既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。 作:アルカミレス
珍しいタタラの活躍パート。
そして何故かヒロインムーブかましかける虎熊。
再び周囲の風景は様変わりし、今度は鉄で出来た工場……工廠に近い雰囲気と言うべきか?
壁の奥に部品が運ばれていくような光景が見え、この階層から出現する『ゴーレム』種を作っているかのようだった。
「此処が、26階層……」
「私も初めて来たよ……ま、23階層からは基本そうなんだけど」
「妾も初めてじゃの」
「俺は久し振りかな、一人で来たことが有る」
この階層から出現する『ゴーレム』種は、作られた素材のインゴットを含めた素材を大量に落とす。最下級の『ロックゴーレム』から『アイアンゴーレム』『スチールゴーレム』等、その構成された種類は多岐に渡る。
此処で欲しいのは『アイアンゴーレム』の鉄なのだが、此処まで来る間のレア祭が継続して『ミスリルゴーレム』が出てこられたら困る。
そろそろ運が収束して来る筈、してるといいなぁ。
種族としての『ゴーレム』を表すなら、壁の一言だろう。
最下級の『ロックゴーレム』ですらその物理防御は50に届き、『アイアンゴーレム』は60、『スチールゴーレム』は70と相当に高い。
弱点を上げるとするなら速力と移動力の低さ、これが影響して攻撃の殆どを避けられる。下級ならば魔法防御が比較的低めと言うのも弱点と言えるだろう。尤も、最低でも20は有るし体力も高いのでガス欠に注意しながら戦う必要が有る。
しかし、コレは通常種に限った話だ。
レア種である『ミスリルゴーレム』は物理防御及び魔法防御が揃って80と前衛も魔法使いも泣かせにくるステータスであり、ボスとして控える『オリハルコンゴーレム』は防御が何方も100と開発に『加減しろ馬鹿!』と言いたくなる数値だ。更に攻撃力も高い数値で、最下級の『ロックゴーレム』ですら50越えの攻撃力を誇り油断して被弾すると避け盾タイプが結構な確率で戦闘不能になる。
こんなのが序盤に出て良いのかと聞きたくなる強さなのだが、実は救済措置もそれなりに用意されていたりする。
その一つが『貫通』が必ず備わっている対物狙撃型の魔導銃で、『貫通』さえ働けばその尋常では無い防御力を無効化出来る点で重宝された。尤も、エテルの為に用意した試作型の魔導加速投射砲は未完成であり、この狭い空間内で使用したら弾頭が通った後に鎌鼬が発生して射手にすら危険を及ぼしかねないので封印している。
もう一つが『ゴーレム』種の素材から作れる武器『コアブレイカー』というハンマーだ。コレには特定種族へのダメージを倍にする特効の中でも『ゴーレム』種に効果を発揮する『ゴーレム特効』と『貫通Ⅲ』を備えている為、作れれば『ゴーレム』種に対して優位に立てるのだ。
尤も、作る上では『ゴーレム』種のレア素材が必要なので非常に苦労するのだが。『ゴーレム』を効率的に殺す為に『ゴーレム』を倒さなきゃいけないのは本末転倒な気がする。
そして、ゲーム時代では出来なかった解決方法として『ゴーレム』の額に有る文字の『最初の一文字』を消すと言う物が有る。
コレは恐らく、前世の御伽噺の中に『ゴーレムの額の一文字を消して真理から死の意味に変える事で機能を停止する』という伝承が有るからだと思う。コレを応用すれば『ゴーレム』の防御を僅かでも上回る攻撃力で頭部を攻撃すれば機能停止に追い込める。現状出来るのは攻撃力125を誇る虎熊と『ゴーレム』の防御を無視出来る俺くらいだが、問題は『ゴーレム』の体躯だ。
『ゴーレム』は『オーガ』と比べてもデカい。最下級の『ロックゴーレム』の時点で4mを越え、レア種の『ミスリルゴーレム』は6mでボスの『オリハルコンゴーレム』は9m程になる。初めて見た時はガサ◯キとかオーラバ△ラーとかアーム・スレイ□なんて近いサイズのロボット物を思い出して興奮した物だ。
その直後にぶん殴られて正気に戻ったが。
そんな事をメンバーに前世のアニメネタを抜いて話したら、最後の所で虎熊とタチアに呆れの混じった視線を向けられた。エテルは何かそんな所も可愛いと言いたげな視線な気がする。
「ふむ、妾としては一点問題が有るのう」
「あー……もしかして刀か? 繊細な武器って聞くし」
俺の言葉に一つ首肯で返し、愛刀を渡してくる。取り敢えず『鑑定』を掛けてその性能を確認する。
刀剣『鬼刀・血桜』
物理攻撃 40
速力 15
射程 1
特殊 『虎熊家専用』『高硬度適性✕』
何やら見たことの無い特性が付いていた。字面から推察するに金属等で出来た物を斬るのに向かない、と言った具合だろうか?
