※この作品はR-18です。

既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。   作:アルカミレス

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タチアイベント継続中。

【急募】イケメンムーブの書き方【スパダリ】


彼女の存在

 以前の暴走状態と比較して、大きくなった角と翼以外に外見的な変容は見られない。しかし、赤く放電を思わせるようにパチリパチリと弾ける魔力に背筋が粟立つ。

 瞳の光も高まった魔力の影響だろう、蛇に睨まれた蛙が如く身体が動かない。実際、コレから性的に食われる身としては捕食者相手に身が竦むのは普通な気がする。

 エテルはゆっくりと此方に向けて歩いてくる。逆光でよく分かって無かったが、全裸だ。風呂上がりで着ていた寝巻きを部屋で脱ぎ捨てて此処に来たのだろうか? 虎熊が一緒に住んでたら流石に止めに入ったんじゃなかろうか。

 一歩一歩と脚を運ぶたびに重々しく揺れる乳房に目を吸い寄せられる、身体が動かせないのに視線は動かせるから自然とそこを見てしまった。悲しきおっぱい聖人の性よ。

 目前まで迫ったエテルは、両方の翼で椅子に座る俺を包んで来た。更に足に尻尾を絡ませて、両腕を俺の首に回して膝の上に座る。何時に無く接触の仕方が穏やかだ、首元に頭を擦り寄せてくるが角で俺を傷付けないように配慮しているのが分かる。

 何となく、大きくなった角を優しく撫でる。エテルは目をパチクリといった感じに瞬かせるが、嬉しそうに目を細めて身を預けてくる。自然と撫でていたが、身体の金縛りが解けている事に初めて気付いた。

 

 何となく、今のエテルが犬とか猫に近い甘え方に似ていて此方もソレに触発される。

 角から髪、翼とその付け根、尻尾も付け根から脚に巻き付いている先まで撫でる。特に付け根が感じるらしく、そこを撫でるたびにエテルの息が荒くなる。関節部に近い為皮膚が比較的薄く、神経が集まっているからこその反応かも知れない。

 全裸であるが故に、その身体の変化は簡単に目視出来た。エテルの巨乳の先端が硬く尖っていて、更に膝の上が分泌液で濡れているのも感じる。何となく、普段の暴走状態と比べて違和感が有る。こんなにされるがままでは無く、積極的に此方を翻弄するような行為が主だった筈だ。コレだと、先程のエテルの方が余程普段の暴走状態に近い。

 

 過去作のゲームで、赤い月の夜に性魔術による儀式を行い味方をパワーアップするイベントが有った。テキストデータでは魔力が高まると有った事から、何かしらバイオリズム的な面に影響が出ていると思う。今回のエテルが大分積極的だった理由は、二つ可能性が有る。

 一つは赤い月の影響、魔力が高まり過ぎて夢魔の本能が強くなり過ぎた結果。

 もう一つはクラスアップの影響、以前迄のレベルアップに比べてより大きな存在の変容であるが故の結果。

 最悪の場合以上二つの合せ技な可能性も有るが、何ヶ月かに一度くる赤い月の満月が来るたびにエテルが暴走したら家が子沢山になりそうだ。……それはそれで、幸せかも知れないな。

 

 そして、エテルのこの暴走とは果たして何なのか?

 

 以前は本能に根差した栄養補給だったが『性魔術』を取得して夢魔として真っ当な体質になった後、この暴走は鳴りを潜めた。生命を繋ぐ為に俺と交わり精気を求めていたが、別の手段で周囲から精気を得る形を取れる故にレベルアップ時に欠けていた物は自然と集められるようになり、暴走しなくなった。

 では、この普段のエテルに近い暴走状態はいったいなんなのか?

 本能が強いというのは、裏を返せば原始的な欲求……本音に近い物である可能性だ。以前エテルは俺に対して一目惚れに近く、初日から身体を求められたら受け入れていたと話された事がある。初のレベルアップの時、俺を襲ったのは夢魔としての本能の栄養補給もそうだが愛情表現としての本能でもあったなら?

 エテルは俺から告白を受けるまで、一緒のベッドで起きた際は不機嫌な様子を見せていた。アレは、照れ隠しとかでは無く自分が望む関係になっていないからだったのでは?

 関係が変わってからのエテルは起き抜けにキスをしてくるくらいに積極的な愛情表現をしてくる。では、それを前提として暴走したエテルの分析を行うとどうなるのか?

 エテルの言を信じるならば、打算と愛情が混ざった上で俺と子供を欲していた時期がエテルには有った。しかし、元の性格としては何方かというと奥手であるし、倫理観と貞操概念から積極的に行為を求める事が出来なかった。故に、本能の欲求が表に出た暴走状態は性行為を積極的に求めたのかも知れない。欲目というか願望を混ぜるなら、俺への独占欲・支配欲も多少は有ったのではとも思う。

 

 此等を前提として、今のエテルを分析するなら恋人との接触。それも、甘えるなどの性的な物を含まない穏やかな物を求めているのでないか?

