既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。 作:アルカミレス
『看板娘』イベント継続中
タタラ強化イベント発生中
体調を崩した為に遅くなりました、風邪の最中は思考力弱って駄目ですね。
鍛冶場から庭先へ向かい、お義母さんを探す。そして縁側にて雛菊さんと並んで座禅を組むバカと、その背後にて精神注入棒らしき物を持って立つお義母さんが居た。
いや、何だこれ?
声を掛けたいが掛けていい雰囲気じゃない気がする、立ち入ったらダメなヤツじゃないかなこれ。そう身構えていると、バカの身体が少し動いたのが見えた。集中を乱したのとは少し違う気がしたが、次の瞬間にはお義母さんがバカの肩に精神注入棒を添え身構えさせてから一打入れた。打撃音があまりにも重々しく、思わず身がすくんだ。いったいどんな威力で打ち込んだらあんな音が出るんだと疑問と恐怖が尽きない。
「それでタタラさん、なんのご用意でしょうか?」
精神注入棒を静かに引いたお義母さんがゆっくりと振り向きながら聞いてきた。何故かホラー・サスペンス系の映画で殺人犯に目撃を知られていた時の場面みたいな緊張感が出て来るんだろう?
「あの、新しい概念武装が出来たので性能の実験がしたくて……」
「そうですか……え、新しい概念武装!?」
軽く聞き流し掛けて一拍遅れて言われたことを理解するお義母さん。驚愕と言った雰囲気で若干語調も乱れていた。
「ええ、守刀になる物を作ったので実験を手伝って欲しいんですが」
「それで、どのような頓痴気を作ったのですか? 次元を切り裂く概念ですか? 破損を無かったことにする概念ですか?」
「食い気味でそんなトンデモ概念武装を思い付かないで下さい」
流石にそんなの作れないって、何で時間遡行とか次元干渉なんて概念を思い付くんだ……そう言えば神々や魔神のバックアップ込みとは言え初代RPGの主人公は魔剣で世界ごとラスボスを斬って弱らせてたな。わりかしよくある概念なのかも知れない。
「その、出来たのは控え目な物で『厄切』ってお師様は言ってました。どうも害になる干渉尽くを防げるみたいな」
「そうですか、思ったよりも控え目ですね……殆んど国宝級の性能ですが」
害になる物を尽く弾く、とお師様は言っていた。自然的な物と呪術的な物に限り毒物等はカウント外になりかねないが、それでも護衛関係はかなり改善されるだろう。
「それで、その……」
「実験ですね、私の魔法に耐えられる事とタタラさんの『性魔術』関係に対する耐性の確認でしょう」
「はい、その通りです」
「生憎、私は『性魔術』関係に耐性が有るので……雛菊を使うか四葩が帰るまで控えましょう。雛菊に通ってしまったらお友達の鍛練に差し障りが出てしまいますし」
あの、その『あわよくば発情した四葩と通じれば』みたいな顔をしないで貰えませんかね?
