十 希望(のぞみ)
一ラウンド終えてベッドに横になる二人。
咲はマサルの腕枕で寄り添い、幸せそうにマサルの胸を撫でている。
「結婚してるのか?」と咲に聞くマサル。
「いえ、私、こんな身体ですし、普通の女じゃないですから‥‥‥」
「‥‥‥今は、セックスしてくれる相手は?」
「今はいません。今年の初めまではいたんですけど」
「そうか‥‥‥」
「就職した会社の社長さんにずっと使ってもらってました」
「そうか‥‥‥」
「子供いるんだよな」
「はい」
「その社長の子か?」
「‥‥‥いえ、違います。TATOO彫ってくれた彫り師さんにしてもらった時の子です」
「ピル飲んでなかったのか?」
「‥‥‥筒井くんとの関係が終わって、もうセックスしてくれる人はいないと思ってたので、服用やめてました」
「その彫り師は?」
「今は別のところに行ってしまったみたいで、してもらったのも彫ってもらった時だけですし」
「堕胎しなかったんだな」
「はい‥‥‥」
その訳を聞いていいのか、ちょっと考えてしまうマサル。
「筒井くんは、篠崎さんと上手くいってるんですか?」
「え、ああ、優とは色々あって大学二年の時に別れたんだ」
「そうなんですか‥‥‥、すごくお似合いだったのに‥‥‥」
「まあ、俺がいけないんだけどね」
「今は彼女とかは?」
「その後、何人かと関係を持ったりしたけど、長続きしなくって‥‥‥。今は独り身」
「そうなんですね。就職は?」
「東京のIT企業でプログラマーとして働いてる」
「すごいですね、有名なとこじゃないですか?」
「ラッキーだったかな‥‥‥。咲は仕事は?」
「就職した会社に四年いましたが、クビになってしまって今はスーパーのレジ係してます」
「どうしてクビに?」
「社長さんに色々とよくしてもらって、その代わりにセックス相手をさせてもらってたんですけど、それが奥さんにバレてしまって、それでクビになってしまいました」
「ひどいね、咲だけ悪者か?」
「いいんです。私が悪いんですから。でも奥さんから手切れ金で二百万円もいただきましたので‥‥‥」
「色々あったんだな。そういえばお母さんは?」
「父が赴任先で脳梗塞で倒れてしまって、今は入院してリハビリしているんですけど、その面倒を見るので、赴任先で暮らしてます。だからここは私と娘の二人だけです」
「そうなんだ‥‥‥」
「筒井くん、このまま泊まってくれますか? もっともっといっぱい注いでもらいたいです」
「え、そうだな、ホテルの部屋に荷物があるけど、まあ明日の朝戻ればいいか‥‥‥」
「うれしいです。筒井くんと朝まで一緒に過ごせるの、二度目ですね」
「ああ、そうだね」
「もっともっと筒井くんのペニスとザーメン味わわせてくださいっ」
そう言ってマサルのペニスをまた舐め始める咲だった。
・・・・・・
結局そのあと、咲のまんこと尻穴にザーメンを注ぎ、久しぶりに四発出してバッタリ眠ってしまったマサル。
目を覚ますと朝になっていて、隣に寝ていた咲はベッドにはいない。
もう十時を回っている。
ホテルに戻って着替えたりしないと‥‥‥
シャツとパンツだけ着て、ベッドルームを出ると、リビングのソファで咲が娘とテレビを見ていた。
「あっ、おはようごさいます!」
マサルに気がついて声をかける咲。
「おはよう‥‥‥」と答えるマサル。
咲の娘も振り返ってマサルを見る。
「おじさんは、ママのお友達?」
「えっ、そうだね‥‥‥」
「こんにちは、のぞみです」
「あ、おじさんはマサルです」
「ようこそ、おいでございます」
「えっ、ありがとう」
丁寧だけどちょっと変な挨拶に思わず笑みがこぼれるマサル。
「ウチに人が来ること、ほとんどないから‥‥‥」
ちょっと苦笑している咲。
「筒井くん、朝ごはん、パンケーキでいいですか?」
咲が席を立ってキッチンに向かう。
「ああ、ありがとう」
マサルに声をかけた咲の娘は、またテレビのアニメ番組を食い入るように見ている。
じきに咲がパンケーキとコーヒーを用意してでイニングテーブルのマサルに差し出す。
「ありがとう。のぞみちゃん、すごく可愛いね。咲に似てる気もする」
「うん、私の宝物! 漢字で『希望』って書いて『のぞみ』って読むんです」
「いい名前だね、すごく‥‥‥」
嬉しそうな咲を見ながら早速パンケーキを食べ始めるマサル。
普段、朝食はちゃんと作ることがほとんどないので、こういう手の込んだ朝食はホントに美味しい。
「すごく美味いよ!」
褒めると、嬉しそうに満面の笑顔を見せる咲。
「ありがとう!そう言ってもらえるとすごくうれしいです」
その笑顔にマサルは思わず胸が締め付けられる。
パンケーキは、すごく美味しくてあっという間に平らげるマサル。
コーヒーを飲みながら、こういうのが家族の週末の団欒っていう感じなんだろうな、と久々の感覚に安らぎを感じる。
「あの‥‥‥今日、同窓会終わったらまた来てくれますか?」
「えっ?」
「東京に戻るの明日ですよね。もし嫌じゃなければ、また今晩、ご奉仕したいなって思って‥‥‥」
