※この作品はR-18です。

既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。   作:アルカミレス

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タチアイベント継続中
『看板娘』イベント開始

書きたいことは有るのに横道に逸れては時間が掛かる……


鍛冶師は仕事を頼まれる

《……タタラさん、流石に私の事が好きだからって押し倒すのは違うと思うんですよ》

「待って誤解」

 

 常の超越者としての雰囲気が消え、未通女(おぼこ)のような反応をする『天使長』……いや確かに全シリーズ通してエロ無しだから未通女の可能性の方が高いけど。

 

《私は見ての通りメイドですけど、メイドがみんなエッチなお仕事をするものではないんですよ?》

「エロゲ世界全否定」

 

 少なくともこの世界の走りになった最初のRPGでは主人公が自分の力を分けた使徒をメイドにしてエロい事してたぞ、後ファンタジー系のタイトルだと最低一人はメイド出してエロシーン入れてた。明らかに描いてるイラストレーターとシナリオライターの性癖がメイドだったぞアレ。メインヒロインの時よりテキスト力入ってた事有ったし。

 

《タタラさんが何時もエテルさんとエッチな事して子供を欲しがってるのは知ってますよ? でも、私もその中に含むのはその……心の準備が出来てないと言いますか》

「すいません、ちょっと話を聞いてくれますか?」

 

 人の声が聞こえてない『天使長』とか初めてだぞ。何時もは世間話をするとニコニコしてずっと聞き入ってるのに。

 

《私はその、お嫁さんになれる立場では無いので……》

「すみません、いい加減帰ってきて下さい」

 

 思考が空の向こうに飛び出てる感が凄い、何でお嫁さんなんて言い出してるんだ『天使長』。貴方、シリーズ通して結婚願望なんて見せたこと無いでしょうが。と言うか、何が目的で今日ここに来たんだ?

 

《本当はウエディングドレスとか色んな人のを見て憧れたりしたことはありますけど、私はメイドなのでわきまえているわけで》

「……あの『天使長』、今日の用件って」

《タタラさんとなら楽しそうだなって思った事は有りますけど寿命差が有りますし、置いていかれたら流石に1000年は引きこもりかねないのでそんなお別れが嫌だから踏み出せないと言いますか》

「……話を聞けっ!」

 

 思わず脳天にチョップをかましてしまった、『天使長』は頭を押さえて驚いた顔を此方に向けている。

 

「あのですね『天使長』、今のは事故です」

《……事故?》

「はい。『天使長』と戯れてたあの鳥型ゴーレムに用件が有って、逃げようとしたから飛び付いただけです」

《……》

 

 俺の言葉を聞いた『天使長』は無言、やがて両手で顔を覆い身体を震わせた。

 

《……コレじゃ私が勘違い女じゃないですか!?》

「状況だけ見たらそうですね」

 

 取り敢えず、フォローを入れにくい。一応何か言っとかないと。

 

「いや、確かに俺も『天使長』の事は好きですよ? 昔からの付き合いだし、本当に苦しい時に寄り添ってくれた思い出も有りますし。でも、精々が幼い時の初恋のお姉さん止まりな訳でして……そう言った感情はもう無いっていうか」

《……え、タタラさんの初恋って私なんですか?》

「そこを拾うか?」

 

 重要じゃ無いだろ、そこ。

 

《え、ヤダ……ごめんなさい?》

「いや、疾うの昔に風化した思い出なので今更フられても。今の俺にはエテルが居ますし、此方の方からごめんなさいって感じです」

《嘘、私がフられる側……》

 

 何やら落ち込んでるが、自分でさっき寿命差が云々言ってたろうが。正直、無邪気な子供なら大きくなったら結婚しよう的な事を過去に言えただろう。しかし、生憎転生者メンタル持ちは身体に精神が引っ張られつつも抵抗してるから変に大人ぶってそんなセリフ吐かないのだ。なんとなく『天使長』相手にその手の発言してたらある意味アウトになってたかも知れないと思ってる。

 

「それで、そろそろ今日来た理由を言って貰っていいですか?」

《うう……そう、ですね》

 

 盛大に落ち込んでいたが、気持ちを切替えたのか両頬を叩いて此方に向き直る。目と目が合い1秒、真剣な表情に息を呑む。これ程真剣になるのはいったい何が理由だろう?

 

《タタラさん、最近神々の神像を作成していますね?》

「え、はい」

 

 神像、と言うとあの不敬なヤツだろう。『天使長』が態々降りてきてアレについて話を聞くというと、結構な大事なのだろうか?

