※この作品はR-18です。

既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。   作:アルカミレス

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コレでチュートリアルの探索パートは終了です。

何時も誤字を報告して下さる方々、本当に助かってます。
セルフで見直してても全然なくならない……orz


探索パートⅤ

 20階層を越え、21階層。目的の階層まで後1階層と言う所まで来た。

 ダンジョンの雰囲気はまた変わった、壁は象牙色で光をキラキラと反射している。木目に似た模様を浮かべる様は美しかった。

 

「先程の悪趣味とは思い切り変わったのう?」

「本当、とっても綺麗……」

 

 虎熊と少女は驚いた様子で壁を見ている。直前の赤黒い死相の壁と比べると、神聖さすら感じそうな見た目に戸惑っているようだ。

 

「此処の壁はちょっと特殊なんだ、ミスリルが採れるからなのか壁の中に微量なミスリルが含まれているらしい」

「みすりる……? 真銀か!?」

 

 俺の説明を聞いた虎熊が驚いていた。真銀とはミスリルの別名だった筈だが、やはり何処でも珍しい物なのだろう。

 

「え、じゃあ壁を削ればミスリルが取り放題!?」

「んなワケ有るか。壁を削っても埃しか出ないし、何ならミスリルのせいで工具がすぐ駄目になる」

「……世の中、そんな上手くは行かんのじゃな」

 

 興奮気味の少女に事実を教えてやれば、一緒に聞いていた虎熊が気落ちする。

 ただし、此処からは宝箱や敵への『盗む』等が活躍する場面が増える。

 

「此処の階層からモンスターがミスリルのインゴットを持っている可能性が出る、出来るだけ盗んでくれ」

「よっしゃ、盗って盗って盗りまくってやる!」

「台詞だけ聞いとると強盗のそれじゃな」

「まぁ、似たような物だし」

 

 早速少女が先行して探索を開始、金策と言うか装備の強化に繋がるであろうミスリルの確保は少女にとっても重要だ。それに、纏まった数を揃えれば彼女の新しい魔銃も作れる。

 そう考えていると、少女が壁際で立ち止まり此方へハンドサインを送って来た。早速此処のモンスターを見付けたらしい。

 少女の後に着いて覗き込めば、やはり居た。

 

 大きな耳と鼻、全身を剛毛で覆った全長2m程の醜悪な見た目をした二足歩行の毛が生えたカバにも見えるモンスター。

 ファンタジー作品でお馴染みとも言える『トロール』がそこに居た。

 

「毛河馬かの?」

「……虎熊の所だと『トロール』をそう呼んでるのか?」

「いや、とろーると言うのかの? 初めて見たので第一印象を言うたまでじゃ」

「まぁ言い得て妙では有るな、毛河馬」

 

 河馬と言うには愛嬌は足りないがな。

 因みに『トロール』のレア種族はどっかの谷の妖精に似てたりする。戦闘力は皆無で逃げる事しかしないが、確定でステータスアップアイテムを持って居るので出会ったら必ず盗んで居た。幸運の妖精とか言われて多くのプレイヤーから有難がられてたな。

 

「あいつって『オーク』みたいな注意点有る?」

「『トロール』は『精気回復』と『肉体再生』を持ってる無駄にタフなタイプだが、物理防御も体力も『オーガ』に遠く及ばないモンスターだ。『エナジードレイン』よりも『魅了』の方が有効っぽいし、使うならそっちで」

「ちょくちょく思っとったが、お主詳し過ぎんか?」

 

 少女の質問に答えたら虎熊にそんな事を言われた。確かにゲーム知識が前提とは言え、下手したら学園の教科書より詳しいからな。しかし、俺はゲーム知識以外の理由でもこの情報を得るに至っている。

 

「俺、一人で28階層までは潜ってる上に鑑定持ちだからな。情報を確保して進んでたから大体覚えてる」

「……どんな記憶力しとるんじゃお主」

 

 ちょっと引かれたが、虎熊程の実力が無いのならそうやって対策を練るしか無いのだ。強者には弱者の、弱者には強者の苦労が分からない。

 

 そんな会話をしている中、少女は『トロール』へ『魅了』を掛ける。特に抵抗も無く動きを止めた『トロール』へ近付き『盗む』を実行、ガッツポーズを取った事からミスリルのインゴットを盗れたらしい。そのまま笑顔で『トロール』の頭に銃口を突き付けると、そのまま銃爪を引いてトドメを差した。

 

「……満面の笑みで殺ったのじゃ」

「まぁ『トロール』は可愛く無いからな」

「そう言う問題!?」

 

