既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。 作:アルカミレス
『看板娘』イベント継続中。
人生の目標が出来たところだが、それを成す為には余りにも俺は足りてない。俺自身の強さ、つまるところ戦力が足りてない。
ゲーム時代、最深部のボスは辿り着くまでが辛いボスと扱われていた。実際、多くのプレイヤーは90〜99階層の途中で投げたという報告が上がっていた。そこ迄いくとレベルを90迄上げた程度で何とかなる域では無く、有用なスキルを最大まで上げて装備も最高クラスにしてようやくトントンと言った具合の難易度だった。周回を重ねて『看板娘』総出で行けば普通に何とかなるのだが、初っ端から挑む奴はアホと扱われたレベルだ。
かくいう俺も最初のプレイでは50階層を越えるのが限界で、最深部到達は7周した辺りだったと思う。難易度が途端にバグるのはこの会社のゲームでよくある事だが、チートに頼りたくなる場面が何度も有った。その時の経験から、最深部に到達しボスを倒す方法は思い付きはする。しかし、その為には最低でもパーティメンバーのレベルが90に届いた上でスキルを揃えなければならない。武器に関しては俺が研究する限り何とかなるレベルではある。と言うか、『天使長』が手伝ってくれたなら単騎で何とかしてくれるレベルだろう。
しかし、それが叶わない。先ず、『料理長』が言うには『天使長』は討滅では無く封印したと言っていた。コレは何かしらの因果により『天使長』では最奥のボスを倒せないと言う事なのだろう。『料理長』が俺に『最奥を目指し討滅しろ』と言う理由……まさか、超越存在ではあのボスを倒せないのだろうか?
ゲーム中のテキストや、アートブックにはその辺り詳しい情報が出ていなかった。それに、最深部のボスは『天使長』と浅からぬ因縁が有るらしい。『看板娘』イベントで『天使長』から翼を奪った奴とも関係が有ったし、もしかしたら翼を奪われた時に今の『天使長』ではどうにも出来ない因果が生まれてしまったのかも知れない。
原作主人公のスミスに任せる選択肢は無い。ゲームで操作している時は兎も角、基本的に彼奴の頭に詰まってるのはエロに関してだけだ。近所の人妻や未亡人のスリーサイズを測定する機械を作る事に苦心していたオープニングを思い出せば、頼れる要素が欠片も無い事に思い至る。
結局、自分の未来は自分で掴むしか無い。そういう帰結になる。
「さて、先ずはどうやって『玄武』を発展させるか……」
ダリアの魔導鎧は『料理長』のノウハウをそのまま活かせるが、先ずは『玄武』の発展……と言うか完成を目指すべきだろう。『玄武』は一部のパーツを代用品で賄っているので、その中でも内蔵部品を本来の魔法金属に切り替える。それだけで大分変わるはずだ。
専用のハンガーに『玄武』を固定して、装甲を一度全て外す。
内部フレームの人造オリハルコンを一度外す、関節部だけに使っていた分を全て鍛造オリハルコンに切り替えて組み立てる。首、両肩、両肘、両手首、腰、両膝、両足首の人造オリハルコンを鍛造オリハルコンに切り替えた事で、魔力の伝達率が凄まじい向上っぷりを見せる。次いで『料理長』の鎧に施したように両腕と両脚に魔導銃の構造と同じ物を施す、『料理長』の鎧は威力を上昇させる為に右腕のみに絞ったが俺は四肢で同じ事が出来るようにする。
一度身に纏って軽く動かしてみるが、魔力の伝達率が向上した事で強化術式の効果も上がっている。それでいて、俺の身体の動きと発揮したい力に対して一切のブレが無い。本来のオリハルコンはこれ程にいい反応をしてくれる物なのかと感心する。
『玄武』を脱いで装甲を付け直し、改めて『玄武』に『鑑定』を掛けてその性能を確認する。
魔導鎧『玄武・改』
体力 +100
魔力 0
技力 0
物理攻撃+50
物理防御+40
魔法攻撃+25
魔法防御+70
速力 +40
移動力 +3
特殊能力『砲撃』『魔導砲撃・改』『自己再生』
魔導砲撃・改:消費魔力2〜100 威力:消費魔力/2+魔法攻撃力
「……いや、コレ大丈夫か?」
流石に『料理長』の物には勝てないが、シスター・カレハから貰った『リインフォース』より遥かに性能が高い物が出来上がっている。都市長に報告したらまた怒られそうだな、義務だから送るけど。