「出来れば幾つかは今のうち調べておきたいんですよね……夜には都市長に送らなきゃだし」
「そうですか……では、私の干渉系だけでもやってしまいましょう」
「そうですね、5本有りますけど協力お願いします」
「わかりました……え、5本?」
お義母さんの前でインベントリから守刀を5本取り出す、早速一本持ってお義母さんに向き直る。完全に置いてけぼりの表情で俺を見て来て今度は俺が戸惑った。
「あの、お義母さん……?」
「5本?」
「ええ、5本です」
「同じ概念の守刀が5本?」
「ええ、一本の刃を5つに分けたので同じ概念を持つ物が5本出来ました」
「タタラさん、本当に人間ですか? 神族じゃなく?」
「血統書付きの人間種ですよ」
向こう十代程遡っても亜人系の血は流れてないのは両親が笑いながら話してくれたのを覚えている。一度は『天使長』が俺の血に声が聞ける秘密でも有るのかと言い出して調べられた事も有るが、今の時代では珍しい程に混じり気無しの人間だったらしく『天使長』からは魂由来の物と判定された。何処までいっても純粋な人間種なのが俺である。
「此処まで来ると、妖怪にも思えますね。一つのことに対して権能にも似た力を発揮できる種も居ますし」
「人外認定進ませるのやめません? ただでさえこの街で種族:タタラみたいな扱いされる場面有るんですから」
アレには流石に少し傷付く、開き直ってはいるけど心は無傷じゃないんだよなぁ。
「それに陽出國にはお師様も居れば
「ふふ、タタラさんったら」
俺の言葉にお義母さんは口元を隠して笑い──
「タタラさんと一緒にされたら『あんなのと一緒にするな』と怒られますよ」
真顔でそう続けた。それは果たして何方の意味か……あんな未熟者と比べるなって意味ならいいけど、あんな意味不明なナマモノと一緒にするなって扱いだと流石に凹む。怖いので聞くのはやめとこう。
「取り敢えず、今出来る分の試験はやってみましょう……タタラさん」
「あっ、はい?」
「催眠」
「うぇ!?」
あまりにも唐突にお義母さんから催眠魔法を掛けられた。
──キンッ
ただ、そんな澄んだ何かを切り払うような音が聞こえて魔法の干渉は俺に起きなかった。
「ではタタラさん、四葩との孫の名付けの権利を頂きたいのですが。それと陽出國に骨を埋めません?」
「いえ、それは前にも言いましたけどダメです」
「チッ」
あの舌打ち聞こえてますからね?
しかし、あの音が『厄切』の発動を意味する物なら確かに概念は働いていた。気軽な物かも知れないがお義母さんの悪戯みたいな悪意すら無効にするのならば、この『厄切』の概念はかなり良いものだと思う。
「睡眠」
「あの、お義母さん?」
──キンッ
「混乱」
「その、そろそろ」
──キンッ
「忘却、発情」
「おい今何を混ぜやがった」
──キンッキンッ
忘却と発情って何だオイ、使い方によったら最悪のそれじゃねぇか。
「麻痺」
──キンッ
「毒」
──キンッ
「激昂」
──シンッ
「……コレは本当に強力な守りですね」
「満足したようで何よりです」
「あらタタラさん、落ち着いて下さい」
「俺は落ち着いてますよ、ええ。怒る要素は無いでしょう、俺は冷静だ」
「……すみませんでした」
よくわかラないがオかあさンからしャざいをウケた。どうシたのダろう?
「そ、そう言えば何故5本も用意を?」
なんだカはなシをごまカそうとしてイるヨうに見エるけど、今は気にしないヨうにしよう。
「一本は都市長へ、二本はお義母さんと陽出國へ、残り二本は俺の弟子へ其々贈る為に用意しまシた」
「……」
俺の言葉ヲ聞いて何だかお義母さンが黙ってしまった。そんな居た堪れないとか思ってそウな顔してドうしたんデすかね、お義母サん?
「その……本当に申し訳ありませんでした」
遂には頭まで下げて来た、それだけ悪い事だと思うなら初めからしないで欲しいのだが。せめて何を使うかを先に言うなり相手へ配慮してくれと。
「まぁいいですけどね、お義母さんも研究者ですしそういった面も有るんでしょうから」
「あ、はい……」
「どうせ俺なんて血の繋がらない他人でしょうし」
「うっ……」
「仮に『厄切』が上手く作用しなくても所詮は」
「お、おいタタラ!? その辺でやめとこう、な!?」
横からバカが割り込んで来た。アレ、座禅はどうしたんだ?
