既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。 作:アルカミレス
『看板娘』イベント継続中
やりたいことが有るのに横道に反れる
「聞きたいんですけど、何で先輩はこの『浮身石』を僕らに教えたんですか?」
「何でってエスト、それは先輩が僕達の生活が困らないようにじゃないの?」
「タタラ先輩がそんな優しい精神性を持ってると思うか?」
おう、散々に言ってくれるじゃないかエスト。あながち間違っちゃいないけど、オレに対する認識を問い詰めたくなるな。
恐る恐ると言う風に俺に視線を向けてくるシャムス、そんな姿を見てため息を一つ。仕方ない、ずっと先で明かす予定だった別の目的も話すか。
「高く売れる物をってのは本音の一つだ、エストの考えも合ってるけどな」
「……それはいったい」
エストの問い掛けに対して、俺はインベントリから『卵』を取り出し作業台に置く。首を傾げる二人に対して、俺は一言。
「鑑定」
俺の言葉に慌ててスキルを使う二人、『卵』を鑑定したのだろうシャムスは純粋に驚いた表情になりエストは顔面蒼白になる。
「せ、先輩……コレ、なんですか?」
エストは怯えを滲ませた声でそう聞いてくる。
「鑑定してるなら分かると思うが、コイツは『錬金術師の卵』。俺から二人に出す弟子としての最終課題は、コレをどうやって作るかだ」
特許は申請通っているが、実はコレの作成に於いて理解しなければならない幾つかの理論が態と省かれている。コレは都市長の決定で、一般的に閲覧可能な情報では核心に触れられないようになっている。しかし、辿り着くヒントは俺の出した特許の中に隠されている。それを理解し、『錬金術』の最奥に触れてやっと『卵』を作れるに至る。そんな課題だ。
「コレの作り方は教えられない、二人には自らの気付きでコレに辿り着いてもらう。ヒントは何処かに有るが、俺からはその場所を教えられない。……もし、俺の一番弟子になるのならコレを先に解き明かした方がそうなる」
俺の言葉に、目に力が入るシャムスとエスト。心に火を点けられただろうか?
「既に二人には俺から出せる最大のヒントは出している、それが何か分からないのなら常に考えてそして調べてくれ。多分、俺の在学中に二人がコレを作れる事は無いだろうけれど……二人が十年以内に一番弟子になってくれる事を願うよ」
そう言葉を結んで、『卵』をインベントリにしまう。参考に出来るのはこの一回だけ、コレを心に残して頑張って欲しい。小さな願いだが、どうかクラフターとして俺を越えてくれよ?
「さて、少し時間は使ったが此処からは何時も通りの時間にしよう。今の物以外についてなら何でも聞いてくれ」
そう俺が言った途端にシャムスとエストは質問を浴びせてくる。その勢いに驚きながら、俺は笑って答えていく。取り敢えず在学中の目標は二人が人造オリハルコンを安定して作れるまでかな、楽しみだ。
終業を迎え、シャムスとエストを見送ってから教室へ向かう。エテルは前回のクソ共のような輩に絡まれている事は無く、問題無く合流出来た。二人並んで校舎から出れば、正門の先に見慣れた姿が有った。が、前に見た光景も広がっていた。
『紫陽花』装備で身を固めた四葩とメイド服のダリアの前に立つダサTの雛菊さんに絡む、何時ぞやの不良達が居た。テンプレってヤツですね、本当にありがとうございました。
「ね、タタラ。アレって」
「前にエテルへ絡んでたバカ共だよな……学園に来てたんだな」
クラスが違うのだろう、顔を見たことが無かった面々だが登校はしていたらしい。綺麗所の集まりだけど、その面子だと四葩が邪魔と思った瞬間には輪切りにされるぞ。
「済まないが、貴方達に用は無い。私達は此処で人を待っているだけだ、今直ぐ立ち去られよ」
「んな釣れない事を言わないでさ、俺達と探索しようぜ? コレでも俺達、12階層まで潜れる凄腕だからさ!」
「……12階層?」
「そうだぜ、スゲェだろ?」
「……浅いな」
雛菊さんの丁寧な断りが聞こえてくるが、相手は実力差を理解出来ないサルだ。無駄に絡みに行ってるし、話も聞かない……本当に邪魔だなアレ。
「すまぬが、妾達はお主らに構っておられん。連れが来たら即座に迷宮へ向かう故、忙しい身だ。お主らはお主らでやる事をやるがいい」
「奇遇じゃん、俺等と一緒に潜ろうぜ!」
「お主らと妾達では実力差が有り過ぎて荷物になる、失せよ」
「大丈夫だって、俺等なら君等守れるからさ!」
「もう一度言う、失せよ下郎」
「下郎って、話し方古風でかわいいじゃん」
「……話が通じんのう」
雛菊さんではらちがかあかないので四葩が動くが、暖簾に腕押し。苛立って来たのかダリアがインベントリから取り出した魔導剣を左手に持っている、魔力刃でぶった斬るつもりだろう。流石に殺人沙汰は罪に問われるので止めなければ。
「悪い、待たせたな」
不良共の後ろから大声で四葩達に呼び掛ける。名前は呼ばない、下手に覚えられても困るからだ。
俺の声を聞き露骨に表情を変える四葩達、喜色と安心の滲んだその笑顔に俺も自然と笑顔を向ける。が、やはり邪魔な不良達が間に入ってくる。
「あんさぁ! この子達今俺等と話してんの、分かんねぇかな?」
「生憎、先約は俺なんでな。雑魚は消えろよ、クラフター一人に勝てねぇ底辺共がよ」
自然と口が悪くなる、どうも四葩達にちょっかい出されて俺も苛立っていたらしい。四葩が俺の様子に驚いた表情を浮かべているが、俺は元々そんなに気が長くない。最近だとエテルや四葩についてだと更に沸点が低くなっているらしい、独占欲だろうかコレは?