空中で俺から逃げる姿勢を見せる鳥型ゴーレムに、『玄武』を纏って追い縋る。強化した身体能力でも15分粘られたが、何とか捕獲して脚に設計図と報告書を括り付けて送り出す。最早哀愁が漂うと言うか煤けてる背中を見送るが、まだ『料理長』の『我駕牙』の設計図を送ってないだけマシだと思ってくれ。アレはガチで再現性を投げ捨ててる上に半分でも再現できたら多分、戦争が起こっても仕方ない性能だ。設計図も厳重に封印しているし、以前都市長に言われた通り世に出すつもりは無い。
ダリアのインナーマッスルアーマーについての概要書と設計図を書いた後、風呂に向かう。脱衣場に入った瞬間、扉を閉めるより早くエテルが入って来て鍵を閉めた。
「おまたせ♪」
「待ってないです」
楽しそうに言ってくるエテルに対して、俺の声は震えていた。
「ひどいなータタラは、待ってないとか奥さんに言うとか」
「でもな、絶対我慢出来なくてエテルと風呂でセックス始める流れだろコレ。探索した後だからあんまり疲労が残る事をしたくないんだよ」
「大丈夫、精気を分けて回復するから!」
「行き着く先は過労死か腹上死だよこんなの……」
背中を洗ってくれているエテルの言葉に返せば、俺の愚息の過酷な使用が前提で笑えない。正直、俺の力関係のステータスだとエテルを物理的に壊してしまいそうで結構怖かったりするのだ。我慢出来ずに腰を打ち付けてる時とか振り返るとよくエテルが壊れなかったなと思う事が有る……もしかしたら夢魔のドレインが働いて力が出てないのかも知れないな。
「明日登校だし、その上で探索にも行くのに……」
「む、そんなに嫌?」
「嫌じゃないです」
しまった、本音が漏れた。鏡越しに見たエテルの顔がニンマリと笑う、コレは死ぬかもしれんね。
「ふふ、ソープ・バーラルのNo.1嬢のエテルです。本日は気持ちよくなって下さいね♪」
「……暫くしたらソープ・ジュロンになるのかな」
「うん、是非ともジュロンにしちゃって下さい旦那様♪」
そんな言葉と共に背後から抱き着いてくるエテルに理性が切れて、首を振り向けてキスをする。深く舌を絡め合う口吻は、それだけで俺の愚息を戦闘態勢に移行させる。
何となく、最近更にデカくなった気がする。もしかして、『性魔術』スキルの影響だろうか?
エテルは準備が元から整って居たのだろう、反り返る愚息に跨り早速俺を受け入れようとしている。俺の愚息が分泌する先走りで滑って上手く狙いが定まらないらしく、エテルの膣口と俺の愚息がバードキスをするかのように何度も接触をしては離れる。その刺激で俺が我慢の限界を迎え、愚息を手で固定してエテルの腟内へ挿入れやすくする。すると途端にエテルの腟内に俺の愚息は収まり、エテルが待ち侘びたかのように腰を振る。その勢いはかなりの物で、1日空けただけで欲求が溜まっていたのが分かる。かく言う俺も目の前で暴れるエテルの巨乳を手で支え、その先端にしゃぶりついている。刺激を受けた影響かエテルの腟内が収縮し、俺の愚息を搾ろうとする。何度となく味わっているのに、この刺激に慣れることが無い。今すぐにでも爆発してしまいたい衝動に駆られながらも我慢して、此方からも突き上げる。エテルの腰使いが緩急を付けて更に巧みになる、おいおいやめてくれ耐えられん程の刺激を与えてくるのは。
此方の方が先に限界に近付き、突き上げる腰の速さが上がる。エテルも俺の限界を感じ取ってか腰の動きが激しくなり、一番奥に届くタイミングで俺が限界に至り盛大に射精する。一番奥に己の遺伝子を流し込み、エテルに自分のモノであると独占欲を刻み付ける。エテルはそんな俺の精子を受け止めた下腹部を優しく撫でている、子供が作れるようになったとは聞いてないからコレもまたエテルの身体を整える為に吸収されるのだろう。
そっとエテルを抱き寄せて、その首筋を甘噛みする。夢魔流のマーキングをしてやると、エテルからもお返しにと首筋を噛まれる。明日は登校日なのだが、誰かに見られたりしないだろうか。
ま、見られたら俺のパートナーだと胸を張って返してやるけどな。
一戦で満足はしてないのだが、エテルの力の強まりで俺の精神と言うか思考が負担を掛けているので無理をさせない為に一度でやめて互いに身体を洗い合う。共に湯船に浸かり、身体を温めているがエテルが触れているだけでも身体は興奮状態になっている。
