俺は、世界の半分(女性)を手に入れてみせる! 作:キャプテンキャップ
さて、
ベッドの縁に腰掛け、溜め息を漏らす。
なんせ志紀には何故か俺の『フェロモン』のスキルの効果が薄いっぽいからな。だけど、全然効いてないわけでもないはずだ。根拠はないが、勘ではそうだ。
「……ってことはやっぱ、ごり押ししかないか?」
自分で思いだせないのは情けないとは思うが、なんせ昨日から一晩中思い出そうと努力しても全然無理だったからな。……一睡もしてないから超眠い……。
欠伸を漏らしながら窓の外に目をやれば、朝だというのに薄暗い町並みが見える。薄暗いのは今日も曇りだからだ。厚い雲を通して差し込む朝日も弱々しいし。……あ、ヤバイ。目蓋が重くなってきた。
うつらうつらしていると、扉がゆっくりと開いた。
「お兄ちゃん、朝だよー。……あ、もう起きてたんだ。珍しいね」
ノックもなしにそっと入ってきたのは制服姿の妹の
「おはよう花蓮。危うく寝るとこだったけどな」
「徹夜してたの? それじゃ、花蓮がばっちり起こしてあげるね♪」
ベッドに腰掛ける俺の隣にトコトコとやってきて座り、チュッとおはようのキスをされる。花蓮の手が俺の股間に伸びていき……
「あれ? 今日はちっちゃい」
「ちょっと徹夜してな」
「ふぅ~ん。あっ、もしかしてお姉ちゃんのことで?」
「正解」
「忘れた約束、ちゃんと思い出せた?」
「そっちはさっぱり。で、徹夜したってわけだ」
首を振る俺に、花蓮は「困ったお兄ちゃんだ」と苦笑しながら「……そっか、昨日はお姉ちゃんのこと、一晩中考えてたんだ」と含みのある声で呟いたあと――
「そんな困ったお兄ちゃんを、花蓮が慰めてあげるね」
それに、
「今だけはお姉ちゃんのこと、忘れさせてあげる」
と、耳元で囁くと、そのまま耳の穴に舌を這わせてきた。
舌のザラザラとした感触と、ねっとりとした唾液が俺の背中を粟立たせる。
「っ、花蓮……」
思わず漏れた妹の名前。それに気をよくしたのか、花蓮が耳たぶを甘く噛みながら俺の膝の上に
俺の胸板で潰れる妹のオッパイ。
スカートを持ち上げ、オマ×コをトランクス越しのチ×コに押し当ててくる。
朝の処理にくる時は、花蓮はショーツを穿かない上にパイパンなので、ツルツルオマ×コスジが直に
それらの刺激で、萎えていたチ×コが朝本来の姿をムクムクと取り戻しいく。
「あ、元気になってきた♪ でも、まだいつもよりは柔らかいかな? じゃあ、こんなのはどう?」
オマ×コでトランクス越しのチ×コの硬度を測った妹が、膝立ちになる。そしてセーラー服を少したくしあげると、その裾を思いっきり前へ引っ張った。
「お兄ちゃん、ちょっと屈んでみて。そしたらお兄ちゃんが好きなアングルで、花蓮のおっぱいが見えるでしょ?」
おお、なるほど! 妹の言うとおり、ちょっと屈めばセーラー服の下から覗く格好となり、花蓮のブラに包まれた下乳が見えた。……てか、よく覚えてたな。俺がこのアングルに興奮してたの。
そう聞くと、花蓮はエヘンと胸を張って「お兄ちゃんのことだからね」と自慢げに言ってくれた。……ほんと、可愛い奴。覗くのをやめ、花蓮の背中に手を回しギュッと抱きしめる。妹は「んふふ~♪」と嬉しそうに
妹のオッパイに包まれる。甘い体臭に柔らかい胸。
「あ、おちんちん硬くなった♪」
花蓮が凛々しくテントを張ったチ×コをなぞる。
「それじゃ、今日の仕上げは花蓮の手でしてあげるね♪」
トランクスの中に侵入してくる花蓮の手。細指が亀頭をさすり、鈴口から溢れ出るカウパーを絡め取り、亀頭に塗りつける。それらの感触に、俺は妹のオッパイに顔を埋めながら鼻息を荒くした。
「んっ……。お兄ちゃんの息、おち×ちんと同じくらい熱い♪」
花蓮も興奮してきたのか、竿を
「んふふ♪ ぴくぴくして膨らんできた。もう
「ああ、射そうだ」
俺の言葉を聞き、ラストスパートとばかりに花蓮は扱く速度を上げた。
張り詰める睾丸。膨らむ亀頭。駆け上る射精感。
「花蓮、射すぞ!」
妹の手で昇り詰める瞬間――花蓮が素早く腰を落とした。
「えい♪」
ずりゅうっ!
