※この作品はR-18です。

俺は、世界の半分(女性)を手に入れてみせる!   作:キャプテンキャップ

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09:里姉と過ごす夜

 ちりんちりん……。

 開け放した窓から入り込んだ風に、吊るした風鈴がそよいでは軽やかな音(ね)を響かせる。

 外からは鈴虫の鳴き声に蛙(かえる)の合唱。空には満月が輝く。

 海から帰ってきたのが夕方で、今は夜。

 ノリと花蓮(かれん)は帰ってきてほどなく寝てしまった。……まあ、ノリは単純に遊び疲れたのだろうが、花蓮が寝てしまったのは別の疲労からだろう。なんせあれから十回以上はシたからなあ。きっと2人とも朝までぐっすりだろう。

 んでもって父さんやじいちゃんたちは揃って飲みに行ってしまった。海でも飲んでたが、飲み足りなかったようだ。……そんなにお酒って美味しいのかね? 未成年の俺には分からん。

 というわけで現在、家で起きているのは居間にいる俺一人。里姉(さとねえ)はまだ仕事から帰ってきていない。

 ちゃぶ台の上には母さんとばあちゃんが簡単に作ってくれた料理が並んでいるけど、里姉が帰ってきたら一緒に食べようと思っているのでまだ手はつけてない。

 なので、付けっ放しのテレビから流れてくる音をなんとはなしに拾いながら片手でスマホを弄(いじ)り、時間を潰す。

 …………うぅ~ん、つまらん。

 スマホを切って、畳の上にごろんと寝転がる。

 

「……そういや、最近スキル一覧を見てないな」

 

 久しぶりに見てみるかと、ウィンドウを開く。

 

 

 

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 ポイント残高:4,410

 

 

 ○『フェロモン』解放Ⅴ:800P

 

  効果はレベルⅠと同様。

 

  備考:『フェロモン』の範囲はレベル依存(レベルⅤの範囲:6メートル)。

 

 ○精液増大Ⅰ:100P

 

  精液の量を増やします(レベル依存)。

 

 ○天狗の鼻Ⅱ:100P

 

  陰茎の太さと長さが増す(レベル依存)。

 

   ・

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   ・

 

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 ポイントが4,000ちょいか。けっこう貯まったなあ。

 そろそろ『フェロモン』のレベルを上げようかな。……おお、レベルⅤは範囲が今の倍の6メートルか。ポイントも800だし、買いだな。

 チェックボタンを押したところで、ふとレベルⅥの範囲が気になった。……うぅ~ん、次のレベルのヤツは取得したあとにしか表示されないんだよなあ。こういうところはちょっと不便。まあいいや、Ⅴを取得すればいいだけの話だし。さっさと取得するか。

 とりあえず他のスキルを確認する前に、800ポイントを消費して【『フェロモン』解放Ⅴ】を取得した。

 んでもってもう一度スキル一覧を確認する。お、ちゃんとⅥが出てるな。どれどれ――

 

 

 

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 ポイント残高:3,610

 

 

 ○『フェロモン』解放Ⅵ:1,000P

 

  効果はレベルⅠと同様。

 

  備考:『フェロモン』の範囲はレベル依存(レベルⅥの範囲:10メートル)。

 

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   ・

 

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 おお、遂に10メートル! 1,000ポイントとお高いが、これは取っとくべきだろうな。

 範囲が広がる分、狙った女性を堕とす際には有利になるわけで。中には警戒心が強くて近寄り辛い人もいるだろうし。

 それに何より、無茶なプレイをするときに人目を気にしなくても良くなる。例えば昼間にやった青姦とかな。

 さっそく取得するためにチェックを入れる。これであと2,610ポイントか。

 取ろうと思えば他にも取れるけど……ある程度はポイントを残しておきたい。

 その理由は、ロックスキルの一覧にある『誰かに命を狙われた場合に解放される』スキルだ。

 もし万が一、このスキルが解放される時は俺の命がリアルでヤバイ状況ってことだ。このスキルがどんな効果を持つかは今は知れないけれど、俺の命を助けるようなスキルだったとして、その時にポイントが足りなかったりしたらやってられない。

 なので保険として最低でも1,000ポイントは残しておきたい。……そもそもそんな状況に陥(おちい)りたくはないんだけど。

 人生何が起きるか分からないからな。

 そんな理由(わけ)で、今取(と)るのは【『フェロモン』解放Ⅵ】だけにしとこう。

 

 ポチッと決定ボタンを押して、スキルを取得。

 