「タタラ、シたいならシよ?」
「精神面でエテルが疲れる姿見てるから無理させたく無いんだ」
俺の答えにエテルは少し不満そうだ。唇を尖らせているのでそっとキスをしてやれば、首に腕を回されてキスが深くなる。
エテルも身体が興奮状態みたいだが、湯船でするのは少し違く感じる。
「エテル、部屋に来てくれ」
「うん、いいよ」
風呂から上がって、部屋で待っているとエテルが来た。以前買った穴開きの下着を着ていて、その視覚的な暴力で理性が切れた。手首を掴んで強引にベッドへ押し倒す、唇を唇で塞ぎ口内へ舌をねじ込みエテルの舌を絡め取る。舌を嬲り、口蓋をなぞり、歯の裏を舐める。俺の唾液が喉奥に入ったのかエテルが噎せ、俺は慌てて離れて呼吸を整えられるように体勢を変えてやる。噎せるエテルの背中を擦ってやり、落ち着くまで待つ。少しして落ち着いたエテルの髪を撫でる。
「すまん、暴走した」
「求めてくれるのは嬉しいけど、少しは加減してよ」
少し恨みがこもったような声で訴えてくるエテル、コレは俺が悪いから何とも言えない。
「反省して?」
「ああ」
「ならお詫びとして、おっぱい吸ってね♪」
「えぇ……」
罪悪感抱かせてからの授乳プレイは違うだろ、隙あればコレだよ。仰向けに寝そべる俺の口元に、エテルか勃起した乳首を近付けてくる。唇で挟み、舌で転がし、吸う。一つ一つの動作でエテルが甘い声を上げるので、自然と愚息が固くなる。
自分で進んで責める時には大丈夫だが、エテルのプレイに付き合うと途端にダメになるのはなんなんだろう。俺、Sっ気が強いのだろうか?
わざと音が出るように嫌らしい吸い方や舐め方をする、興奮とかじゃなく無心でやる。自分の姿を自覚したら多分精神が死ぬ。
エテルは無意識なのだろう、濡れた股間を俺の脚に擦り付けてくる。膣が切なくなっているのなら、我慢の限界だろう。
身を起こしてエテルを押し倒し、脚を押さえて広げる。ぱっくりと開いた膣口に亀頭をあてがい、腰を進める。スルリと言うかヌルリと抵抗無く俺を受け入れた膣内の感触に、再び理性が切れる。ただ獣のように腰を振り、叩き付ける。エテルも快感を感じたのか背を反らせ、俺の抽出に合わせて腰を振る。膣壁を削るかのように擦り付け、繊毛の感触に快楽を覚え限界を迎える。
エテルの腰を持ち上げ、上から腰で押さえるように深く沈めて最奥に精を放つ。エテルも絶頂を迎えて膣内が収縮して俺の愚息を搾り、一滴も残すかと遺伝子を吸い出していく。一分近く続いた射精を終え、愚息を引き抜くと栓を失った膣内から俺の遺伝子がごぽりという風に溢れてくる。
「あ、でちゃだめ……」
エテルがそう言葉を零したが、溢れる精液は止まらない。腰を高く上げた状態から通常の仰向けにしてやるが、力が抜けてしまっていて上手く動けないらしい。泣きそうな声でやだやだと言いながら俺の遺伝子が流れ出る事を止めたいようだが、上手く動けず抑えられ無いらしい。そんな姿に嗜虐心を刺激され、再び俺の下半身は戦闘態勢に入る。
エテルを横寝の姿勢にして、片脚を持ち上げて再び挿入する。
エテルはその刺激に嬌声を上げて、俺の愚息をただ受け入れる。脚を閉じれないように片手で固定したまま腰を振り、溢れ逆流しようとする俺の遺伝子を奥へ奥へと送る。射精後で感度が高くなっている俺の愚息の刺激に対してすぐ限界を迎え、脚を抱えたまま最奥に射精する。コレが最後だと、今日一番の量を放つ。
一方的に使われた形のエテルは、脱力しながらも満足そうだ。俺が向かい合う形でベッドに横になれば、のそのそと近付いて来て胸元に額を当ててくる。そんなエテルを抱き締めて、髪を撫でる。射精後の疲労が来たのか、急速に眠気が訪れる。
そんな俺に気付いたのだろう、エテルは俺の腕から抜け出して額にキスをしてきた。
「おやすみ、たたら。いいゆめみてね」
まだ子供っぽい口調のまま、エテルのそんな言葉を最後に俺は意識を手放した。
夜が明けて、目覚めて最初に見るのがエロ下着を着たエテルと言うのは心臓と下半身に悪い。素直に興奮してしまう若い身体なので文句は言えない、むしろ感謝を伝えたい。しかし、エテル自身この下着をどう思うのだろう?