仮にこの特性が刀全般に言える物なら大分面倒くさい。
「この通り、妾の刀は斬鉄等には向かんのじゃ」
「そうなると、別の武器を一時的に使って貰うか……?」
インベントリから適当な物を探す、出て来たのは魔鉄で作った巨剣だった。先端がイチョウの葉を思わせる形で広がっていて、突きの攻撃を一切考慮していない質量兵器。
俺から剣を受け取った虎熊は数度振って、その感触を確かめる。
「……先端に重量が寄っていて、中々癖が強いのじゃ」
「斬るよりも叩き潰す事が主な武器だからな、コレ」
虎熊の感想にそう返す。虎熊は一つ頷いて巨剣を肩に担ぐ。
「取り敢えず、此処の硬い敵が終わるまでは借りるのじゃ」
「ああ、気に入ったなら後で調整するよ。『ワールウィンド』内での替えの武器にしてくれても良い」
「それは助かるのじゃ!」
整備が無理な武器を使うよりかは遥かに使いやすいだろう、鬼である虎熊としては心置き無く叩き付けられる武器が欲しかったのかも知れない。
「タタラ殿、今回の私の立ち回りは如何しよう?」
「そうか、タチアは火力不足か……虎熊と組んで相手の攻撃を止めてくれ」
「む、タタラ殿の方はいいのか?」
「俺は大丈夫、『ゴーレム』相手は慣れてるからな」
基本、『ゴーレム』の動きは遅い。『鑑定』で弱点を突くのも楽だし、攻撃を見てから動いても避けられる程度には鈍重だ。
問題はエテルだ。クラスアップで高まった魔法攻撃力を活かせる技能が現時点では無い上に、所持するスキルが軒並み対『ゴーレム』戦術に向かない。一つ可能性が有るとすれば、エテルの『盗む』で『ゴーレム』を動かす核であるレア素材『ゴーレム・コア』を抜き出す事くらいか。確率が低くて現実的では無いが。
「エテルは変わらず索敵・誘導かな……『ゴーレム』はひたすらに脚が遅いのが問題だが。後は『アイアンゴーレム』には積極的に『盗む』を頼む、インゴットが手に入る可能性が高い」
「うん、分かった」
そうやって方針を決め、探索を開始。エテルの先導により変わらず進んでいく中、遂にエテルが最初の『ゴーレム』を発見した。今回はレア種にぶち当たることは無く、順当に『ロックゴーレム』が一体佇んでいた。
「それじゃあ、先ずは俺一人で対処する所を見てもらおうかな」
「む、妾とタチアの連携を見せようかと思ったのじゃが」
「取り敢えず、それは次にな」
レベルが上の敵を相手にするエテルとタチアにも美味しい経験値では有るのだが、26階層を越えた時点で俺も経験値が普通に入る状態だ。ある程度レベル上げをさせて貰いたい欲も有る。
「それじゃ、『タタラ理論』による『鑑定』の使い方を実践してくる」
そうメンバーに言って、一人『ロックゴーレム』へ向かう。距離は大凡60m、接近するのに2呼吸必要な距離である。
一呼吸で40mを詰める、『ロックゴーレム』は索敵範囲が狭い故に此方を認識出来ていない。
二呼吸目、『ロックゴーレム』をハンマーの打撃可能な距離に捉える。このタイミングで『ロックゴーレム』も此方へ気付き、振り返ろうとする。このタイミングで『鑑定』を使用。
傀儡族『ロックゴーレム』
体力 150/150
魔力 0/0
技力 0/0
物理攻撃 50
物理防御 50
魔法攻撃 0
魔法防御 20
速力 10
運 10
移動力 2
状態異常 無し
特殊能力 『大地再構成』
装備 無し
一通りの能力が見えた。しかし、戦闘用の『鑑定』は此処からだ。より深く相手に意識を向ければ、世界から色が消えた。白と黒の世界の中で、更に緩慢な動きに見える『ロックゴーレム』。
その姿は少しぶれていて、身体の稼働部から次の行動を『鑑定』が予測して見せているのが分かる。
モノクロの世界で唯一色が有る場所が有った。此方側に近い脚、膝の少し上の大腿部。そこへ向けてウォーハンマーを叩き付ける。
武器命中15+40=55−10判定55。命中判定。
攻撃力55−50致命打判定55×2=110。部位破壊。