「いや、真横でタタラがキレてる中でまともに座禅なんて組めるか! 普段から考えられないくらいにキレてるが何がどうした!?」
「俺がキレてるって、何言ってんだ……キレてねぇよ?」
「どう見てもキレてんだよ!?」
馬鹿な事ヲいうな、キレてンなら最初にウぉーハンマーを抜イてるゾ。
「あの、奥様。タタラ殿に解呪を使用した方がよろしいのでは?」
「え、はっ!? そ、そうですね……か、解呪っ!」
「あ、奥様これタタラ殿が本気で怒ったから動揺してますね」
「普段自分自身についてで怒る事があんま無いからか、アイツが自分のことでキレる場面って嫌な威圧感出るスよね……」
雛菊さンに促さレ、お義母サんが何か魔法を使用した。頭の中が妙にスッキリした感覚がした後に気分が落ち着いたような気がする。
「……何か有ったか、今の」
『戻った!』
「いや、よくわからないが声を揃える程か!?」
なんでお義母さんは安堵してんだ、つかバカと雛菊さん妙に仲良くなってる? コレはワンチャン狙えるか?
「あの、タタラさん。そちらの守刀は大丈夫そうなので性能試験は一先ず……」
「え、はい分かりました」
なんだか本気で凹んだ雰囲気のお義母さんに言われて、用意した守刀を全て回収する。後で刀装具を着けないとな。
「それじゃ俺はお師様の所へ戻りますね」
「はい、お気を付けて」
お義母さんに見送られて再び鍛冶場に向かう、背後からは何か溜息が聞こえた気がしたがなんだったのだろう?
鍛冶場に戻るとお師様が何かを作っていた。鍛造をしつつ1枚の鉄板か鋼板を鍛えて曲げている。様子を眺めていた俺に気付いたのか、お師様は俺に目も向けず作業を続けながら声を掛けて来た。
「
「いえ、お義母さんも協力的だったので早く終わりましたよ」
「……
早く済むのか意外って印象なのか、いや確かにあんな実験好きみたいな雰囲気の人ならもっと捕まって彼是されるのが普通か。
そんな事を考えながらお師様の作業を見る。板を鎚で叩きながら少しずつ椀状と言うか、底の有る円筒状で鍋にも見える物を作っている。
「あの、お師様。それは?」
「
「言って貰えれば造りましたよ」
「
そう言いながら釜を打ち上げていく、『鑑定』を掛けてみれば見事に均一な厚みで作られていた。前世だとコレはプレス加工で作られてただろうし、『ワールウィンド』ではクラフトで形状変化させるのが一般的だろう。それを手作業で見事な釜を作るのだからとんでもない
俺は台座部分でも作ろうか、鍛冶場の炉と同じ形式にして魔力の制御で自ら炊く機能を残しつつ自動炊飯機能を欠かさない物の予定だ。一旦鍛冶場から工房に戻り、台座を作っていく。参照にしているのは当然お義母さんから譲られた炊飯窯、あれが陽出國で一般的なのか高級な物なのかは分からないが俺が構造を唯一知り製作が出来る物なのでアレを参考にする。釜を収めるスペースを作り、薪をくべる箇所を鍛冶場の炉に備え付けた鞴の柄と同じ意匠を施す。一華が言っていた魔力で温度調節ができるだけも非常に便利だと言っていたので、自動化だけでなくこの機能も付けておく。何気に俺の炉と構造的に同じなので、お師様が同じ炉を戻ってから製作したのなら日々熟練できるものとしても有用になるだろう。余った『錬金術師の卵』を動力として組み込んで完成だ。
流石に少し重いので『浮身石』で軽くしてから持ち上げて、鍛冶場に持って行く。
「お師様、窯の方が出来たんで渡しますね」
「
「あ、すみません。まだ釜の製作中でしたか」
俺が持ち込んだ時点でお師様はまだ釜を打っている最中だった、コレだけ時間を掛けると言うなら余程の拘りが有るのだろう。俺ならクラフトで五分も掛からず終わらせてしまうので、この拘りを見習うべきかも知れない。
「取り敢えず、此処に置いておきますので後で確認して下さいね」
「……
「流石の俺も変な機能は追加して無いですよ。それと米の炊き加減は後で覚えさせるので、お師様が実際に炊いてみて下さいね」
「
「そうだったんですか……」
もしやお師様も料理上手いのでは? しかし、釜の大きさで炊き時間が変わるかも知れないから帰ってきたら一華に確認しよう。
鍛冶場から庭先に戻る途中、水を用意して持って行く。今日は用意出来なかったが檸檬の蜂蜜漬けを用意するか、アレは疲労によく効くからバカの鍛練にピッタリだろう。それかスポーツドリンクを作るか。何方にしても檸檬を用意しなきゃならないな、後でひとっ走り市場へ行って買わないと。庭の隅で育てれば使える場面も増えるから、植えるのも有りかな……後でエテルと相談しよう。
縁側に着くと、庭先でバカと雛菊さんが打ち合い形式で稽古をしているのが見えた。雛菊さんはかなり余裕が有る動きなのに対して、バカは割と彼方此方に無駄な力が入ってしまっていて体力を大きく削られているらしい。やっぱり、近衛だけあってあの人の技量はヤバいな。
「攻撃をする場所を注視し過ぎです、狙っている箇所が丸分かりですよ」
「はいっ!」
視線で攻撃を読むって、確かに対人戦の基本だとは聞くがそれを隠すのって古武術の奥義みたいなもんじゃないのか?