 虎熊のショックを受けた様な反応だが、少女の場合わりかし自分に余裕が無いと優しく出来なかったりする。根っ子は優しいし、他人の痛みを分かるので萎縮はするのだがラインを越えると今の『トロール』だったり『ゴブリン』にしたみたいに踏み潰したりと結構エグい事をする。

 

「そう言えば、お主は何故この下の階層までを目的としたのじゃ?」

「ミスリルが目当てだ、22階層にはどう言う理屈なのか分からんが必ずミスリルを採掘出来る鉱脈が出る。それが目当てだ」

「ほう、新しい武器でも頼むのかの?」

「いや、自前で作る。コレでもクラフターだ」

「……その実力で鍛治(かぬち)やっとるのか?」

「むしろそっちが本業、俺とあいつの装備は全部俺が作った」

「……お主、実は天目一箇神(あまのまひとつのかみ)だったりせんか?」

「生憎ただの人間だ」

 

 何処か納得行って無さそうな反応の虎熊だったが、多少ゲーム知識頼りでは有るが俺がやってるのはそこ迄大袈裟な事では無い。

 

「おーい! ミスリル盗った!」

「よし、そのままどんどん行くぞ」

「はーい!」

「……似たもの夫婦じゃな」

 

 虎熊の呟きは無視した。

 

 そこからも『トロール』を『魅了』して『盗む』を繰り返し、順当にミスリルを稼ぐ。宝箱からもミスリルインゴットやもう少しレアなミスリル銀糸が出たりと、苦労して降りてきた甲斐が有ると言う物だ。

 

 そして、ちょっと調子に乗り過ぎた。

 

 目の前に豪奢な宝箱が一つ。『鑑定』すると『罠宝箱』だと判明した。

 

「それ、罠宝箱だから開けるなよ」

「ひらけゴマ! なのじゃ」

「「あっ」」

 

 出番の無さからか虎熊が宝箱を進んで開けてしまっていた。

 

「あれ、何も……」

「危ない!」

「フニャぁ!?」

 

 から箱見て戸惑っている虎熊を抱き締めて飛び退く、その直後虎熊が立っていた所に棘付きの金棒が振り下ろされた。

 見上げる程の巨体、胸鎧と腕甲を纏う剛毛が目立つ身体、大きな鼻と耳を持つ醜悪な容貌。ずっと深い階層に居るはずの上位種『トロルチャンプ』がそこに居た。

 

「何じゃ此奴、いつの間に現れたのじゃ!?」

「宝箱に仕掛けられてた罠が『サモン・モンスター』だったなコレは、よりにもよってずっと先で出て来るモンスターが呼び出されやがった!」

 

 虎熊の疑問に答えつつ、『鑑定』を掛ける。

 

 人妖族『トロルチャンプ』

 体力  250/250

 魔力   30/30

 技力  100/100

 物理攻撃 50+30

 物理防御 40+20

 魔法攻撃 12

 魔法防御 20+20

 速力   20

 移動力  3

 特殊  『肉体再生』『精力回復』

 装備  『ミスリルメイス』『ミスリルライトアーマー』

 

 拙い、俺と少女ではまともにダメージを入れられないステータスをしている。

 

「拙い、勝てそうに無いから撤退するぞ!」

 

 俺の声を聞いた少女が即座に反応、『トロルチャンプ』へ目眩ましと牽制を兼ねて頭部狙いの3連射を移動しながら行う。

 『チャンプ』は少女の攻撃に気付かず頭部に被弾、皮膚を削ったが大したダメージになっていない。

 虎熊を地面に下ろし、ウォーハンマーを構える。回避に際してメイスの側面を叩けば多少は回避が叶うだろう。

 

「……あの大毛河馬は強いのか?」

「少なくとも、今の俺とあいつじゃ勝てない程度にはな」

 

 俺は虎熊の質問に『トロルチャンプ』を見据えながら答える。彼我の実力を感じたのか嘲笑うかの様に口元が歪んでいる……いや、少女や虎熊の美しさから己の獣欲を満たす様を想像したか?

