※この作品はR-18です。

既知転生しましたが、憑依転生では無いようなので静かに暮らしたいと思います。   作:アルカミレス

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自由行動パート

 学園の授業は昼過ぎに終わる。コレは前世の社会と違って、学園に通う年齢の者達でも労働力として見なされるからだ。それでも義務教育が成り立つのは『ワールウィンド』内での生活費が安いというのが理由だろうし、国営である関係上税金として各家庭から支払われているからというのも有るのだろう。

 結局税金として払うのなら通わせた方が勉強で読み書きや計算を覚えるので、卒業後に着く職で即戦力になる。そういう思惑が見える。夢と希望、剣と魔法のファンタジーもいざ暮らすとなるとそこ迄夢の世界では無い。

 少女と合流した俺は、この後の行動を少女に確認する。昨日は探索に入らなかったが、今日も少女が潜るなら自分もダンジョンへ挑もうかと思っている。そうで無いなら店を開けるつもりだ。

 

「この後はどうするんだ?」

 

 校門を出た辺りで少女に問い掛ける。此処からなら何時も潜っているダンジョンから近いので、挑むなら直ぐに着く。

 

「んー……潜ろっかなって思ってる。やっぱりさ、レベル上げたいし」

「なら俺も一緒に行っていいか? 22階層までミスリル取りに行きたくてな」

「んに!? まだレベルがマージンに届いて無いんですけど!?」

「俺も居るから何とかなるだろ、正直25階層まで連れて行ける自信は有るぞ?」

「レベルがマージンに届いててもステータスが足りないかも知れないでしょ!?」

「まぁそこは不安にもなるか……」

 

 イレギュラー個体が出る可能性は少なく無いが、正直ボスや格上を倒した方が経験値の溜まりは早い。少女は浅い層で地道に上げるつもりみたいだが、装備も考慮すれば20階層のボスまで挑むのを繰り返した方が良い。前回はモンスターハウスに嵌まった為に撤退したが、トラップが無ければ20階層のボスに挑むつもりだった。敵に取り付かれ無いように正確な射撃を続ける事で集中力を切らしていたあの状態で、初めて挑むボスなど無理だろう。

 

「で、22階層は無くても深めに潜るつもりは無いか?」

「うぅ、ちょっと怖いよ……」

「まぁ、未知な階層は怖いだろうが……探索者ならこの先もこういう事どんどん増えていく筈だぞ?」

「そうなんだけど……」

 

 正直に言うと、少女の気質は探索者に向いていない。未知へ挑む際に躊躇してしまうし、生命を奪う事を心の一番深い処で忌避している。そういう意味でも、相手を殺した感触が直接手に残らない『ロニセラ』は彼女に最適な武器だったのだろう。

 何方かと言えば前世で基本的に命のやり取りをしていない俺が、モンスターとは言え人型のゴブリンやオーガ等を躊躇なく殺せる方が異常なのだ。

 

「俺が付いて行くのは逆にチャンスだぞ、俺が前線で戦ってる時に相手の動きを観察出来るからな」

「うぅん……うん、今日は深めに潜る。それに、新しいスキルも確かめたいし」

 

 若干催促する形になった気はするが少女と二人で20階層より先へ潜る事に決まった、それならばとダンジョンへの道をさっさと進んで行く。

 コレから挑むダンジョンはゲーム『深く深い闇の先で』においてメインシナリオで潜り続けたダンジョンになる、一応ダンジョンそれぞれに名前が振られていて、今回挑む物は『常闇の洞』となっている。構成は最深100階層、10階層毎にボスが配置されていて5層毎に出現モンスターの傾向が変わる。トラップも少しずつ厄介になっていくので、都市内にある事も含めて練習用として扱われている。

 

 ただし、それは50階層まで。

 

 このダンジョンは最深が100階層であると先に述べたが、それが分かっているのはゲーム知識が有る自分と『天使長』の様な全知を持つ者。そして最奥に居るダンジョンを生み出した魔神くらいだろう。現状、最も深く潜った公式記録は73階層となっている、両親がその生命を散らした階層から僅か3層しか潜れていないのだ。この世界でレベルの上限は一般的に50であり、俺は転生のおかげか60まで上がるが少女は50である。そして、安全マージンを考えると50階層より先は人間種の限界を越えた世界になる。装備で補えたとしても、油断をすれば即座に死へと繋がるだろう。

 俺自身、そこまで潜るつもりは無い。生活して行くなら30階層近くまでで集められるミスリル製の装備だけでも余裕が出来るだろうし、40階層辺りで集まる素材を使えたのなら子供が出来ても不自由の無い生活が出来るだろう。わざわざ50階層のゲーム時代でもクソ面倒だったボスを倒してその先へ行く様な危険を侵さなくても、きっと普通に満足した人生を送れる。

 少女はどうなのだろう、一緒に住んでは居るが基本的に彼女の探索者になった目的等は聞いたことが無い。将来の夢みたいな物は昨夜溢して居たが、俺が拾う前に探索者を志した切掛を俺は知らないのだ。

 何時かは教えてくれるだろうか?