そんな疑問が頭を巡る。ランジェリーショップで持ち出した時は少し恥ずかしそうだった気がするが、今回はノリノリで着けてきた。もしかしたら、夢魔の本能的にコレくらいの露出の方が精神的に安定するのかも知れない。それはそれでヤバいが。
つらつらとそんな事を考えていたが、エテルの姿を見ながらしていたのがいけなかったのだろう。見事に下半身が反応した。このままでは朝食にエテルを頂いてしまうことになるので、取り敢えず起こす事にする。エテルの肩を掴み、軽く揺する。振動で揺れる大きな胸を見て理性が削られるが何とか耐えて揺すり続ける。
「んに……? たたら?」
「ああ、おはようエテル」
「おはよう……」
ようやく目を覚ましたエテルの挨拶に挨拶を返して、俺はベッドから出る。昨夜の激戦が影響して裸のままだ、色々な液体で汚れた跡が有り臭う。風呂に入らなければ。
エテルもベッドから出て、廊下を歩けるように俺のタンスの中からTシャツを取ろうとして下段の棚を引く。しゃがむのではなく前屈みで取ろうとしたために此方へその安産型な臀部を突き出す格好だ。エロ下着の為、何も隠せていない。そのあられもない姿に俺の理性は切れた。
反り返る愚息をそのままに、エテルの背後に近付く。そのまま突き出された臀部を掴み、愚息を膣口に押し付ける。
「え、や!? タタラ、朝だよ!?」
「エテル……エテルっ!?」
戸惑うエテルの言葉を無視して、俺は愚息をエテルの膣内に挿入した。譫言のようにエテルの名前を呼び、下着の穴から尖った摘み扱く。
背後から突かれ、乳首を搾られるエテルは夢魔らしくすぐ身体を発情させて俺の責めを受け入れる。迎え入れた肉棒を膣内で搾り、射精を促してくる。腰の動きを加速させ、快楽を求め、何も考えずに最奥へ射精した。腰が震え、エテルの奥へ精液を注ぐ。エテルも身体を震わせ、絶頂した事を伝えてくる。
そんな時、頭の中で啓示が降りる。即ち『スキルコンプリート』である。朝から盛って『性魔術』をマスターとか、何やってんだ俺。
「あのね、タタラ。私も夢魔の血を引いてるし、えっちは好きだよ? タタラとなら尚更ね。でもね、もう少し優しくして?」
「いや、本当にすまん」
夫婦風呂でエテルの髪を洗う。頭皮をマッサージしつつ、根本から毛先に向けて丁寧にシャンプーで汚れを落とす。薬用と言うか、傷薬を混ぜたシャンプーは髪の傷みを補修する効果がある。エテルの髪が長い時はドライヤーでは髪に熱がこもり易いので、基本的の此方で対処することにしている。檜風呂には常設しているが、此方は俺一人が入る前提だったので追加で作って置いたのだ。声を掛けてシャンプーをゆっくり洗い流し手でギュッと水気を絞る、しっかりと補修が出来ているのを確認しリンスで保湿する。丁寧に、素早く、斑無く。クラフターとしての腕の見せ所……というのも変か。
「タタラ、私の髪をお手入れしながら私の身体で興奮してるのは気をつけよ?」
「無茶言うな、好きな女の裸を前にお預けされるとかマジで辛いんだぞ?」
「それでもタタラ、朝一回シ終わってるからね? 何時もと逆パターンでビックリだよ」
確かに、普段はエテルが無尽蔵に搾って来ようとするのに今日はやたらと性欲が湧いてきて俺からエテルを求めている。もしや『性魔術』をマスターした影響で性欲が強化されたのだろうか?
