樋口円香さんがトラブルもみ消しと引き換えに気絶するほどイカされてしまうお話 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
『悪いね樋口さん、僕がヒザつきあわせきゃ収まらない輩がいて、初日だけどお相手できない』
「……約束を守ってくださるのであれば、私は気にしません」
『だろうね』
スピーカーからそう聞かされて、アイドル・樋口円香のうなじのあたりで、病的な火照りに冷めた悪寒がぬるりと入り混じった。
『急いで無理を吹っ掛けるなら直談判に限るよね』
「……先に持ちかけた私が言うのもなんですが、私とおしゃべりするほどお暇なんですね」
『元気そうで何より。ドクターによろしく』
「ご自分でおっしゃればよろしいのでは」
『明日はそっちに顔出すよ』
円香はもう皮肉を言う余裕を失いつつあった。
ドクター、と呼ばれた白衣の女性が、円香からタブレット端末を遠ざけた。それから男と少し会話し、通話アプリを切ったようだった。可動域をほとんど制限されてしまった首と肩を動かして、円香はどうにかそれを確認しようとした。
「お昼休みにしますか」
「……いま……12時、すぎでしたよね……さっき、画面の端に」
「ああ見えちゃいましたか。まぁいいんですけれど……休みにしておきましょう」
ドクターがタブレット端末をぱたぱたと何度かタップ、スワイプした。円香を苛んでいた刺激が、電源を切られた扇風機のように慣性に従って緩んでいく。
「パン屋さんのパンならすぐ持ってこれます。あと弊社のドリンクも」
「……食べなければ、いけませんか」
「経鼻経管栄養にしておきます? 鼻からチューブ突っこんで胃袋に栄養液を送るってことです、おすすめはしません」
円香の胸や下腹部でも、病的な火照りと冷めた悪寒とが、水と油を無理に混ぜたように泡立った。公式プロフィールの身長159センチ、スリーサイズ79-55-77に違わぬすらりとした少女の手足と胴体も、涼しげで大人びた顔立ちも、それによく映えるエアリーボブも、湯気の立つほどの汗と体温でぐしゃぐしゃに乱れていた。
円香の女体を振動や圧迫で刺激していた機械がすっかり停止した。それでも円香は神経をかき乱されたままだった。
「内服薬というのは種類にもよりますがよく効く代わりにデリケートです」
「……ドクターさんは、お暇なんですか」
「ええ、とっても! 飲む薬で、例えば最近……円香さんの年だと3、4年前って一昔かなぁ……ノボからリベルサスって糖尿の……ああ、パン噛んでていいですよ」
「……ん、く、むっ……」
「あれちゃんと飲めば効くんですけどホントのホントに胃が空っぽに近くないと効きません。効かないじゃないかぁーって苦情をよく聞いたら患者さんが“コップ半分の水で飲め……って書いてあるけど、ちょっとぐらい水が多くても”とかいい加減に飲んじゃってるじゃないですかーってありがちなんです」
円香は甘酸っぱくネチネチした食感を咀嚼していた。ドクターが店売りのベーグルを一口大にちぎって、乳酸菌飲料らしき味のドリンクに軽く浸して円香の口元に近づけ、餌付けするように食べさせていた。
そうでなければ食事できない体勢を強いられていた。
円香は一糸まとわぬ裸で、健康器具の乗馬マシンに似た台の上にまたがらされていた。さらに拘束具によって手首を釣り上げられ拘束されていた。
「ですから円香さんに今日も明日も明後日もお帰りのときお薬を出すので就寝前に飲んでくださいね。飲んで無理やり眠ってようやく3日もつってスケジュールなんです社長が言ってたの」
数日前の円香は、ドクターが“社長”と呼んで先ほどまで通話していた男に、トラブルのもみ消しを頼んでいた。円香を含む幼なじみ4人によるアイドルユニット・noctchillの活動を継続するためだった。
