愛を知らぬまま死んだ娘は、やがて蘇り少女の姿で男を誘惑して、油断した所を頭蓋を割って脳を啜る怪物となる。
昔どこかで聞いた伝説だ。いつ誰に聞いたかも忘れてしまったが、それを聞いた俺は何となくその怪物が愛を知った時どうなるのだろうか。そんな事を考えたのは覚えている。
恐ろしくも悲しき怪物の話だと思っていた。けれど襲われた人間にとってはそんな事情など知った事ではないだろう。人に紛れて、人の真似事をして襲い掛かる怪物。ただ単に襲い掛かる怪物と比べて悪辣さや嫌悪感が勝る存在。愛を知らないのに誘惑する時点でかなり悪質な存在だろう。
だがもし目の前にそんな怪物が現れたなら、俺はその誘惑から、魔の手から逃れることが出来るだろうか?
件の怪物は美しい少女の姿で現れるそうだ。怪しいと分かっていながら、引き寄せられてしまう魅力があるのだろう。そんな存在を前にして誘惑を振り切れるなどと、果たして言い切れるのだろうか。
「ちゅっ、ちゅ……んっ、ふぅ。どうしたの? 何か考え事?」
嬲るように舌を絡めてキスを続けていた彼女が問いかけてくる。あどけない表情と可愛らしい声が耳朶と脳を震わせ、嫌でもその姿を見てしまう。身長は俺より頭一つか二つ分低く、肌は艶やかで若々しい。髪は腰まで伸ばしていて照明に照らされて輝いていた。まさに烏の濡れ羽色といった具合の綺麗な髪を手で搔き分け、キスの余韻のためか頬が紅潮しているその姿は、とても自分より年下の存在とは思えない淫靡さを纏っている。
まさに幼さを残すも少女の姿で男を誘惑する怪物を彷彿とさせた。
幼さを残すも何も、実際に彼女は幼い少女なのだ。まだ女子中学生で未成年。それなのにその色気はたとえロリコンの気がなくても振り向いてしまうほど放たれていた。この部屋に来るまでに男女問わず彼女に振り向き凝視する者が多かった。俺も当事者でなければその一人だったはずだ。
なぜこうなったのだろう。俺がロリコンだったから? 彼女が俺に狙いを定めていたから? それとも――
「考え事なんてしなくいいから、続き、しよう?」
首を小さく傾げる幼い仕草とは裏腹に、彼女は俺のペニスを優しく包みしごいてきた。すでに屹立しているせいか快感が全身に広がっていく。どんなに身を捩って快感から逃れようとしても、彼女はそれを許さない。俺の身体を知り尽くしているのだ。すぐにでも俺は屈服してしまうだろう。
どうしてこうなったのだろう。そんな疑問が頭の中で木霊したまま――