「うるせぇよクラフター風情がよ! 不意打ちでのしたくれぇで調子付くなや!!」
「戦闘職でもない奴に不意打ち許してる時点で探索者向いてねぇよ、さっさと剣置いて変態のペットでもやってろ無能。それと口開くな、息が臭ぇんだよ」
「あんだと女に囲まれてる腰抜けがよ!」
腰抜け発言でダリアが一瞬魔力刃を展開しようとして、四葩が咄嗟に肩を掴んで抑えてるのが見えた。隣のエテルからは殺気が漏れてるのが分かる、珍しいなエテルがキレるの。
「女に囲まれる事もねぇ不細工かつ雑魚のお前じゃ一生賭けても手に入らない良い女達を羨むのも分かるがな、女はお前らみたいな雑魚を見極める目くらい養ってるんだよ。守ってやる? 強い? 見縊るなよカス共が、此処に居る女達の万分の一にも届いてねぇんだよ」
「テメェっ調子に」
前回、俺から裏拳食らった奴が武器を抜いた。正直顔は覚えて無かったが、顔にくっきりと拳の跡が残ってて分かった。
「……抜いたな?」
探索者にとって武器とは脅しの道具では無く、敵を倒す為の力である。
高等教育課程で最初に習う心構えだ。探索者として武器を抜いたのなら、相手が応えて武器を抜こうが殺されようが一切の酌量を許されなくなる。前に俺がクソみたいな客に対して武器を抜いた時だって、反撃で殺されたとして仕方なかった。
探索者とはそういう者達だ。引退するまで学生だろうが駆け出しだろうがベテランだろうが平等で、命の価値が軽い。名乗った時点で自己責任を負わなければならない。そんな理不尽で命知らずな者達が探索者と言う存在だ。
意識を一段上げる、目の前の敵を排除する為に挙動を構築する。相手は大声を上げて剣を上段に構えた、隙だらけだな。あまりにも遅い挙動に対して単純な挙動を実施する。
一歩踏み出す。
手を伸ばす。
首を掴む。
この3動作が剣を振り下ろそうとする1動作を上回る、本当に遅いな。行動に割り込まれキャンセルされる相手の攻撃動作、軽く握りを強くしながら首を起点にして相手の身体を持ち上げる。掴む手に力を込めていくと、呼吸が出来ないのかジタバタと身体を動かし始める。遂には剣を取り落とし、俺の手を外そうと必死そうだが力の差が大き過ぎて何も出来てない。
「テメェ゙!」
不良のリーダー格が剣を抜いて俺に切り掛かってくる。武器は鋼製、元はそれなりに良い出来の剣だったろうにまともな手入れをされて来なかったのだろう、鈍らに堕ちていた。可哀想に。
リーダー格の剣を避けようともしない俺に、エテル達が反応するが視線だけで止める。問題は無い。リーダー格の剣は俺の腕に当たる。
物理攻撃18−物理防御39=0
リーダー格の剣は薄皮1枚も切れず、大した衝撃を生むことも出来ずに俺の腕に当たって止まる。リーダー格の顔は完全に呆けている。
「え、は? 何で……」
「お前の攻撃力じゃ、俺の防御力を貫けない。単純明快な理由だろ、授業ちゃんと聞いてたか?」
この世界は残酷な迄にステータスによる支配を受けている。
故に自身を強くする為にスキルを厳選し、装備を選ぶのだ。
「探索者とかクラフターとか関係無く、此処は弱ければ死に方すら選べない世界だぞ? お前、今迄何して生きてきたんだ?」
気付けば首を掴んでいた相手は泡を吹いて気絶していたので、手を放す。地面に転がった奴を無視して、リーダー格に向き直る。リーダー格を中心に、雑魚どもは後退る。
「一応言っておくが、俺はこのパーティで一番弱い。その俺にすら傷を付けられない奴が、俺の仲間を守る? 寝言は寝て言えよ雑魚共、不愉快だ」
俺の言葉に更に後退る雑魚共。おいおい、見下してたクラフターから逃げようとしてどうすんだよ。
「それと、クラフターの腕は命そのものと変わらん。それに剣を向けたのなら……死ぬ覚悟は出来てるんだよな?」
苛立つ気持ちのまま一歩踏み出せば、雑魚共は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。さて、足元で気絶してる奴はどうするかな。
「タタラ! 腕! 大丈夫なの!?」
意識を日常に戻した瞬間、エテルが駆け寄って剣が当たった箇所を確認してくる。涙目になっている様子から相当心配させたらしい。
「いや、大丈夫だが……」
「普段から妾達に対して心配しているお主なら分かるじゃろタタラ、お主が危険な場面を見れば妾達も心配するのじゃこのド阿呆!!」
四葩に叱られる、その目には涙が見えた。怒りに我を忘れたとはいえ、流石にやり過ぎたか。
「……すまない、頭に血が上りすぎた」
「マスターは、私達があの塵芥に絡まれていたのが許せなかった……それでいいのですね?」
「その認識で間違い無い」
「ならば私は許しましょう、マスターが私達に独占欲を持ってくれているのが分かっただけで十分です」
ダリアは何処か嬉しそうにそんな事を言う、変な奴だな。
「ダリア、今はそんな事を言っておる場面では無い。タタラ、妾達に過度な心配を掛けるで無い。お主に万が一が有っては遅いのじゃ」
「トラッちゃんの言う通りだからね、タタラ。あんまり心配掛けさせるなら私達にも考えが有るから」
「考え?」
ダリアを諌めつつ俺に対して注意する四葩と、詰め寄るエテル。考えとははたして何だろうか?
