俺は、世界の半分(女性)を手に入れてみせる! 作:キャプテンキャップ
01:最初の標的
さて、フェロモンが本当に取得できたかどうか実践してみるのは良いとして、
「誰を選ぶかだよなあ」
フェロモンの範囲は確か30センチとかなり狭い。
俺はベッドから起き上がり、机の引き出しから30センチ物差しを取り出してみる。……うわ、こうして見ると結構短いな。
この距離に入るとなると、いきなり外で見知らぬ人に試すというのも度胸がいるなあ。
……やっぱり最初は身近な人物から試したほうが無難かな、これは。
「ってことは……妹の
アイツになら、もしフェロモンが効かなくもキモがられるだけで済むだろうし。よし、花蓮にしよう。
そうと決まれば善は急げ。
幸いにして今日は土曜日。学校は休みだ。昼前の今の時間ならアイツも家にいるだろう。
俺は部屋を出て下へと降りる。花蓮は大抵リビングのソファーにいるからな。
下に降りてリビングを覗いてみるが……いないな。
「おっ、兄ちゃんおはよー!」
変わりに元気よく挨拶してきたのは弟の
「おっす、ノリ。今日も無駄に元気だな」
「キシシ! 元気が俺の取り柄だからな!! それよか兄ちゃん、お腹空いた!」
「そんなもん俺に言うな。母さん……は仕事か。適当に冷蔵庫を漁ってろ」
おう! 漁ってくる! と言って俺の横を通り抜け、台所へ走っていくノリ。
いつも元気がよく、なぜか俺によく懐いている弟は、小学校に通う六年生で11歳。
弟もまた、俺と違って女子にモテる顔立ちをしている。いわゆるワイルド系ってやつ?
力強い切れ長の目。だけどどこか表情が柔らかく感じるのは、アイツの無邪気な性格のせいだろう。
天真爛漫なやんちゃボーイ。運動神経抜群、勉強は少し残念だが、そのギャップから大抵の人から好かれる。
それが俺の弟、ノリだ。
なんで俺だけこんなに平凡なんだろうな?
「兄ちゃん兄ちゃん! ハンバーガーがあったぜ! あっためてから一緒に食おうぜ!」
「一緒にって、一個しかないじゃん。いいよ、お前が食え」
「うおおおお! 相変わらず優しいなっ、兄ちゃんは! 大好きだぜ! ひゃっほーーい!」
大げさに喜びながら今度はレンジに向かって走り出すノリ。……コイツはほんと、なんでこんなに懐いてるんだ? まあいいや。
「あ、そうだ。ノリ、花蓮のやつ知らないか?」
「んー? 姉ちゃんなら早くに出かけたぞー。友達とカラオケ行くとかなんとかー。何か用事でもあったのかー?」
「いや、何でもない。気にするな」
ちっ、出かけてたか。
「おー、俺は姉ちゃんのこと気にしたことなんて一度も無いぜ!」
……それはそれで花蓮が哀れだな。アイツ、
驚愕の事実! ……どうでもいいけどな。
「へっへっへー。チンしてきたぜ。美味しそうだ! って言うか美味いぜ! はふはふ……」
すでに食ってるし。
あ、そういや、フェロモンの効果に同姓に対しての効果もあったよな。
確か、深層意識下において恐れを抱かせて、反抗させなくなるんだっけ。
つまりは、不良とかに絡まれたりしなくなったり、逆に命令できるってことでいいのかね?
フェロモンのスキルにオン・オフはないから、常時発動しているはずだ。
ってことは、ノリにも効くのか? ……よし、試してみるか。
「ノリ、ちょっといいか?」
俺はソファーに座りながらテレビを見ているノリのすぐ横に座って話しかけた。この距離なら余裕で30センチ以内だろ。
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『初めて同性にフェロモンを使った』を達成! 5P獲得しました。
ポイント残高:115
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おっと、メッセージが出た。どうやら無事に効いたらしい。ポイントも貰ったけど、低いな。
取り合えずノリになんか命令してみるか。
「ふぁに、にーふぁん?」
「……とりあえず飲み込んでから喋れ」
「わはっは。んぐんぐ……何、兄ちゃん?」
「ちょっとここで三点倒立してみろ」
「おう! これでいいか!」
即答で返し、本当にソファーの上で三点倒立を決める弟。どうでもいいが、こんな柔らかいところでよく出来るな。さすがは運動神経抜群なだけはある。
ってか、考えてみたらコイツが俺の言うことに刃向かったことなんて一度も無いじゃん。駄目じゃん。
来週、学校に行った時にでも友人で試してみよう。
「あー、もういいぞ。すまんな、突然」
「おう! 気にするな! 兄ちゃんの言うことなら何だってしてやるぜ!」
「そ、そうか。ありがとう?」
俺が疑問系で礼を述べると、弟は嬉しそうに「キシシ」と笑った。
……ほんとに何でコイツ、俺に懐いてんの? ブラコンにも程があるだろ。……まあ、悪い気はしないけどさ。
「さて、と。俺は着替えたら少し出かけてくるよ」
「分かったー。俺もケンジたちと野球しに行くからなー」
ケンジってのは、確かノリの友達だっけか。
俺は「了解」と返して、着替えるべく部屋に戻った。
☆
「そういや、最初にスキルとった時に何か色々とメッセージが出てたな」
何かの条件を満たしたとかでポイントを獲得したって。スキルの確認に興奮しててすっかり忘れてた。
俺はウィンドウを呼び出すと、ポイントの残高を確認した。
ポイント残高:115
「おー、増えてる増えてる」
ついでにページも増えてるな。確か『ステータス』のページとやらが増えたんだっけか。思い出した思い出した。
取り合えずポイントが増えたんだから、欲しかった『神の手Ⅰ』と『神の舌Ⅰ』のスキルを取得しよう。
どちらも50Pとお買い得。チェックを入れて決定っと。
2つのスキルを習得しました。
ポイント残高:15
うし、取得完了。
そういや、この2つとフェロモンのスキルはレベル制だったな。取ったのはレベルⅠなんだから、今はレベルⅡが表示されているのかね?