いや、前世はもうこの手の技術は必要とする人自体が少なかったからそうなっただけかも知れないか。現役で切合いが起こるから基礎として教えられもするだろう。
「雛菊、その技術は刀術を教える初日に求める物ではありませんよ。貴女が見るべきは型と太刀筋の矯正、打込み稽古である事を忘れて素の打ち合いをしようとするのをやめなさい」
……違った、雛菊さんが教えるのに慣れてないだけだったコレ。バツの悪そうな表情をする雛菊だが、バカはバカで普通にその技術を吸収しようとしてたなアレ。時計を見ればまだ昼食をとってから2時間も経っていない、なら少し離れても大丈夫かな?
「あの、お義母さん」
「ひっ!? な、何ですかタタラさん?」
何でそんなにビビられたんだ俺。それはそれとして買い物に行くことを伝えないと。
「少し買い物に行ってきます。戻るのには1時間ほど掛かるのでその間お願いしますね」
「そ、そうですか……行ってらっしゃい」
あからさまにホッとした態度を取らないで欲しい、俺でも少し傷付くぞ。
市場で檸檬の実と鉢植えされた木を買ってインベントリに仕舞う。ついでに雛菊さんのジャージを仕立てて貰った所でバカ用のジャージを買う。生地が更に厚い男性用、其処に肘や膝のプロテクター加工を施して貰い特急料金で前より少し値段が高い27000でのお買い上げだ。今回は生地の厚みで値上げをするしないで問答が有ったが、俺のオプション料金の羅列で音を上げさせた。次からは元々30000辺りを吹っ掛けるんだなと高笑いすれば、鬼や悪魔と半泣きで言われた。何となくこの先も付き合いが続きそうな気がする店主さんにしっかりと代金を渡しつつ。帰路へつく。
「あ、店主さん!」
「あ、どうも」
帰り掛けに出会ったのは成金さんだ。生憎とここ最近はお師様の下刀鍛冶の日々で店を開けられていないので、傷薬を買わせてあげられていないが無事そうでよかった。
「お買い物ですか?」
「ええ、少し食材と服を。そちらは探索帰りですか?」
「いえいえ、今日は探索を休んで皆思い思いに過ごしてますよ」
日常会話をしつつ、行先が同じ方向らしいので一緒に歩く。
「あまりお怪我は無いみたいですね、お売りした鎧が役立ってくれているようで何よりです」
「はい、もう本当に助かりますよ! 『オーク』の突進を加速が乗る前とは言え受けても殆んど損傷しないんですから、店主さん様々ですよ!」
「……それは危ういので気を付けて下さいね」
俺の作品って『オーク』の『突撃』を耐えられるんだな、初めて知った。
「ただ、他のメンバーからは防御力が足りないから他の部位もと怒られまして……」
「ガチガチに固めて貰わないと他のメンバーも安心出来ないんでしょうね、次は具足ですかね。足癖が悪いと蹴り技でも『ゴブリン』くらいは殺せますし」
「店主さんって結構物騒ですよね……」
俺の勧めに苦笑いする成金さんだが、俺としては具足もそうだが両手剣を買って欲しい物だ。刀は合わないだろうが、身幅の広い大剣は武器を盾にしている傾向の強い成金さんにはピッタリと合うだろう。
「傷薬は足りてますか?」
「怪我が減ったので相対的に消耗が抑えられてますね、店主さんの言う通りでした。仲間からも『先に防具揃えとけ!』って怒られてしまいましたよ」
「いい仲間ですね」
「ええ、最高の仲間たちです!!」
専属のクラフターが居ないのなら、俺の卒業後は是非店の常連になって欲しい所だ。成金さんの装備を仕立てて上げたくなるのもそうだが、物理アタッカーが居るのなら俺の店の武器はかなりの底上げになる筈。ダンジョン産の武器よりも優秀な自負は有るしな。