 

 

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 1つのスキルを取得しました。

 

 ポイント残高:2,610

 

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 ステータス画面でスキルが反映されているのを確認し、ウィンドウを閉じる。ふふ、これで効果範囲が10メートルになったぞ。……というか、『フェロモン』スキルのレベル上限はどんくらいなんだろうか? さっきチラッと見た限りでは、レベルⅦは出てたが。

 取得にかかるポイントが1,300だったので取るのは止めたけど。ちなみに範囲は15メートルだった。ちょっと欲しくなったが、今は我慢だ。またポイントが十分に貯まったら取ろう。

 などと考えていると、玄関の扉が開く音とともに、女性の陽気な声が聞こえてきた。

 

「たっだいま~♪」

 

 里姉(ねえ)が帰ってきたようだ。

 

「おかえりー」

 

 寝ていた体を起こしながら玄関に向かって声を投げかけると、ほどなくして里姉が顔を出した。

 この人こそが里姉――姫川(ひめかわ)里美(さとみ)。俺の親戚である。

 整った顔立ち。出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでいる抜群のプロポーション。

 なのに浮いた話は昔から一度もない。なぜなら野球観戦一筋だから。恋人と過ごす時間があったら巨神軍を追いかけると言って憚(はばか)らない。

 んでもって性格はズボラで大雑把。大抵のことには物怖じしない胆力も持っているが……まあ、いわゆる残念美人である。

 

「およ、洋(よう)1人? 他のみんなは?」

 

「ノリと花蓮は海で遊びつかれて寝てるよ。父さんたち大人組は飲みに出かけた」

 

 部屋をキョロキョロと見ている里姉に説明をすると、納得したように頷いた。

 

「なるほどねー。で、洋は1人寂しく夕飯してると」

 

「してないよ。里姉が帰ってくるの待ってたからな」

 

「おぉ、確かにどのオカズにも手が付けられてないね。お姉ちゃんの帰りを待ってるとは感心感心♪」

 

 端正な顔にニパッと笑顔を咲かせて頭を撫でてくる里姉。

 

「ちょっ、やめろよ」

 

「照れるな照れるな、うりうり~♪」

 

 さらにわっしゃわっしゃと髪をかき回してくる。だーっ、うっとおしい!

 

「それよりご飯とお汁を入れるから里姉も手伝ってよ」

 

 里姉の手を振り払いながら立ち上がると、途端に表情を曇らせて一言。

 

「え~、面倒臭い」

 

「……をい」

 

 しかも言うだけ言ってさっさとちゃぶ台の前に座りやがった。ズボラな社会人め!

 

「なんて文句を垂れつつも入れてくれる洋がお姉ちゃんは大好きだぞぉ♪」

 

 あっはっはー。と笑う里姉にもう一度悪態を吐きながらすぐ隣の台所へ行き、味噌汁を火に掛ける。

 

「そういや今日は遅かったね」

 

 何かあった? と温まるのを待つ間、なんとはなしに訊ねる。少し大きめの声を出せば、じゅうぶん会話ができるのだ。

 

「それが聞いてよっ! 今日に限って事務仕事が多くてさー!」

 

 憤まんやるかたないと言った感じの里姉の声。

 

「つまりは残業だったわけか」

 

 お疲れー……って、今日に限って? はて、今日って何かあったっけ?

 

「何言ってるの! 今日は巨神(ティターンズ)の試合でしょ!?」

 

 あ、はい。……里姉は大の巨神ファンなのである。

 

「時間に間に合ったから良かったものの、これで間に合わなかったらあんのバーコードハゲ上司、残り少ない髪の毛をガムテープで脱毛してやるところだったわ」

 

 ……間違えた、里姉は巨神信者だった。

 

「とりあえず間に合ったんだから上司の髪、大事にしてやれよ」

 

 味噌汁が温まってきたので火を止め、お椀に注ぎながらそれとなく注意する。この人なら本当にやりかねんからな。

 

「わかってるよ。あんなセクハラ上司の髪の心配をしてあげるなんて、洋は優しいねー」

 

 ……セクハラ? ちょっと聞き捨てならない単語が出てきたんだけど?