ウォーハンマーが当たった箇所から硝子が割れたかの様な甲高い音が響き、『ロックゴーレム』の脚を本体から完全に分断する。脚を失いバランスを崩した『ロックゴーレム』は仰向けに倒れた。
そのまま『ロックゴーレム』の頭に有る文字の一番最初の文字を削れば、『ロックゴーレム』は動きを止め崩れていく。
残ったのは大量の石材とゴーレム・コアだ。
石材の中には鉄鉱石も混ざっており、タチアの鎧を作る上での素材がある程度集まる。石材自体は店で扱う事も無いので商会に売って建築関係の方へ回して貰えばいい。
問題は、『アイアンゴーレム』や『スチールゴーレム』と出会えなければ鉄鉱石から鉄や鋼を錬成しなければならないので鉄鉱石に余裕を持たせないとダメな事だろうか。
「……今のが、『タタラ理論』の『鑑定』を使った結果かの?」
俺に近付いた虎熊が背後から聞いてきた、俺の『鑑定』を覚えたいと言っていた虎熊はこの結果を見て真剣な表情だ。
「ああ、『鑑定』で一番負担が掛かってる所を見抜いてそこに外部から力を加える事で破壊してる……とかそんな理屈だと思う。正直、自分でやってても理屈が分からん」
この『鑑定』の使い方は集中する必要が有るため使用後に多少疲れはするが、戦闘時間自体は短くなるので総合的な負担は少ない。
「で、どうだ? 覚える価値は有りそうか?」
俺の問いかけに虎熊は頷き、真剣な表情のまま答える。
「ああ、コレは妾にとって必要な技能じゃ。必ずモノにするぞ」
それは、何処までも覚悟の定まった目だった。
先ずは虎熊に『鑑定』を取らせないとならないので、虎熊のレベルを上げる必要が有る。俺でも経験値がそこそこ入る階層なので、虎熊の取得経験値もそれなりだろう。
「そう言えば虎熊、次のスキルスロット取得まで何レベルなんだ?」
「む? 妾が次にスキルスロットを開放出来るのは後1レベルじゃな。それでようやくレベル30になる」
「……そうか」
レベルが近いとは思っていたが、まさかレベル30未満で素の物理攻撃力が80越えてるとは……タチアもそうだが生まれながらの資質がとんでもない奴が多い。
「なら、『ロックゴーレム』は任せるぞ。その武器と虎熊なら問題無く防御を抜けるだろうし」
正直に言えば、虎熊の攻撃力ならレア種の『ミスリルゴーレム』相手でも時間さえ掛ければ倒せるだろう。しかし、『ミスリルゴーレム』の体力を考えれば時間が掛かり過ぎるしその間攻撃を受けるタチアの負担が大き過ぎる。
そう考えると、相手を任せられても『アイアンゴーレム』辺りが限界だろう。タチアの体力を削る事を考えるなら無理はさせられない。
そうして方針を決めて先に進めば、道の先に2体の『ゴーレム』が見えた。片方は先程と同じ『ロックゴーレム』、そしてもう一方は錆が浮き赤銅色にも見える『アイアンゴーレム』だ。
「エテル、先行して『アイアンゴーレム』に『盗む』を頼む」
「うん、分かった」
俺の言葉に応えて、エテルが翼を羽撃かせる。一瞬で50mを詰め、『アイアンゴーレム』に『盗む』を使用。その手に恐らく鉄のインゴットを掴み、離脱をはかる。
そのタイミングでエテルに気付いたらしい『アイアンゴーレム』だったが、エテルの方が圧倒的に速く捉えきれない。そしてエテルを追う為に20m程移動したのを見て、俺も距離を詰める。
エテルと入れ替わりに接近した俺に対して『アイアンゴーレム』は拳を振り被る。合わせて俺も『鑑定』を使用、『アイアンゴーレム』を見る。
傀儡族『アイアンゴーレム』
体力 250/250
魔力 0/0
技力 0/0
物理攻撃 60
物理防御 60
魔法攻撃 0
魔法防御 20
速力 20
運 10
状態異常 無し
特殊能力 無し
装備 無し
伝わってくる『アイアンゴーレム』のステータス、更に集中し深く読み取る。
見えたのは攻撃した直後、腕が完全に伸び切った状態での歪。
分かったのなら後は簡単だ、見えた未来の通り『アイアンゴーレム』の拳を引き付けて躱す。
命中20−30。回避判定。
攻撃を盛大に空振った二の腕に見える弱点に向けてウォーハンマーを叩き付ける。