男はサプリメントなどの製造販売で成功し美容・健康業界で大きな影響力を持つ。主要マスコミのスポンサーとしても隠然たる権力を握る一方、黒い噂が絶えなかった。
「1週間でもぜんぜん足りないってことを3日で済ませるなんてハードすぎます、アイドルってそんなにご多忙なんです?」
「はぐ……ん、く、こく、ん……っ……私は、これ以上、注文をつける立場では……」
「それともそんなに急がないと収められないトラブルだったりとか」
円香の唐突な頼みに、男は交換条件を提示した――3日間、会社の商品開発に協力する……という名目で体を好きにさせること、途中でギブアップしても構わないが、その場合トラブルの扱いは保証しない――円香は条件を断腸の思いで飲んだ。
事務所の関係者にも家族にも秘密にして、円香は約束の初日、男の会社のとある拠点を訪れていた。そこで初日から対応する助手としてこのドクターを紹介され、“商品開発室”で調教を受けている。
「まぁまぁって感じですね、外用薬だって効くものは効きます、弊社のふつうの商品だとほどほどの効いてる感ですが」
「あ……ふぁ、あ、んんっ!? く……い、いきなり……!」
ゴム手袋ごしに細い指で、ドクターが円香の乳房をつるりと撫でる。円香の肌に、不安を催すくすぐったさが、昨日ならば想像できなかったほどべっとり濃く、じっとりしつこく残る。
「かっちり1時間しか休憩やっちゃダメとは言われてません、確実に円香さんを仕上げることを優先してくれ、と」
初日の午前中、まず円香はドクターからスケジュールを手短に説明された。協力のための拘束時間は朝から夕方までの9時間でうち1時間が昼休み――「長時間労働は美容と健康の大敵ですから」――それが3日連続となる。3日目の夕方に終わるまで、円香はすべての指示に従うこと、と念押しされる。
初日のメニューは薬品と器具による性感開発で、説明もそこそこに始められた。
「ちょっと失礼してご加減を見ますよ、これからの薬を調整……汗とかよだれとか恥ずかしいお汁でどれだけ流れちゃったのかって……こういう手間は外用薬ならではっちゃならではですね」
「んっ、く……んぁぁっ……! そ、そこっ……んっ、んくっ……」
まずドクターから脱衣させられ乗馬マシンもどきに乗せられた。拘束具によって手首を釣り上げられ、乳輪と乳首に半透明の軟膏を塗られた。塗られた瞬間からじわりと腫れぼったい熱が襲ってきて、びくりと反応してしまった。
それから円香の肩、腋などにベルトを通されハーネスのように固定された。さらにベルトが乳房を絞り出すように締め上げてきた。それだけでもう胸へのぞわぞわとした違和感が高まった。ベルトにニプルクリップローターのコードがつなげられた。
「では行きますよ」
乳首に当てられると、ただ接触されただけの時点で声を漏らしてしまった――「汗かきながら動いても外れないように、ちょっときつくしますよ」――これと同じものをクリトリスにつけられたら、という想像を円香は必死で押し殺していた。
「午後からクリトリスにもクリップローターを使います、乳首と同じ加減にするかは……まぁようすを見て」
「ようす見、って……んんんっ!?」
「イキ癖をつけるように、って社長が……1日でつけろって無茶を言って……どうにかそれらしくするためいろいろ考えてます」
ドクターのこぼす“イキ”がオルガスムスを指している、と円香は声音で察した。非現実的でバカバカしく聞こえて笑い飛ばすつもりだった。しかしこぼれた笑いがよだれのようにべっとりしてしまって“飛ばす”から程遠かった。
笑い飛ばせないほど、午前中の時点でイカされていた。
「人間の記憶のうち手続きとかプライミングとか反射的に再生されるタイプの、乱暴に言い換えれば体で覚える癖ってタイプの記憶は、機械とかの外力でガシャガシャ刺激され動かされてるだけじゃなかなか定着しないんですね」
