※この作品はR-18です。

RETURN ON THE RANCE   作:oosima

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今回は、ランス3に比べてランス03で色々設定などが追加されたあのキャラが活躍(?)します。


003 時間が伴ってこそ意味を持つものがある●

 ○NK(エヌケー)2年3月11日正午 大陸東部 リーザス王国西部 パラパラ砦○

 

「…行けー! このままの勢いで攻め落とせー!」

「怯むなー! 何としてもかなみ殿があ(・)の(・)方(・)を援軍としてお連れして戻ってくるまで何としても守り通すのだー!」

 

 ランス達が大急ぎで異世界から大陸のリーザス王国への援軍として出発した日の翌日、リーザス王国に残された数少ない領土の一つであるその要塞は、リーザス軍とヘルマン軍の死闘が繰り広げられていた。

 

「…第三小隊は砦に引いて少しでも傷を癒しなさい! その空白には第17小隊が埋めてその隙に深追いしてくる敵の横腹を第五小隊が攻撃!」

 

 兵力的に見ても優勢なヘルマン軍が攻めきれずにいたのは、国家存亡の危機がかかっているリーザス側の士気の高さと、それを巧みに指揮しながら自身もその優れた剣技を振るってヘルマン兵を次々と切り伏せていく、リーザス王国親衛隊隊長レイラ・グレクニーの姿があったためだ。

 彼女はリーザス城が完全に攻略されようとしていた時、原作と呼ばれる時間軸と違って捕らわれる前にリア女王より、密かに生まれたリーザス王子を含めた要人子弟と一部部隊や捕まらずにいた文官達を連れて脱出し、リーザスの抵抗勢力を再組織して抵抗勢力を残すように命じられたためだ。

 向かうように言われたここが、彼女が知る中で最も頼りになる男の住んでいる地と近いこともあり、レイラは苦渋の決断だが全滅か皆が捕まって抵抗できなくなるよりかはいいと考えてここまで退き、今の抵抗に繋がっているのである。

 

「くそぉ! 女のくせして手を焼かせやがる!」

「早く倒して楽しみに入らないとなぁ!」

「ああ、見るからに男を誘惑している格好をしてるしなぁ!」

(…はあ、この格好は動きやすいし見た目に反して魔法の効果で防御力も高いのだけど…戦いになるといつもこんな感じな男が必ず出てくるのよねぇ。あの子や今は別の地で抵抗しているリックと違って他の子の情欲を抱いた眼差しはもう好きになれないわね…!?)

 

 当然、抗い続けているレイラの格好はリーザス親衛隊基本の黄金に輝くビキニアーマーで、北の貧しいヘルマンから来た敵の下卑た視線を集めてしまっており、レイラはそれらにうんざりすると同時にお互い幸運とは言えない形だが子供をもうけたあの男と、女として想いを抱いているのを自覚し始めている同僚の姿を思い浮かべるが、そこで彼女の真後ろの城壁が爆ぜるように崩壊してししまう。

 

「きゃああああああ!? な、何が…!?」

 

 その衝撃波と飛んできた瓦礫に吹き飛ばされて身を痛めながらも戦意を失わない顔のレイラが立ち直って見たその正体は、巨大なストーンガーディアンであった。

 

「おーほっほっほっほ! いかに堅固な城壁だろうとこのリカーマン細胞を移植手術されて無敵のボディを手に入れたこのヘンダーソン・ドーントレスの拳の前では無意味よ!」

 

 やがてそのストーンガーディアンは煙を噴出して急速に収縮していき、オネエ口調を用いるやせぎすな男のヘルマン軍の指揮官の一人ヘンダーソンが正体を現した。

 

「ぐへへへ! さすがですぜヘンダーソン様!」

「さあ! 今まで頑張ってきたお礼をたっぷりするぜレイラちゃあん!」

 

 そして、自分達の勝利を確信したヘルマン兵たちが下卑た様子を浮かべて近づいてくる姿に、レイラは苦悶の顔を浮かべる。

 

(…く! まさかこんなところで―――!)