そう思った俺は、スキル一覧を確認してみることに。
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○フェロモン解放Ⅱ:650P
効果はレベルⅠと同様。
備考:フェロモンの範囲はレベル依存(レベルⅡの範囲:1メートル)。
○神の手Ⅱ:60P
効果はレベルⅠと同様(レベル依存)。
○神の舌Ⅱ:60P
効果はレベルⅠと同様(レベル依存)。
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レベルⅡが出ているのは良いけど、フェロモン高っ! だけど範囲が1メートルに伸びてるのは魅力的だなぁ。……がんばってポイント溜めよう。
その為にも女性とイイ事しないとな!
あと追加されたのは、ステータスのページか。
3ページ目はロックされたスキルが纏められているから、最後の4ページ目だろう。ロックスキル(今命名)は今は飛ばそう。
俺はステータスのページを開いた。
「ふぅーん。俺が取得したスキルとポイント残高、達成した条件が纏められているのか」
ページはこんな感じだ。
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ポイント残高:15
《取得スキル》
・フェロモン解放Ⅰ(範囲:30cm)
・精力絶倫
・無限の体力
・着弾回避
・快感痛覚
・神の舌Ⅰ
・神の手Ⅰ
《達成条件》
・『初めてのスキル取得』・『スキルを5つ取得』・『初めて同性にフェロモンを使った』
《称号》
なし
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称号なんてのもあるが、どうやって取るんだ? ……ま、その内分かるだろう。
他にやる事も無いので、俺はウィンドウを閉じた。
適当に着替えている間に、下からノリの「行ってきまーす!」という声がきこえてきた。もう出るのか、早いな。
☆
着替えが済み、玄関を出て鍵を閉める。
妹の
「……ってか、よくよく考えてみたら、30センチの距離なんて人が多いところだったらすれ違うだけでクリアできるじゃん」
なんでそんな簡単なことに気付かなかったかなー、俺。
人が多いところといえば、商店街が近いか。
少し離れたところにはショッピングモールもあるが、効果を試すだけならそこまで行く必要は無いだろう。商店街で十分だ。
目的地も決まり、商店街へと歩き出す。
六月下旬とはいえ、まだ涼しい。歩くのも苦にならない。
軽い足取りで歩いていたのだが、ふと、前から来る二人の親子を見て、俺の足取りはゆっくりとしたものになった。
正面から来るのは、近所でも美人と評判の鈴木さん親子だった。母親の名前は確か
肩口で揃えられた黒髪ストレートにおっとりとした顔。
そしてメリハリの利いた体。
全身から大人の色香が滲み出てる。
5歳になる娘を持つ一児の母だけど、まだ24歳ってんだから驚きだ。逆算すると、19の時に産んだ子供ってことだよな。旦那は確か30を越えてたはず。ってことは妊娠するまでの期間のことを考えると……旦那はギルティだな。
まあ、その旦那とは去年に離婚したらしいけど。旦那ザマァ!
その隣にいるのは、香奈さんが19の時に産んだ娘ではなく、別れた旦那の連れ子だった娘さんのようだ。彼女は離婚のさい、父親よりも香奈さんを選んだんだとか。実の娘に見捨てられるとか、ほんっと旦那ザマァ!
名前は……なんだっけ? ああ、そうそう、
明日香ちゃんは香奈さんとは違うタイプの美人で、たいそう可愛らしい。将来は美人になるだろうとやはり近所で評判だ。
香奈さんのもう一人の娘さんの姿が見えないけど、幼稚園かな? 土曜日もやってるのか分からないけど。
それにしてもこんな所で香奈さん親子に会うとはラッキー!
このチャンスを逃す手は無い。幸い、近所のよしみで何度か挨拶したことがあるし、こちらから近寄って声をかけても不自然ではないだろう。……ないよな?
最初のターゲットはこれで決まった。
香奈さんと明日香ちゃんだ。
狙うは