「エテル、本当に申し訳無いんだが……」
「タタラのえっち、おっぱい聖人」
「いや、身体は自分で洗えって言おうと思っただけたが」
確かに今でもエテルを求めているが、朝飯の準備も有るのだから其の辺は弁えてるつもりだ。俺がエテルの身体を洗うと我慢が出来そうに無いから自分でやって欲しい。
「……むぅ」
「なんで不満そうなんだよ」
「女の子は複雑なんだよ、タタラから求められたら嬉しい事には違いないんだから」
「……探索が終わったら我慢しないからな」
我慢の為にエテルを抱き寄せて、思い切りキスをする。朝から胸焼けを起こしそうな濃厚で深いヤツをかわして、代用とする。
その後、エテルを求めてやまない己の愚息を無視しつつ身体を洗い終えて朝食の準備をする。庭先で四葩達は既に鍛錬を始めていた、まぁ朝から盛った上に昨日の汚れを風呂で落としていたのだからそれぐらいの時間になるのも当然か。
朝食はベーコンエッグにサラダ、白米に味噌汁だ。彼是悩んだが前世の大手牛丼チェーン店の朝定食の定番を選んだ、正直シンプルで美味い組み合わせなので迷ったらコレを出したいレベルだったりする。手抜きといわれそうだが。
目玉焼きには何も掛けていない、此処に何を足すかは其々に哲学が有るからだ。因みに俺はパンなら塩、米なら醤油だ。調味料を一通り並べて置いて、四葩達が手洗いを終えるまで待つ。
「シンプルじゃが、良いのコレ」
目玉焼きに塩を掛けた四葩が白身を摘みそう言葉を零す、意外な程好評だ。俺はベーコンエッグを白米に乗せて、醤油を垂らしてから黄身を崩す。男飯の代表である玉子かけご飯みたいな物だが、コレが美味いのだ。適度に熱を通した甘味の有る半熟の黄身に、醤油の塩気をプラスしてご飯と一緒に掻き込む。ベーコンやサラダにもこの旨味はよく合う、黄身と混ざったご飯の上にベーコンを乗せて食べると塩気と脂の旨味で別の楽しみが味わえる。サラダならドレッシングが不要で、野菜の食感が玉子かけご飯に新たな味わいをくれる。そして少しくどく成りそうなら味噌汁を啜るのだ、白味噌ベースの玉ねぎと馬鈴薯の甘味の強い味噌汁だ。コレで玉子の味で満ちた口内をリセットして、新鮮な気持ちでご飯を楽しめる。
「……行儀は悪いですが、タタラ殿の食べ方はとても美味しそうですね」
雛菊さんがそんな事を言ってくる。いや、玉子かけご飯はシンプルに美味いんだ。試すにも見た目があまり上品では無いし、掻き込む食べ方が下品にも見えるだろう。コレが俺一人なら、食べ方は啜るみたいな食べ方をする。空気と共に口に入れる事で風味を爆発的に広げるのだ。
「これでも気を使って比較的上品にしてるんですよ? 一人なら啜ってます」
「タタラはこの国の麺は啜らんのに、何故蕎麦や饂飩は啜る事が出来るのかのう?」
そりゃまぁ魂は日本人ですから。
「タタラ、音を立てて食べるのは行儀が悪いよ?」
「そりゃそうだが、場所によっては啜らない方が無礼になるぞ? 四葩達の國がそうだしな。それに、熱いものを食べる時はこうやって空気と一緒に食べる事で冷ましながら食える、料理は出来立てのうちに食べる事が最高の礼儀だろ? そう考えるとこの食べ方が一番理に適う場面だって有るんだ」
「本当かなぁ……」
懐疑的なエテルだが、まぁ元々お嬢様だし其の辺のマナーには厳しかったんだろうな。しかし、やはりこういうのは啜って食いたい。シンプルに白米と味噌汁、更に漬物だけで飯を食いたくなる事が有る。気分としては某インスタント味噌汁のCM『朝餉、時々飯』である、思い出すだけで腹減るんだよなあれ。