 

「そう言えば、傷薬とかはキチンと数揃ってるか?」

「え? 普段から近付かれる前に倒してるし、基本的に余ってるけど」

「なら良いが、心許ないなら言ってくれ。商品全部は無理だが、100個くらいなら余裕で融通出来る」

「流石にそんな要らないが?」

 

 そんな会話をしている間に、ダンジョンの入口へ着いた。それは巨大な洞窟の入口、高さは20m以上で幅も10m以上で入口から覗けるのは精々5mも無いだろう。自然ではあり得ない闇が広がっている。

 そしてそんな入口の前で、遊園地の入場管理みたいな光景が広がっている。ダンジョンは所謂国の財産であり、他国の冒険者等が勝手に入って資源を持ち出さない様に監視している。国から派遣された管理委員会の人間が、背後に騎士を従えて身分証を確認している。

 俺と少女なら学生証で通行出来るが、卒業した後は国が発行した身分証を取得して見せる必要が出る。国を跨ぐ冒険者ギルドの身分証でも、この国所属で無いのならダンジョンへ入る事が出来ない。もし仮に他国の人間が入れるとするならば、それこそ対等以上の国家権力だとか誰もが知る英雄みたいな人物くらいだろう。

 

「失礼します。身分証の提示を願います」

 

 近付くと一人の女性職員がにこやかに話し掛けてきた。俺はインベントリから学生証であるプレートを取り出して渡し、受け取った職員は真剣な面持ちで学生証に浮かび上がる情報を読む。最後に俺の顔を確認した後、再び笑顔になり学生証を返してきた。

 

「確認しました、それでは気を付けてお進み下さい。ご協力ありがとうございました」

 

 一礼して俺を見送ってくれる女性職員。そのまま少女を待とうとしたところ、別の職員が立っていた場所が騒がしくなる。何事かとそちらを向けば、複数の騎士に囲まれた中に取り押さえられた怪しい風体の女性が居た。不思議に思って見ていると、どうやら身分証の提示をせずに無理矢理通ろうした所を取り押さえられたらしい。もしかしたら別の国の冒険者か、それに扮した諜報員か何かだったのだろうか?

 

「お待たせ、早く行こっ」

 

 そんな俺に声を掛けてきた少女、あまり騒動に関わりたく無いのか俺の手を引いてダンジョンの中へと連れて歩いて行く。

 

「入場で騒動起こるとか珍しいな……」

「そうでも無いよ、身分証明が出来ないと国に所属してる子供でも取り押さえられるもん」

 

 何処か苦々しく答えた少女。もしかして、両親を喪った直後にダンジョンへ潜ろうとして止められたとかそんな過去が有るのかも知れない。

 入口から進んで10m程進んだ辺りで二人して一旦立ち止まる、インベントリから得物を取り出して何時でも戦闘に入れる準備をする。周囲に人は疎ら、同じ学生も居れば専業の探索者らしき人も居る。

 表層は大した敵が出ないが、入口付近だと弱いくせに面倒な奴等が出て来る。奇襲とも言えないが、俺は対応出来る様に性魔術の一つである『吸生』の準備をする。

 そして、複数の羽搏き音と甲高い鳴き声が聞こえた。天井へ向けて準備していた『吸生』を放つと、直後ぼたぼたと落下音が響く。翼長30cm程の大型の蝙蝠、『ジャイアントバット』とまんまな名前のモンスターだ。死体がそのまま残っているので回収しインベントリへ放り込む、飛膜は革製装備の素材として使えるのだ。

 コイツの厄介なところは飛行している事で、遠距離攻撃手段を持たないと対処が難しい。加えて蝙蝠らしく疫病の温床であり下手に咬まれたりすれば何が起こるか分かった物では無い。

 少女も暗い中で正確に『ジャイアントバット』の身体を撃ち抜いている、独特な発射音の後に破裂音が続き『ジャイアントバット』が真中から砕けている。飛膜は回収出来るが真っ二つになった『ジャイアントバット』は中々に気持ち悪い、裂けた間から中身が漏れ出し異臭がしている。ナイフで翼だけ切り取りインベントリへ回収、身体はやがて塵になり散っていく。