「フライランスキーーーーーーック!!!!」

 

 だが、ヘルマン兵たちの指先が悔し顔を浮かべるレイラの鎧に触れようとしたその時、彼女の頭上の青空の一点がきらりと光り、そこからネーミングセンスの酷さを感じさせる懐かしい咆哮を添えて、あるものが豪速で急速に近づいてきて大きくなってきた。

 

「―――え!? この声は…ランス君!?」

「「「「「ギャアアアアアアアアアアアァ!!??」」」」」

 

 その咆哮の正体に気付いたレイラが頭上を振り返ったその時、彼女の真上を咆哮の声の主は超豪速で通り過ぎ、そのスピードを乗せた蹴りで地面は大きく爆ぜてその先にいたヘルマン兵たちは悲鳴と共に吹き飛ばされた。

 

「…あほ魔女のせいで俺とお互い不同意エッチした身なのにそれで出来ちゃったマイベイビーの一人を国の支援付きとはいえ産んで育ててくれてるこんな良いお姉さんにゲスな顔で触れようとするな」

「ランス君!!」

 

 そして爆音と土煙が収まると、露になったクレーターの中心に今回の知らせを受けて異世界から大急ぎで戻ってきたランス・クリアの戦闘準備万端な姿があった。

 

「ラ、ランス殿だぁ!」

「皆ァ! マリス様が言われた通りランス様が来られたぁ!」

「百万の兵に匹敵する味方を得たぁ!」

 

 その姿に助けられたレイラだけでなくリーザス兵たちの多くが士気を取り戻していき、逆にヘルマン側からは徐々にマイナスな反応が浮かび始める。

 

「…あ、あの小僧…どこかで見た顔と思ったら…“パラオの黒凶”じゃねえか!」

「あのブラックナイツを次々と投石みたいに投げまくって城壁を赤く染めたってあの!?」

「ほほう…中々の面白い坊やが現れたようね…。だったら…このあたしが相手をしてあげるわ!!」

 

 次々と恐れる声を上げ始めるヘルマン兵の中で、彼らのこの場での指揮官であるヘンダーソンが面白そうな表情で前に出て、その身は稲妻に包まれて再び大きく膨張して身は岩肌のように変化し始めた。

 

「ランス君! 気を付けて! あの男は何らかの手段でリカーマンの能力を手に入れてストーンガーディアンに変身することが出来るの!」

「ストーンガーディアンに? それは中々手を焼かせそうだな…」

 

 レイラの警告にランスは警戒と獰猛さをない交ぜにした表情を浮かべる。

 

「おほほ! その通りよ! さあ! 恥じ入ることなく恐怖し泣き叫ぶが良いわ! 綺麗で強いやんちゃな坊や! あと五分もすれば私のこの体は屈強なストーンガーディアンに変身して砦もろともあなた達はぺしゃんこに…!?」

 

 だが、その警戒はヘンダーソンの口から自慢げに出たその言葉で、ズッコケに変わった。

 

「…え? ちょ…何してるの二人とも…? 戦場で敵の前で倒れるなんて大丈夫―――?」

「…ランスアイアンロングビッグパーンチ…」

「―――うってぶほぉ!?」

 

 それに今度はヘンダーソンからあっけに取られたような心配するそぶりが見えるが、ランスからその気の抜けた声音による安易すぎるネームと共に豪速で出た、金属魔術の応用で硬くなりつつも伸縮自在なその巨大な拳で鼻っ面から殴り飛ばされ、リーザス軍の陣中へゴロゴロともんどりを撃ちながらぶっ倒れた。

 

「皆-、そいつを捕虜として縛り上げろー」

「は、はい!」

「へ、ヘンダーソン隊長が捕まったぁ!」

「逃げろー!」

 

 その身をリーザス軍は即座に捕縛し、それを先ほどのランスの強さと共に見てしまったヘルマン兵たちは一目散に逃げてしまう。

 

「…や、やったわねランス君…」

「安堵するのはまだ後だレイラさん。このオカマにやられた城壁をすぐに塞いで守りを固めなおす。あいつらは追い払ったが報告に聞いた増援はまだ到着してないからそういつらがリターンマッチしてくるかもしれん」

「は、はい!」

 

 そして、その隙にリーザス側は喜びつつも防衛線を直ちに立て直すべく動き出した。

 

 

 

 

 

 ○NK(エヌケー)2年3月11日昼 大陸東部 リーザス王国中央部 リーザス城 王宮○

 

 パラパラ砦でリーザス軍が勝鬨を上げて数時間後、かつては大陸でもっとも豊かな財政を反映して軽量の高級な装備で固められたリーザス兵で守られていたその城は、分厚い重装甲の鎧で身を固めたヘルマン兵達が闊歩していた。

 

「…何だと? パラパラ砦攻略に向かったヘンダーソン部隊が敗れたと…?」

 

