既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。 作:アルカミレス
陽射しが窓から入ったのか、光が目元を覆う。朝を迎え、回らない頭を無理矢理動かしつつ目を開ければドアップで飛び込む美少女フェイス。瞬間、脳裏を過る存在する記憶。
「どうやら俺はイキ残れたようだ……」
夢魔のフェロモンで散々催淫されながら、命の全てを吸い上げられる事が無くて思わず安堵する。同時に、身体の奥底で湧き出す不可思議な活力を自覚する。
少し前に取得したスキルの『性魔術Ⅱ』がギリギリ仕事をしてくれたらしい、戦闘中(意味深)は欠片も役割を果たせなかったがどうやら最後の最後で持ち堪えられたのはスキルのおかげなのだろう。
「うわっ」
ステータスウィンドウを開きスキルスロットの欄を見ると『性魔術Ⅱ』のスキルレベルが最大になっていた。どれだけ激戦だったのか、またどれだけ経験値を取得したのか考えるだけでも恐ろしい。
恐ろしいのでそのままスキル『性魔術Ⅲ』を取得し、スキルの強化をする。有用ではあるのだが、名前からしてエロゲーそのものなこのスキルは本当なら取得するつもりは無かった。しかし、少女と同居を始めて初の戦闘(意味深)を経験した後、己の命惜しさに空いていたスキルスロットを後先考えずにその場で埋めた。
その後、少女が探索を進めレベルアップをする毎に戦闘(意味深)を重ねあっという間にスキルレベルが上がり……今さっき自分の『クラフト』スキルと『錬金術』スキルのレベルに指が掛かる程に成長した。『クラフト』と『錬金術』は転生直後、産まれる直前で選択出来た6個のスキル……恐らくキャラクリエイト時に選択出来るスキルスロットを埋める初期スキルだ。
この世界の元になったゲーム『深く深い闇の先で』はストーリーモードの他に、キャラクリエイトしたプレイヤーキャラで世界観を楽しむモードが存在していた。
あまりにも自由度が高く、原作キャラや過去作キャラとも絡み様々な面を見る事が出来たこのモードを専ら楽しんでいたのが何を隠そう前世の自分である。
本編と同じ様にしつつ原作主人公達と関係を築くクラフタープレイ。
ダンジョンの最奥を目指しストイックにキャラを育てて行く探索者プレイ。
為政者となって舞台となる都市『ワールウィンド』を運営する内政プレイなど大まかに分けただけでも三つ。
当時のSNSや掲示板では更に『怪しい占い師』やら『スラム街の悪夢』に『繁華街の女帝』など独自の楽しみを見出したプレイヤーに溢れていた。こうした様々な遊び方をする上で、初期のスキルエディットは重要であるのだがこの時選択出来る数十にも及ぶスキルの選択が慣れていないと地獄そのものなのだ。
というのも『深く深い闇の先で』におけるスキル熟練度の上昇は只管に遅い、ストーリーモードのキャラクター達は枠外で世紀の天才と呼ばれる程の傑物揃いなのだが、その天才達ですら一周だけでは初期スキルがコンプリート出来るか否かという程。
それも、作中で求められる『クラフト』スキルのレベルが規定に届かなければ強制的にGAME OVERなんていう事もザラで、日夜必要不要関係無く武器を作り売る等を繰り返しスキルレベルと資金調達に勤しむ事を強制される始末。
ストーリーモードで慣れ、いざエディットキャラを作り挑んでみれば原作キャラよりも進みの遅いスキルレベルの上昇にコントローラーを投げたくなる事もしばしば。
そして有志達が血と涙とリビドーに掛けて検証を重ねた結果、幾つかの法則が発見された。曰く『関係性のあるスキル同士を組み込む事で複数のスキル経験値が相乗されて入る』という物だった。
実際、この仕様は開発が初期から想定して組み込んでいたものらしく、掲示板に開発者が現れ発見を祝ったという事件も起こりお祭り状態になった。
そして検証を重ねた結果、クラフタープレイでは初期に選ぶべき5個のスキルが確定した。それが
『クラフトⅠ』
『錬金術Ⅰ』
『鑑定Ⅰ』
『槌適性Ⅰ』
『創製魔法Ⅰ』
の5つである。
基本となる『クラフト』スキルに、素材を合成して進化させたり別の素材にする『錬金術』、様々な物の状態を見極める『鑑定』に、様々な工作現場で使われる『槌への適性』、そして微粒子を集め魔力で形成する『創製魔法』。この5つが最低限必要なスキルだった。
しかし、ここで問題が一つ。此等の取得はゲーム中での戦闘力に影響することはほぼ無く、『槌適性』によるハンマーでの物理攻撃と『創製魔法』による魔法攻撃しか無いのだが如何せん基本ステータスが高くない為初期レベル上げが地獄そのものになる。