 ダンジョン内でモンスターが死ぬと、その身体はやがて魔力へと分解される。魔石等はそのまま残るが、その他有用な部位は剥ぎ取っておかないとやがて消えてしまう。分解される時間はモンスターの身体が小さい程早く、この蝙蝠サイズだと一分程で塵になってしまう。飛膜を剥ぎ取った後など更に短くなり、10秒もせずに消える。他だとゴブリンやオーク等は魔石を抜いた直後に分解される、オーク辺りは食えそうかなと思った事も有るが切り分けても消えるので無理である。ソースは過去の俺。

 5階層までは『ジャイアントバット』や巨大鼠である『ジャイアントラット』がモンスターとして出て来る、『ジャイアントバット』はまだ飛膜が素材として使えるが『ジャイアントラット』は魔石も取り出せないし経験値も1にしかならないので本気で邪魔なだけだったりする。

 もっとも、少女はこいつら相手ですら危うかったという過去が有る。低いステータスでは一撃で殺せるか怪しかっただろうし、咬まれれば疫病に掛かりかねなかったしでとても挑める物では無かった筈だ。『ロニセラ』作成時には別案として魔力で刃を形成する魔導剣の作成も考えては居たが、魔導銃にして良かったと何度も思う。

 俺よりも移動力の高い少女がどんどんと前に出て、周囲を確認して俺に安全をハンドサインで知らせてくる。基本の移動力と『移動力上昇』のスキル効果で俺より数字上2違う少女の脚はかなり速い。恐らく秒速にして20m程の速度差、斥候役としてのスキル構成で方向付けしたが凄まじい差が出てしまっている。コレは念話が込められた装備でも作って、少女に遠距離から情報を送って貰える手段を用意する必要が有るだろう。スキルレベルもそうだが、少女がレベルアップしてクラスアップを果たしたら本格的に追い付けなく成るだろうし。

 時折『ロニセラ』の発射音が聞こえる中、少女から階段発見のサインが送られる。俺もやや急ぎ足で少女の元へ向かい、下りの階段を目視した。

 言い忘れたが、ダンジョンはボスフロア以外の階層はランダム形成であり毎回構造が変わる。斥候役が必要になる理由が解錠以外にコレも理由だったりする。

 少女の消耗具合を見るが、一射一殺で進んでいる為に自然回復で魔力も万全の様子だった。コレなら早く5階層まで潜れるだろう。

 

「レベルアップはしたか?」

「全然、やっぱり深く潜んないと経験値増えない」

 

 まぁ、ゲーム時代からこの階層の敵は経験値が固定で1だったのでレベルアップするには100潰さなければならない。精々上げられて武器適性のスキルレベルくらいだろう。

 

「あー早く卒業証貰いたい……」

「確かにアレは便利だから欲しいな」

「クラフトで作れないの?」

「構成が読み取れなくて無理だし、仮に作ったら偽証で取っ捕まるって脅された」

「え、センセ達も脅すんだ?」

「いや、都市長」

「え゛」

 

 卒業証とは学園の高等教育課程を終えた後に渡される物で、名を『天翔の腕輪』と言う。会社が出すゲームで必ずと言って良い程に登場し、ダンジョンから一瞬で退場するシステムとして活躍している。『深く深い闇の先で』でも変更は無く、主人公は学園の卒業試験で合格する事でコレを貰うところから物語はスタートする。

 実はこの腕輪は『深く深い闇の先で』において非常に高性能になっていて、ボスを撃破後はその直後の階層から探索をスタート出来る。俺みたいなクラフターは依頼の品を作る上で素材を取りに行く時に重宝するし、探索者は緊急の脱出措置かつ探索の再開に際して役に立つ。学生中では使えないのが本当に悔やまれる。

 都市内で最高のクラフターと呼ばれている都市長が学園のクラフター志望を前にわざわざ講習を開き、背後に控えた護衛の上級騎士と共に圧を放ってきた時は無意識に何度も頷いてしまったのはいい思い出だ。

 

「ま、そんな話はおいておくとして」

「え、置いとくの?」

「置いておいて、次に進もう。さっさと前回のリベンジを果たそうぜ」

「あ、うん……終わったら都市長の話を聞かせてよ? 何か気になる」

「龍でも前にしたみたいな威圧感放ってくる奴の話とか聞きたいか?」

「逆に気になるんだが!?」

 

 そんなやり取りをしつつ、俺と少女はダンジョンを潜って行く。




(45) 両方に要る。
(13) 両方とも要らない。
(19) 主人公のは要らない。
(0) ヒロインのは要らない。

アンケートの結果、主人公とヒロインに名前を付ける事に成りました。
アンケートに参加していただいた皆様、本当に。本当にありがとうございました。

主人公とヒロインの容姿ってしっかり書くべき?

  • 見せてみろよお前の癖。両方に要る。
  • 理想の男と女を妄想してるから要らネ。
  • どんな女がタイプだい?
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