 そのヘルマン兵たちによって今は守られるリーザス王の玉座に座るのは、ヘルマン共和国の第一皇子で、ランスが見れば前世知識から“何あの真面目そうなアミバは?”と言いそうな風貌をした、此度のリーザス征服軍の総司令官を務めるパットン・ヘルマンである。

 

「…は、報告によりますればあの“パラオの黒凶”がリーザス側に増援として駆けつけたとのことで…、それを聞きまして増援部隊は敗走してきた先遣部隊を吸収して一旦退却して近くの町へ…」

「…そうか。あの“パラオの黒凶”がいるのならば仕方あるまい。それよりも今は大局だ。リーザス軍主力の残存部隊が逃げ込んだ自由都市地帯方面での戦況をすぐに纏めて報告せよ」

「はっ!」

 

 パットンは冷静に命令を下して伝令を下がらせ、玉座の間で見える人影が自分だけなのを確認すると背後を見やる。

 

「…はぁぁ、まさかあの皇帝陛下からこんなとんでもない大役を任されるなんて…最初は死にに行かせようとしてるんじゃないかって感じでしたし…大丈夫なんでしょうか?」

「…まー、あの最後に見た親父のあの様子からして多少なりともその線は悲しいがあるだろうがー…まさかあの死んだと思ってた“パラオの黒凶”が生きていたたぁ…」

 

 するとパットンは先ほどまでの冷静そうなそぶりは消えて、その巨躯に似つかわしくない気弱そうな表情になり、玉座の裏より彼に似つつも屈強な体格をして硬派な格闘家という感じのする青年が少し難しそうな表情で出てきた。

 

「…皇…じゃなくてミスナルジ殿、やはり最低でもあなたが前線に出るのは止した方が良いんじゃ…? 今回は何故かあの魔(・)人(・)達(・)も協力してくれてますが…明らかにノス達は…今は自由都市地帯攻略軍に加わっている彼(・)と確執があるようでしたし…」

「そりゃそうだが、今ここで下手に進軍を止めりゃあ、ステッセルやパメラに邪魔される口実にされちまう。もっとも、あいつらは戦況がどうなっても援軍出すのは邪魔してくるだろうから…消耗は極力避けないといけないのがいてえが…早く、ハンティに戻ってきてもらわねえと…」

 

 パットンとその背後より現れた男であるミスナルジは難しい表情を浮かび合い、戦況の良さに比べて彼らの内情は芳しくないことを暗に示していた。

 

 

 

 

 

 ○NK(エヌケー)2年3月11日夕刻 大陸東部 リーザス王国西部 パラパラ砦○

 

「その物資は西の城壁に運んでー!」

「シーザー王国からの増援第二陣が来ましたー!」

 

 ヘルマンからの侵略軍の中枢で不可解且つ不穏なやり取りがされて数時間後、リーザスで最も夕方になるのは遅いそこも空が赤くなり、城内はリーザスとシーザー双方の将兵達が忙しく行きかっていた。

 

「…こちら側の世界の人間の半分が男というのは事前に聞いてたが…実際に見るとすごいな…」

「感動するのはいいけど下手に触れるな。魔法が得意なメンバーの手で開発された、その性感をこちら側の普通の子と同じくらいに低下させる腕輪をしてるけど、まだ試作段階だから」

 

 その中でランスはシーザー側の女性達を注意しながら、立て直しの仕切り役の一人に就任していた。

 

「すまない。だが、あなたには本当に感謝している。これなら、以前は男の数が致命的に少ないからあぶれるはずだった者達も安心だ」

「その通りだなメアリ、俺だけじゃどうしても限界があるし…特に胃と髪の生え際で…」

「悪いがあの腐れ外道神との戦いでの絶望的な状況をあれこれして何度もひっくり返してきたお前の姿を見てきた身として白々しいなその言葉は…あ」

 

 そうして連れている女性の補佐を受けつつも周囲を仕切って防衛体制復旧を進めているランスだが、そんな時にも絶対メイティングモルルンは遠慮なく自己主張してくる。

 

「…あー、ここだと軍の士気にかかわると怒る子もいるから…幸いにも症状がまだ軽いうちは難しい魔法も使えるし…一旦オアシスに戻るか…」

「ああ、私も少しでも恩を返そう…」

 

 それに少し赤らめた頬をポリポリと掻きだしたランスはパラパラ砦メンバーに事情を説明すると、護衛の女性によって砂漠に連れ出され、そこから魔術で飛行大剣を精製してそれに乗って一旦オアシスへ戻ることにした。




次回、どうしてリーザス城が攻略されかの理由の解明が中心になります。
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