そうして途中で成金さんと分かれ、家に着く。きっちり1時間で帰宅した俺は檸檬の鉢植えをリビングの光が当たりやすい所へ置き、庭先へ向かう。其処には地に伏したバカと、地面に正座させた雛菊さんの目の前に仁王立ちして立つお義母さんが居た。
何やったんだアレ。
「……大丈夫か、起きれるか?」
「……っぅ、あれタタラ…?」
「見事に気絶してたみたいだが大丈夫か?」
「結構キツイ、頭に一撃食らって意識が飛んでた」
「割れては無い様だが……少し動くな」
バカに『概念鑑定』を使用して脳の状態を確認する、大きな損傷は見受けられず脳震盪としても軽度である事が鑑定出来た。ただ、少し休ませてやらないと駄目だなコレは。
「縁側で少し休め」
「……そうするか、まだ少し目が回ってるみたいでな」
「最悪今日は終えて明日だな、一晩寝れば多分治ると思うが……心配なら乙女様の教会で癒薬貰うべきだな」
「頭の事ならその心配も過剰って訳じゃ無いんだよな……」
医療技術はそこ迄高く無いこの世界だが、脳がかなり重要な器官であるのは周知されている。この手の頭に怪我が起きた場合、無理をさせられないと即座に判断される程度には理解が高い。
「それと、コレ」
「あん? ……ジャージか」
「洗濯も大変そうだからな、庭先でやる限り貸してやるし洗濯も此方でするぞ」
「……コレ、完全に俺用じゃねぇか。タタラのガタイじゃ着れねぇだろ」
「依頼してんのは俺だからな、福利厚生はしっかりやるのが主義だ」
「そう言うもんかね……」
頭をガシガシと掻いた後でバカはジャージの受け取りを承諾して、言い難そうに口を開く。
「その、タタラ。スゲェ言い難い頼み事が有るんだけどよ……」
「金貸すなら100万が上限な?」
「チゲぇよ! それとポンとそんな大金貸そうとすんな!!」
必要なら億くらいまでならこのバカに投資出来るのは流石に言わない、コイツの活躍ならそれくらいは5年で稼ぐだろうしな。
「俺の弟と妹達……特に下の三人を連れて来たいんだが」
「うちは託児所じゃ無いんだが」
「そうだよな……」
「工房や鍛冶場に入らない。お昼は俺達と同じ物を食べる。お義母さんや雛菊さんの言う事をちゃんと聞く。おやつは300まででバナナやオレンジは含めない……コレを守れるならいいぞ」
「いいのかよ、ってか最後の何だよ!?」
「お前の兄妹達は俺も知ってるしな、大人しくしてるなら俺も文句は言わないよ。それと最後のは初等部でよく戦争になっただろ?」
「主にお前が先生相手に引き起こしてたんだけどな!?」
そう、忘れもしない初等部の頃。前世で起きたおやつは300迄の穴を突いて何処まで甘味を持ち込めるかの頭脳戦で先生から数々の権利を勝ち取ったあの時代、俺は同級生から『ハカセ』と呼ばれるガリ勉くんだったがその頭脳で権利を勝ち取った結果から蔑称を敬称へと変えたのだ。大手を振って果物を持ち込む子供達の前でフルーツサンドを出した時など流石に先生もキレたが。
でもフルーツサンドって普通にサンドイッチだから文句言われる筋合い無いんだよな、その時の俺はきっちりおやつ300迄しか持ち込まなかったし。その時おやつにお菓子を持ち込む経済的余裕の無かったコイツが、売物にならない果物を大量に持たされて来たのでガキ大将に祭り上げられたりしたのだがそれは語る必要は無いな。需要が有るかも分からん……仮に雛菊さんがコイツのエピソードを知りたがったら積極的に話すけど。
「それとコレ」
「……何で金?」
「刀術習ってる間は探索行けねぇだろ、経済的な打撃が無視出来ねぇだろうしコレくらいは普通だ」
「いや、お前……」
「俺は依頼主、お前は受託者。OK?」
「……はぁ、本当お前って」
完全に諦めた表情のバカは俺から金を受け取る。日々の稼ぎとしては足り無いかも知れないが、無いよりはマシだろう。