「く、ふっ……おしゃべりが……本当に、お暇なんですね、ドクター……」
午後からは小陰唇の粘膜にも、クリトリスも包皮の外と内にそれぞれ、軟膏をねちねちと塗り拡げられた。火照る体と暗澹たる気持ちがせめぎあって、円香の心身の結合がずるりと剥がされていくように錯覚した。
「でも不思議なことにどこか随意筋を動かしながらガシャガシャされると定着しやすくなる、だからこれです」
円香のまたがされているマシンのサドル部分が、彼女の体から無理やりしぼられた体液で濡れている。ドクターがゴム手袋ごしに座面をトントンと叩くも音がどこかぬめぬめして響く。
円香のほっそりした内ももや下腹がびくりと力んでしまう。
「ここから振り落とされないように体幹の筋肉をしっかり使ってもらいながらクリップローターとお薬を使ってびしばしイってもらってるわけです、今日いっぱいこれです、強度は調整しますが」
「……乳首と、あそこと……体幹の筋肉に、関係が……?」
「意識が無関係の筋肉に向かってるにもかかわらず同時にイカせたってだけで定着しやすくなるから、不思議なことなんです」
円香はあらためてドクターを観察した。円香より一回りほど年上らしき女性である。顔の輪郭やパーツが丸っこくそこそこ愛嬌があるのを、ひっつめた黒髪やフレームの重そうな丸メガネで打ち消してしまっている。洒落っ気が薄い。健康ならともかく美容関係の業種に不似合いである。白衣とシャツと黒いスラックスに包まれた体つきは痩身・中背で、外見や所作は少し怜悧に見える。いっぽう話が押しつけがましく長々しく言葉選びが仰々しく、円香と会話しているようで自分だけ一方的に語っている。そのくせ声の抑揚が滑らかである。
一見もっともらしい人物である。一度疑えばすべて胡散臭くなる。
つまり彼女は詐欺師である、と円香は判断していた。
「ベーグルもっと食べてください、いいですね?」
「……カロリーが気になるところですが」
「円香さんが気にすべきはカロリー超過ではなく打ち身、擦り傷、低血糖、脱水、筋肉痛などなどです」
腹八分目までドクターにパンを食べさせられたあと、乳首や陰部を中心に指先や目視で検分され、開発用のクリップローターを取りつけられ、乗馬マシンもどき――「開発中のシロモノですけど従来より性能はずっといいんですよ、ただコストを落としきれてなくて」――を再起動される。
「……ッああ、く、っ……ぁぁあ……!」
塗り薬によって敏感にされているものの、クリップローターから与えられる振動は単調で、それだけならば1時間と経たず円香は慣れてしまっているはずだった。
しかし乗馬マシンの動きがランダムに変わる。対して円香の足や腹筋、背中、肩まわりなど、ほとんど全身で絶えずバランスをとらされる。陰部とサドル部分がぶつかったりこすれたりで刺激されてしまう。なんとかいなそうと必死で姿勢を保つ。その状況とクリップローターの振動が重なると、姿勢を保つための筋肉や腱まで性感に反応している錯覚に侵食される。
乳首と陰核が、挟まれて充血し腫れあがっている。尻肉が揺れるたびに緊張させられる。内ももやふくらはぎが疲労で鈍くしびれている。ローターやマシンの稼働音が単調で平坦で、洗脳されているような怖気まで湧き上がってくる。
「声を上げてもいいんですよ、防音仕様なので」
「おうぅっ……あ、う、く……ぅ、ぅう……!」
円香は己の身をかき抱こうとして、手首の拘束に阻まれる。女陰への刺激を避けているはずが、気を抜くとサドルに女陰を押しつけ、へこへこ前後させてしまいそうになる。薬の作用によるせいか、絶頂感がくすぶっているような煮えきらないような勢いでとどまり、ほんのわずかずつ円香の神経を蝕んでいく。
「ヒントになるかどうかわかりませんが、イってるって演技でもだいじょうぶですよ、社長サドですけどフリでもうまければいいや~ってタチですので」