 ……撫でたら身体の準備を完了させている辺りにこの仮定に説得力は無いが。いや、されるがままで脱がしにかかって来ない辺りを見るに逆に高いか?

 

「なぁ、エテル。お前のその状態が何なのか、俺にはよく分からない」

 

 エテルに向かって語りかけると、此方へ顔を向けてくる。目が蕩け紅潮した表情に対応をミスったかなと思いつつ、言葉を続ける。

 

「けれど、コレもお前の一側面でしかない事には変わらないって思ってる」

 

 細い肩に手を置き、正面から顔を向き合わせる。相変わらず綺麗な顔だな、なんて思いつつ。言葉に想いを込める。

 

「お前の全部を愛してる。最初に怖がってゴメン、もう大丈夫。お前の事も受け入れる」

 

 そう言葉を紡いだ後に、エテルにキスをする。唇どうしの軽い接触の後に顔を離すと、エテルは目を大きく見開いていた。目尻に涙が溜まり、やがて流れ落ちていく。まるで流れ星みたいだな、なんて思いつつ指で拭おうとしたらその前にエテルは飛び付いて唇を重ねて来た。

 舌を絡めたりする性的な物では無い、ただ想いをぶつけるような拙いけれど温かな接触。腕を腰に回して身体を支えてやる。

 もしかしたら、この状態のベースは拾った直後の子供っぽかったエテルなのかも知れない。

 息苦しくなったのか、エテルが唇を離して俺を見詰めてくる。そんなエテルの頬に片手を添えて、今度こそ流れる涙を指で拭ってやる。

 笑って欲しいと意思を込めて微笑めば、エテルも笑顔を返してくれる。そして、次は両方から唇を求め合う。

 

 さて、散々格好を付けたが問題が一つ。生理的なものか精神的な物かは判然としないが、男にとって唇の接触は性的な前準備とされている。ぶっちゃけると、キスした辺りから勃起してしまっている。台無しだよ畜生。

 そもそも目前に居る愛しい女が全裸で自分の膝の上に座ってる時点で大分危なかったのだ、むしろ此処まで耐えたのを逆に褒めて欲しくすらある。……自分で言ってて情ねぇな。

 

「あの、エテル……そろそろ」

 

 離れて欲しい、そう思って声を掛けるとエテルは我が意を得たりと言わんばかりに俺のズボンを脱がしに掛かった。うん、分かってた。

 既に二桁は射精していると言うに、我が性剣は衰える事を知らぬとばかりに天へ向かって突き出ていた。俺のバカ。

 一旦俺から降りたエテルは、両手で陰茎を握り舌を這わせ始める。舌は主に亀頭と鈴口を責め、両手で竿を擦る。エテルの口と手は小さく、俺の性剣を手にする上で苦労するようだ。転生してからサイズがエロゲー化した為に、絵面がフランスパンを一生懸命に咥える美少女の図でしかないが……何か最近更にデカくなった気がするな?

 

 小さな口を精一杯開いても亀頭を頬張るのが限界らしく、エテルの顔は辛そうになっている。そして、俺はエテルが苦しそうだったりする表情が基本嫌なのだ。思わずやめさせようと手を伸ばしたら、まるで懇願するかのように上目で此方を見てくる。頭を離させようと触れた筈の手が、まるで褒めるかのように撫でる挙動を取った。違う、そうじゃない。

 対して撫でられたエテルは嬉しそうに目を細めて、更に頑張り始めた。刺激が強くなり続けば当然限界も早まる、情けないが性魔術の影響で感度が引き上げられているのかそれとも他人にして貰う影響か快楽が凄まじい故に早々に射精してしまった。

 

「エテル、射精()る!」

 

 思わずそう口に出した直後、エテルの口に射精()した。

 始めは口内で受けて止めていたエテルは息苦しくなったのか口を離し、結果顔に俺の精液を浴びる事となった。噴水の如く勢い良く放たれる精液をまるでシャワーでも浴びるかのように受けるエテル、顔どころか髪や身体にも掛かりその身を白濁で汚している。何処か恍惚とした表情で身体の白濁液を掬い舐め取っていく。

 こういう行動が夢魔たる所以なんだなと思いつつ、流石にこの状態だと正気に戻ったエテルがヤバそうである。また風呂に入らせようと考えている間に、エテルは俺の性剣の先端に再び口をつけて思い切り吸った。

 油断したところへの不意打ちに、思わず呻き声を上げる。エテルはそんな俺を無視して性剣の道に残っていた精液を吸い上げる。中身を吸い尽くした後は丹念に外側を舐め取って、綺麗にしていく。やがて白濁を舐め取られ唾液で光を反射するようになった性剣、エテルはその姿に誇らしそうな顔をして俺を見てくる。

 お掃除フェラされて逆に元気になってるんですよね。多分、性魔術も使われてて精力回復してるんだが。もう、収まりつかないんだ。

 

 褒められると思っていたらしいエテルは疑問符を浮かべた顔で俺を見てくるが、俺はもうエテルの膣内に入る事しか頭に無かった。心配して近付いて来たエテルをそのまま乱暴に抱き寄せて、魔羅を膣口に当てる。戸惑う様子のエテルを無視して、俺は思い切り腰を突き上げる。エテルが声にならない声を上げて、思い切り仰け反る。そんなエテルの様子を無視して、俺は腰を突き上げ続ける。