「無理した日にはトラッちゃんと私でタタラを徹底的に搾り取るから」
「最早妾も形振り構わん、タタラが己を大切に出来るようになるまで妾の身体で示すまでじゃ。子供が出来たら流石に我が身を省みるじゃろ」
「すみません、本当にやめてくださいお願いします」
90度腰を折って頭を下げる。色んな物が終わるから本当にやめてくれ、当主代行にぶっ殺される上に国交断絶が待ってるだろそれ。
「先程タタラ自身で言うとったように、お主がこのパーティで一番弱い。力は妾に劣り、防御はタチアに劣り、魔法はエテルに劣る。お主が最も優れておるのはその知識量じゃ」
そりゃまぁ、前世のゲーム知識と言う最強クラスのメタ知識が有るのは強みだ。それすら通じない相手が居るから、現実は厳しいのだが。
「エテルと二人の時はお主が前に出て盾になっておった影響じゃろう、お主は自然と自身が前に出ようとする癖が有る。その姿を見る妾達は気が気でない」
「そうは言うが、俺だって守られてばかりは……」
「判断を誤ればお主とエテルは一蓮托生で死ぬのだぞ! そうなってみよ、親友と最愛の相手を同時に失った妾はどうすれば良い!?」
四葩の目に溜まっていた涙が流れる。泣かせたかったわけじゃないのに、上手くいかない。流れる涙を拭ってやるが、ますます泣いて止まらなくなっている。
「……タタラ殿、四葩お嬢様を泣かせる事なきようにと奥様に言い含められていましたよね」
そうだったな、嬉し涙くらいは流させるとか格好付けててこのざまだ。俺は本当に足りていない。
「雛菊、やめよ」
「ですがお嬢様」
「雛菊、あえて言わないでおいたがな……お主の服装も大分妾を泣かせる物なのじゃが?」
え、ダサTだけどそんなに……いや待て。全然意識してなかったけど雛菊さんのダサT、背中に翼を出せる要素有ったか?
「翼を出す為と称して鋏で切り込みを入れ、一華が直さねば切り口はそのまま……それでは切り込みが広がるじゃろう。更に生地が厚く裾が長ければ問題無いと下着の着用も無し、お主が先行しておる時はチラチラと尻が見えておったぞ。何じゃその佇まいは痴女か!?」
四葩の声を聞いて思わず雛菊さんから一歩距離を取る、流石にそれはちょっと考えようぜ。アレ、そう言えばダサT買った時に俺ホットパンツとか買わなかったっけ? シャツだけ?
「しかしお嬢様、この格好が楽なのです!」
「いや、流石に下着は着けましょうよ。家なら分かりますけど……捲れて見えちゃったらどうするんですか。周りの人達も居た堪れないし、何ならさっきの連中みたいに下心満載な奴等が寄って来ますよ?」
何なら公然猥褻罪で自警団の人達に捕まる、嫌だよそんな事でお世話になるの。あの人達に失望されたら流石に立ち直れない。
「飛ばなければ早々に捲れませ──」
雛菊さんが言い切る直前、一陣の風が吹く。雛菊さんのシャツの裾が煽られ捲れそうになる瞬間、エテルが視認も困難な速度でその裾を押さえた。
正直、何が起こったのか一瞬分からなかったが後から理解して心臓がバクバクしてきた。多分、俺の顔は蒼白だ。雛菊さんの女性としての尊厳が破壊される寸前だった訳で……震えが出て来る。四葩がそっと俺の手を握って来た。思わず振り向けば俺を安心させようとしているらしい。
「大丈夫じゃ、タタラ。捲れておらん、エテルが防いだのじゃ」
「なぁ見られずに済んだか? 新しい問題に発展してないか?」
「大丈夫です、マスター。此方に来てから処理を怠ったズボラ剛毛な箇所は見えてません。因みに私は先天的にツルツルです」
「ダリアっ!?」
いきなりそんなナイーブな話題出すな。あと四葩、下腹部抑えながら「生えてないのは珍しくないのじゃな」とか零すな。反応し難い。確かに俺の周りだとエテルも生えてなかったけど。
「取り敢えず雛菊、もう家に戻れ。可能な限り速やかに、お主の尊厳を自ら破壊する前にな」
四葩の目がマジのそれで有った。いや、俺も完全に同意だが。
頼む駄狐、今直ぐ此処に来てこの駄目菊さんを連れ帰ってくれ。
「……何か呼ばれた気がして来てみれば、何をやってるでござるか?」
と、いきなり聞き覚えのある声が聞こえてきた。顔を向けるとそこには、以前買った俺の普段着に似た平服を着た駄狐が居た。来た、介護要員来た! コレで安心出来る!!