ドクターが合間合間にマシンを止めて、本当だろうが嘘だろうが不愉快なつぶやきを聞かせてくる。余計なことを考えさせようというつもりか、と意識から振り払おうとする。マシンが再び動く。こちらの感覚は振り払えない。
「あぅっ、うぐっ……んぅぅぅっ……!」
むしろ小休憩を挟むことで絶頂感がぶりかえして、止められる前より強く追い詰められる。自分の肉体がこの責め苦に屈し始めているのを悟ってしまう。
「ぁ……だ、めぇ……も……っお、っ……!」
最初のそれはあっさりと訪れる。間接的な刺激のみの膣内がどうしようもなくわなないて、振動音も耳から遠のく。そのくせ、ぶじゅ、ぐじゅ、と何かを潰したふうな水音がうるさく響く。
「ああ、潮吹き」
疲労さえかき消す絶頂感がふわっと脳天までを通り抜け、そこから少し遅れて羞恥と余韻がやってくる。流れ落ちた潮を内ももやヒザ裏で感じる。ぬるくサラサラしている。一度認識してしまうと、もう押しとどめられなくなる。
「水分補給多めにしておきましょう、経鼻経管のほうがいいかな?」
「は、ぁッ……あ……ゃ……め、て……そんな……の……」
「それはギブアップって意味ですか? それは明日までとっておいてください。私は生理的にダメかどうかだけ判断してって言われてますので」
それからも、円香はドクターに監視されながら夕方まで責められた。ときどきドクターのゴム手袋ごしに指で乳首やクリトリスや腟内をいじられた。そのときに体に焼きつけられた絶頂がひときわ円香の精神を苦しめた。あらゆる抵抗が無意味に感じられた。それ以外の刺激は単調で、逃げ場のない状況をずっしりと思い知らせた。
夕方、円香は事務所に顔を出してから帰宅した。プロデューサーや同僚アイドル、家族にも心配されたがただただ強がった。入浴して自室のベッドに身を横たえると、媚薬を洗い落としたはずの乳首や陰核がじりじりと疼くままで、疲労しきっているのになかなか寝付けなかった。ドクターから渡された睡眠薬1錠をいやいや服用して眠った。
※
「………あああっく、くぁあ! あぃっ、ひ、ぁ、おぉぉ……っ!」
「おお……! 樋口さんのナカ、きっつ……ふだんの運動の賜物かな?」
「アイドルってとってもハードって聞きますからね、昨日だってみっちりやっててふつうの女の子だったら筋肉痛で歩けなくなってるところでしたよ」
2日目、ドクターに加えて社長が円香を待ち受けていた。円香は乗馬マシンをまたぐ代わりにいつのまにか運びこまれた寝台に寝かされ、彼から責められた。
「くっ、くぁあああぁっ…………あ、あおっ!! はあ、あこぉっ、おッッ……!」
午前中の時点で昨日以上に乱されていた。ひどいときには、膣内に指を入れられてからそれが抜かれるまでに5度もイかされた。すっかりほぐれた秘部を男根でほじくり返されるとたびたび潮を噴き散らして男の下腹部やシーツを汚した。
「ドクター、樋口さんのおまんこに薬を仕込んだのってけさからだっけ」
「ええ、昨日は乳首とクリトリスから始めたんですが想定より回りが早かったんでいっぺんにあそこまで使うと負荷が気になって」
「なるほどね」
円香にできる抵抗と言えば、首を振る、腰をよじる、足をバタつかせるぐらいがせいぜいだった。絶頂が不意に頻繁にやってきて悪態の一つもつけない。「ギブアップを口に出せなくて困るね」と、社長が円香に白いタオルを握らせて「それを離したらギブアップの合図ってことで」と命令し、手もろくに使えない。
社長が円香の腰や尻肉を鷲づかみにして、彼女の膣内を貫きながら体全体を好き放題に揺さぶっている。昨日には絶頂に合わせて反応させられた腰や背や腹の筋肉が思い出すかのように反応し、快楽を増幅させている。こらえようとしても背筋や腹が反る。足指がぎゅうっと丸まる。びしゃびしゃと潮を噴く。押し殺しても明らかな絶頂のサインをさらしてしまう。