オマ×コに呑み込まれるチ×コ。
「花蓮!? ぐぅうう!!」
オマ×コの締め付けが
ビュルルルルッッ!!!!
「んんんんんん♪」
膣内を精液で満たされる喜びに、花蓮が体を震わせながら俺の頭を抱く腕にさらに力を籠めた。
妹のオッパイを堪能しながら、射精の余韻にしばし浸るのだった。
「……ったく、最後のアレは反則だろ」
「ごめんごめん。急にお兄ちゃんの精子が欲しくなっちゃって♪ でも、お兄ちゃんも朝から花蓮のおま×こに
そりゃあ、まあ。そう言うと、花蓮は「それじゃあ、別にいいよね♪」と悪びれもせず、笑顔でのたまう。……いや、いいんだけどさ。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「がんばってね」
一瞬、なんのことか分からなかったが、すぐに志紀とのことだと気付いた。
「おう」
花蓮の頭を撫でながら力強く答える。……結局、花蓮の言ったとおり、処理してもらっている間は志紀のことを忘れてたな。
さて、と。妹に励まされたことだし、頑張りますか!
☆
朝食を手早く食べ、いつもより早く家を出る。電車通学で家を早く出る志紀に合わせるためだ。
靴を履いていると、花蓮に呼び止められた。
「まってお兄ちゃん。傘、持ってったほうがいいよ。午後から雨が降るかもって。はい」
「お、ありがとな。それじゃ、いってくる」
「いってらっしゃーい」
妹が用意してくれた折り畳み傘を受け取り、鞄に押し込んで玄関を出た。
向かいにある志紀の家のインターホンを押す。昔から家族ぐるみで付き合いがあるから、躊躇なんてない。
しばらくすると、志紀の母親が出てきた。
「は~い。……あら、
「……おばさん。高校生にもなって
「あっはっは。無理無理。諦めなさいよ」
豪快に笑うおばさんに溜め息を吐く。中学の時から何度言っても止めてくれない。……まあ今はどうでもいい。
「それよりおばさん。志紀、います?」
「あらら、あの子呼びにきたの? ごめんねぇ、あの子、今日は友達と駅で待ち合わせとかって10分くらい前に出ちゃったわよ」
ゲッ、なんてタイミングの悪い。
「……ふぅ~ん。へ~ぇ」
タイミングの悪さに歯噛みしていると、おばさんがニヤニヤしながら俺を見ていた。
「な、なんです?」
「ううん。洋ちゃんが志紀を呼びにくるなんて、小学校以来久しぶりだなあって。そっかそっかぁ。いや~、空は曇りでもう夏なのに。青いねえ、春だねえ。ね! 洋ちゃん?」
「……」
ニヤニヤがニマニマに変わってる。……これ、絶対なんか誤解されてるよな。だけど何を言っても多分無駄だろう。おばさん連中の耳は都合よく遠くなるからな。まったく、これだからおばさん連中は困る。
なんて考えていると、おばさんにガッシと顔を掴まれる。みしみしと悲鳴を上げるこめかみ。こ、これはおばさんが得意なアイアンクロー!?
「な~んか今、不埒なこと考えてない? 洋ちゃん」
おばさん連中は勘も鋭い!