「一華! 良い所へ来た! 雛菊を連れ帰って欲しいのじゃ!!」
同じ事を思ったらしい四葩が、駄狐にそう頼み込む。押し付けるようで申し訳ないが、精神的に限界だった。
「四葩お嬢様が必死過ぎて笑えないでござるな。雛菊、何をやったでござる?」
「わ、私はただ下着無しで出て来ただけで……」
「了解、把握したでござる」
駄目菊さんの台詞で全てを察したらしい駄狐は、溜息を吐いた後で駄目菊さんの腕を掴んで連れ帰る。何やら駄目菊さんが「屋台」とか「串焼き」とか言ってるみたいだが、駄狐は言葉を一切聞かずに帰路を往く。超絶頼もしい姿だった。
「……雛菊さんって、元からあんなだったか?」
「郷に居た頃は出来る女そのもの、私生活にも隙なしと言った姿じゃったぞ。堕落したのかのう……」
「そっかぁ……」
四葩に聞けば、どうも此方に来て干物化しているらしい。当主代行と次に会合したら怒られるかな俺。
そんな胃が痛む一幕の後、ダリアと合流した俺達はダンジョン探索に入った。変わらず敵を殲滅して進み、少しでもスキルのレベルを上げる為に尽力する。俺が『性魔術』のコンプリートによって空いた枠に入れたのは『採掘』スキルだ。鉱脈から鉱石等を採れるスキルで、今までは『クラフト』と『鑑定』の併用で済ませていたがこの度取得し恩恵を受けるようにした。
タチアのスキルはどうもこういった採取可能ポイントの出現率も上げるようになったらしく、少し前から鉱脈や草場等に当たるようになってきた。もう少し早かったら基礎ステータス系を取るよりこういった採取系のスキルを取っていただろう。そんな事を考えながら鍛造ミスリル5kg分で作ったピッケルで採掘ポイントを掘り起こす。『採掘』『クラフト』『鑑定』の併用で採掘回数を増やして掘り起こせば、出て来る出て来る鉄鉱石。コレなら魔鉄の確保も容易になるな、そんな考えが出てホクホク顔になっていたらしい。エテルが仕方ないなと言わんばかりの表情をしていた。
調整した『玄武・改』は凄まじい性能を発揮している。オリハルコンを使用し思った通りに動けるようになった上、強化された『魔導砲撃』が凶悪な威力を発揮する。通常の『砲撃』とは違い広域を対象に出来ないが、効率と言う点では此方の方が上だった。俺自身の魔法攻撃力をそのまま威力に変えられるのが、今迄活用されてこなかったステータスを活かせてかなり楽しい。
「コレがマスターが更なる調整を施した『玄武・改』……凄まじい力です。人工筋肉の制御中枢を人造オリハルコンから純正のオリハルコンへ換装した為に齎された追従性、その為に元から高かった補助機能を更に高め使用者の戦闘能力を爆発的に高めている。更に『魔力砲撃』が改良されたのも素晴らしい、使用者の魔法攻撃力をそのまま上乗せ出来るのなら魔法使いにもこの鎧を適用する戦略も立つ。魔法使い職の防御力を高める新たなる選択肢、それでいて魔法戦士達にも新たな相棒として確立できる。マスター、もうコレで良いから私にくれませんか?」
「ダリアの鎧、飛行機能付けるつもりだったけど本当に地上戦用のコレで良いのか?」
「失言でしたマスター、私は待てる女ですので満足するまで素材の厳選と設計のアップデートをお願いします」
チョロいな、ダリア。
「……ねぇ、タタラ。その機能有るなら私の『ロニセラ』って……」
「エテル、現時点では俺の『玄武・改』の方が優れているが『ロニセラ』はまだまだコレからだからな?」
実際、エテルが使う『ロニセラ』はかなり強くなっている。強化したダメージが上乗せされている為に固定ダメージが20を越える上に武器命中が高くなっている。エテルのヘッドショットを支えているのは間違い無く『ロニセラ』だ。それに、そろそろ『ロニセラ』の強化が10になる。ゲーム時代、専用装備は5〜10の強化段階が有り最大になると武器進化の可能性が有った。完全にオリジナルである『ロニセラ』が法則通りかは微妙だが、バーラルさんの怨念……いや愛が詰まったあの銃がアレで終わるとは到底思えない。
そんな事を考えながら、階層を降りる階段の前でスキルのチェックを行う。『物理攻撃上昇Ⅰ』と『速力上昇Ⅰ』が最大レベルになっていたのでランクアップをする。その他は『魔法攻撃上昇Ⅰ』よりも『魔力上昇Ⅰ』が先にランクアップしそうである。そして取得したばかりの『採掘』がどういう訳かレベルが半分を越えていた。併用が利いているのだろうか?
一通り終わって仲間を見れば、エテルが忙しなく弄っている。多分、基礎ステータス系が軒並みランクアップ可能だったのだろう。同時期に取り更に常に刺激を受ける『移動力上昇』と『速力上昇』である為、レベルアップが早い。
タチアは簡単に終わっていたが、多分『移動力上昇』がランクアップしたのだろう。軽く足と翼の調子を確かめていた事からの予想だ。
四葩は特に弄ってはいなかった、詳しくは聞いてないがおそらく基礎ステータス上昇系が殆ど無くて上がらないのだろう。
「それじゃ、進むか?」
問題無く進んで今は10階層、『ゴブリンロード』を撃破してスキルの様子を見ていたのだ。俺の問い掛けに、この中で一番レベルアップを望んでいるタチアが頷く。探索再開だな。
基本的にタチアのレベルアップとスキルレベルアップの為、最前線をタチアに任せる形で進んではいるがあまりにも相手が多いと俺達全員で事に当たる。俺の『砲撃』は強力だが、スキルレベルアップに繋がらないのであまり多用はしない。射程を延ばす『鷹の目』スキルとか取れば活用出来そうだが、生憎今は『採掘』スキルを育てる事が重要だしエテルが『罠解除』スキルを取得するのが遠退けば俺が取得する必要が出る。『創製魔法Ⅳ』もランクがそろそろレベルが最大に上がりそうなので、コレをどうするかは後で考える。ちょっと相談するかな。
そんな事を考えつつ、迫る『オークスレイヤー』の進路に『クリエイトウォール』を使用。『突進』を壁に使わせて俺への攻撃をキャンセルさせる。其処にエテルが攻撃、独特の発砲音の後に頭部を直撃して吹き飛ばす魔力弾を確認する。『狙撃術』が強化されているのか、命中率が高くなっている気がする。いや、この場合は速力が高くなって補正が上がったのだろうか?