「がはっ、あ゙……ほぉお゙エッ……!!」
「社長ー、そんな起こし方じゃあ円香さん余計に消耗しますよ」
「無理やり叩き起こすったら水に頭突っこませるのが定番でしょ」
「何の定番ですか。むせさせて起こすなら鼻に水ちゅーって流しこむのが速いですよ、どっちみち表在反射です」
「鼻の穴から水だらだら垂らして、クール系美少女が台無しだなぁ」
ついに円香が意識を失っても、2人は洗面器にためた水に円香の顔を浸けるなどして強制的に覚醒させる。
自分の体が自分の思い通りにならない、という状況に何度も叩きのめされる。
「……あああっく、くぁあ!! う……っぐ、く……ぅうウううん゙ン゙……っ!」
社長やドクターが休憩しているときも、昨日と同じクリップローターからの責めが止まない。もたらされる破壊的な快楽は昨日と同じどころか、けさ新たに媚薬を塗られた腟内の疼きと絡みついてますますひどくなっている。また男に突いてほしい、と懇願しそうになる。情けなくて歯噛みする。自分の心までねじ曲げられていくようで、いよいよ円香の屈辱が深まる。体の外側も内側もさんざんにいじりまわされ、壊される。
「ノド、炎症起こしてません? 飲み込むのがきついなら……」
「……食べられ、ます……ふ、ふ……確かに、カロリー、要りますね……」
「樋口さんがこれ以上痩せちゃったらどうしよう」
「もともとスリムなのにそれじゃあ困りますね」
その日、円香が虚勢を張れたのは昼休みだけだった。声を殺しすぎてノドがひりついていたが、昨日と同様にドクターからのパンをもそもそと食べた。消耗した体に水分や栄養が純粋に心地よくしみた。はっきり反抗する気力が失せていた。
「ぁ……く、う……んぐぅゔっ……!」
午後1回目の絶頂はどうにか声をこらえられる。潮噴きはこらえきれない。クリップローターがぎっちり食い込んだままの乳首や陰核に、膣内へのピストンが追い打ちをかける。円香の体が反射的に逃れようとするが、抜けきれない疲労もあってあっさり男に組み伏せられる。円香の神経が異常をきたしている。乳房とクリがじんじんしびれている。痛みと快楽の境目もあいまいになる。膣粘膜の熱はまだじくじくした痛みが優勢だが、下腹部や背筋に名状しがたい鬱積がたまってどんどん水位を上げていく。
「ああぅっ、ゔっ、はぁっっ……っっうぅー……ぅ……!」
膣内を男根で往復されるたびに、じゅくじゅくと音が泡立つ。無意識に腰をくいくいと振っている。抵抗か誘惑か誰にも定かでない動きに成り下がる。
「……あの、社長、何やろうとしてるんです?」
「樋口さんが凝ってるところをほぐしてあげようと思って、足で」
「うわぁ」
何度か膣内射精されて――「明日のぶんもとっておかないとね」「円香さーん、アフターピルも出しておくので忘れないでくださいね」――ペニスの勃起が一段落ついたあと、円香への責めはある意味でエスカレートした。
円香はぐったり疲労困憊の体をベッドに転がしている。その背中や太ももやふくらはぎを彼から爪先やかかとで踏まれてしまっている。体重はほとんどかけられていないが、彼の軸足側で寝台がみしみしときしむ音が聞こえる。彼がバランスを崩せばどれだけの重みが加わってしまうか理解できてしまう。
「かは、ぁ、あッ、は、ぅ……ぉ、ぉ……!」
「社長ってマッサージとか整体とか素人ですよね、揉み返しきちゃったら明日に響きますよ」
そのうえ昨日、今日、とほぼ全身ぶん酷使された筋肉がぐにぐにほぐれて負担感が減っていくのが屈辱を増幅させる。ただ踏んでいるだけでなく、親指の根本が軽く前後に動いて円香の腰骨をこりこり刺激する。皮膚の薄いところを、機械やペニスよりずっと固く重い感触で刺激されぞくぞくする。あるいはふくらはぎや太ももも揉まれて、痛みと心地よさが混乱させられる。