 

《アレが神界の方でちょっとした問題になってます》

「うわ、マジか」

 

 不敬過ぎて取り上げられたか、いや流石に青と赤の月女神姉妹のは直々に怒られても仕方ない案件ではある。

 

《現状、作って貰ったのが軍神様と月女神様の姉妹分だけなのでズルいと他の神々から声が上がってます》

「そんな……ん?」

 

 今なんか変な事を言わなかったか?

 

「え、作れと?」

《はい、そうして欲しいと神々から言伝を預かりました》

「えぇ……」

 

 流石にドン引きである。

 

《特に癒しの乙女様が大変ですよ、何時も祈りに来てくれるのに作ってくれないとか》

「神様のそんな台詞聞きたくなかったよ」

 

 癒しの乙女様とか世話になってるから余計にそういうの嫌なんだけど、イメージをぶち壊すような物を作るとか。

 

《試しに今、乙女様の分を作ってみては?》

「いや、流石に怒られそうと言うか……」

《大丈夫ですよ、私が届けに行きますし》

「フットワーク軽いな……」

 

 溜息を一つ吐き、インベントリから一つミスリルのインゴットを取り出してイメージを投影する。何時もお世話になっている感謝の念も込めて、癒しの乙女様の神像を作成する。出来上がった気配で目を開ければ神像は出来ていた。

 テーブルクロスを掛けられその上にお茶会の準備が整って居る小さなテーブルと、椅子に座り此方へ微笑んで手招きしている優しそうな女性の神像……相変わらず不敬極まりない造形をしてるなコレ。

 

「あの、一応乙女様の分ですけど……」

《わぁ、大変可愛らしいですね! コレなら欲しがられても仕方ないですよ!!》

「えぇ……」

 

 戸惑いしかねぇよ、軍神様みたいな別側面が異例な気がしてきた。

 

《後は機械神様も欲しがっていましたので時間が有れば作って下さいね!》

「いずれ俺が知ってる全ての神様分を作らされそう……」

 

 拘りが薄い闇の女神様や『天使族』の創造主である光の女神様は関係が薄いからアレだが、酒神様と商売神様は作らされる未来が見える気がした。

 

《それと》

「はい、なんでしょう」

《私も欲しくなっちゃったので、私達姉妹のも作って下さい!》

「はい……はぁ!?」

 

 何を言い出したこの人、気でも狂ったのか?

 

「この不敬な神像を『天使長』の姉妹分!? 流石に神様達から神罰受けませんか!?」

《あ、そうじゃなくて! 私達の像を作って欲しいと言うか》

 

 つまり『看板天使』達の像を作れと……え、正気?

 

「前に姉妹が居るって話は聞いてましたけど……俺、直接顔を合わせた事が無いんですが?」

《あ、そうでした。タタラさん、馴染みすぎてて忘れてましたけど私達との関係って私だけで完結してるんですよね》

 

 過去作のイベントでは『看板娘』が増える度に『天使長』の登場は後ろに回されるようになっていた、その分性能が盛られたが『深く深い闇の先で』に於いては逆に一番最初に登場する。その因果に添って行くのなら、イベントで最初に出会うのは『天使長』で合っている筈だ。尤も、彼女の問題を初手で解決してしまった俺はイベントへの参加権を失っている筈だ。それが何故、今になって新しくこんな事象が起こるのか?

 

《なら今度、姉妹の紹介をする為に連れて来ますね!》

「勘弁して下さい……」

 

 明らかに神々よりヤバい存在を気軽に地上へ降ろそうとすんなし、都市長並に胃が破壊されそうだよ。

 取り敢えず、今日は『天使長』の像を渡しておこう。

 インベントリからミスリルインゴットを一つ取り出して、『天使長』のイメージを投影する。今迄の思い出が溢れてきて、それを全て込めていく。やがて出来上がる像は、何処か見覚えのある『天使長』のそれだった。

 此方へ向けて両手を広げ、満面の笑みを向ける立ち姿。かつて『深く深い闇の先で』のコンプリートスチルで見せた、別れではなく感謝を伝えてきたあの笑みだ。違う点は、かつてのスチルでは天使の翼を生やしていたのに対して手元のそれは刃金の翼を纏っている事か。しかし、こうして見ると本当に『天使長』の笑顔は能天気というか何も考えて無さそうに見える。

 

《あ、出来ました?》

 

 俺の様子に気付いたのか『天使長』が声を掛けてくる、俺はそのまま手元の像を『天使長』に渡す。

 

《コレが、タタラさんから見た私……》

 

