俺は、世界の半分(女性)を手に入れてみせる! 作:キャプテンキャップ
「……う~、やっぱ落ち着かないなぁ……」
身支度を整えて井戸から出てきた俺たちだけど、
「愛液でべとべとだったからなあ」
「言わないのっ」
怒られた。ちなみに、志紀の服に付いたカウパー汁は、俺がハンカチで拭いてやった時に、スキルで消去しておいた。
「とにかく早くこっから出て、ロッカーに預けたバッグ取りに行こう」
志紀が言うには、バッグに着替えが入っているらしい。それってつまり、初めからそのつもりだったってこと?
「
なるほどバレてーら。だけどそんな彼氏に付き合ってくれるなんて――最高かよ。
☆
それから無事に着替え終わった志紀と、また絶叫系マシーンに連続で乗った。……うぇっぷ。
「そろそろお昼にしよっか」
……そうしてもらえると助かる。俺はすでにグロッキーよ。俺が言うと、志紀が「あはは♪」と朗らかに笑う。楽しそうでなによりだ。
「で、どこで食べる? 屋台、それともレストランに入るか?」
「あ、それなら大丈夫。じゃじゃーん! 弁当、作ってきました♪」
訊ねれば、そんな答えが返ってきた。バッグから取り出した重箱を見せてくる志紀。おお、手作り弁当! いや、将来結婚するなら、愛妻(仮)弁当といっても過言じゃないな!
「たしか、向こうにフードコートあったよね。さっそく行こ!」
沢山の丸テーブルと椅子が並ぶフードコートの一角に腰を下ろすと、志紀が重箱を広げはじめた。
「簡単に食べられるモノにしてきたんだけど、苦手なのがあったらごめんね?」
上目遣いで聞いてくるので、テーブルに並ぶ料理を見る。サンドイッチに一口サイズの唐揚げ、キュウリのハムとチーズ巻きやミニハンバーグなどなど。結構な品数と量はあるけど、嫌いなものはないな。
「いや、大丈夫そうだ」
俺の言葉に、志紀は「良かった」と安心したように息を吐き出した。うぅん、可愛い。
というか、それなら事前に聞いてくれれば良いのに。と言えば、「それじゃあサプライズにならないじゃない」とのこと。それもそうかと納得。
「で、もう食べていいか?」
「あ、うん。いいよ、どうぞ召し上がれ♪」
「んじゃま、いただきます。……うん、相変わらず美味い!」
「でしょうとも♪ 早起きして作った甲斐があったよ」
サンドイッチを褒めれば、志紀が笑顔を浮かべる。
志紀の手料理はこれまでも何度か口にしたことがあるんだけど、コレが本当に
「ほーら、口の端にソース、付いてるぞ」
「んー?」
志紀が手を伸ばし、俺の口元を指で拭ってくれる。お、これはもしや、そのまま志紀がソースの付いた自分の指をパクッて舐めるパターンか?
期待に胸を膨らませていると――ソースが付いた指をそのまま俺の口の中に突っ込んだ。
「って俺に舐めさせるのかよ!」
「あはは♪」
ぺろりと舌を出す志紀。くそう、期待させやがって。
「
差し出されたのはミニハンバーグ。口を開けて頬張る。もぐもぐ。……う~ん、恋人の手ずから食べるハンバーグの美味しいこと美味しいこと。……周りの野郎たちから発せられる怨嗟がスパイスになってるけど。
まあ気持ちは分かる。こんな並みのアイドルよりも可愛い恋人が甲斐甲斐しく彼氏の世話をしている光景なんて、嫉妬の視線を集めてもしょうがないと思う。逆の立場なら俺も殺意の篭もった視線を送るだろうし。
「洋はこーんな甲斐甲斐しい彼女がいて幸せだね?」
周りの視線に気付いたのか、志紀がそう言ってきたので、素直に頷く。
「ああ、そうだな。確かにそうだ」
「でしょ?」
だから――と、言葉を続ける志紀。
「一生大事にしてね、洋♪」
そう言って、向日葵よりも鮮やかな、太陽よりも眩しい笑顔を向けてくる彼女に、俺も笑顔を返して言った。
「もちろん」