「樋口さん、お加減は?」
「あぃっ、ひ、ぁ、おぉぉ……っ!」
あばらやみぞおちが、彼の足からもっと執拗に刺激される――「ドクターちょっと手を貸して、たぶんだいじょうぶだけど、うっかり足が滑っちゃったら危ないから」「やっぱりこの場の思いつきでやってるんですねこれぇ……!?」――恐ろしくて鳥肌が立つ。乳首やクリトリスへ伝わるクリップローターの振動も止めたり再開されたりする。危険を前した緊張で円香の神経がもろくなって、それまでどうにか耐えられた刺激もつらい。しかし下手に動けば、開発されつつある弱点を“うっかり”踏み潰されかねない。
「ううゔ、ふうぅ゙……ゔっ……はゥぐ、ぉ、ぁ……!」
体重をかけられたり、離されたり、憎たらしい男の足先一つで瀬戸際を行ったり来たりさせられる。陰部から漏れ出してしまっているものがもしかしてただの体液ではなく、例えばぐずぐずになってしまった膣奥そのものが溶けてあふれているのでは、などと狂った妄想がやってくる。振り払おうにも首を振ることさえままならない。
「っく、く…………くううう、うゔぅっ……!」
「こんなに汗だくなのに、ぷりぷりの肌ってわかるなぁ、若いってすごい」
膣奥に外から大ケガ一歩手前の圧をずっしりかけられる。離される。血のめぐりが戻ってくる。また足裏で圧迫される。繰り返されるうちに快楽がなじんでしまう。その羞恥と屈辱が理性をパチパチと焼き落としていく。
「く……ふゅッ、お、んぐぅうっ、ううゔっ!」
「わ、あっ!? 危ないじゃないかっ」
自暴自棄が勝って、いっそ痛めつけてくれ、と不意に体を動かす。弾みで足裏の圧がぎりぎり閾値を踏み越えて意識が白く飛ぶ。子宮か卵巣か、とにかく大切であるはずの器官が外からぐりり、とへこまされ、鈍く激しい痛みが走る。一瞬か、もっと長かったのか、感知できないほど朦朧としている。
「んひぃっ、お゙っ!? おっご、あぐっ、く、ぅ……」
そんな状況でも気管に少量の水を垂らされれば、表在反射でむせて叩き起こされる。汗と涙と鼻水まみれになった顔を、わざわざ円香が握りしめたままのタオルでぬぐわれる。
「樋口さん、まだ耐えられる?」
「……ふ、く、ふっ……休みを、与えて、いいんですか……お時間、ないんでしょう……?」
「あそこがべちゃべちゃになっちゃってるんで塗り直しますねー」
「な……ふぁあ、はぁ、ッ、くぅ……ふっンッ、ぎぅっうっぎッ……」
憎たらしい彼に足蹴にされながら、反発するように性感がふくらむ。円香当人をも苦しめる疼きに、もはや触れられただけでもだえてしまう。ぴゅ、ぷしゅ、ぷしゃ、と破綻したように潮を噴いて、ドクターから億劫そうな悲鳴を聞かされる。
「すみません社長、もう一度……これじゃあすぐどろどろにされちゃいますが」
「そのお薬って軟膏しかないの? 液体だったらカテとかで子宮まで流しこんで」
「いやいやいやないですって子宮口って細いんですよ」
「僕が樋口さんのナカぎゅーって押さえつけながら流し入れて、で足をどけたら陰圧になって子宮がちゅううって吸ったり……しない?」
「ピペットかなにかと勘違いしてます?」
責め手をゆるくしているあいだも、社長とドクターから言葉でなぶられる。玩具にされているのだ、と言い聞かされる。そのくせ一度甘い高みに押し上げられてしまえば、沈もうとしても無理やり浮かされて、落とされるときも無理やりで、その繰り返しで失神に追いこまれれば、また気管に水。
「ゔっ!? げほっ、げほっ……あ、ぅ……う……」
「ここで寝ぼけるヒマはないよ、寝るんなら帰ってからね」
覚醒させられた直後は、ただ横たえられているだけでも涙があふれる。2日目だけで何回絶頂させられたか、何回潮を噴かされたかわからない。乳首や陰核が相変わらずじんじんとして、鈍い痛みも快楽も伝えてくる。
「ねぇ樋口さん、もうおしまいにするかい?」