「ナニモ、カンガエテマセンヨ? キレイナオネエサン」
「ならばよろしい」
俺の言葉に満足したおばさ――綺麗なお姉さんはアイアンクローを解いてくれた。いっ
「それじゃ、志紀もいないみたいなんで学校にいってきます」
「はい、いってらっしゃい」
おばさんに見送られながら歩き出す。おばさんに『いってきます』というのも随分と久しぶりだ。小学の時は毎日のように言ってたのに。……考えてみれば、疎遠になったのは志紀とだけじゃなく、おばさんともだなあ。
なんだか寂しいもんだ。
学校に着いた俺は、昨日の徹夜がたたって午前中の授業を爆睡して過ごす羽目になった。だけど『フェロモン』が効いてるから教師に起こされることも注意されることもなかった。相変わらず『フェロモン』のスキルが有能すぎる。
☆
そしてあっという間に放課後。
「……降ってきたか」
昇降口を出たら、ポツポツと雨粒が落ちてきた。
鞄から折り畳み傘を取り出す。用意してくれた花蓮に感謝だ。
「あれ~、洋君だ~」「おう、洋も今帰りか?」
「ん? ああ、どこのバカップルかと思えばお前らか」
声をかけてきたのは相々傘の
「おいおい誰がお似合いのカップルだって? ジュースでも奢ってやろうか、ああ~ん?」「照れちゃうね~。いっくん」
言ってねえよ。
「それにしても、ちょっと抜けてる洋君が傘を持ってるなんておどろきだ~」
「どういう意味だよ……と反論したいところだが、朝に花蓮がな」
用意してくれたんだ。と言えば、「ほぇ~。さすがしっかり者の花蓮ちゃん」「どっかの間の抜けた兄貴とは大違いだな」と言いたい放題。うっせぇよ。
「でも、よく花蓮ちゃんが洋君の傘を用意してくれたね~」「仲直りでもしたか?」
こいつらとも付き合いが長いので、俺と妹の仲が悪かったのを知っている。だからこそ花蓮が傘を用意して持たせたことに驚いているんだろう。
「まあ、そんなとこだ」
今では重たすぎるお兄ちゃん大好き光線を放ってるがな。
「そっかそっか~。その調子で志紀ちゃんとも上手くいくと良いね、洋君」
ほんわかした笑顔で言ってくる美帆。こいつなりのエールなんだろう。
「……だな」
苦笑しながら頷き返す。
「それじゃあね~」「また明日な、洋!」
仲
校門を出る頃には、大雨になっていた。
☆
「いやいくらなんでも降りすぎだろ、コレ」
雨で視界が悪く、目の前が乳白色に染まる。呟いた自分の声すら雨音に掻き消されるくらいの土砂降り。
溜め息を吐きつつ家路を急いでいると、ポケットの中のスマホが震えた。誰からだ?
取り出してみれば、さきほど別れたばかりの美帆からのメールだった。
『志紀ちゃん、傘忘れて駅で立ち往生してるんだって! チャンスだよ、洋君! 《>_<》』
「その顔文字はおかしいんじゃないか?」
ったく、お節介なやつ。だが、ナイスアシストだ美帆。心の中でお礼を言いながら
人とタクシーでごった返す駅前。下校時間のラッシュとあって、色んな学校の生徒で溢れている。
この中から志紀を探すとなると一苦労しそうだなあと思いながら歩いていると……いた。
空を見ながらぽつんと立っている志紀。
こうも早く見つけることができたのは、志紀が周りから浮いていたからだ。ビジュアル的な意味で。男女問わず、大抵の通行人が志紀を見ていくのだから目立ってしようがない。
憂いた表情で空を見上げる様はなるほど、アイドルも真っ青な美少女っぷりだ。……黙ってれば清純派アイドルっぽいのになあ。どうしてああも無愛想なのか。
(……いや、無愛想なのは俺に対してだけか)
って、ここで遠巻きに見ててもしょうがない。俺は小走りに駆け寄り、声をかけた。
「志紀」
「えっ、洋? え? え? どうして洋がここにいるの?」
目をパチクリさせながら混乱している志紀。……おっと、俺がここにいる理由か。何も考えてなかったな。
「あ~っと……傘を忘れた友達をここまで送ってたんだよ。そしたらお前が見えてさ」
とっさに考えたにしてはけっこういい感じじゃないか?