武器命中15+40=55−20判定55。命中判定。
物理攻撃55−60致命打判定55×2=110。部位破壊。
俺の攻撃により『アイアンゴーレム』はその攻撃手段の大部分を担う片方の腕を失った、状況を理解しきれていないのかその動きが止まる。
俺の『鑑定』はまだ継続している、腕を振り切った体勢の『アイアンゴーレム』。次に負担が掛かっているのは失った腕側の腰だった。
武器命中15+40=55−20判定55。命中判定。
物理攻撃55−60致命打55×2=110。部位破壊。
次に腰部を破壊された『アイアンゴーレム』は姿勢を崩し倒れた、その頭部に刻まれた文字を削り『アイアンゴーレム』を機能停止にする。破壊した部位はやや多かったが、かなりの数の鉄のインゴットが手に入った。コレでタチアの鎧の作製が現実味を帯びて来たな。
視線を虎熊とタチアへと向ける。タチアが『ロックゴーレム』の攻撃を受け、その隙に虎熊が攻め込んでいる。刃はあまり研いでいないが、その分だけ頑丈に仕上げた巨剣を巧みに叩き付ける虎熊。刀と剣では使い勝手が違うだろうに、その術理は問題なく活かされていた。
そして脚を砕かれ倒れた『ロックゴーレム』の頭部を粉砕して虎熊とタチアの戦闘は終わった、額の一文字どころか頭そのものを粉砕する豪快さに思わず笑いが込み上げる。
俺の笑いを見て虎熊は何処か不貞腐れた様な表情だ、俺の真似をしようとして出来ていないのが恥ずかしいのかも知れない。
2人が倒した『ロックゴーレム』の石材を回収する中で少量の鉄鉱石を見付ける、まだまだ鎧作製の数には足りない。このまま先に進む必要が有るな。
「ふむ、感覚としては後二・三の『ロックゴーレム』を倒せばレベルが上がりそうじゃの」
「なら、素材集めも兼ねて先に進むか。まだまだ鉄が足りないし」
虎熊の言葉にそう答えると、タチアが難しい顔で言葉を放った。
「個人的に『アイアンゴーレム』一体で作れそうだと思っていたが無理なのだな」
「そう思うのも分かるぞ。ただ『ゴーレム』一体丸々素材として使えないと言うだけだな、そのまま持ち帰れれば一体で事足りるんだが」
「ままならない物なのだな……」
実際、タチアが感じた事は俺も最初に『ゴーレム』種の素材を集めた時に思った事だ。『ミスリルゴーレム』など一体丸々持ち帰れれば何百kgのミスリルが手に入るか分かった物じゃない、破壊した腕とか持ち帰れないか頑張った事も有る。
しかし、出来なかった。現実は非情である。
そして探索を再開し、26階層の中で俺は8体の『アイアンゴーレム』を撃破するに至り、虎熊は『ロックゴーレム』を4体倒し無事レベルアップを果たした。
鉄だけはギリギリ規定数に届いたので、次は鋼を集める事になる。最悪鉄に炭素を加えて鋼にする事も視野に入れる必要も有り、このまま『アイアンゴーレム』と『スチールゴーレム』を狩る事が続くだろう。
俺個人としては集中して使い続けた影響か『鑑定Ⅳ』が最大レベルに届いた為にランクアップして『鑑定Ⅴ』になった、実生活じゃなくて戦闘で上がる『鑑定』スキルって改めて思うと何なんだろう。
「のう、タタラ。早速『鑑定』の使い方を教えて欲しいのじゃ」
階段のフロアにて虎熊が俺に質問をして来た、やり方としては前に後輩2人へ教えた方法を試してみるか。
そう考えて、俺は虎熊に貸していた巨剣を指差す。俺の挙動にキョトンとした虎熊は、巨剣を掲げて見詰める。
「先ずはその剣に『鑑定』を使ってみてくれ」
「ふむ、では『鑑定』」
口に出して『鑑定』を使用する虎熊、すると表情が驚く物に変わっていく。
「鑑定とはこの様に世界を見る物なのかの」
「俺としては観ると言うより識る感覚だな、結構楽しいだろ?」
「ふむ……ふふ、タタラが幼い頃楽しくてそこら中で使っていたと言うのも納得じゃの」
以前都市長の所で話した事を蒸し返して来たが、何故俺がそうなったのかも理解して貰えたようだ。
