押し付けて、相手を削り切る形になる。

 直ぐに必要では無いが、更に下の80階層以降に出現する『地龍(リンドレイク)』を相手にする上での手札だ。一華がこの『ワールウィンド』で子供と共に生きていく場合に備え、存在昇華をせずに相手を打倒する武器が必要になる。『地龍』は翼を持たない龍種全般を指す種族で、基本は大型の蜥蜴の姿をしている。一時期は『火蜥蜴(サラマンダー)』も『地龍』種だと言われた時代も有ったりしたが、アレは『精霊』種だ。まぁ、あのクソボス(『ヤヌス』)の事も有るので精霊龍の可能性も有るには有るが……寧ろ龍種と遺伝子が近かった火蜥蜴のせいでアレが生まれた可能性も有るんじゃなかろうか?

 それこそ火蜥蜴と交わった後に他種族と交わった龍種が『サラマンダーより、ずっと早漏(はやい)!!』とか言ってたりするかも知れない……なんだこの最低な発想。

 余計な思考を追い出して、想定する『地龍』の生態を思い出す。翼の無い龍種を纏めて『地龍』と呼ぶが、ダンジョン内で出て来る一番弱い『地龍』種は『大蜥蜴』だったりする。弱いとは言っても腐っても龍種なので、普通にステータスは100を越えてくる難敵だ。見た目に騙されると素早い身のこなしから来る突進や鋭い牙と強い咬合力から来る噛み付きで手痛い洗礼を受ける。と言うか下手したら死ぬ。

 そこから名前の元になっている『地龍』になるが、その防御力は要塞のそれだ。空を飛ぶ『翼竜(リンドブルム)』種と比べると遥かに分厚く強固な鱗に裏打ちされた防御力と、龍種共通の生命力で本当に死なない。準レア種の『森林龍(フォレストドラゴン)』には『体力回復』系統の回復能力まで付いているので、一匹倒すのでも一苦労だ。

 そして、この『地龍』種のレアエネミーもまぁ版権に喧嘩売ってるレベルの見た目かつそれに肖ったトンデモ性能だ。

 真っ黒な体色に、結晶の様な背びれ。口からは『地龍』種にあるまじきブレスまで吐いてくる始末で、防御力も生命力も更に下層で出現する『飛龍』種のレア種である『金色の三つ首竜(キングブルム)』を遥かに越えるとか言う意味不明な存在だ。因みにプレイヤーからのあだ名は『怪龍王』で、運が悪いと此奴とはぐれ魔神に挟まれた挙句戦闘の余波で全滅したなんて事もあった。90階層のボスの『エンシェントドラゴン』より強いのは見た目からして納得では有るが、加減しろと思ったな。

 そしてこの『怪龍王』のステータス、速力が低い以外は総じて高水準だ。物理攻撃と物理防御は兎も角として、ブレスの威力を支える為か魔法攻撃も高けりゃ魔法防御も高い。速力は80程なのだが、空恐ろしい事にコイツの攻撃は全て高い命中補正が入る上に『貫通Ⅲ』も有るので一華の様に高い速力で完全回避をしないと事故死する可能性が非常に高い。多分、ダリアに『オウトエイズル』を使って貰って一撃死を狙うのが一番安全な方法だろう。流石に全ステータスがカンストしてるダリアには負けているし、認識外から四葩が『概念鑑定』で弱点を突けば倒せる筈だ。ゲーム時代、数少ない体力カンストした敵キャラだったが法則に縛られている限りには勝ち目は有る。四葩には未来を見据えて突撃も取ってもらおうか?

 そんな風に思考を逸らしながらも、魔導具を完成させていく。操作方式はミスリルとオリハルコンを併用した魔力・思念による制御を軸にし、更に『黒煌』の動きに同調させた。手は人間の胴を鷲掴みに出来るサイズだが、ゆで卵を潰さずに殻が剥ける程の精密操作を可能としている。指に仕込んだチェンソーはオリハルコン製、本当はアダマンタイトの方が良かったが流石に足りなかった。

 外装には魔鉄を使用し、全体的に重量を増した所で装甲の裏に『反重力術式』を刻む。重量は無くなったが質量はミスリルやオリハルコンのみよりも増したので直接ぶん殴っても威力が出る、流石に『怪獣王』相手では無理でも『怪龍王』相手ならコレで勝てる筈だ。

 出来上がった魔導具を前に、名前を考える。某リアルロボットの金字塔のアナザーシリーズの外伝作品に出て来る馬鹿デカい刀をぶん回す強化形態が有るのを思い出して、名前を一部借りる事にする。

 

「お前の名前は『ドレッドノート』、どんな強大な相手も恐れず掴み掛かる巨人の手だ」

 

 言葉の後に恒例となった繋がる感覚の後に魔導具に鑑定を掛ける。

 

 特殊『試作型拡張式魔導腕甲ドレッドノート』

 物理攻撃 250/s

 物理防御 100

 速力   -20

 特殊  『拘束』『拘束時ダメージ継続』

 

 1秒間に250ダメージと言う何とも凶悪な代物が出来上がったが、掴み続けなければ効果を発揮しない辺りがそこそこ使うのが難しいな。こんなのをダリアや『料理長』に見付かったら何を言われるやら、そう考えて苦笑いが浮かぶ。

 魔導具をインベントリにしまってから肩をほぐし、立ち上がる。そろそろ寝ないと明日に響きそうだと考えて振り返った。

 目を輝かせるダリアと『料理長』が並んで俺を見ていた。いや、声かけろよ。




タタラが出会った原作ラスボスより強い者達。

『天使長』筆頭の『看板娘』
ゲーム上のステータス及び、テキスト上でも此方が強い。何ならラスボス達が束になっても『看板娘』一人に勝てない。

『剣の魔神』
ゲーム上のステータス及び、テキスト上でも此方が強い。何ならラスボスが束になっても一撃で倒す可能性すら有る。

『不死の王』
ゲーム上のステータス及び、テキスト上でも此方が強い。ラスボスが束になってきた場合は少し危ういが、切り札を切れば普通に勝てる。バケモノを倒すのは何時だって人間。

シスター・カレハ
ゲーム上のステータスでは此方が強い、しかしテキスト上ではシナリオに負ける。寄る年波には勝てず、相手をあと一歩まで追い詰めた所で腰がぎっくりする()

聖人カラムス(本編)
ゲーム上のステータス及び、テキスト上でも此方が強い。ラスボスが束になったら危ういが『ケラブ』と『ルーエ』を同時に装備した時は普通に殲滅する。都市最強は伊達じゃない。

天目一箇命
ゲーム上のステータス及び、テキストでも此方がヤバい。例えラスボスが束になっても『空裂』一振りで終わる上に、危なくなると天から酒呑童子が降りてくる。


本文が思い付かず、何故かアーレムを下地にした世界観の内容ばかり思い付いて筆が止まっていました。遅くなり申し訳有りません。

生存するか否か

  • 生き残る(元は生き残る予定)
  • 生き残らない
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