 頭の中に理性は残っていない、只管にエテルの身体を貪る事だけが占めている。エテルが体勢を変えて俺の頭にしがみついて来た、顔は快楽を与えられて許容量を越えたのか涙と涎で汚れている。その姿に暗い何かが満たされ、更に強く腰を突き上げていく。言葉にならない母音だけを口から溢すようになったエテルに、俺は容赦なく射精する。

 口でされた直後だというのに、凄まじい量が吐き出されているのが分かる。俺の射精に合わせてエテルも絶頂したのか、身体が痙攣し膣内が収縮する。一滴も余さず子胤を吸い尽くすといわんばかりの動きが、俺の魔羅を刺激する。魂ごと吸われるような感覚に襲われ、更に射精が助長されている感じがする。

 引き寄せたエテルの首元を甘噛し、跡を付ける。何時もされているマーキング、このエテルに対しても愛情を示す行為として最適だろう。

 エテルも俺の首筋に噛み付き、跡を残してくる。その後、愛おしそうに下腹部を撫でている。暴走状態の関係で恐らく彼女の中で栄養素として分解されるだろうけど、エテル自身は俺との子供を望んでくれているのだろう。

 最近行為が増えたので、学生の内にデキてしまうかも知れない。それに、俺はちゃんと子供を愛せるのか……不安は尽きない。前世でも俺には子供が居なかった、子育てなど経験は無い。俺に出来るだろうか、両親にされたように子供に愛情をもって接する事が。

 

 そんな事を考えているうちに、生臭い匂いが鼻に付いた。間違いなく俺が射精した物の匂いだろう、部屋の換気と消臭をしなければならない。それに、エテルを風呂に入れなければ正気に戻った時ひどい事になるだろう。俺が物理的に、エテルが精神的に。

 

 

 そんな思考をして、エテルを抱えて風呂に入った。脱力してされるがままのエテルを清め終えて序に自分の身体を洗う。後は湯船に浸かって身体を温め、血行を良くしたらすぐ眠る。

 

 そう出来ると思っていた時期が俺にも有りました

 

 シャワーで互いの身体を流した辺りまでは普通だった、髪や身体に着いた諸々を流し終えた辺りでエテルがプレイマットを用意したのだ。何事かと思ったら押し倒され、仰向けになった俺の上になったエテルが攻勢を開始した。

 左右の乳首を舌と指でそれぞれ刺激され、思いっきり反応してしまった愚息をエテルが膝裏で挟んで来た。エテルさん、そういった技術何処で覚えて来たんですか?

 膝コキというのかよく分からないが、肉付きの良い太腿と脹脛に包まれ擦られて驚くほどの快楽が脳髄を焼いてくる。指程の器用さは無い筈なのに、巧みなストロークを実現するのは夢魔の本能故か。情けない声を上げ、簡単に果ててしまった。

 

 一度洗い流して身を清めたというのに、エテルと俺の身体は再び白濁で汚れていく。エテルは脚を伝う感触から成果を確認し、満面の笑みだ。俺としては情けない姿を曝しているので結構死にたくなってたりするが。

 そんな情けない俺の顔を見たのか、エテルは心配そうな顔で俺の顔を覗き込んでくる。心配無いと伝えようとしたところ、何を思ったのかエテルは一度身体を離した後で俺の顔に胸を押し付けて尻尾を愚息に巻きつけた。成る程、授乳手コキならぬ授乳尻尾コキと……エテルさん本当何処でこういうの覚えてくるの?

 押し付けられたままだと柔肉で鼻と口が塞がれて窒息しそうなので、顔を逃そうとしたらエテルは動きを読んで逃げ道と俺の呼吸を防いでくる。挙げ句愚息はエナメルよりも滑らかな感触で擦られて脳髄を痺れさせる様な刺激を与えてくる。

 更に空いた手で再び乳首を責められ遂に声を上げてしまった。その瞬間、エテルの隆起した先端が俺の口の中に入った。反射的に口を閉じたら唇で先端を甘噛する形になってしまい、その刺激でエテルが甘い声を漏らした。そしてその拍子に背を仰け反らせた影響で、鼻まで塞いでいた柔肉が離れて呼吸が出来るようになった。怪我の功名と言うべきだろうか。

 

 口に含んだエテルの乳首を舌で転がすと、エテルの声は段々と高くなっていく。愚息に巻き付いた尻尾の動きもそぞろになり、大分余裕が出来てきた。歯で甘噛をしたり、舌で嬲ったりと乳首を刺激してやるとエテルは俺の頭を抱き上げる形を取って頭を撫でてきた。将来の為に擬似的な授乳体験をしているつもりなのだろうか、そういうのは性行為に求める物ではない気がするのだが。あと、以前エテルにおっぱい聖人認定されたがエテルも胸弱いよな?