「それじゃあ次だ、鑑定を使う感覚は分かったと思う。より深く集中してその感覚を『使って』くれ」
「むう……?」
俺に言われた事を疑問に思いながら、虎熊はより集中していく。スキル使用の感覚は人それぞれだと思うが、それをより先鋭化させる事を意識する。後輩2人の時には上手く言語化出来ていなかったと思うが、今ならこう説明するべきだったと振り返っての物だ。
虎熊が巨剣に向かって意識を集中させる中、俺は一つ違和感を覚え始める。虎熊の目が色合いを変え始めた気がする。
俺に言われた事を実践する素直さと高い集中力を発揮する虎熊だが、頭痛を感じ始めたのか表情が歪み始めた。俺自身の経験としてはこの頭痛を越え、血涙や鼻血が出始めたら本番なのだが……俺を基準にするとまた何か言われそうで怖い。
やがて虎熊の集中が切れ、大きく肩で息をしながら巨剣を取り落とした。大量にかいた汗をそのままに、荒い呼吸を繰り返し続けている。
「最初はそんな物だろう、休憩を挟んで探索に戻ろう」
「はぁ……はぁ……い、いや! 待って欲しい、まだ出来るのじゃ!」
「虎熊の体力は疑って無いが、脳の酷使は後に響くだろう?」
「しかし……え?」
顔を上げて俺を見た虎熊が固まる、何か分からないが虎熊にかなりヤバイ事が発生している可能性が出て来た。
「虎熊、気をしっかり持て。落ち着いて今見えている物を意識しろ」
「タタラ……なんじゃ、これ……」
「恐らく、俺とお前では『鑑定』で深く観れる物が違う」
「だからって……こんな、生命への冒涜ではないか……」
泣き出しそうな表情になる虎熊を、そっと抱き寄せる。一瞬身体が大きく震えるが、虎熊も弱々しく抱き返してきた。
そっと虎熊の後頭部を撫でながら、俺は声をかけ続ける。
「落ち着け、ゆっくり息を吸うんだ……大丈夫。少ししたら視える世界も戻るから」
「っ……うぅ、すまんタタラ。すまんエテル……」
遂には泣き出した虎熊を、そのまま抱き締め続ける。エテルに視線を向けると、複雑そうな表情をしていた。虎熊も俺がエテルに不義を働いた事、その理由が自分である事に謝罪を続ける。
箱推しなんて本人が公言しているのだ、その推しにこんな事をさせるなんて厄介ファンとしても許せないだろう。
10分程して、虎熊は持ち直して俺から離れる。改めて顔を見ると、瞳の色は戻っている。外から見ていて分かったが、俺式の『鑑定』発動中は恐らく影響が瞳に出ている。
俺は幼少から使い過ぎて瞳の色が琥珀色から金色に変わってしまっているが、他の人間が同じになる可能性が出た。
因みに、俺の瞳の色が金色に変わってると初めて知ったのはエテルを拾った後で
『タタラの金色の目、お月さまみたいで好きなんだ』
とエテルに言われて分かった。何が影響したのか分からなかったが、虎熊の様子から可能性が見えた。改めて伝えなければならない事だ。
「虎熊、少し言わなきゃならない事が出来た」
「……ふむ、タタラ式の『鑑定』による何かしらの不都合かの」
「頭痛やその他はそのうち身体が慣れるから置いとくが、俺もよく分かってなかった変化だ」
「第三者を見て初めて分かった事、と言った所かの」
「ああ、この『鑑定』を使うと瞳に影響が出るみたいだ。長く使い続けたら恐らく瞳の色が変わる」
「なんじゃと……?」
俺の言葉に訝しげな表情を浮かべる、一つ一つ説明しなければならない。
「俺の瞳は元々両親譲りの琥珀色だったんだが、エテルを家に迎えた時には金色になっていたらしい。今し方虎熊が『鑑定』を俺式のやり方に至った辺りで瞳の色が少し変わったのが分かった、多分使い続けると今の俺と同じ色になる」
「それは……」
元々金色である虎熊では分かりづらい変化ではあったが、それでもご両親から貰った大切な身体だ。些細な変化でも伝えなければならない。
「……大丈夫じゃ。瞳の色が多少変わろうと、妾は父上と母上の娘。そこに違いは無いのじゃ」
ゆっくりと噛みしめるように虎熊はそう言った。
何処か俺を慈しむ様な、そんな表情に見えてしまうのは俺が罪悪感を抱いて居るからだろうか?