 自身を象った像を見て『天使長』はそう呟く、そしてふと気になったのか像をひっくり返してスカートの中を確認して顔を真っ赤にした。

 

《た、タタラさん!? なんで下着まで作り込んでるんですか!?》

「すみません、不可抗力です!」

 

 イメージの投影をしている最中、細かい所まで意識をしていない。半ばスキルによる自動化している状態なので、そんな細かい所まで気にしていられないのが本当のところだ。

 

《それに、どうしてタタラさんが私のお気に入りの事知ってるんですか……》

「いや、マジで心当たり無いんですけど」

 

 むしろスカートの中は埋まってる物だと思ってたし。

 それにしても、過去作含めて『天使長』を含む『看板娘』達は温泉に入るスチルは有ったが、それ以外は下着すら見せた事が無い面子だ。その下着のイメージって何時根付いたのか……スキルによる自動化が原因なら世界が認識してる『天使長』の下着がそれって事な気がする。

 

《うう、恥ずかしいけど笑顔とか服の皺も含めた造形が素晴らしいのでコレを頂きます》

「あ、はい」

 

 結局持っていくのか……よく分からんな。『天使長』はそのまま何か言うでも無く帰って行った、多分恥ずかしかったのだと思うがそれはそうと大切そうに抱き締めていく必要は無いと思うんだがな。

 

 

「タタラが私以外をお母さん扱いするなんて嫌なんだけど」

「むしろエテルと出会う前から母親みたいに助けてくれた先輩だぞシスター・カレハは」

 

 エテルが背中に乗りマッサージをしながら言ってきた言葉に軽く返す。場所は夫婦風呂の中で、マットを敷いた上でマッサージを受けている。

 『天使長』が帰った後に風呂へ入ろうとした時、後ろからエテルに押し入られたのだ。流石に連日はキツイと思ったが、エテルの身体が成長する為の栄養が不足していることを思い出して一緒に入った次第である。

 エテル曰く、俺の生命力が弱っているらしく初めはマッサージを行うとの事だった。生命力の低下って、エテルから毎日の如く搾られてるのが原因だったりしないか?

 身体を揉みほぐされ、血行が良くなり身体が余計な力を抜いていく。あまりの心地よさに眠気が襲ってきたが、同時に愚息が元気になってきた。身体が脱力したせいでまともに身体を動かせない、コレなら風呂の後にやってもらったら良かったな。

 

「タタラ、眠いの?」

「うん……」

 

 意識が遠のく中、エテルの声が届く。返事はしたがほとんど生返事で、まともな音になっているかも怪しい声だ。

 

「ダメだよお風呂で寝ちゃ、風邪引くかもしれないし。それに……」

 

 うつ伏せから仰向けに体勢を変えられる、マットに押し付けられていた肉棒がビンっと天に向けてそり立った。

 

「こんなに元気にしてるのに無抵抗だと犯されちゃうよ?」

 

 陰茎に手を添えて、俺に跨ったエテルが膣口に肉棒の先端を当ててそんな事を言ってくる。前に寝ているエテルを犯すように致した事に対する意趣返しだろうか。

 

「……エテルになら、それでもいいかな」

「もう、本当にタタラはダメダメだなぁ」

 

 優しい声音でそう言って、エテルは腰を下ろした。肉棒を包む熱と柔らかな刺激で頭の中が快楽で一色に染まる。

 

「ふふ、タタラのおちんちん食べちゃったよ? ほら、どうして欲しいの?」

 

 エテルは誂うようにそう言ってくる。どうして欲しいか、そんな事を考えて不意に口から言葉がこぼれる。

 

「……エテルに子供を産んで欲しい」

「それはまだ無理かなぁ……産んであげたいけどね」

 

 エテルは身を倒して、俺の上に寝そべる。繋がったままだが、特に気にしない。

 胸元にあるエテルの頭を出来る限り優しく撫でる、何処か猫が撫でる手を受け入れるように目を細めて俺の手を受け入れていた。

 

「タタラは何で子供が欲しいの?」

「愛の結晶って呼ばれてるから、ってのが一つ。もう一つが単純にエテルの子供は可愛いだろうなって」

「むぅ、私の子供なら他の人との間に出来てもいいの?」

「……お前が、本当にそれで幸せになれるなら」

「無理しないでよ、前に同じ質問してとても苦しんでる姿は見てるんだから」

 

 確かに苦しいだろう。それでも、エテルが幸せなら……俺はそうやって我慢するだろう。不満を顕にして唇を尖らせ頬を膨らませていたエテルが言葉を紡ぐ。

 