「将来的には教鞭取ってもらって、未来の探索者達の生命を守る一助になってもらうんだからな。コレくらいは安いだろ」
「この金が税で賄われてるなら文句はねぇが、これお前の稼ぎだろ?」
「一つの特許で働かなくても毎年500万入るからな、問題ねぇよ」
「何を売ったらそんなに……」
「ホイホイとトリモチ玉の特許だけでも毎年1千万入るな」
「日々お世話になってます」
バカに思い切り頭を下げられた。まぁ、古い家ならホイホイが仕事めっちゃするだろうしトリモチ玉は小さい家族を守る為に活躍するだろう。
「このまま説教で終わるかな、今日の稽古は」
「刀術は礼に始まり礼に終わるって言われたから、挨拶はしたいんだけどな」
二人して水差しからコップに水を注ぎ、お義母さんに説教される雛菊さんを眺め続けた。
それから暫く経って雛菊さんへ挨拶をしてバカは帰っていった。初日でもかなり腕を上げた様子のバカだが、まだまだ刀術を修めたとは言えないレベルなのだと雛菊さんは言っている。そんな相手に少し本気を出して脳震盪させたんかと思わなくも無いが、まぁそこはスルーしよう。俺は逃げずに隠れてやり過ごそうとしていた鳥型ゴーレムを捕獲して、刀装具を拵えた守刀を持たせて都市長の下へ送った。都市長ならもっと強力な御守りを持っているかも知れないが、一助にでもなればいいだろう。
「で、帰って早々何故妾は呼び出されたのじゃ?」
そして四葩に実験を手伝って貰うため、探索から帰ったばかりの所を付き合って貰っている。
「少し新しい装備が出来てな、効果を試したくて四葩に手伝って貰おうと」
「妾にかの?」
「エテルとダリアは無理、タチアと一華も何か無理そうなんでな」
「ふむ……耐性関係か?」
「正確には魅了耐性だな」
俺の言葉に四葩は納得と言った具合に頷く。鬼は薬効耐性が異常に高くそれに合わせて毒耐性がほぼ無効の域に達している、しかし精神異常系の耐性が阿呆ほど低いのだ。35階層から先に現れるレアモンスター『吸血鬼』の一番厄介とされる『性魔術』の魅了で一番怖いのが四葩が魅了されて敵に回る事だ。『概念鑑定』を使われたらタチアすらも一撃なので、対象から外れるダリアに前に出て貰うしか無い。
「ふむ、では妾が魅了されぬようならその御守りも有用と言う事になるのじゃな。それならば協力しよう」
そう言って了承してくれた四葩に守刀を渡す。俺が作った物に対して何処か呆れながら受け取る四葩に真っ直ぐ向き合い、俺は『性魔術』を使用する。魅了が四葩に作用するのを魔力の流れから感じ取る、さて実験はどうなったのか。
「四葩、大丈夫か?」
「……ふわふわする」
「もしかして掛かったか?」
「違う……と思うのじゃ、何か命令して確認して欲しいのじゃ」
「命令……命令かぁ」
「普段言わないような事、頼まないような事を言うと言いのじゃ」
普段頼まないような事、四葩が拒否するような事をかな。うん、普段の通りの四葩なら絶対に受けずにツッコミ入れてくれるヤツなら思い付いた。
「服を脱いでくれ」
そう冗談めかして言った次の瞬間、四葩の服が消えた。一糸纏わぬ姿になり、その瑞々しく張りのある褐色の肌を曝す。小さいながらもしっかりと膨らみを確認出来る乳房、線は細いが鍛えられた肩に腕。細い腰に反してしっかりと肉の乗った臀部に太腿。そして本人が以前零したように無毛の股間は少し湿り気を帯びているような。
「ちょっ、おまっ!?」
「なんじゃ、脱げと言ったのはタタラじゃろう?」
不思議そうに答える四葩だが、その目にハートが浮かんでるように見える。完全に魅了が通ってるだろこれ。もしやコレ、御守りとして失敗作なのでは?