そんな朝食の一幕を終えて、食器を洗ってから学園へ。結局ご飯を二杯お代わりしてしまい、やや食い過ぎに思えるが正直身体が食い盛りなので栄養が足りるか微妙でも有る。エテルはそんな俺に少し呆れた雰囲気だが、探索者として体力を必要とする為かエテルも平均的な女性よりは多く食べる方だ。朝食で実は俺の食い方を地味に真似ようか迷っていたのは、俺だけが気付いてたりする。
「そういえば、エテルは卒業パーティーのドレスとかどうするんだ?」
「え、仕立てようにも身体が成長してるから様子見だけど」
「……なるほど」
俺から栄養を摂取しているから、下手したらすぐサイズ変わるからなエテル。夢魔として身体が出来上がった時、エテルがどうなってるのかは分からない。そも、いつ身体が出来上がるのかも不明だ。
「どっかでドレスのデザインだけ決めて、俺が作るか。多分、色は白だけになるけど」
「染色はしないんだ?」
「いや、素材をミスリル銀糸で織った布にするから染められない」
「……それが普通に出来るの、この街だと私達のパーティくらいだよね」
タチアのおかげでミスリルには困らないからな、昨日『料理長』の鎧に80kg使ったけど在庫はまだ普通に有ったし。
そんな会話を交わしながら、学園に到着する。
教室に入ると、何時もの気配が喜色の雰囲気全開で近付いてくる。
「タタラ! お前、本当最高のクラフターだぜ!!」
バカが何時も欠かさない挨拶をせず、俺に満面の笑みを浮かべて駆け寄ってくる。
「おはよっす……そんなにあの鎧気に入ったか?」
「はよー。元気だね」
「ああ、興奮し過ぎてたなすまん。オッス、二人とも」
落ち着いたのか、俺達にキチンと挨拶をするバカ。普段通りに出来ないくらいにあの鎧がハマったのだろうか。
「そんなに気に入ったか、あの鎧」
「おう! 本当ゴキゲンだぜ!! 『トロール』の攻撃を受けちまってもまったくダメージは無かったしよ、何なら『オーガ』の一撃でも歪まねぇのはマジでスゲェぜ!! 硬さを活かして殴れば『ゴブリン』なら殺れるし、『トロール』にも牽制になるから剣の消耗も抑えられる!! 何よりもマント! アレのおかげで遠距離攻撃にも対応出来る!! 本当、タタラ様々だぜ!!」
「……興奮し過ぎだぞ」
バカの早口に思わず苦笑いが浮かぶ、そんなに気に入ってくれたのか……作って良かった。
「次に魔鉄装備頼むなら脚甲にしとけ、お前の足癖の悪さなら蹴り殺す事も選択肢に入るだろ?」
「お! それは良いな!! 金貯まったら今度はそっちを頼む!」
「おう、了解。渾身の逸品を打ってやるよ」
「約束だからな!」
そんな言葉を交わして、バカは席に戻っていく。畜生、あんなに真っ直ぐ感謝を伝えられたら恥ずかしいだろうが。ったく、嬉しくて顔がにやけてくる。
そんな俺を見て、エテルは薄く微笑んでいる。聖母みたいな見守る笑顔だが、教室でそれはやめろ。男子の殆どが魂消てるぞ。
共通授業は卒業課題に付いてだった。探索科の卒業資格は20階層のフロアボス討伐、つまり『ハイオーガ』の討伐だ。探索科としてはもうエテルは卒業資格を得ている事になるので、その事に気付いたエテルが俺の方を見てくる。まぁ、個の戦闘力で突破した訳では無いから不安にもなるか? パーティでの探索と討伐が認められてるから問題は無いぞ、金に物言わせて探索者雇う奴等も居るらしいし。
対して、専門科の中でクラフターは少し違う。高等教育課程で得た技術の提示、または論文の提出だ。しかし、コレには参るな……学園で得た技術が一つも無い。論文の提出しか無いのだが、その為には新しい理論を考えなければならない。コレは難題だぞ。
「タタラ、卒業どうだ?」
頭を悩ませている俺に話しかけてくるバカ、そういえばコイツはまだ『ハイオーガ』を倒せて無かったんだか?