 

「……あの大毛河馬が現れたのは妾に責が有るな?」

「開けたのは虎熊だが、止められなかった俺にも落ち度が有る。パーティ全体の責任だ」

 

 少女からの攻撃を無視して、見せ付けるようにメイスを掲げる『チャンプ』。魔法金属でも特に軽いミスリルでメイスを作ると言う愚を犯してはいるが、硬い物体を速くぶつけるだけでも破壊力は高い。

 

「最後に問うが、アレは妾より強いか?」

「虎熊の実力は見てないから分からんが……」

 

 問われて思い出す虎熊との初邂逅、放つ威圧感に押され相対した際には魔王にすら届く実力だと感じたその風格。

 

「それは無い、と思うぞ。絶望感はお前を前にした時の方が強い」

 

 贔屓目無しにそう言った、一切の脚色は無い。

 

「そう、か……そうか。くふふ」

「悪い、余裕無いんだ」

 

 少女は変わらず射撃を続けて居るが『チャンプ』は気にした様子がない。

 回避に集中する、武器命中は分からないが速力は此方の上だ。

 それならば防げる筈。

 

「あやつを呼び寄せたのは妾の責任ゆえ、妾が何とかしようぞ」

 

 そう虎熊が言った後、俺の前へ進み出る。集中している中での突発的な行動に反応出来なかった。

 

「おい、前に出るな……っ!」

 

 呼び止め様とした矢先に『チャンプ』がメイスを振り下ろした。力を誇示して戦意を崩す思惑なのだろう、虎熊に容赦無くメイスが迫る。

 飛び出そうとしたがコレでは間に合わない。

 

「虎熊っ!!」

 

 上げた声は悲痛な物だった。

 

「安心せよ、お前様」

 

 しかし、虎熊の声は何処までも涼やかで

 

「先程、妾の方が強いと言うたであろう」

 

 その動作は優美さを感じさせる程に無駄がなく

 

「ならば信じよ、お主の目を」

 

 影すら映さぬ速さで『チャンプ』の腕を肘から断ち切った。

 

「うそ、だろ……」

 

 強いとは分かっていた。しかし、想定より遥かに上の力を持っていた。虎熊──虎熊童子、前世では最強の鬼に仕えた四天王の一角とされた鬼。

 同じ家名を持つ過去作のヒロインも、純粋な物理アタッカーとしては『天使達』を抜かせばトップに位置した存在だった。

 同じ血を引く名家の令嬢が、同じように育つ事は不思議では無いのかも知れない。

 

「どうした、醜い面で惚けてないで現実を見よ」

 

 虎熊は抜き身の刀を手に佇む。その刀身には血脂の一切が無い。

 『チャンプ』はメイスを振り抜いた姿勢で有ったが、そのメイスを握っていた腕は無い。その事に気付くまで10秒程かかり、失った腕を見て悲鳴を上げた。

 虎熊が斬った傷からは血が流れていない、いったいどうやったらそんな芸当が出来るのか?

 

「弱いモノ虐めは趣味では無いのじゃが、流石に気に入った者達に手を出されては黙ってはおれんのじゃ。呼び出したのは妾の不徳、申し訳ないが……死んで貰おう」

 

 銀線が三条走る、次の瞬間には『チャンプ』の残った腕と両足が断たれていた。倒れた『チャンプ』に近寄り、虎熊は野太刀を高く振り上げる。

 

「面倒だから迷うて妾達の前に化けて出るなよ、ではな」

 

 静かに告げて『チャンプ』の頸を落とす虎熊、静かに血を払う動作をして納刀する。

 圧倒的だった。あの迷子を弄られて泣きそうになっていた虎熊(ようじょ)がこれ程に強いとは。

 

「ふふ、どうじゃお前様! 妾とてやるであろう!!」

 

 振り返り、俺に対してドヤ顔で言ってくる虎熊。直前までの態度からのギャップに力が抜ける。

 溜息を吐いてツカツカと近寄り、虎熊の額にデコピンを一発入れる。

 

「フニャっ!? 何をするのじゃ!」

「いきなり前に出て心配させた罰だ、助かったがそれはそれコレはコレだ」

 

 俺の言葉にムゥっと不機嫌そうに膨れる虎熊、そんな彼女の頭をクシャッと撫でる。驚く虎熊の表情に笑いそうになってしまった。

 

「それと助かった、有難うな」

 

 感謝を伝える。一瞬何を言われたか理解が追い付かなかったのか呆然として、顔を紅くしてあたふたと焦りだす虎熊。

 

「な、ななな何を言うアレを呼び出したのは妾の落ち度故に尻拭いは当然の事であるしお主と伴侶殿は妾のお気に入りでも有るわけだし今はぱぁてぇを組んでる仲でも有るのだし当然なのだ妾とお前様の実力が逆なら同じことをしてくれただろうそれならば妾の行動もお主のそれとは変わらぬ筈だから礼を言われる程では無いと言うかなんというか!?」

 

 何やらめっちゃ早口で言ってきた、何故そんなに焦るのか?