仲良くなれた原作キャラに手伝ってもらいダンジョンをクリアするなりしてレベルを上げて行けば良いのだが、この原作キャラと仲良くなるという事がそもそも大変だったりする。
そんなこんなで、クラフターや内政等の探索者プレイ以外の遊び方は茨の道だった。SRPGであるゲーム性で只管に頭を使い、上層のゴブリンを一匹一匹丁寧に殺し尽くしたのは未だに忘れられない記憶である。
彼奴等を一撃で確殺する為には順調にステータスが上がった上で最低5レベル必要で、その為に只管その同族を殺し続ける……振り返ったら虚しさで死にそうだ。
さて、このスキルスロットだが増やす方法が2種類存在している。メインとなるのがレベルが10毎に1つスキルスロットが増えていく物。初期のスキルスロット5と、初期の限界レベル50まででスキルスロットが合計10個になる。
もう一つがレベルが最大になったキャラのレベルをリセットし、レベルを1に戻して再び育てる転生システム。転生時に引き継げるのはスキルレベルと最終ステータスの20%、恩恵は最大5個までスキルスロットの増加と転生後に解放されるスキルに最大レベルと最大ステータスの増加だ。
転生1回毎に最大レベルが10上り、最大ステータスが20%ずつ増加していく。最大の5回を迎えれば最大レベル100、最大ステータス2倍、スキルスロット最大20という破格の性能になる。尤も、このレベルに届くには相当な時間を費やす必要が有るためまさにエンドコンテンツ扱いを受けていたのだが。
さて、脇道にそれたがスキルの話はこんな感じだ。それらを踏まえた上で現状レベル25である俺のスキルは以下の通り。
スキル名 スキルレベル
『クラフトⅢ』 06/10
『錬金術Ⅲ』 06/10
『鑑定Ⅲ』 06/10
『槌適性Ⅲ』 09/10
『創製魔法Ⅲ』 06/10
『早熟Ⅰ』 MASTER
『考古学Ⅱ』 03/10
『性魔術Ⅲ』 01/10
他よりも『槌適性』が高いのは戦闘でも武器としてウォーハンマーを振るっている影響だろう、武器関係のスキルは技の取得や上位装備の条件になっているので高い方が望ましいのだ。
異色である『早熟』は転生スキルであり、1度目の転生で選択可能になるのが『早熟Ⅰ』である。コレはキャラのレベル及びスキルの取得経験値が1.2倍になる効果があり、転生周回を重ねる上で重要になるスキルだ。転生をする毎に次が解放され、『早熟Ⅴ』になると経験値が2倍になるという破格なスキル。コレで全スキルをMASTERまで上げれば最強のキャラクターが出来上がるので、一部のプレイヤーは凄まじい勢いで転生を繰り返していた程だ。
次にスキルのランクに就いて。
『クラフトⅢ』の様にスキル名の隣に入っているローマ数字はスキルランクのランクを示していて、スキルレベルが最大になった時にランクアップ先が有ると上昇させる事が出来る。
ゲーム『深く深い闇の先で』の時には存在しなかったシステムで、転生後に知って驚いた要素だ。大体ランクⅠのスキルレベル最大でゲーム時のスキルレベル02、ランクⅡのスキルレベル最大で04といった具合なので最大は恐らくランクⅤのレベル最大でゲーム時のスキルレベル最大だろう。
そう思えば『早熟』持ちとはいえ、クラフト関係のスキルが最大に近い現状はかなり助かる。最大レベルになったスキルは着け外しが自由になり、ストックしても効果を発揮する。
例外としては『早熟』で、コレは着けていないと効果を発揮しない。クラフト関係を纏めて外せたのなら、基本ステータス上昇関係を付ければ探索が楽になるし、採集のスキル等も取れる。このまま順調にスキルレベルを上げられる事を願うばかりだ。
さて、長々と現実逃避をしたがそろそろ現実に向き合おう。
俺の肩を枕にして穏やかに眠る裸の美少女こと、昨夜の捕食者は疲れ切っているのか目を覚ます気配が無い。活力は回復しているが精力が底を着いたままなので愚息が起きる気配は無いのが救いなのだが、身体を動かそうとすると怠さが全身に絡みついている。
今日は特に予定は無いが、少女はレベルアップに励むつもりだった筈だ。レベルアップの度に俺が喰われるのだが、それを差し引いても少女が成長しないとダンジョンの深い階層へ潜れない事はネックである。
武具の強化もそうだが、高いクラフト経験値は未知の素材や未知の道具を作る事で得られる。魂にはゲーム知識が刷り込まれているが、現実との摺合せをしなければ持ち腐れになる。
