「助けてノノえもん!」ホシノ・カヨコ・黒服関係回のみまとめ 作:春画屋@二次創作R18
2-14:便利屋、カヨコの「特別な相手」は???(前)
「先生! ノノミ先輩! あと便利屋も! ご来店ありがとうございました!」
バイトのセリカの元気な声が、店の外まで聞こえてくる。それに対して、頑張れよ~、と手を振る。俺と違って勤勉で、大変結構。
「ラーメン、美味しかったですね☆」
「ああ。いつものようにノノミに、あ~んして食べさせてもらってたら、多少便利屋の連中からの視線が冷たかった気がするが……」
俺がノノミに、あ~んして食べさせてもらってるのなんて、『
まあそんな柴関ラーメンも、いつも通りノノミが爆破された店を『じゃじゃ〜ん☆ これで建物も元通りですよ〜☆」と出した、何とかいう
で、そんな便利屋の四人が店に居たので、じゃあ
「あら? セリカちゃん……。先生、セリカちゃんが呼んでるみたいなので、少し待っていてもらえます?」
「ん? いいよ。あいつ、店を出る前に言えばいいのに」
「すみません。すぐ戻ってきますので……」
と、ノノミが店の中に戻ってしまったので、手持ち無沙汰になってしまった。まあ、便利屋の連中も居るし、立ち話でもしよう。最近会ってなかったし。
「よっ、アル。しっかり「一日一悪」してるか?」
「当然よ! 私は一流のアウトローですもの!」
「おー! 頑張れよ!」
流石、「便利屋68」の社長をやっているだけある。アウトローとしての意識が高い。まあ、実際は何か騙されて、アホな依頼受けたりしてるんだろうけど。
「そういや、セリカと最近仲良さそうだな」
「そうね。店に行くたびに、彼女とはいつも「お得情報」を交換しあってるわ」
「……えっ」
「貴重な情報源であり、優秀なビジネスパートナーよ! 信頼しているわ!」
えっ……酷い組み合わせっていうか、アルとセリカの騙されやすいアホ二人が情報交換……? しかも、「お得情報」……? あんまり何の情報か具体的に聞きたくねえな……。二人して騙されてそう……。
「……ムツキ、何でニヤニヤしてる?」
「いや~、別に? くふふっ」
その「お得情報」とやら、ムツキは絶対面白がって、気付いてても止めてねえな……。まあ、命の危険とかがなけりゃそれでいいだろう。後で話を聞く分には面白いし。
そうだ、ムツキといえば、
「ムツキ、最近何か新しい爆弾で面白いのあったか? 危険じゃないやつ」
「おっ、先生乗り気じゃ~ん? 今度ブラックマーケット、一緒に行く?」
「行く行く。俺、あんなとこ怖くて一人じゃ行けないから連れてって」
ブラックマーケットでムツキとよく行く店は、各種爆弾の取り揃えがやたらといい店なのだが、キヴォトスの普通に銃火器を売っている店と違って、どことなく胡散臭い感じが実にいい。その昔、使いもしない仕込みナイフだの手裏剣だのを買いに行った、アメ横とかあの辺の武器屋を思い出す。まあ、キヴォトスで売ってる爆弾は普通に使えるし怖いから、買わないけど。
さて、
「よっ、ハルカ」
「あ、先生。こ、こんにちは」
「おう。今日はその辺に爆弾なんか仕掛けてないだろうなー? ははっ」
「えっ」
「え?」
ちょっと待て、ハルカ。「えっ」じゃねえよ。軽いジョークで聞いただけなのに、なぜ青くなって顔をそむける。嘘だろ、やめてくれよ。
「……まさか、仕掛けたのか?」
「い、い、い、いえ、今日はまだ……」
「「まだ」って言ったか? 今、「まだ」って言ったか?」
「す、す、す、すみません! 何かあった時のために備えておいた方がいいかと思いまして!」
何かあった時、って、どっちかっていうとお前の仕掛けた爆弾のせいで何か起きるんだろうが……。しかも何故、よりによってまた柴関ラーメンに。
「あのな。ラーメン屋ってのは爆破するたびに毎度毎度都合よく一瞬で建て直せるもんじゃないんだからな? そもそも、一度やらかしたのを許してもらっておいて、何ちゅーことを」
「わ、わ、わかってます! ですからその恩義に報いようと、柴関ラーメンに危害を加えようとする
「ああ。なるほど、ラーメン屋を守るために爆弾を」
「は、はいっ!」
…………
「いや、それもダメに決まってんだろうが!」
「す、す、すみません!」
とりあえず、軽くチョップしておいた。俺やノノミが近くにいればまだいいが、危なっかしいことこの上ない。しかしまあ、便利屋にはしっかりしたカヨコが居るから安心といえば安心……
「先生」