「何でタタラはそうやって自分を蔑ろにしちゃうかなぁ……前に治せたと思ったらすぐ元に戻っちゃう、自己肯定感が低過ぎ。私は何回もタタラじゃなきゃダメって言ってるのに、タタラは自分なんかじゃって思っちゃう。本当に私がタタラの赤ちゃん産まないと治らないのかな?」

 

 自己肯定感の低さ、その直接的な原因は恐らく転生した事と両親の喪失だろう。自身の生命に価値を認められない、愛する人に認められていても自分自身が価値を感じられない……カウンセリングが必要な物かも知れない。

 

「赤ちゃんにして寂しさを埋めれば治るかもって思ったけど、ずっと嫌がってるし。そんなに嫌かな赤ちゃんごっこ」

「ごめん、マジでアレは無理」

「眠気に襲われてても即答する程なんだね……」

 

 エテルが俺の答えにダメージを受けているようだが、ちょっとアレばっかりはキツ過ぎる。何故かと聞かれたら、尊厳が踏み躙られてる気がするからと答える。いや、マジでアレだけは無理。

 

「一度エテルが赤ちゃんになれば苦しさを理解出来るか……?」

「え、タタラがパパ役やってくれるの!?」

「ダメだ、ノリノリ過ぎる」

 

 何で乗り気なのだろうか、授乳とか出来ないから哺乳瓶でミルク飲ませたりするだけだぞ?

 エテルの性癖が理解出来ない、どうしよう結婚後がちょっと不安になってきた。

 

「夢魔の力が強くなったら色んな事が出来るんだよ? 私が子供になったり、タタラを子供に出来たり、分身出来たり、性別入れ替えたり」

「サラッと恐ろしい事を言わないでくれ」

 

 もしかしたら、夢魔の力を手放させた方が安心安全だったかも知れない。いや、エテルのお母さんから受け継いだ力だしそんな事をさせたくも無いが。

 

「タタラがママになって子供になった私のお世話するプレイっていうのも憧れるよね!」

「そんな夢捨ててしまえ」

 

 性癖の開示で本気出して来ないでくれ、この家の中で誰が一番ぶっ飛んだ性癖持ってるかの勝負したらぶっちぎりでエテルだと思う。逆にコレを越えられたら俺じゃどうしようもない。

 

「むぅ、タタラの分からず屋」

「抗議として膣内を絞るのやめてくれ、刺激で出そうになる」

「タタラは私に膣内射精(なかだし)してればいいの、私の身体は大人に向かうし奇跡的に子供が出来ても万々歳でしょ?」

「確かにそうだけど……」

 

 状況がかなり変な気がするのだが、エテルは気付いているのだろうか?

 抗議を続けるつもりのエテルは、身体を密着させたまま腰を動かし始める。普通に動くよりもストロークが短く、小刻みに動くので刺激は弱い。しかし、エテルの膣内はそんな事は瑣末事だと言わんばかりの快楽を与えてくる。

 

「タタラ、口では強がってるのに私にすぐ負けちゃうんだよね」

 

 笑いを含めた口調でそんな事を言ってくるエテルだが、俺はその事に対して何かを言える余裕は無い。暴力的な迄の快楽が脳を満たし、ひたすらに理性を蹂躙する。身体がまともに動けず、一方的に快楽を与えられ抵抗もままならない。尤も、抵抗出来たとして本能に任せて腰を振りエテルの身体を求めるくらいしか出来ないだろうが。

 エテルは身を起こし、騎乗位に体位を変えてから腰をより一層巧みに動かし始めた。腰の動きに合わせて重々しく、それでいて柔らかく暴れる乳房が視覚的にも興奮を助長する。身体は変わらず上手く動かせない、情けなくもされるがままだ。

 

「ほら、沢山射精()してよタタラ。私をタタラの物だって刻んで、私が他の誰のものでもないって証を頂戴」

 

 そんな何処か懇願が混ざったエテルの声に、身体の呪縛が解ける。自由になった身体を動かし、騎乗位から正常位に体位を変える。俺が、エテルに刻まなければならない。そんな使命感にも似た何かに突き動かされ、腰を叩きつけるように振る。

 直ぐに限界は来て、エテルを強く抱きしめながら体重を少し掛ける。最奥に先端を押し付けるようにして、全て解き放つように射精した。エテルも絶頂を迎えてくれたらしく、小さく身体を痙攣させている。膣内は俺の精液を全て搾り出そうと蠢いている。

 