 空いている手でエテルの乳房を揉む、未成熟な硬さの残る物ではない何処までも柔らかな感触に指が沈み込む。その中で硬さを持つ先端の突起を指で軽く弾けば、エテルが嬌声を上げる。流石に何時までも赤ちゃん扱いされるのは少し苛立ちが有る、俺はお前と伴侶になる覚悟を決めて指輪を交換してるんだ。お前から愛を与えられるんじゃなくて、お前と愛を贈り合う関係で居たいんだ。

 エテルの乳首から口を離し、身を起こしてエテルと唇を重ねる。胸から離れた事にイヤイヤと首を横に振るが、やや強引に顎を押さえて舌を入れる。最初は拒否気味ではあったが、直ぐに舌を絡ませ合い唾液が混ざり合う。浴室内に粘着質な音が響きエテルの声もややくぐもっていた。

 

 やがてエテルが無理に顔を離し、俯き気味でやや啜り泣く様な声が聞こえる。強引に進め過ぎた、本能に従順な今のエテルに欲求と外れた事をすればストレスで泣いてしまうのも当然なのかも知れない。

 

 そんな事を考えている間に、エテルは俺に跨っていた。

 

 動きが早すぎると思ったが、今の俺とエテルでは速力差がそこそこ有るので反応出来ないのも当然なのかも知れない。

 等と分析というより現実逃避をしている間に、エテルは腰を落とした。愚息を包む熱、そして強い力での締め付けが快楽を発生させ背筋を走る。思わず呻き声が漏れる中、エテルは俺の肩を押して床に寝そべらせる。

 見下ろす姿勢になったエテルは涙目で、腰を巧みに振りながら俺に何もさせないようにしているようだ。何が彼女をそうさせるのだろう?

 

「……わたし、は」

 

 エテルの口から言葉が溢れる。今迄、この暴走状態で言葉を紡ぐことは無かった。

 

「わたし、は! たたらの、おかあさんになるの!」

 

 俺の上で腰を振りながら、なんかネジ曲がった事を言い出した。お前、俺のお母さんになるって何だよ。結婚するんだから奥さんだろそこは。

 

「たたら、さみしいってないてた! だから、わたしがおかあさんになって! たたらの、さみしさをなくしてあげるの!」

「いや、俺はエテルにお嫁さんになって貰うんだけど……」

 

 母性が斜め上に発揮されてませんかね?

 俺と子供を作ってお母さんになってくれるって言うなら歓迎だが、コレはちょっと違うと思う。

 

「たたらがなくの、わたしいや! おとうさんとおかあさんがいなくなって、たたらはひとりでつらかったけどたえてた! だから、わたしのまえだけはこどもにもどってもだいじょうぶにするの!」

「思考の結果『俺のお母さんになる』はちょっと違うと思うぞ、俺は」

 

 エテルのアレが優しさから来ていたのは分かったが、そんな特殊な趣向に走るんじゃなくて普通に隣に居て欲しいんだが。

 俺、そんな不安定に見えてたのだろうか?

 あと、こんな問答しながらやばい腰使いで搾り取ろうとしないで欲しい。ツッコミ入れるべきか快楽に染まるべきかで脳がバグる。何方にしろエテルに突っ込んでるだろってのは無しで。

 

「なぁ、エテル。俺は、お前にそんな役割を担って欲しい訳じゃ無いんだ。ただ隣で一緒に居てくれるだけで満足なんだ、それだけで幸せになれるんだ」

 

 そうやってゆっくりと語りかける、尚もエテルの腰使いは激しさをまして射精感が迫ってくるが何とかシリアスな表情を維持する。俺、何やってるんだろう?

 

「たたら……」

 

 俺の言葉に、エテルの表情がやや変わる。必死さというか、追い詰められた雰囲気が有った表情から慈しむ様な表情に。よかった、通じた。

 

「やっぱり、おかあさんにならなきゃ!」

「その表情変化からその結論は違くないか!?」

 

 全然通じて無かったよ、初期のタチアかお前は。

 

「たたらとせっくすして、たたらににんしんさせてもらって……たたらをうむの!」

「変な事を言ってるって自覚持ってくれないか?」

「たたらをたましいとまりょくにしておなかのなかでそだててうめば、わたしがたたらのおかあさんになるよ!」

「何処かの魔神みたいな事言わないでくれ」

 

 過去作にそんな思想の奴がいたんだが……しかも世界観的に上から数えた方が早いくらいの強者で。もしかして、エテルもクラスアップ続けてたら同じような存在になれるのか? ……流石に嫌すぎる。

 コレがエテルの本能とか本音だなんて思いたく無い、せめて寂しさを癒す程度に納めて欲しい。

 説得出来る言葉が浮かばない、何を言っても通じない気がしてならない。挙げ句、そろそろ射精()しそうだ。馬鹿な会話をしているのに、腰使いはガチなのが本当に夢魔って感じがする。

 

「たたら、でそう? いっぱいおかあさんのなかにだしていいよ!」

「本当、そういう事を言うのやめてくれない!?」

 