「お、カヨコ」
「今、ハルカと何の話してたの? まさか……」
「爆弾なら、「まだ」仕掛けてないってさ」
「てことは、これから仕掛けるつもりだったってこと……? はぁ……」
「一応、柴関ラーメンじゃなくて、柴関ラーメンを狙う奴対策ってことで仕掛けようとしてたらしく、本人としては善意のつもりだったそうなんだが……。まあ、情状酌量の余地……?」
「いやそれ、余計ダメでしょ……」
カヨコがため息をつく。これじゃ気が休まらないだろう。同情するが、しっかり見張っていてもらわないと。
「まあ、美食研究会とか温泉開発部よりマシだろ。あいつらマジで狙って店を爆破するし、温泉掘るとなったら建築物全部破壊してでも掘るし」
「いや、その辺と一緒にされても……」
流石にあの二つとは一緒にされたくないか。確かにあの辺は、ほぼテロリストだからな。個人的には食い物なり温泉なり、あれだけ情熱を傾けられるってのは嫌いじゃないんだが……。こんなこと言うと怒られそうだが、後から話を聞く分には面白いし。むしろ美食研究会に関しては、アカリにとっ捕まって飯を奢らされる方が恐ろしい。あいつ、あれだけ食ってどこで消化してるんだ。こっちは薄給だってのに。
「まあ、ヤバそうだったら即、風紀委員会を呼びつけられるよう、あそことの連絡手段は複数確保してあるから」
「風紀委員会……ね」
カヨコが露骨に嫌そうな顔をする。
「やっぱり、そりが合わないか。そもそも俺としちゃあ、ゲヘナのスラムとか笑い話になるようなところでやる分には、どこが何やっても構わないんだけどな……。ぶっちゃけブルアカやってて一番最初に爆笑したの、お前らの柴関ラーメン爆破シーンだし」
「え……そこのシーンで笑ったの?」
「俺、最後にとりあえず爆発させときゃいい、みたいなコント好きなんだもん」
「先生も何ていうか、そういうところ……。はぁ……」
ため息をつかれた。何かカヨコに、ムツキやアルと同じ側に分類されてる気がする。って言っても、実際ゲヘナみたいなノリは好きなんだし、そういう風に見られてもしょうがないか。そもそも、ブルアカの世界なんだから多少その辺を爆破しようが銃を乱射しようが、俺みたいに撃たれたら命にかかわるような奴が巻き込まれなきゃいいと思ってるし。ノノミも、「私たちには『ヘイロー』がありますから、
「まあ、そもそも風紀委員会と揉めるようなことをするの自体が問題だしね。出来れば顔を合わせずに済ませたいし、先生の手をわずらわせないで済むよう、普段から気をつける」
「そこまで気を張らなくてもいいぞ。呼んでくれればいくらでも行くし。って言っても、俺が行っても双方の言い分を聞くくらいしか出来ないけど」
「うん、それで十分。先生が話を聞いてくれて、それで言ったことなら納得できると思う」
カヨコが聞き分けが良くなってくれて助かる。まあ、仮に便利屋が一方的に悪かったとしても、同じことを俺に言われるのと、アコに言われるのとじゃ全然違うのはわかるし。あいつそういう時感じ悪いし、絶対他の事情とか感情的なもの込みでものを言うし。あんまり酷かったら、本気で泣くまで放置プレイか何かしてお仕置きしよう。
「まあ何にしたって、生徒同士じゃどうにもならないようなのはシャーレの出番だ。呼ばれなくても行かないと。仕事も増えるし、そんな理由でお前らに会いたくないけど」
「うん。だからそうならないために、先生はこうやって私たちと会うたびにいろいろ聞いたり話をしてくれて、問題が起きないよう気にかけてくれてる。会う機会が前より少なくても、先生みたいな大人が居るって知っていれば、それだけで私たちも安心する。確かに揉めごとなんて、最初から起きないのが一番だしね」
「起きてからじゃあ、俺は『前の先生』ほど献身的にはなれないし、自己犠牲の精神も発揮できないからなあ」
「あっちはあっちで『今の先生』と違って身を守る手段もないのに、どこでも来ちゃうし止めても聞かないしで、心配でしょうがなかったよ。先生は先生なりに出来る範囲で精一杯やってくれてるから、それで十分だし嬉しい」
カヨコから聞いた範囲では、『前の先生』——スマホのゲーム『ブルーアーカイブ』のプレイヤーだった俺が、そのゲームの中の世界にこうして来る前の前任者——の評判は良い。どんな生徒にも優しく親身になってくれて、時には危険を