両手でタオルを握りしめながら、歯を食いしばって首を横にふる。
「3日だけなのが惜しくなってきた」
「飽きっぽいくせに」
わずかな休憩のあいだ、胎児のように体を丸めて身を守ろうとする。タイマーが鳴るとあらためて下腹部を彼の足裏でぐりぐりと刺激され、休みが嘘だったかのように快楽が弾ける。のたうち回って、ドクターから拘束具を追加される。
「んひぃっ、お゙っ、ほぉぉおっ……ぐ、んんっあ……あ、いっく……ッ……!」
陰唇が赤くふくらんで厚ぼったい唇のようになって、見えない異物を入れられているようにひくひくと痙攣している。
「……今日はもう打ち止めのはずでは?」
「いやぁ、樋口さんを見てると元気になっちゃって」
また男から組み伏せられ挿入されている。濁った精液が円香の膣内と外をどろどろに汚している。ヒリつく膣壁を白濁がぬちゃりとこするたびに腰が勝手に泣きじゃくって、どろりとした汁気をぴゅっぴゅっと吹き出す。円香の体は追い詰められて、あさましく快楽をむさぼっている。男はその様子を楽しんでいるらしく、ゆるやかなストロークを繰り返す。
「……っく……い、ゃ……ぃ……そ、そこっ……んっ、んくっ……あぁああぁ……っ……!」
快楽と苦痛と屈辱があまりにひどくて、膣奥を軽くこすられるだけで円香の胴体も視界もひしゃげてしまう。男のものが膣奥まで到達して子宮口をぐりっと圧迫される。そのまま亀頭が子宮口にめりこんでいくように腰を押しつけられる。
信じられない勢いでオルガスムスがふくらむ。
「い……ぅぅうう……あ、ァああ……み……ないでっ、み゙るな゙ぁ゙……ッ!」
「アイドルのお仕事なら泣けたほうがいいよね」
絶頂と失神のあいだを転がされ、呼吸もままならないほどに消耗してから、円香はようやく解放された――「あと1日だよ、がんばって」――夜にドクターから渡された睡眠薬を飲んで強引に眠ったが、それでも悪夢にうなされて2度3度と目を覚ましてしまった。
夜が明けなければいいのに、と本気で考えた。
※
「……っく……い、……ぃ……くっ、う……ッ……!」
「まだイケるかな?」
3日目、まず円香はバイブレータを腟内に挿入された。ぐりぐり動かされつつ、社長のかかとで腹筋側からポルチオを圧迫された。
「……っくいくいくいぐっ……んんん゙ん゙いぐううゔゔっっ!」
「ドクター……これだいじょうぶかなぁ」
まず、絶頂を表にすまい、という決意がへし折られる。快楽をいなす手段は、握りしめたままの白いタオルに爪を立てるだけ。
「とりあえずうつ伏せにしておいてください」
「なんで?」
「い……いっ、いぎっい!! ゔィいっぎっ……お、おぐ、ぃ、ひぅ゙……っ!」
「あお向けだと自分のよだれで窒息しちゃうことがあるので」
「これまでさんざん気管に水垂らしておいて」
円香の精神がいくら抵抗しても、肉体が着々と絶頂への階段を駆け上がる。膣肉が震え、子宮が波打ち、どろりと重い粘液を分泌しはじめる。内臓すべてがペニスを求めてしまう。確かにいつまでも固く、ペニスより細かく速い刺激ができるバイブよりペニスのほうが物理的にはいなしやすい。彼の挿入中なら彼から腹を踏まれることもない。
「んぐぅゔぅ……く、ぁ……んん゙っ、おほっお゙おぉ゙おおォっ……!」
そんな目算があっさり破れる。
バイブを抜いて挿入してからの彼は、ポルチオが開発されきっているかを確かめるように、彼の手のひらがずしずしと円香の下腹を押したりもんだりしている。足裏から手のひらに代わっても十分に円香を狂わせる。円香が足をぴんとつっぱり、爪先をぶるぶるっと痙攣させてイっている。
「社長ー、円香さーん、そろそろお昼休みですよ」
「いいところなのに……ローターつけておいて」
「それじゃ休みにならないじゃないですか、ぶっ通しだと感覚が麻痺しちゃいますよ」