 

「ん。あの上司、事務の若い子のお尻とか平気で触ろうとしてくるのよ」

 

「それはまた……今のご時世に怖いもの知らずな人だな」

 

 よそったご飯と味噌汁をちゃぶ台に運びながら言うと、「でしょー? そろそろ誰かに訴えられるんじゃない?」と里姉。

 

「里姉は大丈夫なわけ?」

 

「大丈夫に決まってるじゃないの。入社したその日にセクハラかまされそうになったんで、股間に一発よ!」

 

 里姉がポンポンと太ももを叩いてみせた。……足蹴りにしたってことなんだろうなあ。おぉう、自業自得とはいえ、ものすっごく痛そう。想像したら睾丸がきゅっとなった。

 というか、初日に上司を蹴り飛ばすとか、よくクビにならなかったな。

 

「そんなのなるわけないでしょー。……いやまあ、向こうは股間押さえながらクビだー! って怒鳴ってたけどね」

 

 駄目じゃねーか。

 

「でも、ワタシが『じゃあ出るとこ出よっか? とりあえず警察行って、それから裁判所で会う?』ってスマホ取り出したら、ハゲ上司とそこに居合わせた役員の人たちが青ざめながら謝ってきたけどね」

 

 それだけは勘弁してください! ってさ。と、その時の事を思い出したのか、あっはっはー。と楽しそうに笑う里姉。……まあ、この人はこういう性格だよな。大抵のことには物怖じしないし。

 というか、そんなことがあったのに未(いま)だにセクハラしているのか、その上司は。

 

「ワタシにはしてこなくなったけどね。もちろん、ワタシが見ているところでは他の子にもさせてないわよ?」

 

 なんでも里姉が眼を光らせ、上司がセクハラしようとしたら容赦なく蹴っているらしい。あえてどこを蹴っているのかは聞かなかった。

 

「ってか、里姉の話きいてたらそのハゲ上司、ガムテープで髪の脱毛してあげてもいいんじゃないかと思えてきた」

 

「あはは、そうなるよねー。機会があったら脱毛してやろうっと♪」

 

「そうしてやれ。……っと、折角温めたのに冷めちゃうな。食べようぜ里姉」

 

「だね。試合の時間ももうすぐだし。んじゃま――」

 

 いただきます! と声を揃えて箸を取る。……うん、美味い!

 

「相変わらずおばあちゃんの野菜炒めは美味しいねー♪ それと相変わらずこの家は暑いねー」

 

「急な話題転換だな。まあ完全に同意しかないけど。じいちゃん、いい加減クーラー入れてくれないかなぁ」

 

「無理でしょ、おじいちゃん冷房嫌いだし」

 

「だよなー」

 

 だからこそ一部屋に2台以上扇風機があるわけだしな、この家。

 

「おっと、もうこんな時間だ! そろそろ準備しないとね!」

 

 ごちそうさま! と慌ただしく箸をおくと、居間を出てった。多分、部屋に着替えに行ったのだろう。あと応援グッズとかも取りにいったに違いない。

 

「……っていうか、片付けろよ」

 

 放置された食器を前に溜め息を吐きつつ箸を動かす。……後で片付けといてやるか。何だかんだで里姉に甘い俺である。

 

 

 んでもって数分後――

 手に巨神軍のステッカーが貼られたメガホン(公式)を持ち、ラフな格好で戻って来た里姉。……というかその格好はラフすぎるだろう。

 上はレモンイエローのドット柄キャミソール、下は同色同柄のショートパンツ姿の里姉にドキッとした。

 いやだって、キャミから覗く胸の谷間とか、太ももの付け根――というかショーツが見えそうなくらい短いパンツととかさ。部屋着とはいえ目のやり場に少し困るぞ、コレは。……いやまあ、内心はもっとやれという心境だけども。だって健全な男の子だもの。

 容姿だけ見ればモデルばりの美人がこんな薄着で部屋をウロついてたらいたら、親戚とはいえそりゃあドキッとする。

 

「ビール、ビッィル~♪」

 

 こっちの気も知らずに暢気(のんき)な歌を口ずさみながら冷蔵庫からビールを大量に取り出すと、それを持ってテレビの前に陣取る里姉。

 

「あ、ツマミ忘れた! ねー、悪いけど何か摘まむの取ってきてー」

 

 ズボラな親戚の姉が顔だけをこっちに向けて頼み込んできた。

 ……うん、なんだかドキッとしたのがアホらしくなってきた。考えてみたら小さい頃から姉同然の里姉は、ズボラで無防備な格好も昔からなのだから、今さら意識するほうが難しい。

 俺は溜め息を吐きつつ、このズボラな姉のために立ち上がり、台所からツマミを取ってきてやるのだった。

 

「ほいよ」

 

「お、ありがとー♪」

 