「タタラ、コレで少しは安心した?」

 

 そんな声がエテルから届く。

 

「……ああ、安心した」

 

 性魔術が影響してか、エテルの感情が俺に流れ込んでくる。深い愛情や慈しみ、少しの不安に束縛の様な独占欲。綺麗な物、汚い物も含めた様々な感情だ。俺の不安や独占欲も届いているだろうか、誰にも渡したく無いなんて汚い本心は隠しておきたかった矮小な本音だ。エテルの幸せを願っておきながら、俺が幸せにしたいなんて浅ましい独占欲。何度もエテルの幸せならばと無視をしようとした情けない本心。

 体重をかけ続けたらエテルを潰してしまいそうで、身体を離そうとしたがしっかり腰の後ろに脚を回されてホールドされていた。

 

「ダメ、タタラはこのまま私を抱き締めて愛情を示す刑に処します」

「……仰せのままに」

 

 身を起こし、対面座位の体勢になり改めてエテルを抱き締める。エテルの翼も俺を包み、互いに世界から隔離されるような体勢で抱き合い続けた。

 

 

 結局、自室でもエテルと愛を確かめ合った翌日。二人で夫婦風呂で身体を洗い合った後に台所に並んで立つ。

 俺はマヨネーズをベースにしたタルタルソースを作り、エテルにはレシピを伝えて鶏南蛮を作って貰っている。二人で風呂に入る前砂糖と水を混ぜたソミュール液に浸けて置いた鶏肉を取り出して水を切り、小麦粉と卵と水を混ぜて作ったバッター液に潜らせた後にかたくり粉を付けて揚げる。最初は160℃程の低温で2分半揚げて取り出し網を敷いたバットの上で休ませ、2分ほどしてから裏返してもう2分ほど揚げる。再度バットに揚げて5分ほど休ませて、今度は180℃の高温に上げた油で二度揚げにする。時間は短時間、1分半程で済ませる。エテルは目で揚げ具合を見極めているらしく、それぞれで時間が微妙に違うが出来上がりはどれも美味そうだった。

 俺はマヨネーズの作成からだ。卵黄と塩と酢を混ぜ合わせる、粘り気が出て来た所でオリーブオイルを少しずつ注ぎながら混ぜ続け乳化させる。全体がクリーム状になったら、固ゆで卵とみじん切りの玉ねぎに刻んだバジルを入れ砂糖を少量足す。前世なら辣韮や沢庵を刻んで玉ねぎの代わりに入れると手軽に旨く作れたが、流石に漬物は無いので玉ねぎを使用した。ここら辺、四葩(よひら)に話して実家から浸け壺とか貰えないか交渉してみようか?

 続いて甘酢あんの作成だ。鍋に砂糖、酢、醤油と水を入れて火にかけて砂糖が溶け切るまで混ぜる。溶け切ったなら水溶きかたくり粉を加えてとろみが出るまで混ぜる。

 レタスを千切(ちぎ)って皿に盛り、エテルが揚げた鶏南蛮を置いてその上に甘酢あんを掛けて脇にタルタルソースを添える。両方を直接掛けるのは自分のだけにしておこうとしたら、エテルも同じのが食べたいとの事で掛ける。試食に少量取り味見した結果、エテルの目が輝いたのを見てほっこりする。ただし、カロリーは可愛くないのがタルタルソースなので摂りすぎには注意だ。

 起きてきた四葩と駄狐、駄狐に引き摺られた雛菊さんに挨拶をしつつ食卓へ料理を並べていく。朝の味噌汁は白味噌に蕪だ、個人的には里芋も入れたかった。蕪の代わりに大根も良いが、生憎『ワールウィンド』では大根が無いので根野菜は専ら蕪である。

 起きてこないダリアを起こしに行くか迷うが、何となくエテルと一緒に居たくて並んでソファに座り四葩達の鍛錬を見守る。

 腕に絡んでくるエテルの尻尾の感触、負けじとエテルの手を取り指を絡める。そっとエテルの頭が肩に乗ってきて、穏やかな空気が流れる。もし、二人きりならば俺はこの場でエテルを押し倒していたかも知れない。何故か性欲が戻って来ている。

 鍛錬が終わったのか、四葩が竹刀をしまって此方を見た瞬間に箱推し鬼化した。直前までの凛々しさは何処に消えたのやら。

 駄狐は少し悲しそうな、切なそうの表情だ。昨日四葩が言っていた言葉、彼奴が俺を好きだという言葉が脳裏に過る。直接言われる迄は確定では無い。しかし、仮に言われた事が真実なら俺はどうすれば良いのだろう?