「『前の先生』って、よくそんな危険なこと出来たよなあ。仮に先のストーリーなんかを知ってて絶対死なないってわかってるとか、それに確信があるとしても俺なんか怖くて出来ないけど。死なないにしたって、この世界でも普通に怪我もするし、痛いし」
「怖いのが普通だと思う。それに、『前の先生』が取ってきた行動が『ブルーアーカイブ』の本来のストーリーにどれだけ沿っていたのかもわからない。今のところ、先生が覚えている限りのストーリーやそこでの行動とほとんど一致しているのは確かみたいだけど……それも全部一致してるとは限らない」
「俺よりはストーリーに沿って行動してるらしい、ってだけだからな。俺はもともとキャラ以外にはあんまり興味なかったから、ストーリーとか戦闘システム、『先生』自体の設定もよく知らないし」
「『先生』の容姿や性別なんかの重要な設定も含めて、最初からプレイヤーに与えられていない情報も多そうだしね……。そもそも『ブルーアーカイブ』以外のことに関しても、先生の記憶や知識すら、この世界においては全面的に信用することはできない。先生自身も私たちこの世界の人間と同様、この世界に
「確かに、
「……空気は空気であり、水は水である、それを当たり前のことだと私たちは思っている。理科の授業でその性質を聞いて、初めてそれが自分の認識とはいくつも食い違っていることに気付く。それでも、その通りであるという実感はわかない……」
「俺がキヴォトスに来る前の世界が存在するのも、俺が以前とは別人だってのも、なるほどって納得は出来ても、今でも信じにくいんだろう? 言ってみれば、この世界が『ブルーアーカイブ』の世界だとして、俺が元いた世界が現実であるって保証もないもんな。現実だと
カヨコはその辺を言い出したらキリがないと言っていたが、そりゃそうだ。俺があの世界を現実だと信じているように、カヨコもまたこの世界を現実だと信じている。そして俺にもカヨコの気持ちがわかるほどに、この世界にも現実感があり、俺にももはやどの世界が何なのかよくわからなくなっている。
で、そのことに関して、「だって、この世界に来て真っ先にノノミのおっぱいを揉みしだいたら、間違いなくおっぱいの感触だったから」と説明したら、「それもこの世界がどんな世界であるか説明するための、一つの根拠ではあるよね」云々と真面目な顔で返されたので、もう言わないことにした。カヨコがどんなつもりで言ってたのか知らないが、嫌な顔をされるかノリノリで話に乗ってくるかされないとやりづらい。ノノミ相手だったら「じゃあ、もう一度揉んでみますか?」「揉む!」ぐらいスムーズに会話が続くんだが。
まあ、それは置いておくとして。カヨコにはこれぐらい細かい話が出来るぐらいに、俺が元いた世界(もはや、こうとしか呼べない)や、ゲーム『ブルーアーカイブ』についての説明を既にしてある。とはいえ、俺もカヨコも、こういった話にさほど興味があるわけではない。俺はそれこそ、「この世界はこういうもので、今はこうなんだからそれでいい。元の世界に戻るなら、それはそれで別に構わない。問題はノノミのおっぱいを今後も揉めるかどうかで」ってぐらいのスタンスだ。分かる範囲でシャーレの仕事は全てこなしているし、それで生活も出来ているので、なるようにしかならないと思っている。
アビドスで同じような話をした時の
まあ、これだけノノミ個人とベタベタイチャイチャしてるのを見れば、アビドスだけを
お前ら全員、揉めるのを前提でものを考えるのをやめろ。それよりまず仲良くすることを考えろ。
と、言いたい。言いたいというか、そういった話が大嫌いなので、カヨコに問い詰められた時に思わずキレて言ってしまった。我ながら、
努力したって揉める時は揉める。というか、揉めない方が珍しい。しかし、そこまでの過程でどう考えていたかが問題なんであって、仮にどっちかの味方をするしないの話があったとしても、まずそこが問題なのだ……と、ここまで言わなくても頭のいいカヨコは理解してくれた。
すんなり納得してくれたのは、俺がマジギレしてたからだ……っていう風にはあまり考えたくない。自分はそういうタイプの教師の言うことなんか絶対聞きたくなかったから。俺が本当にそういう話が嫌いだっていうのが、生徒たちへの普段の接し方にあらわれていたのだと思いたい。
そんな話をしていたら、ノノミが「先生〜☆」と手を振りながらこっちに来た。セリカとの話が終わったらしい。なら、少し早いが適当に時間をつぶして、ノノミと帰るとしよう。と、そのノノミが申し訳なさそうに頭を下げた。何だ?