 プレイが特殊過ぎる、エテル相手じゃなければ吐いている自信が有るレベルだぞ。

 等と考えている間に、限界を迎えてエテルの奥に射精した。タイミングを合わせたらしいエテルが、一番深く受け入れた瞬間だった。絶頂を迎えたらしいエテルも仰け反りながら受け入れている……正直、あの会話中に中折れしたかったかも知れない。母子相姦プレイが性癖とか思われたくない。

 

「たたら、いっぱいみるくだせてえらいね♪ いいこいいこ♡」

「俺はどう反応するのが正解なんだこれ……」

 

 身を屈めてきたエテルに抱きしめられ、頭を撫でられながら言われた言葉にどう反応するべきか分からなくなる。

 そして今自覚したが、俺は普段のエテルに頭を撫でられるのが好きだったらしい。現在のエテルによる母子プレイの延長だと、欠片も嬉しさが湧かないのが凄い。

 

 どうする事が正解なのか分からず、流石に苛ついて来た。子供っぽさが残っている為に躊躇していたが、むしろメスガキならわからせを必要とするのではないだろうか?

 そう結論付けた俺は、繋がったままのエテルを押し倒し腰を浮かせる様に抱える。翼の付け根が床に着くと痛いだろうからと腰を持ち上げたが、結果的にエテルが逃げ難い体勢に出来た。

 

「まって、たたら! おかあさんがやってあげるから!」

「エテルはお母さんじゃない、俺のお嫁さんだろ!」

 

 抵抗しようとするエテルに対してやや乱暴に腰を突き入れる、結果的にエテルの性感帯を刺激したのか甘く高い声を上げた。

 

「だめ、たたらだめ!」

「ダメって言う割には締め付けが強くなってるぞ、本当はこうされた方が好きなんじゃないのか?」

 

 以前、エテルは俺からなら乱暴にされるのも好きだと言っていた。細かく分析するなら俺の『独占欲』や『支配欲』を感じる事で、自分を求めて貰えてる実感が欲しいのではないだろうか?

 

「わたし、おかあさんで……たたらをまもれるの……まもってもらうだけじゃないの……」

「……それが本音か」

 

 啜り泣く様に両手で顔を覆ったエテルが零した言葉、これが一番奥に有った本音なのだろう。

 俺が与えた物、行ってきた事に対する負い目。雨に濡れる中で手を引いて居場所を与えて、生きる為の手段を与えてと彼女は守られて来たとそう引け目を感じていた。

 最初は対価にと考えていただろうその身体も、暴走を機にエテル自身にとっては対価たり得なくなってしまった。

 庇護される側ではなく、護る存在へ。それがエテルがお母さんになるという発言の真意。

 身体を倒して、エテルに顔を近付ける。そっと両手を退かして、その奥の涙に濡れた顔を見る。子供みたいにくしゃくしゃな顔で、とても母親になろうなんて気丈な物では無かった。そっと唇を合わせた後、目を合わせる。

 

「エテル、俺はずっとエテルに守って貰ってるんだぞ」

「……ほんと?」

「ああ、家に来てくれた時からずっとな」

 

 彼女が側に居てくれたから、俺は俺で居続けられた。彼女の為にと考える事がなければ、単純に新しい技術を生み出し続ける人の形をした『クラフト』スキルそのものになっていたかも知れない。

 

「わたし、たたらのことまもれてたの?」

「うん」

「わたし、おかあさんじゃなくておよめさんになっていいの?」

「当たり前だ、俺からプロポーズしてるんだから自信持っていい」

「でも、たたらにおっぱいあげたいよ」

「それは素だったのか……」

 

 あの授乳プレイはエテル自身の願望って業が深過ぎやしませんかね……。

 

「出来る限りは付き合うから、言ってくれると助かるかな」

 

 妥協した。おっぱい聖人なのだから、授乳くらいは耐えてみせよう……尊厳破壊ってこういう事を言うんだろうか?

 

「あとね」

「うん」

「あかちゃんいっぱいつくろ?」

「うん、分かった」

「たたらがさみしくないように、いっぱいうむからね?」

「それでもエテルの身体が最優先だからな。出産の負担は命掛けらしいし、もしダメでもエテルと居られるなら俺は大丈夫だから」

 

 等と言ったはいいが、夢魔という種族は安産体質な種族なんだとか。進化の過程で身体が弱くても子供を産みやすいように出来ているとの事で、他の種族に比べても出産のリスクは低いと『天使長』から授業を受けた事がある。

 ただ、あくまで低いだけであり無い訳ではない。だから俺は、心配し過ぎるくらいで丁度いいのかも知れない。

 

「あのね、それとね」

「うん、それから?」

 

 思えば、俺は油断していたのだろう。子供っぽさの出た無邪気なエテルの反応で、無害だと判断してしまっていた。

 だからこそ、エテルの本質が夢魔である事を失念していた。

 

「タタラのその欲望、全て私にぶつけなさい」

 