こんなエテルを『守ってやる』とかぬかしていたゴミ共を思い出してムカッ腹が立った、別方向から迫っていた『スレイヤー』の進路上に『クリエイトウォール』を3回使用。一切の加速を許されず俺の目の前に来た『スレイヤー』に渾身の右ストレートを放つ。
武器命中0+速力90=90−(速力40+【白刃流し】15)=35。命中判定。
物理攻撃100−物理防御1=99。
魔法攻撃1+魔法攻撃72=73−魔法防御1=72。
苛立ち混じりにバーストナックルをかましたらオーバーキルどころでは無くなった。物理攻撃だけで『スレイヤー』を殺していたのに魔導砲撃で上半身が消し飛んでしまった。幸い魔石は回収出来たが、流石に少し考えねば。
そうやって1階層丸々敵が『スレイヤー』と化した階層を殲滅し続け、15階層。出現する敵が『オーガ』に変わる階層まで来た。スキルを見れば『創製魔法Ⅳ』『魔力上昇Ⅰ』『魔法攻撃上昇Ⅰ』が最大レベルになっていたので全てランクアップさせる。
周囲を見ればタチアと四葩がスキルを弄っている。タチアはそろそろ『剣適性』と『騎士剣術』が上がった頃だろうか?
四葩は正直分からない。スキル構成を聞いたことが無く、知っていてもせいぜい俺が教えた『鑑定』が有るのを覚えてるくらいだ。後は『舞踊』が有る事が分かるくらいか?
敵が『オーガ』に変わり、タチアのスキルでレア度が行方不明になる『オーガグラップル』を相手にする。のだが、此処で異常事態が起こる。今迄『オーガ』種は出現する数が少なく群れる事が無かったのだが、なんと徒党を組んで出現したのだ。ダリアにエテルの護衛を任せ、俺と四葩とタチアの3人で前衛に立つ。『玄武・改』のおかげも有り俺は問題なく撃破でき、四葩は言わずもがな。タチアも『飛行』を活用して削る戦法で持久戦でなんとかしている。どうも『アンドレイア』のタチアとの相性と性能は俺の予想よりも上のようで、凄まじい連撃を叩き込んで『グラップル』を穴だらけにしている。再生するよりも速く敵を貫けば死ぬとか、完全な脳筋思考だな……人の事は言えんが。
そんな事を繰り返しながら、俺達は15〜20階層を抜け『トロール』蔓延る21階層へ。相変わらずエテルの『盗む』で『ムゥ
25階層からの現れる『ミスリルゴーレム』に俺の正義の怒りをぶつけ、相変わらずレア度が行方不明なミスリルの大量収集になる。『採掘』ポイントで怒りを込めながらピッケルを振るえば、鉄鉱石が出て来た。想定外の効果だが、調子に乗って25〜30階層は同じ事を繰り返した。ボスの『オリハルコンゴーレム』は全力で近付いて即座に額の一文字を消して終わらせる。
「……なんと言いますか、ハイペースで進みますね」
「まぁ、勢い任せ……とも言えないが結構な速度で潜ってるからな。それでも1階層を10分前後で殲滅してると考えても5時間くらい掛かってるけどな」
タチアの言葉にそう返す。最初は20階層に辿り着く迄でもう少し時間が掛かっていた。
スキルレベルが上がり、エテルの索敵範囲が広がった事が大きいだろう。それに俺達もレベルが上がりステータスが向上しているのだ、単純な話移動速度が上がっている。上層とは言えボスの『ゴブリンロード』や『ハイオーガ』に『オリハルコンゴーレム』を3分以内に撃破して進んでいるのは控え目に言って普通では無い。
ただ、現状はスキルレベルの上昇とスキルスロットを空ける事が必要だ。俺とエテルにダリアを除いた2名は魅了耐性を持たない。その為、2人には『性魔術』を取得して貰わないと36階層以降に挑めない。可能なら、スキルレベルが最大になったスキルをランクアップではなく『性魔術』の取得にして欲しい。しかし、基本的に各員の自由に任せる事にしている。彼女達はパーティメンバーだが、自由意志を持つ人間だ。必要になれば頼むが、そうでないならやりたいようにやってもらう。
「この先はダリア頼りになる」
「お任せくださいマスター」
恭しくメイド服のスカートを摘みカーテシーを披露するダリア。お前、まさかそれがやりたいが為にメイド服選んだんじゃなかろうな?