「先生、実はセリカちゃんが私と行きたいお店があるそうなんです。そろそろアルバイトも終わりますから、それを待って……、行ってきてもよろしいですか?」
「そうなの? んじゃ、俺も待つから一緒に……」
「うーん、それがですね。実は女の子だけで行きたい場所なので……」
「女の子だけで?」
セリカ・ノノミ・女の子だけ……ピンときた。
「ランジェリーショップ」
「先生! 声に出して言っちゃダメですよ! ……ふふっ、でも当たりです☆ セリカちゃん、あれ以来オシャレに目覚めちゃったみたいで」
「「あれ」? ああ、はいはい、「あれ」ね。あんまり金使いすぎないよう言っといて」
「はい!」
「あれ」って、ノノミの許可を得て(というかノノミにお世話をされながら)セリカの処女をもらっちゃった話だろ。何かあの時も、可愛い下着を買うのにお金を使うのっていいね、みたいなことを言ってたし。俺の行動の結果、セリカの金銭感覚が変わってしまって破産でもしたら申し訳ないな……。
まあ、心配するまでもなく、アビドスの借金返済のために生きてるようなセリカだ。買えって言ってもケチるだろうから気にするほどのことじゃない。しかしそうすると、本当に暇になってしまった。何もすることがないし、このまま帰るのも……そうだ。
「カヨコ、レコード屋行くか? 何か俺のおすすめがあったら教えて欲しい、とか言ってただろ」
「え? いいの? でも……」
カヨコが口ごもり、複雑そうな表情をする。……なるほど、ノノミに遠慮しているらしい。チラチラ見ている。まあ、先に言っておけば問題ないだろう。
「ノノミ、カヨコとレコード屋寄ってから帰りたいんだけど、いい?」
「はい、構いませんよ☆ でも、遅くなるようだったら連絡くださいね?」
「うん、わかった」
というわけで、ノノミの許可をもらった。よし、これで問題ない。
「……本当にいいの? 先生」
「いいよ? あ、そうだ。ノノミ」
「はい☆ こちら、お小遣いです。無駄遣いしちゃダメですよ?」
「うん、わかった」
というわけで、お小遣いももらった。これでもし自分も欲しいCDがあっても買える。あんまり使うとノノミに怒られそうだから、出来れば我慢したいところだが……。
……なんでカヨコは、さっきより複雑そうな顔をしてるんだ。別にノノミにもらった金でカヨコに何か買ってやろうとか、俺だってそこまでのろくでなしじゃないのに。まあ、便利屋に奢った分のラーメンの代金は、ノノミに後で返しておくか……。
「あと先生、こちらも忘れずに持っていってくださいね」
「うん? あとまだ、何かあったっけか……? …………」
ノノミから、避妊薬をもらった。『絶対☆避妊薬』という頭の悪い名前が、パッケージに印刷されている。アフターピルとかと違って、100%絶対に、何があっても妊娠しない薬だ。身体に害も一切ない、これを飲んでおけば何の心配もなくセックス出来る薬だそうだ。……いや、それはいいんだが、なぜこのタイミングで避妊薬を渡す。どういう意図だよ。
「あの……これを持って行けというのはどういう……?」
「はい? 先生の赤ちゃんを産むのは私だけ、ということですが?」
何を当たり前のことを言ってるんだ、みたいな顔をされた。いや、どう考えても会話が噛み合ってない気がするんだが? かと言って、「これって、
「じゃあ、はい。ちゃんと持って行きます」
「うんうん、先生はいい子ですね☆」
と、ノノミに頭を撫でられた。いまいち釈然としないものがあったが、そんなわけでノノミに見送られ、俺は微妙な表情のカヨコとレコード屋に向かったのだった。
後編へ続く——
話の分割の仕方について、別の形に分けるなら以下のどれがいいですか?
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キャラごと(ホシノ、黒服、カヨコの3つ)
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内容ごと(ホシノ・黒服、カヨコの2つ)
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本編外にまとめたもの全部で1つ(今のまま
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その他(お気に入り登録や検索をしやすく等