「タタラさん、そろそろ……あら? あらあらあらあら♪」
其処にやって来る
「四葩、初孫期待してますからね♪」
「待ってお義母さん! 四葩を止めて下さい、魅了が通っているみたいなんです!!」
「あら『厄切』が働かないと言う事は四葩にとってタタラさんの魅了は害では無いという事なのでしょう?」
「え、『厄切』ってそう言う物なのか!?」
じゃあダメじゃ無いか、持ってる人間如何では裏切られたりするって事だよな?
「そもそもタタラさんの場合、四葩もそうですがエテルさんやタチアさんに一華のような懐へ入れた相手を害する事など無いでしょう? 『厄切』もそれを分かっているでしょうから、タタラさんから四葩への魅了を通してもおかしくないと思います」
「いや、えぇ……」
因みに、お義母さんが入ってきた辺りで四葩は俺に抱き着いて身体を隠しつつ俺へ押し付けて来ている。エテルの豊満さに慣れていると思う事無かれ、四葩は四葩で別の感触が有り愚息が反応してしまっている。それに気付いたのか四葩が下半身を擦り付けてきて危うい。正直この場で押し倒してしまいたくなる。
「それでは、1時間ほど此処に人を近付けないようにしておきますね」
「その無駄に物わかりがいいのやめません?」
出て行くお義母さんを止められず、部屋には俺と四葩の二人きりだ。四葩の息が荒くなっているのが分かり、俺も正直四葩を抱いてしまいたい。
だが、それは駄目だ。四葩の決意を踏み躙るような行為は俺が許せない。それに、そんな風に関係を持つのはきっと互いの為にならないだろう。
「タタラはそのままで良いのじゃ、妾がするのでな」
と、そんな事を言った後に四葩が膝をつく。膝立ちの体勢のまま俺のズボンを脱がし、下着から愚息が飛び出す。俺の愚息を前にして目を見開く四葩だが、次の瞬間には何処か嬉しそうな表情をする。
「妾に興奮してくれたのじゃな、ありがたい。しかしの、まだお主を受け入れてやれんのじゃ……だからのう」
そう俺の愚息に語りかけながら、その先端に口付けをする四葩。口付け、舌を這わせ先端だけでなく陰茎を舐める。
「今回は口だけで満足しておくれ、タタラの鬼包丁」
お師様から妖刀呼ばわりされた次は鬼包丁か、俺の愚息の扱いっていったい。
『流石にキレていいと思ったのでスルーした事を懺悔します』
『害にならないと判断しました。反省はしていますが、後悔はしていません』
もし、番外短編が有るのなら※一応全部書くつもり
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タタラとエテルの立場逆転
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現パロ(エテルヒロイン)
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現パロ(四葩幼馴染)
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武器が擬人化してタタラへ物申す
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年増組と同い年
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聖人カレハ
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原作エテルとタタラ
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ガチ妹ダリア・ジュロン