 駄狐……一華の事は嫌いでは無い、人格としては好ましく思っている。しかし、だからといって受け入れて良い訳では無い。そんな無節操な事は出来ない。俺の一番はエテルだ、コレは揺らがない。それを彼奴が受け入れるかなんて分からないのだ。

 そんな事を考えて居たら、手を強く握られた。エテルに目を向ければ、少し難しそうな顔で俺を見ている。心を読まれたかな、四葩の時みたいに発破を掛けて来そうだ。

 

「コレは! 衣のサクリとした食感の後に柔らかくも歯応えの有る鶏肉! 淡白にもなり得るその味を甘酸っぱい餡を掛ける事で食材の味を引き上げる物に変え、溢れる鶏油を余すこと無く味合わせる見事な調和! 我が国には無いこの玉子と玉ねぎを使った甘酢も見事、混ぜられた薬味も脇役として埋もれ過ぎず主張をする事で後味の好さを生み出している!!」

「その玉子と玉ねぎの甘酢はタルタルソースって名前でな、揚げ物なら大抵の物には合う万能なソースだ」

「なんと、それほどなのですか! くぅ、魚のふらいに掛けた時の味を知りたい物です!!」

「……肥やす天狗の豚菊まっしぐらでござるよ、コレ」

「何を言うか、これ程迄に旨いのなら太りにくいに決まってる!」

「どういう理論だそれ……コレ、栄養価めっちゃ高いから喰いすぎると駄狐の言う通り肥るぞ」

「ま、なるでござるな……」

「人生の悲哀を感じますね」

「それ、拙者の役割……」

 

 駄狐が語録取られて悲しんでるな……普通に喋ってる方が多くなってるし、あの語録も人を離れさせる為の手段みたいだな。

 好き嫌いなくガツガツいく雛菊さんの横で、鶏南蛮と一緒にレタスを口に含んでいる駄狐。野菜が苦手なのは変わっていないが、残さず食べる為の手段を考えてちゃんと完食出来るようになってきた。また後で頭を撫でてやれば褒美になるかな?

 なんなら、忍具何かを作って渡してやるのも良いかも知れない。後は装飾品とか。

 

「あ、忘れてた」

「む、どうしたのじゃ?」

 

 味噌汁を啜っていた四葩が俺の言葉を拾って、質問をしてきた。食事中で行儀が悪いが、今のうちに出しておこう。

 

「前に作るって言ってた防音と念話を刻んだ装飾品だよ、作ったは良いけど探索に参加してなかったから渡しそびれてた」

 

 そう言って四葩にミスリル製の簪を差し出す。四葩は驚いたのか、目を少し見開いた後で椀を置いて恭しく簪を受け取る。

 そのままでは飾り気がなさ過ぎたので、出会った日に採った鉱石の中から出て来た琥珀をあしらっている。チームのシンボルマークは琥珀に刻んで溶かしたミスリルを流し込んだ。四葩の目に合わせたトパーズがよかったのだが、手に入らなかったので俺の元の瞳の色を贈らせて貰った。

 

「……綺麗」

「気に入ってくれたか?」

「うん、大切にするのじゃ」

 

 そう言って纏めていた髪を一旦解き、改めて簪を挿せるように結い直す。綺麗な白髪の中でも神秘的な輝きを放つミスリルの輝きと、優しく光を反射する琥珀が四葩の髪を彩った。

 

「うん、似合ってるぞ」

「そうか、そうなら嬉しいのじゃ」

 

 はにかむように表情を綻ばせる四葩に、作って良かったとそう思った。

 

「エテルにはコレ、ピアスって要望だったよな?」

「うん、ありがとう」

 

 エテルにもアクセサリーにした魔導具を渡す。此方もシンプルにパープルスピネルだけをあしらった物だ。術式を刻んだ本体と、スピネルの嵌まる台座にシンボルマークを彫り込んで石を透かして見える形にしたくらいだ。エテルは早速それまで着けていた物を外し、新たな物に付け直した。瞳と髪の色に合わせた石は、ミスリルの台座により力強く光を反射している。

 

「後はダリアが起きてきたら髪飾りと、タチアのブレスレットだな」

「そういえば、ダリアの奴は遅いの」

 

 俺が取り出した二人宛のアクセサリーを見て、四葩がダリアの不在にようやく言及した。流石に遅いが何か有ったのだろうか?