 里姉の前に燻製のハムやらばあちゃん特製のキュウリ漬けを置いてやる。と、ちょうど野球の番組が始まった。

 

「あ、始まった! 洋も一緒に観る?」

 

「いや、俺はいいよ。まだご飯の途中だし」

 

「そっか、じゃあ静かに食べててね!」

 

「……りょーかい」

 

 俺は言われたとおり、なるべく音を立てないように食事を再開したのだった。……野球が絡むと怖いからな、この人。

 

 

 さてそれからほどなく。夕食を食べ終えた俺はといえば、台所で洗い物をしてたりする。

 

「いけー! かっとばせー!」

 

 メガホンで膝をバンバン叩きながら応援している里姉の声をBGM代わりに食器を洗う俺ってば超家庭的。

 

「レイト、お前ならイケる。1、3塁のピンチでも乗り越えられる…………っし! 押さえた! 流石は真エース!」

 

「キターー! 長打キターーーーーー! 回れ回れー! ……先制てーーーんんんん!!」

 

「よーっし、この勢いでルミレス、いってみよーか! ……ってルーミレース!? あっさり空振り三振ってどういうことなの!?」

 

「だーっ、そこは違っ、あー!? 捕球ミスとかq@w#%&$!!」

 

 ……もはや何を言っているのか分からん。まあ、試合が白熱しているってことだけは分かった。

 

 

 んでもって2時間後。さっさと洗い物を終えた俺は居間に戻ってちゃぶ台の前に座り、何とはなしに里姉越しに野球の試合を見ていた。んでもって、ちょうど今試合が終わったところ。

 

「やー! 今日も快勝だったねー!!」

 

 贔屓(ひいき)のチームが勝ってご機嫌な里姉がテレビに向かって新しく空けた缶ビールを掲げて「かんぱーい!」とイッキ。ごっきゅごっきゅと喉を鳴らす音がここまで聞こえてくる。……体に悪いからやめたほうが良いと思うぞ……まあ、聞く人でもないか。

 溜め息を吐きつつ里姉を見やっていると、視線に気付いたのかこっちに顔を向けてきた。

 

「お、君も嬉しいかい?」

 

「いや、俺は別に――」

 

「そうだろう、そうだろう! 巨神を応援してない日本人なんていないもんね!」

 

 ……聞いちゃいないし。それに他の球団を応援してる人もいるからな? ま、勝って盛り上がっているところに水を差す必要もないので適当に乗っておこう。

 

「おー、俺も嬉しい嬉しい」

 

 苦笑しつつパチパチと合いの手と相槌を打つ。

 

「でしょー! うんうん、流石はお姉ちゃんの弟♪」

 

 ニッシシ! と笑みを浮かべたかと思うと、突然立ち上がった里姉が拳を握る。

 

「ぃよーっし! お姉ちゃんっ、巨神の勝利を祝ってバンザイ三唱しちゃうぞー!」

 

 バンサイ三唱!? 本気かこの人!?

 

「バンザーイ!」

 

 両手を上げて体全体で喜びを表現する里姉。本気(マジ)でやっちゃったよこの人!

 これはさすがに、家の前を通った人に聞かれたら何事と思われる! 止めなきゃ!

 そう思い、立ち上がろうと俺だったが――むっ、むむ!!

 あることに気付いて浮き上がりがけた腰が止まる。

 

「バンザーイ! バンザーイ!」

 

 両手を上げては下ろす里姉。

 俺はそれをジッと注視していた。

 正確には、腕の動きに合わせて揺れる胸――オッパイを!

 たわわに実ったオッパイがたわわん、たわわんと揺れているのだ。それから目を逸らせられる男がいようか? いない!(即答)

 だから俺は凝視するのだ。

 しかもこの蒸し暑い中、2時間近くも熱く応援していたから、ルームウェアのキャミソールが透けて肌色が見える……というか何か桜色のポッチが見えるような? もしかして里姉、ノーブラ? ノーブラなのか? ノーブラだよね!? ありがとーございます!

 これは益々もって凝視しないと! ……どうせ酔っているんだし、ガン見しても気付かないだろう。

 

「バンザー……イ? ん? んん~?? しょうねーん♪」

 

 何かに気付いたのか、万歳をやめて「にゅっふっふっ」と笑いながら里姉が俺を見てくる。ギクリとして目を逸らしたが、遅かった。

 

「そんなにワタシのおっぱい見つめちゃってー! 興味あるのかにゃ~?」

 

 ……速攻でバレたー!

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