31階層から姿を見せた『リッチ』は悲惨の一言だった、姿が見えた次の瞬間にはダリアの『サザンカ』が叩き込まれる。相手の射程外から魔力砲で跡形も無く消し飛ばされる光景は、いっそ憐憫の情を抱く程。しっかり大型や特大の魔石を時にモンスター防具の素材を回収し、『採掘』で鉄鉱石を採取する。出現した『リッチ』は1階層15〜20体、多い時には40体程出現し即死魔法を使われずに済んで本当に安心した。今回の探索で作れる『錬金術師の卵』は20個と言ったところだろう。そろそろダリアの鎧が作れるくらいには集まって来た。
「どうしたのじゃ、タタラ?」
「いや、そろそろ素材が集まって来たなって。あと一回の探索でダリアの鎧に着手出来る」
「本当ですか、マスター」
俺の言葉に反応したダリアが、瞬間移動の如く目の前に現れる。いや、めちゃくちゃ速いなおい。
「あ、ああ。あと少しで目標数の『卵』が作れるからな、それが今日のペースであと一回くらいになる」
「……遂に、遂に私専用の魔導鎧が作られるのですね」
肩が震えて居て、感情が爆発する手前と言った具合だ。興奮した挙句大暴走しなければいいが。
「なにはともあれ、今日は帰ろう。そろそろ腹も減ったしな」
俺の言葉に全員頷いて、何時ものように帰還結晶を使う俺の身体に掴まる。そして俺達は地上に戻る。
タチアも含めて我が家で夕飯にすると決まったので、全員連れたって家路を進む。そして家に着いた時、門の上に一つの影が有った。
「……都市長の鳥型ゴーレム?」
何時もは俺から逃げる連絡用のゴーレムが、入口で待ち構えていた。何だろう、反逆されるのか?
そう思った時、俺の手元に飛んできた。脚には手紙が括られていて、どうもそれを届けに来たらしい。手に取ると、鳥型ゴーレムは高く舞いさっさと飛んで行った。アイツ、俺から研究のレポートとか括られる前に逃げて行きやがった。
「タタラ、何の手紙?」
「ちょっと待ってくれ」
エテルに促され、手紙を読む。要約すると──
「明日、虎熊家と会合を行って此方に鍛冶師を送る時間を決めたいってさ。俺と四葩、それと護衛二人が昼前に中枢へ来てくれって」
そう伝えると、四葩は了承と言った具合に頷く。
「……マスター、私の鎧は……」
「直ぐには出来ない、ってかそもそも『卵』が足りないと思う。悪いが明日も魔石を回収して来てくれ」
「Yes my Master」
何処か気落ちした風に答えるダリア、悪いことしたとも思うが外交にも関わるので俺ではなんともし難い。
気落ちしたダリアをそのままに、夕飯をとる。今日は駄狐が用意してくれた。朝がハムエッグとシンプルだったのからか、夜は少し凝ってクリームシチューになっている。どうもキッチンに置いてあったエテルのレシピノートから、此方の料理を作ってみたらしい。アレンジが加えられていて、ルゥのとろみが強くご飯によく絡むそれだ。食材もアレンジが加えられていて肉は鶏肉の手羽元で玉蜀黍とベーコンが追加されている。
ご飯に掛け、スプーンで掬って口に含めばかなり美味かった。玉蜀黍と玉ねぎの甘味の後に牛乳のコクが後を引く、しかし長く旨味を味わえると感じる程に野菜とベーコンに使われた香辛料の味が馴染んでいる。ホロホロと崩れる馬鈴薯に、硬さなど知らないとばかりに潰れる人参。玉蜀黍はプチプチと潰れて食感の多彩さを生み出し、手羽元は骨から自重で肉が剥がれる程に柔らかい。煮込まれた軟骨が独特の歯応えを生み出し、ベーコンは微かに硬さを残していた。それらを白米と共にいただくこの至福、まさに口福と言った具合か。
シンプルに飲み物は水だけだったが、熱いシチューのお供にはコレで十分だろう。エテルは美味さに驚きつつ、この味を越えようと決意したのか対抗意識が透けて見える。パンなら最後、更に残った分をパンで掬って綺麗にしたのだがルゥはご飯と共に綺麗に食い切れた。
「ご主人、美味しかったでござるか?」
俺の食いっぷりを微笑んで見ていた駄狐が、そう聞いてきた。
「美味かった、シチューのとろみを強くしてご飯と食べるなんて此方には無かったからこんな食べ方も有ったって感心した」
前世でもライスオンシチューは有ったが、俺は基本的にパン食だった。なのでこの組み合わせは普通にアリだと気付きを得れたのも良い。腹にも溜まるし、選択肢として取り入れよう。
「タチア、そろそろ武器と鎧のメンテナンスが要りそうだから預かるぞ」
「む、確かに必要か。ではタタラ殿、宜しく頼む」
食後のミーティングをしつつ、明日は俺と四葩が不参加と再確認した後で声を掛ける。今日の戦闘中『アーラ』の補助翼は少し反応が鈍く見えた、もしかしたらタチアの速力に追い付けなくなってきているかも知れない。『アンドレイア』は研ぎが必要では無いと思うが、アレだけ『グラップル』に突き入れる場面が有ったから少し様子を見たくなった、無理をさせたのなら少し調整する必要も有る。
タチアを見送り、一人工房に籠もって作業をする。
四葩のソードメイスが想定外にヘタっていた、慣れない武器で取り回しを間違えたのだろうか? 丁寧に補修をしていたら強化された、早くね?