「うん、そうだな。でも二次会とか三次会とかあれば、きっと御前様でベロベロになっちゃうかもしれないし‥‥‥。状況みて連絡するのでもいいかな」
「はいっ、わかりました」
そしてマサルはホテルに戻ってシャワーを浴びて、ベッドに横になる。
久しぶりの咲とのセックスは数年振りに味わう最高の興奮と快感だった。
今まで何人もの女性とセックスしてきたマサルだが、咲とのセックスほど興奮して痺れるようなセックスは誰ともできなかったし、あの咲の切ない表情はホントに胸が締め付けられるようになる‥‥‥。
それにしても子供を産んだり、ニップルピアスやTATOOなど、咲が大胆に色々としていたことに驚かせられたな。
咲は大人っぽくなっていたけど、でも全然変わってなかった。
すごく真っ直ぐで自分のことを大事にしてくれて‥‥‥。
なのに俺はどうなんだろう‥‥‥。
色々なことを思いながらマサルはまた眠りに落ちていった。
夕方、祐二からの電話で目が覚めたマサルは、慌てて支度をして同窓会の会場へ。
流石にまだ五年弱しか経ってないので、みんな昔の面影がたっぷりあり、懐かしい顔が大勢集まっている。
昨日飲んだ祐二達三人も来ている。
会場は立食パーティー形式で、次々に声を掛けられ、挨拶しながら回っていくマサル。
エリや優もさらに美人になっているので、何人かの男子に囲まれて談笑している。
祐二も当時祐二のファンだった女子達と話している。
酒を取りに行った時に三年のクラスで割と話した連中から声を掛けられるマサル。
しばらく話していると、そのうちの一人が咲のことを言い出す。
「そういえばマサルの隣の席にいた陰キャの子、覚えてる?」
「ああ、あのぼっちだった子。たしか田村さんだっけ‥‥‥」
隣の奴が反応する。
「俺、去年かな、昼間、駅裏のラブホのそばを通ったら、彼女が男とホテルから出てくるところ、見ちゃったんだ。それがもう六十位のオヤジと‥‥‥」
「俺も部活の友達がそれ言ってた。そいつも昼間に何回か見たらしいよ」
「円やってたんじゃないか?」
「あんな地味な陰キャなのに、ヤリマンビッチだったとはね‥‥‥」
「‥‥‥」
きっと昨日咲が言っていた会社の社長とだろう。
もう一人の奴が続ける。
「でも彼女、子供いるんだぜ。俺、ショッピングモールで小さい子と手を繋いで歩いてるの見たことあるよ」
「そうなんだ、なんか意外だな。男っ気とか全然なさそうなのに、やることやってるなんて‥‥‥。そういえば今日は来てないみたいだけど」
と、そこにエリがマサルを見つけて、話の輪に入ってきた。
ほろ酔いの感じで、マサルに後ろから抱きついてきた。
「おい、エリ大丈夫か?」と声をかけるマサル。
「な〜に話してたの〜?」とみんなに声をかける。
「三年の時、マサルの隣にいた陰キャの子、田村さんのこと知ってる?」
「うん、知ってるよ〜」
「彼女、平日昼間に六十とかの親父とラブホで援交してたみたい‥‥‥」
「えっ‥‥‥そう?」
「間違いじゃない? 彼女、子供いるし‥‥‥」
「エリ、知ってるのか?」
マサルがエリに聞く。
「うん、だって彼女の子供うちの娘と同じ幼稚園だし。娘より一学年上だけど‥‥‥。
あっ、そういえば、ウチよりも上ってことは、えっ? ‥‥‥高校時代に出来た子だ!」
「えっ、ホントか?」
「うん、この前十二月生まれのお誕生会したんだけど、その中にいたから、うちの子よりも一年早い生まれで、ってことは彼女、高校卒業前に妊娠してる計算になるよ」
「え〜っ‥‥‥!」
話を聞いてた男子みんなが驚くが、マサルの驚きはすさまじいものだった。
「マサル、やけに食いつくな〜。あの子のこと好きだったとか‥‥‥」
「そんなことないよ。だってマサル、優と付き合ってたんだし‥‥‥」とエリが返す。
「ご、ごめん、ちょっとトイレ‥‥‥」
衝撃の事実にわけがわからなくなってトイレを理由に中座するマサル。
咲は高校在学中はピルを服用していたはずだし、それに自分以外とはどう考えてもセックスしてないのに、なのにどうして在学中に妊娠したって言うのか‥‥‥。
酒が少し回っていることもあるが、頭が混乱してわけがわからないマサルは、突然あることを思い出す。
咲を便器として使い、調教を開始した当時、咲の性的願望を聞いたことがあり、その時に咲がいくつか話した中に、種付けされて孕まされ、堕胎して子宮も傷物にされたい、と言うのがあったのだ。
被虐願望の強いマゾの咲だから、もしかしたら、孕まされたい思いが募って、ピルの服用をやめてしまった可能性もあるかもしれない、でもそれならどうして堕胎しないで産んだんだ‥‥‥。
訳がわからなくなったマサルはトイレから戻ってもそのことばかり考えて、全部が上の空となってしまう。
同窓会もお開きになって二次会に向かう連中に誘われたマサルだが、体調が悪いから先に帰ると祐二に伝えて会場を後にする。
どうしても咲に会って確かめないと‥‥‥。
マサルは会場のシティホテルからタクシーに乗ると、咲のマンションへと向かった。