 性魔術、それもかなり強力な隷属魔法。言葉が脳に届いた瞬間から意識が飛んだ。

 何となく覚えているのはエテルをかなり乱暴に抱いたということ。独占欲丸出しで何度も名前を呼び何度も愛を叫んだのがフィルター越しの光景で見えていたと思う。

 エテルも最初こそ余裕そうだったが、そのうち俺の名前と愛を告げつつ腰を振るだけの雌になっていたように思う。風呂から俺の部屋に移動してベッドで明け方まで愛し合ったみたいだった。

 

 恐るべし夢魔の性魔術。多分、合計で30回は射精したと思う……いや流石に50とか行ってないはず。記憶と自信が無いけど多分届いてないと思いたい。

 最終的には繋がったまま抱き合って2人揃って眠りについた。

 夢の中で久し振りにバーラルさんに会った。娘を散々弄んだと殺されるのを覚悟したが、大変だったなと言わんばかりに背中を擦られた。夢の中なのに少し泣いた。

 

 目覚めは早かった、体感時間としては2時間も寝ていないと思う。しかし、身体に倦怠感が残っていない上に何方かと言えば体調は良かった。寝ている間に怒張が収まった愚息は自然とエテルの膣内から抜けていて、二人の諸々の液で汚れている。汗の臭いもひどいのでシャワーを浴びてこようと考えて、エテルだけ残して浴室へ向かう。

 身体を清めた後に軽く着替えを済ませて台所へ、朝食の準備を済ませてしまう。明け方まで激戦を熟している身でなんだが、今日は登校日だったりする。学園が終われば鎧を作る為にタチアが家に来るし、昨日送った際に都市長から虎熊を家に滞在させる手続きが終わったと言われたので迎えに行く必要もある。

 家が賑やかになるなと、ちょっとワクワクしているの自分を自覚する。

 

 一通り準備を終えたので、エテルを起こしに部屋に向かう。

 ベッドの上で掛布に包まったままのエテルに思わず笑いが込み上げるが、そっと身体を揺すって起こすことにする。

 

「おーい、起きろエテル。今日は登校日だぞ」

「んにゅ……もうあさぁ?」

 

 寝起きで頭が動いていないのだろう、口調が子供っぽくなっている。昨夜の事を思い出せばまだ暴走状態なのではないか、なんて警戒してもいいのだろうが生憎と今のエテルは素の状態である事が何となく分かる。

 

「朝飯の準備は出来てるから、シャワー浴びて来い」

「ん〜……わかったぁ」

 

 もぞもぞと動いて布団の中から出てくるエテル、その頭の角は昨夜と違い元の短い状態であり夢魔の力が弱まっているのが分かった。

 ただ、何かエテルの胸が明らかにデカくなってるような……?

 

「んん……わぷ!?」

 

 身体を起こして動こうとした瞬間バランスを崩すエテル、マットレスの上に顔面からダイブをかましたので怪我は無さそうだが初めてこんな姿を見た。エテルは体力こそ無いが運動神経は相当良いのだ、特にバランス感覚と柔軟性は新体操の選手を張れるくらいに良い。

 

「……え、何これおっぱい大きくなってる!?」

 

 自分の身体を見て悲鳴にも似た大声を上げるエテル。当人はまだ気付いて無いが髪も伸びて出会った当初程に長くなっている。

 

「というか此処タタラの部屋!? まさか連れ込んで何か実験した!?」

「俺はどんだけ信用無いんだよ……つか、そんな発明した記憶もする予定も無いぞ」

 

 そういうエロ目的なヤツは原作主人公の領分だ。

 

「でも昨日私の部屋に戻ったし……」

「クラスアップか赤い月かは分からんが影響が出たらしくてな、久し振りに暴走して襲われたぞ」

「嘘ぉ……」

 

 頭を抱えるエテルを見て、あの暴走が何なのか話すべきか考える。今は変に追い詰めそうなので後回しにしようと決めた。

 

「ところでエテル」

「うぅ……なにっんむ!?」

 

 呼び掛けて此方へ顔を向けさせ、唇を重ねる。おはようのキスはこのまま日課にしたいのだが受け入れてくれるだろうか?

 5秒程重ねてから離せば、エテルは顔を真っ赤に染めて俺を見返してくる。

 

「おはよう」

「……おはよ、不意打ちはズルいよタタラ」

「隙だらけなエテルが悪い」

「意地悪……」

 

 俺の胸に額を押し付けてそんな事を言ってくる。髪を撫でるのもそこそこに、登校の準備を促して浴室へ向かわせる。

 シャワーを終えたエテルは伸びた髪をポニーテールにしていた、とても似合っていたので見詰めていたら悪戯っぽく笑われた。その髪型が好きだって言ったの覚えてたのか。

 

「今日は終業後に虎熊の迎えと、タチアの鎧を作る予定が有るが……下衣買いに行かないとダメそうだな」

「完全に入らなくなってた……多分、2カップは増えてる」

「一晩でそんな増えるか普通……」

 

 多分、クラスアップの影響なのだろう。クラス名は分からないが、夢魔の上位の『淫婦』とかになってたら身体が成長するのも分かる……まさかあの赤ちゃんプレイの原因の一つってコレじゃないよな?

