俺は、世界の半分(女性)を手に入れてみせる! 作:キャプテンキャップ
01:俺という男が朝起きたら……
突然だが、俺の身の上に起こったこの不思議な現象を、どう受け止めればよいのだろうか?
いつも通りに目が覚めたら、パソコンのウィンドウパネルのような物が目の前に浮いているとかさ……なんなんだ?
顔を横に向けようと、目蓋を閉じようと、ソイツは目の前に浮かんだままだ。全く消える気配が無い。
「実はまだ夢の中だったりは……イテテ、やっぱしないよなあ」
リアルに耳朶を打つ自分の声と、頬をつねるという古典的手法を試した結果、俺はちゃんと起きているようだ。
であれば、正気を失っているとか?
俺は自分のプロフィールを思い出してみる。
家族は両親と妹と弟が一人いる。……よし、覚えているな。
では次だ。
俺の名前は田中
体つきは中肉中背で、身長は170センチほど。
顔は……まあ普通だろう。そう思いたい、マジで。
歳は17になったばかりで、高校生をやっている。
通っているのは家から徒歩で30分ほどの所にある市立の高校で、学年は2年。
部活は何もやっていない。
これといった趣味はなく、彼女もいない。いた
「……なんだか空しくなってきた」
プロフィールを思い出すのはやめよう。記憶も正常だし、正気も失っていないようだしな。
俺が溜め息を吐いている間も、目の前のウィンドウは浮いたままだ。
となると……昨日の夜に何か異常が?
えぇっと、確か昨日は――俺は昨夜の事を思い出そうと記憶を引っ張り出した。
★
学校が終わり、家の玄関を潜ったのは夕方過ぎだったか。
帰ってきた俺は特になにをすることもなく、夕飯まで二階にある自分の部屋のベッドの上でダラダラとしていたのだが、次第に眠くなってウトウトしてしまっていた。
そんな時だ、ノックもなしに部屋のドアが開いたのは。
「お兄ちゃん、ご飯」
半開きのドアから顔を覗かせながら冷たい声音で言うコイツは、妹の
花蓮は中学校に通う二年生で14歳。
普通な顔の俺と違ってもの凄い美少女である。
パッチリとした目は大きく、睫毛も長い。
唇はリップなど塗っていないのに艶があって綺麗な桜色をしているし。
腰にまで届く黒髪なんか「絹かよ!」って思うほどに細く滑らかで、神々しく光を反射しちゃっている。
体つきも同年代の女子よりは発育が良いし、その上頭も良いときた。
これで性格も良いってんだから、天は二物どころか三物も四物も与えている。与えすぎだろう、神様。
どこまでも平々凡々な俺とは何もかもが違う。
それがコイツ、妹の花蓮だ。
そんな妹が俺に冷たいのには、理由がある。
ついこの間、俺が
不幸中の幸いと言うか、妹が悲鳴を上げなかったために両親が飛んでくることはなかったが、それ以来、態度が冷たくなったわけだ。
ま、俺の自業自得と言えばそれまでだが、その前から仲が良いとはお世辞にも言えなかったから、妹に冷たくされてもそれほど堪えていない。
眠たかった俺は、妹に適当に手を振って答えると、花蓮は「フンッ」と鼻を鳴らして乱暴に扉を閉めていきやがった。
妹が階段を降りる音を聞きながら、俺の意識はまどろみの中に落ちていったのだった。
☆
そして、今に至るのだが――
「……昨夜に何のヒントも無かったな」
帰ってきてただ寝ただけなのだから、そりゃそうだ。
しょうがないので、そろそろ現実逃避をやめて、目の前のコイツと向き合うとしよう。