タチアの『アーラ』と『アンドレイア』も強化される。やはり『アーラ』の翼の反応がタチアのそれについていけなくなっていて、反応を上げる為に調整していたら強化された。『アンドレイア』も補修していたら魔石では足りずミスリルを使用することになった。
そしてエテルの『ロニセラ』だ。今日の戦闘でヘタった部分を確認し、補修をしていたら魔石では足りなかった。ミスリルを使用した結果『ロニセラ』の性能が上がった。
魔導銃『ロニセラ』☆
魔法攻撃力5+20
消費魔力5
射程50m
特殊能力『悪魔族バーラルの血族専用』、『血族使用時魔法攻撃力が消費魔力✕2になる』『オーバーロードⅠ』
『鑑定』の結果がコレだ。この先に進化させる切っ掛けが有れば、エテルの戦闘力を高める事が出来る。しかし、肝心の切っ掛けが無い。イヴィルミスリルは相性が良さそうだが、アレの本質は形状記憶合金の特性に有る。状況に合わせて変形する『ロニセラ』を考えたが、それは駄目だ。魔導銃として魔力を伝達する回路は繊細で、それを変形してバグが発生しないとは限らない。なら、銃身は鍛造ミスリルが基本になるだろう。それに伴い、許容出来る魔力量を引き上げる必要が有る。銃に流し込む魔力、霊核から引き出される魔力の許容量を引き上げれば自然と火力が上がる。問題は、拳銃型の『ロニセラ』では其処まで劇的な火力上昇は見込めない事か。本体が小さく、鍛造ミスリルでも精々が今の魔力許容量の3倍が限度だろう。新たなアプローチを考えなければならない。
「た〜たら♪」
そんな事を考えていると、後ろから抱き着かれた。エテルだろう、背中に重みのある柔らかな感触が有る。
「お風呂入ろ♪」
そんな楽しげなエテルの声、脳髄が痺れていく。
「あれ、タタラ?」
我慢の限界だった。朝からエテルの身体を貪っていたが、まったく足りなかった。他の男達に色目を使われ、不快指数は上がっていた。
その上でこの接触だ、もう無理に決まってるだろ?
身体を向けエテルを引き寄せて唇を奪う。不意打ちで反応出来ないエテルの服の裾から左手を潜り込ませ、その大きな乳房を揉む。何が起こっているのか、頭が追い付いていないエテルはまともな対応も出来ず、俺にされるがまま。
唇から侵入させた俺の舌を拒みもしなければ絡めもせず、動かないエテルの口内を蹂躙する。前歯や歯茎、唇の裏等を舌で擦ってやれば驚いたのか反射で身体を離そうとする。だが、それは許さない。右手でエテルの後頭部を抑え、逃げ道を塞ぐ。工房の中に粘性の高い水音が響く。息も吐かせずひたすらに唇を貪り、母性の象徴を弄ぶ。
抵抗が無くなったエテルを抱き上げ、作業台の上に寝かせる。そのまま着ていた物を脱がせ、俺はズボンから興奮で限界まで怒張した愚息を手間取りながらも取り出す。
「あ、たたら……ごめ、ごめんなさい」
俺が愚息を出す姿を見たエテルがいきなり謝罪してきた。
「……どうして謝るんだエテル」
「だって、その……おしごとじゃましちゃって、だからおこってるんでしょ?」
「怒ってるって、何でそう思った?」
やや乱暴気味ではあるが、エテルに怒ってはいない。既に性欲と興奮が限界に達していて、情けない事に抑えられて居ないだけだ。
「だって、こんならんぼうにするのおこってるからでしょ?」
「いや、エテルに興奮してて我慢出来ないだけだけど」
「んに?」
久し振りに聞いた気がするエテルの鳴き声だが、俺の言葉にエテルはきょとんとした表情だ。
「朝に一度してるが、結局発散出来て無かったからな。丁度作業が終わった後にエテルに抱き着かれて、我慢の限界が来ただけだ」
「そう、なの……?」
「今日ムカつく事象が有ったとしたら、あのクソ共に四葩達が絡まれてた事くらいかだな。仲間に苛立ってる事は何もないぞ」
俺の言葉を聞いたエテルは、ゆっくりと反芻した後に安堵の表情を浮かべた。本当に俺が怒っていると思っていたらしい。
「よかったぁ。たたら、いつもよりらんぼうだから怒らせちゃったのかとおもった」
「朝から性欲刺激しててムラついてはいたが、ムカついてはいなかったぞ俺」
「ヘンにうまいこといわないの」
どこか気の抜けた笑顔を浮かべたエテルは、俺の首に両腕を回してくる。
「あんしんしたら、たたらがほしくなっちゃった。きょうもたくさんちょうだい?」
「仰せのままに」
答えてから身を寄せて唇を重ねる。触れうだけで直ぐ離し、互いに見つめ合った後に笑い合う。
と、なんだが甘酸っぱそうな事をしているが下半身はギンッと硬度を増している。俺はそのままエテルの膣口に愚息をあてがい、腰を進める。
エテルから甘い声が漏れ、腕に力を入れて俺に抱き縋ってくる。俺は作業台からエテルを浮かせて、立ったままの俺の腰に乗せる。所謂駅弁と言うやつだ。エテルの体重で愚息が深く挿し込まれ、俺の愚息が根本まで飲み込まれる。
「エテル、動けるな?」
内を圧迫され上手く言葉が出ないらしいエテルだが、首を縦に振って肯定してくる。両手でエテルの柔らかい尻を支え、上手く腰を動かせるように補助する。俺の腰に脚を回したエテルが、腕と脚を支えに腰を動かす。キスの時とは違う水音と、二人の吐息が室内に響く。