 何となく、エテルのサイズはウェストはほぼ据え置きな気がする。此処はエロゲーが元の世界だし、エテルは夢魔だから男の欲望を詰め込んだような姿を取るのだと思う。

 

「トラッちゃんとチーちゃんも連れて下着見に行こうかな……」

「俺、不参加でいい?」

「荷物持ちと脱がしたいデザインのヤツ選んで貰うからダメ」

「インベントリ有るだろってのと後半のなんだよそういうプレイ用とか選べってのか虎熊とタチアが居る前で」

「私達は夫婦になるし理解してくれると思うよ」

 

 理解してくれるのはハコオシ鬼だけだと思う、タチアはそっちの方面に大分奥手だぞ。

 そんなやり取りをした後、二人して学園へ向かう。インベントリにはバカから依頼された品を二つ入れている。店を開けなかった為に取りに来れなかっただろうし、教室で渡すのが早いだろう。

 今迄の服ではエテルが大分凄い格好になるので、防具として試作していたケープを渡した。身体の線を隠す目的だったが、押し上げる山が大き過ぎて逆に目立たせている気がする。ただ、プレゼントとしては普通に喜んで貰えたみたいだ。

 道行く男の目を集めつつ、通学路を進んで学園に到着する。

 教室に挨拶しながら入れば、男子の視線が一斉にエテルへ向いた。気持ちは分かるが許すつもりは無く、エテルの前に出てその姿を隠す。そこいらから舌打ちが聞こえる中、何時もの気配が近付いて来た。

 

「オッス二人共、相変わらず仲良い事でなによりだ!」

「おはよっす、お前は変わらず元気だな」

「はよー、今日もよろしくね」

 

 バカの元気な挨拶に此方も返すと、バカは嬉しそうに笑う。

 その顔を見て早速用事を済ませる事にする。インベントリから2本剣を取り出して、バカに渡す。

 

「昨日は探索で店開けなくて悪かったな、依頼の品だ。確かめてくれ」

「お、やっぱり仕事早いな! じゃ早速」

 

 目の前で整備した鉄の剣を鞘から抜き放ち、その刃に目を走らせる。歪みも欠けも取り、研ぎ直した鋭い刃が鈍く光を反射する。

 

「……スゲェ、買った直後よりも状態が良いんじゃないか?」

「お前の癖に合わせて調整してるから、前よりも馴染むんだと思うぞ」

「それをこなしてくれるクラフター様々だろ」

 

 満足そうに剣を納め、インベントリに入れるバカ。続いて初の制作依頼品、緊張した面持ちでその柄を握る。

 

「……一応、普通の剣だからなソレ」

「また核心技術の産物じゃなく?」

「お前にそんな実験兵器渡しても使い切れんだろ、普通に今俺が持ってる鍛冶技術で叩き上げた剣だよ。お前の剣から癖を読み取って最適化した形にはしたがな」

 

 恐る恐るという風に、俺からの言葉を受けてバカがもう一本の剣を抜く。先の剣に比べれば薄めの刃、一方に寄らせて研いだが故に更に鋭さを見せる刃に息を呑むのが分かった。

 

「……片刃の直剣か」

「お前の癖から薄い刃の方が向いてるってのが見えてな、鋭さを増しつつも頑丈さを保つにはそっちの方が良さそうだと思ったが……どうだ?」

 

 バカは一通りの型を取り、具合を確かめる。振る事は無いが、重心のズレ等を丁寧に確認しているのが分かる。

 

「想像以上の出来だ、今日の実習で試すのが今から楽しみだぜ」

 

 押し殺しているつもりだろうが、言葉から興奮が隠しきれていない。探索学科の首席にそう言われるのは素直に嬉しいものがある。

 

「店売りには並ばない型だから、鋼や魔鉄で欲しくなったら注文してくれ」

「ああ……やっぱりお前に頼んで正解だったぜ、タタラ」

 

 剣を鞘に納めたバカが、俺に一礼をしてくる。こういう動作が一々格好良いのだこの男は、俺も負けないくらいにいい男になりたいもんだ。

 

 教室でそんなやり取りの後は特に大きなことも無く授業が進む。共通授業では罠宝箱について触れられ、エテルは俺の持っている情報が授業の内容よりも多い事に気付いて首を傾げている。前世のゲーム知識が情報源とかとても言えないので、後で誤魔化そう。

 

 専門授業へと移り、俺は自分の工房に入り準備をする。鉄と鋼、そして魔石を数個用意して二人が来るのを待つ。

 そうしたら、騒がしい足音が廊下に響いて来た。床を叩く音から恐らくシャムスだと思うが、何故そんなに急いでいるのだろう?