 そんな事を考えていたタイミングで呼鈴が鳴る、恐らくタチアだと思うので迎えに行く。

 

「おはようタチア……と、シスター・カレハ?」

「おはよう、タタラ殿。先程そこで出会ってな、タタラ殿の家の玄関を探していたので連れて来た」

「おはようございます、タタラさん。本日は宜しくお願いしますね?」

 

 そう言って一礼してくるシスター・カレハに慌てて頭を下げる、クライアントなので対応は丁寧せねば。

 2人をリビングへ案内し、お茶を出す。来訪したシスター・カレハに対して疑問を持つ四葩や駄狐達に、昨日製作依頼を受けた相手と説明しつつ自己紹介を交わして貰う。

 

「貴女がタタラのお母さん代わりをしていたシスターさん、なんですね」

「あら、貴女がタタラさんがご結婚する相手ですのね……お綺麗なお人、タタラさん面食いだったのね」

「いや、確かにエテルに一目惚れしたのは事実ですけどそれ言いますか?」

 

 何やらエテルとシスター・カレハが妙に通じ合う雰囲気を出していると言うか、根本的に相性が良さそうだなこの二人。

 こんな早く来るとは思ってなかった為、まだ準備が出来ていない。シスター・カレハも浮足立っていたらしく、早く来すぎたと謝罪してきた。

 

「なんというか、タタラ殿に食事を出して貰って有り難いがシスターを前に一人食事を摂るのは気が引ける……」

「あら、お気になさらず。我が教会には私の3倍以上の量を平らげる者もいますので」

「……シスター・ランカはそんな食べるんですか」

 

 いや、確かにゲームのテキストでは主人公のスミスをして大食い判定を出していたが……アレ男から見ても大食いって意味なのかよ。この前5万食費で渡したけど足りてるかな、不安になってきた。

 

「それと、この前頂いたタタラさんの食器は大変助かっていますよ。あの子がドジをしても割れない食器なんて有りませんでしたから」

「まぁ、金属製の食器ですから割れはしないと思います。凹む可能性は有りますが」

 

 流石にミスリル製の食器だ、簡単に変形する代物でもないので長く使える筈。

 そんな事を考えていた俺の言葉に、シスター・カレハは頬に手を当てて溜息を一つ。待って、その反応ってもしかして?

 

「あの子、早速食器を曲げてしまって……まだ全然使えますけどあんな硬い物をどうやれば変形させられるのかしら?」

「……」

 

 言葉が出ないとはこの事か、鍛造ミスリルでは無いが純粋に硬いミスリルを変形させられるドジっていったいなんなんだ?

 新しく鍛造ミスリルの食器を渡そうか……いや、それすら曲げられたら俺のなけなしのプライドがへし折れる。

 

「あ、そうだタチア。コレ、前に言ってたアクセサリー」

「む……おお! パーティのシンボルが彫られているということは、遮音と念話のヤツか!」

 

 嬉しそうにそう言って、ブレスレットを腕に嵌めるタチア。

 シンプルな見た目で、一点だけシンボルマークとタンザナイトをあしらっている。タチアの瞳に比べるとやや暗い青だが、夜空を思わせる落ち着きの有る色はコレから成長し大人になっていくタチアに似合うだろうと思って選んだ。

 そんな時にふと袖を引かれる感覚が有って顔を向けると、駄狐が何処か寂しそうに服を掴んで来ていた。何となく、仲間外れは嫌なのだろうと想い至ってその頭をワシャワシャと撫でる。

 今日の夜には作って渡してやろう、ここの家族みたいなものだしな。

 

 そんなやり取りの後、タチア達はダンジョンへと向かって行った。残った俺達は庭先に出て、早速シスター・カレハの技量の確認に入る。

 

「シスター・カレハ、今の貴方の状態を見たいので試しに以前の武器を振ってみて貰えますか?」

「あら、確かにそれは重要ですね。では、預かってよろしいかしら?」

 

 そんな確認を受けて、俺はインベントリから盾と鉄塊を取り出してシスター・カレハへ渡す。シスター・カレハは何でもないように受け取り、構える。左手に持った盾を前面に出し半身になるスタンダードな構えに見えたが、鉄塊は肩に担ぐような変則的な構えだ。

 

「ハァッ!」

 

 裂帛の気合と共に振るわれた鉄塊は、重さを感じさせない速さで振るわれそのまま連撃に移行する。約30秒程続いた連続攻撃を終え、シスター・カレハは玉の汗を流しながら大きく肩を動かしながら呼吸を整えている。

 