実際、そうやって違いを感得する事が大きな経験値となるのでミスリルやオリハルコンで武具を作ってみたいのだ。
「そろそろ起きろ、このままじゃ飯作れないぞ」
生憎昨夜から何も食って居ない……俺は目の前の少女に喰われた(意味深)が、俺は夢魔では無いので食事を取らなければ死んでしまう、蛋白質もガッツリ搾り取られたしな。
声を掛けながら何度か肩を揺すると、形の良い眉が中心に寄り顰め面を作り出す。呻くような声を出しながらゆっくりと瞼が開く、縦に割れた瞳孔のやや焦点の定まらない目が此方を認識する。蚊の鳴く様な小さな声で俺の名前を呟いた少女に挨拶をする。
「おはよう、昨夜はお楽しみでしたね」
「おはよう……?」
俺の言った言葉が理解出来なかったのか、それとも起き抜けから同居人の顔がドアップな状況が理解出来なかったのか、呆っとした表情を此方へ向けている。
そのまま身を起こし、腕を上げてグッと身体を伸ばす。形の良い乳房が身を動かす度に揺れるが、残弾の無い下半身は全くの無反応だった。
眠気眼で俺を見て、次に自身の身体を確認し、再度俺の顔へ視線を向け……細めていた両目を大きく開いた。
「え、なん!? どうしてウチら裸!?」
「……」
動揺し両腕で身体を隠そうとして自身を抱く様な挙動を取る。両腕に挟まれた乳房が寄せられ深い谷間を作り、隠し切れなかった軟肉や先端部が見えている。
が、残弾の無い下半身と賢者の如き精神は揺らがない。
夢魔としての本能が強かったせいで記憶が混乱しているのか、それとも寝ぼけている為か昨晩散々俺を弄んだ事をこの少女は忘れているらしい。
「レベルアップ、魔力過剰、本能全開」
「!?」
なので、ワードを繋げる形で理解を促してやる。理解して、昨晩の事を思い出したのか少女の顔は青くなったり赤くなったりと大忙しだ。
少女は身体に付いた鬱血痕や乾いた白濁の跡を確認し、最後には己の秘処に指を這わせて盛大に溜息を吐きながら俯いた。
この反応、昨晩の事は半ば夢だと思っていたらしい。いや、本能的に理解はしてても夢と思いたかった、か。
「ごめん、私また……」
声が涙声で、更に鼻まで啜りだした。
生真面目な目前の少女は己が本能に逆らえなかった事に自罰的で、初体験の時にも俺から散々搾り挙げ句全てを膣内で受け止めた事を今でも申し訳無く思っていた。
そりゃ確かに拾った時はこんな可愛い娘とワンチャンとかエロゲー世界だから思ったが、まさか命掛けになるとは思いもしなかったのだ。罪の意識を突付くのは一瞬だけの優越感と、こんな姿を引き出した罪悪感を胸に抱かせる。
「……取り敢えず風呂入って来い。何時までもそのままじゃ気持ち悪いだろ」
「……ぅん」
蚊の鳴く様なか細い声で答えた後、覚束ない足で浴室へ向かう少女。さり気なく昨日脱ぎ捨てたシャツを回収する辺りが生真面目な彼女らしい。
「さて、取り敢えず掃除だな……」
弱々しい背中を見送った事で湧いた罪悪感を吐き出す様に、独り言を溢して部屋を見渡す。少女と俺の整備前の防具以外は戦場(意味深)になった椅子の悲惨さくらいしか片付ける物は無いが、部屋に籠もった獣臭が酷いので取り敢えず換気する為に窓を開ける。瞬間、外から入ってくる清々しい風と木々の瑞々しい香りが部屋の淀んだ空気と入れ替わる。
「……アイツのフェロモン、外に影響しないよな?」
何となくそんな事が頭を過る、大気で薄まるだろうし大丈夫だと思うが……コレが影響して事件が起きない事を何となく願った。
『深く深い闇の先で』
人間種プレイヤーキャラ初期ステータス
耐久力 100(500)
魔力 50 (300)
技力 50 (300)
物理攻撃 10 (100)
物理防御 10 (100)
魔法攻撃 10 (100)
魔法防御 10 (100)
速力 10 (100)
運 10 (100)
移動力 3 (99)
スキルスロット5
少女初期ステータス
耐久力 45 (300)
魔力 100(600)+51
技力 25 (300)
物理攻撃 5 (80)
物理防御 5 (80)
魔法攻撃 8 (250)
魔法防御 12 (250)
速力 20 (250)
運 40 (100)
移動力 4 (99)
スキルスロット
魔力上昇Ⅰ
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魔力上昇Ⅲ
魔力上昇Ⅳ
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