「それで、話は変わるんだが……何が視えた虎熊」
俺は真剣な表情を作って虎熊に問う、あの取り乱し方は尋常では無かった。生命への冒涜、そうまで言うのは何なのか。
「……アレは恐らく、生物の歪……詰まる所『死』じゃ」
「……それはまた、嫌なもん視えたな」
クラフターである俺とは視え方が違うかもとは予想したが、剣士である虎熊はより直接的に生命を奪う方向に向かってしまったらしい。
少なくとも、虎熊が求めていた無機物向けの『鑑定』では無いのが残念である。教えるのなら、彼女が欲しい物を得て欲しかった。
「タタラと同じ様に『ゴーレム』を相手に出来ん、暫くはタタラに頼る事になろう」
「それは構わないさ、俺達はパーティだからな」
俺の言葉に虎熊は笑った。少し辛そうではあったが、それでも笑ってくれた。
俺達の様子を心配気に見ていたタチアの方を向けば、戸惑い気味に俺と虎熊を交互に見ている。
気遣いが出来る様になっているな、本当成長したよお前は。
「ヨヒラ殿、その……大丈夫だろうか?」
「うむ、大丈夫じゃ。心配かけてすまんの」
「いえ、大事無ければいいのです。今日は此処までにしますか?」
「心配無用、タタラと同じ事は出来んが妾の剣なれば『ゴーレム』相手でも痛打は与えられる。このまま進み、お主の鎧の素材を揃えるとしよう」
軽々と巨剣を振って肩に担ぐ虎熊、そう言えばレベル上がってるからまた物理攻撃上がってるんだよなコイツ。
「動きの予測とかは出来そうか?」
「恐らく『ゴーレム』相手は無理じゃな、生物相手なら筋肉の動きから出来ると思うがの」
「それはそれでとんでもねぇな」
『ゴーレム』は内部の駆動関係が生物と同じでは無いことが不可能な理由だろうか。
あえて俺と虎熊の違いを表すなら『物質鑑定』が得意な俺と『人物鑑定』が得意な虎熊って差なのだろう。
そう言えば、俺理論の『鑑定』使用可能な人物として都市長に後で報告しなきゃならんかコレ?
「それじゃあ『スチールゴーレム』か『アイアンゴーレム』を求めて次に行くか」
「コレでレア種の『ミスリルゴーレム』祭になったら笑い話だよね」
なんでエテル今フラグ建てた?
虎熊とタチアも笑ってるけど、世の中には言霊ってもんが有ってだな?
「……で、早速か」
「……ごめん」
エテルが先行して確認した先、美しい白銀のスリムな『ゴーレム』が一体。
最早定番と成りつつ有るレア種との遭遇、『ミスリルゴーレム』がそこに居た。
『タタラ理論』の『鑑定』
戦闘応用編まとめ。
・特定の敵にのみ有効
・必中効果
・防御力無視
・確定クリティカル
・確定回避
作中で説明しない設定
部位破壊条件→特定部位に最大体力の3割以上のダメージを与える。
ヘッドショット→頭部に当たった際に1割以上のダメージを与える。
この小説は……
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永遠と愛の絆
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寛容と一途な愛
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信念と翼
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鎚を包む花束
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誠実と誇り
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都市長いっとけ都市長
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年増園
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太陽の笑顔
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星の微笑み
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太陽と星
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娘さん、親父殿を俺にください