「ふ~ん……友達、ねえ?」
ジト目で見てくる志紀。……おぉう、嘘って速攻バレてるっぽい。でもそのまま押し通す。
「お前、見たとこ傘持ってないだろ? ほれ」
言って、傘を差し出す。
「……貸してくれるの?」
「アホ。そしたら俺が濡れるだろうが。家が向かいなんだから入ってけ」
「そ、そそそそれって相々傘じゃ――」
「ストップ! 恥ずかしくなること言うの禁止。早く入れ」
「う、うん。……お邪魔します」
傘入るのにお邪魔しますっていうヤツ初めて見たぞ。志紀が俺の傘に入ると、周りから舌打ちするのがいくつか聞こえてきた。……どうやらナンパしようとしてた奴らがいたみたいだ。
「ちょっと小さいけど、我慢しろよ」
「うん、大丈夫」
気持ち、傘を志紀のほうへ寄せながら、俺たちは肩が触れ合いながら歩き出した。
☆
賑やかな駅前を抜けて住宅街へと入ると、騒がしかった雑踏が消えて、雨音だけになる。
街灯の光を照り返す、雨で濡れたアスファルトの上を歩いていると、志紀が照れたように口を開いた。
「やっぱりこれ……ちょっと恥ずかしいね」
「昔は1つの傘で一緒に帰ってただろ。何をいまさら」
「……昔と今じゃ違うよ」
寂しそうに言う志紀。
「違わないさ。今も昔も」
「……洋にとってはそうかもね」
俺の言葉が気に入らなかったのか、志紀はそっぽを向く。
むっ、なんだよその言い方。
「知らない」
「またそれかよ。ってか、お前はなんで怒ってんだ」
そう、俺はそれが知りたくて志紀に会おうとしてたのだ。俺が忘れた、志紀と交わした約束の内容もな。
「自分の胸に聞けば?」
「お前が怒ってるのは、俺が昔交わした約束が原因だってことは分かるよ」
「……思い出したの?」
「まあな」
目を見開く志紀に、頷く。
本当は花蓮から教えてもらったんだけど。
「じゃあ――」
「だけど、約束の内容までは思い出せてない。だから、教えてくれないか? 内容を」
「…………ない」
「うん?」
声が小さくて聞き取れない。
「それじゃ、意味ないって言ったの! 自分で思い出してみせてよ!」
「それができないから教えてくれって頼んでるだろ!?」
「こ、こんのポンコツ頭ー!」
グイっ! と志紀が傘を自分のほうへ引き寄せる。当然、雨に打たれる俺。
「冷たっ!? ちょっ、バッ! 何すんだよ!?」
グイっ! 傘を引き戻す。当然、今度は志紀が雨に打たれる。
「きゃあっ!? し、信じらんない!」
「うっせー、バーカ!」
「そんなんだから約束も忘れちゃうんだよ!」
グイっ!
「だからそれを教えてくれよ!」
グイっ!
傘を引っ張り合い、言い合い、ずぶ濡れになりながら道を歩く俺たち。
刻一刻と激しさを増す雨に混じって、ついには稲光も鳴り響くようになった。
「付いて来るなストーカー!」
「向かい同士だろうが!」
互いの家が見えてくるが、俺が向かうのは志紀の家だ。
「なんでこっちに来るの!?」
「教えてもらうまで帰るつもりはないからな!」
「やっぱりストーカーじゃない!」
「違うわ!」
玄関の扉を開けて中に入る志紀を追いかけ、俺も傘を放り捨てて中へ。
「お帰りなさい。あら洋ちゃんも――」
「勝手に入ってこないでよ!」
「おばさんお邪魔してます! これでいいだろ!」
いいわけないじゃない! と怒鳴りながら階段を昇る志紀を無視して後ろを追う。
「あらあら派手な喧嘩ねぇ。……これはお泊まりになるかしら? 連絡入れときましょ」
ドタバタと2階へ上がる俺たちの後ろで、おばさんがニコニコしながら俺の家に電話をしてるなど、分かるはずもなかった。
☆
「ちょっ、部屋まで入ってこないで!」
「いやだね」
「人の気も知らないでっ!」
「なんだよそれ!」
「もうっ!」