 けたたましい音を立てて工房の扉が開かれる、予想通りシャムスが肩で息をし汗だくで立っていた。何事かと思いつつ、インベントリからフェイスタオルを取り出して渡そうとする。すると息をようやく落ち着けたシャムスが俺に向かって大声で叫んだ。

 

「先輩! 先輩理論の『鑑定』、出来ました!!」

 

 言われた言葉をゆっくりと咀嚼し、その意味を理解して思わず零した。

 

「え、マジで?」

「はい!」

 

 元気良く肯定を返してくるシャムスに対して、色々な感情が湧いてくる。

 今は何を伝えるか迷うが、取り敢えず先達として浮かんだ言葉を言った。

 

「ようこそ“此方側”へ、歓迎するよシャムス」

 

 何かラスボスみたいな台詞だが、俺の言葉にシャムスは目を大きく開き輝かせていく。やがて不敵な笑みを浮かべて俺に向ける。

 

「はい! コレからもこの世界の事、教えて下さい!!」

「ああ、勿論だ」

 

 都市長にタタラ理論の『鑑定』が出来るクラフターとして連絡を入れないとな、なんて思いつつ。興奮冷めやらぬ様子のシャムスの背後にエストが現れ、その後頭部を叩いた。

 

「お前、報告したくなる気持ちは分かるけどな……教室から此処まで全力疾走すんな!」

 

 何時も静かな印象からは思いも寄らない強い語調でそうシャムスに注意するエスト、もしかしたら先生から注意するように言われていたのかも知れない。

 

「はぁ……こんにちは先輩、今日もよろしくお願いします」

「ああ、今日もよろしく」

 

 何時もと変わらない挨拶。しかし、何だかエストからは焦りに似た空気を感じる。

 シャムスに先を越され、焦っているのかも知れない。

 静かで真面目なエストだが、その内面は負けず嫌いな面が強い。特に親友とも言えるシャムスに対しての対抗心はかなり強く、隠しているつもりなのだろうが傍から見ると丸わかりだ。

 肝心のシャムスには届いていないけどな。

 エスト、不安かも知れないがお前なら俺の『鑑定』をモノに出来るよ。その克己心と情熱さえ有れば、シャムスと追い付き追い越しを繰り返して切磋琢磨出来る。

 だから焦らないでくれ、俺が先輩としてお前も導くから。

 そして二人で俺の所まで上がって来てくれ。百年後、再現性が無いなんて言われている俺の技術が普及する第一歩として。




遅くなり申し訳ないです。




「あはっ」

 常に浮かべている太陽の如き笑顔をした少年は、その明るい雰囲気に削ぐわないそんな声を上げた。

「おい、シャムス……」

 様子のおかしい親友を心配して声を掛けるもう一人の少年エストは、何か得体の知れない恐怖心を抱いていた。

「あはっあはは……あはははははははははっ!!」

 まるで狂ったかの様に笑い続ける親友の姿に思わず後退るエスト、本来の色とは違う金色に輝く瞳はまるで狂気に取り憑かれたかのようだ。

「凄い、凄いよエスト! 先輩は独りでこんな世界を見ていたんだ!! あはっ、コレなら納得するよ……先輩はやっぱり凄いんだっ!!」
「シャムス、何を……」

 エストには何となく理解出来た。以前の授業で先輩から教えられたスキルの深い使い方、それにシャムスは成功したのだと。
 ……親友である自分を差し置いて。

「うふ、あははっ……エストも早くこの景色を見ようよ! 世界はこんなにも面白いんだって分かるからさ!!」

 紅潮した顔に両手を当て、恍惚とした表情でそう宣うシャムス。
 そんな親友の姿に怖気を感じるエスト。

「だが、上手くいくかなんて分からないだろ」

 エストから見てシャムスは天才に分類される人間である、あの天災と称されるタタラ・ジュロンのクラフトを思考ではなく感覚で理解している節がある。タタラ・ジュロンが感覚と思考を両立させているタイプならば、シャムスは直感だけで正解を導けるタイプだ。

「そんな筈はないよ、エストは優秀だもん! だからさ、ちゃんと追い付いてよ?」

 何処か機械的な雰囲気を出すシャムスのその言葉に、エストは逃げ出したくなった。知っている筈の親友が、知らないナニカに染まったようで嫌だった。
 そうしてエストを置いて歩き出したシャムスの背を眺め、エストは拳を握った。
 ふざけるな、そう思った。
 追い付けと、シャムスはそう言った。
 明らかにエストを下に見たその発言で、エストに火が点いた。

「上等だシャムス、お前にだけは絶対負けねぇ!」

 初めて授業を受けた時、タタラ・ジュロンは言った。やり方さえ分かれば技術は使える物だと。
 芸術は再現出来ないかも知れないが、技術には理論が有る。
 その理論さえ理解してしまえば再現は叶うのだと。

「再現性の無い技術、そんなの“今”だけ……そうでしょう先輩?」

 後にタタラ・ジュロンの一番弟子の座をシャムスと争い続けるエストの決意はこうして定まった。
 感覚派のシャムスと理論派のエスト。この二人が共同して読み解いたタタラ理論の解説書は、後年教科書として活用されることとなる。

この小説は……

  • 永遠と愛の絆
  • 寛容と一途な愛
  • 信念と翼
  • 鎚を包む花束
  • 誠実と誇り
  • 都市長いっとけ都市長
  • 年増園
  • 太陽の笑顔
  • 星の微笑み
  • 太陽と星
  • 娘さん、親父殿を俺にください
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