「新しい理論の論文作らなきゃならなくてな、正直学園での経験で増えた技術とか無いから悩んでるよ」
バカの質問にそう返す、探索科なら『ハイオーガ』の討伐を成しているから問題は無いのだが俺は専門がクラフターだ。
「あー……申請してる特許の解説だけで卒業できねぇかな」
「俺はむしろ、律儀に学園へ通い続けてるタタラが分かんねぇよ。都市長の伝手で卒業出来たりしないのか?」
バカの言葉で入学時に都市長が言っていた言葉を思い出す、卒業したいなら言えだったか。なんの冗談だと思う。
「入学ん時に都市長から似たような事を言われたが、アレは冗談だろう。仮に頼んでも鼻で笑われるさ」
「いや、多分本気だと思うが……」
「高々1学生を贔屓するか?」
「次期工匠長候補は1学生では無いだろ」
「進学前に工匠長についての話なんて聞いたことねぇわ」
そんなやり取りを重ねる。中身が有るようで無い、男友達のバカな会話だ。普段は異性に囲まれて格好付けている面が多いが、何も考えないこんな会話で癒される物が有る。
時間は進み、専門授業の為に工房へ向かう。バカは訓練場へ向かう際に俺が作った鎧を着て、俺にサムズアップしてきた。相変わらずの格好良さに悔しく成りつつ、そんな彼奴の鎧を作れた事に誇りを抱いて俺もサムズアップを返した。なんだか、今日の専門授業も頑張れる気がする。
「さて、今日はちょこっとお高い物のクラフトを教えようと思う」
「……一つ3万する魔鉄はお高く無いんですか?」
「シャムス、先輩がお高いとか言うのものだから多分桁が二つは違う。覚悟は出来てるか? 俺は出来てない」
「エストも出来てないじゃん!?」
おう、早速心が折れそうなやり取りを見せてくれるじゃねぇか。みっともなく泣くぞコラ。
ため息を吐きつつ、小振りな魔石を750個用意する。今回教えるのは『浮身石』だ。
「二人とも、『錬金術』スキルは持ってたよな?」
「「はい、持ってます」」
「なら、『錬金術』と『クラフト』の併用が必要だが作れたら高く売れる物を教えるよ」
そう言ってから、目の前の魔石を『錬金術』で融合させていく。750個の小振りな魔石が75個の中型の魔石になり、そこから15個の大型の魔石に変わり3個の特大魔石へと統合する。
「先ずは素材として特大の魔石3個を用意する」
「先輩、錬金が早すぎて真似できる気がしません」
「何でサラッと1000近い数の小振りの魔石を一分掛からずに特大3つに融合させてるんですか、人間業じゃ無いですよ」
「おう、練習だ練習。常に効率的なスキル運用を心掛けておけ」
君等、取り敢えず出来る物を見てくれ。
3つの特大魔石を作業台に置き、『クラフト』と『錬金術』を同時に使用。3つの特大魔石が浮き、多積層魔法陣で囲まれる。魔石が表面を溶け合わせ一つになる最中、『錬金術』で存在を昇華させる。魔法陣がその表面へ反重力術式を刻み、外殻が安定したら完成だ。
「コレが『浮遊石』を解析して人工的に再現した『浮身石』だ、前に都市長から確認取れたのは一つ3000万くらいになるって」
「「いやいやいやいや」」
「どうした、魔鉄の1000倍くらいの値段だけどそこそこ稼げるだろ?」
「コレでそこそこ……?」
「先輩、一番高くてどれだけの値段付いた事有りますか?」
エストの疑問に対して記憶を掘り返すまでもなく、直近で一番高い物が思いつく。
「物を渡されたから正確には分からないが、多分80億相当の魔導具を作ったな。まぁ、盾とメイスのセットになるから一つ辺りは40億くらいに計算出来る形かな?」
そう考えると家庭用魔力炉が単価で一番高い50億か、コレは二人に教えて作れるか分からない……やはり二人の最終目標は『錬金術師の卵』かな。
「……エスト、話を聞いててお腹痛くなってきたよ」
「奇遇だな、俺も胃が爆散しそうだ」
「そんなにか?」
この様子だと『卵』を教えたら失神するか入院しかねないのではないだろうか?
彼等の一番弟子競争は前途多難なのではないだろうか。
もし、番外短編が有るのなら※一応全部書くつもり
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タタラとエテルの立場逆転
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現パロ(エテルヒロイン)
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現パロ(四葩幼馴染)
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武器が擬人化してタタラへ物申す
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年増組と同い年
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聖人カレハ
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原作エテルとタタラ
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ガチ妹ダリア・ジュロン