志紀が苛立たしげに俺を突き飛ばす。突然のことに対処できず、後ろにあったベッドに倒れこむ。そこに志紀が覆いかぶさるように乗っかってきた。
「おい――」
「私は!」
俺の言葉を、大声で遮る志紀。
震える声で、
「私は……洋が好き」
「…………は?」
突然の告白に、間抜けな声が俺の口から漏れた。
「ずっとずっと好きだったの! ううん、今でも好き。大好き」
「……マジで?」
「ほら、やっぱり気付いてなかった」
「…………」
はにかみながら、目に大粒の涙を
「幼稚園の頃から、ずっと洋のことが好き。洋と一緒にいるだけで幸せだったの」
でも、
「私、素直になれなくて。気持ち、ずっと伝えたかったのに、ずっと伝えられなかった。そうしてる間に、洋が私から離れていっちゃって……」
ぽたぽたと落ちてくる涙が、頬を塗らす。
「一緒にいたいって。伝えなきゃって。だけど……やっぱり素直になれなくて、どうしていいか分かんなくなって。私の気持ちに気付いてくれない洋に勝手に怒って。約束を忘れたことにも怒っちゃった……」
ごめんね、洋。と、顔を伏せ、涙を零す志紀。
「幼稚園の時の約束なんて、忘れててもしょうがないのにね?」
幼稚園の時の約束――それを聞いた瞬間、思い出がフラッシュバックする。
『ねぇねぇ?』
『んー? 志紀ちゃ、なにー?』
『ずっとわたちと一緒にいてくれる?』
『うん! もちろん! ぼく、志紀ちゃとずっと一緒にいるよ!』
『ほんと? じゃあ約束だよ!』
『うん、約束!』
『だーいすき!』
『ぼくも志紀ちゃ、だいすきー!』
……ああ。俺って大馬鹿だ。
確かに交わした約束。
他愛もない約束。
だけど、それを10年近くも覚えていた幼馴染みが目の前にいる。
自分で約束しといて、あっさりと忘れてしまった馬鹿もいる。俺だ。
何が女子と遊ぶのが恥ずかしいだ。
例え女子と遊ぶのが恥ずかしくて距離を置いても、目の前の幼馴染みだけは遠ざけたら駄目だったのに。
「ごめんな、志紀」
伏せている志紀の頬に両手を添えて顔を上げさせ、指で涙を拭いながら謝る。
「……洋?」
「約束したのに、勝手に離れてしまって」
「思い、出したの?」
「今、お前の言葉を聞いてな。ほんと、ポンコツな頭だよな」
幼馴染みの女の子が泣きながら告白するまで思い出さないとは、そりゃあ妹に「めっ」もされる。
苦笑する俺に、志紀は「ううん」と首を横に振る。
「それでも思い出してくれた。だから、いいよ」
笑顔で許してくれた幼馴染みに、「そっか」と息を吐く。と、少しだけ意地の悪い考えが浮かんだ。
「……なあ、志紀」
「ん? なに?」
「小学生の時、俺がお前のこと好きだったって、知ってたか?」
「え……ええ!?」
「ほら、やっぱ知らなかった」
驚く志紀。さっきの彼女と同じセリフを言いながら、噴き出す俺。
「なんで告白してくれなかったの?」
「お前に好きな人がいるって、クラスの奴に聞いたことがあったからな」
「それ、洋のことだよ」
「ああ、さっきお前から直接聞いたから知ってるよ。あの時は知らなかったけど」
「そっか。そうだよね。……私たち、知らないことだらけだ」
「ああ」
「言葉にしないと、やっぱ伝わらないよね」
「だな」
本当にそうだ。言葉にしないと伝わらない。
だから、伝えよう。
勇気を出して告白してくれた女の子に、今度は俺から。
「志紀」
「んん?」
至近距離で見つめあいながら、名前を呼ぶ。答える志紀の目は、期待に濡れている。
「好きだ」
「……うん。私も好きだよ、洋」
「知ってる」
「バカ」
笑う幼馴染みに、急速に愛しさが膨れ上がっていく。
「志紀、もう1ついいか?」
「なに?」
「キスしたい」
ビックリする彼女だったが、頬を染めながら頷いた。
「うん、私も洋とキスしたい」
目を閉じ、ゆっくりと顔を近づけてくる志紀。そして――
俺たちの唇は1つに重なった。