“お昼休み”と聞こえた気がしたものの、円香にとってはまったく休みではない。
「ぇあ゙……ぇかはっ! あが……ぉご……ああ゙っ……!」
食事を摂る余裕がない円香を見たドクターが、開口器で円香の口腔をこじ開け、咳きこむのもお構いなしに経口補水液を大量に注ぎ入れていた――「あなた僕にさっきなんて言ってたっけ……?」「チューブ通すよりこっちのが早くていっぱい飲んでもらえるので」――円香は酸素を求めながら苦しむ。その瞳から幾筋もの涙が汗に混じって滴り落ちている。
「ふも゙ぉお……お゙えっ……えがっ、がはっ……があああっ……!」
「アイドルが出していい声じゃないよね……ノドだいじょうぶかな」
「いまさらでしょう~」
午後は円香が社長の下腹部をまたがされ、騎乗位を強制されるところから始まる。1日目の乗馬マシンが男に入れ替わった体勢で、やはり手首を上から吊られて逃れられない。
「ああっ! く、くぅうヴんっっ……ぉ、ぁ……おォおお゙……ッ!」
「樋口さんが上になってると、さっきよりも締めつけとか反応とかますますよくなった気がする」
「そりゃあ最初にいちばんみっちりやった開発とほとんど同じ姿勢ですからね~」
もう何十回、何百回と繰り返された刺激が、着実に円香の理性を削っていく。膣壁を押し分けて、男のものが侵入してくるだけで絶頂に押し上げられる。子宮を亀頭に押しつけるように腰を動かされてさらにひどくなる。あまりに絶頂が深く重く、ノドまで締まってひゅうひゅうと病的な喘鳴が響く。見えない手で首を絞められているように息が詰まる。腰や尻や膣ヒダばかりが活発にうねってペニスを締めつける。
「い、ぃき、できな……ひぬ、ひ、んじゃ……んひぃっ、お゙っ、おッぐ、ぉぉおぉ……ッ」
まるで水の中に沈められたように、社長やドクターの声が遠くなる。視界も濁ってくる。涙も唾液も鼻水も垂れ流しで、体じゅうべたべたと汗にまみれている。吐瀉物さえ混じっているかもしれない。崩れてバラバラになりそうな体を、手首の拘束具だけがつなぎとめている。
「いぎっ、ひいぃいいっ!! こんな、むりっ……ぃ……お、お、く……ぁ、あ、い゙っ、イって、ぅ、ぁ、あ゙あ……!」
円香の言葉が無視され、社長のペニスでどしどしと膣奥を突き上げられる。射精寸前で聞く耳を持たないらしい。円香の体が浮き上がりそうなほど、何度も何度も。突かれるごとに絶頂が更新される。快楽神経をじかにこねられ脳細胞まで犯されているかのようで、気絶と覚醒の区別もあいまいになっていく。
「いーっ、ひぃ、ひっ……う、ゔ……ウっ……ゔ……ッ……」
ほとんど摩耗しきった意識で膣内射精を感じ取る。それを待ち受けていたように達し、ぶじゅ、ぐじょ、と潮まで噴いてしまう。
「……っかは……あぁ、やばいな、年甲斐もなく気合を入れちゃって……ちょっと休もうかな」
「ガマン大会じゃありませんからね?」
「……ぃ……で、す……」
結果から言えば、そこがちょうど円香の精神的な限界だった。
「げん、かい、です……も、ぅ……む、り……」
社長もドクターも黙っていた。円香はその沈黙にさえ押しつぶされそうに弱々しくうめいた。もう言葉も出なかった。
「……まぁ失神中でも楽しませてもらえる方法があるよね」
責めの続きが悪夢へと引き延ばされた。
※
円香が意識を取り戻したとき、“定時”を少し過ぎていた。
「例の件は初日に片付けておいたよ、ぎりぎりなんて危ないから……樋口さんがこうなるの、これで最後だといいね」
その夜のぶんとしてドクターから渡された錠剤入りPTPシートを見たとき、円香は名状しがたいほどの無力感に襲われた。自宅に向けて歩き出すのがやっとのありさまだった。
渡されたそれに頼らなければこの夜を越せないほど作り変えられてしまった、と円香は理解できた。それを理解できることが、円香の不幸をいっそうひどくしていた。
(おしまい)