きつく締め付けてくる膣口と、柔らかく包んでくる膣内がエテルの腰使いで俺の愚息を丹念に刺激してくる。根本から出口に向けて絞り上げられるその快楽は、とても耐えられるものでは無い。脳髄を焼かれるような、背筋が痺れるような快感を前に情けなくも射精する。支えていた手を逆にエテルの腰が逃げないように使い、最奥に精液を放つ。遺伝子を吐き出す愚息を、膣内が蠢いて一滴残らず搾り取ろうと貪欲に吸い取っていく。
まだ、まだ足りない。まだ目の前の愛しい人と交わっていたい。
浅ましいとも言える独占欲と支配欲が性欲を加速させ、エテルの身体を求め続けている。明日は昼前から会合が有る、早く寝なければならない。理性はそれを理解している。しかし、本能はそんな事よりも目の前の女との交尾を求めていた。
人間とは理性の生き物で有るべきだ、本能に任せて自儘に生きる事は野生動物と変わらない。
しかし、そんな建前は何の役にも立たない。
俺は裸のまま、誰に見られるとしても気にする事無くエテルを俺の部屋に運び続きに移る。
風呂は明日の朝入れば良いだろう、直接会うことは無いのだから。そう言い訳をして、俺は再びエテルの身体を貪り始めた。
おまけ
迷宮監視都市『ワールウィンド』の中央図書館。
その中で二人の少年が忙しなく資料を集め、必要と思った事をノートに書き写していく。
資料の内容は全て特許資料、それも特定個人の出した物。
特許権所有者の名前は『タタラ・ジュロン』、現在『ワールウィンド』はおろか所属する『アクエルド帝国』内で最多の特許権を所有する個人だ。
「エスト、何か見付かった?」
「此方はさっぱりだ、シャムスはどうだ?」
「全然だめ、先輩の資料多過ぎて何がヒントなのか分かんないよ」
互いに確認を行いながら、資料を読み耽り関係が有りそうな物をメモする。シャムスは疎らで、エストはびっしりとそれぞれのノートへ資料の内容を抜粋して書き込んでいる。
「技術も知識も足りないのは承知してたが、まさか『錬金術師の卵』がここまで厄介な代物とは……」
「読める資料、肝心な所が虫食い状態だしね。道理で先輩が最終課題なんて言うはずだよ、コレ前提になる理論が不明過ぎるよ」
溜息を滲ませて、二人はそんな会話をする。日中の授業で師と仰ぐ年の近い先輩、タタラ・ジュロンから課せられた先に作成出来た方を一番弟子と認定すると言われた『錬金術師の卵』。
早速、終業と共に中央図書館に来た二人だが調べる上で待っていたのは一種の地獄だった。
タタラ・ジュロンは個人で最多の特許権を所有している。それは言葉にするとあまり長く無いが、その実関わる者には高い壁になる。個人で最多とは個人と言う括りでの最多保有数なのでは無い、個人で帝国内のあらゆる名家や名門の長い歴史で取得してきた特許所有数を凌駕する。
既に二人が慣れ親しんだ『魔鉄』や『形状記憶合金』だけではなく、簡易な物なら『新型トリモチ』や『誘蟲香』に『殺虫術式』など生活を支える物。複雑な物なら『魔力循環駆動術式』や『反重力術式』等再現が叶わない物がわんさと有る。
この膨大な資料の中で、最も難しいであろう『錬金術師の卵』の作成のヒントが何処かに有る。それを察した二人は数時間この資料室で紙束とにらめっこを継続しているのだ。
「……やっぱり、一番怪しいのはコレだよねぇ」
疲れから上手く口の回らなくなっているシャムスが手に取ったのは『浮身石』の資料だ。
そも、タタラが『錬金術師の卵』を見せる前に作成を見せた意味。あまりの衝撃で追求を忘れたが、『浮身石』と『錬金術師の卵』は何かしらの繋がりが有るはずだとシャムスは直感で理解した。シャムスから見てエストの追求から渋々出した感じはしたが、作成する上での工程はおそらく同じ物になる故に先に見せ、卒業する頃に最終課題として見せるつもりだったと推理している。
「この『魔力万有引力の法則』ってのが気になるが、資料が一切無いんだよな……」
エストもまた、シャムスの直感を信じて『浮身石』の資料を徹底的に確認した。その際に書かれていた見慣れない理論である『魔力万有引力の法則』と呼ばれる単語。
資料に記されていた内容としては『魔力はより密度の高い魔力に引かれる』と言う物。『浮身石』以外では記載のないこの理論こそが、ヒントなのだとエストは予測する。
「複数の特大の魔石を圧縮して融合させる……コレが作り方としては正しいんだと思うんだよね」
「目の前で実践された『浮身石』の作成方法から考えるとそうだよな、その後に出された物は大きさが同じくらいだったけど……単純に魔力の密度の差か?」
互いに意見を重ねながら思考する二人の姿をタタラが見たのなら、その才能に嫉妬しつつも喜ぶだろう。尤も、二人にとってはコレを一人で思い付いて創り上げた当人こそを天才や化物と呼ぶのだと訂正するだろうが。
「先輩の卒業迄に取っ掛かりは見付けたいな」
「せめて『浮身石』……は無理でも、特大魔石の錬成くらいは出来るようになりたいよね」
遥か彼方に独り立つ尊敬する先輩を思い、弟子の二人はそんな会話を交わすのだった。
もし、番外短編が有るのなら※一応全部書くつもり
-
タタラとエテルの立場逆転
-
現パロ(エテルヒロイン)
-
現パロ(四葩幼馴染)
-
武器が擬人化してタタラへ物申す
-
年増組と同い年
-
聖人カレハ
-
原作エテルとタタラ
-
ガチ妹ダリア・ジュロン