 

「良かった、皆無事で。トラッちゃんそんな強かったんだね?」

「トラッちゃん!? ま、まぁ良いが……一応二人の探索と言う事で様子見だけに徹するつもりだったのじゃ。許して欲しい」

「いいよいいよ、トラッちゃんが優しい娘なのは分かってるし。悪意が有ってやってた訳じゃ無いのも分かるって」

「そうか? そうか……良かった」

 

 実力を隠していた事を拗られるとでも思って居たのだろうか?

 

「それよりさっきの『トロルチャンプ』の死体からミスリル製の装備が残ってたから回収しといたよ」

 

 こう言うところが抜かりない少女である。

 その後は問題も特になく、階段まで辿り着いた。ステータスを確認すると『クラフトⅢ』と『鑑定Ⅲ』がスキルレベル最大になっていたのでランクアップした。そう言えば『ハイオーガ』戦の後に確認して無かったなと思い出す。

 少女の方は『性魔術Ⅲ』がスキルレベル最大になっていたらしい、本当何なんだその成長速度。隣の虎熊もドン引きしてるぞ。

 

 そして目的地である22階層に辿り着いた、此処からは鉱脈を探す事がメインになる。少女にその事を伝えると自信満々に頷いた。先行して索敵する姿は本当頼りになる、

 途中で見掛ける『トロール』相手は変わらずに『魅了』『盗む』射殺のコンボでミスリルを集め続けている。虎熊もこの流れ作業に慣れたのか、特に表情も変えずに少女の作業を眺めて居る。

 そうして遂に最初の鉱脈へ辿り着いた。

 

「ナイス、そんじゃコレからは俺の仕事だな!」

 

 インベントリからピッケルを取り出し、鉱脈に叩き付ける。

 実は『クラフト』のスキルには『採掘』の効果が含まれていて、『クラフト』スキルのランク−1で採掘が可能になる。『採掘』のスキルは採掘出来るアイテムの量やレアリティに関係するのだが、本来は『採掘』スキルが高く無いと採れ無い素材も『クラフト』と『鑑定』を併用するとしっかりと採掘出来たりする。

 現実になってから出来た裏ワザの一つであり、クラフターの先人である都市長にだけコッソリ教えていたりする。俺がこの情報をばら撒くのは危ないと思っての措置だ。

 鉱脈からミスリルの鉱石を大量に手に入れ、次のスポットを探す。発生はランダムなので、一箇所だけで終わる事も有る。が、それでも一箇所は必ず発生する階層なので労力には見合う。

 

 それから階層を調べきり、計3箇所の鉱脈を掘ることが出来た。手に入ったミスリル鉱石が大量と鉄鉱石がそこそこ、鑑定でピンポイントでミスリルを狙った為に良い結果になった。

 

「さて、コレで目的は果たしたし帰るか」

「了解!」

「うむ、地上に戻るのじゃな!」

 

 俺の言葉に少女と虎熊は清々しい表情だ。まぁ、女性探索者は『ゴブリン』を筆頭に性的な目で見られ続けるせいで精神的負担が男性探索者の比では無いそうなので仕方ないだろう。

 

「じゃあ、転移結晶使うから掴まってくれ」

「転移結晶?」

「コイツが独自に作ったダンジョン脱出用のアイテムなんだ、出入り口までひとっ飛びで便利なんだよ?」

「なんと!? ……あれ、探索者は帰還用の魔導具を持っていると噂を聞いたのじゃが?」

「それは学園の高等教育課程の卒業生に限るな、俺達はまだ学生だから持って居ないんだ」

「そうなのか……え、学生?」

「「学生」」

「うっそじゃろ、学生でそんな熟年夫婦みたいな雰囲気出してるのか」

 

 虎熊の言葉に真っ赤になる少女、相変わらず夫婦とかの言葉に弱いな。

 

「しっかり掴まってくれ。個人用の術式を触れ合う事で誤魔化してるからな、置いていく可能性が出る」

「恐ろしい事を言うでない……」

 

 少女は俺の空いている手を繋ぎ、虎熊は結晶を持つ手を包む様に両手で握った。……何か少女が凄い顔をしてる。

 

「それじゃ、転移!」

 

こうして俺達はダンジョンから帰還した。




初登場時。この鬼娘と戦闘させるつもりだったけど、アホの子になってパーティインしてた。
なんでだろう?

主人公とヒロインの容姿ってしっかり書くべき?

  • 見せてみろよお前の癖。両方に要る。
  • 理想の男と女を妄想してるから要らネ。
  • どんな女がタイプだい?
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