「流石に、以前に比べてスタミナが落ちましたね……」

「いや、普通に今の攻撃で『オリハルコンゴーレム』は撃破出来てるくらいにヤバいでしょ」

 

 防御力と体力が随一であるあのボスすらも今ので倒せている確信が有る、今の攻撃は全て勢いに任せて振っていなかった。的確に相手の防御を抜き急所に一撃を叩き込む攻撃だった。

 

「いえ、コレでも若い頃はやんちゃしていましたからね。コレくらいは出来ないと」

「若い頃は何やってたんですか母さん……」

「タタラさん」

「え、あっ」

 

 思わず出た母さん呼びにシスター・カレハは苦笑いしている、思わずエテルを見れば驚いた表情だ。

 しかし、改めて思うのはシスター・カレハの武器についてだ。スタミナは衰えているが技が衰えているように見えない、もう少し軽くすれば良いと察せられる。

 

「シスター・カレハ、武器なんですけど」

「はい、軽量化は考えていると思いますが……細すぎると壊してしまうのでそこは考えて頂ければと」

 

 まさか、この武器すら以前一度壊してるなんて事は無いと思いたい。少なくとも最高硬度のアダマンタイトで出来た塊を壊したなんて言われたら、俺には手に負えないレベルの腕力だ。

 

「考えている武器はソードメイスっていう混合武器です、概要としては……」

 

 シスター・カレハに語りながらワードプロセッサを使用し、空中に設計図を展開する。シスター・カレハは驚いた様子だが、そこに描いてある図式を見て真剣な表情に変わる。

 次々と説明をし、シスター・カレハからも質問を受けては答えを繰り返し生成する武器をソードメイスとして定めた。重さは今の物は無理だとしたが、恐らくは2/3程に収まると言ったら十分だと答えられた。

 続いては盾に付いてだが、此方は難航した。と言うのも、盾の概念が今は失われてしまった技術だったり別の物の組み合わせだったりでシスター・カレハの理解が追い付かなかったのだ。何とか説明を理解して貰い、俺の想定した魔導具で良いとなったが要望として腕に持つ本体の盾は小盾にしてその表面に癒しの乙女様の肖像を描いて欲しいと言われた。

 模写なら出来るが、俺のイメージだと不敬になるから嫌なんだけどな。家の何処かに宗教画の一覧有ったかな?




《システムアナウンス!『天使長』がこの世界の事をお教えします。本日のお便りは此方! ででん♪》

『看板娘』

《はい、私を含めた四人のメイド天使の事を指して看板娘と称させて頂いています。長女にして最古のメイド、準レギュラーとして『深く深い闇の先で』までお世話をさせて頂きました私、名は語る事を許されてませんので『天使長』とお呼び下さい。そんな私を筆頭に掃除を得意とする次女の『清掃長』。料理を得意とする三女の『料理長』。潜在能力だけは高い『見習いメイド』の四女。以上の四人を纏めてユーザーの皆様からは『看板娘』や『看板天使』と呼ばれています。天使として扱われていますが、この世界に存在する『天使族』とは明確に別物となります。あちらは光の女神により創造された種であり、私達は世界の発生と共に生れ落ちた神々よりも古き存在になります。見た目上の特徴から天使と称されてはいますが、本質としては女神に近い存在になりますね。当然、この世界における力や権能は最高位にあたるので他の神々からの干渉等はほぼ不可能です。ゲームの本編を一度でもクリアすれば私達が関わるおまけイベントを開始でき、レアなアイテムや味方ユニットとして私達が参戦して皆様をお助けしつつ薄暗い本編とは違う明るいイベントが遊べました。傾向として異常なのは『深く深い闇の先で』であり、私の翼が奪われる所からスタートしました。基本的に私達は下界の人物と深く関わる事を推奨されてはいないのですが、私達も寂しいので沢山の人達と出会う為に下界に降ります。その際に世界への影響力の高い特異点、皆さんでいう所の主人公さん達と関わり様々な事件を解決して来ました。私達が人と添い遂げる事は原則許されておらず、仮に添い遂げたいのならば全ての力を返上して人に身を堕とす必要が有ります……尤も、その場合でも人としての生を終えたら再び天使に戻る泡沫の夢のような物になりますが》

もし、番外短編が有るのなら※一応全部書くつもり

  • タタラとエテルの立場逆転
  • 現パロ(エテルヒロイン)
  • 現パロ(四葩幼馴染)
  • 武器が擬人化してタタラへ物申す
  • 年増組と同い年
  • 聖人カレハ
  • 原作エテルとタタラ
  • ガチ妹ダリア・ジュロン
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